JP2018071807A - 蒸発式バーナ - Google Patents

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Abstract

【課題】仕切部材を備える蒸発式バーナにおいて、従来技術に係る仕切部材と同様の材料を使用しつつ、温度上昇及び/又は温度斑に起因する仕切部材全体としての変形を低減する。
【解決手段】燃焼室(110)内に配設された仕切部材(150)を備える蒸発式バーナ(100)において、燃焼室を画定する内側ハウジング(113)の軸方向及び/又は軸方向に直交する方向において互いに間隙を空けて配設された複数の仕切要素(151a等)によって仕切部材が構成されている。燃焼室において仕切部材よりも上流側に位置する着火空間(110a)と下流側に位置する燃焼空間(110b)とが、複数の仕切要素の間に形成された間隙の少なくとも一部を介して連通している。
【選択図】図7

Description

本発明は、蒸発式バーナに関する。より具体的には、本発明は、従来技術に係る仕切部材と同様の材料を使用しつつ、温度上昇及び/又は温度斑に起因する仕切部材全体としての変形を低減することができる蒸発式バーナに関する。
ディーゼル・エンジン等の内燃機関から排出される排気には、例えば煤の微粒子(PM)及び窒素酸化物(NOx)等の有害物質が含まれる。そこで、地球環境保護等の観点から、例えばPMを捕集するフィルタ(DPF)及びNOx還元触媒等の排気浄化手段を内燃機関の排気通路に設けてPM及びNOxを取り除き、排気を浄化することが広く行われている。
ところで、内燃機関の稼働に伴ってDPFにPMが堆積してゆくので、堆積したPMを所定の時期に燃焼させてDPFを再生させる必要がある。また、NOx還元触媒は、例えば内燃機関の冷間始動時等、排気の温度が低い場合、触媒の温度が低く、触媒が活性化されないので、NOxの還元による除去が困難となる。従って、排気に含まれるNOxを取り除くためには、NOx還元触媒が活性化されるのに十分な温度にまでNOx還元触媒の温度を上昇させる必要がある。
そこで、当該技術分野においては、排気通路中に配設されたバーナ(燃焼器)において燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させることにより、DPF及びNOx還元触媒等の排気浄化手段に流入する排気の温度を上昇させることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。これによれば、DPFに堆積したPMを燃焼させてDPFを再生させる機会を増やしたり、NOx還元触媒の温度を迅速に上昇させてNOx還元触媒を早期に活性化させたりすることができる。その結果、内燃機関から排出される排気に含まれる有害物質(PM及びNOx)を有効に取り除き、排気を浄化することができる。
上記のようなバーナとしては、例えば、燃焼室の一端に配設されたウィックに燃料を含浸させ、ウィックから発生する燃料の蒸気をウィックの近傍に配設されたグロープラグによって加熱して着火・燃焼させる蒸発式バーナが従来知られている。また、このような蒸発式バーナにおいても、さらなる性能向上を目的として、様々な構造を有するものが提案されている。
例えば、上記のような蒸発式バーナにおいて燃料の蒸気と空気との混合気を燈芯(ウィック)の表面近傍から燃焼室の出口付近へと案内する筒体が燃焼室内に収納されていることを特徴とする燃焼式暖房装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、火炎の移動方向前進側に複数個の貫通穴が形成された仕切板を配設することにより、燃焼ガスから「すす」等の異物を取り除くと共に、仕切板の表面に付着(滞留)した「すす」を火炎にて焼却して、燃焼器から排出される燃焼ガス中の「すす」等の異物を低減する蒸発式バーナが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
更に、着火機構(グロープラグ)を取り囲むように蒸発用エレメント(ウィック)を湾曲させることにより、着火機構から蒸発用エレメントへの熱伝達を向上させ、蒸発式バーナの着火性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
ところで、上述したような構成を有する蒸発式バーナにおいては、例えば内燃機関の出力変動等に伴う排気の圧力変動の影響により燃焼ガスが燃焼室内にある含浸部材(ウィック)の近傍にまで逆流して、燃焼器における燃料の燃焼が止まったり(以降、「失火」と称される場合がある。)、燃料の燃焼が不安定になったり(以降、「燃焼不良」と称される場合がある。)する虞がある。
そこで、当該技術分野においては、例えば複数の貫通孔が形成された板状の部材等、燃焼室内の空間を隔てる部材(以降、「仕切部材」と称される場合がある。)を燃焼室内におけるウィックの下流側に所定の間隔を空けて配設することが知られている(例えば、特許文献4を参照。)。これにより、上記のように例えば内燃機関の排気の圧力変動の影響が燃焼室にまで及んで燃焼ガスが含浸部材の近傍にまで逆流することを防止することができる。尚、上述した特許文献2に記載された蒸発式バーナ(燃焼器)が備える仕切板も、上記「仕切部材」と同様の効果を達成し得る(例えば、図14の(a)に記載された燃焼器、並びに(b)及び(c)に記載された仕切板を参照)。
ところで、蒸発式バーナにおいては、燃料の燃焼によって火炎が発生することにより、仕切部材が加熱され、燃焼室内において仕切部材が熱膨張する。しかしながら、燃焼室内において仕切部材が固定されている位置及び空間等には自ずと限りがあるため、仕切部材の内部に熱歪み及び熱応力が生じ、結果として、例えば仕切部材の変形等の問題に繋がる虞がある。更に、仕切部材は必ずしも全体的且つ均一に加熱されるとは限らず、仕切部材における温度分布に偏り(温度斑)が生ずる場合がある。この場合においても、仕切部材の内部に熱歪み及び熱応力が生じ、例えば仕切部材の変形等の問題に繋がる虞がある。
上記のような問題に対する対策としては、例えば、従来技術に係る仕切部材の材料と比べて温度変化に伴う寸法変化がより小さい、即ち従来技術に係る仕切部材の材料と比べてより小さい熱膨張係数を有する材料によって、仕切部材を形成することが望ましい。しかしながら、このような材料は高価であるため、結果として、蒸発式バーナの製造コストの大幅な増大を招く虞がある。
実開平02−140120号公報 特開2003−042410号公報 特開2003−302009号公報 特開2004−037013号公報
上述したように、当該技術分野においては、仕切部材を備える蒸発式バーナにおいて、従来技術に係る仕切部材と同様の材料を使用しつつ、温度上昇及び/又は温度斑に起因する仕切部材の変形を低減することができる技術が求められている。本発明は、このような要求に応えるために為されたものである。
本発明者は、鋭意研究の結果、従来技術に係る蒸発式バーナにおいては、例えば複数の貫通孔が形成された1枚の板状の部材等、一体的に形成された部材によって仕切部材が構成されているため、上記のような問題が顕在化し易いことを見出した。更に、本発明者は、互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素によって仕切部材を構成することにより、上記のような問題を低減することができることを見出した。
