JP2018074355A - 帰還増幅装置及びこれを使用した送信機 - Google Patents
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Abstract
Description
この歪補償の1つとして、カルテシアンループ歪補償がある。このカルテシアンループ歪補償は、入力ベースバンド信号(I、Q)に電力増幅器の出力信号の一部を直交復調した帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を直交座標成分毎に負帰還させる。具体的には、入力ベースバンド信号(I、Q)から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を減算し、その差分値を入力ベースバンド信号(I、Q)に加算することで、電力増幅器で生じる歪成分をキャンセルして歪補償される。入力ベースバンド信号(I、Q)から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を減算する際、入力ベースバンド信号(I、Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相に位相差があるとカルテシアンループ方式の帰還増幅器の動作が不安定となり、最悪の場合には電力増幅器が発振する場合もある。この位相差が生じる原因として、帰還路のループ長や電力増幅器の位相特性、温度特性等がある。従って、入力ベースバンド信号(I、Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相を調整し、その位相差をなくす必要がある。従来の位相調整は、入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相をそれぞれ検出してその位相差をゼロにするように調整していたが、位相の検出精度が悪く位相差をゼロにすることが難しいという問題があった。このため入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相を検出することなく、位相差を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、検出したそれぞれのスプリアスの電力が小さくなるように位相器でローカル信号の位相を調節するようにしている。
そこで、本発明は上記先行技術の課題に着目してなされたものであり、入力ベースバンド信号と帰還ベースバンド信号との位相差を調整するための回路を簡素化できるカルテシアンループ方式の帰還増幅装置及びこれを使用した送信機を提供することを目的としている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、送信機10は、カルテシアンループ方式の帰還増幅装置を有する送信機として構成されている。この送信機10は、送信データからベースバンド信号を生成するベースバンド信号生成部21、ベースバンド信号生成部21から出力されたベースバンド信号を直交変調して変調信号を増幅するカルテシアンループ方式の帰還増幅装置30と、帰還増幅装置30から出力される送信信号を送信する送信アンテナ50とを備えている。
帰還増幅装置30は、位相調整部31、歪補償部32、ローパスフィルタ33a,33b、直交変調部34、局部発振器35、アップコンバータ36、電力増幅器37、方向性結合器38、アッテネータ39、ダウンコンバータ40、直交復調部41及び電流検出部43を備えている。
歪補償部32は、エラーアンプ32a及び32bを備えている。エラーアンプ32aは、ベースバンド信号生成部21から出力されるベースバンド信号の同相成分信号Iと、直交復調部41から出力される帰還同相成分信号I′とが入力され、同相成分信号Iと帰還同相成分信号I′との同相成分差分値ΔI(=I−I′)を同相成分信号Iに加算し、電力増幅器37で生じる同相成分信号Iの歪成分をキャンセルしてローパスフィルタ33aに出力する。
ローパスフィルタ33bは、エラーアンプ32bから出力される直交成分信号Qの高周波数帯域のノイズ成分を除去して直交変調部34に出力する。
直交変調部34は、同相成分信号用変調器34a、直交成分信号用変調器34b、90°移相器34c及び加算器34dを備えている。
直交成分信号用変調器34bは、ローパスフィルタ33bから入力される直交成分信号Qで局部発振器35から出力されたのち90°移相器34cで90°移相されたローカル信号を変調した直交成分変調信号を加算器34dに出力する。
アップコンバータ36は、直交変調部34からの変調信号をRF帯域(例えば260MHz〜270MHz帯域)の所定の周波数にアップコンバートしてRF信号SRFに変換し、そのRF信号SRFを後段の電力増幅器37に出力する。
アッテネータ39は、帰還直交変調信号のレベルを調整してレベル調整後の帰還直交変調信号をダウンコンバータ40に出力する。
ダウンコンバータ40は、RF帯域の帰還送信信号を所定の周波数にダウンコンバートして直交復調部41に出力する。
同相成分信号用復調器41aは、位相シフト部31aで位相調整されたローカル信号によってダウンコンバータ40から出力される帰還直交変調信号を復調して得た帰還同相成分信号I′を歪補償部32のエラーアンプ32aに出力する。
この帰還同相成分信号I′と帰還直交成分信号Q′をそれぞれ歪補償部32のエラーアンプ32a、エラーアンプ32bに負帰還させてカルテシアンループ方式の歪補償を行っている。
位相調整部31は、電流検出部43で検出された消費電流検出値Idに基づいて直交復調部41に入力されるローカル信号の位相を調整して、入力ベースバンド信号(I,Q)と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)との位相差がほぼゼロとなるようにする。
