JP2018072135A - 外力検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動部が急激に加減速された場合又は姿勢が変更された場合でも、可動部に加わる外力を正しく検出する。【解決手段】加速度検出器4は固定部101の加速度を検出し、位置検出器2は固定部101に対する可動部102の位置を検出し、位置制御手段(減算器5及びゲイン調整部6)は、位置検出器2により検出された位置と基準位置Prとの差分に基づく電流指令値Irpを出力し、加速度補償部8は、加速度検出器4により検出された加速度と、可動部102、エンドエフェクタ12及びワーク50の合計質量との乗算結果に基づく加速度補償値Ircを出力し、加減算器9は電流指令値Irpに加速度補償値Ircを加算し、定電流制御部10は駆動電流Iaの電流値を電流指令値Irに一致させ、外力検出部11は、駆動電流Iaの電流値から加速度補償値Ircを減算した結果に基づいて外力Fを検出するように構成した。【選択図】図1

Description

この発明は、アクチュエータ可動部に加わる外力を検出する外力検出方法に関する。
従来から、組み立て、押し付けや研磨等の作業を行う作業装置では、産業用ロボット(以下、ロボットと称す)等が多く用いられている。このロボットには、アームの先端にハンド等のエンドエフェクタが取付けられており、作業対象物(部品又はワーク)を把持することで作業を行う。
一方、ロボットの動作は、一般的に、位置制御によりコントロールされる。そのため、作業対象物の寸法誤差や把持位置誤差等により、予めプログラムされた作業対象物の目標位置と実際の位置とが異なる場合、作業対象物が他の物体と接触した際に大きな力(外力)が発生し、作業対象物に傷や破損が発生する恐れがある。
その対策として、作業対象物の位置誤差により発生する力を吸収する冶具(いわゆる「バッファ」)を別途設置する場合がある。しかしながら、このバッファは、作業対象物の形状や材料毎に要求される特性が異なるため、作業対象物の種類の数だけ異なるバッファを用意する必要があり、都度設計となる。そのため、コストが増大し、且つ装置が大型化するという課題がある。
それに対し、ロボットとエンドエフェクタとの間に力覚センサを設置し、作業対象物の接触時に過大な力が発生しそうになると力覚センサの検出結果をロボットにフィードバックし、過大な力が発生しないようにする方法もある。この場合には、バッファが不要となる。しかしながら、力覚センサは高価である。
また、力覚センサを用いた場合には、以下に述べる理由により、作業時間の短縮が難しいという課題がある。
すなわち、作業対象物が他の物体と接触する位置に誤差がある場合、接触時に過大な力が発生したことを検出して停止指令を出すが、可動部が大きくて重く且つ減速機構を有するロボットは急には止まれない。
また、接触時に発生する力は、慣性による衝撃力と接触時にロボットが発生している力との和となる。ここで、慣性による衝撃力は、作業対象物及びロボット可動部の質量と移動速度との積に比例する。しかしながら、ロボットは大きくて重い機構を有しているため、慣性による衝撃力を小さくするためには、接触直前の移動速度を遅くする必要がある。
また、過大な力が発生したことを検出して停止指令を出してもロボットは急には止まれないため、停止指令が出た時点から急激に減速しても接触位置からずれた位置で停止し、作業対象物を押し潰してしまう。そして、位置の行き過ぎ量は移動速度に比例するため、作業対象物を他の物体に近づける速度を遅くせざるを得ない。
上記の理由により、作業対象物が他の物体と接触する可能性のある領域では、ロボットの移動速度を十分落とす必要がある。しかしながら、サイクルタイムを短くするため、作業対象物を移送する速度は速くする必要がある。その結果、接触領域の近傍で速度を急激に落とすことになる。
しかしながら、エンドエフェクタは力覚センサの先に取付けられている。そのため、ロボットが急激に減速した場合には、エンドエフェクタの質量による影響で、力覚センサには負方向の加速度に比例した力が発生する。
ところが、上記加速度に比例した力と作業対象物の接触により発生する力とを区別することは難しく、区別するためにはロボットの減速時間を大幅に長くせざるを得ない。
