JP2018071561A - 無段変速機の制御方法及び無段変速機 - Google Patents

無段変速機の制御方法及び無段変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】無段変速機への供給油圧への指令値に対する実値のむだ時間が大きい場合であっても、油圧振動を減衰させることが可能な無段変速機の制御方法及び無段変速機を提供する。【解決手段】変速機4の制御方法は、油圧Ppriの実油圧Ppri_Aに基づいて補正量αを算出し、PRI圧指令値Ppri_comを補正量αで補正する変速機4の制御方法であって、補正量αとして、PRI圧指令値Ppri_comに対する実油圧Ppri_Aのむだ時間を補正要素として含む補正量αを算出すること、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、無段変速機の制御方法及び無段変速機に関する。
特許文献1では、クラッチ油圧の変化率を算出し、算出された変化率に基づきクラッチ係合力の補正量を算出する技術が開示されている。
特開2014−169749号公報
無段変速機への供給油圧を制御するアクチュエータには、コスト上の理由や生産のばらつきにより、ヒステリシスが大きいアクチュエータが用いられることがある。この場合、むだ時間が大きくなることに起因して、油圧振動が大きくなる傾向がある。このため、変化率で補正量を算出する場合には、制御系が不安定になる結果、油圧振動を減衰できない虞がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、無段変速機への供給油圧の指令値に対する実値のむだ時間が大きい場合であっても、油圧振動を減衰させることが可能な無段変速機の制御方法及び無段変速機を提供することを目的とする。
本発明のある態様の無段変速機の制御方法は、無段変速機への供給油圧の実値に基づいて補正量を算出し、前記補正量で前記供給油圧の指令値を補正する無段変速機の制御方法であって、前記補正量として、前記指令値に対する前記実値のむだ時間を補正要素として含む補正量を算出すること、を含む。
本発明の別の態様によれば、供給される油圧である供給油圧の実値に基づいて補正量を算出し、前記補正量で前記供給油圧の指令値を補正する無段変速機であって、前記補正量として、前記指令値に対する前記実値のむだ時間を補正要素として含む補正量を算出する油圧制御部、を備える無段変速機が提供される。
この態様によれば、大きなむだ時間に相応する進み補償が可能になる。このため、むだ時間が大きい場合であっても、油圧振動を減衰させることができる。
変速機コントローラを含む車両の概略構成図である。 油圧制御回路の概略構成図である。 変速機コントローラの概略構成図である。 変速機コントローラが行う制御の一例をフローチャートで示す図である。 フィードバック補償器の設定方法の説明図である。 ヒステリシス特性の説明図である。 フィードバック補償器の周波数特性の一例を示す図である。 むだ時間が小さいシステムでの油圧応答の一例を示す図である。 むだ時間が大きいシステムでの油圧応答の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、変速機コントローラ12を含む車両の概略構成図である。車両は動力源としてエンジン1を備える。エンジン1の動力は、パワートレインPTを構成するトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、変速機4、第2ギヤ列5(ファイナルギヤ)及び差動装置6を介して、駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられる。
トルクコンバータ2は、ロックアップクラッチ2aを備える。ロックアップクラッチ2aが締結されると、トルクコンバータ2における滑りがなくなり、トルクコンバータ2の伝達効率が向上する。以下では、ロックアップクラッチ2aをLUクラッチ2aと称す。
変速機4は、バリエータ20を備える無段変速機である。バリエータ20は、プライマリプーリであるプーリ21と、セカンダリプーリであるプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるベルト23とを備える無段変速機構である。プーリ21は主動側回転要素を構成し、プーリ22は従動側回転要素を構成する。
