JP2018079945A - 紙容器及び紙容器入り食品の製造方法 - Google Patents

紙容器及び紙容器入り食品の製造方法 Download PDF

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Yuya Hayashi
悠也 林
浩之 西川
Hiroyuki Nishikawa
浩之 西川
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Tomonobu Sekiguchi
朋伸 関口
啓司 麻植
Keiji Asaue
啓司 麻植
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Abstract

【課題】 焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層に対するシール性が良好なシーラントフィルムを用いてトップシールされた紙容器を提供する。【解決手段】 紙容器1は紙容器本体2にシーラントフィルム11がトップシールされ構成されている。紙容器本体2は、底面部3と、底面部3の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部4とから構成され、上方に開放されている。紙容器本体2の内面には、PETからなる合成樹脂層が積層されており、焼成処理がなされている。そして、シーラントフィルムを焼成処理がなされたPETからなる合成樹脂面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとし、シーラントフィルムを焼成処理がなされていないPETからなる合成樹脂面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、シーラントフィルム11は、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすものである。【選択図】 図1

Description

この発明は紙容器及び紙容器入り食品の製造方法に関し、特に、上方に開放され、内部に食品等を収納する紙容器及び紙容器入り食品の製造方法に関するものである。
従来、耐熱性を有し、グラタンその他の食品を収納する目的等に用いられる紙容器が存在する。
図8は従来の紙容器の全体形状を示した斜視図であり、図9は図8で示したIX−IXラインの概略端面図である。
これらの図を参照して、紙容器51を構成する紙容器本体52は、底面部53と、底面部53の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部54と、側壁部54の上端縁にカール状に形成された縁巻部55とから構成され、上方に開放されている。又、紙容器本体52の内面56(底面部53の上方面、側壁部54の内方面、及び、縁巻部55の上方面を含む。)には、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる合成樹脂層が押出ラミネートにより積層されている。底面部53の周縁と側壁部54の下端縁とが、又、側壁部54の一部同士が、それぞれヒートシールにより接合され、紙容器本体52の上方に開放された筒形状を構成している。
例えば食品としてグラタンを収納する際には、紙容器本体52の内部に図示しないグラタンを収納し、紙容器本体52及びグラタンに対して上方から、200度〜280度(摂氏であり、以下、温度について同様とする。)に加熱したオーブンによって3分間〜10分間の焼成処理を行う焼成工程によって、グラタンが焼成され、風味、外観、香り等が良好かつ殺菌処理されたものとなる。
図示しない従来の他の紙容器では、防湿性等の観点から紙容器本体の内面がポリエチレン(PE)等でコーティングされていることが一般的である。しかし、PEの融点は80度〜120度程度であるため、上述した焼成工程において合成樹脂の白化や変形、収納物の漏出等の問題が起こり不適であった。これに対し紙容器51は、融点が220度〜260度程度であるPETで内面をコートされ、耐熱性が確保されており、グラタンその他の食品を収納する紙容器として好適である。
そして、焼成工程後、紙容器本体にプラスチック製の蓋を嵌合させ、紙容器全体をシュリンク加工した上で紙容器入り食品として流通する。
しかし従来の紙容器では、シーラントフィルムを用いたトップシールが困難であるという問題があった。
即ち、上述した食品収納後の焼成工程により、紙容器本体の側壁部の上端縁の表面(トップシールする際にシーラントフィルムと接触する部分)のPETからなる合成樹脂層が結晶化する。結晶化したPET(C−PET)に対しては、従来知られているシーラントフィルムを用いてヒートシールしようとしても、常法の温度域(130度程度)ではC−PETが軟化し難く薬液類の浸透性が低いためシール性が不良であった。又、C−PETの融点近くの温度域(220度程度)でヒートシールしようとしても、紙容器やシーラントフィルムが変形や変質を起こすため実用に耐えられなかった。
