JP2018080125A - インドリン化合物のβ型結晶の製造方法 - Google Patents

インドリン化合物のβ型結晶の製造方法 Download PDF

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克則 高田
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克則 高田
真人 植村
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真人 植村
辰典 佐戸
Tatsunori SADO
辰典 佐戸
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Abstract

【課題】インドリン化合物のβ型結晶の製造方法、好ましくはβ型結晶の種結晶を使用せず、スラリー状態におかれても結晶型の転移を起こさないβ型結晶の製造方法の提供。
【解決手段】式(1)に示されるインドリン化合物を、式(2)で示されるエステル溶媒、及び式(3)で示されるエーテル溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いて晶析化させる。

RCO...(2)(RはC1〜C4のアルキル基;RはC3〜C6の分岐状のアルキル基)ROR...(3)
【選択図】なし

Description

本発明は、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法に関する。
従来、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法としては、例えば、インドリン化合物の粗結晶をメタノール)に加熱溶解させた後、不溶物を濾過し、その後石油エーテルを用いて激しく振とうさせてβ型結晶を得る方法、また、エタノールやイソプロピルアルコール(2−プロパノール)に溶解させた後、急激に冷却してβ型結晶を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、インドリン化合物は、公知の化合物であり、その製造方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第4532274号公報 特許第5049013号公報
しかしながら、出願人が当該方法を追試したところ、イソプロピルアルコール溶媒を用いると、β型結晶とともにγ型結晶が生じることが確認された。
また、イソプロピルアルコール溶媒を用いてβ型結晶と他の型の結晶を混合して溶媒に懸濁して攪拌しながら放置した場合には、例えば、β型結晶の他にα型結晶、γ型結晶が混入していた場合には、β型結晶がそれぞれの結晶に転移してしまうということも確認された。
以上のように、本インドリン化合物の晶析には、使用する溶媒の詳細な検討が必要であった。
本発明の課題は、即ち、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法、より好ましくはβ型結晶の種結晶を使用しないβ型結晶の製造方法、及びスラリー状態におかれても結晶型の転移を起こさないβ型結晶の製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、式(1)
で示されるインドリン化合物のβ型結晶を製造する方法であって、
インドリン化合物(1)を、式(2)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。)
で示されるエステル溶媒及び式(3)
(式中、R及びRは、前記と同義である。)
で示されるエーテル溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いて晶析させることを特徴とする、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法によって解決される。
本発明により、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法を提供することができる。
本発明において使用するインドリン化合物は、下記の式(1)
で示される化合物である。
本発明の製造方法で使用する溶媒は、式(2)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。)
で示されるエステル溶媒及び式(3)
(式中、R及びRは、前記と同義である。)
で示されるエーテル溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である。
エステル溶媒は前記の式(2)で示されるが、その式(2)において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基であり、Rはイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数3〜6のアルキル基を示す。
前記エステル溶媒としては、例えば、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸s−ブチル、酢酸t−ブチルなどが使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
エーテル溶媒は前記の式(3)で示されるが、その式(3)において、R及びRは、式(2)で示したものと同義である。
前記エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどが使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の製造方法で使用するインドリン化合物は、晶析する際に前記の溶媒に十分に溶解させるため、溶媒に溶解できる形態ならば特に限定されず、具体的には、結晶状や固体状であり、結晶状態の場合、その結晶形態は特に問わない。また、水和物や溶媒和物も使用できる。
本発明の晶析は、具体的には、インドリン化合物を溶媒に溶解後、冷却して結晶を析出させるなどの方法によって行われる。なお、以後、本発明において、単に結晶という場合には、β型結晶を示す。
インドリン化合物の溶媒への溶解は、インドリン化合物と溶媒を混合することによって行われるが、インドリン化合物を十分に溶解させるために、加熱させながら溶媒に溶解させても良い。その際の加熱温度は、インドリン化合物が溶媒に十分に溶解する温度ならば特に制限されないが、好ましくは40〜90℃に加熱して攪拌しながら溶解させる。
その際の溶媒の使用量は、インドリン化合物1gに対して、好ましくは10〜40mL、更に好ましくは15〜25mLである。この範囲とすることで、インドリン化合物が溶媒に十分に溶解することができるとともに、冷却により速やかに結晶が析出する。
