JP2018076977A - 太陽熱集熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状空間の真空度を確保して熱損失を増加させず、効率の低下を防止できる太陽熱集熱装置を提供する。
【解決手段】熱媒の上流側である集熱管2a〜2cまでを低温グループAとし、集熱管2d〜2fまでを中間グループBとし、熱媒の下流側出る集熱管2g〜2iまでを高温グループCとし、グループ毎に第1収容部材271に収容されるゲッタ材28の量を違う量としている。各熱媒流通管20のゲッタ材28の量は、熱媒の上流側である低温グループAに対して中間グループBの方が多く設けられ、中間グループBに対して熱媒の下流側である高温グループCの方が多く設けられる。
【選択図】図3

Description

この発明は、太陽熱集熱装置に関し、特に、気体を吸着するゲッタ材が設けられた太陽熱集熱装置に関する。
太陽熱集熱装置では、各種熱媒が流れる金属製の熱媒流通管を太陽光により加熱することで、熱媒を加熱して熱を利用する。この時、熱媒流通管から大気中に熱伝達されて熱媒から熱が失われないようにするために、熱媒流通管は光を透過するガラス管により覆われており、熱媒流通管とガラス管との間の環状空間は真空状態に保たれている。これにより、熱媒流通管は大気に対して断熱されている。
しかし、例えば熱媒流通管を構成している金属から気体分子が放出されたり、また、熱媒が加熱により分解されて発生した気体分子が熱媒流通管を貫通したり、あるいは、熱媒流通管とガラス管との接合部分から大気の気体分子が侵入すること等により、環状空間内に気体が侵入する。これらの気体は、主として分子の大きさが小さい水素である。気体が環状空間に侵入することで、環状空間の真空度が低下するので、熱媒流通管の大気に対する断熱性が徐々に低下する。これにより、太陽熱集熱装置の熱損失が増大し効率が低下する。
特許文献1に記載の太陽熱集熱装置では、環状空間に気体を吸着するゲッタ材が設けられていることで、環状空間の真空度が確保されている。
特開2015−14444号公報
ところで、一般的な太陽熱集熱装置では、複数の熱媒流通管が直列に接続されており、ポンプにより熱媒が複数の熱媒流通管に順次流通されることで、熱媒が上流から下流に流れるにしたがい徐々に熱媒が加熱されていく。したがって、太陽熱集熱装置の上流側よりも下流側の方が熱媒の温度が高くなる。
これにより、太陽熱集熱装置の熱媒の下流側では、上流側に比べて環状空間の真空度を確保することが難しくなるので、太陽熱集熱装置の熱損失が増大し効率が低下するという課題があった。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、熱媒の上流側よりも高温になる下流側でも、環状空間の真空度を確保して熱損失を増加させず、効率の低下を防止できる太陽熱集熱装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明に係る太陽熱集熱装置は、熱媒が流通可能な熱媒流通管と、熱媒流通管との間に環状空間を形成して、熱媒流通管の外周を覆うガラス管と、環状空間に存在する気体を吸着するゲッタ材とを備える集熱管を複数直列に接続する太陽熱集熱装置であって、各集熱管に設けられる前記ゲッタ材の量は、熱媒の上流側よりも下流側の方が多い。
ゲッタ材を収容し保持する収容部材を備え、収容部材が、複数設けられていてもよい。
この発明に係る太陽熱集熱装置によれば、熱媒が流通可能な熱媒流通管と、熱媒流通管との間に環状空間を形成して、熱媒流通管の外周を覆うガラス管と、環状空間に存在する気体を吸着するゲッタ材とを備える集熱管を複数直列に接続する太陽熱集熱装置であって、各集熱管に設けられるゲッタ材の量は、熱媒の上流側よりも下流側の方が多いので、上流側よりも高温になる下流側でも、環状空間の真空度を確保して熱損失を増加させず、効率の低下を防止できる。
この発明の実施の形態1に係る太陽熱集熱装置の集熱管の断面概略図である。 図1に示すゲッタホルダの概略図である。 この発明の実施の形態1に係る太陽熱集熱装置の概略図である。 この発明の実施の形態2に係る太陽熱集熱装置の概略図である。 この発明の実施の形態1又は2の変形例に係るゲッタホルダの概略図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による太陽熱集熱装置の集熱管の一端を示す断面概略図である。
太陽熱集熱装置1は、複数の集熱管2から形成されている。集熱管2は、例えば溶融塩等の熱媒が流通可能な熱媒流通管20と、熱媒流通管20との間に環状空間21を形成して、熱媒流通管20の外周を覆うガラス管22とが設けられている。ガラス管22の全長は、熱媒流通管20の全長よりも短くなるように形成されている。