そのため、従来は焼成工程後にトップシールされた状態で流通する紙容器や紙容器入り食品は存在せず、紙容器は焼成工程後にプラスチック製の蓋を嵌合させる等して使用しており、その構造上の密封性の低さから、微生物侵入や異物混入の虞、内部に収納した食品の香気成分の流出、コスト面といった点で改善の余地が存在していた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層に対するシール性が良好なシーラントフィルムを用いてトップシールされた紙容器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、底面部と、底面部の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部とを備え、上方に開放されており、側壁部の上端縁の表面にはポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層されており、焼成処理がなされた紙容器本体と、側壁部の上端縁の表面の少なくとも一部においてヒートシールにより接合されたシーラントフィルムとを備えた紙容器であって、シーラントフィルムを焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとし、シーラントフィルムを焼成処理がなされていないポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、シーラントフィルムは、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすものである。
このように構成すると、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、シーラントフィルムは、側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールにより接合されたものである。
このように構成すると、紙容器本体の上方開放部分がシーラントフィルムで密閉される。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、シーラントフィルムは、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が、下記構成(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる1種であるものである。
(1)ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリオレフィン系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
(2)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
(3)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成のポリエステル系樹脂(厚さ10μm)面に対し、下記コート剤と酢酸エチルとが体積比3:1にて配合され塗布(塗布量:3.2g/m)され150度にて10秒間乾燥された構成
コート剤:ビーズポリマーとしてメタクリル酸エステル・オレフィン・ポリエステル共重合体を固形分としてコート剤の総量100重量%に対して46重量%となるように、エステル系溶剤により分散させたコート剤
(4)ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成
このように構成すると、シール性がより向上したシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、シーラントフィルムは、ヒートシールにおける紙容器本体からの剥離形態が、凝集剥離であるものである。
このように構成すると、トップシールされた紙容器の開封時には、シーラントフィルムが凝集剥離によって剥離する。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、シーラントフィルムは、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成であるものである。
このように構成すると、焼成容器適性、ヒートシール温度適性及びピール感が向上する。
請求項6記載の発明は、食品を収納し、トップシールされた紙容器入り食品の製造方法であって、底面部と、底面部の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部とを備え、上方に開放されており、側壁部の上端縁の表面にはポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された紙容器本体を準備する準備工程と、紙容器本体の内部に食品を収納する収納工程と、紙容器本体及び食品に対して上方から200度〜280度に加熱したオーブンによって3分間〜10分間の焼成処理を行う焼成工程と、側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールによりシーラントフィルムを接合するトップシール工程とを備え、シーラントフィルムを焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとし、シーラントフィルムを焼成処理がなされていないポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、シーラントフィルムは、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすものである。
このように構成すると、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器入り食品が製造される。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となるため、紙容器本体に対するトップシールの安定性が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、紙容器本体の上方開放部分がシーラントフィルムで密閉されるため、紙容器の密封性が向上する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、シール性がより向上したシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となるため、紙容器本体に対するトップシールの安定性が更に向上する。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、トップシールされた紙容器の開封時には、シーラントフィルムが凝集剥離によって剥離するため、界面剥離又は層間剥離に比してピール感を調整し易くなる。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、焼成容器適性が向上するため、幅広い焼成条件の紙容器本体に対してシール性が向上する。又、ヒートシール温度適性が向上するため、幅広いヒートシール条件においてシール性が向上する。更に、ピール感が向上するため、使用者が手で紙容器を開封する際の感覚が良好なものとなる。