上記に鑑みて、本発明に係る蒸発式バーナ(以降、「本発明バーナ」と称される場合がある。)は、燃焼室と、含浸部材と、燃料供給部と、着火装置と、仕切部材と、を備える蒸発式バーナである。
燃焼室は、底壁と周壁とからなる有底筒状の容器である内側ハウジングによって画定される空間である。含浸部材は、前記燃焼室における前記内側ハウジングの前記底壁側の端部である第1端部に配設され且つ毛細管構造及び/又は多孔質構造を有する部材である。燃料供給部は、前記含浸部材に燃料を供給して前記含浸部材に前記燃料を含浸させる。着火装置は、前記含浸部材から蒸発する前記燃料の蒸気を加熱して着火させる。仕切部材は、前記燃焼室内において前記含浸部材よりも前記燃焼室の前記第1端部とは反対側の端部である第2端部側に前記含浸部材と所定の間隔を空けて配設されている。
本発明バーナにおいて、前記仕切部材は、前記内側ハウジングの軸方向及び/又は前記内側ハウジングの軸方向に直交する方向において互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素である仕切要素によって構成されている。更に、前記燃焼室において前記仕切部材よりも前記第1端部側に位置する空間である着火空間と、前記燃焼室において前記仕切部材よりも前記第2端部側に位置する空間である燃焼空間と、が前記複数の仕切要素の間に形成された前記間隙の少なくとも一部を介して連通している。
本発明バーナにおいて、前記仕切部材は、前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において前記複数の仕切要素が重ならないように構成され得る。
或いは、本発明バーナにおいて、前記仕切部材は、前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が部分的に重なるように構成され得る。この場合、前記仕切部材は、前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において、前記仕切要素が存在しない領域である貫通領域が存在するように構成され得る。
本発明の1つの側面において、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向に延在する柱状の形状を有する部分である支持部を備えており、且つ、前記支持部が前記含浸部材に挿入されることにより前記燃焼室における所定の位置にそれぞれ独立に固定されているように構成され得る。この場合、前記支持部は、前記含浸部材を貫通して前記着火空間に露出している露出部を有しており、且つ、前記含浸部材の前記第1端部側の表面において前記露出部がかしめられることにより前記含浸部材に係止されていてもよい。
本発明のもう1つの側面において、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、隣接する他の仕切要素と互いに係合されているように構成され得る。この場合、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、連結部材を介して、隣接する他の仕切要素と互いに係合されているように構成され得る。
本発明の更にもう1つの側面において、前記複数の仕切要素のうち前記周壁に隣接する仕切要素の少なくとも一部の仕切要素は、前記周壁に固定又は係合されているように構成され得る。この場合、前記複数の仕切要素のうち前記周壁に隣接する仕切要素の少なくとも一部の仕切要素は、連結部材を介して、前記周壁に係合されているように構成され得る。
本発明の更にもう1つの側面において、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向と交差する主面を有する平面板状又は曲面板状の形状を有するように構成され得る。この場合、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向と直交する主面を有する平面板状の形状を有するように構成され得る。或いは、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向において前記第1端部側又は前記第2端部側に凸状の曲面板状の形状を有するように構成され得る。
上記のように、本発明に係る蒸発式バーナ(本発明バーナ)においては、互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素(仕切要素)によって仕切部材が構成されている。その結果、従来技術に係る仕切部材と同様の材料を使用しつつ、温度上昇及び/又は温度斑に起因する仕切部材全体としての変形を低減することができる。
また、上述したように少なくとも一部の仕切要素が支持部を備え且つ当該支持部を含浸部材に挿入することにより、当該仕切要素の各々を所定の位置にそれぞれ独立に固定することができる。その結果、仕切部材の構造における自由度を高めることができる。更に、燃焼室における燃料の燃焼時に火炎によって加熱された仕切部材(の仕切要素)からの輻射に加えて、支持部を介する熱伝導も可能となる。従って、含浸部材をより効果的に暖めて、含浸部材からの燃料の蒸発を更に促進させることができ、結果として、当該バーナの着火性を更に高めることができる。
一方、上述したように少なくとも一部の仕切要素を隣接する他の仕切要素と互いに係合させることにより、温度上昇及び/又は温度斑に起因する当該仕切要素の変形を係合部位における遊び(間隙)によって吸収して、仕切部材全体としての変形を低減することができる。
更に、上述したように内側ハウジングの周壁に隣接する仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素を当該周壁に固定又は係合させることにより、燃焼室における仕切部材の位置を確実に定めることができる。
加えて、上述したように少なくとも一部の仕切要素の形状を内側ハウジングの軸方向と交差する主面を有する平面板状又は曲面板状とすることにより、仕切部材全体としての質量の増大を低減しつつ、燃焼ガスの逆流に起因する失火及び/又は燃焼不良を低減することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係る蒸発式バーナ(第1バーナ)の燃焼室を画定する内側ハウジングの軸を含む平面による模式的な断面図である。 従来技術に係る蒸発式バーナ(従来バーナ)が備える仕切部材の構成の具体例を示す模式的な平面図である。 