また、力覚センサを用いた場合には、以下に述べる理由により、重力による影響をリアルタイムに補償し難いという課題がある。
すなわち、組み立て、押し付けや研磨等の作業を行う場合にロボットが取りうる姿勢は常に一定ではなく、作業の状態に応じて変化させる場合が多い。例えば、曲面をトレースしながら研磨を行う作業では、姿勢を連続して変化させる必要がある。
しかしながら、上記の通り、エンドエフェクタは力覚センサの先に取付けられているため、ロボットの姿勢が水平ではない場合、力覚センサには重力加速度による影響でロボットの姿勢とエンドエフェクタの質量に応じた力が発生する。
一方、重力加速度の影響を補償する重力補償手段として、例えば特許文献1に開示された方法が挙げられる。この特許文献1では、予めオフラインで姿勢に応じた重力の影響により力覚センサに発生する力を学習しておく。そして、実際の作業時に発生する力から学習した力を差し引くことで、作業力を算出している。しかしながら、この方法では、作業対象物が変わる度に学習を行う必要がある。また、学習は物体との接触前に行う必要があり、ロボットが連続して姿勢を変えるような場合には重力補償はできない。
なお上記では、可動部に加わる外力として、作業対象物と他の物体とが接触した際に発生する力を示したが、これに限らず、エンドエフェクタと作業対象物とが接触した際に発生する力についても同様である。
特開2012−115912号公報
上記の通り、ロボットと力覚センサを用いて組み立て等の作業を行う場合、作業時間が長くなる。一方、作業時間を短くしようとすると作業対象物を傷付け、押し潰し、接触を正しく検出できなくなる。また、重力補償をリアルタイムで行うことも難しい。このように、力覚センサを用いた場合には、ロボットが急激に加減速した場合又は姿勢が変更した場合に、外力を正しく検出できないという課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、可動部が急激に加減速された場合又は姿勢が変更された場合でも、可動部に加わる外力を正しく検出できる外力検出方法を提供することを目的としている。
この発明に係る外力検出方法は、加速度検出手段は、固定部に対して可動部を変位可能なアクチュエータにおける当該固定部の加速度を検出し、位置検出手段は、固定部に対する可動部の位置を検出し、位置制御手段は、位置検出手段により検出された位置と基準位置との差分に基づく電流指令値を出力し、加速度補償手段は、加速度検出手段により検出された加速度と、可動部側の質量との乗算結果に基づく加速度補償値を出力し、加算手段は、位置制御手段から出力された電流指令値に、加速度補償手段から出力された加速度補償値を加算し、定電流制御手段は、アクチュエータを駆動する駆動電流の電流値を、加算手段により加速度補償値が加算された電流指令値に一致させ、外力検出手段は、駆動電流の電流値から加速度補償値を減算した結果に基づいて、可動部に加わる外力を検出することを特徴とする。
この発明によれば、上記のように構成したので、アクチュエータが急激に加減速された場合又は姿勢が変更された場合でも、可動部に加わる外力を正しく検出できる。
この発明の実施の形態1に係る外力検出装置を備えた作業装置の構成例を示す図である。 この発明の実施の形態1におけるゲイン調整部の構成例を示す図である。 図3A、図3Bは、この発明の実施の形態1に係る外力検出装置において、アクチュエータが急激に加減速された状態で可動部がワークに接触したときの外力の検出を説明する図であって、図3Aは外力検出部における減算器に入力された駆動電流及び加速度補償値を示す図であり、図3Bは外力検出部により検出された外力を示す図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る外力検出装置(接触制御装置)を備えた作業装置の構成例を示す図である。
作業装置は、組み立て、押し付けや研磨等の作業を行う装置である。この作業装置は、図1に示すように、アクチュエータ1、位置検出器(位置検出手段)2、位置速度変換部3、加速度検出器(加速度検出手段)4、減算器5、ゲイン調整部6、質量推定部(質量推定手段)7、加速度補償部(加速度補償手段)8、加減算器(加算手段)9、定電流制御部(定電流制御手段)10及び外力検出部(外力検出手段)11を備えている。
