JP2018073664A - コネクタ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化を招くことのない嵌合ごとに安定した慣性力が作用する慣性ロック機構【解決手段】ベースハウジングと傾斜姿勢で嵌合するソケットハウジング200からなるコネクタ構造1で側壁130に陥没するロック溝部と凹状の被係止部と側壁130上面に楯状のベースリブを備えソケットハウジング200はロック溝部に対応するロック突部と被係止部に対応する凸状の係止部を備えソケットハウジング200の前壁前端から係止部後面迄の距離X、ベースハウジングの前壁120後端からベースリブ前面迄の距離Y、Q=X−Yとしソケットハウジング200が傾斜姿勢でベースハウジングに嵌合過程でロック突部はロック溝部に挿入し係止部がベースリブに干渉状態の時ソケットハウジング200の前壁底面がベースハウジングの前壁120上面に重なり合う状態にあり摺接移動で重なり合う状態が解消し嵌合終了姿勢に至り重なり合う距離がQに規制される。【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板に取り付くベースコネクタと電線につながるソケットコネクタとのコネクタ構造に関する。
この分野の技術として特許文献1記載の技術が知られている。一般的に回路基板に取り付くベースコネクタに対してソケットコネクタを嵌合させる際、慣性ロックタイプのコネクタ構造は、図9に示されるように、ソケットハウジングの側面に備わる可動式のロックアームの一部をベースハウジングの側壁縁部に対する突き当て代として利用しロック部の掛かり量、弾性力、及び突き当たり角度を調整することで望ましい突き当たり力を設計している。
特開2009−37835号公報
ロックアームは繰り返しおこなわれる挿抜による突き当てに耐えるだけの適度な弾性力と強度が要求される。そのためにロックアーム自体の形状が大きくなり製品自体が大型化する傾向にある。特に低背化が望まれるコネクタ分野において、慣性ロック機構にロックアームを用いる方式をそのまま適用することは難しい。またこのような慣性ロック方式では挿抜操作の繰り返しによって干渉部分にヘタリや欠けが生じるおそれがあり、これによりソケットコネクタに作用する慣性力に違いが生じる場合がある。その結果嵌合するたびに掛かり量の違いによって慣性力に差異が生じることとなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、コネクタ構造の大型化を招くことのない嵌合ごとに安定した慣性力が作用する慣性ロック機構を備えたコネクタ構造を提供することを目的とするものである。
本発明のコネクタ構造は(1)底壁、前壁、左右側壁により上方に開口する収容部を形成するベースハウジングと、前記収容部に上方から後方に電線がつながる前方上位の傾斜姿勢で嵌合する前端に前壁、左右端に左右側壁を有する上壁を備えた箱状のソケットハウジングと、からなるコネクタ構造であって、前記ベースハウジングは前記側壁後方に内側から陥没する前壁と後壁を有するロック溝部と、前記側壁前方内側に前後方向に延びる凹状の被係止部と、前記側壁上面の前方よりの位置に上面と前面がC面或は曲面で結ばれる前後方向に延びる楯状のベースリブを備え、前記ロック溝部は下端から後方へ延びる上面を有するロック鉤部を備え、前記ソケットハウジングは前記側面後方に前記ロック溝部に対応する位置に外方向に膨出するロック突部と、前記側面前方に前記被係止部に対応する位置に前後方向に延びるテーパー状の後面とテーパー状の下面を有する凸状の係止部を備え、前記ソケットハウジングの前壁前端から前記ロック突部の後端までの距離Aと、前記ベースハウジングの前壁後端から前記ロック溝部の後壁までの距離Bとの関係はA>Bであり、前記ソケットハウジングの前壁前端から前記係止部後面までの距離Xと、前記ベースハウジングの前記前壁後端から前記ベースリブ前面までの距離Yとの関係はX>Yであり、
P=A−B、Q=X−Yとすれば、Q≧Pであって、
前記ソケットハウジングが前方上位の傾斜姿勢で前記ベースハウジングに嵌合過程で前記ロック突部は前記ロック溝部に挿入され、前記係止部が前記ベースリブに干渉する状態のとき前記ソケットハウジングの前壁底面が前記ベースハウジングの前壁上面に重なり合う状態にあり下降動作が中断され、前記ソケットハウジングの後方への摺接移動により前記重なり合う状態が解消されて前記下降動作が再開し嵌合終了姿勢に至り、前記重なり合う状態の重なり合う距離が前記距離Qに規制されるところに特徴を有するものである。