インドリン化合物を溶媒に溶解後、冷却して結晶を析出させるが、その際の冷却温度は、インドリン化合物の結晶を析出させることができる温度ならば特に制限されないが、好ましくは15〜25℃に冷却して析出させる。
本発明においては、結晶を析出させる際に、結晶の析出(生成、成長)を促進させるために、別途合成したインドリン化合物のβ型結晶を種晶として添加することが望ましい。当該種晶の使用量は、結晶の析出を促進させる量であれば特に制限はないが、使用したインドリン化合物1gに対して、好ましくは1〜10mg添加する。
なお、析出した結晶は、濾過後、減圧下で乾燥させることによって、医薬用結晶などとして使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、インドリン化合物の結晶構造は以下の機器により行った。
分析機器;粉末X線回折装置RINT−TTR III((株)リガク製)
実施例1(酢酸イソプロピル溶媒を用いたインドリン化合物のβ型結晶の製造)
還流冷却器、攪拌装置及び温度計を備えた内容積2000mLの容器に、インドリン化合物70g及び酢酸イソプロピル1400mLを加え、60℃まで加熱してインドリン化合物を十分に溶解させた。
溶解後、40℃にて1時間攪拌した後、液温を20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。なお、濾過性は良好であった。
次いで、得られた結晶(濾物)を加温(45℃)しながら減圧下で乾燥させ、白色結晶として、インドリン化合物のβ型結晶61gを得た(取得収率;87%)。
なお、得られた結晶中の残留溶媒は451ppmであった。
実施例2(t−ブチルメチルエーテル溶媒を用いたインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例1と同様に、酢酸イソプロピルをt−ブチルメチルエーテルに代えて晶析を行うと、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られる。
比較例1(酢酸エチル溶媒によるインドリン化合物の結晶の製造)
還流冷却器、攪拌装置及び温度計を備えた内容積300mLの容器に、インドリン化合物10g及び酢酸エチル130mLを加え、70℃まで加熱してインドリン化合物を十分に溶解させた。
溶解後、30分間攪拌した後、液温を26℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。
次いで、得られた結晶(濾物)を加温しながら減圧下で乾燥させ、白色結晶として、インドリン化合物のα型結晶9gを得られ、β型結晶は得られなかった。
比較例2(トルエン溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例1と同様に、酢酸イソプロピルをトルエンに代えて晶析を行ったところ、γ型結晶が得られ、β型結晶は得られなかった。
比較例3(イソプロピルアルコール溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例1と同様に、酢酸イソプロピルをイソプロピルアルコールに代えて晶析を行ったところ、β型結晶とγ型結晶との混合物が得られた。なお、攪拌を続けることでγ型結晶が増える傾向にあると考えられる。
比較例4(ヘプタン溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例1と同様に、酢酸イソプロピルをヘプタンに代えて晶析を行おうとしたが、溶解性が低いため十分に溶解できなかった(晶析不可)。
実施例3(酢酸イソプロピル溶媒を用いたインドリン化合物のβ型結晶の製造)
還流冷却器、攪拌装置及び温度計を備えた内容積300mLの容器に、インドリン化合物15g及び酢酸イソプロピル300mLを加え、60℃まで加熱してインドリン化合物を十分に溶解させた。
溶解後、液温を50℃まで冷却したのち、種晶としてインドリン化合物のβ型結晶16mgを加え、昇温と冷却を繰り返しながら、液温を25℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。このときのケーク比抵抗は5.9×10m/kgであり、濾過性は良好であった。
次いで、得られた結晶(濾物)を加温(45℃)しながら減圧下で乾燥させ、白色結晶として、インドリン化合物のβ型結晶13gを得た(取得収率;87%)。
なお、得られた結晶中の残留溶媒は1579ppmであった。
実施例4(t−ブチルメチルエーテル溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
還流冷却器、攪拌装置及び温度計を備えた内容積50mLの容器に、インドリン化合物1.5g、t−ブチルメチルエーテル30mL及び水1mLを加え、45℃まで加熱してインドリン化合物を十分に溶解させた。
溶解後、40℃に冷却した後、種晶としてインドリン化合物のβ型結晶1.5mgを加え、液温を25℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。
次いで、得られた結晶(濾物)を加温しながら減圧下で乾燥させ、白色結晶として、インドリン化合物のβ型結晶1.3gを得た(取得収率;87%)。
なお、得られた結晶中の残留溶媒は110ppm、水分量は1.6%であった。
実施例5(イソプロピルアルコール溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをイソプロピルアルコールに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られた。
実施例6(s−ブチルアルコール溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをs−ブチルアルコールに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られた。
実施例7(イソプロピルアルコールとヘプタンの混合溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをイソプロピルアルコール/ヘプタンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られた。
実施例8(イソプロピルアルコールとt−ブチルメチルエーテルとの溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをイソプロピルアルコール/t−ブチルメチルエーテルに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られた。
