以下、本発明に係る遮蔽装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
1 第1実施形態
1−1 全体構成
第1実施形態に係る遮蔽装置100は、図1の正面図に示すように、ヘッドボックス101から複数本のラダーコード102を介して複数段のスラット103が吊下支持され、同ラダーコード102の下端にはボトムレール103aが吊下支持される。以下、スラット103とボトムレール103aを合わせて、遮蔽部材103とも呼ぶことにする。また、図1においては、図面の表裏方向を前後方向、左右方向を幅方向とする。
ヘッドボックス101内には、支持部材110が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム104が回転可能に支持される。ラダーコード102の上端部は、チルトドラム104に取着され、そのチルトドラム104の中心部には、ヘッドボックス101の長手方向に延びるシャフト105が全てのチルトドラム104に嵌挿されている。従って、シャフト105が回転されると、全てのチルトドラム104が回転され、そのチルトドラム104の回転にともなって、ラダーコード102の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット103及びボトムレール103aが同位相で角度調節される。
ヘッドボックス101の一端部には、筒体からなる操作棒106が吊下支持されており、操作棒106の下端には操作部106aが設けられている。そして、操作部106aを把持して操作棒106を回転操作すると、ヘッドボックス101内に配設されるギヤ機構を介してシャフト105が回転される。従って、操作棒106の回転操作により、各遮蔽部材103を角度調節可能となっている。
また、本実施形態ではヘッドボックス101から3本の昇降コードCDa,CDb,CDcが吊下されており、各昇降コードCDの一端はボトムレール103aに取着される。ここで、制動装置1000から最も遠い位置でボトムレール103aを支持するものを昇降コードCDa、中間位置でボトムレール103aを支持するものを昇降コードCDb、制動装置1000から最も近い位置でボトムレール103aを支持するものを昇降コードCDcとする。
加えて、上述した支持部材110には、図11にも示すように、3本の昇降コードCDa〜CDcをそれぞれヘッドボックス101内に案内する案内部材としての案内滑車109a〜109cが前後方向の軸芯111a〜111cで軸支され、ヘッドボックス101に導入された昇降コードCDa〜CDcがヘッドボックスの幅方向(図1及び図11の右方向)に転向案内可能となっている。そして、案内滑車109a〜109cは、昇降コードCDa〜CDcの移動に伴って回転するよう構成されている。なお、案内滑車109a〜109cに対して昇降コードCDa〜CDcが滑らないよう、案内滑車109a〜109cは摩擦抵抗の大きい素材から形成するのがよく、例えば、弾性体から形成することが好ましい。また、各支持部材110は他の昇降コードCDを左右方向に通過可能な空間を有している。ここで、図11においては、支持部材110に支持されるチルトドラム104及びシャフト105の記載は省略している。
なお、本実施形態において、各案内滑車109a〜109cは、対応する各昇降コードCDa〜CDcの移動に対して抵抗力を与える個別抵抗付与手段としての機能も有している。具体的には、本実施形態の案内滑車109a〜109cには図示しないダンパ(オイルダンパ等)が内蔵されており、案内滑車109a〜109cの回転に対し回転抵抗が付与されている。これにより、昇降コードCDa〜CDcの移動に伴って回転するこの点に関しては、後述する。
そして、昇降コードCDは、ヘッドボックス101内に取り付けられたロック部107及び制動装置1000を経てヘッドボックス101端部のコード出口101aから引き出され、筒状の操作棒106内に挿通され、その先端は操作部106aの下方に設けられたコードイコライザ108に接続される。従って、コードイコライザ108を下方へ引いて、ヘッドボックス101から昇降コードCDを引き出すと、ボトムレール103aが引き上げられることにより、各スラット103が順次引き上げられる。
ロック部107は、遮蔽部材103の自重降下を防止するために用いられるものであり、本実施形態では、公知のハートカムストッパが用いられる。詳細な説明は省略するが、このロック部107は、ロック状態からコードイコライザ108を一度下方へ引いて手を離すとロックが解除されて遮蔽部材103が降下し、この状態でコードイコライザ108をもう一度下方へ引くと、昇降コードCDがロックされ、自重降下が防止される要構成されている。
また、制動装置1000は、昇降コードCDの移動を制動し、遮蔽部材が降下する勢いを低減させるものである。以下、図2〜図10を参照して、この制動装置1000について詳細に説明する。
1−2 制動装置
<制動装置の構成>
本実施形態に係る制動装置1000は、昇降コードCDの移動を回転運動に変換する運動変換部DTと、この回転運動に対し回転抵抗を付与する抵抗付与部RAとが略垂直方向に連結されて成る。本実施形態においては、図2の斜視図に示すように、スライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とローラ部32からなる張力伝達ローラ30、ローラ部32の上下に配置されるリング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、内歯付キャリア260、遊星歯車280及びケース10Aの一部が運動変換部DTを構成し、ウェイト340、太陽歯車付ウェイトホルダ320、ベース70及びケース10Aの一部が抵抗付与部RAを構成する。また、本実施形態において、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40が、昇降コードCDを挟着する一対の挟着部材を構成し、一対の狭着部材は保持部材としてのスライダー20に保持されている。以下、各部材について説明する。なお、制動装置1000説明においては、図3(a)に示す矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。すなわち、昇降コードCDが延びる向きを前後方向、より具体的には後述する第1天壁溝16と第2天壁溝17の距離が狭くなる向きを前方とし、これに対応して左右方向(幅方向)、上下方向を定める。