この発明によれば、重なり合う状態の重なり合う距離がソケットハウジングの前壁前端から係止部後面までの距離Xと、ベースハウジングの前壁後端からベースリブ前面までの距離Yとの差Q(=X−Y)で規制されるものである。また、重なり合う部分はソケットハウジングの前壁下面とベースハウジングの前壁上面であり、距離Qは係止部とベースリブにより規制されるものである。これにより大型化を招くことのない嵌合ごとに安定した慣性力が作用する慣性ロック機構を備えたコネクタ構造が得られる。
本発明のより好ましいコネクタ構造は(2)前記係止部と前記ベースリブとの干渉状態は前記係止部の後面と前記ベースリブの前記前面との当接により生じるところに特徴を有する(1)記載のものである。
この発明によれば、係止部の後面とベースリブの前面との当接により重なり合う状態の重なり合う距離が規制されるので、安定した重なり合う状態が得られる。
本発明のより好ましいコネクタ構造は(3)前記(2)記載の前記係止部の後面は傾斜角度0〜60度の範囲にあり、前記ベースリブの対応する面も概ね同じ傾斜角度を備えるところに特徴を有するものである。
この発明によれば、傾斜角度が0〜60度の範囲で当接するので、配置されるコンタクトの極数の多寡に応じて適切な慣性力を有するコネクタ構造が得られる。
本発明のより好ましいコネクタ構造は(4)前記ソケットハウジングの上壁は前端が前方及び左右側方へ張り出す庇部を備え、前記側方庇部は下面から垂下する前後方向に延びる楯状のソケットリブの外側面に前後方向に延びる凸状の前記係止部を備えるところに特徴を有する(1)から(3)の内いずれか一項記載のものである。
この発明によれば、係止部は庇部下面に垂下するソケットリブに備わる。これにより係止部はソケットリブと一体的にソケットハウジングの幅方向に撓むことができる。
本発明のより好ましいコネクタ構造は(5)前記ソケットハウジングの前記前壁底面と前記ベースハウジングの前記前壁上面との前記重なり合う状態は、左右方向に沿ってブロックが凹凸状態に配列される前記前壁同士の噛み合わせであるところに特徴を有する(1)から(4)の内いずれか一項記載のものである。
この発明によれば、前壁同士の凹凸状態に備わるブロックの噛み合わせによって重なり合うので、コネクタ構造の幅方向の位置合わせが精度よくおこなわれる。
本発明のより好ましいコネクタ構造は(6)前記ベースハウジングの前壁の前記ブロックは重なり合う上面、側面、及び前面の角部にテーパーが備わり、前記ソケットハウジングの前壁の前記ブロックの重なり合う下面、側面、及び前面の角部にテーパーが備わるところに特徴を有する(5)記載のものである。
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造の斜視図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合終了段階である。 図2は、同コネクタ構造のコンタクトが組み付いたベースハウジングの外観斜視図であり、(A)は前方斜視図、(B)は後方斜視図である。 図3は、同コネクタ構造のソケットハウジングの外観斜視図であり、(A)は前方斜視図、(B)は後方斜視図、(C)は裏面の外観斜視図である。 図4は、図1の(A)の丸囲い部分の拡大図である。 図5は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの要部の寸法比較図である。 図6は、同コネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの嵌合過程を示す図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合途中段階、(C)は嵌合終了段階である。 図7は、同コネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの嵌合過程を示す図であり、特に図1の断面指示線VII−VIIの断面図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合途中段階、(C)は嵌合終了段階である。 図8は、同コネクタ構造のソケットハウジングの前壁とベースハウジングの前壁との重なり合う状態を示す外観図である。 図9は、従来技術のロックアーム式慣性ロック機構が備わるコネクタ構造の外観図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
