JP2018070901A - レーダカバーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電波透過性を有する金属薄膜を備えるレーダカバーの製造方法において、金属薄膜の形成材料を削減可能なレーダカバーの製造方法の提供。【解決手段】隙間を空けて配置される複数の島部を有する構造の金属薄膜12cを真空蒸着により基材12aの表面に形成するレーダカバーの製造方法。島部の基材12aの表面に沿う方向の寸法と基材の表面と直交する方向の寸法との比をイオンビームにより調整して金属薄膜12cを形成する金属薄膜形成工程を有するレーダカバー前記蒸着材料が、Inであるの製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は、レーダカバーの製造方法に関するものである。
近年、ミリ波等の電波を用いて車両の周囲の障害物等を検知するレーダユニットが車両に搭載されている。このようなレーダユニットは、車両の前面に設けられるラジエータグリルやエンブレムの内側に配置されており、エンブレム等を透過する電波の送受信を行う。このため、上述のようなレーダユニットを備える車両においては、エンブレム等は、電波の減衰を抑制しつつ当該電波を透過可能に形成する必要がある。
一方で、エンブレム等は、車両の前面に配置されることから、車両の意匠上、極めて重要な部分であり、高級感や質感を向上させるために金属光輝性を付与することが多い。従来は、このような金属光輝性を付与するため、めっき処理を施すことが一般的であったが、めっき層は電波を透過しない。このため、近年、金属光輝性を付与しかつ電波を透過可能とするため、電波が透過可能なインジウム(In)等の薄膜を真空蒸着にて形成する技術が用いられている(特許文献1参照)。
特開2011−46183号公報
ところで、上述のような電波が透過可能な金属製の薄膜は、隙間を空けて配置される複数の島部を有する不連続膜であることにより電波透過性を有している。真空蒸着では、これらの島部は、蒸着時間に応じて成長する。したがって、蒸着時間を長くすることにより、島部の蒸着面と直交する方向から見た面積が増加して光輝性が増すことになる。しかしながら、島部は、上記面積が広がると同時に蒸着面に直交する方向にも成長する。このため、従来、真空蒸着により光輝性の高い電波透過性の金属薄膜を形成しようとすると、必然的に金属薄膜の膜厚が厚くなり、レアメタルであるインジウム等の使用量が増加することになる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電波透過性を有する金属薄膜を備えるレーダカバーの製造方法において、金属薄膜の形成材料を削減可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、隙間を空けて配置される複数の島部を有する構造の金属薄膜を真空蒸着により基材の表面に形成するレーダカバーの製造方法であって、上記島部の上記基材の表面に沿う方向の寸法と上記基材の表面と直交する方向の寸法との比をイオンビームにより調整して上記金属薄膜を形成する金属薄膜形成工程を有するという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記金属薄膜形成工程にて、蒸着材料を上記イオンビームにより加速させて上記基材に衝突させることで、上記島部の上記基材の表面に沿う方向の寸法と上記基材の表面と直交する方向の寸法との比を調整するという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記金属薄膜形成工程が、上記真空蒸着により上記基材の表面に上記金属薄膜を形成する成膜工程と、上記成膜工程にて形成された上記金属薄膜の上記島部にイオンビームを照射して上記島部の上記基材の表面に沿う方向の寸法と上記基材の表面と直交する方向の寸法との比を調整する形状調整工程とを有するという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3のいずれかの発明において、蒸着材料がインジウムであるという構成を採用する。
真空蒸着により電波透過性を有する金属薄膜を形成する場合には、金属薄膜を構成する島部は、蒸着時間に依存して成長する。このとき、島部の幅寸法と厚さ寸法との比は蒸着時間によって略一義的に決定される。つまり、従来通りの真空蒸着では、蒸着時間が定まれば、その蒸着時間における島部の幅寸法と厚さ寸法は調整することができない。本発明によれば、島部の基材の表面に沿う方向の寸法(以下、幅寸法)と基材の表面と直交する方向の寸法(以下、厚さ寸法)との比をイオンビームにより調整して金属薄膜を形成する。このため、島部の幅寸法と厚さ寸法との比を単に真空蒸着を行う場合と比較して変化させることができる。したがって、本発明によれば、島部の厚さ寸法を抑えつつ、幅寸法を増加させることができ、金属薄膜の形成材料を削減することが可能となる。