図2(a),(b)に示されるように、整列部材200は、複数の昇降コードCDを挿通し、複数の昇降コードCDを互いに同じ向きに整列させるものである。整列部材200は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成することができる。
整列部材200は、上下方向に貫通する略直方体のフレーム200aの前方及び後方に昇降コードCDを挿入する略矩形の挿入部201が2つずつ形成された構成となっており、本実施形態においては、3本の昇降コードCDが挿入部201及び挿入部201の上部に通されることで、昇降コードCDが上下方向に略等間隔に整列された状態で一対の挟着部材に挟着されることになる。
次に、図2〜図4を用いてケース10Aについて説明する。ケース10Aは、ベース70とともに筐体を構成し、その内部にスライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とローラ部32からなる張力伝達ローラ30、リング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340を保持する。
図3(a),(b)に示されるように、ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、天壁部11の前後左右の端部から下方に延びる側壁部12と、天壁部11に対向し、側壁部12から径方向側に向かって延在する鍔部13と、鍔部13に連結される円筒部13Cと、円筒部13Cに連結されるカバー部112とを主な構成として有する。
側壁部12の前後方向の面には、それぞれガイド溝113が形成されている。これら2つのガイド溝113は、互いに前後方向に対向している。これらのガイド溝113は昇降コードCDを前後方向に挿通するための溝であり、本実施形態では3本の昇降コードCDが縦方向に挿通される(図3参照)。
さらに、側壁部12上方のの左右方向の面には支持溝114が設けられる。支持溝114は、図2に示されるように、ケース10Aがスライダー20を内部に保持するにあたり、スライダー20に設けられる突起230を支持するものである。これにより、後述するスライダー20をその底部を浮かせた状態で支持することができる。
天壁部11には、図3(a)及び図4(a)に示されるように、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれ昇降コードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、昇降コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。
具体的には、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、第1天壁溝16の円弧は、図5に示される内歯付キャリア260の内周面と平面視において同心円上となるように形成される(図3参照)。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成され、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している(図3参照)。これは、第2天壁溝17を略直線状とした場合、第1天壁溝16は後方から前方に向かって昇降コードCDに近づくような円弧であるので、例えばシャフト31及びシャフト41がそれぞれ第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って移動するときに、昇降コードCDに対する垂直方向の変位が、シャフト31とシャフト41とで異なってしまうことを防ぐためである。
このように、シャフト31及びシャフト41の昇降コードCDの鉛直方向に対する変位を近接させることにより、ローラ部32及びローラ部42が適切に昇降コードCDを挟着することが可能となる。
第1天壁溝16の縁には、図3(a),(b)及び図4(a)に示されるように、ケース10Aの平面視において、第1天壁溝16におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置の少なくとも一部に、第1天壁溝16から上方に向かって略垂直に突出する第1ガイド壁16Aが設けられる。第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に沿って移動するシャフト31の面圧を下げることを目的としており、シャフト31からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となっている。
また、第2天壁溝17におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置にも、その少なくとも一部に、第2天壁溝17から上方に向かって略垂直に突出する第2ガイド壁17Aが設けられる。そして、この第2ガイド壁17Aにより、シャフト41の面圧を低減することができ、これにより、シャフト41からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。
鍔部13及び円筒部13Cは、図3に示すように、側壁部12の下方に形成され、内部にピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340が配置される。円筒部13Cは、略円筒形状とされ、内面には遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア115(図7参照)が形成される。
カバー部112は、円筒部13Cに連結され、ベース70と嵌合する箇所である。第1実施形態では、カバー部112の外縁は略正方形とされる。