第1バーナが備える仕切部材の構成の1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第1バーナが備える仕切部材の構成のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第1バーナが備える仕切部材の構成のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 本発明の第2実施形態に係る蒸発式バーナ(第2バーナ)が備える仕切部材の構成の1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第2バーナが備える仕切部材の構成のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第2バーナが備える仕切部材の構成のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 本発明の第3実施形態及び第4実施形態に係る蒸発式バーナ(第3バーナ及び第4バーナ)が備える仕切部材の構成の1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第3バーナが備える仕切部材において隣接する仕切要素同士の係合状態の1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第3バーナが備える仕切部材において隣接する仕切要素同士の係合状態のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 本発明の第5実施形態に係る蒸発式バーナ(第5バーナ)が備える仕切部材の構成の1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 第5バーナが備える仕切部材の構成のもう1つの具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。 従来バーナの燃焼室を画定する内側ハウジングの軸を含む平面による模式的な断面図及び仕切部材の模式的な平面図である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る蒸発式バーナ(以下、「第1バーナ」と称される場合がある。)の構成の一例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
〈バーナの構成〉
図1は、燃焼室を画定する内側ハウジングの軸を含む平面による第1バーナの模式的な断面図である。以下の説明においては、第1バーナが使用される状態(例えば、車両に搭載される状態等)における鉛直方向上側(図1の紙面の上側)を「上方」、その反対側である下側を「下方」とする。更に、図1の紙面に向かって左側(含浸部材側)を「上流側」、その反対側である右側を「下流側」とする。
本発明バーナは、前述したように、燃焼室と、含浸部材と、燃料供給部と、着火装置と、仕切部材と、を備える蒸発式バーナである。燃焼室は、底壁と周壁とからなる有底筒状の容器である内側ハウジングによって画定される空間である。含浸部材は、燃焼室における内側ハウジングの底壁側の端部である第1端部に配設され且つ毛細管構造及び/又は多孔質構造を有する部材である。燃料供給部は、含浸部材に燃料を供給して含浸部材に燃料を含浸させる。着火装置は、含浸部材から蒸発する燃料の蒸気を加熱して着火させる。仕切部材は、燃焼室内において含浸部材よりも燃焼室の第1端部とは反対側の端部である第2端部側に含浸部材と所定の間隔を空けて配設されている。
当然のことながら、第1バーナ100もまた本発明バーナと同様の構成を有する。具体的には、第1バーナ100は、外側ハウジング114と、外側ハウジング114の内側に配設された内側ハウジング113とを備える。外側ハウジング114及び内側ハウジング113の形状は特に限定されず、例えば、第1バーナ100の用途及び使用環境等に応じて適宜設計することができる。本例においては、外側ハウジング114は円筒状の周壁として形成し、内側ハウジング113は外側ハウジング114の周壁と同軸の円筒状の周壁113aと周壁113aの上流側の端部(第1端部)に配設された底壁111とからなる有底筒状の容器として形成した。
外側ハウジング114の周壁と内側ハウジング113の周壁113aとの間には、上流側及び下流側の両端が閉じられた空間である給気通路115が形成されている。外側ハウジング114の周壁には開口部である第1給気口114aが形成されており、この第1給気口114aには給気管116が接続され、図示しない給気手段によって外側ハウジング114内の給気通路115に空気が供給されるようになっている。給気通路115に供給される空気の流量は、図示しない流量制御部によって任意に変更することができるようになっている。
本例においては、燃焼室110の第1端部近傍に第1給気口114aが形成され、この第1給気口114aには給気管116が接続されている。しかしながら、燃焼室110の内部に空気を供給することが可能である限り、給気管116の接続箇所は特に限定されない。
尚、上記のように外側ハウジング114の周壁と内側ハウジング113の周壁113aとの間に形成された給気通路115を通じて供給される空気の層は、断熱層として機能することができる。その結果、燃料の燃焼時において燃焼室110内の熱が外側ハウジング114に伝導されて第1バーナ100以外の設備等へ熱による影響を与えることを防止することができる。外側ハウジング114の下流側の端部には、フランジ等からなる取付用部材117が外向きに突出して設けられている。
燃焼室110は、内側ハウジング113によって画定される空間である。内側ハウジング113の底壁111側(上流側)の端部である第1端部には含浸部材120が配設されている。従って、実質的には、内側ハウジング113の内部空間の含浸部材120よりも下流側の空間が燃焼室110に該当する。一方、内側ハウジング113の第1端部(上流側端部)とは反対側の端部である第2端部(下流側端部)は、開口部113bとして開口している。
尚、本例においては、内側ハウジング113の第2端部にオリフィス118を内嵌固定して、燃焼室110の断面積を小さくした(即ち、燃焼ガスの流路を狭くした)。これにより、燃焼室110の第2端部に到達した燃焼ガスの一部が上流側へと転向して、燃焼室110におけるガスの混合を促進すると共に、未燃燃料を上流側へと環流させて燃焼させることにも繋がる。但し、燃焼室110の下流部における断面積を小さくするための手法は上記に限定されず、例えば、上記のように別個の部品としてのオリフィス118を配設するのではなく、内側ハウジング113の周壁113aを内側に屈曲させてオリフィスを形成してもよい。また、本発明に係る蒸発式バーナにおいて、燃焼室110の第2端部側の断面積を小さくすることは必須の構成要件ではなく、上記のようにオリフィスを形成しなくてもよい。
含浸部材120は、耐熱性及び燃料に対する化学的安定性(例えば、耐腐食性等)等を有すると共に、その内部に燃料を含浸させることが可能な材料によって形成される。具体的には、含浸部材120は、例えば金属及びセラミック材料等によって形成され、毛細管構造及び/又は多孔質構造を有する部材である。本例においては、金属繊維及び/又はセラミック繊維を押し固めることによって形成されたウィックを含浸部材120として使用した。
また、含浸部材120の形状は、特に限定されないが、本例においては、含浸部材120を円盤状に形成し、内側ハウジング113の軸に直交する平面による燃焼室110の断面全体に亘るように配設した。
内側ハウジング113の底壁111には貫通孔111aが形成されており、この貫通孔111aには燃料供給管131が接続されている。これにより、図示しない燃料供給装置から燃料供給管131を通して、含浸部材120の上流側の主面に燃料が供給される。底壁111における貫通孔111aの位置(即ち、燃料供給管131を接続する位置)は、含浸部材120に燃料を供給することが可能である限り、特に限定されない。本例においては、含浸部材120の上流側の主面の中心部に対応する底壁111の位置に燃料供給管131を接続した。尚、上述した燃料供給装置及び燃料供給管131は燃料供給部130を構成する。