ガラス管22の端部220には、熱媒流通管20と同心円状に設けられた円筒形状の部材であり、コバールで形成されたコバールリング23が設けられている。コバールリング23には、熱媒流通管20と同心円状に設けられた環状のベローズリング24が溶接により接続されている。ベローズリング24には、熱媒流通管20と同心円状に設けられた環状のベローズ25の一端が溶接により接続されている。ベローズ25の他端には、熱媒流通管20と同心円状に設けられた薄板状で環状の部材であるフランジ26が溶接により接続されている。フランジ26の内周は、熱媒流通管20の端部200の外周に溶接により接続されている。
熱媒流通管20と、ベローズリング24と、ベローズ25と、フランジ26とは、例えばステンレス鋼等の金属で形成されている。また、ベローズ25は、熱媒流通管20とガラス管22との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収部材を構成している。
ガラス管22と、コバールリング23と、ベローズリング24と、ベローズ25と、フランジ26と、熱媒流通管20とにより、環状空間21は太陽熱集熱装置1の周辺の大気に対して密閉されており、真空状態に保たれている。
ベローズリング24には、熱媒流通管20と同心円状のゲッタホルダ27が、ベローズリング24よりも径方向内側に位置するように取り付けられている。
図2に示すように、ゲッタホルダ27には、ベローズリング24に接続される支持部材270と、ゲッタ材を収容し保持する第1収容部材271が設けられている。第1収容部材271は、支持部材270に接続されている。
また、ゲッタホルダ27は周方向の一部が欠けた環状であり、該欠けた部分272から第1収容部材271に、タブレット状に形成された任意の量のゲッタ材28が挿入される。
ゲッタ材28は、例えばジルコニウム系合金やチタン等の任意の金属を形成したものであり、図1に示す環状空間21内の気体分子を吸着するために設けられている。なお、ゲッタ材28の材質及び形状は、他の適当な構成であってもよい。また、図1には集熱管2の一端を示したが、他端も同様の構成である。
図3に示すように、各集熱管2a〜2iの各熱媒流通管20a〜20iは、それぞれ直列に接続され、太陽熱集熱装置1を構成している。図示しないポンプにより、熱媒は、各熱媒流通管20内を順次流通する。このとき、太陽光が太陽熱集熱装置1の各集熱管2a〜2iに当たり、ガラス管22を透過して熱媒流通管20を加熱する。熱媒は熱媒流通管20内を順次流通する間に加熱されていくので、例えば上流側が350℃に対して下流側が650℃である等、上流側より下流側の熱媒の方が熱媒の温度が高くなる。よって熱媒の熱が伝わる熱媒流通管20においても、例えば図3に示す上流側の熱媒流通管20aから順に下流側の熱媒流通管20iに辿るに従い温度は高くなる。
前述したように、図1に示すとおり、環状空間21は密閉されるように構成されている。しかし、熱媒流通管20を構成している金属に吸着されていた気体や、熱媒流通管20及びガラス管22の接合部分から漏れ入った気体が、環状空間21に放出される。また、熱媒が熱により分解されて生じた気体が、熱媒流通管20を貫通して環状空間21に放出される。これらの気体は主として分子の大きさが小さい水素である。気体が環状空間21に放出されることで、環状空間21の真空度が低下するので、熱媒流通管20の大気に対する断熱性が徐々に低下する。これにより、太陽熱集熱装置1の熱損失が増大し効率が低下する。
一般的には、熱媒流通管20を形成する金属が高温になるほど、金属に吸着されていた気体の環状空間21への放出量が増加する。また、熱媒流通管20が高温になるほど、熱媒が分解されることによる水素等の気体の発生量が増加し、気体が熱媒流通管20を透過して環状空間21への放出量が増加する。
前述したように、環状空間21に放出された気体分子が、ゲッタ材28により吸着されることで、環状空間21の真空度が維持される。これに対して、一定量あたりのゲッタ材28の気体の吸着量は、ゲッタ材28が高温になるほど減少する。ゆえに、図3に示すような太陽熱集熱装置1の全体において各環状空間21(図1参照)内の真空度の真空度を一定に維持するためには、下流側の集熱管2iに近いほどゲッタ材28(図1参照)の量を増やす必要がある。
そのため、この発明の実施の形態1では、熱媒の上流側である集熱管2a〜2cまでを低温グループAとし、集熱管2d〜2fまでを中間グループBとし、熱媒の下流側である集熱管2g〜2iまでを高温グループCとし、グループ毎に第1収容部材271に収容されるゲッタ材28の量を違う量としている。例えば低温グループAでは熱媒流通管20a〜20cの第1収容部材271(図1参照)に各4個のゲッタ材28が収容され、中間グループBでは熱媒流通管20d〜20fの第1収容部材271に各12個のゲッタ材28が収容され、高温グループCには熱媒流通管20g〜20iの第1収容部材271に各20個のゲッタ材28が収容されている。
こうして、各熱媒流通管20のゲッタ材28の量は、熱媒の上流側である低温グループAに対して中間グループBの方が多く設けられ、中間グループBに対して熱媒の下流側である高温グループCの方が多く設けられている。従って、太陽熱集熱装置1の全体においてゲッタ材28の気体の吸着量が略一定に保たれる。