なお、位置検出器2、位置速度変換部3、加速度検出器4、減算器5、ゲイン調整部6、質量推定部7、加速度補償部8、加減算器9、定電流制御部10及び外力検出部11は、外力検出装置を構成する。
アクチュエータ1は、磁界に置かれたコイルに電流が供給されることで、固定部101に対して可動部102を直動方向又は回転方向に変位可能とする。このアクチュエータ1は、ロボット(不図示)等の先端に取付けられており、全体が移送され、また、姿勢が変更される。
また、可動部102には、エンドエフェクタ12が取付けられている。図1では、エンドエフェクタ12としてグリッパ(ハンド)が取付けられている。グリッパは、作業対象物を把持自在に構成されている。なお以下では、作業対象物として、ワーク50を用いた場合を示すが、部品を用いてもよい。
位置検出器2は、アクチュエータ1に設けられ、固定部101に対する可動部102の位置(相対位置)を検出する。この位置検出器2により検出された位置を示す信号(位置信号)は、位置速度変換部3及び減算器5に出力される。
位置速度変換部3は、位置検出器2により検出された位置を微分して速度に変換する。この速度は、固定部101に対する可動部102の速度(相対速度)を示す。この位置速度変換部3により変換された速度を示す信号(速度信号)は、加減算器9に出力される。
加速度検出器4は、固定部101に設けられ、固定部101の加速度を検出する。この際、加速度検出器4は、固定部101の重力加速度αg及び移動加速度α1のうちの一方、又は両方が加算された加速度(αg+α1)を検出する。図1では、加速度検出器4が加速度(αg+α1)を検出する場合を示している。この加速度検出器4により検出された加速度を示す信号(加速度信号)は、加速度補償部8に出力される。
減算器5は、基準位置Prから位置検出器2により検出された位置を減算する。この減算器5による減算結果を示す信号は、ゲイン調整部6に出力される。
ゲイン調整部6は、アクチュエータ1におけるコンプライアンス(バネ定数の逆数:固さ柔らかさの指標)の値を調整する。このゲイン調整部6は、図1,2に示すように、ループゲイン測定部601、ゲイン交点制御部602及び可変ゲイン調整部603を有している。
ループゲイン測定部601は、減算器5から出力された信号のループゲインを測定する。この際、ループゲイン測定部601は、図2に示すように、減算器5から出力された信号に、発振器6011によりループゲインが1倍(0dB)となる周波数、すなわちゲイン交点に設定された周波数の正弦波を、加算器6012を介して加算する。このループゲイン測定部601による正弦波の加算前後の信号は、ゲイン交点制御部602に出力される。
ゲイン交点制御部602は、図2に示すように、比較器6021によりループゲイン測定部601による正弦波の加算前後の信号での振幅比を比較する。このゲイン交点制御部602による比較結果を示す信号は、可変ゲイン調整部603に出力される。
可変ゲイン調整部603は、ゲイン交点制御部602により比較された振幅比の倍率が1となるように、減算器5から出力された信号のゲインを調整する。この可変ゲイン調整部603によりループゲインが調整された信号は、加減算器9に電流指令値Irpとして出力される。また、可変ゲイン調整部603によるループゲインの調整値を示す信号は、質量推定部7に出力される。
なお、減算器5及びゲイン調整部6は、位置検出器2により検出された位置と基準位置Prとの差分に基づく電流指令値Irpを出力する位置制御手段(位相制御ループ)を構成する。
質量推定部7は、可変ゲイン調整部603によるループゲインの調整値から、可動部102側の質量を推定する。すなわち、質量推定部7は、ループゲインの変化と質量の変化とが比例する原理を利用する。ここで、可動部102側の質量とは、エンドエフェクタ12がワーク50を把持していない場合には、可動部102の質量M1とエンドエフェクタ12の質量M2とが加算された質量(M1+M2)であり、エンドエフェクタ12がワーク50を把持している場合には、可動部102の質量M1とエンドエフェクタ12の質量M2とワーク50の質量M3とが加算された質量(M1+M2+M3)である。なお図1では、質量推定部7が、可動部102の質量M1とエンドエフェクタ12の質量M2とワーク50の質量M3とが加算された質量(M1+M2+M3)を推定する場合を示している。この質量推定部7により推定された質量を示す信号は、加速度補償部8に出力される。