本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造方法にて製造されたエンブレムを備えるラジエータグリルの正面図である。 本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造方法にて製造されたエンブレムの拡大正面図である。 (a)は本発明のエンブレムの断面図であり、(b)はエンブレムが備えるインナエンブレムの断面図である。 本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造工程で用いる真空蒸着装置の模式図である。 本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造方法で形成される光輝性膜と、従来の製造方法で形成される光輝性膜とを比較した模式図である。 条件を変えて真空蒸着により光輝性膜を形成した場合の明度(L値)と、島部の厚さ寸法(膜厚)と、島部の平均幅寸法(島サイズ)とを比較した表である。 本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造方法の変形例を説明するための模式図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダカバーの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明に係るレーダカバーの製造方法により製造されるエンブレム10(レーダカバー)を備えるラジエータグリル1の正面図である。また、図2は、本実施形態のエンブレム10の拡大正面図である。また、図3は、(a)が、エンブレム10の断面図であり、(b)が、エンブレム10が備えるインナエンブレム12の断面図である。
ラジエータグリル1は、車両のエンジンルームに通じる開口を塞ぐように車両の前面に設けられており、エンジンルームへの通気を確保しかつエンジンルームへの異物の進入を防止している。ラジエータグリル1の中央には、エンジンルーム内に配置されるレーダユニットRに対向するようにしてエンブレム10が設けられている。レーダユニットR(図3(a)参照)は、例えばミリ波を発信する発信部、反射波を受信する受信部、及び、演算処理を行う演算部等を有している。このレーダユニットRは、エンブレム10を透過する電波の送受信を行い、受信した電波に基づいて車両の周囲状況を検知する。例えば、レーダユニットRは、障害物までの距離や障害物の相対速度等を算出して出力する。
エンブレム10は、レーダユニットRを車両の正面側から見て覆うように配置されている。このエンブレム10は、図2に示すように、車両の正面側から見て、車両メーカのエンブレムを示す図形や文字等を表す光輝領域10Aと、当該光輝領域10Aの視認性を向上させる黒色領域10Bを有する部品である。このようなエンブレム10は、図3(a)に示すように、透明部材11と、インナエンブレム12と、ベース部材13とを備えている。
透明部材11は、最も車両の外側に配置される略矩形状の透明材料により形成される部位である。この透明部材11は、車両の外部からのインナエンブレム12の視認性を高めるため、表側の面が円滑面とされている。また、透明部材11の裏側の面には、インナエンブレム12が配置される凹部11aが形成されている。また、透明部材11の裏側の面の凹部11aが設けられていない領域は、ベース部材13との固着面とされている。
凹部11aは、インナエンブレム12を収容する部位であり、収容されたインナエンブレム12を車両の前方側から立体的に視認可能とする。この凹部11aは、車両メーカのエンブレム等の図形や文字等の形状に沿って設けられている。このような凹部11aにインナエンブレム12が収容されることによって、上述の光輝領域10Aが形成される。
このような透明部材11は、例えば、無色のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されており、1.5mm〜10mm程度の厚さとされている。また、透明部材11の表側の面には、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、又はウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