本実施形態に係るコネクタ構造を添付図面に基づいて説明する。本発明の技術的範囲は本実施形態によって限定的に解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲を限度として合理的に解釈されるものである。すなわち構成要素の材料、特性、大きさ、形状及び備わる個数等はその範囲内で種々の態様を取りうるものとして技術的範囲は解釈されるものである。
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造の斜視図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合終了段階である。図2は、同コネクタ構造のコンタクトが組み付いたベースハウジングの外観斜視図であり、(A)は前方斜視図、(B)は後方斜視図である。図3は、同コネクタ構造のソケットハウジングの外観斜視図であり、(A)は前方斜視図、(B)は後方斜視図、(C)は裏面の外観斜視図である。図4は、図1の(A)の丸囲い部分の拡大図である。なお、説明中の方向指示は原則図面の方向定義に従う。
本発明の実施形態に係るコネクタ構造1は、図1に示されるように、図示しない回路基板に組み付くベースコネクタ10と、電線Wの先端につながるソケットコネクタ20とからなる。ソケットコネクタ20は前方上位の傾斜姿勢で後方からベースコネクタ10に挿入され、嵌合過程で前方が降下して傾斜姿勢が漸次水平姿勢に変化する。嵌合終了姿勢ではソケットコネクタ20は水平姿勢でベースコネクタ10に収容される。これにより小型、低背型基板実装タイプのコネクタ構造1が得られる。
<ベースコネクタ>
ベースコネクタ10は、図2に示されるように、箱状の非導電性のベースハウジング100の前方に打ち抜き成形による板状金属のベースコンタクト180をピッチ方向に複数個配列する。ベースコンタクト180の極数は目的に応じて自在に設計されるものであって、一列等ピッチ配列の他たとえば2段配列仕様であってもよい。
ベースハウジング100は射出成形マシーンにより連続形成される非導電性の合成樹脂製品である。一般的に熱硬化性樹脂材が使用される。
ベースハウジング100は、図2に示されるように、矩形状の底壁110と、底壁11
0の四辺に沿って前壁120、左右側壁130、130及び後壁140を備えて中央に窪地状の収容部150を形成する。
後壁140は、図1、2に示されるように、ソケットコネクタ20に備わる電線Wの外形に倣う逆円弧状の凹部がピッチ方向に沿って電線Wの個数だけ形成されている。これにより、嵌合終了姿勢において電線Wを上下及び左右方向から規制し幅方向に沿って等間隔で保持する。
前壁120は、図1、2に示されるように、ベースコンタクト180を保持するための図示しないスリットがピッチ方向に沿ってベースコンタクト180の個数に応じて形成されている。ベースコンタクト180は図示しないスリットに図示しない保持部が圧入されて幅方向に沿って等間隔に整列配置されている。前壁120下面からベースコンタクト180の接続部が前方に延出し、図示しない相手側コンタクトに接続する接触部185が前壁120後面から収容室150に向けて後方に延出する。接触部185は概ね方形状の打ち抜き金属板である。
前壁120は、図2に示されるように、上面がピッチ方向に沿って規則的に凸凹部121、122が形成されている。凹部122の底面同士あるいは凸部121の上面同士は略同じ高さに形成されている。凹凸部121、122の形成周期はピッチ方向に並ぶベースコンタクト180の配置に対応する。
側壁130は、図2に示されるように、内面の後方にロック溝部131が形成され、ロック溝部131の前方に被係止部133が形成されている。また側壁上面は前方に比べて後方が一段高位置にあり、ロック溝部131は高位置側に形成され、被係止部133は低位置側に形成されている。
ロック溝部131は、図2に示されるように、側壁130の内面に埋没状に形成されており側壁130上面の開口部から底壁110上面の位置まで貫通し底面で向きを後方へ変えてロック鉤部132を形成する。ロック鉤部132には上面が備わる。嵌合終了姿勢にあるロック突部231はロック鉤部132で動きが規制される。特にロック鉤部132の上面によって上方への抜出しが抑制される。
被係止部133は、図2に示されるように、側壁130内面に前後方向に延びる段差の低段側に形成されている。対応する係止部253が高段側から低段側へ乗り移ることで嵌合終了姿勢にあるコネクタ構造1の動きが規制される。
側壁130上面の高位置側と低位置側の段差部には、図2に示されるように、楯状のベースリブ135が形成されている。ベースリブ135は高位置側の前面が前方に幅を狭めて延出する壁である。ベースリブ135の上面1351は高位置側の上面と略面一状につらなる。ベースリブ135の前面1350は略垂直状に備わる。
