JP2018075310A - 心電図解析装置、心電図解析方法、および生体情報計測装置 - Google Patents

心電図解析装置、心電図解析方法、および生体情報計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】心電図信号に基づく左室肥大の新たな診断基準として利用可能な、R波の大きさに依存しない指標を算出可能な心電図解析装置を提供すること。【解決手段】左室側壁の電気的活動を反映する心電図信号のS波の終了点からT波の終了点までの区間について、予め定められた基線のレベルを基準とした心電図信号の値の和に基づく指標を、左室肥大に関する指標として算出する。【選択図】図2

Description

本発明は心電図解析装置、心電図解析方法、および生体情報計測装置に関する。
生活習慣病や加齢によって末梢血管の柔軟性が低下すると血圧が上昇し、心臓の負荷が増加する。心臓の負荷が増加した状態が継続すると、血液を全身に送り込むために収縮する左心室の心筋繊維が太くなり、左心室壁の厚さが増加する(左室肥大)。
左室肥大が進行すると、心筋間質の線維化が進行し、冠血流予備能が低下する。そして、心臓のしなやかさが低下することにより、左心室の拡張機能が低下し、十分な血流を全身に送れなくなると、心不全や重篤な不整脈などを引き起こす。そのため、左室肥大の有無や進行状態を把握することが重要である。
従来、左室肥大による心電図の変化として、R波の増高、QRS幅増加、ST区間の低下、T波減高、T波陰転(ストレインパターン)などが知られている。そして、心電図での左室肥大診断基準として、Sokolow-Lyon基準、Cornell Voltage、Cornell voltage-duration product(Cornell Productとも呼ばれる)などが知られている(非特許文献1)。これらはいずれも心電図のR波の大きさに依存した基準である。
小森孝洋、苅尾七臣、「危険因子 心電図・左室肥大」、動脈硬化予防、第9巻第4号、第98〜101ページ、2011年1月10日発行、メジカルビュー社
しかしながら、例えばR波の大きさは、左室肥大の初期段階では増加が認められるものの、症状が進行すると減少に転じる場合がある。そのため、例えば左室肥大がかなり進行した状態は、上述の基準で検出できない場合がある。
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、心電図信号に基づく左室肥大の新たな診断基準として利用可能な、R波の大きさに依存しない指標を算出可能な心電図解析装置、心電図解析方法、および生体情報計測装置の提供を目的とする。
上述の目的は、左室側壁の電気的活動を反映する心電図信号を取得する取得手段と、心電図信号において、S波の終了点からT波の終了点までのST−T区間を検出する検出手段と、ST−T区間について、予め定められた基線のレベルを基準とした心電図信号の値の和に基づく指標を左室肥大に関する指標として算出する算出手段と、を有することを特徴とする心電図解析装置によって達成される。
このような構成により、本発明によれば、心電図信号に基づく左室肥大の新たな診断基準として利用可能な、R波の大きさに依存しない指標を算出可能な心電図解析装置、心電図解析方法、および生体情報計測装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る心電図解析装置の一例としての心電計の機能構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態で用いる指標を模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る心電図解析処理に関するフローチャートである。 本発明の実施例1に関する評価結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る心電図解析装置の一例としての、心電計100の機能構成例を示すブロック図である。なお、心電計に限らず、心電図信号を計測可能な任意の電子機器(例えば生体情報モニタ、ホルター心電計、携帯心電計など)に本発明を適用可能である。
さらに、心電図信号(誘導信号)を計測するための構成は本発明に必須でない。本発明に係る心電図解析装置は、予め計測された心電図データを、通信可能に接続された外部装置(サーバ装置、記憶装置など)や、記憶媒体(メモリカードなど)から取得するなど、任意の方法で取得可能な任意の電子機器で実現できる。このような電子機器には例えばパーソナルコンピュータ(ノート型、デスクトップ型など)、携帯電話機、タブレット端末、メディアプレーヤなどが含まれるが、これらに限定されない。
図1において、CPU1はROM2に格納されている制御プログラムをRAM3に読み出して実行することにより、後述する心電図解析処理を始めとした、心電計100の各種機能を実現する。ROM2はCPU1が実行するプログラムや、メニュー画面などを表示するためのGUIデータ、ユーザ設定データ、初期設定データなど、処理に必要なパラメータ等を記憶する不揮発性メモリであり、少なくとも一部が書き換え可能であってよい。RAM3はCPU1が実行するプログラムを展開する領域や、変数やデータ等の一時記憶領域として用いられる。メモリカード4は生体電極から入力される心電図信号や、別の生体電気信号やデータをデジタルデータの形式で記憶する記憶装置である。メモリカード4は、カードスロット5に対して着脱可能に装着される。