スライダー20は、図5に示すように、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40を内部に保持するものであり、ケース10Aの支持溝114に沿って張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とともに移動するよう構成される。スライダー20は、天壁部21、後側壁部22、前側壁部24及び底壁部23とを有する。また、天壁部21には一対の溝である第1天壁溝26及び第2天壁溝27が形成され、天壁部21にはこれらと上下方向に対向する位置に第1底壁溝28及び第2底壁溝29(図5及び図10参照)が形成される。
また、天壁部21には、その四隅に天壁部21の左右へ突出するように突起230が設けられる。突起230は、組立状態においてケース10Aの支持溝114に収められ、ケース10Aの内部にスライダー20を浮き状態で支持する。すなわち、スライダー20は、下方に位置する内歯付キャリア260と非接触状態で保持される。
このような構成とすることで、スライダー20をケース10A内部において浮き状態で支持することが可能となり、スライダー20と他の部品、例えば内歯付キャリア260等との接触を防止して抵抗力を低減することができる。
前側壁部24及び後側壁部22には、それぞれ貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、前側壁部24及び後側壁部22の幅方向の略中央において前側壁部24及び後側壁部22を前後方向に貫通し、上下方向に長い略長円形の形状とされ、複数本の昇降コードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。
また、図5(b)に示されるように、後側壁部22には、貫通孔25の両脇に、後側壁部22の外側面から形成される凹部231が形成され、凹部231内にはコイルスプリングSPが配置される。コイルスプリングSPの一端は、凹部231から突出している。なお、図5(b)ではコイルスプリングSPの凹部231から突出している部分を省略している。
なお、このような形状のスライダー20の左右方向の大きさはケース10Aの幅方向の内壁間の距離と概ね同じであり、スライダー20の前後方向の大きさは、ケース10Aの前後方向の内壁間の距離よりも小さくされる。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置されると、スライダー20の天壁部21及び底壁部23の側面がケース10Aの幅方向において内壁面に当接して、スライダー20はケース10Aに対して幅方向に動きが規制される。この状態において、ケース10Aのガイド溝113とスライダー20の貫通孔25とが互いに前後方向に並ぶため、昇降コードCDをスライダー20内に挿通することができる。一方、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20とケース10Aの内壁面との間には、前後方向に隙間が生じ、スライダー20はケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20の後側壁部22の凹部231から突出するコイルスプリングSPがケース10Aの側壁部12の後方の内壁を押圧する。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20は、前方側に位置し、ケース10A内において前方に押圧された状態となる。
次に、図2,図5,図6及び図8を用いて、一対の狭着部材の一方である張力伝達ローラ30、一対の狭着部材の他方であるアイドルローラ40、及びピニオンギア50について説明する。
張力伝達ローラ30は、シャフト31とシャフト31の外周面を覆う円筒状のローラ部32とを有する。ローラ部32は、シャフト31の一端側に取り付けられ、シャフト31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ローラ部32は、弾性体から形成されることが好ましく、例えば、ウレタンゴム(PUR)から構成されるのが好適である。ローラ部32が弾性体であることで、昇降コードCDの摩耗を防止することができる。また、複数の昇降コードCDを挟着する際、昇降コードCDの径の寸法誤差があったとしても昇降コードCDごとの狭着力の差を小さくすることができる。
ピニオンギア50は、圧入によりシャフト31に取り付けられており、シャフト31を中心として張力伝達ローラ30とともに回転する。また、ピニオンギア50と張力伝達ローラ30との間はスライダー20の底壁部23が介在できる程度に離間している。なお、特に図示しないが、ピニオンギア50とスライダー20の底壁部23との間に、摩擦を低減するためのワッシャー等を介在させても良い。
一方、アイドルローラ40は、張力伝達ローラ30のシャフト31と平行なシャフト41と、シャフト41の外周面を覆うローラ部42とを有する。従って、張力伝達ローラ30の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。アイドルローラ40のローラ部42の外径は、張力伝達ローラ30のローラ部32の外径よりも大きくされている。本実施形態において、アイドルローラ40のローラ部42の外周面は樹脂製とされ、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、シャフト41の両端部は、ローラ部42から露出している。なお、アイドルローラ40のローラ部42も、張力伝達ローラ30のローラ部32と同様、ウレタンゴム(PUR)等の弾性体で形成してもよい。
これら張力伝達ローラ30のローラ部32及びアイドルローラ40のローラ部42は、図8に示すように、スライダー20の内部に保持され、ピニオンギア50は、スライダー20の外部に保持される。つまり、制動装置1000の組み立て時においては、ローラ部32とピニオンギア50がスライダー20の底壁部23を挟み込むような構成となっている。