プーリ21、22それぞれは、固定円錐板と、固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させる油室とを備える。プーリ21は油室として油室23aを備え、プーリ22は油室として油室23bを備える。
油室23a、23bの油圧Ppri、Psecを調整すると、V溝の幅が変化してベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比が無段階に変化する。バリエータ20は、トロイダル型の無段変速機構であってもよい。
車両にはさらに、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプ10と、オイルポンプ10がオイル供給によって発生させる油圧を調整して変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11と、油圧制御回路11を制御する変速機コントローラ12とが設けられる。
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、変速機コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧供給経路を切り換える。また、油圧制御回路11は、オイルポンプ10がオイル供給によって発生させる油圧から必要な油圧を調整し、調整した油圧を変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速、LUクラッチ2aの締結・解放が行われる。
図2は、油圧制御回路11の概略構成図である。油圧制御回路11は、ライン圧制御弁111と、低圧用制御弁112と、ライン圧SOL113と、PRI圧SOL114と、SEC圧SOL115と、PRI圧制御弁116と、SEC圧制御弁117と、を備える。PRIはプライマリ、SECはセカンダリ、SOLはソレノイドバルブの略である。
ライン圧制御弁111は、オイルポンプ10が吐出する油の圧力を調整する。ライン圧制御弁111が調整した油圧はライン圧PLとされて、低圧用制御弁112、PRI圧制御弁116、SEC圧制御弁117に供給される。低圧用制御弁112は、ライン圧PLからライン圧PLよりも低圧の油圧を生成及び調整する。低圧用制御弁112が生成及び調整した油圧は、ライン圧SOL113、PRI圧SOL114、SEC圧SOL115に供給される。
ライン圧SOL113、PRI圧SOL114、SEC圧SOL115それぞれでは、励磁状態に応じたパイロット圧が生成及び調整される。ライン圧SOL113が生成及び調整したパイロット圧はライン圧制御弁111に、PRI圧SOL114が生成及び調整したパイロット圧はPRI圧制御弁116に、SEC圧SOL115が生成及び調整したパイロット圧はSEC圧制御弁117に、それぞれ供給される。
PRI圧制御弁116は、供給されたパイロット圧に応じて、油室23aへの供給油圧つまり油圧Ppriをライン圧PLから生成及び調整する。SEC圧制御弁117は、供給されたパイロット圧に応じて、油室23bへの供給油圧つまり油圧Psecをライン圧PLから生成及び調整する。
このため、変速機コントローラ12は、PRI圧SOL114、SEC圧SOL115を制御することで、油圧Ppri、油圧Psecを調整することができる。PRI圧SOL114は、油圧Ppriを制御するアクチュエータの一例であり、SEC圧SOL115は、油圧Psecを制御するアクチュエータの一例である。油圧Ppriを制御するアクチュエータは、ソレノイドバルブであるPRI圧SOL114のソレノイドとされてもよい。SEC圧SOL115についても同様である。
図3は、変速機コントローラ12の概略構成図である。変速機コントローラ12は、CPU121と、RAM・ROMからなる記憶装置122と、入出力インターフェース123と、これらを相互に接続するバス124とを有して構成される。
入出力インターフェース123には例えば、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力側回転速度を検出する回転速度センサ42の出力信号、プーリ22の回転速度Nsecを検出する回転速度センサ43の出力信号、変速機4の出力側回転速度を検出する回転速度センサ44の出力信号が入力される。
