JP2018079472A - アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法 - Google Patents

アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の金属接合方法では、接合の際にはんだを中間材として用いるため、はんだ等に含有される金属成分に起因して酸化、サビ又は腐食といった経年劣化等の問題があり、その結果、接合部における信頼性に欠けるものとなる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大気中においてアルミニウム母材を、中間材を使用せずに接合することができる方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミニウム母材と金属又は合金である金属母材とを接触させる工程と、前記両母材の接触面同士を押し付ける方向に加圧する工程と、前記接触面の近傍において一方の母材を加熱する工程と、一方の母材に超音波振動を付与する工程とを含み、前記超音波振動を前記母材を介して前記接触面に伝達する、アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法が提供される。【選択図】図1

Description

この発明は、アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法に関する。特にこの発明は、はんだやろうなどの中間材を使用せずに、大気中において表面に酸化皮膜が形成されるアルミニウム母材と金属母材の固相接合方法に関する。
アルミニウムは、加工の容易性や軽量であるという点から、建材、機械部品等広い用途があり、自動車や船舶等の主要構造部材にも多く採用されている。特に、自動車に関しては、燃費向上や省資源化のために車体の軽量化が求められ、アルミニウムの使用量が増加している。そのような需要がある一方、アルミニウムは大気中で強固な酸化皮膜を形成するため、大気中において接合することは非常に困難であるとされている。
そのように、アルミニウムやその合金等の母材は、表面に酸化皮膜が形成され、接合を阻害するために、従来、はんだを用いた接合として、フラックスを用いたはんだによる接合や、超音波を利用する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、超音波を利用したはんだ付方法として、2つのアルミニウム母材の接合面間にはんだを介在させ、接合面同士を押し付ける方向に加圧するとともに、少なくともいずれか一方のアルミニウム母材に超音波振動を付与して両アルミニウム母材の接合面の酸化皮膜を破壊し、これと同時に加熱して両アルミニウム母材を接合する方法が提案されている。
特開平5−69120号公報
しかし、特許文献1の方法は、接合の際にはんだを中間材として用いるため、はんだ等に含有される金属成分に起因して酸化、サビ又は腐食といった経年劣化等の問題があり、その結果、接合部における信頼性に欠けるものとなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大気中においてアルミニウム母材を、中間材を使用せずに接合することができる方法を提供するものである。
本発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミニウム母材と金属又は合金である金属母材とを接触させる工程と、前記両母材の接触面同士を押し付ける方向に加圧する工程と、前記接触面の近傍において一方の母材を加熱する工程と、一方の母材に超音波振動を付与する工程とを含み、前記超音波振動を前記母材を介して前記接触面に伝達する、アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法が提供される。
本発明では、特許文献1等の従来技術とは異なり、大気中においてアルミニウム母材を、中間材を使用せずに接合することができるとともに、そのアルミニウム母材と他の母材とを固相接合することができる。この方法を用いれば接合部における信頼性が高い、且つ機械的強度や電気特性といった材料特性が変化しない接合部材を得ることが可能となる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記接触面から母材の振動波長の0.25倍〜0.75倍の長さの位置を固定部材により一方の母材を固定し、前記固定部材を介して前記超音波振動が付与される、固相接合方法である。