ベースリブ135はコネクタ構造1の嵌合過程でソケットコネクタ20の嵌合動作を一時規制するための主要要素である。
側壁130の高位置側の上面及び低位置側の上面は、図2に示されるように、概ね平坦状である。
ベースリブ135は、図2、4に示されるように、上面1351と前面1350の交差部は曲面で結ばれている。たとえば交差部はC面であってもよい。前面1350は内側角部にテーパー面が形成されている。テーパー面はコネクタ構造1の嵌合過程でソケットハウジング200との干渉作用を制御するものである。
<ソケットコネクタ>
ソケットコネクタ20は、図1、3に示されるように、箱状のソケットハウジング200の前方に図示しないベースコンタクトに接続するソケットコンタクト280の接触部をピッチ方向に沿って複数個配列する。電線Wはソケットハウジング200の後方からピッチ方向に沿って等間隔で排出される。
ソケットハウジング200は射出成形マシーンにより連続形成される非導電性の合成樹脂製品である。一般的に熱硬化性樹脂材が使用される。
ソケットハウジング200は、図3に示されるように、方形状の上壁210と、上壁210の下面には前方に前壁220、左右には側壁230、230、及び後方にはソケットコンタクト280の図示しない電線接続部を収容する収容部240が形成されている。また上壁210は前方及び左右方向に延びる庇部250を備える。
収容部240は、図3に示されるように、立て壁で仕切られた複数の部屋がピッチ方向に等間隔で配置されている。各部屋にはひとつのソケットコンタクト280が電線Wに接続された状態で固定されている。
前壁220は、図3、4に示されるように、下面がピッチ方向に沿って規則的に凸凹部221、222が形成されている。ピッチ方向に並ぶ凹部222の底面同士あるいは凸部221の上面同士は略同じ高さに形成されている。ソケットハウジング200の前壁220下面に備わる凹凸部221、222はベースハウジング100の前壁120上面に備わる凹凸部121、122に嵌合姿勢で噛み合う状態で対応する位置にある。
側壁230は、図3、4に示されるように、後端下よりに外方向に膨出するロック突部231を備える。ロック突部231は円柱状に限るものではなく、たとえば断面矩形状、あるいは多角形状であってもよい。
側壁230の外側には、図3、4に示されるように、庇部250の下面に形成されるソケットリブ251が側壁230と略平行姿勢で備わる。
ソケットリブ251は、図4に示されるように、上面の基部が庇部下面に接続する前後方向及び上下方向に延びる楯状板である。ソケットリブ251は片持ち梁状で上面の基部を支点にして全体が左右方向へ弾性変形可能である。またソケットリブ251が形成される庇部250もソケットハウジング200の上壁210縁部より外へ張り出すものなので庇部250自体も多少の弾性的変形能を有するものである。
ソケットリブ251の外面には前後方向へ延びる凸状の係止部253が備わる。
係止部253は、図4に示されるように、後面2531及び下面2530にテーパー面が形成されている。特に後面2531のテーパー面はベースハウジング100のベースリブ135前面1350のテーパー面に対応するものである。テーパー面同士の会合でコネクタ構造の嵌合過程が先に進むことになる。
<嵌合過程>
嵌合過程の説明を図面に基づいておこなう。図5は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの要部の寸法比較図である。図6は、同コネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの嵌合過程を示す図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合途中段階、(C)は嵌合終了段階である。図7は、同コネクタ構造のソケットハウジングとベースハウジングとの嵌合過程を示す図であり、特に図1の断面指示線VII−VIIの断面図であり、(A)は嵌合開始段階、(B)は嵌合途中段階、(C)は嵌合終了段階である。図8は、同コネクタ構造のソケットハウジン
グの前壁とベースハウジングの前壁との重なり合う状態を示す外観図である。
ソケットハウジング200とベースハウジング100との嵌合過程における主要部の寸法関係は、図5に示される関係にある。
ソケットハウジング200の水平姿勢で前壁220前面からロック突部231の後縁までの距離A、同じく前壁220前面から係止部253の後面までの距離Xと、ベースハウジング100の水平姿勢で前壁120後面からロック溝部131後面までの距離B、同じく前壁120後面からベースリブ135の前面1350までの距離Yは次の関係にある。
