JP2018080507A - 浚渫用取込口構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】浚渫用取込口構造体を前進させることによって池等の底にある泥や砂などを順次吸い上げることで池等の底にある泥や砂を所定厚分除去する浚渫装置において、浚渫用取込口構造体柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を吸い込んでしまうため吸込管が目詰まりするという問題が残されていた。【課題を解決するための手段】柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を回転カッターで粉砕して吸込管の目詰まりを防ぐ回転カッターを有する浚渫用取込口構造体などを提供する。【選択図】図10

Description

本発明は、湖沼や池などの水底に堆積している泥土を浚い取る浚渫機において泥土を取込むための取込口に関する。
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故により拡散した放射性セシウムによる土壌汚染の対策が急がれている。特に、放射性セシウムを吸着した土壌が降雨などにより水域に流入し湖沼や池などの閉鎖した水域の水底に集積し、放射性セシウムの高濃度化が生じている。そして、このような閉鎖性水域が、農業用ため池である場合には、耕作地を再汚染し、漁場である場合には、水産物の汚染を招くこととなり、早急な対策が望まれている。
そして、水底での泥土汚染は、表層において汚染度が高く、深いところでの汚染度は低くなることがわかっている。したがって、水底表層の深さ数cmから数十cm程度の泥土を浚渫装置により浚い取ることで、相当量の汚染泥土を除去することができる。
従来の浚渫装置は、水底が硬い場合や石などを多く含む場合であっても効率よく泥土の吸引できるようにするため、例えば、先端に刃を備える撹拌羽根を回転軸に設け、この撹拌羽根を回転させて水底を掻きまわして泥土の吸引を行うというものであった。しかしながら、このような従来の浚渫装置では、水底において沈静化している放射性セシウムを水中に拡散させてしまう危険があるという問題があった。
そこで、水底において沈静化している放射性セシウムを水中に拡散させないで、泥土を浚渫装置により浚い取るための技術が望まれていた。特許文献1は、このような課題を解決するためのものである。
特開2016−118088号公報
特許文献1では、進行方向に相対的に後記下面より少なくとも一部は出っ張っている上面と、進行方向に相対的に前記上面より少なくとも一部は後退している下面と、上面と下面とに挟まれた進行方向に開口した取込開口と、取込開口に設けられ、吸い込むと管が詰まる物を取込開口に入れないための柵と、取込口とからなる浚渫用取込口構造体が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、柵が設けられていることにより、落ち葉や水草などの異物を吸い込むことを抑制し、吸込管に目詰まりを生じさせずに放射性セシウムなどによる水底の汚染泥土を浚い取るために好適な浚渫用取込口構造体を提供することができた。
しかしながら、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を吸い込んでしまうため吸込管が目詰まりしてしまうことがあるという問題が残されていた。そのため、浚渫用取込口構造体において吸込管の目詰まりを防止できるような技術が望まれていた。
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の浚渫用取込口構造体などを提供する。すなわち、上面と、上面の進行方向後端に配置される背面と、側面と、背面下端近傍に設けられる浚渫対象となる泥や砂などを吸い上げるための取込口と、上面略前端から背面下端に向けて取込口がつまるサイズの物を取込口に入れないための柵と、前記柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕するための回転カッターと、を有する浚渫用取込口構造体を提供する。
また、上記の構成を備え、さらに下面を有し、前記回転カッターは、下面がある部分の上側に設けられる浚渫用取込口構造体を提供する。
また、上記の構成を備え、前記柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕されたものを吸い取るためのカッターポンプ開口をさらに有し、回転カッター刃は、前記カッターポンプ開口近傍に設けられている浚渫用取込口構造体を提供する。
また、上記の構成を備え、前記回転カッターの回転軸は上面に略垂直になるように前記回転カッターは配置されている浚渫用取込口構造体を提供する。また、上記の構成を備え、前記回転カッターの回転軸は背面に略垂直になるように前記回転カッターは配置されている浚渫用取込口構造体を提供する。
また、上記の構成を備え、前記回転カッター刃は、浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている浚渫用取込口構造体を提供する。
また、上記の構成を備え、前記取込口はカッターポンプで構成されている浚渫用取込口構造体を提供する。
本発明により、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の吸込みによる吸込管が目詰まりを防止する機能を備えた浚渫用取込口構造体を提供することができる。