加えて、図2及び図8に示すように、スライダー20の天壁部21の下面とローラ部32の上面の間、底壁部23の上面とローラ部32の下面の間に、それぞれシャフト31に通されたリング状部材33,34が配置される。リング状部材33,34は、張力伝達ローラ30(ローラ部32)がスライダー20に対して回転及び相対移動する際の、ローラ部32とスライダー20の間の摩擦を低減するために設けられる薄型の部材である。リング状部材33,34としては、ローラ部32よりも滑りやすい材質であるものが好ましく、また、ローラ部32よりも硬度の高い材質であるものが好ましい。なお、アイドルローラ40のローラ部42の軸方向両側にも、同様のリング状部材を設けてもよい。
次に、図6及び図7を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。第1実施形態では、内歯付キャリア260は、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、円柱部264から平面視において外側に突出するフランジ262を備える。
円柱部264の内側の内周面には、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される(図2も参照)。支持軸263は、等間隔であることが好ましく、本実施形態では支持軸263が等間隔に4つ設けられた構成となっている。
そして、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、ケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。従って、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を増速させることが可能となる。
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、図2、図7及び図8を用いて説明する。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、図2に示すように、リング状のリング部324の外方に向かって、凸部321及び凹部322が交互に並んで形成される。図7に示されるように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、それぞれの凹部322には、ウェイト340が配置される。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、制動装置1000の組み立て時において、凸部321を境としてそれぞれの凹部322内にウェイト340を保持する部材であるとも言える。なお、ウェイト340の数は任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、第1実施形態では、一例として8つのウェイト340を用いている。従って、凸部321及び凹部322もそれぞれ8つずつ設けられている。
また、図8に示すように、各ウェイト340には、ベース70側に突起341が設けられる。かかる突起341により、ベース70と当接する際における抵抗を低減することが可能となる。突起341の数は任意であるが、第1実施形態では、一例として4つの突起341を設けている。
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向に移動し、ケース10Aの内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。従って、ケース10Aの内周壁、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部RAが形成されることになる。そして、本実施形態では、運動変換部DTと抵抗付与部RAが略垂直に位置するように設けられる。
なお、制動装置1000の組み立て時においては、内歯付キャリア260と太陽歯車付ウェイトホルダ320が、図2に示すプレート300を介して組み立てられる。具体的には、内歯付キャリア260の円柱部264を太陽歯車付ウェイトホルダ320のリング部324に挿入するように組み立てる。従って、円柱部264の直径は、リング部324の直径よりもわずかに小さく設計される。なお、プレート300は、遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐ機能を有する。
次に、図2、図4(b)及び図5を用いて、ベース70について説明する。図1に示されるように、ベース70の略中央には、周囲より嵩高くなっており、下側が凹んでいる円柱部708が設けられる。また、図3(b)に示されるように、円柱部708の上面に第1ベース溝706、第1ガイド壁706A、第2ベース溝707、第2ガイド壁707Aが設けられる。
第1ベース溝706及び第1ガイド壁706Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第1天壁溝16及び第1ガイド壁16Aに相当するものであり、シャフト31の下端が第1ベース溝706及びその縁に形成された第1ガイド壁706Aと当接する。同様に、第2ベース溝707及び第2ガイド壁707Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第2天壁溝17及び第2ガイド壁17Aに相当し、シャフト41の下端が第2ベース溝707及びその縁に形成された第2ガイド壁707Aと当接する。
このように、円柱部708を設ける等して下側をへこませることにより、シャフト31及びシャフト41の下端が、制動装置1000を載置する載置面と接触することを防ぎ、シャフト31及びシャフト41の下端を適切に挿通することが可能となる(図8参照)。
さらに、図3(b)に示されるように、ベース70の底面の外側には、ヘッドボックス101内に制動装置1000を配置するときに利用する取付筒702が設けられる。そして、ヘッドボックス101の底面に設けられた上方に突出する取付け軸に取付筒702をはめ込むことにより、制動装置1000をヘッドボックス内にて安定して配置させることが可能となる。