更に、外側ハウジング114における、含浸部材120の径方向の外側の端部の近傍に対応する位置には、着火装置140が配設されている。具体的には、外側ハウジング114の下側には、着火装置取付部材141が配設されている。着火装置取付部材141の先端(燃焼室110側の端部)は、給気通路115の内部に達しているが、内側ハウジング113とは当接しないように構成されている。これにより、燃料の燃焼時において燃焼室110内の熱が着火装置取付部材141を経由して外側ハウジング114に伝導されて蒸発式バーナ100以外の設備等へ熱による影響を与えることを防止することができる。
着火装置取付部材141には着火手段142が固定されている。着火手段142は、含浸部材120から蒸発する燃料の蒸気を加熱して着火させることが可能である限り特に限定されず、例えば点火プラグ等の任意の手段を使用することができる。本例においては、着火手段142としてグロープラグを使用した。
着火手段142の配設位置は、含浸部材120から蒸発する燃料の蒸気を加熱して着火させることが可能である限り特に限定されない。典型的には、着火手段142は、燃焼室110において仕切部材150よりも第1端部側(上流側)に位置する空間である着火空間110aに露出するように配設される。本例においては、着火手段142は、含浸部材120の上下方向の中央よりも下側の内側ハウジング113の周壁113aから着火空間110aにおける含浸部材120の近傍において上方に向かって突出するように配設されている。
燃焼室110内において含浸部材120よりも下流側(第2端部側)には、含浸部材120と所定の間隔を空けて仕切部材150が配設されている。仕切部材150は、燃焼室110内の空間を着火空間110aと燃焼空間110bとに分割している。具体的には、仕切部材150により、含浸部材120と仕切部材150との間には着火空間110aが形成され、仕切部材150よりも第2端部側(下流側)には燃焼空間110bが形成されている。仕切部材150の構成の詳細については、後に詳述する。
内側ハウジング113の周壁113aには、着火空間110aに開口し且つ着火空間110aに空気を供給する第2給気口110cが形成されている。本例においては、内側ハウジング113の周壁113aに穿設された小孔からなる第2給気口110cが、所定の間隔にて周壁113aの周方向の全体に亘って複数形成されている。但し、第2給気口110cを周壁113aの周方向の全体に亘って形成するのではなく、周壁113aの一部(例えば上部等)のみに形成してもよい。
更に、内側ハウジング113の周壁113aには、燃焼室110において仕切部材150よりも第2端部側(下流側)に位置する空間である燃焼空間110bに開口し且つ燃焼空間110bに空気を供給する第3給気口(図示せず)が形成されていてもよい。
尚、第1バーナ100における内側ハウジング113、外側ハウジング114、給気管116、含浸部材120、燃料供給管131、着火装置取付部材141、着火手段142及び仕切部材150、並びにこれらを構成する部材及びこれらに付随する部材の位置決め及び固定は、例えば溶接等の周知の手法によって行うことができる。
また、第1バーナ100を構成する上記を始めとする種々の構成要素を形成する材料等は、第1バーナ100の使用環境及び使用条件において想定される荷重、振動、温度及び圧力等を考慮して適宜選択及び設計することができる。但し、これらの構成要素の材料等については当業者に周知であるので、これ以上の説明は省略する。
〈仕切部材の構成〉
前述したように、従来技術に係る蒸発式バーナ(以降、「従来バーナ」と称される場合がある。)においては、一体的に形成された部材によって仕切部材が構成されていることが一般的である。このような従来技術に係る仕切部材の具体例としては、例えば、図2の(a)及び(b)に示すような複数の貫通孔が形成された1枚の板状の部材等を挙げることができる。
(a)に示した仕切部材251においては、同一の形状(真円状)及び大きさを有する貫通孔251bが円盤状の部材251aの全面に亘って形成されている。一方、(b)に示した仕切部材252においては、円盤状の部材252aの中心を中心とする円弧状の長孔252b及び252cが周方向及び径方向に適宜間隔を空けて複数形成されている。このように一体的に形成された仕切部材が燃料の燃焼に伴って加熱されると、前述したように、温度上昇及び/又は温度斑に起因して仕切部材の内部に熱歪み及び熱応力が生じ、例えば仕切部材の変形等の問題に繋がる虞がある。
そこで、本発明バーナにおいては、前述したように、内側ハウジングの軸方向及び/又は内側ハウジングの軸方向に直交する方向において互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素である仕切要素によって仕切部材が構成されている。更に、燃焼室において仕切部材よりも第1端部側に位置する空間である着火空間と、燃焼室において仕切部材よりも第2端部側に位置する空間である燃焼空間と、が複数の仕切要素の間に形成された間隙の少なくとも一部を介して連通している。
尚、個々の仕切要素の大きさ及び形状並びに仕切要素の間に形成される間隙の大きさ等は、例えば、含浸部材から蒸発する燃料の蒸気と空気との混合気の着火空間から燃焼空間への流れ易さと含浸部材の近傍への燃焼ガスの逆流し難さとのバランス等を考慮して、適宜定めることができる。
第1バーナ100においては、図3の(a)及び(b)に示す仕切部材150を採用した。(a)は仕切部材150を下流側から観察した場合における模式的な平面図であり、(b)は、(a)における線B−Bを通って含浸部材120と直交する平面による仕切部材150の模式的な断面図である。また、図3においては、仕切部材150のみならず、含浸部材120もまた描かれている。図3に示すように、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素(151a乃至151cの3種類)によって仕切部材150が構成されている。
また、複数の仕切要素151a乃至151cは、含浸部材120の主面と平行な1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている。この間隙を介して、燃焼室110において仕切部材150よりも第1端部側に位置する空間である着火空間110aと、燃焼室110において仕切部材150よりも第2端部側に位置する空間である燃焼空間110bと、が連通している。
〈効果〉
上記のような構成を有する第1バーナ100においては、含浸部材120及び仕切部材150を下流側から観察した場合、複数の仕切要素151a乃至151cによって含浸部材120の下流側の主面が部分的に覆われており、含浸部材120の露出面積が低減されている。その結果、例えば、前述したように内燃機関の出力変動等に伴う排気の圧力変動の影響により燃焼ガスが燃焼室110内にある含浸部材120の近傍にまで逆流して失火及び/又は燃焼不良等の問題を招く可能性を低減することができる。
