(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図4に示す表示装置1は、車両に搭載されて、運転者200の前方視野内において表示を行う装置である。
車両において運転席の前方には、インストルメントパネル100が設けられている。インストルメントパネル100は、車両の上方に向いた上面部(以下インパネ上面部という)101と、運転席の方を向いた前面部102とを、有する。インパネ上面部101は、運転者200から見て手前側に位置する手前側部101aと、奥側に位置する奥側部101bとを、有する。ここで、車両の前後方向に延びた線を前後方向線とし、当該前後方向線に平行かつ車両の前方に向いた方向を奥行方向としたとき、手前側部101aは、奥行方向の奥側に向かうにしたがって次第に高くなるように若干の傾きをつけられている。奥側部101bは、奥行方向における手前側の一端が手前側部101aに接続され、当該接続部分から奥行方向における奥側に向かうにしたがって次第に低くなるように若干の傾きがつけられている。前面部102は、インパネ上面部101の奥行方向における手前側(すなわち運転席側)の端部から下方に亘って設けられている。
インストルメントパネル100には、例えば車速、エンジン回転数等の情報を表示するメータ(図示しない)が設けられている。また、インストルメントパネル100の前面部102から運転席の方に若干斜め上向きに突出するように、ステアリングコラム111が設けられている。ステアリングコラム111は、ステアリングシャフト(図示しない)を内包すると共に、灯火類(例えば前照灯、尾灯等)やワイパーの操作レバー(図示しない)が設けられている。ステアリングコラム111の先端には、車両を操舵するためのステアリング110が設けられている。
インパネ上面部101の奥側部101bの奥行方向における奥側の端部には、車両のフロントウィンドウ105の下端が接続されている。フロントウィンドウ105は、下端から上端に向かうにしたがって次第に車両の後部に近づくように、傾けて設けられている。これによりインパネ上面部101の上方空間は、フロントウィンドウ105に覆われている。換言すれば、この上方空間を間に挟んでインパネ上面部101とフロントウィンドウ105とは、対向する位置関係となっている。なお、フロントウィンドウ105は、大型車のようにインパネ上面部101に対して略90°に設けられていても良い。
表示装置1は、コンバイナ2と虚像光源ユニット3と実像表示部4と制御部5(図8参照)とを、備えている。コンバイナ2は、虚像光源ユニット3からの光140(図3、図4参照)を目視者としての車両の運転者200の側に反射させることにより、コンバイナ2の前方に表示像39の虚像35を結像させる、虚像結像部材である。すなわちコンバイナ2は、運転者200にコンバイナ2を透して虚像35を視認させる、光学部材である。そこで本実施形態のコンバイナ2は、運転者200の前方視野内において虚像光源ユニット3からの光140の進路である光路上に、配置されている。それと共にコンバイナ2は、コンバイナ2を透してコンバイナ2の前方風景も視認可能に構成されている。
具体的にコンバイナ2は、虚像光源ユニット3からの光140の一部を反射すると共に、コンバイナ2の前方からの光の一部を透過して運転者200の眼201に到達させるハーフミラーとして構成されている。こうしたコンバイナ2は、例えばアクリル、ポリカーボネート等の透明樹脂を基材として、当該基材の虚像光源ユニット3側に規定される入射面21がハーフミラーコート(換言すればビームスプリッターコート)で被覆された構造に、形成される。
コンバイナ2は、インパネ上面部101における手前側部101aと奥側部101bとの境界付近に、設けられている。本実施形態ではコンバイナ2は、インパネ上面部101に常時起立した状態に取り付けられる取付部22(図7参照)を、下部に有している。これら取付部22とインパネ上面部101との取り付け方法は、例えばネジ、爪嵌合等、どのような方法でも良い。なお、コンバイナ2は不使用時には、インストルメントパネル100内に格納可能又はインパネ上面部101に伏せた状態となるように移動可能に、設けられていても良い。
コンバイナ2は、例えば長方形の板状に形成されている。コンバイナ2は、一方の長方形面が車両後方(すなわち運転者200側及び虚像光源ユニット3側)に向き、他方の長方形面が車両前方を向くように、配置される。このとき、コンバイナ2の長方形面の長手方向は、車両左右方向に向けられる。また、図1の正面又は図2の上面から見たときに、コンバイナ2の長手方向における中心(以下、コンバイナ中心という)は運転席又はステアリング110の左右方向における中心と位置合わせされ、当該コンバイナ中心での法線は車両左右方向を向いた平面(以下、左右中心面という)130上に位置する。すなわち、コンバイナ中心と左右中心面130との車両左右方向におけるズレ量は、0である。
さらに、コンバイナ2のインパネ上面部101からの起立角度θ1(図4参照)は、運転者200側に向いたコンバイナ2の入射面21に、虚像光源ユニット3からの光140が入射可能であり、かつ、当該入射光140が運転者200の眼201の方向に反射されるように、調整されている。
本実施形態のコンバイナ2は、虚像光源ユニット3の表示像39(図4参照)と同じ大きさの虚像35を結像するように、構成されている。すなわち、表示像39に対する虚像35の大きさの比は1.0倍となっている。拡大機能を有しないコンバイナ2においては、例えばコンバイナ2の入射面21とその反対側の面とは平面となっており、入射面21とその反対側の面との間の板厚はどの部位において同じ値となっている。
虚像光源ユニット3は、虚像35を表示するための表示像39の光140を出射する。図4に示すように虚像光源ユニット3は、複数の光源31と、光源31を実装する基板32と、光源31及び基板32を収容する収容部33と、光源31の上方を覆うように設けられて光源31からの光を拡散して出射する拡散板34とを、有する。光源31は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。光源31の発光色は例えば白色であるが、白色以外の色であっても良い。各光源31は、図5に示すように一直線上に配置される。
収容部33は、遮光性を有する材質(例えば不透明樹脂)により形成されて、光源31及び基板32の上方以外の周囲を囲むように設けられる。収容部33は、光源31を実装した基板32が取り付けられる底部33aと、当該底部33aに対向した位置の開口部33bと、底部33aと開口部33bの間の空間を取り囲む側壁部33cとを、有する。図4、図5に示すように開口部33bは、複数の光源31の配列方向を長手方向とする細長い長方形状に形成、すなわち直線状に形成されている。
拡散板34は、開口部33bと同様の形状に形成されて、開口部33bに嵌められている。拡散板34は、光源31の光を拡散しつつ透過可能な材質(例えば乳白色の半透明樹脂)にて形成されている。
このように虚像光源ユニット3は、拡散板34の出射面34aを表示像39の形成面として、当該表示像39の光140を出射する発光部となっている。この表示像39は、正面から見ると細長い長方形状である。
図2〜図4に示すように虚像光源ユニット3は、インパネ上面部101に配置されている。詳しくは虚像光源ユニット3は、インパネ上面部101のうち、運転者200から見てコンバイナ2及び実像表示部4よりも手前側において、すなわち運転者200の側においてコンバイナ2に向けて光140を出射するように、配置されている。別の言い方をすると、虚像光源ユニット3は、インパネ上面部101のうち、車両の接地面に垂直な方向である車両高さ方向において実像表示部4及びステアリングコラム111よりも高い位置に、配置されている。また虚像光源ユニット3は、運転者200から見てステアリング110よりも奥側(すなわち車両前方側)に、配置されている。このように虚像光源ユニット3は、ステアリングコラム111の根元部の上辺りに配置されている。
インストルメントパネル100には、虚像光源ユニット3を支持する支持部103(図4参照)が設けられている。本実施形態では支持部103は、実像表示部4の設置面であるインパネ上面部101よりも高い位置に設けられているが、当該インパネ上面部101より低い位置に設けられていても良い。支持部103には、虚像光源ユニット3の収容部33となる凹部が形成されている。
図2、図5に示すように虚像光源ユニット3は、左右中心面130の位置に配置されている。すなわち、虚像光源ユニット3(光源31、拡散板34)と左右中心面130との車両左右方向におけるズレ量は、0となっている。また、表示像39と左右中心面130との成す角度は、0°となっている。
さらに虚像光源ユニット3は、運転者200から見て奥行方向に表示像39を寝かせた虚像35が結像されるように傾けて、配置されている。以下、図6を参照して、虚像光源ユニット3の配置角度の詳細を説明する。虚像光源ユニット3からの光140は、コンバイナ2の入射面21において反射される。このとき、光140の入射面21での反射角度θ3は、光140の入射面21への入射角度θ2と等しい。反射角度θ3にて反射された光141が運転者200の眼201に到達することで、コンバイナ2の前方に虚像35が結像されて視認される。この虚像35の結像位置は、反射光141をコンバイナ2に対して反対側に延長した線142上にて、虚像光源ユニット3から入射面21までの光学距離(光140の光路長)に応じた位置となる。このとき、虚像光源ユニット3から入射面21までの光学距離が大きいほど、コンバイナ2から離れた位置に虚像35が結像される。