<制動装置の組立>
次に、制動装置1000を組み立てた状態について、図2及び図3を用いて説明する。図3は、上述した部材を組み合わせて構成された制動装置1000の組立図である。かかる組立は、図2に示されるように、各部材同士の中心軸を上下方向に重ねあわせた状態でなされる。
具体的には、内歯付キャリア260と、ウェイト340を保持した太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。このとき、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280と、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323とが互いに歯合するようにする。
そして、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28にシャフト31を水平方向にスライドさせ、ローラ部32をスライダー20内に収容する。この際、ローラ部32の上下には、上述したようにリング状部材33,34が配置される。また、このとき、ピニオンギア50はスライダー20の外部に位置するようにされる。また、第2天壁溝27及び第2底壁溝29にシャフト41水平方向に移動させ、ローラ部42をスライダー20の内部に収容する。そして、内歯付キャリア260に設けられた内歯車261とピニオンギア50が互いに歯合するように、スライダー20と内歯付キャリア260が互いに近づくように相対移動させる。
その後、これらの部材の下側にベース70を配置し、ケース10Aを上方から被せる。そして、ケース10Aに設けられた第1係合溝111A及び第2係合溝111Bと、ベース70に設けられた第1係合板部701A及び第2係合板部701Bを互いに係合させ(図3参照)、ケース10Aとベース70を固定し、最後に、ケース10A及びベース70で構成される筐体の上方から、整列部材200を被せる。整列部材200は、例えば整列部材200に設けられた爪部とケース10Aに設けられた係合孔(図示せず)とを係合させることで固定することができる。
このようにして組み立てられた制動装置1000が、図3に示されるものである。そして、制動装置1000の組立が完了した後、3本の昇降コードCDを整列部材200の挿入部201と挿入部201の上部、ケース10Aの前後に設けられたガイド溝113及びスライダー20の前後に設けられた貫通孔25に通される。これにより、図3(a),(b)に示される状態となる。
図3(c)は、制動装置1000の左側面図、つまり、図3(a)の矢印X方向から見た側面図である。図3(c)に示されるように、制動装置1000は、側面視において、上側からケース10A、整列部材200、ベース70が視認されることとなる。また、支持溝114により突起230が支持されていることが伺える。
また、図3(a),(b)及び図4(a)に示されるように、シャフト31及びシャフト41の上端は、スライダー20に設けられた第1天壁溝26、からケース10Aに設けられた第1天壁溝16を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。同様に、シャフト41の上端が、スライダー20に設けられた第2天壁溝27からケース10Aに設けられた第2天壁溝17を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。このようにシャフト31,41がカバー10の外部に露出していることから、これらシャフトを容易に移動させることができる。従って、一対の狭着部材である張力伝達ローラ30とアイドルローラ40が昇降コードCDに近接する方向に付勢されている場合であっても、昇降コードCDを容易に挿入できる。
また、図4(b)に示されるように、ベース70は、その底面視において、第1ベース溝706に挿通されたシャフト31の下端と、第2ベース溝707に挿通されたシャフト41の下端を視認することができる。なお、取付筒702が設けられる面において、円柱部708の上を面で覆うことにより、シャフト31及びシャフト41の下端が外部から覆われる構成としてもよい。
<制動装置の動作>
次に、図9及び図10を用いて第1実施形態に係る制動装置1000の動作について説明する。図9(a)は昇降コードCDが移動しておらず昇降コードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、図9(b)は昇降コードCDに張力が与えられ、ローラ部32及びローラ部42で昇降コードCDが挟着された状態(挟着状態)、図9(c)は図9(a)から図9(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。なお、図9(a),(b)はともに、図7と同様に、図3(c)のA−A線切断部断面図である。ここで、説明の都合上、かかる断面図には現れないローラ部42の外周をシャフト41の周囲に、ローラ部32の外周をシャフト31の周囲に重ねて表示した。
図10(a)に示されるように、定常状態において、上記のように、コイルスプリングSPは、ケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー20を前方に押圧する。従って、スライダー20はケース10Aの前方に位置する。このため、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28により位置が規制されているシャフト31と、第2天壁溝27及び第2底壁溝29により位置が規制されているシャフト41と、がスライダー20とともに前方に移動する。さらに、スライダー20の上部に保持されるケース10Aに設けられた第1天壁溝16と第2天壁溝17は、前方に向かうにつれて互いに距離が小さくなっている。同様に、ベース70に設けられた第1ベース溝706及び第2ベース溝707は、前方に向かうにつれて距離が小さくなっている。従って、シャフト41に回転可能に支持されるローラ部42と、シャフト31に回転可能に支持されるローラ部32との距離も小さくなる。また、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、シャフト31がそれぞれの溝内を移動しても、ピニオンギア50は内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