変速機4の入力側回転速度は具体的には、変速機4の入力軸の回転速度、したがってプーリ21の回転速度Npriである。変速機4の出力側回転速度は具体的には、変速機4の出力軸の回転速度である。変速機4の入力側回転速度は、例えばトルクコンバータ2のタービン回転速度など、変速機4との間にギヤ列等を挟んだ位置の回転速度であってもよい。変速機4の出力側回転速度についても同様である。
入出力インターフェース123にはさらに、車速VSPを検出する車速センサ45の出力信号、変速機4の油温TMPを検出する油温センサ46の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ47の出力信号、エンジン1の回転速度Neを検出する回転速度センサ48の出力信号、変速機4の変速範囲を1よりも小さい変速比に拡大するためのODスイッチ49の出力信号が入力される。
このほか、入出力インターフェース123には、油室23aの油圧Ppriを検出する油圧センサ50の出力信号、油室23bの油圧Psecを検出する油圧センサ51の出力信号、PRI圧SOL114の電流Ipriを検出する電流センサ52の出力信号、SEC圧SOL115の電流Isecを検出する電流センサ53の出力信号、電流Ipri、電流Isec等のリニアソレノイド駆動電流用の駆動電圧VBを検出する電圧センサ54の出力信号などが入力される。入出力インターフェース123には、エンジン1が備えるエンジンコントローラ55から、エンジントルクTeのトルク信号も入力される。以下では、実値としての油圧Ppriを実油圧Ppri_Aとも称す。油圧Psec、電流Ipri、電流Isecについても同様である。
記憶装置122には、変速機4の変速制御プログラム、変速制御プログラムで用いる各種マップ等が格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されている変速制御プログラムを読み出して実行し、入出力インターフェース123を介して入力される各種信号に基づき変速制御信号を生成する。また、CPU121は、生成した変速制御信号を入出力インターフェース123を介して油圧制御回路11に出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、CPU121の演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
次に、変速機コントローラ12の処理内容について図4に示すフローチャートを用いて説明する。図4に示す処理は、一部割り込み処理を含むが基本的には一定のサンプリング周期で実行される。以下では、変速機コントローラ12を単にコントローラ12と称す。
ステップS1で、コントローラ12は、各種入力信号の読込、換言すれば計測を行う。例えばコントローラ12は、アクセル開度APO、電流Ipri、電流Isecを含む油圧制御回路11の電流、駆動電圧VBをアナログ信号で計測する。また、コントローラ12は、ホールセンサ等を用いた回転速度センサ42、回転速度センサ43、回転速度センサ48、車速センサ45に対し、インプットキャプチャ機能を用いた周期計測値等から回転速度Npri、回転速度Nsec、回転速度Ne、車速VSPを算出する。
ステップS2で、コントローラ12は、変速比指令値Ratio_comを算出する。変速比指令値Ratio_comは、変速マップで車両の運転状態に応じて予め設定されている。車両の運転状態は具体的には、車速VSP及びアクセル開度APOである。
ステップS3で、コントローラ12は、ステップS2で算出した変速比指令値Ratio_comに対し、所望の応答特性を持たせた規範応答値Ratio_refを算出する。規範応答値Ratio_refは、次の数1で表される。
[数1]
Ratio_ref=1/(Tref×s+1)×Raito_com
ここで、「s」はラプラス演算子であり、「Tref」は規範応答の時定数である。
ステップS4で、コントローラ12は、ステップS1で算出した回転速度Npri及び回転速度Nsecに基づき変速比Ratioを算出する。変速比Ratioは、回転速度Npriを回転速度Nsecで除算することで算出される。回転速度Nsecが極めて低い値になる場合には演算を停止し、変速比Ratioを所定値に保持する。
ステップS5で、コントローラ12は、バリエータ20に入力されるトルク(エンジントルクTe)をベルト23を介して出力端に伝達するために必要なSEC圧指令値Psec_comを算出する。コントローラ12は具体的には、エンジントルクTeに基づき、当該マップデータから対応するSEC圧指令値Psec_comを読み込むことで、SEC圧指令値Psec_comを算出する。SEC圧指令値Psec_comは、エンジントルクTeに応じて予めマップデータで設定されている。