ここで、表示像39の各部間でコンバイナ2までの光学距離が等しくなる位置(以下、等距離位置という)30に虚像光源ユニット3が配置された場合、すなわち虚像光源ユニット3の表示像39を形成する出射面34aがコンバイナ2の入射面21に平行に配置された場合を、考える。この場合の虚像350は、表示像39の各部間でコンバイナ2までの光学距離が等しいことから、コンバイナ2からの距離が各部間でほぼ同一となる位置に結像される。このとき虚像350は、運転者200からみて奥行方向に長さを有していない。換言すれば、表示像39の正面視形状(図5参照)がそのまま虚像350として表示されてしまう。
そこで、本実施形態の虚像光源ユニット3は、表示像39を奥行方向に寝かせた形状の虚像35が結像されるように、表示像39を形成する出射面34aを等距離位置30に対して傾けて、配置されている。詳しくは虚像光源ユニット3は、表示像39と左右中心面130との成す角度を0°に維持しつつ(図5参照)、細長長方形状の表示像39の一端から他端側に向かうにしたがって次第にコンバイナ2までの光学距離が大きくなるように、等距離位置30に対して奥行方向の反対方向に傾けられている。このとき表示像39の光140のうち、入射面21においてインパネ上面部101からの高さが高い位置に入射する光ほど、光学距離を大きくする。図6の例では、虚像光源ユニット3を等距離位置30に配置した場合の出射面34aの下側端部を基点として、出射面34aを運転者200側に傾けている。
虚像光源ユニット3を等距離位置30に対して角度θ4だけ傾けたとすると、虚像35は、虚像光源ユニット3を等距離位置30に配置した場合の虚像350の結像位置に対して、角度θ4に相当する角度θ5だけ奥行方向に傾く。ここで、図1〜図4に示すように本実施形態では、実像表示部4が表示する実像45の延長線131上に伸びて虚像35が結像されるように、虚像光源ユニット3の傾きの角度θ4は設定されている。なお、実像表示部4が配置されるインパネ上面部101の手前側部101aは、奥側に向かうにしたがって次第に高くなるように若干の傾きがつけられているので、実像表示部4により表示される実像45の延長線131も、車両の接地面に対して若干の傾きを有している。故に、延長線131上にて結像される虚像35も、車両の接地面に対して若干の傾きを有している。
なお、運転者200が変わると、眼201の高さが変わることで、虚像35の結像位置は若干変わってくる。そこで、虚像光源ユニット3の位置やコンバイナ2の起立角度θ1を運転者200の操作に基づき微調整する調整機構を設けることで、虚像35の結像位置を微調整できるようにしても良い。
本実施形態の虚像35は、実像45の延長線131上に沿って直線状に伸びる奥行方向に、長さを有している。ここで、虚像光源ユニット3(表示像39)の長手方向における長さが長いほど、虚像35の奥行方向における長さが長くなる。虚像35が奥行方向に長くなるほど、虚像35における奥側の端部35d(図1、図4参照)が現実に見える前方風景に近づくため、虚像35を見る際の運転者200の視線移動が抑えられて視認性が向上する。一方で、虚像光源ユニット3が大きくなると、虚像光源ユニット3の設置スペースの確保が困難となる。よって、虚像光源ユニット3の大きさは、虚像35の視認性と、虚像光源ユニット3の設置スペースとの観点から定められる。
虚像光源ユニット3及びこれを支持する支持部103は、フード120によって運転者200からは目視できないように配置されている。このフード120は、遮光性を有する例えば樹脂により形成されている。またフード120は、コンバイナ2の方向以外は遮光壁としての各部121〜123により虚像光源ユニット3の周囲を囲む形状に、形成されている。詳しくはフード120は、図3、図4に示すように、運転者200の側に向いた正面部121と、虚像光源ユニット3の上方を覆うように設けられる上面部122とを、有する。これら正面部121及び上面部122は、板状に形成されている。
正面部121は、インストルメントパネル100の前面部102と一体に形成されており、前面部102のうち左右方向における中央部(左右中心面130が交差する部分)の上端から上方に延設されている。正面部121は、上方に向かうにつれて次第に左右幅が小さくなる形状、すなわち台形に形成されている。
上面部122は、正面部121の上端から奥行方向に突出するように、設けられている。上面部122の正面部121からの突出量は、運転者200から虚像光源ユニット3は目視できずかつ実像表示部4は目視できるように、設定されている。これにより上面部122の先端122aは、図4、図7に示すように虚像光源ユニット3よりも奥側にて位置するが、実像表示部4よりも手前側に位置する。また上面部122は、上面視で略長方形状に形成されている。以上の正面部121及び上面部122は、インストルメントパネル100の前面部102に一体に形成されているが、別体に形成されていても良い。
さらにフード120は、図7に示すように、正面部121及び上面部122で囲まれた空間において車両左右方向に間隔をあけて配置された2つの側面部123を、有する。側面部123は、板状に形成されている。側面部123では、高さ方向の一端が上面部122に接続され、他端がインパネ上面部101に接続されている。側面部123の前後方向における一端は、正面部121に接続されている。加えてフード120は、コンバイナ2の方向には遮光壁が設けられておらず、コンバイナ2の方向に開口を有する。
このようにフード120は、インパネ上面部101においてコンバイナ2の方向に開口を有し、コンバイナ2の方向以外の方向は閉塞した形状を有する。虚像光源ユニット3及びこれの支持部103は、図4に示すように正面部121、上面部122及び2つの側面部123で囲まれた空間124に、配置される。この空間124は、運転者200から見ると目視不能な空間となっているが、コンバイナ2から見ると開いた空間となっている。これにより、運転者200からは虚像光源ユニット3を目視不能であるが、虚像光源ユニット3からの光140はコンバイナ2に到達可能となる。
ここで虚像光源ユニット3では、コンバイナ2より運転者200側において出射面34aがコンバイナ2の方向に向くように配置されて、出射面34aからの光140が反射鏡を介さないで直接にコンバイナ2に到達する。すなわち、虚像光源ユニット3とコンバイナ2の間には、虚像光源ユニット3からの光140の向きを変えて表示像39をコンバイナ2まで導く反射鏡は、図4、図6に示すように介在されていない。
図1、図3、図4、図7に示すように実像表示部4は、車両前後方向であるインパネ上面部101の奥行方向に伸びた直線状の実像45を、表示する。実像表示部4は、虚像光源ユニット3と同様の構造を有している。具体的に実像表示部4は、図4に示すように、複数の光源41と、光源41を実装する基板42と、これら光源41、基板42を収容する遮光性の収容部43と、光源41の上方を覆うように設けられて光源41からの光を拡散して出射する拡散板44とを、有する。光源41は、例えばLEDである。光源41の発光色は、例えば虚像光源ユニット3の発光色と同一色(例えば白色)である。各光源41は、基板42上に一直線に配置される。
収容部43及び拡散板44は、虚像光源ユニット3の収容部33及び拡散板34と同様に形成されている。拡散板44の出射面44aは、実像表示部4で表示する実像45を、形成する。
実像表示部4は、運転者200から目視可能な位置に配置されている。具体的に実像表示部4は、運転者200の前方視野内となるインパネ上面部101の手前側部101aに、配置されている。詳しくは手前側部101aには、実像表示部4の収容部43を構成する凹部が形成されており、光源41、基板42及び拡散板44は当該凹部に嵌められている。実像表示部4において実像45を形成する出射面44aは、インパネ上面部101の手前側部101aと同一平面に設けられるが、手前側部101aより若干凹んだ位置又は若干突出した位置に設けられていても良い。
図1、図2に示すように実像表示部4は、左右中心面130の位置に配置されている。すなわち、実像表示部4が表示する細長長方形状の実像45と左右中心面130との成す角度は、0°となっている。
図1、図4に示すように実像表示部4(実像45)の奥側の端部44bは、コンバイナ2より手前側に配置されているが、虚像35と実像45とを一つの直線状画像として視認させるためには、できるだけコンバイナ2に近い位置に配置されるのが好ましい。なお、虚像35の手前側の端部35cとコンバイナ2との距離が大きい場合には、実像表示部4の端部44bは、コンバイナ2と同一位置又はコンバイナ2より奥側の位置まで延設されていても良い。これによって、実像45と虚像35との一体性及び連続性を確保しやすくできる。