インナエンブレム12は、図3(b)に示すように、基部12aと、ベースコート層12bと、光輝性膜12c(金属薄膜)と、トップコート層12dとを備えている。基部12aは射出成形等によって成形されており、例えばABS、PC又はPET等の合成樹脂によって形成されている。この基部12aは、透明部材11の凹部11aを埋設する凸状の形状とされており、透明部材11の凹部11aに嵌合される。ベースコート層12bは、基部12aと光輝性膜12cとの間に形成されており、基部12aと光輝性膜12cとの密着性を向上させるためのものである。このベースコート層12bは、例えば、透明(着色透明を含む)な合成樹脂を用いたクリヤー塗装によって形成されている。
光輝性膜12cは、基部12aの表側の面(透明部材11側の面)に形成されており、基部12aに被さるように配置された金属光輝性を備える層である。この光輝性膜12cは、インジウム(In)からなる金属製の薄膜である。この光輝性膜12cは、互いの間に隙間を有して配置される複数の島部12c1(図6参照)を有する構造であり、多数の微細な隙間を有する不連続膜である。このような光輝性膜12cは、これらの隙間を通じて電波を透過可能とされている。
トップコート層12dは、光輝性膜12cを覆うように光輝性膜12c上に形成されており、光輝性膜12cを保護するためのものである。このトップコート層12dも、ベースコート層12bと同様に、透明(着色透明を含む)な合成樹脂を用いたクリヤー塗装によって形成されている。
ベースコート層12b及びトップコート層12dは、酸化ケイ素(SiOx)からなる透明セラミックコート層とすることもできる。この場合には、クリヤー塗装等によって形成される樹脂からなるベースコート層やトップコート層と比較して高い耐熱性を有すると共に、高い電波透過性を有する。
また、本実施形態において光輝性膜12cは、ベースコート層12bが形成された基部12aの表面に形成される。このため、本実施形態において、基材はベースコート層12b及び基部12aにより構成されている。なお、耐食性の高い光輝性膜12cを用いる場合には、ベースコート層12bを省略することも可能である。このような場合には、光輝性膜12cが基部12aの表面に直接的に形成されるため、基材は基部12aにより構成されることになる。
ベース部材13は、透明部材11の裏側に固着される部位であり、黒色の樹脂材料から形成されている。このベース部材13は、エンジンルーム側に突出する係合部13aを有している。この係合部13aは、先端部が爪状に成形されており、当該先端部が例えばラジエータグリル本体に係止される。このように透明部材11の裏側の面に対して固着されたベース部材13は、透明部材11の外側から視認可能とされており、上述の黒色領域10Bを形成している。このベース部材13は、光輝領域10A以外の領域を黒色に視認させ、相対的に光輝領域10Aの視認性を向上させる。
このようなベース部材13は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、有色のPC、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂、又はこれらの複合樹脂からなり、0.5mm〜10mm程度の厚さとされている。
続いて、本実施形態のエンブレム10の製造方法について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、本実施形態のエンブレム10の製造方法について説明するための概略図である。また、図5は、本実施形態のエンブレム10の製造方法において用いられる真空蒸着装置20の模式図である。
まず、本実施形態のエンブレム10の製造方法では、図4(a)に示すように、透明部材11を形成する。例えば、透明部材11は、射出成形により形成される。この射出成形により、凹部11aを有する透明部材11を形成することができるため、後工程により凹部11aを形成する必要はない。なお、必要に応じて、透明部材11の表面側(車両外側に向く面)あるいは全面には、耐傷性等を向上させるためのハードコート処理を施しても良い。
次に、図4(b)に示すように、インナエンブレム12の基部12aを形成する。例えば、基部12aは、射出成形により形成される。続いて、図4(c)に示すように、ベースコート塗布工程を行う。ここでは、基部12aに対してクリヤー塗装を行い、その後乾燥させることによりベースコート層12bを形成する。