P=A−B、Q=X−Yとすると、Q≧P
P´=ACOSθ−B、Q´=XCOSθ−Y、ここでθはソケットハウジング200のベースハウジング100に対する傾斜角度とすると、Q´は概ねソケットハウジング200とベースハウジング100との前壁同士220、120の重なり合う距離である。
ソケットハウジング200の距離Aとベースハウジング100の距離Bとの関係はA>Bなので、ソケットハウジング200は水平姿勢ではベースハウジング100に挿入できない。よってソケットハウジング200は前方上位の傾斜姿勢でベースハウジング100に嵌合開始されることとなる。
ソケットハウジング200を把持して、図5に示されるような水平姿勢あるいはやや前方上位の傾斜姿勢でソケットハウジング200をベースハウジング100の収容部150へ誘導する。このときロック突部231の下端はロック溝部131の間口へ挿入される。間口には誘いのテーパー面が形成されている。
ソケットハウジング200の上壁210中央付近あるいは庇部250あたりを下方へ押すことでソケットハウジング200は前方上位の傾斜角度を強めるようにして嵌合過程が先に進む。このときロック溝部131の案内に沿ってロック突部231は下方へ進み、図6の(A)あるいは図7の(A)に示されるように、底面がベースハウジング100の底壁110に接する位置に至る。
このときソケットハウジング200の前方は前壁220がベースハウジング100の前壁120に乗り上げた状態すなわち重なり合う状態になる。ソケットハウジング200の前壁220とベースハウジング100の前壁120との重なり合う距離は傾斜角度をθradとすると、概ねQ´(=XCOSθ−Y)である。なおθはそれほど大きな値ではない場合はQ´≒Qなので、本明細書及び特許請求の範囲で重なり合う距離をQと言う場合が有る。
ロック突部231がロック溝部131の底面に達するとロック突部231はロック鉤部132に沿って後方へ移動可能になる。しかし傾斜角度θの傾斜姿勢でソケットハウジング200の前方では、図4に示されるように、係止部253とベースハウジング100のベースリブ135との干渉が生じソケットハウジング200の後方への移動が抑制されている。これによりロック突部231の後方への移動はこの姿勢のまま留められることとなる。
ここで係止部253とベースリブ135との干渉はソケットハウジング200の前壁220とベースハウジング100の前壁120との重なり合う状態の重なり合う距離Qを規制するものでもある。すなわち干渉により嵌合動作が一端ここで留め置かれると同時に重なり合う距離が一定値Qに規制されることになる。
すなわち重なり合う距離が嵌合操作ごとに常に一定値Qに規制されるので、他の条件が一定ならば常に安定した慣性力の発生が期待しうるコネクタ構造1が得られるものである。
ソケットハウジング200の係止部253は、図4に示されるように、傾斜角度θradの傾斜姿勢で後面2531がベースハウジング100のベースリブ135前面1350に当接する。係止部253の後面2531は角度βradのテーパー面が形成され、当接するベースリブ135の前面1350にも対応するテーパー面が概ね角度(π/2−β)radで形成されている。ここで角度βは好ましくは0よりも大きくπ/3rad以下であり、より好ましくはπ/8以上π/4rad以下であり、もっとも好ましくはπ/6以上π/4rad以下である。係止部253の後面2531のテーパー角度が小さい場合は干渉による樹脂材料の損耗が発生する一方、テーパー角度が大きい場合は規制の効果が減殺される。
さらにソケットハウジング200の上壁210中央付近あるいは庇部250あたりを下方へ押すことでソケットハウジング200は傾斜角度を緩めるようにして嵌合過程が先に進む。このときロック突部231は、図6(B)あるいは図7(B)に示されるように、ロック鉤部132に沿って奥部へ移動する。
ロック突部231のロック鉤部132奥部への移動の過程で、係止部253後面2531のテーパー面とベースリブ135前面1350のテーパー面は互いに面同士を摺接させながら係止部253は弾性的変形を伴いつつ後方へ移動する。このときソケットハウジング200を下方へ沈める力が上壁210に作用しているので、ソケットハウジング200は全体的に傾斜角度を緩めつつ後方へ移動する。
傾斜角度が緩まる過程で係止部253は後面2531のテーパー面をベースリブ135の前面1350のテーパー面に当接させる一方、下面2530のテーパー面をベースハウジング100側壁130内面に当接させる。さらに嵌合が進む過程で係止部253は後方でベースリブ135の内側面に潜り込む一方、下方でベースハウジング100側壁130内側面に潜り込み、ソケットリブ251が内側へたわむ姿勢のままソケットハウジング200全体がベースハウジング100に対して後方へ移動する。