請求項6記載の発明は、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器入り食品が製造されるため、トップシールの安定性が向上した紙容器入り食品が製造される。
この発明の実施の形態による紙容器の全体形状を示した斜視図である。 図1で示したII−IIラインの概略端面図である。 図1で示した紙容器のシーラントフィルムを所定形状にカットしたものにおいて、紙容器の開封過程を示す平面図である。 試験IIの実施例1の結果を示すグラフである。 試験IIの実施例2の結果を示すグラフである。 試験IIの実施例3の結果を示すグラフである。 試験IIの実施例4の結果を示すグラフである。 従来の紙容器の全体形状を示した斜視図である。 図8で示したIX−IXラインの概略端面図である。
図1はこの発明の実施の形態による紙容器の全体形状を示した斜視図であり、図2は図1で示したII−IIラインの概略端面図である。
これらの図を参照して、紙容器1は、焼成処理がなされた紙容器本体2にシーラントフィルム11がトップシールされ構成されている。又、紙容器本体2は、上述した従来の紙容器本体と基本的に同様の構成であり、底面部3と、底面部3の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部4と、側壁部4の上端縁にカール状に形成された縁巻部5とから構成され、上方に開放されている。又、紙容器本体2の内面6(底面部3の上方面、側壁部4の内方面、及び、縁巻部5の上方面を含む。)には、PETからなる合成樹脂層(合成樹脂層における平均厚さ6μm〜50μm)が押出ラミネートにより積層されており、焼成処理によって結晶化している。又、底面部3の周縁と側壁部4の下端縁とが、又、側壁部4の一部同士が、それぞれヒートシールにより接合され、紙容器本体2の上方に開放された筒形状を構成している。シーラントフィルム11は、縁巻部5の上端表面(即ち、側壁部4の上端縁の表面)の全周においてヒートシールにより紙容器本体2と接合されている。
シーラントフィルム11は、本実施の形態においてヒートシールに用いられる合成樹脂からなるフィルムであり、性質の異なる2種以上の合成樹脂が押出ラミネート、共押出法、ドライラミネート等のラミネート加工がなされ2層以上の積層構造とされたものを含む。例えば、3種の合成樹脂から構成された基材層/サンド層/ヒートシール層の3層構造からなる厚さ(シーラントフィルム全体における平均厚さ)が合計15〜100μmのシーラントフィルムが挙げられる。
ここで、基材層は例えばPETやPEが用いられ、厚さ(基材層全体における平均厚さ)5μm〜70μmであって、形状保持性、耐熱性、耐寒性、保香性、印刷適性等の機能を有する。
又、サンド層は例えばPEやエチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)が用いられ、厚さ(サンド層全体における平均厚さ)5μm〜70μmであって、ガスバリア性、防湿性、紫外線バリア性等の機能を有する。
更に、ヒートシール層は例えばポリオレフィン系樹脂、ポリプロピレンやエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が用いられ、厚さ(ヒートシール層全体における平均厚さ)5μm〜70μmであって、合成樹脂の熱可塑性を利用して、ヒートシール層を被着体に対して所定の加熱温度、圧力及び加熱時間設定で加熱操作を行うことで熱接着するヒートシール機能を有する。尚、本明細書においてヒートシール条件は、特筆しない限り、加熱温度130度、圧力0.1MPa、加熱時間0.8秒で行うものとするが、その他のヒートシール条件を除外するものではない。例えば、加熱温度100度〜200度、圧力0.05MPa〜0.5MPa、加熱時間0.3秒〜3.0秒の範囲内で適宜選択することができる。
これら基材層からヒートシール層にかけての積層構造の構成が、シーラントフィルムの被着体との適性、シール強度、開封感等の特性に影響する。
そして、本実施の形態においてシーラントフィルム11は、食品を収納した紙容器本体をトップシールする目的で用いられる場合もあるため、C−PETからなる合成樹脂層が積層された被着体(本実施の形態においては縁巻部5の上端表面の全周)に対してヒートシールしたときの、品質保持のための密封性の高さと使用者の手で容易に開封することのできる易開封性とが両立されているシール強度であることが好ましい。又、そのシール強度は、紙容器の開封初期におけるシール強度が重要な指標となる。この点について以下説明する。
図3は図1で示した紙容器のシーラントフィルムを所定形状にカットしたものにおいて、紙容器の開封過程を示す平面図である。
図を参照して、シーラントフィルムのシール強度の測定にあたっては、まず図の一点鎖線で示したカット前のシーラントフィルム11から、図の実線で示した所定形状のシーラントフィルム13をカットし、測定に用いる紙容器21(例えば上端径=96mm)とする。即ち、縁巻部5の外周縁から20mm離れた点P(即ち、図で示した長さD=20mmとなる。)から縁巻部5の外周縁に対して、その間隔の角度(図で示した角度θ)が略垂直となるような2本の接線を引き、当該2本の接線に沿ってシーラントフィルムをカットしたものである。尚、図3に示した実施の形態においては、上述した接線が縁巻部5の外周縁に到達した後は、縁巻部5の外周縁に沿ってシーラントフィルムをカットしているが、余剰部分が存在しても測定の結果には影響しない。