本発明の別の観点によれば、前記加圧工程の後に加熱工程を行う、固相接合方法である。
本発明の別の観点によれば、前記アルミニウム母材に超音波振動を付与する、固相接合方法である。
本発明の別の観点によれば、前記金属母材が酸化皮膜を有する金属又は合金である固相接合方法である。
本発明の別の観点によれば、前記金属母材がアルミニウム又はアルミニウム合金である、固相接合方法である。
本発明の別の観点によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミニウム母材を固定する第一固定部材と、金属又は合金である金属母材を固定する第二固定部材と、前記アルミニウム母材と前記金属母材により形成される接触面を押し付ける方向へ加圧する加圧手段と、前記接触面近傍を加熱する加熱手段と、超音波振動付与手段と、を備えており、前記超音波振動付与手段は、前記第一固定部材又は/及び第二固定部材に接続され、前記固定部材を介して前記接触面に超音波振動を付与する、固相接合装置が提供される。
本発明の別の観点によれば、2つの金属母材からなる固相接合部材が提供される。
本発明の別の観点によれば、大気中でその断面が加熱され、超音波振動を受けることによって自身の酸化皮膜が破壊され、前記断面に金属結合が促進されることを特徴とする、アルミニウム又はアルミニウム合金の固相接合方法が提供される。
本発明の実施形態に係る固相接合装置の概略構成図である。 本発明の実施例に係る加圧工程、加熱工程、及び超音波振動付与工程における概略のチャートである。 本発明の実施例における固相接合部近傍の断面顕微鏡画像である。 本発明の実施例における固相接合部の断面顕微鏡画像である。 本発明の金属固相接合のメカニズムの概略図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
本発明において、固相接合とは、金属やセラミックス等の異材又は同材の部材を原子レベルで接ぎ合わせる接合のことをいい、接合対象部材を溶融することなく固相(固体)状態のまま接合することをいう。
(固相接合母材)
本発明の実施形態の固相接合方法では、アルミニウム又はアルミニウム合金が、アルミニウム母材として使用され、金属又は合金が、接合対象となる金属母材として使用される。ここで、母材とは、本発明における接合対象となる金属材料において主要な基体となる材料のことをいう。金属母材としては、特に制限されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄鋼、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、超硬合金等が挙げられる。特に、アルミニウム及びアルミニウム合金は、表面に強固な酸化被膜を形成するため、従来の技術(はんだ付による接合方法)では、強固に接合することが困難であった。これに対して、本発明によれば、このような酸化被膜が存在している母材であっても、簡便でしかも強固に接合させることができる。本発明における接合対象母材として、母材が酸化皮膜を有する金属又は合金であることが好ましい。さらに好ましくは、アルミニウム又はその合金であり、よりさらに好ましくは、双方がアルミニウム又はその合金である。すなわち、本発明の実施形態の方法によれば、一般に非常に強固な酸化皮膜を有するアルミニウムを母材とした場合においても固相接合が可能である。
例えば、アルミニウムについては、1000系 純アルミニウム(アルミ純度99.00%以上のアルミニウム)(A1070、A1050、A1100)、2000系 アルミニウム合金(Al―Cu系)(A2017、A2024、A2011)、3000系 アルミニウム合金(Al―Mn系)(A3003、A3005、A3105)、4000系 アルミニウム合金(Al―Si系)(A4032、A4043)、5000系 アルミニウム合金(Al―Mg系)(A5052、A5056、A5083、A5454)、6000系 アルミニウム合金(Al―Mg―Si系)(A6061、A6063、A6N01)、7000系 アルミニウム合金(Al―Zn―Mg系)(A7072、A7075、A7N01)等のアルミニウム又はアルミニウム合金を用いることができ、本発明において、好ましいアルミニウム種としては、1000系、5000系、6000系のアルミニウムであり、より好ましくは、A1070、A5052、A6061である。純アルミニウムにおいては、アルミ純度が99.00%以上であればよく、99.50%以上であればより好ましく、99.70%以上であればさらに好ましい。