ソケットハウジング200全体の後方への移動により、図6の(B)あるいは図7の(B)に示されるように、ソケットハウジング200の前壁220とベースハウジング100の前壁120との重なり合う距離が縮小していき、終には重なり合う状態が解消される限界傾斜姿勢に至る。
重なり合う状態が解消されるときには、図6の(B)あるいは図7の(B)に示されるように、係止部253はソケットリブ251全体を内向きに撓ませた状態でベースハウジング100側壁130の内側面に潜り込むようにして被係止部133のやや上位の位置まで進入している。一方ロック突部231はロック鉤部132の奥部の突き当たり面のやや手前の位置まで進入している。
このとき図示されないがソケットコンタクト280はベースコンタクト180に対して嵌合(挿入)開始の位置にある。
ソケットハウジング200の前壁220とベースハウジング100の前壁120との重なり合う状態が解消されるとき、ソケットハウジング200に作用する突き当たりに抗する下方向への力は干渉が解かれることでそのまま移動の力として作用することとなる。すなわち大きな慣性力が一気に嵌合力として作用することとなる。
慣性力がソケットハウジング200に作用するので、図6の(C)あるいは図7の(C)に示されるように、ソケットハウジング200は一気に嵌合終了姿勢にいたることとなる。重なり合う状態を解消する力は嵌合を終了させるために要するコンタクト挿入力に比べて大きいものなので、堰が切られた状態で一気に力がコンタクト挿入に作用することにより完全に嵌合終了姿勢に至るコネクタ構造1が得られることとなる。
嵌合終了姿勢で係止部253は被係止部133に係止する。ロック突部231はロック鉤部132の奥部に位置する。これによりソケットコネクタ20はベースコネクタ10に対して抜出しが抑制された状態になる。
極数が多くなり前後方向に比してピッチ方向距離が大きくなると傾きや捩れなどの変形によりスムーズな嵌合を阻害する要因が生じる場合がある。このような嵌合阻害要因は半嵌合状態を生じる原因にもなりかねない。
ソケットハウジング200の前壁220上面の凸部221は、図8に示されるように、左右側面にテーパー面を備える。またベースハウジング100の前壁120上面の凸部121は同様に左右側面にテーパー面を備える。ソケットハウジング200前壁220凹凸部221、222は、嵌合姿勢でベースハウジング100の前壁120凹凸部121、122に互いに噛み合うように対応位置に配置されている。
これにより、嵌合過程でピッチ方向の位置が修整されるので、嵌合終了姿勢にあるベースコンタクト180とソケットコンタクト280との嵌合動作が滑らかにおこなわれることとなる。これにより、慣性力を利用する半嵌合抑止のコネクタ構造1がより効果的に実行されることとなる。
<効果>
本実施形態のコネクタ構造1は、ソケットハウジング200の係止部253後面2531をベースハウジング100のベースリブ135前面1350に当接させてソケットハウジング200の前壁220とベースハウジング100の前壁120との重ね合わせ状態を確保するものなので、安定した重ね合わせ距離が得られる。これにより嵌合ごとに安定した慣性力が作用する慣性ロック型のコネクタ構造1が得られる。
ソケットハウジング200の係止部253はピッチ方向に弾性的変形可能なソケットリブ251に備わるので、嵌合時にハウジングの損傷の生じるおそれがないコネクタ構造1が得られる。
ソケットハウジング200の係止部253はベースリブ135との当接面にテーパー面(突き当て角度)を備えるので、嵌合時に作用する挿入力が効果的に係止部253の備わるソケットリブ135に作用することとなる。これにより嵌合時にハウジングの損傷の生じるおそれがないコネクタ構造1が得られる。
ソケットハウジング200前壁220とベースハウジング100前壁120との重なり合う状態を解消する力は嵌合を終了させるために要するコンタクト挿入力に比べて大きいものなので、堰が切られた状態で一気に力がコンタクト挿入に作用することにより完全に嵌合終了姿勢に至るコネクタ構造1が得られる。
ソケットハウジング200前壁220凹凸部221、222はベースハウジング100の前壁120凹凸部121、122に互いに噛み合うように対応位置に配置されている。ソケットハウジング200の前壁220上面の凸部221は左右側面にテーパー面を備える一方、ベースハウジング100の前壁120上面の凸部121は同様に左右側面にテーパー面を備える。これにより、嵌合過程でピッチ方向の位置が修整されるので、嵌合終了