表示部6は例えば液晶表示装置である。操作部8は電源のオン、オフや計測の開始、停止、各種イベント入力などを行ったり、各種の設定を行なったりするためのスイッチ、ボタンなどからなる。操作部8は表示部6に設けられたタッチパネルを含んでもよい。
また、アナログ−デジタル変換器(A/D変換器)9は心電図電極12から誘導コードを通じて入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。センサ用I/F10は、心電図電極12からの心電図信号(誘導信号)を取得するためのインターフェースである。なお、センサ用I/F10には心電図電極12以外にも、SpO(動脈血酸素飽和度)センサや血圧・脈波計測用のカフなどを接続可能であってもよい。
通信インターフェース20は例えばホストコンピュータやプリンタ等の外部機器40と通信を行うための通信インターフェースであり、有線および/または無線通信規格に準拠した構成を有する。なお、プリンタは外部機器40としてではなく、内蔵機器として通信インターフェース20に接続されてもよい。
このような構成を有する心電計100を用いて心電図信号(誘導信号)の取得及び記録を行う場合、被検者の体表面の所定の位置に心電図電極12を取り付け、心電図電極12に一端を接続された誘導コードの他端をセンサ用I/F10に接続する。
本実施形態においては、心電図信号から左室肥大に関する特徴を検出するため、左室側壁の電気的活動を反映する誘導を得るように心電図電極12を配置する。具体的には例えばI、aVL、V5、V6、X、CM5、mCM5、CC5、MCL5、(もしくはこれらと同等または類似する誘導)の1つ以上を取得するように心電図電極12を配置する。具体的にどの誘導を取得するかは心電図電極12の電極数や種類に応じて決定することができる。
例えば操作部8の操作によって電源が投入されると、CPU1は初期化処理など、心電図信号の取得を開始する前のタイミングで、心電図信号を取得するための動作モードの設定処理を行うことができる。また、CPU1は必要に応じて、心電図信号の記録動作の開始前に、日時や、被検者を特定可能な情報(例えば患者IDなど)を、ユーザに設定させるための入力画面などを表示してもよい。
そして、例えば操作部8からの記録開始指示の入力や、電源投入時からの所定時間経過などに応じて、CPU1は心電図の記録動作を開始する。なお、心電図信号の取得自体は、記録開始指示より前に実行されてよい。例えば、表示部6に現在の動作モードに応じた波形表示を行うことで、動作モードの設定が正しく行われているかどうかをユーザが確認することを可能にする。
心電図信号はA/D変換器9により所定のサンプリングレート(例えば125Hz〜数KHz)でサンプリングされ、デジタル信号の形式でメモリカード4や外部機器40に記録される。なお、心電図信号の計測ならびに記録動作は本発明と直接関係がなく、また従来と同様であってよいため、これ以上の説明は省略する。
(提案する指標の説明)
本実施形態では、左室肥大によって心電図に生じるストレインパターンと呼ばれるST区間およびT波の形状変化、具体的にはST区間の下降とT波の陰転化を評価する新たな指標を提案する。
具体的には、QRS区間(またはS波)の終了点(SE)およびT波の終了点(TE)までの区間(ST−T区間)における、基線のレベルを基準とした心電図信号の値の和に基づく指標を提案する。
指標は例えば、ST−T区間における、
(a)基線のレベルを0とした心電図信号の値の和、もしくは
(b)基線と、心電図信号が表す波形との間に形成される領域の符号付きの大きさの和
であってよい。ここで、領域の符号付きの大きさとは、基線より上に形成される領域の大きさの符号を正、基線より下に形成される領域の大きさの符号を負とした大きさを意味する。
図2は、指標AUSTの例を模式的に示した図である。図2(a)および(c)は、基線23を自拍のQRS区間(またはQ波)の開始点(QB)と、自拍のT波の終了点(TE)とを通る直線とした場合を示している。また、図2(b)は、基線24を自拍および次拍のP波の開始点(PB)を結ぶ直線とした場合を示している。なお、基線はこれらに限定されず、例えば自拍のPB、QB、またはTEを通る水平な直線などであってもよい。なお、複数拍の心電図信号を平均して得られる1つの平均波形から指標AUSTを算出する場合には、その平均波形の区分点だけに基づく基線を設定する。
指標(a)については、例えば、ST−T区間で得られた心電図信号の値から基線レベルの値を減じた結果の和として算出することができる。また、指標(b)については、例えば、ST−T区間で得られた心電図信号の値から基線レベルの値を減じた結果に、所定値(例えばサンプリング間隔)を乗じた結果の和として算出することができる。つまり、図2(c)のように、心電図信号のST−T区間に、基線23より下の区間と上の区間とが存在する場合、基線の下側に形成される領域33(または心電図信号の値)の大きさは負、基線の上側に形成される領域34(または心電図信号の値)の大きさは正として和を求める。
