JP2018070181A - アルミニウム缶 - Google Patents

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亮蔵 城石
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Abstract

【課題】光輝性を表す指標である彩度の異方性を少なくすることにより、光輝感性に優れた外観を有するアルミニウム缶を提供する。【解決手段】多角度分光測色計を使用し、胴部外面での反射光をLCH法により評価したとき、高さ方向および周方向に45度で入射した入射光に対する正反射光を基準として、高さ方向15度反射光の彩度C15h値と周方向15度反射光の彩度C15w値との比C15h/C15wが0.6〜1.4であることを特徴とするアルミニウム缶。【選択図】なし

Description

本発明はアルミニウム缶に関するものであり、より詳細には、光輝性に優れた外観を有するアルミニウム缶に関する。
飲料缶等に広く使用されているアルミニウム缶として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などにより樹脂被覆されたアルミニウム板を用いて、クーラント(水と潤滑油との混合液)を使用せずに、ドライ成形(無潤滑方式)で絞りしごき加工を行って製造する樹脂被覆アルミニウム缶が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
しかしながら、このような樹脂被覆アルミニウム缶は、外面が樹脂で被覆されているため、成形加工表面と成形用治具(しごき加工用ダイス)との滑り性が低く、表面荒れなどが生じるため光輝性がほとんど得られない。
また、アルミニウム板を、クーラント(水と潤滑油との混合液)を用いて、ウエット成形で直接絞りしごき加工を行って製造するアルミニウム缶では、樹脂被覆缶と比較すれば高い金属光沢性を示すものの、成形加工表面にクーラントが介在した混合潤滑領域で成形加工が行われるため、素材であるアルミニウムの光輝性が十分に引き出されてはいない。
このように、ドライ成形、或いはウエット成形の何れの方式でアルミニウム板を絞りしごき加工した場合でも、従来公知のアルミニウム缶は、その外観の光輝性はほとんど得られないか、また、光輝性を示していたとしても、見る方向によっては光輝性が十分ではないものであった。
特許第3440688号 特許第5609036号
本発明が解決しようとする課題は、光輝性を表す指標である彩度の異方性を少なくすることにより、光輝性に優れた外観を有するアルミニウム缶を提供することにある。
本発明者等は、アルミニウム缶の光輝性について検討した結果、加工面にダイヤモンド膜を有するしごき加工用ダイスを用意し、このダイスのダイヤモンド膜表面を研磨加工して平滑化した後、クーラントを使用せず、樹脂被覆されていない外面を有するアルミニウム板を用いてのドライ成形によるしごき加工によってアルミニウム缶を製造したとき、従来のアルミニウム缶に比して光輝性に優れた外観が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、多角度分光測色計を使用し、胴部外面での反射光をLCH法により評価したとき、高さ方向および周方向に45度で入射した入射光に対する正反射光を基準として、高さ方向15度反射光の彩度C15h値と周方向15度反射光の彩度C15w値との比C15h/C15wが0.6〜1.4であることを特徴とするアルミニウム缶が提供される。
本発明のアルミニウム缶は、より好ましくは、
(1)高さ方向15度反射光の彩度C15h値が8以上であること、
(2)高さ方向25度反射光の彩度C25h値と周方向25度反射光の彩度C25w値との比C25h/C25wが0.6〜1.4であること、
(3)高さ方向15度反射光の明度L15h値と周方向15度反射光の明度L15w値がともに75以下であること、
(4)高さ方向15度反射光の明度L15h値が50以下であること、
という特性を有している。