なお、ゲイン調整部6及び質量推定部7の動作原理は、下記の特許文献2と同様であり、その詳細については説明を省略する。
また上記では、質量推定部7により可動部102側の質量を推定する場合を示したが、これに限らず、他の方法を用いて可動部102側の質量を取得してもよい。
特開2010−182084号公報
加速度補償部8は、外乱トルクを補正するための加速度補償値Ircを出力する。この加速度補償部8は、乗算器801及び係数乗算部802を有している。
乗算器801は、加速度検出器4により検出された加速度と、質量推定部7により推定された質量とを乗算する。この乗算器801による乗算結果を示す信号は、係数乗算部802及び外力検出部11に出力される。
係数乗算部802は、乗算器801による乗算結果に係数(1/Kt)を乗算する。なお、Ktは、アクチュエータ1が発生する推力と駆動電流Iaとの比を表したトルク定数である。この係数乗算部802による乗算結果を示す信号は、加減算器9に加速度補償値Ircとして出力される。
加減算器9は、ゲイン調整部6から出力された電流指令値Irpに対し、加速度補償部8から出力された加速度補償値Ircを加算し、位置速度変換部3から出力された速度信号を減算する。この加減算器9による加減算結果を示す信号は、定電流制御部10に電流指令値Irとして出力される。
定電流制御部10は、アクチュエータ1を駆動する駆動電流Iaを電流指令値Irに一致させるように制御する。この定電流制御部10は、減算器1001、駆動ドライバ1002及び電流検出器1003を有している。
減算器1001は、加減算器9から出力された電流指令値Irから、電流検出器1003により検出された駆動電流Iaの電流値を減算する。この減算器1001による減算結果を示す信号は、駆動ドライバ1002に出力される。
駆動ドライバ1002は、減算器1001による減算結果に応じた駆動電流Iaを発生する。この駆動ドライバ1002により発生された駆動電流Iaは、電流検出器1003を介してアクチュエータ1に出力される。
電流検出器1003は、駆動ドライバ1002により発生された駆動電流Iaの電流値を検出する。この電流検出器1003により検出された電流値を示す信号は、減算器1001に出力される。
外力検出部11は、駆動電流Iaの電流値から加速度補償値Ircを減算した結果に基づいて、可動部102に加わる外力(反力)Fを検出する。なお、可動部102に加わる外力Fとしては、エンドエフェクタ12が把持したワーク50と他の物体とが接触した際に発生する力や、エンドエフェクタ12とワーク50とが接触した際に発生する力が挙げられる。この外力検出部11は、係数乗算部1101、減算器1102及び係数乗算部1103を有している。
係数乗算部1101は、加速度補償部8の乗算器801による乗算結果に係数(1/Kt)を乗算する。この係数乗算部1101による乗算結果を示す信号は、減算器1102に出力される。
減算器1102は、定電流制御部10により発生された駆動電流Iaの電流値から、係数乗算部1101による乗算結果を減算する。この減算器1102による減算結果を示す信号は、係数乗算部1103に出力される。
係数乗算部1103は、減算器1102による減算結果に係数(Kt)を乗算することで、外力Fを得る。
次に、実施の形態1に係る外力検出装置の動作原理について説明する。なお以下では、アクチュエータ1として、発生した推力がワーク50に直接伝わるダイレクトドライブ形式のリニアアクチュエータを用い、固定部101に対して可動部102を直動させるものとする。このアクチュエータ1は、定電流制御部10が電流指令値Irに応じて発生した駆動電流Iaにより駆動する。
一方、位置検出器2は、固定部101に対する可動部102の直動方向における位置を検出する。
また、位置速度変換部3は、位置検出器2により検出された位置を微分して速度に変換する。この速度は、固定部101に対する可動部102の速度を示す。