このように、ローラ部32とローラ部42との距離が小さくなると、ローラ部32はローラ部42に押圧され、ローラ部32とローラ部42で昇降コードCDが狭持される。このとき、昇降コードCDがローラ部32とローラ部42とで狭着された状態で、昇降コードCDの径だけローラ部32とローラ部42とは離間する。この時の位置、つまり定常状態における張力伝達ローラ30(ローラ部32)とアイドルローラ40(ローラ部42)の位置を、第1の狭着位置とする。
そして、定常状態の制動装置1000において、昇降コードCDに矢印D1の向き(前方)に張力を与えたとする。すると、昇降コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローラ部32が反時計回りに、ローラ部42が時計回りに回転する。つまり、ローラ部32を備えた張力伝達ローラ30及びローラ部42を備えたアイドルローラ40は、直線状に延びる昇降コードCDに当接することで、昇降コードCDの長手方向の移動により回転可能とされると言える。そして、ローラ部32の回転により、同じシャフト31を共有して固定されているピニオンギア50もローラ部32と同じ向き(反時計周り)に回転(自転)する。この際、図10(b)に示されるように、シャフト31及びシャフト41は、平面視において前方に移動し、ケース10Aの第1天壁溝16の挟着案内斜面16a及び第2天壁溝17の挟着案内斜面17aにそれぞれ案内されることで左右方向において互いに近接して、ローラ部32とローラ部42による昇降コードCDの挟着力が強くなり、昇降コードCDの移動に応じてローラ部32が確実に回転するようになる。
そして、ローラ部32及びこれと連結されているピニオンギア50が回転すると、図5に示すように、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、ピニオンギア50の歯から与えられる力により、内歯車261が反時計周りに回転(自転)する。これにより、内歯車261とともに内歯付キャリア260も反時計周りに回転(自転)するので、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に反時計周りに回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及びケース10Aにより固定された内周ギア115と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向き(時計回り)に自転しつつ、反時計周りに公転することとなる。従って、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323は、遊星歯車280の自転と逆向き(反時計周り)に回転(自転)する。このとき、遊星歯車280により、太陽歯車323の回転は増速される。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。
そして、図9(b)に示されるように、ローラ部32とローラ部42が限界まで近づくと、ローラ部32の自転は続くもののローラ部32の内歯車261に沿った移動が停止する。このときの、張力伝達ローラ30(ローラ部32)とアイドルローラ40(ローラ部42)が限界まで近づいた状態における張力伝達ローラ30とアイドルローラ40の位置を、特許請求の範囲における第2の挟着位置とする。第2の挟着位置では、一対の挟着部材の間隔が上述した第1の挟着位置よりも狭くなっており、第1の挟着位置よりも昇降コードCDをきつく挟着する。このとき、ローラ部32の自転に起因した他の部材の回転は継続される。すると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。つまり、昇降コードCDの移動速度が上昇することで回転速度が上昇し、これにより遠心力が上昇する。そして、遠心力が上昇することによりウェイト340がケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が上昇する。これにより、昇降コードCDの移動速度を抑えることができ、遮蔽部材103の落下速度を抑えることができる。
ここで、図1において昇降コードCDに昇降可能に吊持される遮蔽部材103が自由落下する場合には、昇降コードCDに加えられる張力とウェイト340とケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、昇降コードCDの移動速度が略一定となる。従って、制動装置1000により、遮蔽部材103をゆっくりと降下させることが可能となる。
以上説明した、定常状態から挟着状態までの変化について、各部材の回転方向(ピニオンギア50については、さらに平面視における前後方向及び締め付け方向も含む)をまとめたものが図9(c)である。
一方、昇降コードCDに矢印D1と逆向き(後方)に張力を与えた場合には、ローラ部32及びローラ部42が上記と逆向きに回転する。その結果、シャフト31及びシャフト41が第1天壁溝16の解除案内斜面16b及び第2天壁溝17の解除案内斜面17bにそれぞれ案内されることで互いに離間するように移動する。すると、昇降コードCDに対するローラ部32の挟着力が弱まり、弱い力で昇降コードCDを引っ張ることが可能となる。従って、図1に示されるようにヘッドボックス101内に制動装置1000を設ける場合には、図9において前方に昇降コードCDに張力が加わる向きを遮蔽部材103の下降する向きとし、後方に昇降コードCDに張力が加わる向きを遮蔽部材103の上昇する向きとすると好適である。
次に、図10を用いて、定常状態及び挟着状態の状態変化の際におけるスライダー20の移動について説明する。図10(a)が図9(a)に、図10(b)が図9(b)にそれぞれ対応する。