ステップS6で、コントローラ12は変速比制御についての演算を行う。具体的にはコントローラ12は、ステップS3で算出した規範応答値Ratio_refと、ステップS4で算出した変速比Ratioとが一致するように、PRI圧指令値Ppri_comを算出する。
PRI圧指令値Ppri_comは、操作量としての指令値であり、コントローラ12は例えば、規範応答値Ratio_refと変速比Ratioとの差分に対し、次の数2で示すようなPI制御を適用することで、PRI圧指令値Ppri_comを算出する。
[数2]
Ppri_com=(Kp+K/s)×(Ratio_ref−Ratio)
ここで、「Kp」は比例ゲインであり、「K」は積分ゲインである。「Kp」、「K
」は、フィードバックループの安定性を考慮して決定される。
ステップS7で、コントローラ12は油圧制御についての演算を行う。具体的にはコントローラ12は、実油圧Ppri_AがPRI圧指令値Ppri_comと一致するように電流指令値Ipri_comを算出する。また、コントローラ12は、実油圧Psec_AがSEC圧指令値Psec_comと一致するように電流指令値Isec_comを算出する。ステップS7の演算は、コントローラ12に特徴的なものであり、詳細については後述する。
ステップS8で、コントローラ12は電流制御についての演算を行う。具体的にはコントローラ12は、実電流Ipriが電流指令値Ipri_comと一致するようにPRI圧SOL114の電圧指令値Vpri_comを算出する。また、コントローラ12は、実電流Isecが電流指令値Isec_comと一致するようにSEC圧SOL115の電圧指令値Vsec_comを算出する。電圧指令値Vpri_com、電圧指令値Vsec_comは、次の数3、数4で示すように、PI制御により算出することができる。
[数3]
Vpri_com=(Kp_cur+K_cur/s)×(Ipri_com−Ipri)
[数4]
Vsec_com=(Kp_cur+K_cur/s)×(Isec_com−Isec)
ここで、「Kp_cur」は比例ゲインであり、「K_cur」は積分ゲインである。「Kp_
cur」、「K_cur」は、フィードバックループの安定性や電流応答性能を考慮して決定
される。
ステップS9で、コントローラ12は、PWM(Palse Width Modulatoin)出力を行う。具体的にはコントローラ12はまず、電圧指令値Vpri_comに応じたDuty指令値Duty_pri_comをPWM出力として算出するとともに、電圧指令値Vsec_comに応じたDuty指令値Duty_sec_comをPWM出力として算出する。Duty指令値Duty_pri_comは次の数5により、Duty指令値Duty_sec_comは次の数6により、それぞれ算出することができる。
[数5]
Duty_pri_com=Vpri_com/VB×100
[数6]
Duty_sec_com=Vsec_com/VB×100
ステップS9で、コントローラ12はさらに、算出したDuty指令値Duty_pri_comをPRI圧SOL114に出力するとともに、算出したDuty指令値Duty_sec_comをSEC圧SOL115に出力する。ステップS9の後には、本フローチャートの処理は一旦終了する。
次に、ステップS7で行われる油圧制御演算について説明する。コントローラ12は、ステップS7の処理を実行する油圧制御部を有した構成とされる。ステップS7の処理は、油圧Ppriを対象とする場合でも、油圧Psecを対象とする場合でも同様である。このため、以下では油圧Ppriを例にして説明を行う。
電流指令値Ipri_comを算出するにあたり、油圧制御部は具体的には、実油圧Ppri_Aに基づいて補正量αを算出し、算出した補正量αでPRI圧指令値Ppri_comを補正する。さらに具体的には油圧制御部は、補正量αによって油圧Ppriの減衰性能が向上するように補正量αを算出し、算出した補正量αをPRI圧指令値Ppri_comから減算する。
このような補正量αは、実油圧Ppri_Aに対し、フィルタであるフィードバック補償器FBでフィルタ処理を行うことで算出できる。フィードバック補償器FBは、制御対象とフィードバック補償器FBとで構成される閉ループが所望の減衰特性を有するように設定される。フィードバック補償器FBの設定方法は具体的には、次の通りである。