浚渫装置全体の構造を示す概念図 実施形態1の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態1の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態1の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 回転カッターにより生じる水流の一例を示す概念図 回転カッターにより生じる水流の一例を示す概念図 実施形態2の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態3の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態3のカッターポンプの一例を示す概念図 実施形態4の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態5の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図 実施形態7の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図
以下、本実施形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態と請求項の関係は次の通りである。実施形態1は、主に請求項1などに関する。実施形態2は、主に請求項2などに関する。実施形態3は、主に請求項3などに関する。実施形態4は、主に請求項4などに関する。実施形態5は、主に請求項5などに関する。実施形態6は、主に請求項6などに関する。実施形態7は、主に請求項7などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1:概要>
本実施形態に係る浚渫用取込口構造体には、取込口がつまるサイズの物を取込口に入れないための柵が設けられているが、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕して、吸込管内で目詰まりを防止するための回転カッターが設けられていることを特徴とする。
<実施形態1:構成>
(浚渫用取込口構造体を用いた浚渫機の構成)
図1は、浚渫装置全体の構造を示す概念図であって、本実施形態に係る浚渫用取込口構造体を用いた浚渫装置により水底の泥土を浚い取る態様を示す概念図である。図示するように本実施形態の「浚渫用取込口構造体」(0100)は、移動用シャフト(0131)と連結され、移動用シャフトを支持する支持台車(0132)が台船(0133)に敷設されるレール(0134)上を移動することにより水底(0135)を浚いながら移動する。図中において矢印で示される浚渫用取込口構造体の進行方向(0107)には泥土を取込むための取込開口があり、取込まれた泥土は吸込管(0136)を経てポンプ(0137)などにより吸引され所定の容器(0138)に収められる。ここで、浚渫用取込口構造体には回転カッター(0109)が設けられているので、水底の泥土を浚い取る際に柵の間から流入した水草等の細長いものや泥のかたまり等は粉砕された後、吸込管に取り込まれる。このように採取された泥土は、所定の除染処理や廃棄処理などに供される。
(浚渫用取込口構造体の構造)
図2は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。浚渫用取込口構造体(0200)は、上面(0201)と側面(0202a,0202b)と背面(0203a,0203b)と開口部分に存在する柵(0204)と取込口(0208)を備えている。この浚渫用取込口構造体が泥(0205)や砂(0206)などを進行方向(0207)に移動しながら開口の柵の間から浚い取り、取込口へと吸い上げる。柵の間から流入する水草(0211)等の細長いものや泥のかたまり等は、回転カッター(0209)で粉砕され、粉砕された異物(0212)は取込口を経て吸込管(0236)へと吸い上げられる。
背面は、上面の進行方向後端に配置される。背面の形状は、図2のように取込口の部分を頂点とする凸型や弓型であっても良いし、平板であっても良い。ただし、取込口の部分を頂点とする凸型や弓型であれば、取込口の吸引力が伝わる部分にムラがなくなるので、より望ましい。
図3及び図4は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図3及び図4において、(a)は上方、(b)は前方、(c)は側方からそれぞれ本実施形態の浚渫用取込口構造体を見た場合の概念図である。このうち、図3は、浚渫用取込口構造体の基本的な構成を示す図である。他方、図4は、浚渫装置の一部として浚渫用取込口構造体を前進させるための移動用シャフトをも含めた基本的な構成を示す図である。
図3では、(a)上方からは、上面(0301)、側面(0302a,0302b)、背面(0303a,0303b)が観察でき、背面に取込口(0308)が設けられていることがわかる。上面には回転カッター(0309a,0309b)が浚渫進行方向(0307)視で左右に二つ設けられ、取込口に近接して配置されている。次に、(b)前方からは,上面(0301)、側面(0302a,0302b)、開口(0313)に設けられた柵(0304a〜h)が観察でき、取込口(0308)が設けられていることがわかる。回転カッター(0309a,0309b)は、回転軸が上面に略垂直になるように配置されている。回転カッター刃(0310a,0310b)は浚渫用取込口構造体の上方に位置し、上面に近接していることがわかる。次に、(c)側方からは、上面(0301)、側面(0302b)、背面(0303b)が観察でき、背面に取込口(0308)が設けられていることがわかる。そして、側方から観察した際の柵(0304)の形状は、上面略前端から背面下端に向けてなだらかな曲線を描くように構成されている。なだらかな曲線を描くことにより、砂や泥を掘って巻き上げてしまうことを防止することができる。なお、図3においては、図4とは異なり、浚渫装置の一部として浚渫用取込口構造体を前進させるための移動用シャフトが存在しないが、取込口に接続された吸引管(0336)を利用して前進方向に力を加えて移動させることなどが考えられる。