図8に示す制御部5は、各種処理を実行するCPU、CPUが実行する処理のプログラム等を記憶したROM、及びCPUの処理時に各種情報を一時的に記憶するRAM等から、構成されている。制御部5は、虚像光源ユニット3の光源31(虚像光源)及び実像表示部4の光源41(実像光源)の点灯を制御する。詳しくは車両には、図8に示すように車線維持支援システム6が搭載されており、制御部5は当該システム6の作動時に両光源31、41を点灯させ、システム6の停止時には両光源31、41を消灯させる。なお、制御部5は、例えばインストルメントパネル100内に設けられる。
ここで、車線維持支援システム6について説明する。車線維持支援システム6は、車両が高速走行中に運転者200によるステアリング110の操作が無くても自動で車線を維持するシステムである。車線維持支援システム6は、運転者200の操作により該システム6のオンオフを切り替えるスイッチ62、車両前方の風景を撮影するカメラ63、車速を検出する車速センサ64、車両の操舵機構を電動で作動させるステアリング装置65、自動の車線維持が困難な場合に運転者200に警告する警告装置66及びこれらと接続した制御部61等から、構成されている。
制御部61は、運転者200によるスイッチ62の操作によって車線維持支援システム6がオンとなり、かつ車速センサ64の検出する車速が所定値(例えば65km/h)以上となる場合に、カメラ63の撮影画像から道路の白線等の路面標示を認識し、当該路面標示により区切られる車線から逸脱しないよう、ステアリング装置65に操舵の自動制御を指令する。また制御部61は、車線のカーブ半径が急な場合等、自動の車線維持が困難な場合には、車線維持支援システム6の作動を停止する等の警告を、警告装置66に出力させる。
なお、本実施形態の車線維持支援システム6では、当該システム6の作動時に、車両の加減速操作は運転者200が行うこととなっているが、車両の加減速も自動で行うようにしても良い。この場合に車両には、前方車両との距離を検出するセンサ(例えばカメラ、レーダ等)を搭載し、当該センサにより検出された前方車両との距離に応じて車両の駆動装置(例えばエンジン、モータ等)による加速や、車両のブレーキ装置による減速を制御する。
表示装置1の制御部5と車線維持支援システム6の制御部61とは、通信可能に接続されている。制御部5は、車線維持支援システム6の制御部61からシステム6の作動、停止の情報を受信し、当該受信情報に基づいて、両光源31、41の点灯、消灯を切り替える。
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、表示像39の正面視形状をそのまま運転者200に見せるのではなく、当該形状を奥行方向に寝かせて虚像表示する。すなわち、現実の奥行方向の空間に長さを有した表示が行われるので、従来の疑似的な奥行き表現に比べて、奥行き感を出すことが可能となる。
また、実像表示部4による実像45と、虚像光源ユニット3及びコンバイナ2による虚像35とは、車線維持支援システム6の作動時に表示され、かつ運転者200の前方奥行方向に直線状に表示される。故に、運転者200には実像45及び虚像35を道路の車線を表す路面標示として想起させることができ、車線維持支援システム6によって自動で車線維持が行われていることを運転者200に容易に把握させることができる。
また、実像45及び虚像35は同一直線上に表示されるので、運転者200には実像45と虚像35とを連続性及び一体性のある像として認識させることができる。なお、ここでいう連続性及び一体性とは、実像45と虚像35との間に若干の隙間を有している場合も含む意味で、用いている。
また、実像45及び虚像35は共に現実の奥行空間に長さを有しているので、3次元をグラフィックで模した疑似的な奥行表現に比べて、奥行き感を出すことができ、車両は車線に沿って走行していることを運転者200に認識させやすくできる。
また、実像45と虚像35とを組み合わせて奥行き表現をするので、実像45と虚像35のどちらか一方のみに比べて、より奥行方向に長い表示が可能となる。すなわち、実像45だけで奥行き表現をしようとすると、インパネ上面部101の奥行幅以上の長さの表示はできない。また一方、虚像35だけで奥行き表現をしようとすると、奥行方向により長い虚像35を結像させるためには、虚像光源ユニット3やコンバイナ2が大きくなってしまう。さらに、虚像35だけで奥行き表現をしようとすると、コンバイナ2の手前側の奥行き表現ができない。これらに対して本実施形態では、実像45と虚像35とを組み合わせることで、虚像光源ユニット3やコンバイナ2を大きくしなくても、奥行方向に長い表示が可能となる。
また、虚像光源ユニット3からの光140は、反射鏡を介さないで直接にコンバイナ2に入射するので、反射鏡のない分、表示装置1の構成を簡素にでき、表示装置1が大型化するのを抑制できる。
また、虚像光源ユニット3はインパネ上面部101に配置されているので、インストルメントパネル100内の構成を簡素にできる。さらに、インストルメントパネル100内に虚像光源ユニット3を配置した構成では、当該ユニット3からの光を出射するための穴をインパネ上面部101に設ける必要があるが、本実施形態では虚像光源ユニット3がインパネ上面部101の外側に配置されているので、インパネ上面部101に穴をあける必要がなく、インストルメントパネル100の意匠性、すなわち見た目を向上できる。
また、実像45及び虚像35はフロントウィンドウ105より低い位置に表示されるが、実像45及び虚像35の表示位置は奥側に向かうにしたがって次第に高くなるので、視線をそれほど下に動かさなくても実像45及び虚像35を視認できる。故に、実像45及び虚像35の視認性を向上できる。
また、実像45及び虚像35はインストルメントパネル100の外側に表示されるので、インストルメントパネル100に設けられるメータ内に表示する場合に比べて、実像45及び虚像35を見る際の運転者200の視線移動を少なくでき、これにより実像45及び虚像35による直線像の視認性を向上できる。
また、コンバイナ2を透した前方風景の視認によれば、コンバイナ2の設置に伴う前方風景の視認性が低下するのを抑制できる。
また、虚像光源ユニット3はコンバイナ2の方向以外は遮光壁としての各部121〜123で囲まれているので、虚像光源ユニット3からの光140がコンバイナ2以外の方向に漏れてしまうのを抑制でき、当該光140を効率的にコンバイナ2に当てることができる。さらに、虚像光源ユニット3はフード120によって運転者200からは目視できないように配置されているので、インストルメントパネル100の見た目を向上できる。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図9に示す本実施形態のコンバイナ2は、虚像光源ユニット3の表示像39を拡大するレンズ機能を、有している。詳しくは、コンバイナ2の入射面21の全部が凹曲面に形成されている。すなわちコンバイナ2は、高さ方向に沿って中心に近づくにつれて次第に入射面21とその反対側の面との間の板厚が小さくなり、かつコンバイナ2の左右方向に沿って中心に近づくにつれて次第に板厚が小さくなる形状に、形成されている。
凹曲面の入射面21を有したコンバイナ2は、レンズの機能を有し、表示像39を拡大した虚像35を結像させる。これにより、図9の虚像35の奥行方向における長さは、第1実施形態の図4の虚像35の奥行方向における長さよりも長くなる。また、図9の虚像35の手前側(すなわち運転者200側)の端部35cは、図4の虚像35における手前側の端部35cよりもコンバイナ2に近い位置に、結像されることになる。それと共に、図9の虚像35の奥側の端部35dは、図1、図4の虚像35における奥側の端部35dよりもコンバイナ2から離れた位置に、結像されることになる。
ここでコンバイナ2(入射面21)の曲率が大きいほど、表示像39の拡大率は大きくなる。よって、コンバイナ2の曲率は、虚像35をどの程度の大きさで表示させるのかに基づいて適宜に設定される。なお、コンバイナ2の曲率以外の構成は第1実施形態と同じである。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られることに加えて、表示像39を拡大した虚像35が表示されるので、実像表示部4が表示する実像45の奥側の端部44bと、虚像35の手前側の端部35cとの間の隙間を、小さくできる。これによれば、より一層、実像45と虚像35とを連続した一体の画像として視認させやすくできる。
また、虚像35の奥側の端部35dをより奥側の位置に表示させることができるので、より一層、表示の奥行き感を出すことができる。
また、虚像光源ユニット3やコンバイナ2を大きくしなくても、虚像35の奥行方向の長さを確保できる。故に、虚像光源ユニット3やコンバイナ2を小型化できる。
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。第2実施形態では、コンバイナ2の全体がレンズ機能を有する例を示したが、本実施形態ではコンバイナ2の一部のみにレンズ機能を持たせている。図10に示すように、本実施形態のコンバイナ2の入射面21では、一部が凹曲面に形成され、残余部が平坦面に形成されている。
凹曲面に形成された部分(以下、凹曲面部という)21aは、虚像光源ユニット3からの光140のうち虚像35の手前側の一部を形成する光が入射する位置に、形成されている。他方、虚像光源ユニット3からの光140のうち虚像35の手前側の一部を除く残余部(すなわち虚像35の奥側部)を形成する光が入射する位置には、凹曲面部21aは形成されておらず、平坦面21bが形成されている。