本発明のアルミニウム缶は、多角度分光測色計を使用し、LCH法により胴部外面の反射光を評価した時、彩度(鮮やかさ)を示すC値が、胴部の高さ方向(缶の軸方向)の反射光の測定値(C)と、胴部の周方向の反射光の測定値(C)との差が少なく、光輝性の異方性が少ないため、安定して高い光輝性感を示す。
しかも、本発明のアルミニウム缶は、ドライ成形によるしごき加工により製造されるため、工程中でクーラントを使用せず、またそれを除去する洗浄工程や薬剤を必要としないため、工業的に極めて有用である。
多角度分光測色計を用いた反射光の評価原理を説明する図。 本発明のアルミニウム缶を製造する成形加工工程の概略を示す図。
アルミニウム缶が有する光輝性を評価するにあたり、図1の多角度分光測色計の評価原理を参照すると、所定の基板表面1(アルミニウム缶の外面に相当)に対して45度方向に入射した光の正反射光は、基板表面1の垂線に対して軸対称かつ、同じく基板表面1に対して45度方向に反射する光である。そして、この正反射光の成分が多い程、乱反射による光の散乱成分が少なく、高い光沢を示すことを意味する。しかし、一般的な測定では、正反射光の成分を定量することが難しいため、図1に図示したように、正反射光に対して、それぞれ、15度、25度、45度、75度、及び110度方向に反射した光の成分を測定し、色彩(彩度)や光沢などの外観特性を評価する。
本発明では、多角度(マルチアングル)分光測色計を用いて、上記の正反射光に対して15度の角度を有する反射光、さらには、25度の角度を有する反射光について、LCH法により、C値(彩度)を測定したとき、極めて優れた光輝性を示す数値条件を見いだした。
また、光輝性と相俟って、さらに光輝性を際立たせるため、上記LCH法によりL値(明度)を測定したときの金属光沢性を示す数値条件を見いだした。
色空間を表示する方法には、L*a*b*法とLCH法が知られており、L*a*b*法は、色空間をデカルト座標(直交座標)で表示するのに対し、LCH法は、極座標で表示するものである。
このLCH法では、L、C及びhにより色表示され、これらは以下の意味を有している。
Lは明度(明るさ)を示し、0(黒)〜100(白)の範囲である。
Cは彩度(鮮やかさ)を示し、中心軸から離れている程度を示し、この数値が小さい場合には色が濁っていることを示し、この数値が大きい程、色が鮮やかであることを示す。
そして、上記2つの数値のうち、鮮やかさを表すC値(彩度)は、その数値が高いほど光輝性に優れ、缶の高さ方向および周方向を測定したC値の差が少ないほど外観における光輝性の異方性が少なく、どの方向から見ても均一な光輝性を有するアルミニウム缶が得られる。また、明るさを表すL値(明度)は、その数値が低いほど、正反射光による明るさが強調され、より金属光沢感を持ち、さらに優れた光輝性を有するアルミニウム缶が得られる。
一方、hは色相角度であり、0〜360の範囲の値である。0〜90の範囲で、赤、オレンジ、黄色、90〜180では、黄、黄緑、緑、180〜270では、緑、シアン(青緑)、青を示し、260〜360で青、紫、マゼンタを示す。
本発明のアルミニウム缶は、少なくとも外面が樹脂被覆されていないアルミニウム板を用い、加工面に特定のダイヤモンド膜を有するしごきダイスを用いてしごき加工により製造されることから、従来のアルミニウム缶には見られない光輝性を示す。
即ち、アルミニウム缶の胴部外面について、多角度測色計により、上記のLCH法により正反射光に対して一定の角度を有する反射光のC値を測定したとき、缶の高さ方向(缶軸方向)での正反射光に対して15度の角度を有する反射光のC値(即ち、C15h)と、缶の周方向(即ち、高さ方向に対して直交する方向)での正反射光に対して15度の角度を有する反射光のC値(即ち、C15w)との比C15h/C15wが0.6〜1.4、特に0.8〜1.0と高い値を示す。このことは、光輝性の異方性が極めて小さいことを示している。
即ち、一般消費者等が缶を手に取って見るとき、視線の正反射光に対する角度範囲は、15度〜25度前後となる。このことから理解されるように、C15h/C15wが上記範囲の値を示すことは、この缶をどの方向から見ても、その光輝性の程度が同じあり、優れた外観特性を有することになる。