図5は、フィードバック補償器FBの設定方法の説明図である。伝達関数P(s)は、制御対象の油圧応答モデルを示す。伝達関数K(s)は、補正量αを算出するフィードバック補償器FBの伝達関数である。制御対象は具体的には油圧Ppriであり、入力u(s)はPRI圧指令値Ppri_com、出力y(s)は実油圧Ppri_Aである。
制御対象の油圧応答モデルは、電流Ipriの応答モデルと、油圧振動系を示す2次振動系モデルと、油圧Ppriの制御系のむだ時間モデルと、を有して構成される。そして、このように油圧応答モデルにむだ時間を考慮すること、換言すればむだ時間を油圧応答の要素として含むことが、本実施形態において特徴的となっている。
具体的には、むだ時間は、伝達関数P(s)で示される油圧応答モデルにおいて、次の数7に示されるようにPade近似でモデル化される。数7において、近似次数は所望の制御周波数帯域Fで十分な精度を確保できるように選択される。制御周波数帯域Fについては後述する。数7では、2次近似の場合のむだ時間モデルの例を示す。
[数7]
L(s)=L2・s2−a1・L・s+a2/(L2・s2−b1・L・s+b2
ここで、「L」はむだ時間であり、「a1」、「a2」、「b1」、「b2」はPade近似の次数によって決まってくる係数である。
このようにモデル化されたむだ時間を有して構成される油圧応答モデルに対し、フィードバック補償器FBの伝達関数K(s)は極配置により算出される。例えば、伝達関数K(s)を伝達関数P(s)と同じ次数(ここでは5次)とすると、伝達関数K(s)は、次の数8で示される。
[数8]
K(s)=c5・s5+c4・s4+c3・s3+c2・s2+c1・s+c0/(d5・s5+d4・s4+d3・s3+d2・s2+d1・s+d0
ここで、「c0」から「c5」、「d0」から「d5」は係数である。
数8における各係数は次のようにして求めることができる。ここで、制御対象とフィードバック補償器FBとで構成される閉ループの伝達関数の次数は、伝達関数P(s)の次数と伝達関数K(s)の次数との和になる。そして、この次数の和と同じ次数で所望の減衰特性を示す油圧規範応答を設計する。このようにすれば、閉ループの伝達関数及び油圧規範応答それぞれの分母多項式の係数比較により上記各係数を求めることができる。結果、むだ時間が考慮された補正量α、換言すれば、むだ時間を補正要素として含む補正量αを算出するフィードバック補償器FBを設定することができる。むだ時間を補正要素として含むことで、むだ時間に応じて補正量αの大きさやフィードバック補償の位相特性を変更することができる。
このような設定において、油圧規範応答は例えば、油圧応答モデルの減衰率のみを所望の減衰率とした伝達特性に、必要な次数分のフィルタを追加することで設計することができる。追加するフィルタは、制御周波数帯域Fや演算のサンプリング周期、閉ループの安定性を考慮して決定することができる。追加するフィルタは、制御周波数帯域Fを広く確保するために、一般に知られているバタワースフィルタの設計手法を用いて決定されてもよい。
図6は、油圧Ppriのヒステリシス特性の説明図である。図6では、油圧Ppriのヒステリシス特性として、電流Ipriに対する油圧Ppriのヒステリシス特性を示す。
PRI圧SOL114では、油圧Ppriを上昇させる場合と油圧Ppriを低下させる場合とで、油圧Ppriの変化態様が異なってくる。具体的には、油圧Ppriを最大値及び最小値の中間値に制御する場合に、油圧Ppriを上昇させるときには、油圧Ppriを低下させるときよりも、同じ大きさの油圧Ppriに対応する電流Ipriが大きくなる。
このため、中間値で油圧Ppriの制御方向が上昇方向、低下方向の間で変化した場合には、同じ大きさの油圧Ppriに対応する2つの大きさの電流Ipriのうち一方から他方に電流Ipriを変化させる必要がある。そして、この間に大きなむだ時間が発生する結果、油圧Ppriの油圧振動が発生し得る。
数7の説明で前述した制御周波数帯域Fは、このようなヒステリシス特性に起因して発生する油圧Ppriの油圧振動の振動周波数を含むものとされる。当該振動周波数は、実験等により予め把握することができる。数7でむだ時間をモデル化するにあたっては、近似次数の設定によってこのような制御周波数帯域Fが考慮される。