コンバイナ2は、凹曲面部21aのみがレンズ機能を有している。そのため、入射面21に入射した光140のうち、凹曲面部21aに入射する光が形成する像のみ拡大され、残りの光が形成する像は等倍表示される。よって、図10に示すように、虚像35の手前側の端部35cをよりコンバイナ2に近づけることができる。なお、凹曲面部21a以外の構成は上記実施形態と同じである。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が得られることに加えて、虚像光源ユニット3やコンバイナ2を大きくしなくても、虚像35の手前側の端部35cをコンバイナ2に近づけることができる。よって、この端部35cと実像45の奥側の端部44bとの間の隙間を、小さくできる。これによれば、より一層、実像45と虚像35とが連続した一体の画像として視認させやすくできる。
また、虚像35の奥側の部分は、虚像光源ユニット3の表示像39を等倍表示しているので、拡大により虚像35が歪んでしまうのを抑制できる。
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態では、第3実施形態と同様にコンバイナ2の入射面21の一部のみに凹曲面部21aが形成されるが、当該凹曲面部21aの形成位置が第3実施形態と異なっている。すなわち、図11に示すように本実施形態の凹曲面部21aは、虚像光源ユニット3からの光140のうち、虚像35の奥側の一部を形成する光が入射する位置に形成されている。それ以外の構成は第3実施形態と同じである。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が得られることに加えて、虚像光源ユニット3やコンバイナ2を大きくしなくても、虚像35の奥側の端部35dをより奥側の位置に表示させることができる。これによれば、より一層、表示の奥行き感を出すことができる。
また、虚像35の手前側の部分は、虚像光源ユニット3の表示像39を等倍表示しているので、拡大することにより虚像35が歪んでしまうのを抑制できる。
(第5実施形態)
次に本発明の第5実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図12、図13に本実施形態の表示装置を示す。本実施形態は、虚像光源ユニット3及び実像表示部4の配置位置が上記実施形態と異なっている。また、液晶ディスプレイ7が設けられている点でも上記実施形態と異なっている。それら以外の構成は上記実施形態と同じである。
図12、図13に示すように、本実施形態の実像表示部4は、左右中心面130から車両左右方向にオフセットした位置に配置されている。図12、図13は、実像表示部4が運転者200から見て左側にオフセットした例を示しているが、運転者200から見て右側に実像表示部4がオフセットされていても良い。また、実像表示部4の左右中心面130からのオフセット量d1は、運転者200の前方視野内であれば、適宜な値に設定可能である。さらに実像表示部4は、左右中心面130と平行に配置されている。なお、配置位置以外の実像表示部4の構成は第1実施形態と同じである。
虚像光源ユニット3は、実像表示部4により表示される実像45の延長線131上にて奥行方向に長さを有した虚像35を結像させるように、配置されている。すなわち虚像光源ユニット3も、左右中心面130から実像表示部4と同じ方向にオフセットした位置に、配置されている。虚像光源ユニット3の左右中心面130からのオフセット量d2(図13参照)は、実像表示部4のオフセット量d1と同じである。また虚像光源ユニット3は、左右中心面130に平行に伸びた虚像35が結像されるように、配置されている。具体的には虚像光源ユニット3は、虚像光源ユニット3の表示像39が左右中心面130に平行となるように、配置されている。さらに、虚像光源ユニット3はフード120内に配置されている。このように、虚像光源ユニット3がオフセットした位置に配置されることで、虚像35も左右中心面130からオフセットした位置に結像される。なお、配置位置以外の虚像光源ユニット3の構成は上記実施形態と同じである。
本実施形態の表示装置1は、液晶ディスプレイ7を備えている。液晶ディスプレイ7は、液晶画面を利用して各種画像の光を出射する装置である。液晶ディスプレイ7は、フード120内において虚像光源ユニット3の隣に、配置されている。詳しくは液晶ディスプレイ7は、左右中心面130が交差する位置においてコンバイナ2に向けて画像光を出射するように、配置されている。また液晶ディスプレイ7は、コンバイナ2に対して実質平行に設けられている。すなわち、液晶ディスプレイ7が液晶画面に表示する画像の各部間では、コンバイナ2までの光学距離が実質同じとなっている。液晶ディスプレイ7は、制御部5(図8参照)の制御により、例えば車速等の情報を表示する。
液晶ディスプレイ7から出射された画像光は、コンバイナ2にて運転者200側に反射される。これにより、液晶ディスプレイ7が表示した画像の虚像71は、コンバイナ2の前方にて結像される。この虚像71は、奥行方向に長さを実質有しない像となる。
本実施形態では、上記実施形態と同様の効果が得られることに加えて、液晶ディスプレイ7による虚像71も表示されるので、より多くの情報を運転者200に提示できる。
(第6実施形態)
次に本発明の第6実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図14に示すように、本実施形態では、実像表示部及び虚像光源ユニットがそれぞれ2つ設けられている。実像表示部から説明すると、右側実像45Aを表示する右側実像表示部4Aは、運転者200から見て左右中心面130から右側にオフセットした位置に、配置されている。右側実像表示部4Aは、左右中心面130に対して平行に設けられている。左側実像45Bを表示する左側実像表示部4Bは、運転者200から見て左右中心面130から左側にオフセットした位置に、配置されている。左側実像表示部4Bは、左右中心面130に対して平行に設けられている。
これら実像表示部4A、4Bの左右中心面130からのオフセット量は、同じである。すなわち、2つの実像表示部4A、4Bは左右中心面130に対して対称位置に、配置されている。なお、配置位置以外の実像表示部4A、4Bの構成は第1実施形態の実像表示部4と同じである。
次に虚像光源ユニットを説明する。右側虚像光源ユニット3Aは、右側実像表示部4Aにより表示される右側実像45Aの延長線131A上にて奥行方向に長さを有した右側虚像35Aを結像するように、配置されている。すなわち右側虚像光源ユニット3Aも、左右中心面130から右側実像表示部4Aと同じ方向にオフセットした位置に、配置されている。右側虚像光源ユニット3Aの左右中心面130からのオフセット量は、右側実像表示部4Aのオフセット量と同じである。また右側虚像光源ユニット3Aは、左右中心面130に平行に伸びた右側虚像35Aが結像されるように、配置されている。具体的には右側虚像光源ユニット3Aは、右側虚像光源ユニット3Aの表示像39Aが左右中心面130に平行となるように、配置されている。
左側虚像光源ユニット3Bは、左側実像表示部4Bにより表示される左側実像45Bの延長線131B上にて奥行方向に長さを有した左側虚像35Bを結像するように、配置されている。すなわち左側虚像光源ユニット3Bも、左右中心面130から左側実像表示部4Bと同じ方向にオフセットした位置に、配置されている。左側虚像光源ユニット3Bの左右中心面130からのオフセット量は、左側実像表示部4Bのオフセット量と同じである。また左側虚像光源ユニット3Bは、左右中心面130に平行に伸びた左側虚像35Bが結像されるように、配置されている。具体的には左側虚像光源ユニット3Bは、左側虚像光源ユニット3Bの表示像39Bが左右中心面130に平行となるように、配置されている。
このように左右の虚像光源ユニット3A、3Bが左右中心面130からオフセットした位置に配置されることで、左右の虚像35A、35Bも左右中心面130からオフセットした位置に結像される。また虚像光源ユニット3A、3Bは、フード120内に配置されており、運転者200からは目視できないようになっている。なお、配置位置以外の虚像光源ユニット3A、3Bの構成は第1実施形態の虚像光源ユニット3と同じである。すなわち虚像光源ユニット3A、3Bは、表示像39A、39Bをインパネ上面部101の奥行方向に寝かせた形状に虚像35A、35Bが結像されるように、傾けて配置されている。
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。それに加えて本実施形態によれば、左右中心面130の左右両側には、それぞれ実像45A、45Bと虚像35A、35Bとからなる直線状の像が第1実施形態に準じて表示される。故に、道路にて両側の境界線を表す路面標示を想起させやすくでき、車線維持支援システム6(図8参照)によって自動で車線維持が行われていることを運転者200により一層把握させやすくできる。
(第7実施形態)