続いて、図4(d)に示すように、インジウム成膜工程(金属薄膜形成工程)を行う。ここでは、図5に示す真空蒸着装置20によって、図4(d)に示すように、ベースコート層12b上に光輝性膜12cを形成する。図5に示すように、真空蒸着装置20は、チャンバ21と、蒸発源22と、イオン照射部23と、ホルダ24と、ガス供給装置25と、排気装置26と、制御部27とを備えている。なお、図5には示していないが、真空蒸着装置20は、上記構成の他、シャッタ、ヒータ等の一般の真空蒸着装置と同様の構成を有している。また、図5は概念的な図であることから、インナエンブレム12の基部12aを大きく1つのみ図示しているが、実際は多数の基部12aがホルダ24に保持された状態でチャンバ21の内部に配置される。
チャンバ21は、蒸発源22やイオン照射部23が内部に配置され、蒸着対象の基部12aを収容する容器である。蒸発源22は、蒸着材料であるインジウム(In)を保持する部材であり、チャンバ21の底部に配置されている。イオン照射部23は、チャンバ21の底部であって蒸発源22の側方に配置されている。このイオン照射部23は、ガス供給装置25から供給される導入ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス)をイオン化してイオンビームとしてホルダ24に保持された基部12aに向けて照射する。
ホルダ24は、チャンバ21の上部に配置されており、不図示の支持機構により支持されている。このホルダ24は、ベースコート層12bが形成された基部12aを、ベースコート層12bが下側(蒸発源22側)に向くように保持する。なお、ホルダ24は、複数の基部12aを保持可能とされている。ガス供給装置25は、イオン照射部23と接続されており、制御部27の制御の下、定められた量の導入ガスをイオン照射部23に供給する。排気装置26は、チャンバ21に接続されており、チャンバ21の内部の空気を外部に排気し、チャンバ21の内部を真空状態とする。制御部27は、イオン照射部23やガス供給装置25に電気的に接続されており、イオン照射部23やガス供給装置25を制御する。
このような真空蒸着装置20では、ホルダ24が基部12aを保持した状態で、不図示のヒータによって蒸発源22に保持された蒸着材料を蒸発させると共に、イオン照射部23から基部12aに向けてイオンビームを照射する。このように、イオンビームを基部12aに向けて照射すると、イオン照射部23にてイオン化された分子が、蒸発された蒸着材料を加速させ、蒸着材料の基部12aへの衝突速度を高める。このため、イオンビームを照射しない場合と比較して、蒸着材料を薄くかつ広く基部12aのベースコート層12b上に付着させることができる。
図6は、本実施形態の製造方法で形成される光輝性膜12cと、従来の製造方法で形成される光輝性膜30とを比較した模式図である。なお、本実施形態の製造方法は、インジウム(In)をベースコート層12b上に蒸着する場合に、上述のようにイオン照射部23によってイオンの照射を行う製造方法である。また、従来の製造方法は、インジウム(In)をベースコート層12b上に蒸着するときに、イオンの照射を行わない製造方法である。図6では、実線にて本実施形態の製造方法で形成される光輝性膜12cを示し、仮想線にて従来の製造方法で形成される光輝性膜30を示している。
本実施形態の製造方法により形成される光輝性膜12cは、隙間を空けて配置される複数の島部12c1によって形成されている。このような島部12c1の同士の隙間を電波が透過することにより、本実施形態の製造方法により形成される光輝性膜12cは、電波透過性を有している。また、従来の製造方法で形成される光輝性膜30も、隙間を空けて配置される複数の島部31によって形成されており、電波透過性を有している。なお、図6は、模式図であり、実際には、光輝性膜12c及び光輝性膜30の隙間は図6と比較して不規則に並んでいる。
一般的に、隙間を空けて配置される複数の島部を有する構造のインジウム(In)からなる金属薄膜は、厚さ寸法が10nm以上でないと、車両の外装部品として要求される金属光沢が得られない。これは、真空蒸着により島部の厚さ寸法(基材の表面と直交する方向の寸法)に比例して島部の幅寸法(基材の表面に沿う方向の寸法)が大きくなるため、厚さ寸法が10nmまで成長しないと蒸着面に垂直な方向から見た島部の面積が金属光沢として人が知覚できる程度に成長しないためである。つまり、従来の製造方法で形成される光輝性膜30は、図6において示す島部31の厚さ寸法d1が10nm以上でないと、金属光沢が得られる幅寸法Daが得られない。
一方で、本実施形態の製造方法で形成される光輝性膜12cは、図6において示す島部12c1の厚さ寸法D1が、従来の製造方法で形成される光輝性膜30の島部31の厚さ寸法d1よりも小さい状態で、金属光沢が得られる幅寸法Daとなる。このように、本実施形態の製造方法では、イオンビームの照射により蒸着材料の衝突速度を調整することにより、島部の厚さ寸法D1が小さな状態で、金属光沢が得られる幅寸法Daが得られる。つまり、本実施形態の製造方法では、イオンビームを照射しない場合と比較して、蒸着材料を薄くかつ広く基部12aのベースコート層12b上に付着させることができる。