このように、熱媒が流通可能な熱媒流通管20と、熱媒流通管20との間に環状空間21を形成して、熱媒流通管20の外周を覆うガラス管22と、環状空間21に存在する気体を吸着するゲッタ材28とを備える集熱管2を複数直列に接続する太陽熱集熱装置であって、各集熱管2に設けられるゲッタ材28の量が、熱媒の上流側よりも下流側の方が多いので、熱媒の上流側よりも高温になる下流側でも、環状空間21の真空度を確保して熱損失を増加させず、太陽熱集熱装置の効率の低下を防止できる。
なお、実施の形態1では、9個の集熱管2a〜2iを3個ずつ低温グループAと、中間グループBと、高温グループCとにグループ分けしていたが、太陽熱集熱装置1全体における集熱管2の数は、太陽熱集熱装置1を設置するプラントの構成により適宜必要な数であってもよく、また、太陽熱集熱装置1における集熱管2のグループの数、各グループに含まれる集熱管2の数、各グループのゲッタ材28の数については、それぞれ環状空間21の真空度を保つためにプラントの構成や周囲環境によって決定される、適当な任意の数であってもよい。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2の構成を説明する。尚、以下の実施の形態において、図1〜図3の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
実施の形態2は、各集熱管2に配置されるゲッタ材28の量を、集熱管2毎に変更したものである。
図4に示す太陽熱集熱装置10は、ゲッタ材28(図1参照)の量以外は図3に示す実施の形態1の太陽熱集熱装置1と同じ構成である。しかし、実施の形態1の太陽熱集熱装置1とは異なり、集熱管2について低温グループA、中間グループB、高温グループCのグループ分けはされていない。
太陽熱集熱装置10では、各集熱管2の各第1収容部材271に配置されるゲッタ材28を、集熱管2毎に熱媒の上流側よりも下流側の方において量が増加するようにそれぞれ配置している。例えば、集熱管2aにはゲッタ材28が1個設けられ、集熱管2bにはゲッタ材28が2個設けられ、集熱管2cにはゲッタ材28が3個設けられるというように、熱媒の下流側に近づくに従いゲッタ材28の量を1個ずつ増加させていき、下流側の集熱管2iにはゲッタ材28が9個設けられている。
このように、集熱管2に配置されるゲッタ材28の量が、集熱管2毎に熱媒の上流側よりも下流側の方が増加するように配置されているので、実施の形態1よりもさらに細かく、各熱媒流通管20の温度に対して適当な量のゲッタ材28を配置することができる。
なお、実施の形態2では、9個の集熱管2a〜2iが設けられ、集熱管2aにはゲッタ材28が1個設けられ、熱媒の下流側に近づくに従いゲッタ材28の量を1個ずつ増加させて設けられていたが、太陽熱集熱装置1全体における集熱管2の数は、太陽熱集熱装置1を設置するプラントの構成により適宜必要な数であってもよく、また、集熱管2毎のゲッタ材28の数については、それぞれ環状空間21の真空度を保つためにプラントの構成や周囲環境によって決定される、適当な任意の数であってもよい。
また、実施の形態1及び2では、第1収容部材271を1個有するゲッタホルダ27が太陽熱集熱装置1及び10に設けられていたが、図5に示すような、第1収容部材271と第2収容部材273との2個又は2個以上の収容部材を連ねて有しているゲッタホルダ27aを太陽熱集熱装置1及び10に設けてもよい。これにより、ゲッタホルダ27を設けた場合よりもゲッタホルダ27aを設けた場合の方が収容部材の数が増えるので、ゲッタ材28の量をより柔軟に調整することができる。
また、実施の形態1及び2では、支持部材270と第1収容部材271と欠けた部分272を有する、熱媒流通管20と同心円状のゲッタホルダ27又はゲッタホルダ27aを集熱管2に設けていたが、ゲッタホルダ27又はゲッタホルダ27aの構成及び形状はその他の構成及び形状であってもよい。
1,10 太陽熱集熱装置、2,2a〜2i 集熱管、20,20a〜20i 熱媒流通管、21 環状空間、22 ガラス管、28 ゲッタ材、271 第1収容部材(収容部材)、273 第2収容部材(収容部材)。

Claims (2)

  1. 熱媒が流通可能な熱媒流通管と、
    前記熱媒流通管との間に環状空間を形成して、前記熱媒流通管の外周を覆うガラス管と、
    前記環状空間に存在する気体を吸着するゲッタ材と
    を備える集熱管を複数直列に接続する太陽熱集熱装置であって、
    前記各集熱管に設けられる前記ゲッタ材の量は、前記熱媒の上流側よりも下流側の方が多い
    ことを特徴とする太陽熱集熱装置。
  2. 前記ゲッタ材を収容し保持する収容部材を備え、
    前記収容部材が、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
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