なお、指標AUSTの算出には、ST−T区間で得られた心電図信号の全ての計測値(サンプル値)を用いてもよいが、例えば計測値(サンプル値)を1つおきに用いて算出するなど、一部の計測値を用いなくてもよい。
(心電図信号の解析処理)
次に、本実施形態に係る心電図信号の解析処理について図3のフローチャートを用いて説明する。解析処理は心電図信号の計測時に実施してもよいし、記録済みの心電図信号に対して実施してもよい。また、上述したように、心電計100のような計測装置ではなく、計測機能を持たない装置で実施してもよい。以下では、予めROM2に記憶された心電図信号の解析プログラムをRAM3に展開してCPU1が実行することによって解析処理を実行するものとするが、解析処理の少なくとも一部がASIC、ASSP、FPGA等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
S101でCPU1は、メモリカード4もしくは通信可能に接続された外部機器40から、解析対象の心電図信号を取得する。取得する心電図信号は、上述の通り、左室側壁における電気的活動を反映する誘導であり、ここでは典型例としてV5誘導の信号を取得するものとする。なお、左室側壁における電気的活動を反映する誘導が複数計測されている場合には、それらの2つ以上を取得してもよい。例えば標準12誘導が計測されている場合であれば、V5誘導に加えてI誘導aVL誘導、およびV6の1つ以上について信号を取得することができる。複数種類の誘導の信号を取得する場合、同じ計測期間についての心電図信号を取得する。CPU1は取得した心電図信号をRAM3に記憶する。解析対象の計測期間が長時間にわたる場合、S101では所定時間分ずつ心電図信号を取得する。
次にS103でCPU1は、RAM3に記憶されている心電図信号のサンプル列に対し、必要に応じてノイズ除去などの前処理を適用してから、公知の方法で一拍ごとの波形に分割したのち、直近の所定拍数分の心電図信号から1つの平均波形信号を生成する。平均波形信号を何拍分の信号から生成するかは任意に定めることができるが、例えば10拍分とすることができる。なお、例えば診察時や健康診断などにおいて医療機関で計測される場合のように、安静状態で計測される心電図信号については平均せずにそのまま用いてもよい。また、信号レベルが極端に大きい(小さい)区間や、ノイズの影響を受けていると思われる区間のように、安定した計測が行われていない区間の信号や、不整脈が発生していると思われる区間の信号は除外する。
そして、CPU1は、平均波形信号(または計測された一拍分の心電図信号)に対して、上述した指標AUSTを算出する。具体的には、S1031でCPU1は公知の方法により波形区分点を検出し、QRS波の区間およびST−T区間を決定する。次にS1033でCPU1は基線を決定し、決定した基線を表す関数を求める。上述したように、様々な基線を用いることができるが、ここでは自拍のQ波の開始点(QB)とT波の終了点(TE)とを結ぶ直線を基線として用いるものとする。従って、基線を表す関数は、
y=(TEの計測値−QBの計測値)/(TEに対応する時刻−QBに対応する時刻)t+の計測値
ただし、yは基線レベル、tはQBに対応する時刻をt=0とする経過時間
として決定することができる。
S1035でCPU1は、平均波形信号(または計測された一拍分の心電図信号)の、S波の終了点(SE)からT波の終了点(TE)までの時間区間(SE−TE区間)に得られた個々の計測値(サンプル値)について、対応する時刻の基線レベルとの差
(計測値−基線レベル)
を符号付きで積算することにより、指標AUST(上述の指標(a))を算出する。
なお、指標AUSTとして上述の指標(b)を算出する場合には、
(計測値−基線レベル)×サンプリング周期
を符号付きで積算すればよい。
次にCPU1はS105で、算出した指標AUSTが予め定められた閾値未満か否かを判定し、閾値未満と判定されればS107に、判定されなければS111に、それぞれ処理を進める。ここで用いる閾値は、少なくとも解析する誘導の種類に応じて予め決定し、ROM2に保存してことができる。また、より正確な判定のために、解析する誘導の種類と、被検者の性別、年齢(範囲)、体重(範囲)など他の1つ以上の項目との組み合わせごとに閾値を決定して保存しておくこともできる。
S107でCPU1は、左室肥大の疑いがあると判定する。そして、S109でCPU1は、メッセージを表示部6に表示したり、解析した心電図波形とともにプリントアウトするなどしてその場で報知したり、解析した拍(自拍)の心電図信号のデータにイベント情報を関連づけて記録したりする。なお、ここでは説明および理解を容易にするために、指標AUSTと閾値との大小関係だけで左室肥大の疑いがあると判定するものとした。しかし、S波やR波の大きさやQRS区間の幅に基づく従前の診断基準のような他の条件の1つ以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、Sokolow-Lyon基準、Cornell Voltage、およびCornell voltage-duration productのいずれか1つ以上と、指標AUSTが閾値未満であることの両方、または少なくとも一つを満たす場合に左室肥大の疑いがあると判定することができる。