図4では、図3とは異なり浚渫装置の一部として浚渫用取込口構造体を前進させるための移動用シャフトが(0431)が設けられている。移動用シャフト以外の構成は図3と同様であるので説明を省略する。
次に、開口に設けられた柵は、上面略前端から背面下端に向けて取込口がつまるサイズの物を開口内に入れないための役割を果たす。柵により区分けされた開口幅は、水底に堆積する石などの略球状の物のうち取込口がつまるサイズの物を開口内に入れない幅であり、かつ、取込効率を損なわない範囲であることが望ましい。具体的には、取込口の直径よりも狭い幅であることが望ましい。例えば、取込口の直径の半分以下の幅であることが望ましく、取込口の直径が20cmの場合には、柵により区分けされた開口幅は、10cm以下であることがという具合である。
一方で、水底に堆積する木枝、水草、プラスチックの破片などの細長い形状の物は、一端の長さが柵により区分けされた開口幅より長い場合であっても、柵に対して略平行の向きで開口内に入り込むことも想定される。また、湖沼などの底面には粘土質の泥などが堆積している場合も多いが、粘土質の泥が取込口から浚われると、柵により帯状に切断されながら浚渫用取込口構造体に侵入することがある。この粘土質の帯状の泥のかたまりや細長いものをそのまま取込口から吸い上げると吸込管が詰まってしまうことも想定される。そこで、本実施形態では柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を回転カッターで粉砕して、吸込管の詰まりを未然に防いでいるのである。
(回転カッター)
回転カッターは、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕する機能を有している。回転カッターは、回転カッター刃とカッターを回転させるモータを備え、回転カッター刃とモータは回転軸により連結される。回転カッターは、柵の間をすり抜けて流入する比較的細長い形状のものや粘土質の泥のかたまりなど、そのまま取込口から吸い込んでしまうと吸込管を詰まらせてしまう恐れのある物を粉砕し、吸込管の詰りを防止している。水草等の細長いものは比較的軽いので、浚渫用取込口構造体内で上方に浮き上がる傾向にあるため、上面に近接して設けられた回転カッター刃で粉砕される。一方、泥のかたまりなど比較的重量があるものは、上方に浮き上がらないが、例えば、泥のかたまりの一端が取込口の直径よりも大きなものであれば、取込口に取り込まれる前に回転カッター刃と接触して粉砕されるという具合である。
回転カッター刃の材質は特に限定されないが、水中で使用するので錆びにくく強度のある材質を使用することが好ましく、例えば鋳物やステンレスなどの使用が望ましい。また、回転カッター刃の形状も特に限定されるものではない。回転カッター刃は水草等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕するための鋭利な刃を備える。回転カッター刃は1のカッターで構成することもできるが、複数のカッター備えることが好ましい。回転カッター刃は、カッターをネジ留などの方法で駆動軸に直接、固定する構成とすることできる。カッターの固定方法は特に限定するものではないが、カッターの刃は使用により摩耗することがあるので交換可能な固定方法であることが望ましい。
図5は、回転カッターにより生じる水流の一例を示す概念図である。回転カッターの回転により図5(a)や(b)で示したような水流が生じ、水草などの軽いものは水流によって導かれ、回転カッター刃によりを粉砕される。回転カッターは、インペラ、羽根車などの回転体に鋭利な部分を設けて回転カッター刃の機能を付加したものを回転カッター刃として使用することができる。また、これらの回転体に回転カッター刃を取り付けて使用することもできる。インペラ、羽根車などの回転体と回転カッター刃を組み合わせて使用すると水草等が回転体の回転により生じる水流に吸い込まれ、粉砕後、水流に乗って放出されるので、効率よく粉砕することができる。図5(c)及び(d)に示したように、回転カッター刃、インペラ、羽根車などのこれらの回転体をカバーで覆うこともできる。カバーで覆うことにより、カバー内に水草などを吸い込んで回転カッター刃と接触させて粉砕するのでより細かく粉砕することができる。
図6は、回転カッターにより生じる水流の一例を示す概念図である。回転カッター刃は直接又は間接に回転軸に連結され、回転させることが好ましいが、回転カッター刃に加えて、図6に示したような回転軸に連結させていないカッター刃(0614a、0614b)を備えることもできる。例えば、上面や背面に固定しても良いし、回転カッター刃、インペラ、羽根車などの回転体のカバーにカッター刃を設けて固定しても良い。回転軸に連結した回転カッター刃が回転すると水の流れが生じるが、水草等の異物はその水流に沿って流れるため回転カッターと接触しにくくなることがあるが、回転軸に連結した回転カッター刃に加えて、上面などにカッター刃を固定することで水草等の異物が固定されているカッター刃と接触して粉砕されるからである。さらに固定されているカッターは、水の流れに乱れを生じさせる効果もあるので、異物が回転カッター刃とも接触しやすくなり、粉砕されやすくなる。