次に本発明の第7実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図15に示す本実施形態では、第6実施形態と同様に左右中心面130の左右両側に直線状の像45A、45B、35A、35Bを表示するが、それら像45A、45B、35A、35Bは、左右中心面130に平行となっておらず、前方に向かうにしたがって次第に左右中心面130の方に近づくように表示される。
具体的に説明すると、右側実像表示部4Aは、コンバイナ2の手前側のうち、運転者200から見て左右中心面130の右側にオフセットした位置に、配置されている。左側実像表示部4Bは、コンバイナ2の手前側のうち、運転者200から見て左右中心面130の左側にオフセットした位置に、配置されている。これら実像表示部4A、4Bは、左右中心面130に対して若干斜めの角度に配置されており、具体的には、前方に向かうにつれて次第に左右中心面130の方に近づくように配置されている。また、実像表示部4A、4Bの左右中心面130からのオフセット量は、左右対称である。配置位置以外の実像表示部4A、4Bの構成は第1実施形態と同じである。
右側虚像光源ユニット3Aは、右側実像表示部4Aにより表示される右側実像45Aの延長線131A上にて奥行方向に長さを有する右側虚像35Aを結像するように、設けられている。また左側虚像光源ユニット3Bは、左側実像表示部4Bにより表示される左側実像45Bの延長線131B上にて奥行方向に長さを有する左側虚像35Bを結像するように、設けられている。左右の虚像35A、35Bは上記したように前方に向かうにしたがって次第に左右中心面130の方に近づくように表示される。
左右の虚像光源ユニット3A、3Bは、奥行方向に長さを有する虚像35A、35Bを結像させるために、それら各虚像光源ユニット3A、3Bの表示像39A、39Bにおいてコンバイナ2に近い虚像部分を形成する部分(虚像光源ユニット3A、3Bの設置面からの高さが低い部分)ほど、コンバイナ2までの光学距離が短くなるように配置されている。加えて虚像光源ユニット3A、3Bは、左右中心面130に対して斜めの虚像35A、35Bを結像させるために、虚像光源ユニット3A、3Bの表示像39A、39Bにおいてコンバイナ2に近い虚像部分を形成する部分ほど、左右中心面130との距離が大きくなるように配置されている。要するに虚像光源ユニット3A、3Bは、それぞれの表示像39A、39Bにおいてコンバイナ2に近い虚像部分を形成する部分(虚像光源ユニット3A、3Bの設置面からの高さが低い部分)ほど、コンバイナ2までの光学距離が短く、かつ左右中心面130との距離が大きくなるように配置されている。なお、配置位置以外の虚像光源ユニット3A、3Bの構成は第1実施形態と同じである。
本実施形態によれば、右側実像45Aと右側虚像35Aとで構成される右側直線像と、左側実像45Bと左側虚像35Bとで構成される左側直線像とは、全体として末広がり(ハの字状)の像を構成することになるので、車両前方に伸びた道路を想起させやすくできる。これにより、自動で車線維持が行われていることを、運転者200により一層把握させやすくできる。
(第8実施形態)
次に本発明の第8実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。上記実施形態では直線状の像を表示する例を説明したが、本実施形態は、図16に示すように複数の円弧像46、38が奥行方向に間隔をあけて連なった実像47及び虚像37を、表示する。
具体的には、インパネ上面部101のコンバイナ2の手前側には運転者200に目視可能に実像表示部4Cが設けられている。この実像表示部4Cは、奥行方向に間隔をあけて連なった複数の円弧像46を実像47として表示する。各円弧像46は、それら円弧像46を左右方向に2等分する点が左右中心面130上に位置し、左右中心面130に対して左右対称となっている。各円弧像46は、円弧の内側が運転者200側に向くように表示される。各円弧像46は、運転者200から見て奥側の円弧像46ほど円弧長が長くなっている。
実像表示部4Cは、例えば第1実施形態に準じて、複数の光源と、光源を実装する基板と、光源及び基板を収容する収容部と、光源の上方を覆うように設けられて光源からの光を拡散して出射する拡散板とを、含んで構成される。拡散板の形状は、複数の円弧像46に対応するように、複数の円弧が奥行方向に間隔をあけて連なった形状となっている。
フード120内には、複数の円弧像38が奥行方向に間隔をあけて連なった虚像37をコンバイナ2の前方にて結像させる虚像光源ユニット3Cが、設けられている。ここで、虚像37を構成する各円弧像38は、実像表示部4Cの円弧像46と同様に、円弧像38を左右方向に2等分する点が左右中心面130上に位置し、左右中心面130に対して左右対称となっている。各円弧像38は、円弧の内側が運転者200側に向くように表示される。各円弧像38は、運転者200から見て奥側の円弧像38ほど円弧長が長くなっている。各円弧像38の円弧長は、実像表示部4Cの円弧像46の円弧長よりも長い。
虚像光源ユニット3Cは、複数の円弧像38が間隔をあけて連なった表示像39Cの光を出射するように、構成されている。虚像光源ユニット3Cは、例えば第1実施形態に準じて、複数の光源と、光源を実装する基板と、光源及び基板を収容する収容部と、光源の上方を覆うように設けられて光源からの光を拡散して出射する拡散板とを、含んで構成される。拡散板の形状は、複数の円弧像38に対応するように、複数の円弧が間隔をあけて連なった形状となっている。
虚像光源ユニット3Cは、複数の円弧像38から構成された表示像39Cをインパネ上面部101の奥行方向に寝かせた虚像37が結像されるように、傾けて配置されている。
車両には、前方車両との車間距離を計測するための波(ミリ波等)を車両前方に送信するレーダ(図示外)が搭載されている。制御部5(図8参照)はこのレーダの作動時に、実像表示部4及び虚像光源ユニット3を点灯させる。
本実施形態によれば、レーダ作動時に、奥行方向に向かうにしたがって次第に円弧長が大きくなる複数の円弧像46、38が連なって表示されるので、運転者200にレーダが作動していることを把握させやすくできる。
(第9実施形態)
次に本発明の第9実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図17、図18に示すように、インパネ上面部101には有底の凹部104が形成されている。凹部104は、運転席の正面位置に形成されており、具体的には、凹部104の左右方向における中心に左右中心面130が位置している。左右中心面130よりも凹部104の右側及び左側が、左右中心面130に対して対称な形状となっている。また凹部104は、インパネ上面部101の奥行方向の奥側に向かうにしたがって次第に左右幅が狭くなっていく形状に、形成されている。
凹部104は、図19に示すように、底面部104aと側面部104bとを有している。底面部104aでは、奥行方向における一端がインストルメントパネル100の前面部102の上端に接続され、他端が後述するメータ8の下端に接続されている。
側面部104bは、底面部104aの左右端のそれぞれに設けられており、底面部104aから上方に起立するように設けられている。側面部104bでは、奥行方向における一端がインストルメントパネル100の前面部102に接続され、他端がメータ8の左右端に接続されている。側面部104bの下端は、底面部104aに接続されている。側面部104bには、空間部108が形成されている。詳しくは側面部104bの上端は、インパネ上面部101の位置までは達しておらず、インパネ上面部101より下側位置においてインパネ上面部101と間隔をあけて配置されている。また、インパネ上面部101において左右端側上面部101eの下側には、左右端側上面部101eと間隔をあけて側面部104bから張り出すように張出部106が設けられている。底面部104a、側面部104b及び張出部106は、同一板材で形成されている。
左右端側上面部101eの裏面側には、裏面板部112が設けられている。裏面板部112は、左右端側上面部101eの裏面に接触するように設けられている。また、側面部104bから凹んだ位置において張出部106と裏面板部112の間を架け渡すように、底板部107が設けられている。
これら左右端側上面部101e、張出部106、裏面板部112及び底板部107により空間部108が形成されている。すなわち左右端側上面部101e、張出部106、裏面板部112及び底板部107は、空間部108の壁部を構成している。空間部108の壁部となる各部101e、106、112、107は、遮光性の材料で形成されている。また空間部108は、左右中心面130側に開口109を有し、当該開口109以外は遮光性の各部101e、106、112、107に囲まれた空間となっている。ここで開口109は、運転者200から視認可能である。さらに、図19の紙面に直交する方向(すなわちインパネ上面部101の奥行方向)における空間部108の幅は、凹部104の奥行方向における幅と同等である。