図4に戻り、上述のように光輝性膜12cの形成が完了すると、図4(e)に示すように、光輝性膜12cの表面に対してクリヤー塗装を行い、その後乾燥させることにより、トップコート層12dを形成する。なお、これらの図4(b)〜図4(e)及び図5で示した工程によってインナエンブレム12が形成される。なお、図4(b)〜図4(e)で示すインナエンブレム12の形成工程は、図4(a)で示した透明部材11の形成工程を待って行う必要はない。図4(a)で示した透明部材11の形成工程と並行して、インナエンブレム12を形成することによって、エンブレム10の製造時間を短縮することができる。
次に、図4(f)に示すように、インナエンブレム12を透明部材11の凹部11aに嵌合する。次に、図4(g)に示すように、ベース部材13を形成する。ここでは、凹部11aにインナエンブレム12が設置された透明部材11を、射出成形用の金型の内部に配置し、透明部材11の背面側に溶融した樹脂を射出するインサート成形を行うことで、ベース部材13を形成する。このようなベース部材13は、インサート成形時の熱により透明部材11と溶着され、インナエンブレム12を覆うように配置される。これによって、インナエンブレム12が透明部材11に対して固定される。
以上のような工程で本実施形態のエンブレム10が製造される。従来の製造方法では、図6に示す、金属光沢が得られる幅寸法Daとするためには、島部31の厚さ寸法を図6に示す厚さ寸法d1以外に調整することができない。これに対して、本実施形態の製造方法によれば、島部12c1の幅寸法と厚さ寸法との比をイオンビームにより調整して光輝性膜12cを形成する。このため、島部12c1の幅寸法と厚さ寸法との比を単に真空蒸着を行う場合と比較して変化させることができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、島部12c1の厚さ寸法を図6に示す厚さ寸法D1に抑えつつ、所望の金属光沢が得られる幅寸法Daにすることができ、光輝性膜12cの形成材料を削減することが可能となる。
図7は、条件を変えて真空蒸着により光輝性膜を形成した場合の明度(L値)と、島部の厚さ寸法(膜厚)と、島部の平均幅寸法(島サイズ)とを比較した表である。図7の「No.1」で示す光輝性膜は、従来の製造方法で形成し、インジウム(In)の使用量を1gとしたものである。また、図7の「No.2」で示す光輝性膜は、従来の製造方法で形成し、インジウム(In)の使用量を0.5gとしたものである。また、図7の「No.3」で示す光輝性膜は、本実施形態の製造方法で形成し、インジウム(In)の使用量を0.5gとし、イオン化されるガスをアルゴン(Ar)ガスとし、イオンビームのエネルギ量を300eVとしたものである。また、図7の「No.4」で示す光輝性膜は、従来の製造方法で形成し、インジウム(In)の使用量を0.15gとしたものである。また、図7の「No.5」で示す光輝性膜は、本実施形態の製造方法で形成し、インジウム(In)の使用量を0.1gとし、イオン化されるガスをアルゴン(Ar)ガスとし、イオンビームのエネルギ量を300eVとしたものである。
「No.1」と「No.2」とを比較すると、「No.1」の明度(L値)が81.24であるのに対して、「No.2」の明度(L値)が67.47となっている。これは、インジウム(In)の使用量を減少させると、明度(L値)が低下することを示している。つまり、島サイズ(幅寸法)が少ないと、明度(L値)が低下し、金属光沢が失われることが分かる。
「No.2」と「No.3」とを比較すると、「No.2」の明度(L値)が67.47、厚さ寸法(膜厚)が48nm、島サイズ(幅寸法)が46nmであるのに対して、「No.3」の明度(L値)が80.49、厚さ寸法(膜厚)が30nm、島サイズ(幅寸法)が72nmとなっている。これは、本実施形態の製造方法によれば、島部の厚さ寸法が小さくても、島部の幅寸法を従来の製造方法よりも広く確保し、明度(L値)が高くなることを示している。つまり、本実施形態の製造方法によれば、蒸着材料の使用量を少なくしても、所望の金属光沢が得られることが分かる。