そして、点Pを含むシーラントフィルム13端部を把持し、図の実線の矢印で示すように、紙容器21の平面視中心から点Pへの方向と180度逆方向の力を加え開封を進める。
ここで、紙容器21の開封過程にあっては、開封初期、開封中期及び開封後期の各過程において、開封を進めるのに要する力(即ち、シール強度)が変化する。そして、ヒートシール条件は縁巻部5の上端表面の全周において同一であるため、各過程におけるシール強度の大小は、各過程におけるヒートシール箇所の大小に応じて変化する。即ち、紙容器21の開封初期におけるシール強度の最大(以下、「初期シール強度」と呼ぶ。)は、開封初期の仮想線15(縁巻部5の上端表面とシーラントフィルム13とが接着されている端部を示すもの)が平面視において縁巻部5の内周縁と接する箇所の長さD(例えばD=45mm)に比例する。又、紙容器21の開封中期におけるシール強度の最大は、開封中期の仮想線16aの長さD(例えばD=4mm)と仮想線16bの長さD(例えばD=4mm)との合計に比例し、図に示されるようにD>D+Dであるため、シール強度は開封初期の方が大きい。更に、紙容器21の開封後期におけるシール強度の最大は、開封後期の仮想線17の長さD(例えばD=45mm)に比例し、図に示されるようにDはDと略同一であるため、シール強度は開封後期と略同一である。
従って、上述した図の仮想線15で表される箇所における初期シール強度が紙容器21の開封過程において最も大きいシール強度であると共にヒートシール条件は縁巻部5の上端表面の全周において同一であるため、初期シール強度が低すぎると密封性が低くなると共に流通段階でトップシールが剥離する虞が生じ、高すぎると使用者の手で容易に開封することができないシール強度となる。そのため、シーラントフィルムを焼成処理がなされたPETからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとすると、5≦X≦20を満たすシーラントフィルムであれば、紙容器のヒートシール箇所全体において、品質保持のための密封性の高さと使用者の手で容易に開封することのできる易開封性とが両立されているシール強度とすることができる。又、7≦X≦14を満たすことが更に好ましい。
又、シーラントフィルムは、焼成処理がなされていない紙容器本体に対するヒートシールに用いる場合も多い。そのため、シーラントフィルムを焼成処理がなされていないPETからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、上述したXの数値範囲に加え、X/Y≧1/2を満たすシーラントフィルムであれば、ヒートシール条件を焼成処理がなされていない紙容器本体に対するものと同一とすることができ、機械適性が向上するため好ましい。尚、C−PETに対するヒートシールは通常のPETに対するヒートシールよりも通常困難であることから、X/Yの値は1未満である場合が多く、上限は誤差を含んでも2以下となる。
そして、本実施の形態の紙容器にあっては、シーラントフィルムがX/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすものであるため、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となっており、紙容器本体に対するトップシールの安定性が向上したものである。
このような条件を満たすシーラントフィルムとしては、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が、例えば下記構成(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる1種であるものが挙げられる。
(1)ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリオレフィン系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
(2)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
(3)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成のポリエステル系樹脂(厚さ10μm)面に対し、下記コート剤と酢酸エチルとが体積比3:1にて配合され塗布(塗布量:3.2g/m)され150度にて10秒間乾燥された構成
コート剤:ビーズポリマーとしてメタクリル酸エステル・オレフィン・ポリエステル共重合体を固形分としてコート剤の総量100重量%に対して46重量%となるように、エステル系溶剤により分散させたコート剤
(4)ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成
このように構成することで、シール性がより向上したシーラントフィルムがトップシールされた紙容器となるため、紙容器本体に対するトップシールの安定性が更に向上する。
又、シーラントフィルムは、上記構成(4)であることが更に好ましい。
このように構成することで、焼成容器適性、ヒートシール温度適性及びピール感がより良好なものとなる。
ここで、焼成容器適性が良好なものとは、幅広い焼成条件の紙容器本体に対してシール性が良好なものをいう。具体的には、所定のヒートシール条件(110度、130度又は150度の各種温度条件)において、焼成処理がなされていない紙容器本体に対するシール強度を基準として、210度温度条件又は230度温度条件の焼成条件において焼成処理がなされた紙容器本体の各々に対するシール強度との差を取り、当該差の算術平均値が少ないものであれば良好である。