(接触面形成工程)
本発明の実施形態の固相接合方法では、まずは、接合対象となる2つの母材を接触させ接触面を形成させる。ここで、本発明においては、2つの母材間には中間材を介在させずに直接的に接触させて接触面を形成させる。もちろん、接触面を形成させる際には、2つの母材同士の一部が接触する状態であればよい。ここで、加圧前における接触面の面積は、2つの母材から形成される最大の接触面積を100とした場合に、当該接触面積が50以上あればよく、より好ましくは80以上であり、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは95以上であり、100近くであることがより好ましい。また、2つの母材により形成される接触面となる面が粗さを有していてもよい。
また、接触面には金属粉等の異物が存在していないことが好ましく、そうすることで均一に固相接合を進行させることができる。もちろん、接触面において異物が全く存在しない状態である必要はない。
(加圧工程)
このように2つの母材の接触面を形成した状態で、2つの母材同士が押し付けられる方向へ圧力を加える。ここで、両母材の接触面に圧力を加える方法としては、一方の母材(第一母材)をもう一方の母材(第二母材)へ押し付けることにより、第二母材が第一母材へ押し付けられるようにして接触面へ圧力を加える方法であってもよい。
ここで、加圧圧力としては、2つの母材の接触面が押し付けられる一定以上の圧力であれば特に限定されるものではないが、1MPa以上の範囲であることが,接触面の密着度を高めることができ接合強度を得ることができるため好ましい。図2を参照すると、圧力Pを上記圧力範囲に設定すればよい。圧力の上限についても特に限定されるものではなく、例えば、図2における圧力Pとして、1MPa、3MPa、10MPa、30MPa、50MPa、60MPa、80MPa若しくはそれ以上の圧力、又はこれらの圧力値から選択される任意の圧力範囲から設定した値であってもよい。このような圧力条件であれば、接合する母材の変形や座屈の発生を抑制することができる。
加圧方法としては、接触面が押し付けられる方法であれば特に限定されないが、例えば、第一母材を固定させた状態にし、第二母材を対向させて接触面を形成し、第二母材に対してプレス機によって加圧して接触面を加圧する方法である。ここで、プレス機がサーボプレスである場合は、接触面にかかる圧力を精密にできる点で好ましい。
加圧の際、接触面を形成する母材の形状については、特に限定されるものではないが、接触面断面が中空状となるようなものでもよく、先端部が錐台形状の母材における上底面を接触させてなる接触面であってもよい。母材の先端部が錐体形状の場合は、接触面を形成した際に、より均一に高圧力を付与でき接合強度を高めることができるため好ましい。より好ましくは母材が円錐台形状である。また、母材の直径(真円でない場合は、長径)が300mm以下であることが好ましく、そうすることで接触面の全域に渡って均一に圧力付与ができ接触面の広範囲に渡り固相接合が可能であり、短時間に接合させることができる。より好ましくは200mm以下であり、より好ましく100mm以下であり、より好ましくは50mm以下である。また、母材の接触面断面が中空状である場合は、接触面を形成する母材の肉厚が母材の直径に対する比率(母材の肉厚/母材の直径)がある程度大きいことが望ましいが、加圧した際に母材が座屈しない程度の比率を有していれば問題ない。そうすることで加圧時における接触面のズレを抑制でき所望の圧力を付与できる。
また、母材を加圧する際には、前処理として母材の接触面となる面を予め、バフ研磨処理を施した後に、アセトンを用いて脱脂をしておくことが好ましく、アセトンにより超音波洗浄処理を施してもよい。
(加熱工程)
また、2つの母材の接触面の近傍において接触面の温度を高めるために加熱を行う。加熱することによって、接合材料が軟化し、より接触面が密着する状態となり接合強度を高くすることができる。
ここで、加熱温度としては、2つの母材の接触面が軟化する程度の温度以上材料の融点以下の範囲であればよく、使用する母材材料の種類に応じて適宜設定され得る。好ましくは少なくとも一方の母材が再結晶温度以上となるように加熱する。図2を参照すると、温度Tを上記温度範囲に設定すればよい。例えば、アルミニウム母材同士であれば、図2における温度Tとして、250〜600℃程度、好ましくは250℃〜450℃程度、好ましくは300〜450℃程度が例示される。