また、加速度検出器4は、固定部101の直動方向における加速度を検出する。以下では、加速度検出器4は、固定部101の直動方向成分における移動加速度α1と、固定部101の直動方向成分における重力加速度αgとが加算された加速度(α1+αg)を検出するものとする。
また、位置検出器2により検出された位置は、減算器5で基準位置Prと比較され、その差分がゲイン調整部6を介して電流指令値Irを構成する要素の一つである電流指令値Irpとして加減算器9に与えられる。
電流指令値Irは、電流指令値Irpの他、外乱トルクを補正するための加速度補償値Ircで構成され、次式(1)で表される。
Ir=Irp+Irc (1)
なお、位置を単純にフィードバックすると制御系が不安定となる。そのため、実際には、位置速度変換部3からの速度信号をマイナーループとして加減算器9のマイナス出力に加えて安定化を行っているが、以下では省略する。
また、ゲイン調整部6では、位置制御ループのループゲインを変えることで、アクチュエータ1におけるコンプライアンスの値を変化させることができる。
ここで、駆動電流Iaに着目すると、外乱トルクがない場合には電流値は零になるが、外乱トルクがある場合にはそれに比例して電流値も変化する。
一般的な外乱トルクとしては、作業時にワーク50から受ける反力、重力及び移動加速度により発生する力、減速器のロストルク等が考えられる。ここで、アクチュエータ1はダイレクトドライブ形式のリニアアクチュエータであるため、減速器は持たず、ロストルクは考慮する必要は少ない。したがって、駆動電流Iaは、作業時にワーク50から受ける反力、重力、移動加速度により発生する力に比例した値となる。なお以下では、反力は、ワーク50が他の物体に接触した際に発生する力であるとする。
ここで、アクチュエータ1の駆動電流をIa、作業時にワーク50から受ける反力をF、固定部101の直動方向成分における移動加速度をα1、固定部101の直動方向成分における重力加速度をαg、可動部102の質量をM1,エンドエフェクタ12の質量をM2、ワーク50の質量をM3とする。この場合、次式(2)の関係が成り立つ。
F+(α1+αg)・(M1+M2+M3)=Kt・Ir=Kt・(Irp+Irc)
(2)
なお、Ktはアクチュエータ1が発生する推力と駆動電流Iaとの比を表したトルク定数である。
また、式(2)において外乱トルクを補正するための加速度補償値Ircを次式(3)のように設定する。
(α1+αg)・(M1+M2+M3)=Kt・Irc (3)
式(3)のように加速度補償値Ircを設定した場合、式(2)からα1、αg、M1、M2、M3の項が消え、次式(4)のように整理される。
F=Kt・Irp (4)
このように、外乱トルクを補正するための加速度補償値Ircを式(3)のように設定すると、作業時にワーク50から受ける反力Fと電流指令値Irpは、比例関係になることがわかる。
これは、作業時にワーク50から受ける力が零、つまりワーク50が他の物体と接触していない場合、基準位置Prと実際の位置の差分に基づく電流指令値Irpも零、つまり位置が変位しないことを意味している。
そして、ワーク50が他の物体と接触した際に生じる反力Fは、電流指令値Irpを監視することで知ることができる。
そして、式(4)には、固定部101の直動方向成分における移動加速度α1、固定部101の直動方向成分における重力加速度αg、可動部102の質量M1、エンドエフェクタ12の質量M2、ワーク50の質量M3の項目が含まれていない。
つまり、ロボットが急激に移動、停止を行い移動加速度が発生した場合や、ロボットが連続して姿勢を変更し重力加速度が変化した場合でも、アクチュエータ1の可動部102はゆれることなく反力Fを正しく検出できる。
そして、コンプライアンスの値も自由に設定できる。
なお、上述したように、ワーク50が他の物体と接触して発生する反力Fは、電流指令値Irpを監視することで知ることができる。
しかしながら、位置制御ループにおいて、反力Fに対する電流指令値Irpの応答は一般的に速くない。一方、反力Fに対する駆動電流Iaの応答は比較的早い。そこで、電流指令値Irpを直接監視するのではなく、駆動電流Iaを監視することで反力Fの検出を行う。
ここで、式(2)は以下の通りである。
F+(α1+αg)・(M1+M2+M3)=Kt・Ir=Kt・(Irp+Irc)
(2)
一方、駆動電流Iaは次式(5)で表せる。