又、ヒートシール温度適性が良好なものとは、幅広いヒートシール条件においてシール性が良好なものをいう。具体的には、所定の焼成条件(焼成なし、210度又は230度の各種温度条件)における紙容器本体に対して、110度温度条件でヒートシールした場合のシール強度を基準として、130度温度条件又は150度温度条件のヒートシール条件の各々におけるシール強度との差を取り、当該差の算術平均値が少ないものであれば良好である。
更に、ピール感が良好なものとは、使用者が手で紙容器を開封する際の感覚が良好なものをいう。具体的には、開封時、引っ掛かるようなノッキング、ピッピッという剥離音、剥離面に糸引きや薄い膜が残るフェザリング等が起こりづらく、滑らかに開封できるものであれば良好である。
即ち、上述した構成(4)のシーラントフィルムであれば、焼成容器適性が向上するため、幅広い焼成条件の紙容器本体に対してシール性が向上する。又、ヒートシール温度適性が向上するため、幅広いヒートシール条件においてシール性が向上する。更に、ピール感が向上するため、使用者が手で紙容器を開封する際の感覚が良好なものとなる。
ここで、上述したピール感には、シーラントフィルムのヒートシールにおける被着体(即ち、紙容器本体)からの剥離形態が顕著に影響する。
上述した剥離形態には、紙容器本体(縁巻部の上端表面)とシーラントフィルム(ヒートシール層)との接着界面において剥離する界面剥離と、ヒートシール層とサンド層又は基材層との間で剥離する層間剥離と、ヒートシール層自体が凝集破壊を伴いながら剥離する凝集剥離とが存在する。例えば、上述した構成(1)の剥離形態は層間剥離であり、構成(2)及び(3)の剥離形態は界面剥離であり、構成(4)の剥離形態は凝集剥離である。
ここで、本実施の形態において、界面剥離でピール感を良好とするためには、シーラントフィルムのヒートシール層に、ヒートシールが困難なC−PETに対する接着と剥離の両性能をもたせなければならない。又、層間剥離ではヒートシール層にPET等を使用し、C−PETには溶着するがサンド層又は基材層からは容易に剥離するように、ヒートシール温度条件と層間強度を調整しなければならない。これらに対し凝集剥離では、C−PETには強く接着させるが、一定以上の力で引っ張るとヒートシール層において剥離が発生する強度に調整すれば良い。即ち、層間剥離ほどヒートシールにおける温度制御が必要なく、界面剥離ほど接着と剥離の両強度を両立させる調整をする必要がないため、剥離形態は凝集剥離であることが好ましい。
このように構成することで、トップシールされた紙容器の開封時には、シーラントフィルムが凝集剥離によって剥離するため、界面剥離又は層間剥離に比してピール感を調整し易くなる。
ここまでは紙容器本体に食品等が収納されずトップシールされた状態の紙容器について説明したが、食品等が収納された状態でトップシールされた状態の紙容器も無論存在するため、次に、紙容器入り食品を製造する工程について説明する。
まず、従来の紙容器本体と同様の、底面部と、底面部の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部とを備え、上方に開放されており、側壁部の上端縁の表面にはPETからなる合成樹脂層が積層された紙容器本体を準備する。
次に、紙容器本体の内部に食品を収納する。食品としてはグラタンやドリア等を採用することができる。
次に、紙容器本体及び食品に対して上方から200度〜280度に加熱したオーブンによって3分間〜10分間の焼成処理を行う。これによって、食品の風味、外観、香り等が良好かつ殺菌処理されたものとなる。尚、焼成処理の温度条件が高温であるほど時間条件は短くすることができる。
次に、側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールによりシーラントフィルムを接合することで、トップシールされた紙容器入り食品を構成する。このとき、シーラントフィルムは、上述したような、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすものである。
このように構成することで、シール性が良好なシーラントフィルムがトップシールされた紙容器入り食品が製造されるため、トップシールの安定性が向上した紙容器入り食品が製造される。
このようにして製造された紙容器入り食品は、その密封性が向上したものであるため、微生物浸入や異物混入の虞が減少し、内部に収納した食品の香気成分の流出が抑えられ、長期保存性が向上すると共にコスト面でも有利なものとなる。尚、紙容器入り食品は、高温、常温、冷蔵、チルド又は冷凍のいずれの状態でも流通させることができる。
尚、本発明の紙容器に用いる板紙原紙にあっては、紙の種類は特に限定されないが、所望の用途に応じて、純白ロール紙、クラフト紙、パーチメント紙、アイボリー紙、マニラ紙、カード紙、カップ紙、グラシン紙等を用いることができる。又、焼成処理に適した難燃紙又は不燃紙であることが好ましい。
又、上記の板紙原紙の厚みは特に限定されないが、焼成処理に対する適性及び保形性の観点から、0.2mm〜0.5mm(坪量150〜500g/m)であることが好ましい。
更に、上記の板紙原紙の表面には、印刷が施されていても良い。これによって意匠性を向上させることができる。
更に、本発明の紙容器の縁巻部には、例えば縁巻部の先端部の外周側の表面に接着剤が塗布されていても良い。これによって縁巻部が接着剤により固定されるため、縁巻部のスプリングバックを抑制することができる。
更に、上記の実施の形態にあっては、側壁部の上端縁に縁巻部が形成されていたが、縁巻部が無くても良い。