姿勢にあるベースコンタクト180とソケットコンタクト280との嵌合動作が滑らかなコネクタ構造1が得られる。
なお、本発明の技術的範囲は本実施形態のコネクタ構造に限定的に解釈されるものではない。発明の要旨を逸脱しない範囲で発明を構成する要素は合理的に解釈されうるものである。特に構成要素の形状、大きさ、材質、個数などは本実施形態に限定して解釈されるものではない。
1 コネクタ構造
10 ベースコネクタ
100 ベースハウジング
110 底壁
120 前壁
121 凸部
122 凹部
130 側壁
131 ロック溝部
132 ロック鉤部
133 被係止部
135 ベースリブ
1350 前面
1351 上面
140 後壁
150 収容部
180 ベースコンタクト
185 接触部
20 ソケットコネクタ
200 ソケットハウジング
210 上壁
220 前壁
221 凸部
222 凹部
230 側壁
231 ロック突部
240 収容部
250 庇部
251 ソケットリブ
253 係止部
2530 下面
2531 後面
280 ソケットコンタクト
W 電線

Claims (6)

  1. 底壁、前壁、左右側壁により上方に開口する収容部を形成するベースハウジングと、
    前記収容部に上方から後方に電線がつながる前方上位の傾斜姿勢で嵌合する前端に前壁、左右端に左右側壁を有する上壁を備えた箱状のソケットハウジングと、からなるコネクタ構造であって、
    前記ベースハウジングは前記側壁後方に内側から陥没する前壁と後壁を有するロック溝部と、前記側壁前方内側に前後方向に延びる凹状の被係止部と、前記側壁上面の前方よりの位置に上面と前面がC面或は曲面で結ばれる前後方向に延びる楯状のベースリブを備え、前記ロック溝部は下端から後方へ延びる上面を有するロック鉤部を備え、
    前記ソケットハウジングは前記側面後方に前記ロック溝部に対応する位置に外方向に膨出するロック突部と、前記側面前方に前記被係止部に対応する位置に前後方向に延びるテーパー状の後面とテーパー状の下面を有する凸状の係止部を備え、
    前記ソケットハウジングの前壁前端から前記ロック突部の後端までの距離Aと、前記ベースハウジングの前壁後端から前記ロック溝部の後壁までの距離Bとの関係はA>Bであり、
    前記ソケットハウジングの前壁前端から前記係止部後面までの距離Xと、前記ベースハウジングの前記前壁後端から前記ベースリブ前面までの距離Yとの関係はX>Yであり、
    P=A−B、Q=X−Yとすれば、Q≧Pであって、
    前記ソケットハウジングが前方上位の傾斜姿勢で前記ベースハウジングに嵌合過程で前記ロック突部は前記ロック溝部に挿入され、前記係止部が前記ベースリブに干渉する状態のとき前記ソケットハウジングの前壁底面が前記ベースハウジングの前壁上面に重なり合う状態にあり下降動作が中断され、前記ソケットハウジングの後方への摺接移動により前記重なり合う状態が解消されて前記下降動作が再開し嵌合終了姿勢に至り、前記重なり合う状態の重なり合う距離が前記距離Qに規制されるところに特徴を有するコネクタ構造。
  2. 前記係止部と前記ベースリブとの干渉状態は前記係止部の後面と前記ベースリブの前記前面との当接により生じるところに特徴を有する請求項1記載のコネクタ構造。
  3. 請求項2記載の前記係止部の後面は傾斜角度0〜60度の範囲にあり、前記ベースリブの対応する面も概ね同じ傾斜角度を備えるところに特徴を有するコネクタ構造。
  4. 前記ソケットハウジングの上壁は前端が前方及び左右側方へ張り出す庇部を備え、前記側方庇部は下面から垂下する前後方向に延びる楯状のソケットリブの外側面に前後方向に延びる凸状の前記係止部を備えるところに特徴を有する請求項1から3の内いずれか一項記載のコネクタ構造。
  5. 前記ソケットハウジングの前記前壁底面と前記ベースハウジングの前記前壁上面との前記重なり合う状態は、左右方向に沿ってブロックが凹凸状態に配列される前記前壁同士の噛み合わせであるところに特徴を有する請求項1から4の内いずれか一項記載のコネクタ構造。
  6. 前記ベースハウジングの前壁の前記ブロックは重なり合う上面、側面、及び前面の角部にテーパーが備わり、前記ソケットハウジングの前壁の前記ブロックの重なり合う下面、側面、及び前面の角部にテーパーが備わるところに特徴を有する請求項5記載のコネクタ構造。
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