図7は、フィードバック補償器FBの周波数特性を示す図である。図7では、位相進み方向の補償量を正としている。フィードバック補償器FBでは、制御周波数帯域Fにおける位相進み補償量が90°から270°の範囲内に設定される。また、制御周波数帯域F以外の周波数域では、制御周波数帯域Fにおける最大ゲインGMAXよりもゲインGが低く設定される。
具体的には、制御周波数帯域Fよりも高周波数側の高周波数域FHIGHでは、制御周波数帯域Fの高周波数側境界におけるゲインG1よりもゲインGが低く設定される。また、制御周波数帯域Fよりも低周波数側の低周波数域FLOWでは、制御周波数帯域Fの低周波数側境界におけるゲインG2よりもゲインGが低く設定される。
フィードバック補償器FBは、このように設定された周波数特性を有することで、むだ時間に応じた位相補償特性、つまり、むだ時間が大きいために制御周波数帯域Fで位相が大きく遅れるような制御対象に対し、予め位相を大きく進める特性を有している。
図8A、図8Bは、油圧応答を示す図である。図8Aは、むだ時間が小さいシステムでの油圧応答を示す。図8Bは、むだ時間が大きいシステムでの油圧応答を示す。図8A、図8Bでは、油圧Ppriを例にして油圧応答を示す。細線は、フィードバック制御を行わない場合の油圧Ppriの変化を比較例として示す。破線は、むだ時間を考慮していないフィードバック補償器FB´を用いた場合の油圧Ppriの変化を比較例として示す。
図8A、図8Bに示す場合ともに、タイミングt1でPRI圧指令値Ppri_comが変更されると、油圧Ppriは、PRI圧指令値Ppri_comになるように制御される。
図8Aに示すように、むだ時間が小さいシステムの場合は、破線で示すフィードバック補償器FB´を設けた場合でも、油圧振動を減衰させることができる。またこれにより、細線で示すフィードバック制御を行わない場合よりも、油圧PpriをPRI圧指令値Ppri_comに素早く収束させることができる。ところが、むだ時間が大きいシステムの場合、フィードバック補償器FB´では、図8Bに示すように、油圧振動を減衰させることができず、油圧PpriはPRI圧指令値Ppri_comに収束しない。
本実施形態の場合、むだ時間を考慮したフィードバック補償器FBを用いるので、むだ時間が大きいシステムでも、図8Bに示すように油圧振動を減衰させることができる。またこれにより、フィードバック制御を行わない場合よりも、油圧PpriをPRI圧指令値Ppri_comに素早く収束させることができる。本実施形態の場合、むだ時間を考慮したフィードバック補償器FBを用いるので、むだ時間が小さいシステムにおいても、図8Aに示すように減衰効果を維持できることがわかる。
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
変速機4の制御方法は、油圧Ppriの実油圧Ppri_Aに基づいて補正量αを算出し、PRI圧指令値Ppri_comを補正量αで補正する変速機4の制御方法であって、補正量αとして、PRI圧指令値Ppri_comに対する実油圧Ppri_Aのむだ時間を補正要素として含む補正量αを算出すること、を含む。
このような方法によれば、大きなむだ時間に相応する位相進み補償が可能になる。このため、むだ時間が大きい場合であっても、油圧Ppriの油圧振動を減衰させることができる。また、変速機4を搭載した車両では、パワートレインPTの捻れ振動により発生した油圧変動に伴う車体振動が発生する場合もあるが、このような方法によれば、変化率で補正量を算出する場合とは異なり、発散を抑制し振動減衰効果を発揮することができる。これらのことは、このような方法を実行する油圧制御部を備える変速機4についても同様である。
変速機4の制御方法では、むだ時間として、数7でモデル化されたむだ時間を用いて補正量αを算出する。
このような方法によれば、制御周波数帯域Fで補償すべきむだ時間に相応する位相進み補償の精度を向上させることで、振動減衰性能をさらに向上させることができる。
変速機4の制御方法では、補正量αを算出するにあたり、制御周波数帯域Fにおける位相進み補償量を90°から270°の範囲内とする。また、制御周波数帯域F以外の周波数域、つまり高周波数域FHIGH及び低周波数域FLOWでは、制御周波数帯域Fにおける最大ゲインGMAXよりもゲインGを低くする。
このような方法によれば、制御周波数帯域F以外の周波数域ではゲインGを低下させることで、当該周波数域でシステムが不安定になることを抑制してシステムの安定性を高めることができる。