上記加熱は、高周波誘導加熱装置を用いて行うことが接合面近傍を局所的に急速に加熱できるため好ましいが、本発明においては、加熱手段はこれに限定されるものではない。例えば、母材に対して電流を流す方法によっても本発明の目的は達成し得る。
高周波誘導加熱装置を用いて加熱する場合は、加熱コイルにより局所的に加熱するが、加熱コイルの配置は接触面が加熱されるものであれば特に限定されない。好ましくは接触面が均一に加熱される配置であるが、加熱コイルの位置が接触面から外れていてもよい。もちろん、母材の材料や形状、加熱コイルからの離間状態、又は以下に説明する超音波振動条件によっても加熱条件が影響され得るため適宜設定される。
本発明の実施形態の固相接合方法における加熱工程は、好ましくは上記加圧工程の後に行われる。そうすることで、加熱による母材の材料特性(機械的強度や電気特性等)の変化による圧力条件への影響を排除することができ、より緻密な固相接合を形成することができる。
(超音波振動付与工程)
本発明の実施形態の固相接合方法では、少なくとも一方の母材に対して超音波振動を付与する。上記で説明した条件下において超音波振動を付与することで2つの母材を固相接合することができる。このことは、母材の接触面に存在する母材自身の酸化皮膜を一定条件下において超音波振動を付与することで破壊することができ原子レベルで固相接合(金属結合)が促進されるためであると考えられる。
本発明で付与される超音波振動としては、特に限定されるものではないが、例えば、出力10〜2500W、周波数15〜60kHz、振幅0.1μm以上、好ましくは出力60〜240W、周波数15〜40kHz、振幅5μmが挙げられる。出力については、図2を参照すると、Iを上記出力範囲に設定すればよい。周波数は、より好ましくは、19〜22kHzであり、この範囲であると加熱時に母材の固有振動数の変化に追従して超音波振動を付与することができる。ここで、振幅としては、5μm〜15μm程度の範囲の設定であれば、十分な接合強度が得られるため好ましい。
また、超音波振動を母材に付与する時間としては、例えば0.1秒以上、好ましくは5秒以上、より好ましくは50秒以上、より好ましくは90秒以上に設定すればよい。長時間超音波振動を付与すること自体本発明に影響を与えるものではないが、十分な接合強度が得られ且つ固相接合の効率の観点から90秒〜400秒程度の範囲で超音波振動の付与を行うことが好ましい。
超音波振動は、2つの母材の内、何れか一方の母材のみに付与してもよいが、両方の母材に付与してもよい。
また、母材に対して超音波振動を与えるには、例えば、母材を固定するための固定部材の内、少なくとも一方の固定部材に超音波発振器を備えさせておき、上記に説明した条件になった際に、当該超音波発振器を用いて所定の超音波振動を付与すればよい。
一方の固定部材を介して超音波振動を付与する場合において、固定部材による母材の固定位置については、特に限定されるものではない。ここで、超音波振動を伝達する固定部材による母材の固定位置が接触面から母材の振動波長の0.25〜0.75倍の長さの位置であればよい。そうすることで、より母材の酸化皮膜の破壊を促すことができ固相接合を強固なものとすることができる。好ましくは、固定部材の位置が、振動波長の0.5倍の長さの位置である。ここで、母材の振動波長は、母材内を伝わる音速と超音波振動の周波数によって決まる値であり、振動波長λ=音速c/周波数fで表され、音速cは、母材の縦弾性係数を母材密度で除したもの平方根によって表されるものである。
本発明においては、母材を加圧、加熱した後に超音波振動を付与することが好ましく、より好ましくは加圧後に加熱を行い、その状態において超音波振動を付与することである。そうすることで、より強固な固相接合を行うことができる。
(固相接合装置)