また、燃焼室110における燃料の燃焼時に火炎によって加熱された仕切部材150(の複数の仕切要素151a乃至151c)からの輻射熱により、含浸部材120を効果的に暖めて、含浸部材120からの燃料の蒸発を促進させることができ、結果として、当該バーナの着火性を高めることができる。
更に、複数の仕切要素151a乃至151cの間に形成された間隙を介して、含浸部材120から蒸発する燃料の蒸気と第2給気口110cを介して着火空間110a内に供給される空気との混合気が着火空間110aから燃焼空間110bへと流れることができる。このとき、上記混合気が上記間隙を通過したり仕切要素151a乃至151cに衝突したりすることにより、上記混合気における燃料の濃度を均一化することができる。
加えて、第1バーナ100においては、内側ハウジング113の軸方向及び/又は内側ハウジング133の軸方向に直交する方向において互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素である仕切要素151a乃至151cによって仕切部材150が構成されている。従って、仕切部材150が加熱されたり、仕切部材150において温度斑が生じたりしても、個々の仕切要素151a乃至151cが小さく且つ互いに間隙を空けて配設されているので、仕切部材150全体としては、温度上昇及び/又は温度斑に起因する変形を低減することができる。
〈変形例〉
上記のように、第1バーナ100においては、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素151a乃至151cによって仕切部材150が構成されている。しかしながら、個々の仕切要素の形状は円盤状に限定されず、例えば図4に示す仕切要素152のように、同一の大きさを有する多角形(図4においては正六角形)の平板状であってもよい。更に、複数の仕切要素の大きさ及び形状は全て同じであってもよく、或いは、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素の大きさ及び/又は形状が他の仕切要素の大きさ及び/又は形状と異なっていてもよい。
また、第1バーナ100においては、複数の仕切要素151a乃至151cは、含浸部材120の主面と平行な1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている。換言すれば、内側ハウジング113の軸方向に直交する平面への仕切部材150の投影図において、複数の仕切要素151a乃至151cは重ならない。
しかしながら、内側ハウジング113の軸方向に直交する平面への仕切部材150の投影図において、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が部分的に重なっていてもよい。具体的には、例えば図5に示すように、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素(図5においては153a及び153bの2種類)によって仕切部材150が構成されており、それぞれの仕切要素が部分的に重なっていてもよい。
上記によれば、図3及び図4に示した例のように複数の仕切要素が1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている構成と比べて、含浸部材及び仕切部材を下流側から観察した場合における含浸部材の露出面積が更に低減される。その結果、例えば内燃機関の出力変動等に伴う排気の圧力変動の影響により燃焼ガスが燃焼室110内にある含浸部材120の近傍にまで逆流して失火及び/又は燃焼不良等の問題を招く可能性を更に低減することができる。
しかしながら、上記の場合において、含浸部材及び仕切部材を下流側から観察した場合に含浸部材の下流側の主面の全面が仕切要素によって覆われてしまうと、燃料の蒸気と空気との混合気の着火空間から燃焼空間への流れが過剰に妨げられ、燃焼器としての性能が低下する虞がある。このような場合は、含浸部材及び仕切部材を下流側から観察した場合に含浸部材が露出している領域を残すことが望ましい。換言すれば、内側ハウジングの軸方向に直交する平面への仕切部材の投影図において、仕切要素が存在しない領域である貫通領域が存在するように、仕切部材を構成してもよい。尚、図5に示した例においては、複数の貫通領域150aが存在している。
上記によれば、燃料の蒸気と空気との混合気が着火空間から燃焼空間へと容易に流れることができる経路(即ち、貫通領域150a)が確保される。その結果、上記混合気の着火空間から燃焼空間への流れ易さと含浸部材の近傍への燃焼ガスの逆流し難さとをより良好に両立させることができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る蒸発式バーナ(以下、「第2バーナ」と称される場合がある。)の構成の一例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
〈バーナの構成〉
第2バーナの構成は、図1を参照しながら説明した第1バーナ100の構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を割愛する。
〈仕切部材の構成〉
第2バーナにおいては、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジングの軸方向に延在する柱状の形状を有する部分である支持部を備えており、且つ、当該支持部が含浸部材に挿入されることにより燃焼室における所定の位置にそれぞれ独立に固定されている。
具体的には、第2バーナにおいては、図6に示す仕切部材150を採用した。図6に示す仕切部材150は、上述した図3に示した仕切部材150と基本的には同様の構成を有する。即ち、第2バーナが備える仕切部材150もまた、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素(151a乃至151cの3種類)によって構成されている。また、複数の仕切要素151a乃至151cは、含浸部材120の主面と平行な1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている。
但し、図6の(b)に示すように、第2バーナが備える仕切部材150においては、個々の仕切要素151a乃至151cが内側ハウジング113の軸方向に延在する柱状の形状を有する部分である支持部151sを備えている。更に、個々の支持部151sは、含浸部材120に挿入されている。これにより、個々の仕切要素151a乃至151cが燃焼室110における所定の位置にそれぞれ独立に固定されている。
尚、図6に示した例においては、全ての仕切要素151a乃至151cが支持部151sを備えており、且つ、全ての支持部151sが含浸部材120に挿入されることにより個々の仕切要素151a乃至151cが燃焼室110における所定の位置にそれぞれ独立に固定されている。しかしながら、必ずしも全ての仕切要素が支持部を備えている必要は無い。
即ち、一部の仕切要素のみが支持部を備えており且つ当該支持部が含浸部材に挿入されることにより対応する仕切要素が所定の位置にそれぞれ独立に固定されており、その他の仕切要素は支持部とは異なる他の手段及び/又は構造により所定の位置に固定されていてもよい。