更に、上記の実施の形態にあっては、紙容器が特定の形状であったが、他の形状であっても良い。例えば、紙容器本体の上端縁が150mm径の形状や、側壁部の平面視形状が多角形状のものが挙げられる。又例えば、紙容器の上方開放部分が窄まる形状や、側壁部の上端縁に外方に延びるフランジ部が含まれる形状が挙げられる。このとき、側壁部の上端縁とは、トップシールのためにヒートシールされる箇所を指すものとする。
更に、上記の実施の形態にあっては、シーラントフィルムが側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールされていたが、側壁部の上端縁の表面の少なくとも一部にヒートシールされたものであっても良い。尚、側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールされたものであれば、紙容器本体の上方開放部分がシーラントフィルムで密閉されるため、紙容器の密封性が向上するので好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明について具体的に説明する。尚、本発明の実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(試験体の準備)
試験に供した実施例1〜実施例4として、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が上述した構成(1)〜構成(4)であるシーラントフィルム4種類を準備した。
即ち、実施例1は、ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリオレフィン系樹脂(厚さ10μm)からなる構成とした。
実施例2は、ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成とした。
実施例3は、ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成のポリエステル系樹脂(厚さ10μm)面に対し、下記コート剤と酢酸エチルとが体積比3:1にて配合され塗布(塗布量:3.2g/m、バーコーターの番手8番を使用)され150度にて10秒間乾燥(エスペック株式会社製「TABAI safety oven SPHH−100」のオーブンを使用)された構成とした。コート剤は、ビーズポリマーとしてメタクリル酸エステル・オレフィン・ポリエステル共重合体を固形分としてコート剤の総量100重量%に対して46重量%となるように、エステル系溶剤により分散させたものである。
実施例4は、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成とした。
又、比較例1として、PET(12μm)/PET系樹脂(30μm)からなる構成のシーラントフィルム(DIC株式会社製)を用いた。
比較例2として、PET/PET系樹脂(30μm)からなる構成のシーラントフィルム(三井化学東セロ株式会社製)を用いた。
試験I.シール強度測定試験
上述した図3に示した紙容器21(210度温度条件で焼成された紙容器本体に上記実施例及び比較例の各々のシーラントフィルムがヒートシールされた紙容器21)を「焼成あり」の紙容器として用いて、シール強度を測定した。
又、焼成処理がなされていない紙容器本体に対してヒートシールされたものを「焼成なし」の紙容器として同様に準備し、シール強度を測定した。
各シーラントフィルムのヒートシールは、加熱温度125度、圧力0.1MPa、加熱時間0.8秒において、上中鉄工所製のヒートシール機、熱板及び受け皿を用いて行った。
シール強度の測定には、アイコーエンジニアリング株式会社製のプッシュプルゲージ「AIKOH CPU GAUGE 9500SERIES」を用いた。
試験に際しては、紙容器本体を固定し、上記プッシュプルゲージにより上述した点Pを把持し、同図の実線の矢印で示すように180度逆方向で開封を進め、開封初期、開封中期及び開封後期におけるシール強度を測定した。
又、測定したシール強度から、上述したX/Yを計算した。
更に、各実施例及び比較例のシール性(品質保持のための密封性の高さと使用者の手で容易に開封することのできる易開封性とが両立されている度合い)が良好なものを○、不良なものを×として評価した。
結果は以下の表1に示すようになった。
Figure 2018079945
表を参照して、実施例1〜4はいずれも、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たすシーラントフィルムであった。その結果、実施例1〜実施例4はいずれも、シール性が良好なものとなることが確認された。
又、実施例2、実施例3及び実施例4は、7≦X≦14を満たすものであり、シール性が更に良好なものとなることが確認された。
以上の試験Iにより、上述した構成(1)〜構成(4)のいずれもがシール性が良好なシーラントフィルムであることが確認されたが、更に好ましい構成を検討するため、以下では実施例1〜実施例4を用いて、焼成容器適性、ヒートシール温度適性及びピール感を測定するために行った試験IIについて説明する。
試験II.焼成容器適性、ヒートシール温度適性及びピール感測定試験
紙容器本体として、上述した「焼成なし」の紙容器本体、210度温度条件で焼成した「210度」の紙容器本体、230度温度条件で焼成した「230度」の紙容器本体及び250度温度条件で焼成した「250度」の紙容器本体の4種を準備した。尚、いずれも焼成処理は紙容器本体の内部に中身を収納しない状態で行い、焼成時間は10分間であった。又、いずれも上端径150mmのものを使用した。
ヒートシールは、加熱温度を「110度」、「130度」及び「150度」の3種の条件に設定して行った。尚、実測温度はそれぞれ105度、125度、145度であった。又、圧力は0.1MPa(但し、実施例3にあっては0.2MPa)、加熱時間は0.8秒、シール回数は1回で行った。