本発明の固相接合方法により、丸棒状母材同士を突き合わせて固相接合するのに用いられる装置の一例を図1に示す。図1に示す装置では、丸棒状母材を保持部において固定する第一固定部材1及びもう一方の丸棒状母材を端部で固定する第二固定部材2を備えている。第一固定部材1は、保持部3を備えており保持部3により母材を固定している。保持部3は、母材を固定するため第一固定部材1と固定金具(図示しない)等の部材によりクランプされる構造となっており、ボルト等の締結方法によって強固に固定される。第一固定部材1には、ホーン4及び圧電素子5を介して超音波発振器6が備えられている。第二固定部材2には母材が挿入され、保持されている。第二固定部材2には母材を固定するボルト等の止め金具を有していてもよい。2つの固定部材は、2つの母材を保持した状態で、2つの母材が接触面を形成するように水平方向、上下方向へ位置決めできる機構(図示しない)を備えており、接触面を自由に設定できるような機構となっている。さらに図1に示す装置では、接触面近傍に高周波誘導加熱装置の発振器7に接続された加熱コイル8が配置されており、第一固定部材により固定される母材には接触面を加圧するためのサーボプレス機9が加圧治具10を介して配置されている。ここで、加圧治具10としては、サーボプレス機9からの加圧力を適切に母材へ伝えられるようなものであれば限定されるものではなく、金属からなる部材であればよい。具体的な加圧治具としては、例えば、銅製からなる部材が挙げられ、加熱された母材からの伝熱を放熱できる部材であればより好ましい。また、本発明の実施形態の装置においては、超音波発振器6及び高周波誘導加熱装置の発振器7を一体として構成してもよく、そうすることで、より一層の装置のコンパクト化が可能となり、本発明の固相接合方法をより簡便に使用することができる。
実施例1
以下,実施例を挙げて,本発明を具体的に説明する。なお,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
図1に示す構成の装置を用いて、直径20mm、肉厚1mm、長さ100mmのJIS A1070製の2本の中空状(パイプ状)アルミニウム材同士を固相接合した。具体的な接合条件は、以下の通りである。
中空状アルミニウム材の接合面は、予め、バフ研磨処理を施した後、アセトンにより脱脂した。アルミニウム材をそれぞれの固定部材に固定し、両アルミニウム材の先端の接触面同士を直接に接触させた状態に配置した。続いて、サーボプレスを用いて図2に示す圧力条件にて接触面を加圧した。尚、サーボプレス装置の条件の関係上、圧力P1として500Nの状態において一定時間停止した。続いて、停止状態からサーボプレスによって圧力P2として1099Nの設定に加圧するとともに、高周波誘導加熱装置によって昇温速度が16.7℃/secの条件で到達温度500℃の設定で昇温させた。この際、サーボプレスによる加圧は圧力P2に達した後、設定温度まで昇温される間圧力を一定に保持するよう制御した。設定温度まで加熱された時点で超音波振動条件として、出力1000W、周波数20kHz、振幅14μmにて90秒間付与した。このようにして2つのアルミニウム母材を固相接合した。
接合後、2つのアルミニウム材の接合強度を、引張試験により測定した結果、破断強度は69.6MPaであり、接合部においては破断しておらず、アルミニウム材において母材破断が起こったことを確認した。ここで、破断強度とは、金属接合材料を破断させるために必要な引張荷重又は力のことをいう。更に、アルミニウム材の接合部分の断面を顕微鏡により観察した。その結果を図3、図4により示す。図3からは、図右手において矢印で示す付近の近傍から図中央部付近へ渡ってアルミニウム材の接合部分近傍組織が塑性流動した痕跡を確認でき、上記の条件化においてアルミニウム材の接合面近傍において塑性流動が生じて、酸化皮膜の破壊が進行し固相接合が起こったことが伺える。また、図4の結果からも分かる通り、接合面近傍の酸化皮膜が分布している状態にあり、固相接合(金属接合)していることが観察された。
実施例2
図1に示す構成の装置を用いて、接合条件は実施例1と同様にして、2本の円錐台状のアルミニウム材(円錐台部分の径5mm、円錐台裾野部分の径20mm、長さ100mm、JIS A1070製)同士を円錐台部分を向かい合わせる状態で固相接合した。
実施例2においても、2つのアルミニウム材の引張試験を行ったところ、接合部においては破断しておらず、アルミニウム材において母材破断が起こったことを確認した。
実施例3〜実施例7
図1に示す構成の装置を用いて、接合条件及び2本のアルミニウム材を実施例1と同様にして、接合温度をそれぞれの場合において、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃に設定し、固相接合を行ったところ、何れの場合においても、アルミニウム材において母材破断が起こったことを確認した。それぞれの実施例の場合における接合温度と破断強度との関係を表1に示す。