「No.4」と「No.5」とを比較すると、「No.4」の明度(L値)が41.53、厚さ寸法(膜厚)が10nmであるのに対して、「No.5」の明度(L値)が53.36、厚さ寸法(膜厚)が6nmとなっている。これは、本実施形態の製造方法によれば、厚さ寸法(膜厚)が6nm程度で、従来金属光沢性を発揮できる下限の厚さ寸法(膜厚)である10nmと同様の明度(L値)が得られることを示している。つまり、本実施形態の製造方法によれば、6nm程度の膜厚で金属光沢を得ることができることが分かった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、エンブレム10を製造するときに、基部12a側に光輝性膜12cを形成した後に、基部12aを凹部11aに嵌合する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、凹部11aの内面に光輝性膜12cを形成し、その後、基部12aを嵌合させる構成を採用することも可能である。この場合には、透明部材11(トップコート層12dを形成する場合にはトップコート層12dも含む)が基材となる。
また、上記実施形態においては、蒸着材料を真空蒸着するときに同時にイオンビームを照射することにより、島部の厚さ寸法と幅寸法とを調整する構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。金属薄膜を形成する成膜工程と、島部の厚さ寸法と幅寸法との比を調整する形状調整工程とを別工程で行うことも可能である。このような場合には、例えば、まず図8(a)に示すように、イオンビームの照射を行わずに、幅寸法が所望の金属光沢が得られる幅寸法よりも狭い島部40を形成する(成膜工程)。このような島部40が形成された後、イオンビームを島部40に照射すると、図8(b)に示すように、島部40がイオンの衝突により扁平状に潰される。この結果、島部40の厚さ寸法が減少すると共に、島部40の幅寸法が増加する。そして、島部40の幅寸法が所望の金属光沢が得られる幅寸法となるまでイオンビームの照射を行う(形状調整工程)。このように、成膜工程と形状調整工程とを別工程で行うことにより、島部の厚さ寸法と幅寸法とを島部の形成と切り離して行うことができ、島部の厚さ寸法と幅寸法とをより細かく調整することが可能となる。
さらに、成膜工程と形状調整工程とを別工程で行うと、島部40にイオン分子が衝突することにより、島部40の表面に微小な凹凸を形成することができる。このため、島部40の表面積を増加し、トップコート層12dと光輝性膜12cとの密着性を向上させることができる。また、島部40の表面に微小な凹凸を形成することにより、島部40の表面の光の反射状態を変化させることができ、光輝性膜12cの視認性を調整することが可能となる。
また、上記実施形態においては、蒸着材料がインジウム(In)である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸着材料をアルミニウム(Al)等の他の材料とすることも可能である。
また、上記実施形態においては、本発明のレーダカバーをエンブレム10に適用した構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、エンブレム以外の箇所に設置されるレーダカバーに適用することも可能である。
10……エンブレム(レーダカバー)、12……インナエンブレム、12a……基部、12b……ベースコート層、12c……光輝性膜(金属薄膜)、12c1……島部

Claims (4)

  1. 隙間を空けて配置される複数の島部を有する構造の金属薄膜を真空蒸着により基材の表面に形成するレーダカバーの製造方法であって、
    前記島部の前記基材の表面に沿う方向の寸法と前記基材の表面と直交する方向の寸法との比をイオンビームにより調整して前記金属薄膜を形成する金属薄膜形成工程を有することを特徴とするレーダカバーの製造方法。
  2. 前記金属薄膜形成工程にて、蒸着材料を前記イオンビームにより加速させて前記基材に衝突させることで、前記島部の前記基材の表面に沿う方向の寸法と前記基材の表面と直交する方向の寸法との比を調整することを特徴とする請求項1記載のレーダカバーの製造方法。
  3. 前記金属薄膜形成工程は、
    前記真空蒸着により前記基材の表面に前記金属薄膜を形成する成膜工程と、
    前記成膜工程にて形成された前記金属薄膜の前記島部にイオンビームを照射して前記島部の前記基材の表面に沿う方向の寸法と前記基材の表面と直交する方向の寸法との比を調整する形状調整工程と
    を有することを特徴とする請求項1記載のレーダカバーの製造方法。
  4. 蒸着材料がインジウムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のレーダカバーの製造方法。
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