〈効果〉
上記のような構成を有する第2バーナによれば、上述した第1バーナ100と同様の効果を達成することができる。加えて、第2バーナにおいては、仕切要素151a乃至151cの支持部151sが含浸部材120に挿入されている。その結果、仕切部材150の構造における自由度を高めることができる。
更に、燃焼室110における燃料の燃焼時に火炎によって加熱された仕切部材150(の複数の仕切要素151a乃至151c)からの輻射に加えて、支持部151sを介する熱伝導も可能となる。従って、含浸部材120をより効果的に暖めて、含浸部材120からの燃料の蒸発を更に促進させることができ、結果として、当該バーナの着火性を更に高めることができる。
〈変形例〉
第1バーナ100に関して上述したように、個々の仕切要素の大きさ及び形状並びに仕切要素の間に形成される間隙の大きさ等は、例えば、含浸部材から蒸発する燃料の蒸気と空気との混合気の着火空間から燃焼空間への流れ易さと含浸部材の近傍への燃焼ガスの逆流し難さとのバランス等を考慮して、適宜定めることができる。
上記のように、第2バーナにおいては、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素151a乃至151cによって仕切部材150が構成されている。しかしながら、個々の仕切要素の形状は円盤状に限定されず、例えば第1バーナ100の変形例として図4に示した仕切要素152のように、同一の大きさを有する多角形の平板状であってもよい。更に、複数の仕切要素の大きさ及び形状は全て同じであってもよく、或いは、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素の大きさ及び/又は形状が他の仕切要素の大きさ及び/又は形状と異なっていてもよい。
第2バーナにおいては、上記のように、複数の仕切要素151a乃至151cは、含浸部材120の主面と平行な1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている。換言すれば、内側ハウジング113の軸方向に直交する平面への仕切部材150の投影図において、複数の仕切要素151a乃至151cは重ならない。しかしながら、内側ハウジング113の軸方向に直交する平面への仕切部材150の投影図において、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が部分的に重なっていてもよい。具体的には、例えば図7に示すように、大きさの異なる複数種の円盤状の仕切要素(図7においては153a及び153bの2種類)によって仕切部材150が構成されており、それぞれの仕切要素が部分的に重なりつつ、支持部153sによって固定されていてもよい。
上記によれば、図6に示した例のように複数の仕切要素が1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている構成と比べて、含浸部材及び仕切部材を下流側から観察した場合における含浸部材の露出面積が更に低減される。その結果、例えば内燃機関の出力変動等に伴う排気の圧力変動の影響により燃焼ガスが燃焼室110内にある含浸部材120の近傍にまで逆流して失火及び/又は燃焼不良等の問題を招く可能性を更に低減することができる。
ところで、第2バーナにおいては、含浸部材に支持部を貫通させて支持部の先端をかしめることにより、含浸部材に支持部を確実に固定してもよい。具体的には、例えば、図8に示すように、支持部151sは、含浸部材120を貫通して着火空間110aに露出している露出部151pを有する。更に、含浸部材120の第1端部側の表面において、露出部151pがかしめられている。これにより、支持部151sは含浸部材120に係止されている。
上記によれば、仕切要素が備える支持部を含浸部材に確実に固定して、例えば内燃機関の運転に伴って発生する振動等により、仕切要素が含浸部材から脱落しないようにすることができる。ここでいう「かしめる」とは、例えば露出部151pを曲げたり或いは潰して広げたりする等、支持部の露出部を塑性変形させて支持部は含浸部材から脱落しないようにすることを意味する。
尚、上述した例においては全ての仕切要素が支持部を備えており且つ当該支持部が含浸部材に挿入されることにより固定されているが、必ずしも全ての仕切要素が含浸部材に挿入された支持部によって固定されていなくてもよい。例えば、複数の仕切要素の一部が、他の手法によって燃焼室における所定の位置に固定されていてもよい。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る蒸発式バーナ(以下、「第3バーナ」と称される場合がある。)の構成の一例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
〈バーナの構成〉
第3バーナの構成もまた、図1を参照しながら説明した第1バーナ100及び上述した第2バーナの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を割愛する。
〈仕切部材の構成〉
第3バーナにおいては、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が、隣接する他の仕切要素と互いに係合されている。
具体的には、第3バーナにおいては、図9に示す仕切部材150を採用した。図9に示す仕切部材150は、上述した図4に示した仕切部材150と基本的には同様の構成を有する。即ち、第3バーナが備える仕切部材150もまた、同一の大きさを有する多角形(図9においては正六角形)の平板状の仕切要素154によって構成されている。また、複数の仕切要素154は、含浸部材120の主面と平行な1つの平面内に互いに間隙を空けて配設されている。
但し、第3バーナにおいては、隣接する仕切要素154同士が互いに係合されている。具体的には、図9に示すように、連結部材155を介して、隣接する仕切要素154同士が互いに係合されている。連結部材155の大きさ及び形状、並びに仕切要素154において連結部材155を係合させる箇所及び個数等、隣接する仕切要素同士の具体的な係合状態については、例えば、仕切要素154及び連結部材155の大きさ、形状及び機械的強度等、並びに、このように係合させる仕切要素154の個数及び配置等、種々の要因に応じて、適宜定めることができる。
図10は、連結部材を介して隣接する仕切要素同士の係合状態の具体例を示す模式的な平面図及び断面図である。但し、係合状態についての理解を容易にすることを目的として、図10においては、一対の隣接する仕切要素154と1つの連結部材155とからなる係合状態の単純化されたモデルを示す。
(a)は、仕切部材150を下流側から観察した場合における上記モデルの模式的な平面図であり、(b)は、(a)における線C−Cを通って含浸部材120と直交する平面による上記モデルの模式的な断面図である。(a)に示すように、一対の隣接する仕切要素154の各々には貫通孔154aが形成されている。そして、(b)に示すように、これらの貫通孔154aを貫通するように挿入された1つの連結部材155の両端が、互いに近づく方向に、それぞれ一回屈曲されることにより、かしめられている。