凹部104において右側及び左側の側面部104bに形成された空間部108には、図17、18に示すように、それぞれ実像表示部4A、4Bが設けられている。運転者200から見て右側に配置された実像表示部4Aは、図19のように設けられている。詳しくは実像表示部4Aは、複数の光源41と、光源41を実装する基板42と、光源41の光出射方向を覆うように設けられて光源41からの光を拡散して出射する拡散板44とを、有する。光源41は、例えばLEDである。基板42は、細長長方形状に形成されている。基板42は、長手方向がインパネ上面部101の奥行方向(すなわち図19の紙面に直交する方向)に向き、かつ光源41の実装面が空間部108の開口109に向くように、配置される。なお、基板42は、例えば底板部107にネジ等により固定されている。
複数の光源41は、基板42の長手方向に沿って一直線上に実装されている。光源41は、空間部108の開口109に向けて光を出射するように、設けられる。
拡散板44は、空間部108の開口109と同等の形状、すなわち細長長方形状に形成されている。拡散板44は、開口109を塞ぐように設けられている。図19では拡散板44は、側面部104bから若干引っ込んだ位置に設けられているが、側面部104bと同一平面を形成するように設けられていても良い。張出部106には、拡散板44を設置するための凹部150が形成されている。拡散板44の下端は、この凹部150に嵌まっている。また拡散板44の上端は、裏面板部112又は左右端側上面部101eに固定されている。
光源41からの光が拡散板44を介して開口109から出射されることで、当該開口109が照明される。この照明像は、インパネ上面部101の奥行方向に長さを有した直線状の像となる。
なお、図17に示す他方の実像表示部4Bの構成は、実像表示部4Aの構成と同様である。
実像表示部4A、4Bは、左右中心面130に対して斜めの角度に、第7実施形態に準じて設けられている。具体的には実像表示部4A、4Bは、奥行方向の奥側に向かうにしたがって次第に左右中心面130に近づいていくように、設けられる。したがって、実像表示部4A、4Bが表示する実像45A、45Bも、奥行方向に向かうにしたがって次第に左右中心面130に近づいていく。
虚像光源ユニット3A、3B(図18参照)は、各実像表示部4A、4Bによる実像45A、45Bの延長線131A、131B上にそれぞれ虚像35A、35Bを結像させるように、設けられている。図18に示すように虚像光源ユニット3A、3Bは、凹部104に配置されており、それ以外は第7実施形態と同様である。なお、凹部104もインパネ上面部101の一部と考えると、本実施形態においても、虚像光源ユニット3はインパネ上面部101に配置されているといえる。
図17に示すように、凹部104の奥行方向における奥側の端部には、例えば車速、エンジン回転数等を表示するメータ8が配置されている。図20に示すようにメータ8は、カバー81と、文字板82と、指針83と、基板84と、LED85と、モータ86と、ケース87と、支持部88とを備えている。
カバー81は、メータ8の最前面に配置される部材であり、例えばポリカーボネート等の透明樹脂により略長方形の板状に形成されている。カバー81は、凹部104の運転席側に向いた正面を構成し、凹部104の底面部104aから上方に起立するように設けられている。詳しくは、インパネ上面部101のうち凹部104の奥側に位置する部分を奥側インパネ上面部101c(図18参照)としたときにカバー81は、底面部104aの奥側の端部と奥側インパネ上面部101cの手前側の端部との間を架け渡す形態にて、設けられている。カバー81の下端は、ケース87に固定されている。カバー81の上端は、奥側インパネ上面部101cの手前側の端部に固定されている。詳しくは、奥側インパネ上面部101cの手前側の端部の裏面側には裏面部材113が設けられており、カバー81の上端はこの裏面部材113に固定されている。
文字板82は、カバー81の背後に配置されている。文字板82は、例えばポリカーボネート等の透明樹脂により形成された基材と、当該基材の表面又は裏面に形成された遮光印刷層とを、有する。文字板82には、部分的に遮光印刷層が形成されていない部分が存在する。この遮光印刷層が形成されていない部分は、文字板82の照明部を構成する。文字板82の照明部は光を透過し、それ以外の部分(遮光印刷層が形成された部分)は遮光する。照明部には、指針83の指示する目盛部が含まれている。文字板82の表面は、メータ8の表示面を構成し、目盛部等の照明部による像が表示される。
文字板82は、奥行方向に傾いた状態で配置されている。すなわち、文字板82の下端82aよりも上端82bの方が奥側に位置している。また上端82bは、下端82aよりも高い位置に位置している。
指針83は、文字板82の表面に沿って回転可能に設けられる。詳しくは指針83は、基部83aから裏側に突出する突出部83cを、有する。文字板82には、突出部83cが設けられる位置に穴82cが形成されており、突出部83cはこの穴82cに挿入された状態で設けられる。突出部83cは、文字板82に直角に設けられる回転軸831の一端に、接続されている。突出部83c及び基部83aは、文字板82の上端82bよりも下端82aに寄った位置に配置されている。基部83aが回転軸831の中心線回りに回転することで、指針83の先端83bが半円状の軌跡で移動する(図17も参照)。この指針83の移動軌跡に沿って目盛部が形成されている。なお、目盛部は、指針83の移動軌跡と同様に半円状に形成されている。また指針83は、例えばアクリル等の導光体で形成されており、照明可能に構成されている。
基板84は、文字板82の背後において文字板82と平行に配置されている。基板84の文字板82側の面には、文字板82の照明部(目盛部等)及び指針83の基部83aに向けて光を出射するように、LED85が実装されている。基板84の裏面側には、指針83を駆動するためのモータ86が配置されている。モータ86は、回転軸831において指針83が接続される側とは反対側の端部に接続されて、回転軸831を回転させる。
ケース87は、奥側インパネ上面部101cの下側に配置されて、メータ8を構成する各部を収容又は支持する。ケース87は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂、ABS樹脂等の遮光性を有する樹脂により、形成されている。
支持部88は、文字板82及び基板84を支持する部分である。支持部88は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂、ABS樹脂等の遮光性を有する樹脂により、形成されている。
メータ8は、LED85及びモータ86を制御する制御部を、有する。この制御部は、実像表示部4A、4B及び虚像光源ユニット3A、3Bを制御する制御部5(図8参照)と同一であっても良いし、制御部5とは別に設けられていても良い。また制御部は、基板84に実装されていても良いし、基板84以外の部分に設けられていても良い。
メータ8の制御部は、メータ8を作動させる時には、LED85を点灯させて文字板82の照明部及び指針83を照明する。加えて制御部は、例えば車速、エンジン回転数等を検出するセンサの検出値を取得して、指針83が当該検出値を指示するようにモータ86を回転させる。
コンバイナ2は、奥側インパネ上面部101cの手前側の端部から上方に起立するように、設けられている。すなわちコンバイナ2は、メータ8のカバー81と同等の奥行方向位置に設けられている。これによりコンバイナ2の下側には、カバー81が配置されている。
コンバイナ2は、下部に取付部22を有し、当該取付部22が奥側インパネ上面部101cに取り付けられている。詳しくは取付部22は、コンバイナ2の裏側の方向に、コンバイナ2の入射面21に対して略直角に突出するように、形成されている。取付部22は、奥側インパネ上面部101cと、裏面部材113の間に挟み込まれるようにして取り付けられている。このようにコンバイナ2は、奥側インパネ上面部101cに対して常時起立した状態に、取り付けられる。
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、右側実像45Aと右側虚像35Aとで構成される右側直線像と、左側実像45Bと左側虚像35Bとで構成される左側直線像とは、全体として末広がり(ハの字状)の像を構成することになるので、車両前方に伸びた道路を想起させやすくできる。これにより、自動で車線維持が行われていることを、運転者200により一層把握させやすくできる。
また、実像表示部4A、4Bは凹部104の側面部104bに設けられ、すなわち車両の左右方向の向きに実像45A、45Bの光を出射するように設けられ、さらに光源41の上方が遮光性の左右端側上面部101eで覆われているので、実像表示部4A、4Bからの光がフロントウィンドウ105の方向に進行してしまうのを抑制できる。これによれば、実像表示部4A、4Bの表示する実像45A、45Bがフロントウィンドウ105に映ってしまうのを抑制できる。
また、メータ8はインパネ上面部101においてインストルメントパネル100の前面部102よりも奥側に配置されているので、前面部102に配置される場合に比べて、メータ8を目視する際の運転者200の視線移動を少なくでき、メータ8の視認性を向上できる。さらにメータ8が奥側に配置されることで、インストルメントパネル100の前面部102辺りに、虚像光源ユニット3の配置スペースを確保しやすくできる。
また、メータ8の文字板82は奥行方向に傾いた状態で配置されているので、傾けないで配置された場合に比べて、大きい表示面を有した文字板82を採用できる。これによれば、メータ8の表示を大きく見せることができる。