図10(a)の定常状態から図10(b)の挟着状態に変化するとき、シャフト41とローラ部42、及び、シャフト31とローラ部32は、昇降コードCDとの摩擦力により図中の前方に移動する。このとき、シャフト41が第2天壁溝27及び第2底壁溝29と当接していることにより、シャフト41の前方への移動に伴って、第2天壁溝27及び第2底壁溝29に対して前方へ力が加わる。また、シャフト31が第1天壁溝26及び第1底壁溝28と当接していることにより、シャフト31の前方への移動に伴って、第1天壁溝26及び第1底壁溝28に対して前方へ力が加わる。従って、シャフト31,41が前方にΔ移動すると、スライダー20も前方にΔ移動する。
1−3 制動装置の配置
以上説明した制動装置1000は、図1に示すように、ヘッドボックス101内における載置面とシャフト105に挟まれるように配置される。つまり、制動装置1000のスライダー20及び挟着部材30,40がヘッドボックス101内において水平方向(図16の左右方向)に移動するよう、また、遊星歯車280の回転軸がヘッドボックス101内において鉛直方向に向くように配置される。このときの制動装置1000の前後(図の左右方向)の向きは、コードイコライザ108を引いて遮蔽部材103を引き上げる際に昇降コードCDの挟着を解除し、コードイコライザ108を手放して遮蔽部材103を自重により降下させる際に昇降コードCDを挟着する向きとされる。また、ロック部107は、図1及び図11に示すように、制動装置1000の前方(図の左側)に配置される。
制動装置1000がこのような向きに取り付けられていることから、遮蔽部材103が下降しきった状態、すなわち遮蔽装置100の閉状態において、コードイコライザ108を下方に引っ張ると、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40とが離間し、昇降コードCDを小さな抵抗力で引くことができる。一方、遮蔽部材103が下降しきっていない状態において、ロック部107により昇降コードCDがロックされていない状態で昇降コードCDを離す。すると、遮蔽部材103は自重により下降し、昇降コードCDは制動装置1000の前方に向かって引かれる。すると、図10等を用いて説明したように、昇降コードCDには制動力が付与される。従って、遮蔽部材103の下降速度が抑えられる。このため、遮蔽部材103の下降速度が超過することによる破損等を抑制することができる。
1−4 個別抵抗付与手段
ところで、本実施形態のように、遮蔽装置100が制動装置1000を備え、制動装置1000により昇降コードCDの移動を制動する構成である場合、図12(a)に示すように、遮蔽部材103の自重降下時に、遮蔽部材103、特にボトムレール103aが傾斜することがあった。
本発明者らは、この問題について鋭意検討を行ったところ、制動装置1000が複数の昇降コードCD(本実施形態の場合、3本の昇降コードCDa〜CDc)を制動する際、制動装置1000によるの各昇降コードCDに対する制動力が異なってしまうことが、ボトムレール103aが傾斜する原因となっていることを突き止めた。具体的には、制動装置1000の一対の挟着部材である張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40による3本の昇降コードCDa〜CDcを挟着する挟着力が昇降コードごとに僅かに異なることで、昇降コードCDa〜CDcに対する制動力が異なってしまい、ボトムレール103aの傾斜が生じるのである。
そこで、本実施形態では、遮蔽装置100に昇降コードCDa〜CDcごとに個別に抵抗を与える個別抵抗付与手段としての案内滑車109a〜109cを制動装置1000とは別に設け、各昇降コードCDa〜CDcに対するトータルの制動力を同一にしてボトムレール103aが傾斜しないようにしている。
具体的には、本実施形態の案内滑車109a〜109cは、図示しないダンパ(オイルダンパ等)が内蔵されており、昇降コードCDa〜CDcの移動に伴って案内滑車109a〜109cが回転する際にその回転に回転抵抗が与えられ、これにより昇降コードCDa〜CDcの移動に対して制動力が与えられるようになっている。
そして、例えば図12(a)に示すように、昇降コードCDaに対する制動力が昇降コードCDcに対する制動力よりも弱くボトムレール103aの制動装置1000から遠い側が下がる場合(左下がりの場合)には、図11に示すように、案内滑車109a〜109cがそれぞれ昇降コードCDa〜CDcに与える制動力Ra〜RcをRa>Rb>Rcとする。これにより、各昇降コードCDa〜CDcに対する、制動装置1000と案内滑車109a〜109cの合計の制動力を略同一にして、図12(b)に示すようにボトムレール103aを水平に保った状態で自重降下させることが可能となる。
1−5 作用・効果
第1実施形態に係る遮蔽装置100により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)遮蔽装置100が複数の昇降コードCDa〜CDcを一括して挟着してこれらに制動力を与える制動装置1000を備えていることから、遮蔽部材103の自重降下の際の移動速度を抑制することができる。
(2)制動装置1000は一対の狭着部材である張力伝達ローラ30とアイドルローラ40が、互いに離間した第1の挟着位置からこれより間隔の狭い第2の挟着位置へ移動することで昇降コードCDa〜CDcを挟着するため、遮蔽部材103を自重降下させる際にのみ制動力を与えることが可能である。
(3)昇降コードCDa〜CDcそれぞれの移動に対し個別に抵抗を与える個別抵抗付与手段として案内滑車109a〜109cを備えていることから、制動装置1000による昇降コードCDa〜CDcの制動力が異なってしまう場合にも、各昇降コードCDa〜CDcに対する制動力を調整することができ、遮蔽部材103の傾斜を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態は、以下の態様でも実施可能である。