Ia=Ir=Irp+Irc (5)
よって、式(2),(5)から下式(6)が得られる。
F+(α1+αg)・(M1+M2+M3)=Kt・Ia (6)
そして、式(6)の両辺から、式(3)の左辺である((α1+αg)・(M1+M2+M3))を減算して整理すると、下式(7)が得られる。
F=Kt・(Ia−(α1+αg)・(M1+M2+M3)/Kt) (7)
この式(7)に示されるように、駆動電流Iaから加速度補償値(α1+αg)・(M1+M2+M3)/Ktを差し引いてトルク定数Ktをかけることで、反力Fに比例して応答が速いIaから反力Fを求めることができる。
図3では、可動部102が図1に示すように下方向に直動してワーク50が他の物体(不図示)に接触した場合での信号波形を示している。なお、図3Aでは減算器1102に入力された駆動電流Ia及び加速度補償値Irc(=((α1+αg)・(M1+M2+M3))/Kt)を示し、図3Bでは外力検出部11により検出された反力Fを示している。この図3に示すように、駆動電流Iaから加速度補償値Irc(=((α1+αg)・(M1+M2+M3))/Kt)を減算して係数(Kt)を乗算することで、反力Fを正確に検出できる。
次に、実施の形態1に係る外力検出装置による効果について説明する。
上記の通り、ロボットの動作は、一般的に、位置制御によりコントロールされる。そのため、作業対象物の寸法誤差や把持位置誤差等により、予めプログラムされた作業対象物の目標位置と実際の位置が異なる場合、作業対象物が他の物体と接触した際に大きな力が発生し、作業対象物に傷や破損が発生する恐れがある。
その対策として、ロボットとエンドエフェクタとの間に力覚センサを設置し、作業対象物の接触時に過大な力が発生しそうになると力覚センサの検出結果をロボットにフィードバックし、過大な力が発生しないようにする方法もある。
しかしながら、過大な力が発生したことを検出して停止指令を出してもロボットは急には止まれないため、停止指令が出た時点から急激に減速しても接触位置からずれた位置で停止してしまい、作業対象物を押し潰してしまう。そして、位置の行き過ぎ量は移動速度に比例するため、作業対象物を他の物体に近付ける速度を遅くせざるを得ない。
上記の理由により、作業対象物が他の物体と接触する可能性のある領域では、ロボットの移動速度を十分落とす必要がある。しかしながら、サイクルタイムを短くするため、作業対象物を移送する速度は速くする必要がある。その結果、接触領域の近傍で速度を急激に落とすことになる。
一方、実施の形態1では、ロボット等の先端にアクチュエータ1を取付け、また、外力検出装置は、アクチュエータ1が急激に移動又は停止されて移動加速度が発生した場合や、アクチュエータ1の姿勢が変更されて重力加速度が変化した場合でも、可動部102に加わる反力Fを正しく検出でき、また、コンプライアンス値を任意に変えられる。そのため、ロボットが急に止まれない点が同じだが、位置の行き過ぎにより作業対象物を押し潰してしまうことはない。よって、作業対象物を他の物体に近づける速度を極端に遅くする必要がなく、また、安全に作業できる。
また、従来では、エンドエフェクタは力覚センサの先に取付けられており、ロボットが急激に減速した場合、エンドエフェクタの質量による影響で、力覚センサには負方向の加速度に比例した力が発生する。
ところが、上記加速度に比例した力と作業対象物の接触により発生する力とを区別することは難しく、区別するためにはロボットの減速時間を大幅に長くせざるを得ない。
一方、実施の形態1に係る外力検出装置では、アクチュエータ1が急激に加減速された場合でも正しく外力Fを検出でき、接触時にのみ力を検出するため、アクチュエータ1の減速時間を長くする必要はない。
また、力覚センサを用いた場合には、重力による影響をリアルタイムに補償し難いという課題もある。
すなわち、組み立て、押し付けや研磨等の作業を行う場合にロボットが取りうる姿勢は常に一定ではなく、作業の状態に応じて変化させる場合が多い。例えば、曲面をトレースしながら研磨を行う作業では、姿勢を連続して変化させる必要がある。
しかしながら、上記の通り、エンドエフェクタは力覚センサの先に取付けられているため、ロボットの姿勢が水平ではない場合、力覚センサには重力加速度による影響でロボットの姿勢とエンドエフェクタの質量に応じた力が発生する。