また、コンバイナ2の下にメータ8のカバー81が配置されているので、コンバイナ2とメータ8との一体感を出すことができる。
(第10実施形態)
次に本発明の第10実施形態を、上記実施形態と異なる部分及び上記実施形態を補足する部分を中心に、説明する。なお、以下では、表示装置1の搭載される車両を自車両という。
図21、図22に示す本実施形態では、第7実施形態に準じて左右中心面130の左右両側に表示される直線状の像35A、35B、45A、45Bは、道路のうち自車両の走行車線を区切る路面標示(例えば白線等)を表した標示図形となる。このとき、自車両において運転者200から見た右側虚像35Aよりも手前側には、延長線131A上にて当該虚像35Aと連続性を有した標示図形の右側実像45Aが、インパネ上面部101上の実像表示部4Aにより直線状に表示される、また、自車両において運転者200から見た左側虚像35Bよりも手前側には、延長線131B上にて当該虚像35Bと連続性を有した標示図形の左側実像45Bが、インパネ上面部101上の実像表示部4Bにより直線状に表示される。
ここで特に図21、図22には、第9実施形態の図17に準じて断続する複数の直線状に表示された虚像35A、35Bが例示されているが、第7実施形態の図15に準じて各虚像35A、35Bがそれぞれ連続する単一の直線状(図示しない)に表示されても良い。これら左右の虚像35A、35Bは、第1実施形態と同様の原理により図23に示すように、それぞれ対応する虚像光源ユニット3A、3Bの表示像39A、39Bとなる標示図形の一部が運転者200から見て奥行方向に寝かせられることで、同方向にて長さを有する形状に結像される。
具体的には、フード120の空間124を含むインパネ上面部101の上方空間101fのうち一部は、発光部としての各虚像光源ユニット3A、3Bからコンバイナ2まで表示像39A、39Bの光140を案内する表示光路143を、構成している。すなわち、光路形成部としてのフード120及びインパネ上面部101は、虚像光源ユニット3A、3Bからの光140をコンバイナ2へと直接的に入射させる表示光路143を、形成している。ここで表示光路143は、運転者200から見てフロントウィンドウ105よりも手前側に配置されたコンバイナ2に対して、さらに手前に形成される。
このような表示光路143を通じた光案内作用(すなわち導光作用)により表示像39A、39Bの各虚像35A、35Bは、運転者200から見た奥行方向に寝かせて結像されることで、表示光路143の光軸144に対して傾く斜めの像面145を構成する。これにより、虚像35A、35Bの結像される像面(すなわち結像面)145は、上方へ向かうほど運転者200から離間する奥行方向(すなわち奥側)に、傾くこととなる。
こうした寝かせ及び傾きは、各虚像光源ユニット3A、3Bの表示像39A、39Bを形成する出射面34aからコンバイナ2の入射面21までの光学距離が等しくなる等距離位置30に対して、当該出射面34aが第1〜第9実施形態に準じて傾けて配置されていることに、依拠する。なお、以上の寝かせ及び傾きは、第1実施形態で説明した調整機構が設けられない場合に成立することは勿論、当該調整機構が設けられる場合には虚像35A、35Bの結像位置の微調整範囲内にて成立する。
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、表示像39A、39Bの正面視形状をそのまま虚像表示するのではなく、奥行き方向に寝かせた結像により表示像39A、39Bの虚像表示を、虚像光源ユニット3A、3Bからの表示光路143の光軸144に対して斜めに傾かせることとなる。すなわち、現実空間の奥行方向に長さを有した虚像表示が行われ得るので、従来の疑似的な奥行き表現に比べて、奥行き感を出すことが可能となる。
また、運転者200から見て自車両のフロントウィンドウ105よりも手前側のコンバイナ2により表示像39A、39Bが反射されることで、奥行き方向に寝かせた虚像35A、35Bが結像され得る。これによれば、体格の制限されるコンバイナ2を虚像結像部材とした場合でも、奥行き感を出す虚像表示を実現することが可能となる。しかも、コンバイナ2までの光学距離が等しくなる等距離位置30に対して傾けた虚像光源ユニット3A、3Bによれば、虚像表示を奥行き方向に確実に寝かせて奥行き感を出すことが可能となる。
また、路面標示を表した標示図形である表示像39A、39Bの虚像35A、35Bよりも手前側に、それぞれ虚像35A、35Bとの連続性を有した標示図形の実像45A、45Bが表示されることによれば、それら虚像35A、35Bの奥行感が強調され得る。なお、以上の本実施形態の効果は、先に説明した第1〜第9実施形態でも同様に発揮され得る。
(第11実施形態)
次に本発明の第11実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図24、図25に示す本実施形態では、第10実施形態の表示構成に加えて、虚像71を表示する第5実施形態の液晶ディスプレイ7が追加されている。
図25に示す第2発光部としての液晶ディスプレイ7は、フード120内のうち、左右の虚像35A、35Bを表示する第1発光部としての虚像光源ユニット3A、3B間に、配置されている。液晶ディスプレイ7は、虚像光源ユニット3A、3Bの表示像39A、39Bである標示図形とは異なる表示像70の光146として、液晶画面72に表示した画像の光を、図26に示す如くコンバイナ2へと向けて出射する。液晶ディスプレイ7からの出射光146がコンバイナ2にて運転者200側に反射されることで、コンバイナ2の前方に表示像70の虚像71が結像される。
その結果、図24に示すように本実施形態では、自車両を例えば模式絵又は写真等で表した車両図形が、表示像70の虚像71として表示される。このとき虚像71は、図24、25に示すように実像表示部4A、4Bの左右中心面130上となる限りにて、虚像35A、35B間のうち走行車線における自車両の左右位置に応じた箇所に、表示される。それと共に虚像71は、第5実施形態と同様の原理により図26に示すように、液晶ディスプレイ7の表示像70となる車両図形を運転者200から見て奥行方向には実質寝かせないで、同方向にて実質長さを有しない形状に結像される。
具体的には、フード120の空間124を含むインパネ上面部101の上方空間101fの一部は、表示像70の光146を液晶ディスプレイ7からコンバイナ2まで案内する表示光路147を、構成している。すなわち、光路形成部としてのフード120及びインパネ上面部101は、第10実施形態で説明の表示光路143と同様な第1表示光路143に加えて、液晶ディスプレイ7からの光146をコンバイナ2へと直接的に入射させる第2表示光路147を、形成している。ここで、運転者200の前方視野内においてコンバイナ2は、各虚像光源ユニット3A、3Bからの第1表示光路143上だけでなく、液晶ディスプレイ7からの第2表示光路147上にも、配置されている。
このような第2表示光路147を通じた光案内作用(すなわち導光作用)により表示像70の虚像71は、運転者200から見た奥行方向での寝かせ具合が実質0となるように結像されることで、第2表示光路147の光軸148に対して実質垂直な像面149を構成する。これにより、第2表示像となる表示像70の虚像71が結像される像面(すなわち結像面)149の奥行方向への寝かせ具合は、第1表示像となる表示像39A、39Bの虚像35A、35Bが第10実施形態と同様に結像される像面145の奥行方向への寝かせ具合(図23参照)よりも、小さくなる。
こうした寝かせ具合は、液晶ディスプレイ7の表示像70を形成する液晶画面72からコンバイナ2の入射面21までの光学距離が等しくなる等距離位置にて、当該画面72が第5実施形態に準じて入射面21と実質平行に配置されていることに、依拠する。なお、以上の寝かせ具合は、第1実施形態で説明した調整機構が設けられない場合に成立することは勿論、当該調整機構が設けられる場合には虚像35A、35B、71の結像位置の微調整範囲内にて成立する。
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態によれば、表示像70の虚像71が結像される像面149の奥行方向への寝かせ具合は、表示像39A、39Bの虚像35A、35Bが結像される像面145の奥行方向への寝かせ具合よりも、小さい。故に、虚像71を基準として虚像35A、35Bの奥行き感を強調できる。
ここで、自車両を表した車両図形である表示像70の虚像71に対して、路面標示を表した標示図形である表示像39A、39Bの虚像35A、35Bは、より奥行方向に寝かせて遠近表示され得る。これにより運転者200には、自車両とその前後方向に伸びる車線との位置関係を直感的に想起させて、車線維持機能の作動状態を認識させることができる。しかも、奥行方向に寝た標示図形の虚像35A、35Bよりも手前側に、それぞれ虚像35A、35Bとの連続性を有した標示図形の実像45A、45Bが、第10実施形態と同様に表示されることで、路面標示が直感的に想起され易くなり、車線維持機能の作動状態認識性が高められ得る。
なお、例えば前方車両等の他車両を表した車両図形である表示像70の虚像71を表示させることで、第1実施形態にて説明した当該他車両に対する加減速機能の作動状態を、運転者200に認識させるようにしても良い。