モータは、回転カッターが水中で使用されるので、浸水しないようシールされている必要がある。使用するモータは特に限定されないが、浸水を避けるためシールされた空間で使用するので耐熱性に優れたモータを使用し、過昇温にたいする安全装置を備えることが好ましい。
図1〜4では、回転カッターは浚渫用取込口構造体の上面に設けられているが、回転カッターの設けられる位置は上面に限定されず、側面又は背面であっても良い。ただし、側面に配置すると、回転カッターのモータが浚渫前の水底に接触して水底を攪拌してしまう可能性が高まるので、詳細は後述するが、回転カッターは浚渫用取込口構造体の上面、又は背面に設けられることが好ましい。回転カッターの浚渫用取込口構造体への固定方法は特に限定されないが、付け替えが可能なことが好ましい。回転カッターの備えるモータやカッター刃は点検、交換などのメンテナンスが必要であり、回転カッターを取り外せる構造としたほうがメンテナンスを容易に行えるからである。また、浚渫用取込口構造体を使用する湖沼の現場の状況に応じて、例えば、長さの長い水草が多い現場や固い泥のかたまりが多い現場などの状況によりモータの動力、カッターの種類などを変更した回転カッターを選択することかでき、さらに回転カッター取付け位置も現場の状況に合わせて選択することができるからである。また、浚渫用取込口構造体内での回転カッター刃が湖沼などの底面と近すぎると底面が水流により巻き上がられることがあるので、回転カッター刃の取付け位置も現場の状況により調節できることが好ましい。
<実施形態1:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の吸込みによる吸込管の目詰まりを防止する機能を備えた浚渫用取込口構造体を提供することができる。
<実施形態2>
<実施形態2:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、実施形態を基本としつつ、回転カッターにより発生する水流により湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされることを防ぐために、下面を設け、回転カッターは下面がある部分の上側に設けられることを特徴とする。
<実施形態2:構成>
図7は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図7に示すように本実施形態の浚渫用取込口構造体は、さらに下面(0721)を有し、回転カッター(0709)は、下面がある部分の上側に設けられる。但し、上述したように本発明が下面を設けずに実施することができるのは勿論である。上面(0701)は下面に対して相対的に進行方向(図中の矢印、0707)に出っ張っており、その上面と下面とに挟まれて取込口(0708)が備わる。回転カッターは、下面がある部分の上側に設けられ、回転カッターの回転カッター刃やインペラなどの回転体が回転し、柵の間から流入する水草(0711)等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕する。一方で、回転カッターの回転により発生する水流や粉砕された異物の流動により湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされることがある。しかし、本実施形態では回転カッターは下面がある部分の上側に設けられているので、回転カッターと底面の間に下面が介在し、水流や粉砕物が湖沼などの底面と接触することがないため底面の巻き上げや巻き散らしを抑制することが可能となる。したがって、本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッターの回転により底面を巻き上げられたり巻き散らかされることなく、粉砕された水草等の細長いものや泥のかたまり等を浚渫用取込口構造体で浚らわれた泥や砂などといっしょに取込口へと吸い上げることができる。図7では、回転カッターは浚渫用取込口構造体の上面に設けられているが、回転カッターの設けられる位置は上面に限定されず、側面又は背面であっても良い。ただし、後述するように浚渫用取込口構造体の上面、又は背面に設けられることが好ましい。
<実施形態2:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、回転カッターによる湖沼などの底面の巻き上げ又は巻き散らしを抑えて、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の吸込みによる吸込管の目詰まりを防止する機能を備えた浚渫用取込口構造体を提供することができる。
<実施形態3>
<実施形態3:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、実施形態1及び2を基本とし、浚渫用取込口構造体にカッターポンプ開口を有し、そのカッターポンプ開口近傍に設けられた回転カッター刃が柵の間から流入した水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕し、粉砕物をカッターポンプ開口から吸い取ることを特徴とする。
<実施形態3:構成>