一方、実施の形態1に係る外力検出装置では、アクチュエータ1の姿勢が変更されて重力加速度が変化した場合でも外力Fを正しく検出できるため、重力による影響をリアルタイムに補償できる。
なお上記では、可動部102を直動方向に変位可能とするアクチュエータ1を用いた場合を示した。しかしながら、これに限らず、加速度検出器4が角加速度を検出可能であれば、可動部102を回転方向に変位可能とするアクチュエータ1を用いることもできる。
以上のように、この実施の形態1によれば、加速度検出器4は固定部101の加速度を検出し、位置検出器2は固定部101に対する可動部102の位置を検出し、位置制御手段(減算器5及びゲイン調整部6)は、位置検出器2により検出された位置と基準位置Prとの差分に基づく電流指令値Irpを出力し、加速度補償部8は、加速度検出器4により検出された加速度と、可動部102側の質量との乗算結果に基づく加速度補償値Ircを出力し、加減算器9は電流指令値Irpに加速度補償値Ircを加算し、定電流制御部10は駆動電流Iaの電流値を電流指令値Irに一致させ、外力検出部11は、駆動電流Iaの電流値から加速度補償値Ircを減算した結果に基づいて外力Fを検出するように構成したので、可動部102が急激に加減速された場合又は姿勢が変更された場合でも、可動部102に加わる外力Fを正しく検出できる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 アクチュエータ
2 位置検出器(位置検出手段)
3 位置速度変換部
4 加速度検出器(加速度検出手段)
5 減算器
6 ゲイン調整部
7 質量推定部
8 加速度補償部(加速度補償手段)
9 加減算器(加算手段)
10 定電流制御部(定電流制御手段)
11 外力検出部(外力検出手段)
12 エンドエフェクタ
50 ワーク
101 固定部
102 可動部
601 ループゲイン測定部
602 ゲイン交点制御部
603 可変ゲイン調整部
801 乗算器
802 係数乗算部
1001 減算器
1002 駆動ドライバ
1003 電流検出器
1101 係数乗算部
1102 減算器
1103 係数乗算部
6011 発振器
6012 加算器
6021 比較器

Claims (4)

  1. 加速度検出手段は、固定部に対して可動部を変位可能なアクチュエータにおける当該固定部の加速度を検出し、
    位置検出手段は、前記固定部に対する前記可動部の位置を検出し、
    位置制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置と基準位置との差分に基づく電流指令値を出力し、
    加速度補償手段は、前記加速度検出手段により検出された加速度と、前記可動部側の質量との乗算結果に基づく加速度補償値を出力し、
    加算手段は、前記位置制御手段から出力された電流指令値に、前記加速度補償手段から出力された加速度補償値を加算し、
    定電流制御手段は、前記アクチュエータを駆動する駆動電流の電流値を、前記加算手段により加速度補償値が加算された電流指令値に一致させ、
    外力検出手段は、前記駆動電流の電流値から前記加速度補償値を減算した結果に基づいて、前記可動部に加わる外力を検出する
    ことを特徴とする外力検出方法。
  2. 前記加速度検出手段は、前記固定部の重力加速度及び移動加速度のうちの一方、又は両方が加算された加速度を検出する
    ことを特徴とする請求項1記載の外力検出方法。
  3. 前記アクチュエータは、ダイレクトドライブ型のリニアアクチュエータである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の外力検出方法。
  4. 質量推定手段は、前記可動部側の質量を推定し、
    前記加速度補償手段は、前記加速度検出手段により検出された加速度と、前記質量推定手段により推定された質量との乗算結果に基づく加速度補償値を出力する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の外力検出方法。
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