例えば、従来公知のアルミニウム缶では、正反射光に対する角度が大きい反射光、例えば、70度以上の反射光では、高さ方向でのC値(C)と周方向でのC値(C)との値が小さくなり、C値の異方性はほとんど無い。これは、正反射光に対する角度が45度を超えるような反射光が極めて少ないからである。しかるに、正反射光に対する角度が15〜25度のように小さい領域では、反射光が多く存在し、このような反射光の多い領域では、従来公知のアルミニウム缶は、高さ方向でのC値(C)と周方向でのC値(C)との比C/Cは0.6よりもかなり低い値を示し、光輝性の異方性が大きい。即ち、人が缶を見る角度での光輝性の異方性が大きいため、従来公知のアルミニウム缶は、光輝性が不満足なものとなっている。
また、本発明のアルミニウム缶は、C15h/C15wが高く、1に近い値を示すが、当然、正反射光に対して15度の角度を有する反射光についてのC値(C15)も高い値を示し、高い光輝性感を示しており、例えば、高さ方向15度反射光でのC15h値が8以上、特に10以上である。
上述したように、本発明のアルミニウム缶は、人が手で持ったときに缶を見る方向での光輝性に異方性が少ない。従って、高さ方向25度反射光でのC25h値と周方向25度反射光での周方向C25w値との比C25h/C25wも1に近い値を示し、例えば、0.6〜1.4、特に0.7〜1.0の値を示す。
さらに、本発明のアルミニウム缶は、高い金属光沢感を示す。例えば、高さ方向15度反射光での明度L15h値と周方向15度反射光での明度L15w値は、何れも小さい値を示している。即ち、図1のように、15度方向の反射光は、正反射光に近い位置に存在しているが、金属光沢に乏しいものでは、乱反射による散乱光の成分が多く存在するためにこの値は大きくなるが、高い金属光沢を示すものでは、この値は小さくなる。
本発明のアルミニウム缶において、このようなL15h値とL15w値は、成形加工に用いるアルミニウム素材の表面に依存し、例えば、陽極酸化や化成処理等によって表面に処理膜が形成されている場合には、L15h値とL15w値は、何れも75以下、特に60〜70の範囲にあり、表面に酸化膜が形成されていない場合には、何れも60以下、特に35〜55の範囲にあり、より高い金属光沢感を示すものとなっている。
尚、先に説明したように、LCH法では、色を表すパラメータとして色相角度hがあるが、この値は、缶の外面を形成している材料がアルミニウムであるため、従来公知のアルミニウム缶と同じであり、差異はない。
本発明のアルミニウム缶は、高い光輝性に優れていることに関連して、その外面の平滑性は高く、例えば胴部外面の平均表面粗さRaは、高さ方向及び周方向の何れで測定した場合も1.2μm以下である。
<アルミニウム缶の製法>
本発明のアルミニウム缶は、それ自体公知のアルミニウム板を用いての成形加工により製造される。
成形加工により供されるアルミニウム板は、純アルミニウムであってもよいし、アルミニウムと他の金属との合金、例えば、マグネシウムやマンガンなどを含むアルミニウム合金であってもよい。
また、本発明においては、アルミニウム缶の外面に優れた光輝性を付与するために、上記アルミニウム板の少なくとも缶外面側に位置する面は、樹脂被覆されていないことが必要である。外面が樹脂被覆されているものを成形加工に供すると、アルミニウムが有する金属光沢が損なわれてしまうためである。
従って、上記のアルミニウム板は、缶外面側に位置する面が樹脂被覆されていない限り、缶内面側に位置する面が樹脂被覆されていても差し支えなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂フィルムが積層されていてもよく、これにより、缶内面側の耐腐食性等が高められていてもよい。
また、上記のアルミニウム板は、陽極酸化、化成処理等によって表面に処理膜が形成されていてもよいが、より金属光沢性の高い外面を発現されている場合には、処理膜が形成されておらず、アルミニウム素材が表面に露出していることが望ましい。先にも述べたように、表面に処理膜が形成されていないアルミニウム板を使用しての成形加工により得られたアルミニウム缶では、前述したL15h値及びL15w値は、表面に処理膜が形成されているものに比して、より小さい値を示し、より優れた金属光沢を示す。即ち、表面に処理膜が形成されているアルミニウム板を用いて後述する過酷な成形加工を行った場合には、成形加工時(特にしごき加工時)に表面に形成されている硬い酸化物粒子が剥がれ落ち、この酸化物粒子により表面が若干粗面化し、表面の金属光沢が低下するが、表面に処理膜が形成されていない場合には、このような酸化物粒子による粗面化が生じることがないため、より高い金属光沢が発現するものと思われる。