図8は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図8に示すように本実施形態の浚渫用取込口構造体は、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕されたものを吸い取るためのカッターポンプ開口(0822)をさらに有し、回転カッター刃(0810)は、カッターポンプ開口近傍に設けられている。カッターポンプ(0823)は、回転カッターを備えつつ、ポンプ機能を有し、浚渫用取込口構造体内の水草等の細長いものや泥のかたまり等を水とともに吸引し、回転カッターにより粉砕されたものを吸引管(0824)に排出する役割を果たす。図8では、カッターポンプ開口は、上面に設けられているが、背面や側面に設けることもできる。但し、後述するように浚渫用取込口構造体の上面、又は背面に設けられることが好ましい。また、図8では、回転カッター刃はカッターポンプ開口より上方に設けられているが、回転カッター刃の設けられる位置は、カッターポンプ開口近傍であればよく、例えばカッターポンプ開口の下方に設けることもできる。
図9は、本実施形態の浚渫用取込口構造体に設けられたカッターポンプの一例を示す概念図である。図9(a)は、回転カッター刃(0910)の水平方向に吸引管(0924)を取り付けた一例であり、図9(b)は、回転カッター刃の上方に吸引管を取り付けた一例である。浚渫用取込口構造体内に流入した水草等の細長いものや泥のかたまり等は、カッターポンプのポンプによりカッターポンプ開口(0922)近傍に吸引され、カッターポンプ開口近傍に設けられる回転カッター刃(0910)により粉砕される。図9(a)及び(b)では、本実施形態のカッターポンプ開口近傍の水流(0926)の一例を点線で示しているが、カッターポンプ筐体では、ポンプの吸引と回転体の回転の作用により点線で示したような水流が発生しているので、柵の間から流入した水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕されたものは、水流に乗ってカッターポンプに備えられる吸引管に放出される。水草等がポンプにより、回転カッター刃の設けられるカッターポンプ開口近傍に集められて粉砕されるので、より効率的に粉砕される。
このように回転体から吐出される水流は吸引管に導かれるので、回転体が吐出する水流の影響は浚渫用取込口構造体内にはほとんど及ばなくなる。また、水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕されたものは、浚渫用取込口構造体には吐出されないので、粉砕物が湖沼などの底面に接触して生じる巻き上げや巻き散らしは発生しなくなる。回転体が吸引する水流の影響はあるが、例えば図8に示すように上面にカッターポンプが設けられている場合は、回転カッター刃やインペラなどの回転体は、カッターポンプ開口近傍に設けられ、湖沼などの底面と回転体が離れているのでその影響は少なくなる。また、背面及び側面にカッターポンプが設けられる場合であっても、実施形態2で説明したように下面を設けて、回転カッター刃やインペラなどの回転体を下面がある部分の上方に設けることで、水流の影響を減じ、湖沼などの底面の巻き上げを防ぐことができる。
カッターポンプの備えるポンプの設置場所は特に限定されない。例えば、吸引管を台船や湖岸上のポンプに接続して、粉砕物を含んだ湖沼水などを吸引することもできる。また、吸引管を浚渫機の吸込管と接続させることもできる。吸引管を吸込管と接続させると、粉砕物は吸込管が吸い込んだ泥や砂などといっしょに浚渫機のポンプなどによって排出されることとなり、ポンプを新たに設ける必要がなく、ポンプ以外のタンクなどの設備も共用できるので好ましい。一方で、ポンプ機能を内蔵したカッターポンプを浚渫用取込口構造体に設けることもできる。
<実施形態3:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、回転カッター刃やインペラなどの回転体の水流の影響による湖沼などの底面の巻き上げ又は巻き散らしを抑えて、水底において沈静化している放射性セシウムを水中に拡散させることなく、吸込みによる吸込管の目詰まりを防止する機能を備えた浚渫用取込口構造体を提供することができる。
<実施形態4>
<実施形態4:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体には、回転カッターの回転軸が上面に略垂直になるように配置されていることを特徴とする。
<実施形態4:構成>
図10は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図10に示すように本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッター(1009a、1009b)の回転軸(1025a、1025b)は上面に略垂直になるように配置されている。図10では、浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている例を示しているが、回転カッターの数は特に限定されない。回転カッターの数と配置は、浚渫用取込口構造体が振動したり傾いたりすることなく安定して進行できるように決めることが望ましい。詳しくは後述するが、図10に示すように回転カッター刃は、浚渫進行方向視で左右に二つ設けられていると、安定して進行できるとともに、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕することができるので望ましい。
浚渫用取込口構造体と湖沼などの底面との接触部には柵又は柵及び下面が設けられているので、回転カッターの回転軸が上面に略垂直になるように配置されていると、回転カッター刃が湖沼などの底面と直接、接触することがないため、回転カッター刃により湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らされたりすることがない。また、回転カッターの水流により湖沼などの底面の巻き上げや巻き散しが生じることも考えられるが、水流の影響が及ばない上方の位置で回転カッターの回転軸を上面に略垂直になるように配置すると巻き上げを防ぐことができるので好ましい。図10では、回転カッターを設置した位置の下方に下面を設ける例を示しているが、下面を設けると水流の影響を防ぐことができるので望ましい。