(第12実施形態)
次に本発明の第12実施形態を、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図27、28に示す本実施形態では、第11実施形態においてコンバイナ2が設けられない代わりに、車両のフロントウィンドウ105が虚像結像部材として機能する。
具体的にフロントウィンドウ105は、虚像光源ユニット3A、3Bからの光140を運転者200の側に反射させることで、フロントウィンドウ105の前方に表示像39A、39Bの虚像35A、35Bを結像させる。またフロントウィンドウ105は、液晶ディスプレイ7からの光146を運転者200の側に反射させることで、フロントウィンドウ105の前方に表示像70の虚像71を結像させる。
そこで本実施形態のフロントウィンドウ105は、運転者200の前方視野内において各虚像光源ユニット3A、3Bからの第1表示光路143上及び液晶ディスプレイ7からの第2表示光路147上に、配置されている。それと共にフロントウィンドウ105は、車両の前方風景も視認可能に構成されている。但し、本実施形態の第1及び第2表示光路143、147は、インストルメントパネル100においてインパネ上面部101に開口する内部空間100aのうち一部ずつにより、それぞれ構成されている。
各虚像光源ユニット3A、3Bからの第1表示光路143上には、光140の向きを変えつつ、表示像39A、39Bを拡大してフロントウィンドウ105まで案内する拡大反射鏡90が、配置されている。また、液晶ディスプレイ7からの光146からの第2表示光路147上には、光146の向きを変えつつ、表示像70を拡大してフロントウィンドウ105まで案内する拡大反射鏡91が、配置されている。なお、以上の拡大反射鏡90、91は、光140、146の反射方向を変えるように駆動可能に配置されることで、第1実施形態で説明した調整機構を構成していても良い。
このような構成下、第1表示光路143を通じた光案内作用により表示像39A、39Bの各虚像35A、35Bは、第10実施形態で説明の如く奥行方向に寝かせて結像されることで、第1表示光路143の光軸144に対して傾く斜めの像面145を構成する。また、第2表示光路147を通じた光案内作用により表示像70の虚像71は、第11実施形態で説明の如く奥行方向での寝かせ具合が実質0となるように結像されることで、第2表示光路147の光軸148に対して実質垂直な像面149を構成する。
これらにより本実施形態でも、虚像71が結像される像面149の奥行方向への寝かせ具合は、虚像35A、35Bが結像される像面145の奥行方向への寝かせ具合よりも、小さくなる。なお、こうした寝かせ具合は、拡大反射鏡90、91等により構成される調整機構が設けられない場合に成立すること勿論、当該調整機構が設けられる場合には虚像35A、35B、71の結像位置の微調整範囲内にて成立する。
本実施形態によれば、運転者200から見て自車両のフロントウィンドウ105により表示像39A、39B、70が反射されることで、奥行き方向に寝かせた虚像35A、35B、71が結像され得る。これによれば、虚像結像部材としてコンバイナ2を省略しても、自車両のフロントウィンドウ105を活用して、奥行き感を出す虚像表示を実現することが可能となる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものはなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限度で種々の変更が可能である。
例えば第1〜第11実施形態では、虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cがインストルメントパネル100内に配置されても良い。この場合にインパネ上面部101には、虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cからの光を出射させるための穴があけられる。また、この場合に虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cとコンバイナ2の間には第12実施形態に準じて、虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cからの光をコンバイナ2の方に反射させる反射鏡が設けられても良い。
第1〜10実施形態では第12実施形態に準じて、虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cからの光140がフロントウィンドウ105により反射されることで、虚像表示が実現されても良い。第5実施形態では第12実施形態に準じて、液晶ディスプレイ7からの光146がフロントウィンドウ105により反射されることで、虚像表示が実現されても良い。
第12実施形態では第1〜第4、第6〜第11実施形態に準じて、表示像70を虚像71として表示するための液晶ディスプレイ7が設けられなくても良い。第12実施形態では、虚像光源ユニット3A、3Bがインパネ上面部101に配置されても良い。
第1〜第12実施形態では、実像表示部4、4A、4B、4C及び虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cは、出射する光の色を状況に応じて変更可能に構成されても良い。この場合に実像表示部4、4A、4B、4C及び虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cの光源として、1つのLEDで複数色の光を発光可能な多色LEDが採用されても良いし、互いに異なる色の発光する複数の単色LEDが採用されても良い。これによって、運転者200に各状況を把握させやすくできる。例えば、通常時には白色の光を発光させ、注意喚起時には赤色の光を発光させることで、運転者200に現在の状況が注意すべき状況であることを容易に把握させることができる。
第1〜第12実施形態では、実像表示部4、4A、4B、4C及び虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cは、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の画像表示ディスプレイにより構成されても良いし、例えば微小電気機械システム(MEMS)又はデジタルミラーデバイス(DMD)等を用いた画像投射器により構成されても良い。また第7及び第12実施形態では、液晶ディスプレイ7に代えて、他の種類のディスプレイ又は投射器が採用されても良い。これらの場合、例えばある状況では第1〜第7、第9〜12実施形態のような直線状の像を表示し、別の状況では第8実施形態のような円弧状の像を表示する等、状況に応じて表示する実像45、45A、45B、47及び虚像35、35A、35B、37、71が変更されても良い。
第1〜7、第9〜12実施形態では直線状の像、また第8実施形態では円弧状の像として表示される実像45、45A、45B、47及び虚像35、35A、35B、37については、それら実像と虚像とが奥行方向に連続性を有しているのであれば、直線状及び円弧状以外の形状の像が表示されても良い。
第1〜第12実施形態では、インパネ上面部101以外の箇所(例えば、コンビネーションメータ内)にて、実像表示及び虚像表示が実現されても良い。第1〜第12実施形態では、実像表示部4、4A、4B、4Cが設けられないことで、実像表示のない状態での虚像表示が実現されても良い。
第1〜第12実施形態では、運転者200の前方視野内にて実像表示及び虚像表示を実現する例を説明したが、運転者200以外の乗員の前方視野内にて実像表示及び虚像表示
が実現されても良い。また第1〜第12実施形態では、運転者200の前方視野以外の視野(例えば側方視野、後方視野)内にて実像表示及び虚像表示が実現されても良い。
第11及び第12実施形態の奥行方向では、虚像35A、35Bの結像される像面145の寝かせ具合よりも小さくなる範囲にて、虚像71の結像される像面149が奥行方向に寝かせられても良い。第11及び第12実施形態の奥行方向では、虚像35A、35Bの結像される像面145の寝かせ具合が、虚像71の結像される像面149の寝かせ具合より小さくされても良い。この場合には、液晶ディスプレイ7が第1発光部に対応し且つ虚像光源ユニット3A、3Bが第2発光部に対応する。
第1〜第11実施形態では、虚像光源ユニット3、3A、3B、3Cからの光を運転者200側に全反射させ、かつ前方風景からの光は遮光する全反射ミラーが、コンバイナ2として採用されても良い。これによれば、虚像35、35A、35B、37、71の視認性を向上できる。第5〜第11実施形態では、第2〜第4実施形態のうちいずれかに準じたコンバイナ2が採用されても良い。第9実施形態では、メータ8のカバー81とコンバイナ2とが同一部材で一体に形成されても良い。
以上の他に本発明は、目視者から見て車両のリアウィンドウよりも手前側(すなわち車両前方側)に配置されるコンバイナ、又は当該リアウィンドウを利用して虚像表示を実現する表示装置に、適用されても良い。また本発明は、例えば航空機又は船舶等、車両以外搭載される表示装置に、適用されても良い。