実施例9(エタノールとヘプタンとの溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをエタノール/ヘプタンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶が良好な収率で得られた。
比較例5(酢酸エチル溶媒によるインドリン化合物の結晶の製造)
還流冷却器、攪拌装置及び温度計を備えた内容積2000mLの容器に、インドリン化合物80g及び酢酸エチル1600mLを加え、55℃まで加熱してインドリン化合物を十分に溶解させた。
溶解後、40℃まで冷却した後、種晶としてインドリン化合物のβ型結晶80mgを加え、液温を25℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。
次いで、得られた結晶(濾物)を加温しながら減圧下で乾燥させ、白色結晶として、インドリン化合物のα型結晶71gを得られ、β型結晶は得られなかった。
比較例6(トルエン溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをトルエンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のβ型結晶とγ型結晶との混合物が得られた。なお、攪拌を続けることでγ型結晶が増える傾向にあると考えられる。
比較例7(アセトンとヘプタンとの混合溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをアセトン/ヘプタンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のα型結晶とβ型結晶との混合物が得られた。なお、攪拌を続けることでα型結晶が増える傾向にあると考えられる。
比較例8(イソプロピルアルコール、トルエン及びヘプタンの混合溶媒を用いたインドリン化合物の結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをイソプロピルアルコール/トルエン/ヘプタンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のα型結晶が得られた。
比較例9(メチルイソブチルケトン溶媒によるインドリン化合物のβ型結晶の製造)
実施例3と同様に、酢酸イソプロピルをメチルイソブチルケトンに代えて晶析を行ったところ、インドリン化合物のアモルファスが得られた。
以上の結果より、酢酸イソプロピル、t−ブチルメチルエーテル、イソプロピルアルコール、s−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール/ヘプタン、イソプロピルアルコール/t−ブチルメチルアルコール、エタノール/ヘプタンが、インドリン化合物のβ型結晶を得るのに好適な溶媒であることが分かった。
次いで、インドリン化合物のβ型結晶を各種溶媒に懸濁させて、結晶型の転移が起こらないかどうかを確認した。
参考例1(β型結晶のスラリー転移)
インドリン化合物のβ型結晶を各種溶媒に懸濁させて、攪拌しながら7日間室温で放置した。
その結果、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、t−ブチルメチルアルコール、トルエン及びヘプタンではβ型結晶の形態を維持していた。
これに対して、酢酸エチル、アセトン、エタノールでは、α型結晶に転移を起こしていた。
参考例2(β型結晶とγ型結晶の混合物のスラリー転移)
インドリン化合物のβ型結晶及びこれに対して10質量%のγ型結晶の混合物を各種溶媒に懸濁させて、攪拌しながら7日間室温で放置した。
その結果、酢酸イソプロピル、及びt−ブチルメチルアルコールではβ型結晶の形態を維持していた。
これに対して、酢酸エチル、アセトン、エタノール及びヘプタンでは、α型結晶に転移を起こしていた。また、イソプロピルアルコール及びトルエンでは、γ型結晶に転移を起こしていた。
参考例3(β型結晶とα型結晶の混合物のスラリー転移)
インドリン化合物のβ型結晶及びこれに対して10質量%のα型結晶の混合物を各種溶媒に懸濁させて、攪拌しながら7日間室温で放置した。
その結果、酢酸イソプロピル及びt−ブチルメチルアルコールではβ型結晶の形態を維持していた。
これに対して、酢酸エチル、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール及びヘプタンでは、α型結晶に転移を起こしていた(イソプロピルアルコールではγ型結晶が僅かに混入)。また、トルエンでは、γ型結晶に転移を起こしていた。
以上の結果より、酢酸イソプロピル及びt−ブチルメチルエーテルを溶媒に用いた場合には、β型結晶の形態を長時間保持することが分かった。
上記結果を踏まえると、本発明の溶媒を使用することで、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法、より好ましくはβ型結晶の種結晶を使用しないβ型結晶の製造方法、及びスラリー状態におかれても結晶型の転移を起こさないβ型結晶の製造方法を提供することができた。
本発明は、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法に関する。インドリン化合物のβ型結晶は、例えば、排尿障害治療薬剤などとして有用な結晶である。

Claims (3)

  1. 式(1)
    で示されるインドリン化合物のβ型結晶を製造する方法であって、
    インドリン化合物(1)を、式(2)
    (式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは、炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。)
    で示されるエステル溶媒及び式(3)
    (式中、R及びRは、前記と同義である。)
    で示されるエーテル溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いて晶析させることを特徴とする、インドリン化合物のβ型結晶の製造方法。
  2. エステル溶媒が、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸s−ブチル及び酢酸t−ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1記載の製造方法。
  3. エーテル溶媒が、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びシクロペンチルメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1記載の製造方法。
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