<実施形態4:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、吸込管の目詰まりを防止する機能を備え、回転カッター刃の回転及び回転カッターの回転よって生じる水流により湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされることを防いで、水底において沈静化している放射性セシウムを水中に拡散させることがない浚渫用取込口構造体を提供することができる。
<実施形態5>
<実施形態5:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッターの回転軸が背面に略垂直になるように配置されていることを特徴とする。
<実施形態5:構成>
図11は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図11に示すように本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッター(1109a、1109b)の回転軸(1125a、1125b)は背面に略垂直になるように配置されている。進行方向の前方に浚渫用取込口構造体が、後方に回転カッターが位置する構成となるので、回転カッターが上面や側面に配置されている場合にくらべ、進行する際の水の抵抗を低減することができる。したがって、進行する際のバランスを保ちやすく、さらに進行する際に必要となる動力も少ないので電力などの省エネルギー化を図ることができる。
回転カッターの回転軸を背面に略垂直になるように配置すると、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等が取組口に向かって流れてくる方向と回転カッター刃の回転面が略垂直となるので、水草等と接触しやすく、より確実に粉砕することが可能となる。また、実施形態2で説明したように下面を設けて、回転カッター刃やインペラなどの回転体を下面がある部分の上方に設けることで、回転カッター刃の回転及び回転カッターの回転よって生じる水流により湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされることを防止できる。
回転カッターの数は特に限定されないが、浚渫用取込口構造体が振動したり傾いたりすることなく安定して進行できるように、回転カッターの数と配置を決めることが望ましい。また、後述するように回転カッター刃は、浚渫進行方向視で左右に二つ設けられていると、安定して進行できるとともに、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕することができるので特に好ましい。
<実施形態5:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、吸込管の目詰まりを防止する機能を備え、進行する際の水の抵抗を低減することができるので、浚渫用取込口構造体が進行する際のバランスを保ちやすく、省エネルギー化が可能な浚渫用取込口構造体を提供することができる。
<実施形態6>
<実施形態6:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられていることを特徴とする。
<実施形態6:構成>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている。本実施形態の浚渫用取込口構造体の回転カッター刃は、回転カッターに備えられる回転カッター刃又は/及びカッターポンプに備えられる回転カッター刃である。図10は、回転カッターの回転軸は上面に略垂直になるように二つの回転カッターが配置され、回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている例であり、図11は、回転カッターの回転軸は背面に略垂直になるように二つの回転カッターが配置され、回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている例であるが、回転カッター刃が設けられる位置は特に限定されない。回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられていると、浚渫用取込口構造体が進行する際にバランスを取りやすい。さらに、回転カッター刃が浚渫進行方向視で左右に二つ設けられているので、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕することができる。
<実施形態6:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体により、吸込管の目詰まりを防止する機能を備え、浚渫用取込口構造体が進行する際のバランスを保ちやすく、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕することができる浚渫用取込口構造体の提供が可能となる。
<実施形態7>
<実施形態7:概要>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、取込口はカッターポンプで構成され、取込口近傍で水草等の細長いものや泥のかたまり等が粉砕されることを特徴とする。