比較例1
また、比較例として、上記実施例において超音波振動を付与しないということ以外は同じ条件にて2つのアルミニウム材の接合を行った。接合後、実施例と同様に引張試験を行った結果、接合強度がほとんどなく、その破断面を観察すると接触面にて破断が起こっているとみられ固相接合はされていないことが確認された。
比較例2〜6
図1に示す構成の装置を用いて、接合条件及び2本のアルミニウム材を実施例1と同様にして、超音波振動を与えずに接合温度をそれぞれ、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃に設定し、固相接合を行ったところ、何れの場合においても、破断強度がなく、接触面にて破断しており固相接合はされていないことが確認された。
上記実施例及び接合面の観察結果から、図5を参照して接合メカニズムについて以下に示す。まず、アルミニウム材同士の接触面を加圧し密着させることでアルミニウム材表面の酸化皮膜が部分的に破断し、局部的に凝着核が発生する(1凝着核の発生)。続いて、アルミニウム材を加熱し軟化させた状態で超音波振動を付与したことで、接合面近傍組織に塑性流動が生じるとともに酸化皮膜の破壊も進行して凝着核から清浄な母材面(新生面)が現れる(2新生面の出現)。その後、新生面は時間とともに拡大し、酸化皮膜が破壊された新生面同士は強固な金属結合となる(3接合部の拡大)。
本発明の実施形態を説明したが,これらは,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 :第一固定部材
2 :第二固定部材
3 :保持部
4 :ホーン
5 :圧電素子
6 :超音波発振器
7 :高周波誘導加熱発振器
8 :加熱コイル
9 :サーボプレス
10 :加圧治具
A1 :母材
A2 :母材

Claims (9)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミニウム母材と金属又は合金である金属母材とを接触させる工程と、
    前記両母材の接触面同士を押し付ける方向に加圧する工程と、
    前記接触面の近傍において一方の母材を加熱する工程と、
    一方の母材に超音波振動を付与する工程とを含み、
    前記超音波振動を前記母材を介して前記接触面に伝達する、アルミニウム母材と金属母材の固相接合方法。
  2. 前記接触面から母材の振動波長の0.25倍〜0.75倍の長さの位置を固定部材により一方の母材を固定し、前記固定部材を介して前記超音波振動が付与される、請求項1に記載の固相接合方法。
  3. 前記加圧工程の後に加熱工程を行う、請求項1又は請求項2に記載の固相接合方法。
  4. 前記アルミニウム母材に超音波振動を付与する、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の固相接合方法。
  5. 前記金属母材が酸化皮膜を有する金属又は合金である、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の固相接合方法。
  6. 前記金属母材がアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の固相接合方法。
  7. アルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミニウム母材を固定する第一固定部材と、
    金属又は合金である金属母材を固定する第二固定部材と、
    前記アルミニウム母材と前記金属母材により形成される接触面を押し付ける方向へ加圧する加圧手段と、
    前記接触面近傍を加熱する加熱手段と、
    超音波振動付与手段と、を備えており、
    前記超音波振動付与手段は、前記第一固定部材又は/及び第二固定部材に接続され、前記固定部材を介して前記接触面に超音波振動を付与する、固相接合装置。
  8. 2つの金属母材からなる固相接合部材。
  9. 大気中でその断面が加熱され、
    超音波振動を受けることによって自身の酸化皮膜が破壊され、
    前記断面に金属結合が促進されることを特徴とする、アルミニウム又はアルミニウム合金の固相接合方法。
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