このようにしてトップシールされた紙容器の各々に対して、引張試験機(株式会社島津製作所製、SHIMADZU AGS−100D)を用いてシール強度を測定した。尚、測定にあたっては、斜め上45度方向(トップシール面と開封面とが実際に形成する角度が45度となる方向)に引っ張りながら開封を進めた。
その他の条件は上記試験Iと同様のものを用いた。
以上の条件において、開封初期、開封中期、開封後期におけるシール強度を測定した。
結果は以下の図4〜図7に示すグラフのようになった。
図4は試験IIの実施例1の結果を示すグラフであり、図5は試験IIの実施例2の結果を示すグラフであり、図6は試験IIの実施例3の結果を示すグラフであり、図7は試験IIの実施例4の結果を示すグラフである。
各グラフの縦軸はシール強度(単位:N)を示し、横軸は上述した4種の焼成温度条件の紙容器本体のうち用いた紙容器本体の種類を示す。
これらの図を参照して、各グラフの実線31は上述したヒートシール温度条件が「110度」のものの開封初期における結果を示し、実線32は上述したヒートシール温度条件が「130度」のものの開封初期における結果を示し、実線33は上述したヒートシール温度条件が「150度」のものの開封初期における結果を示す。
一点鎖線34は上述したヒートシール温度条件が「110度」のものの開封中期における結果を示し、一点鎖線35は上述したヒートシール温度条件が「130度」のものの開封中期における結果を示し、一点鎖線36は上述したヒートシール温度条件が「150度」のものの開封中期における結果を示す。
破線37は上述したヒートシール温度条件が「110度」のものの開封後期における結果を示し、破線38は上述したヒートシール温度条件が「130度」のものの開封後期における結果を示し、破線39は上述したヒートシール温度条件が「150度」のものの開封後期における結果を示す。
(焼成容器適性測定試験)
以下の表2は、試験IIの結果を示すとともに、焼成容器適性について評価したものである。表中の各データは、「焼成容器適性」の数値を除き、シール強度(単位:N)を示す。
Figure 2018079945
尚、「250度」の焼成温度条件の紙容器本体では、開封時にシーラントフィルムに紙が付随してくる紙剥け現象が発生する頻度が比較的高く数値が安定せず、測定に適さないため評価に際しては除外している。これは通常の焼成工程と異なり紙容器本体の内部に食品等を収納していないことから焼成が過剰になったものと考えられ、食品を収納する実際の焼成工程において250度以上の焼成温度条件が不適というものではない。
表を参照して、焼成容器適性の評価方法としては、焼成なしの紙容器本体の場合のシール強度を基準として、「210度」及び「230度」の各々の温度条件で焼成処理がなされた紙容器本体のシール強度との差を取り、ヒートシール温度が「110度」、「130度」及び「150度」のものを含め、実施例ごとの6種類の差の算術平均値を「バラツキの平均値」とした。「バラツキの平均値」が少ないものほど、幅広い焼成条件の紙容器本体に対するヒートシールが可能となるため、焼成容器適性を良好と評価した。尚、表中の「焼成容器適性」は良好な順に1>2>3>4としている。
そして、実施例ごとの開封初期、開封中期、開封後期における焼成容器適性の数値の平均は、実施例1は4、実施例2は2、実施例3は2、実施例4は1.7となるため、実施例4が最も焼成容器適性が良好であることが確認された。
(ヒートシール温度適性試験)
次に、以下の表3は、試験IIの結果から、ヒートシール温度適性について評価したものである。表中の各データは、「ヒートシール温度適性」の数値を除き、シール強度(単位:N)を示す。
Figure 2018079945
表を参照して、具体的には、所定の焼成条件(焼成なし、210度又は230度の各種温度条件)における紙容器本体に対して、「110度」温度条件でヒートシールした場合のシール強度を基準として、「130度」及び「150度」の各々の温度条件でヒートシールした場合のシール強度との差を取り、紙容器焼成条件が「焼成なし」、「210度」及び「230度」のものを含め、実施例ごとの6種類の差の算術平均値を「バラツキの平均値」とした。「バラツキの平均値」が少ないものほど、幅広いヒートシール温度条件においてヒートシールが可能となるため、ヒートシール温度適性を良好と評価した。尚、表中の「ヒートシール温度適性」は良好な順に1>2>3>4としている。
そして、実施例ごとの開封初期、開封中期、開封後期におけるヒートシール温度適性の数値の平均は、実施例1は4、実施例2は2.7、実施例3は2、実施例4は1となるため、実施例4が最もヒートシール温度適性が良好であることが確認された。
(ピール感測定試験)
実施例ごとのシーラントフィルムを用いてトップシールされた紙容器を準備して、開封時の感触について評価した。
評価基準は、使用者が手で紙容器を開封する際の感覚が、引っ掛かるようなノッキング、ピッピッという剥離音、剥離面に糸引きや薄い膜が残るフェザリング等が起こりづらく、滑らかに開封できるものであれば良好とした。
そして、実施例1のものは、概ね良好であったが、若干糸引きが発生していた。実施例2のものは、開封時にピッピッという剥離音が発生した。実施例3のものは、良好であった。実施例4のものは、良好であった。
(その他)
レンジアップ適性として、各紙容器のレンジアップ前後のシール強度を測定し比較した。その結果、実施例1〜実施例4のいずれもがレンジアップ後にもシール強度が良好に維持されていた。
又、トップシールされた紙容器を製造した時点におけるシーラントフィルムの透明度は、実施例1は半透明、実施例2は透明、実施例3は半透明、実施例4は靄がかかった透明であり、いずれも中身が見える良好な透明度であった。
(試験I及び試験IIのまとめ)
以下の表4に、上述した試験I及び試験IIをまとめた結果を示す。
Figure 2018079945