上記のようなアルミニウム板を用いての成形加工は、打ち抜き加工、絞り加工、再絞り−しごき加工により行われる。図2は、この成形加工工程の概略を示したものである。
図2を参照して、前述したアルミニウム素材からなる素板11(缶内面に相当する側は樹脂被覆されていてもよい)は、先ず、打ち抜き加工に付せられ、これにより、缶用の円板(ブランク)13が得られる(図2(a)参照)。
かかる打ち抜き加工では、円板13の直径に相当する外径を有する打ち抜き用パンチ15と、素板11を保持し且つ円板13の直径に相当する開口を有するダイ17が使用される。即ち、パンチ15によりダイ17上に保持された素板11を打ち抜くことにより、所定の大きさの円板13が得られる。
上記のようにして得られた円板13は、絞り加工に付せられ、これにより、ハイトの低い絞り缶(有底筒状体)19が得られる(図2(b)参照)。
かかる絞り加工においては、ダイ21上に打ち抜かれた円板13が保持され、この円板13の周囲はしわ押え用の治具23によって保持されている。ダイ21には、開口が形成されており、絞り用のパンチ25を用いてダイ21の開口内に円板13を押し込むことにより、絞り缶19が得られることとなる。
上記のダイ21の開口の上端のコーナー部(円板13を保持している側)にアール(曲率部)が形成されており、円板13が速やかに且つ折れることなく、ダイ21の開口内に押し込まれるようになっており、パンチ25の外径は、円板13のほぼ厚みに相当する分だけ、ダイ21の開口の径よりも小さく設定されている。即ち、この絞り加工では、薄肉化はほとんど行われない。
次いで、上記で得られた絞り缶19は、再絞り−しごき加工に付せられ、これにより、ハイトが高く且つ小径化されたアルミニウム缶基体(絞りしごき缶)30が成形される(図2(c)参照)。尚、図中、再絞り加工は省略した。
このしごき加工では、上記の絞り加工により得られた絞り缶19の内部にしごき用のパンチ31を挿入し、リング形状のしごきダイス33の内面に該絞り缶19の外面を圧接しながら、パンチ31を降下させることにより、しごきダイス33により、絞り缶19の側壁が薄肉化されていく。これにより、薄肉化され、且つ薄肉化の程度に応じてハイトが高くなったアルミニウム缶基体30が得られることとなる。
図2の例では、しごきダイス33は1つしか設けられていないが、目的とする薄肉化の程度に応じて、しごきダイス33を複数個、加工方向に沿って配列し、しごき加工を多段で行うこともできる。この場合、複数のしごきダイス33は、加工方向下流側にいくにしたがい内径(加工径)が小さくなっている。
上記のようにして得られるアルミニウム缶基体(ブランク缶)30は、トリミング、ネックイン加工等が行われ、目的とするアルミニウム缶が得られる。
上記のような成形加工において、本発明のアルミニウム缶を得るためには、上記のしごき加工を、クーラントを使用せずに、ドライ加工により行うことが必要であると同時に、前記しごきダイス33として、加工面(しごき加工される絞り缶19の外面に接触する面)にダイヤモンド膜が設けられていること及びこのダイヤモンド膜は表面研磨により平滑度の高い面となっていることが必要である。
即ち、クーラントを使用してしごき加工を行うと、被加工面(しごき加工される絞り缶19の外面)としごきダイス33の加工面との間にクーラントが介在した状態でしごき加工が行われ、被加工面に直接しごきダイス33の加工面が接触していないため、被加工面の金属光沢を十分に高めることができない。このため、クーラントを使用せず、被加工面にしごきダイス33の加工面を直接接触させてしごき加工を行うことが必要となる。
また、上記のように、クーラントを使用せずにドライ条件でしごき加工を行うため、そのしごき加工は、大きな面圧を加える極めて過酷な加工であり、しかも、この加工をドライで行うと、通常の剛性材料で形成されているものでは、成形不良を生じることから、しごきダイス33としては、加工面にダイヤモンド膜が設けられていることが必要となる。