<実施形態7:構成>
図12は、本実施形態の浚渫用取込口構造体の一例を示す概念図である。図12(a)は取込口(1208)近傍の浚渫用取込口構造体の概念図で、図12(b)は、図12(a)の取込口を浚渫用取込口構造体の進行方向と対向する方向から見た図である。図12(a)に示すように本実施形態の浚渫用取込口構造体の取込口はカッターポンプ(1209)で構成されている。柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等は吸込管(1236)に吸い込まれる前に、取込口近傍に設けられたカッターポンプの回転カッター刃(1210)で粉砕される。ポンプ機能を内蔵したカッターポンプを取込口に設けることもできるが、例えば図1に示したような台船上に設置したポンプに吸込管が接続されている場合などは、台船上のポンプにカッターポンプのポンプ機能を代用させることもできる。
浚渫対象となる泥や砂は必ず取込口を通過することとなるので、取込口にカッターポンプを設けることにより上面や背面に回転カッター又は/及びカッターポンプを配置した場合とくらべ、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕することができる。柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等が多い場合などは、取込口にカッターポンプを設け、さらに上面や背面に回転カッター又は/及びカッターポンプを設けることが望ましい。
取込口にカッターポンプを設けると進行する際の水の抵抗を低減することができる。したがって、進行する際のバランスを保ちやすく、さらに進行する際に必要となる動力も少ないので電力のなどの省エネルギー化を図ることができる。さらに、回転カッター刃が取込口近傍に設けられているので、回転カッター刃が湖沼などの底面と直接、接触することがないため湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされたりすることがない。また、回転ポンプの回転で生じる水の流れは、取込口近傍では水が吸入管に吸い込まれるので、吸入管の方向へ流れるだけで湖沼などの底面を巻き上げる方向には発生しない。したがって、回転ポンプの水流による湖沼などの底面の巻き上げや巻き散らしの発生を防止できる。
<実施形態7:効果>
本実施形態の浚渫用取込口構造体は、湖沼などの底面が巻き上げられたり巻き散らかされることを防いで、水底において沈静化している放射性セシウムを水中に拡散させることがない。さらに、浚渫用取込口構造体が進行する際のバランスを保ちやすく、柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等をより確実に粉砕し、吸込管の目詰まりを防止することができる浚渫用取込口構造体の提供が可能となる。
浚渫用取込口構造体:0100、0200
上面:0201、0301、0701
側面:0202、0302
背面:0203、0303
柵:0204、0304
泥:0205
砂:0206
進行方向:0107、0207、0307、0707
取込口:0208、0308、0708、1208
回転カッター:0109、0209、0309、0709、1009、1109、1209
回転カッター刃:0310、0810、0910、1210
水草:0211、0711
粉砕された異物:0212
開口:0313
回転軸に連結させていないカッター刃:0614
下面:0721
カッターポンプ開口:0822、0922
カッターポンプ:0823
吸引管:0824、0924
回転軸:1025、1125
カッターポンプ開口近傍の水流:0926
移動用シャフト:0131、0431
支持台車:0132
台船:0133
レール:0134
水底:0135
吸込管:0136、0236、0336、1236
ポンプ:0137
容器:0138

Claims (7)

  1. 上面と、
    上面の進行方向後端に配置される背面と、
    側面と、
    背面下端近傍に設けられる浚渫対象となる泥や砂などを吸い上げるための取込口と、
    上面略前端から背面下端に向けて取込口がつまるサイズの物を取込口に入れないための柵と、
    前記柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等を粉砕するための回転カッターと、
    を有する浚渫用取込口構造体。
  2. さらに下面を有し、
    前記回転カッターは、下面がある部分の上側に設けられる請求項1に記載の浚渫用取込口構造体。
  3. 前記柵の間から流入する水草等の細長いものや泥のかたまり等の粉砕されたものを吸い取るためのカッターポンプ開口をさらに有し、
    回転カッター刃は、前記カッターポンプ開口近傍に設けられている請求項1又は2に記載の浚渫用取込口構造体。
  4. 前記回転カッターの回転軸は上面に略垂直になるように前記回転カッターは配置されている請求項1から3のいずれか一に記載の浚渫用取込口構造体。
  5. 前記回転カッターの回転軸は背面に略垂直になるように前記回転カッターは配置されている請求項1から3のいずれか一に記載の浚渫用取込口構造体。
  6. 前記回転カッター刃は、浚渫進行方向視で左右に二つ設けられている請求項1から5のいずれか一に記載の浚渫用取込口構造体。
  7. 前記取込口はカッターポンプで構成されている請求項1から6のいずれか一に記載の浚渫用取込口構造体。
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