〈効果〉
上記のような構成を有する第3バーナにおいては、隣接する仕切要素154の相対位置がある程度は固定される。しかしながら、貫通孔154aと連結部材155との間には微小な間隙(遊び)が存在する。これにより、温度上昇及び/又は温度斑に起因する個々の仕切要素154の変形を当該遊び(間隙)によって吸収して、仕切部材150全体としての変形を低減することができる。
〈変形例〉
上述したように、個々の仕切要素の大きさ及び形状並びに仕切要素の間に形成される間隙の大きさ等は、例えば、含浸部材から蒸発する燃料の蒸気と空気との混合気の着火空間から燃焼空間への流れ易さと含浸部材の近傍への燃焼ガスの逆流し難さとのバランス等を考慮して、適宜定めることができる。
また、隣接する仕切要素154同士の連結部材155を介する係合状態は上記に限定されず、多種多様な係合状態を採用することができる。例えば、図10の(c)に示すように、一対の隣接する仕切要素154に対する連結部材155の配置は、(a)に示した配置とは上下方向において逆であってもよい。更に、連結部材155の両端のかしめ方についても上記に限定されない。例えば、(d)及び(e)に示すように、貫通孔154aを貫通するように挿入された1つの連結部材155の両端が、互いに近づく方向に、それぞれ一回屈曲され、更に同じ方向にもう一回屈曲されることにより、かしめられてもよい。
更に、上述した例においては隣接する仕切要素154同士が連結部材155を介して互いに係合されているが、連結部材を介すること無く、仕切要素同士が直接的に係合されていてもよい。例えば、図11の(a)は、一対の隣接する仕切要素156同士の係合状態の単純化されたモデルを下流側から観察した場合における模式的な平面図である。(b)は、(a)における線D−Dを通って含浸部材120と直交する平面による上記モデルの模式的な断面図である。個々の仕切要素156は、隣接する他の仕切要素と係合するための貫通孔156a及び係合部156bを備える。
上記により、仕切要素156は、連結部材を介すること無く、仕切要素156同士が直接的に係合することができる。その結果、例えば、仕切部材150の構成部品の数を減らし、仕切部材150の製造工程を簡素化することができる。尚、個々の仕切要素156が備える貫通孔156a及び係合部156bの配置及び個数等は、仕切要素156によって構成しようとする仕切部材150に求められる特性(例えば、機械的強度及び通気抵抗等)に応じて、適宜定めることができる。
加えて、上述した例においては隣接する仕切要素154の全てが連結部材155を介して互いに係合されているが、必ずしも全ての仕切要素154の全てが互いに係合されていなくてもよい。例えば、複数の仕切要素154の一部が、支持部を介して含浸部材に固定されていてもよく、或いは、他の手法によって燃焼室における所定の位置に固定されていてもよい。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る蒸発式バーナ(以下、「第4バーナ」と称される場合がある。)の構成の一例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
〈バーナの構成〉
第4バーナの構成もまた、上述した第1バーナ100乃至第3バーナの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を割愛する。
〈仕切部材の構成〉
第4バーナにおいては、仕切部材を構成する複数の仕切要素のうち内側ハウジングの周壁に隣接する仕切要素の少なくとも一部の仕切要素が、上記周壁に固定又は係合されている。例えば、上述した第3バーナに関する説明においては言及しなかったが、図9に示した例においては、仕切部材150を構成する複数の仕切要素154のうち内側ハウジング113の周壁113aに隣接する仕切要素154が、連結部材155を介して、枠160に係合されている。この枠160は周壁113aに固定されている。従って、周壁113aに隣接する仕切要素154は、連結部材155(及び枠160)を介して、周壁113aに係合されている。
但し、周壁113aに隣接する仕切要素154は、連結部材155及び/又は枠160を介すること無く、周壁113aに直接的に固定されていてもよい。また、必ずしも周壁113aに隣接する仕切要素154の全てが周壁113aに係合されていなくてもよく、周壁113aに隣接する仕切要素の一部が、支持部を介して含浸部材に固定されていてもよく、隣接する他の仕切要素と連結されていてもよく、或いは、他の手法によって固定されていてもよい。
〈効果〉
上記のような構成を有する第4バーナによれば、内側ハウジングの周壁に隣接する仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素を当該周壁に固定又は係合させることにより、燃焼室における仕切部材の位置を確実に定めることができる。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る蒸発式バーナ(以下、「第5バーナ」と称される場合がある。)の構成の一例につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
〈バーナの構成〉
第5バーナの構成もまた、上述した第1バーナ100乃至第3バーナの構成と基本的に同様であるので、ここでは説明を割愛する。
〈仕切部材の構成〉
これまで説明してきた本発明の種々の実施形態においては、例えば円形及び多角形の主面を有する平面板状の形状を有する仕切要素(係合のための貫通孔及び/又は係合部を備える仕切要素を含む)を例示してきた。しかしながら、上述したように、個々の仕切要素の大きさ及び形状並びに仕切要素の間に形成される間隙の大きさ等は、例えば、含浸部材から蒸発する燃料の蒸気と空気との混合気の着火空間から燃焼空間への流れ易さと含浸部材の近傍への燃焼ガスの逆流し難さとのバランス等を考慮して適宜定めることができる。
個々の仕切要素は、例えば平面板状及び曲面板状等の板状の形状を有していてもよく、或いは屈曲した板状の形状を有していてもよい。更に、個々の仕切要素は、三次元的(立体的)な形状を有していてもよい。
例えば、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジングの軸方向と交差する主面を有する平面板状又は曲面板状の形状を有していてもよい。具体的には、上述した図3乃至図11に示したように、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジングの軸方向と直交する主面を有する平面板状の形状を有していてもよい。或いは、複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジングの軸方向において第1端部側又は第2端部側に凸状の曲面板状の形状を有していてもよい。
第5バーナにおいては、例えば図12に示すように、大きさの異なる複数種の仕切要素(157a乃至157cの3種類)によって仕切部材150が構成されている。更に、これらの仕切要素157a乃至157cは、内側ハウジング113の軸方向において第1端部側(上流側)に凸状の曲面板状の形状を有している。
〈効果〉