S111でCPU1は、解析処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定されれば解析処理を終了し、判定されなければ処理をS101に戻して解析処理を継続する。CPU1は、解析対象の心電図信号の全てに対して解析が終了した場合や、ユーザによる終了指示が検出された場合に、解析処理を終了すると判定することができる。
なお、ここでは心電図解析処理において指標AUSTの算出のみを説明したが、実際には不整脈など他の異常心電図の検出処理なども実行される。
また、ここではメモリカード4や外部機器40に記録済みの心電図信号を取得する場合について説明したが、計測してリアルタイムで心電図をプリントアウトする心電計においても、図3に示した処理を実行することができる。この場合、一般的には安静状態で計測が行われるため、S103でのAUST算出を一拍ごとに実施してもよい。また、計測時間(10秒程度)中に得られた心電図信号の平均波形に対してAUST算出を実施してもよい。
(実施例)
日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究(J−HOP:Japan Morning Surge - Home Blood Pressure)の対象患者4310名のうち、心電図信号が計測されている834名(平均年齢63±11才、うち男性52%)に対してフォローアップ中の心電図信号データを用いて指標AUSTの検証を行った。
具体的には、各患者について計測日時が最も古い心電図信号データ(10秒間)のうちV5誘導の正常拍の信号の平均波形について、QBとTEとを通る直線を基線として、基線レベルを0としたときの心電図信号の値をST−T区間において加算した指標AUST(上述の指標(a))をコンピュータを用いて算出した。また、同様にaVLおよびV3誘導の信号についてCornell voltageも算出した。
指標AUSTの値を小さい順(絶対値が最大の負の値から絶対値が最大の正の値への順)にソートし、20%ごとに区分した。そして、最も小さい値の区間に指標AUSTに対応する患者をQ1(167人)とし、以降Q2、Q3、Q4、Q5(計667人)とした。また、Cornell Voltageを満たす患者群をCV−LVH(+)(125人)、満たさない患者群をCV−LVH(−)(709人)とした。
図4は、これらの患者について、平均追跡期間6.2年の間に発生した、58の心血管イベント(心血管死亡、心筋梗塞、心不全、脳卒中など)の発症率(縦軸)と追跡日数(横軸)との関係をカプランマイヤー曲線で示したものである。
図4(a)は、CV−LVH(+)とCV−LVH(−)との比較を示している。図4(b)は、Q1とQ2〜Q5との比較を示している。
Cornell voltage(RaVL+SV3≧2.0[mv](女性)または2.8[mv](男性))を満たす患者群(CV−LVH(+))は、条件を満たさない患者群(CV−LVH(−))よりも心血管イベントの発症率が高いことが図4(a)からわかる。また、ログランク検定によるp値は0.04であり、有意水準を5%とすれば両者に有意な差が認められる。
また、指標AUSTが小さい患者群Q1は、そうでない患者群Q2〜Q5よりも心血管イベント発症率が高いことが図4(b)からわかる。ログランク検定によるp値は0.001であり、有意水準を5%とすれば両者に有意な差が認められる。そして、患者群Q1とQ2〜Q5との心血管イベント発症率の有意差は、Cornell voltageを満たす患者群と満たさない患者群との心血管イベントの発症率の有意差よりも大きい。
これはすなわち、この患者群については、Cornell voltageに該当することよりも、指標AUSTが小さいこと(ここでは指標AUST≦0.084[msec・mV])の方が、心血管イベントの発症率により強い関連性を有することを意味する。つまり、この患者群については、指標AUSTがCornell voltageよりも、将来的に心血管イベントを発症するリスクを推定するための指標として有用であることがわかる。
以上説明したように本実施形態によれば、左心側壁の電気的活動を反映する心電図信号のS波の終了点からT波の終了点までのST−T区間について、予め定められた基線のレベルを基準とした心電図信号の値の和に基づく指標AUSTを提案した。この指標は、R波の大きさに依存しないため、従来用いられているR波の大きさに依存した指標(Cornell Voltageなど)で検出しづらい、左室肥大が進行してR波の高さが減少に転じている期間の患者についても左室肥大のリスクを精度良く検出することができる。また指標AUSTの閾値は定量化することが可能であるため、性別や年齢などの組み合わせに応じて解析を進めることにより、一層信頼性の高い評価基準として用いることが可能になる。