入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差と電力増幅器37の消費電流Idとの関係を実測すると、図3の実線図示のように、逆台形状の特性線L1で表される。すなわち、位相差0°から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相を進ませて位相差を3°,6°・・・のようにプラス方向に大きくして行くと、位相差6°までは消費電流Idは最小電流をほぼ維持するが、位相差9°で僅かに消費電流Idが増加し、その後、位相差が12°,15°と大きくなると消費電流が急激に増加する。
消費電流Idの最小電流の範囲は、位相差ゼロを中心に位相差の大小方向に対して幅がある。従って、消費電流Idを基に位相差の調整を行う場合には、消費電流が最小電流となっている位相差のセンター値になるように位相調整を行うことで位相差はほぼゼロとなる。
この位相制御処理は、送信開始時に実行されるが、送信開始後所定時間経過する毎に繰り返し実行してもよい。
ステップS2では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値Idを位相制御部31b内のメモリ(図示なし、以下メモリとする)に記憶してからステップS3に移行する。
このステップS5では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値をIdとして読込んでメモリに記憶してからステップS6に移行する。
ステップS8では、位相指令値φtを再度初期値φt(0)に設定し、次いでステップS9に移行して、ローカル信号の位相を現在の位相指令値φtから1段階遅らせる位相指令値となるように、位相指令値φtを現在の位相指令値φt(0)から位相シフト量Δφ(=3°)を減算し、新たな位相指令値φt(−1)と設定してからステップS10に移行する。なお、nは、ローカル信号の位相を1段階ずつ遅らせるために、位相シフト量Δφ(=3°)を減算される毎にデクリメントされる。
このステップS11では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値Idとして読込んでメモリに記憶してからステップS12に移行する。
このステップS13では、現在の位相指令値φt=φt(n)の一つ前の位相指令値φt=φt(n+1)を位相下限値φtmin(図3ではφt(−3))として位相制御部31ab内のメモリに記憶してからステップS14に移行する。
ステップS16では、メモリに記憶されている位相指令値の上限値φtmax及び位相指令値の下限値φt(min)を読込み、位相指令値の上限値φt(max)及び位相指令値の下限値φtminの平均値を新たな位相指令値φtとして設定してからステップS17に移行する。
したがって、電力増幅器37の消費電流が最小となるように位相シフト部31aでローカル信号の位相を調整することで、入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差をほぼゼロとすることができる。
Claims (4)
- ベースバンド信号とローカル信号から直交変調信号を生成する直交変調部と、
該直交変調部から出力される直交変調信号を増幅して送信信号として出力する電力増幅器と、
前記送信信号の一部を帰還信号とし、該帰還信号と前記ローカル信号から直交復調信号を生成する直交復調部と、を備え、
前記直交復調信号を前記ベースバンド信号に負帰還させて非線形歪みを補償する帰還増幅装置において、
前記電力増幅器の消費電流を検出する電流検出部と、
前記ベースバンド信号と前記直交復調信号との位相を合わせるために、前記直交変調部または前記直交復調部に入力される前記ローカル信号の位相を調整する位相調整部と、を備え、
前記位相調整部は、前記消費電流が最小となるように前記ローカル信号の位相を調整することを特徴とする帰還増幅装置。 - 前記位相調整部は、前記ローカル信号の位相を可変させて、消費電流が予め定めた設定電流より大きくなる位相の上限値と位相の下限値を検出し、前記ローカル信号の位相を前記検出した位相の上限値と下限値の平均値に調整することを特徴とする請求項1に記載の帰還増幅装置。
- 前記位相調整部は、前記消費電流の最小値が予め定めた規定電流を超えているか否かを判定し、前記消費電流が前記規定電流を超えているときに、前記電力増幅器の動作を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の帰還増幅装置。
- ベースバンド信号を生成するベースバンド信号生成部と、
該ベースバンド信号生成部で生成されたベースバンド信号が入力される前記請求項1から3の何れか1項に記載の帰還増幅装置と、
前記帰還増幅装置から出力される送信信号を送信する送信アンテナと
を備えたことを特徴とする送信機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016211483A JP6787042B2 (ja) | 2016-10-28 | 2016-10-28 | 帰還増幅装置及びこれを使用した送信機 |
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JP2018074355A true JP2018074355A (ja) | 2018-05-10 |
JP6787042B2 JP6787042B2 (ja) | 2020-11-18 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002344555A (ja) * | 2001-05-14 | 2002-11-29 | Hitachi Kokusai Electric Inc | 負帰還増幅器の位相制御方法及びそれを用いた負帰還増幅器 |
JP2003142958A (ja) * | 2001-10-31 | 2003-05-16 | Mitsubishi Electric Corp | 送信コンバータモジュール |
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2016
- 2016-10-28 JP JP2016211483A patent/JP6787042B2/ja active Active
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