変速機4の制御方法では、補正量αを算出するにあたり、高周波数域FHIGHでは、ゲインG1よりもゲインGを低くする。このような方法によれば、大きなむだ時間の影響によって制御周波数帯域Fで位相遅れが90°を超えるようなシステムで大きな位相進み補償を行うにあたり、システムの安定性を適切に高めることができる。
変速機4の制御方法では、むだ時間を考慮してフィードバック補償器FBを設定し、フィードバック補償器FBにより、補正量αを算出する。このような方法によれば、大きなむだ時間に相応する位相進み補償を行うことが容易である。
変速機4の制御方法では、油圧PpriをPRI圧SOL114で制御する。本実施形態の無段変速機の制御方法は、このような場合に発生する大きなむだ時間に対し、位相進み補償を適切に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、PRI圧指令値Ppri_comに対する実油圧Ppri_Aのむだ時間を補正要素として含むことには、電流指令値Ipri_comや実電流Ipriに対する実油圧Ppriのむだ時間を補正要素として含むことが含まれる。つまり、後者は前者と実質的に同一なものとして前者に含まれる。
上述した実施形態では、無段変速機の制御方法である変速機4の制御方法がコントローラ12で実現される場合について説明した。しかしながら、変速機4の制御方法は例えば、複数のコントローラで実現されてもよい。
1 エンジン
4 変速機(無段変速機)
11 油圧制御回路
12 コントローラ
20 バリエータ
114 PRI圧SOL
115 SEC圧SOL
FB フィードバック補償器

Claims (7)

  1. 無段変速機への供給油圧の実値に基づいて補正量を算出し、前記補正量で前記供給油圧の指令値を補正する無段変速機の制御方法であって、
    前記補正量として、前記指令値に対する前記実値のむだ時間を補正要素として含む補正量を算出すること、
    を含むことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  2. 請求項1に記載の無段変速機の制御方法であって、
    前記むだ時間として、前記供給油圧の油圧振動の振動周波数であって、前記供給油圧のヒステリシス特性に起因して発生する油圧振動の振動周波数を考慮してモデル化されたむだ時間、を用いて前記補正量を算出する、
    ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  3. 請求項1又は2に記載の無段変速機の制御方法であって、
    前記補正量を算出するにあたり、
    前記供給油圧の油圧振動の振動周波数域であって、前記供給油圧のヒステリシス特性に起因して発生する油圧振動の振動周波数域における進み補償量を90°から270°の範囲内とし、
    前記振動周波数域以外の周波数域では、前記振動周波数域における最大ゲインよりもゲインを低くする、
    ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  4. 請求項3に記載の無段変速機の制御方法であって、
    前記補正量を算出するにあたり、
    前記振動周波数域よりも高周波数側の高周波数域では、前記振動周波数域の高周波数側境界におけるゲインよりもゲインを低くする、
    ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  5. 請求項1から4いずれか1項に記載の無段変速機の制御方法であって、
    前記むだ時間を考慮してフィードバック補償器を設定し、
    前記フィードバック補償器により、前記補正量を算出する、
    ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  6. 請求項1から5いずれか1項に記載の無段変速機の制御方法であって、
    前記供給油圧をソレノイドで制御する、
    ことを特徴とする無段変速機の制御方法。
  7. 供給される油圧である供給油圧の実値に基づいて補正量を算出し、前記補正量で前記供給油圧の指令値を補正する無段変速機であって、
    前記補正量として、前記指令値に対する前記実値のむだ時間を補正要素として含む補正量を算出する油圧制御部、
    を備えることを特徴とする無段変速機。
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