また、健康診断などで定期的に計測する心電図信号から左室肥大のリスクを検出することができるため、心エコーを行う前のスクリーニングにも有用である。また、心電計などにも容易に実装可能である。さらに、従前用いられている心電図信号に基づく指標との組み合わせも容易であるという利点もある。
なお、本発明に係る心電図解析装置は、一般的に入手可能な、パーソナルコンピュータのような汎用情報処理装置に、上述した動作を実行させるプログラム(アプリケーションソフトウェア)として実現することもできる。従って、このようなプログラムおよび、プログラムを格納した記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM等の光学記録媒体や、磁気ディスクのような磁気記録媒体、半導体メモリカードなど)もまた本発明を構成する。
1…CPU、2…ROM、3…、RAM、4…メモリカード、5…カードスロット、6…表示部、8…操作部、9…A/D変換器、10…センサ用インターフェース、12…心電図電極、20…通信インターフェース、40…外部機器

Claims (14)

  1. 左室側壁の電気的活動を反映する心電図信号を取得する取得手段と、
    前記心電図信号において、S波の終了点からT波の終了点までのST−T区間を検出する検出手段と、
    前記ST−T区間について、予め定められた基線のレベルを基準とした前記心電図信号の値の和に基づく指標を、左室肥大に関する指標として算出する算出手段と、
    を有することを特徴とする心電図解析装置。
  2. 前記算出手段は、前記ST−T区間について、前記基線のレベルを0とした前記心電図信号の値の和を前記指標として算出することを特徴とする請求項1に記載の心電図解析装置。
  3. 前記算出手段は、前記ST−T区間について、前記基線と、前記心電図信号が表す波形との間に形成される領域の符号付きの大きさの和を前記指標として算出することを特徴とする請求項1に記載の心電図解析装置。
  4. 前記算出手段は、前記領域のうち、前記基線の上側に形成される領域の大きさを正の大きさ、前記基線の下側に形成される領域の大きさを負の大きさとして前記領域の符号付きの大きさの和を算出することを特徴とする請求項3に記載の心電図解析装置。
  5. 前記基線が、前記心電図信号のQRS区間の開始点と、前記T波の終了点とを通る直線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の心電図解析装置。
  6. 前記基線が、前記心電図信号のQRS区間の開始点、P波の開始点、もしくは前記T波の終了点を通る水平な直線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の心電図解析装置。
  7. 前記基線が、前記心電図信号の自拍および次拍のP波の開始点を結ぶ直線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の心電図解析装置。
  8. 前記指標が予め定められた閾値未満である場合に、予め定められた報知および記録の少なくとも一方を行う出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の心電図解析装置。
  9. 前記出力手段は、前記指標が予め定められた閾値未満であり、かつ、前記心電図信号のR波の大きさおよびQRS区間の幅に基づく別の条件が満たされる場合に、前記予め定められた報知および記録の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項8に記載の心電図解析装置。
  10. 前記別の条件が、Sokolow-Lyon基準、Cornell Voltage、およびCornell voltage-duration productのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の心電図解析装置。
  11. 前記取得手段が、被検者に装着された電極から前記心電図信号を取得することを特徴とする請求項1から請求項10に記載の心電図解析装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の心電図解析装置を有することを特徴とする生体情報計測装置。
  13. 装置が実行する心電図解析方法であって、
    左室側壁の電気的活動を反映する心電図信号を取得する取得工程と、
    前記心電図信号において、S波の終了点からT波の終了点までのST−T区間を検出する検出工程と、
    前記ST−T区間について、予め定められた基線のレベルを基準とした前記心電図信号の値の和に基づく指標を、左室肥大に関する指標として算出する算出工程と、
    を有することを特徴とする心電図解析方法。
  14. コンピュータを、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の心電図解析装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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