表中、「×」は不良であったことを示す。「△」は実用に耐える程度に良好であったことを示す。「○」は良好であったことを示す。「◎」は非常に良好であったことを示す。
表を参照して、実施例1〜実施例4はいずれもシール性が良好であり、実施例1〜実施例4のいずれかのシーラントフィルムを用いることで、焼成処理がなされたPETからなる合成樹脂層が積層された紙容器本体にトップシールできることが確認された。
又、実施例1〜実施例4のうち、焼成容器適性、ヒートシール温度適性及びピール感が良好であることから、実施例4を用いることが好ましいことが確認された。
1、21…紙容器
2…紙容器本体
3…底面部
4…側壁部
6…内面
11、13…シーラントフィルム
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

  1. 底面部と、前記底面部の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部とを備え、上方に開放されており、前記側壁部の上端縁の表面にはポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層されており、焼成処理がなされた紙容器本体と、
    前記側壁部の上端縁の表面の少なくとも一部においてヒートシールにより接合されたシーラントフィルムとを備えた紙容器であって、
    前記シーラントフィルムを焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとし、前記シーラントフィルムを焼成処理がなされていないポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、
    前記シーラントフィルムは、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たす、紙容器。
  2. 前記シーラントフィルムは、前記側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールにより接合された、請求項1記載の紙容器。
  3. 前記シーラントフィルムは、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が、下記構成(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群から選ばれる1種である、請求項1又は請求項2記載の紙容器。
    (1)ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリエチレン(厚さ10μm)/ポリオレフィン系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
    (2)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成
    (3)ポリエチレン(厚さ10μm)/エチレン・メチルメタクリレート共重合体(厚さ10μm)/ポリエステル系樹脂(厚さ10μm)からなる構成のポリエステル系樹脂(厚さ10μm)面に対し、下記コート剤と酢酸エチルとが体積比3:1にて配合され塗布(塗布量:3.2g/m)され150度にて10秒間乾燥された構成
    コート剤:ビーズポリマーとしてメタクリル酸エステル・オレフィン・ポリエステル共重合体を固形分として前記コート剤の総量100重量%に対して46重量%となるように、エステル系溶剤により分散させたコート剤
    (4)ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成
  4. 前記シーラントフィルムは、ヒートシールにおける前記紙容器本体からの剥離形態が、凝集剥離である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の紙容器。
  5. 前記シーラントフィルムは、その基材層からヒートシール層にかけての積層構造が、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ25μm)/エチレン酢酸ビニル共重合体(厚さ22μm〜25μm)からなる構成である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の紙容器。
  6. 食品を収納し、トップシールされた紙容器入り食品の製造方法であって、
    底面部と、前記底面部の周縁と接続され上方に立ち上がる側壁部とを備え、上方に開放されており、前記側壁部の上端縁の表面にはポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された紙容器本体を準備する準備工程と、
    前記紙容器本体の内部に食品を収納する収納工程と、
    前記紙容器本体及び前記食品に対して上方から200度〜280度に加熱したオーブンによって3分間〜10分間の焼成処理を行う焼成工程と、
    前記側壁部の上端縁の表面全周においてヒートシールによりシーラントフィルムを接合するトップシール工程とを備え、
    前記シーラントフィルムを焼成処理がなされたポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度(単位:N)をXとし、前記シーラントフィルムを焼成処理がなされていないポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂層が積層された面に対してヒートシールしたときの初期シール強度をYとすると、
    前記シーラントフィルムは、X/Y≧1/2、かつ、5≦X≦20を満たす、紙容器入り食品の製造方法。
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