上記実施形態では、遮蔽装置100は複数の昇降コードCDa〜CDcの移動を一括して制動する制動装置1000を備えており、制動装置1000と個別抵抗付与手段である案内滑車109a〜109cの2つの手段により各昇降コードCDa〜CDcの移動を制動する構成であった。しかしながら、遮蔽装置が制動装置を備えず、個別抵抗付与手段のみにより各昇降コードに抵抗を与える構成とすることも可能である。このような構成により、制動装置以外の要因によって遮蔽部材103が傾斜する場合にも、個別抵抗付与手段が昇降コードごとに適切な抵抗力を付与することで、遮蔽部材の傾斜を防止することが可能となる。
また、上記実施形態では、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達され、抵抗付与部RAから回転抵抗が付与される構成であったが、特許文献1に開示された構成のように、昇降コードCDの移動に伴ってローラが移動することにより昇降コードCDが屈曲し、屈曲抵抗により昇降コードCDに制動力を与える構成であっても良い。
上記実施形態では、案内滑車109a〜109cはダンパにより回転抵抗が与えられるよう構成され、ダンパによる案内滑車109a〜109cの回転抵抗を異ならせることで各昇降コードCDa〜CDcに対する制動力を調節するものであったが、案内滑車109a〜109cのダンパは同一の抵抗とし、案内滑車109a〜109cの径を異ならせることで案内滑車109a〜109cと昇降コードCDa〜CDcとの間の摩擦抗力を異ならせることで、各昇降コードCDa〜CDcに対する制動力を異ならせるよう構成しても良い。具体的には、案内滑車の径を大きくすると昇降コードCDとの接触面積が増えて制動力が増加し、案内滑車の径を小さくすると昇降コードCDとの接触面積が減少して制動力が低下することになる。このような構成であっても、各昇降コードCDに対する制動力を調整することができる。
また、上記実施形態では、3本の昇降コードCDa〜CDcをそれぞれヘッドボックス101内に案内する案内部材として、軸芯111a〜111cを中心に回転する案内滑車109a〜109cが用いられたが、案内部材は回転しない構成であっても良い。この場合は、昇降コードとの接触部分の摩擦抵抗を調整することで制動力を調整することができる。
上記実施形態では、遮蔽装置100として横型ブラインドを例に説明したが、本発明の遮蔽装置は、上記実施形態と異なる構成であっても良い。例えば、本発明の遮蔽装置は、プリーツカーテンや、カーテン布が巻き取られるロールカーテンとされても良い。
2 第2実施形態
次に、図13を用いて、第2実施形態に係る遮蔽装置100を説明する。第2実施形態の遮蔽装置100は、制動装置1000のケース10Aの形状及び個別抵抗付与手段の構成のみが第1実施形態と異なっている。したがって、以下では、その相違点のみを説明する。
本実施形態に係る遮蔽装置100の制動装置1000は、図13(a),(b)に示すように、筐体のケース10Aの構成が異なっているが、その内部には、概ね第1実施形態に係る制動装置1000と同様の部材が配置される。
ケース10Aの天壁部11には、第1実施形態と同様、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されており、第1天壁溝16からはシャフト31が、第2天壁溝17からはシャフト41がそれぞれケース10Aの外部に露出している。そして、シャフト31には張力伝達ローラ30が、シャフト41にはアイドルローラ40がそれぞれ回転可能に支持されている(図示せず)。
また、図13(b)に示すように、ケース10A後方側には、支持シャフト202が2つ設けられる。この支持シャフト202は、ケース10Aの側壁部12から後方に連続する支持壁124に形成された2組の支持溝125に支持される。支持溝125は、上方に向かって開口しており、支持シャフト202を上方より導入可能な構成となっている。そして、かかる支持シャフト202により、昇降コードCDを支持する。つまり、支持シャフト202は、第1実施形態に係る整列部材200と同じ機能を有する。つまり、ケース10Aは、別途整列部材200を設ける必要がなく、ケース10A自体に整列部材200と同様の機能を有する支持シャフト202を取り付けることができる。
加えて、このケース10Aの前後方向2箇所には、貫通孔123が形成されている。この貫通孔123は、第1実施形態のガイド溝113に対応するものであるが、図13(c)に示すように、昇降コードCDa〜CDcを通す3つの略円形の貫通孔123a〜123cが円を一部を共有するよう連結されて構成されている。そして、これらの貫通孔123a〜123cは、それぞれ孔の径を異ならせており、通過させる昇降コードCDa〜CDcの移動に対してそれぞれ異なる抵抗力を与えるようになっており、本実施形態では、この貫通孔123a〜123cが特許請求の範囲における個別抵抗付与手段に相当するものとなっている。
具体的には、図13(c)に示すように、昇降コードCDaを通過させる貫通孔123aは径が最も小さく、昇降コードCDcを通過させる貫通孔123cは径が最も大きくなっていることから、昇降コードCDa〜CDcに与えられる制動力Ra〜Rcは、Ra>Rb>Rcとなる。これにより、例えば図12(a)に示すように、昇降コードCDaに対する制動力が昇降コードCDcに対する制動力よりも弱くボトムレール103aの制動装置1000から遠い側が下がる場合(左下がりの場合)にも、各昇降コードCDa〜CDcに対する、制動装置1000と貫通孔123a〜123cの合計の制動力を略同一にして、図12(b)に示すようにボトムレール103aを水平に保った状態で自重降下させることが可能となる。
なお、本実施形態は、以下の態様でも実施可能である。
上記実施形態では、貫通孔123の径を異ならせることで各昇降コードCDa〜CDcに与える制動力を異ならせていたが、貫通孔123a〜123cの昇降コードCDa〜CDcと接触する壁面の材質又は形状を異ならせることにより、各昇降コードCDa〜CDcに与える制動力を異ならせる構成とすることも可能である。
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。