上記のような構成を有する第5バーナによれば、着火空間110aから燃焼空間110bへと向かう燃料の蒸気と空気との混合気の流れと比べて、燃焼空間110bから着火空間110aへと向かう燃焼ガスの流れ(逆流)が流れにくくなる。その結果、燃焼器としての性能を維持・向上しつつ、燃焼ガスの逆流に起因する失火及び/又は燃焼不良を更に低減することができる。
〈変形例〉
第5バーナにおいては、上述したように、少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジング113の軸方向において第1端部側(上流側)に凸状の曲面板状の形状を有している。しかしながら、これとは逆に、少なくとも一部の仕切要素が、内側ハウジング113の軸方向において第2端部側(下流側)に凸状の曲面板状の形状を有していてもよい。
具体的には、例えば図13に示すように、内側ハウジング113の軸方向において第1端部側(上流側)に凸状の曲面板状の形状を有する複数種の仕切要素(158a乃至158cの3種類)によって仕切部材150を構成してもよい。この場合、着火空間110aから燃焼空間110bへと向かう混合気の流れの一部が仕切要素158a乃至158cの凹部によって上流側へと転向されて、着火空間110aにおける燃料と空気との混合を促進することができる。
尚、上述した図12及び図13に示した例においては、仕切要素(それぞれ157a乃至157c及び158a乃至158c)が支持部(それぞれ157s及び158s)を備えていた。しかしながら、第5バーナにおいて燃焼室110内の所定の位置に仕切要素を固定するための手法は上記に限定されず、これまで述べてきた種々の手法から適宜選択して適用することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
100……蒸発式バーナ、110…燃焼室、110a…着火空間、110b…燃焼空間、111…内側ハウジングの底壁、111a…底壁の貫通孔、113…内側ハウジング、113a…内側ハウジングの周壁、113b…開口部、114…外側ハウジング、114a…第1給気口、115…給気通路、116…給気管、117…取付用部材、120…含浸部材、130…燃料供給部、131…燃料供給管、140…着火装置、141…着火装置取付部材、142…着火手段、150…仕切部材、150a…貫通領域、151a、151b、151c、152、153a、153b、154、156、157a、157b、157c、158a、158b及び158c…仕切要素、151s、153s、157s及び158s…支持部、151p…露出部、155…連結部材、156a…貫通孔、156b…係合部、並びに160…枠。

Claims (13)

  1. 底壁と周壁とからなる有底筒状の容器である内側ハウジングによって画定される空間である燃焼室と、
    前記燃焼室における前記内側ハウジングの前記底壁側の端部である第1端部に配設され且つ毛細管構造及び/又は多孔質構造を有する部材である含浸部材と、
    前記含浸部材に燃料を供給して前記含浸部材に前記燃料を含浸させる燃料供給部と、
    前記含浸部材から蒸発する前記燃料の蒸気を加熱して着火させる着火装置と、
    前記燃焼室内において前記含浸部材よりも前記燃焼室の前記第1端部とは反対側の端部である第2端部側に前記含浸部材と所定の間隔を空けて配設された仕切部材と、
    を備える蒸発式バーナであって、
    前記仕切部材は、前記内側ハウジングの軸方向及び/又は前記内側ハウジングの軸方向に直交する方向において互いに間隙を空けて配設された複数の構成要素である仕切要素によって構成されており、
    前記燃焼室において前記仕切部材よりも前記第1端部側に位置する空間である着火空間と、前記燃焼室において前記仕切部材よりも前記第2端部側に位置する空間である燃焼空間と、が前記複数の仕切要素の間に形成された前記間隙の少なくとも一部を介して連通している、
    蒸発式バーナ。
  2. 請求項1に記載の蒸発式バーナであって、
    前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において、前記複数の仕切要素が重ならない、
    蒸発式バーナ。
  3. 請求項1に記載の蒸発式バーナであって、
    前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において、前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素が部分的に重なる、
    蒸発式バーナ。
  4. 請求項3に記載の蒸発式バーナであって、
    前記内側ハウジングの軸方向に直交する平面への前記仕切部材の投影図において、前記仕切要素が存在しない領域である貫通領域が存在する、
    蒸発式バーナ。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向に延在する柱状の形状を有する部分である支持部を備えており、且つ、前記支持部が前記含浸部材に挿入されることにより前記燃焼室における所定の位置にそれぞれ独立に固定されている、
    蒸発式バーナ。
  6. 請求項5に記載の蒸発式バーナであって、
    前記支持部は、前記含浸部材を貫通して前記着火空間に露出している露出部を有しており、且つ、前記含浸部材の前記第1端部側の表面において前記露出部がかしめられることにより前記含浸部材に係止されている、
    蒸発式バーナ。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、隣接する他の仕切要素と互いに係合されている、
    蒸発式バーナ。
  8. 請求項7に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、連結部材を介して、隣接する他の仕切要素と互いに係合されている、
    蒸発式バーナ。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち前記周壁に隣接する仕切要素の少なくとも一部の仕切要素は、前記周壁に固定又は係合されている、
    蒸発式バーナ。
  10. 請求項9に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち前記周壁に隣接する仕切要素の少なくとも一部の仕切要素は、連結部材を介して、前記周壁に係合されている、
    蒸発式バーナ。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向と交差する主面を有する平面板状又は曲面板状の形状を有する、
    蒸発式バーナ。
  12. 請求項11に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向と直交する主面を有する平面板状の形状を有する、
    蒸発式バーナ。
  13. 請求項11に記載の蒸発式バーナであって、
    前記複数の仕切要素のうち少なくとも一部の仕切要素は、前記内側ハウジングの軸方向において前記第1端部側又は前記第2端部側に凸状の曲面板状の形状を有する、
    蒸発式バーナ。
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