さらに、ダイヤモンド膜は、硬質の膜であり、ドライな条件での過酷なしごき加工に耐えるが、そのままダイヤモンド膜表面を研磨せずに粗い状態でドライ条件でしごき加工に付すると、ほとんどの場合破胴してしまい、最終形状まで成形することができない。それは、この膜表面に高い面圧で被加工面(缶の外面に相当)が直接接触するため、表面が粗い状態の場合は摩擦力が高くなってしまい、材料に大きな不可がかかるためと考えられる。また、成形ができたとしても前述した光輝性を発現させることができない。それは、同じく膜表面に高い面圧で被加工面(缶の外面に相当)が直接接触するため、膜の表面形態が被加工面に反映されてしまうからである。例えば、加工方向(缶の高さ方向に相当)と加工方向に直交する方向(缶の周方向)とで被加工面の粗さが大きく異なり、この結果、得られるアルミニウム缶のC15h値とC15w値との比が0.6よりも低く、見る方向によって鮮やかさが異なり、光輝性が不満足なものとなる。このため、上記のダイヤモンド膜は表面研磨により平滑度の高い面としておくことが、鮮やかさや金属光沢の異方性を少なくし、優れた光輝性感、金属光沢感を発現させる上で必要である。
本発明において、上述したダイヤモンド膜は、通常使用される剛性基材からなるしごき加工用ダイス33の少なくとも加工面に設けられるが、かかる剛性基材としては、高い面圧を伴う過酷なしごき加工に耐え得る剛性を有し、且つダイヤモンド膜の成膜時の高温加熱に耐える耐熱性を有する材料が使用される。
このような材料としては、例えば、タングステンカーバイド(WC)とコバルトなどの金属バインダーとの混合物を焼結して得られる所謂超硬合金や、炭化チタン(TiC)などの金属炭化物や炭窒化チタン(TiCN)などのチタン化合物とニッケルやコバルトなどの金属バインダーとの混合物を焼結して得られるサーメット、あるいは炭化ケイ素(SiC)や窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)といった硬質セラミックスなどを挙げることができる。
また、上記のような剛性基材からなるダイス33の加工面に形成されるダイヤモンド膜としては、特に制限されないが、例えば、下記式(1):
/I (1)
式中、
は、前記炭素膜表面のラマン分光スペクトルにおける1333±10cm−1
の最大ピーク強度であり、
は、前記炭素膜表面のラマン分光スペクトルにおける1500±100cm−1
での最大ピーク強度である、
で表される強度比が1.0以上、好ましくは1.2以上の範囲にある膜が好適である。
即ち、上記のピーク強度Iは、膜中のダイヤモンド成分に由来するものであり、ピーク強度Iは、膜中のグラファイト成分に由来する。従って、上記のピーク強度比が大きいほど、グラファイトの含有量が少なく、よりダイヤモンド結晶に近い膜(高純度のダイヤモンド膜)であること示す。
このようなダイヤモンド膜は、ビッカース硬度が8000以上と著しく高硬度な膜であり、化学的安定性が高く、界面での被加工材との反応が抑制される。これにより、すべり性が良好となるため、ドライ条件での過酷なしごき加工に対する耐性が極めて高い。ピーク強度比が上記範囲よりも小さいダイヤモンド膜は、グラファイト等のダイヤモンド成分以外の成分を多く含んでおり、すべり性が低く、また、しごき加工に対する耐性も低く、成形不良を生じ易い。
尚、ピーク強度比が過度に大きいと、膜が脆くなり、耐久性が損なわれる恐れがあるため、上記のピーク強度比は5以下であることが好ましい。
上記のようなピーク強度比を有するダイヤモンド膜は、プラズマCVD法、例えば熱フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、高周波プラズマCVD等の公知の方法で剛性基材31の表面に成膜することにより作製される。
成膜に際しては、原料ガスとして、一般に、メタン、エタン、プロパン、アセチレン等の炭化水素ガスを水素ガスで1%程度に希釈したガスが使用され、この原料ガスには、膜質や成膜速度の調製のために、適宜、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等のガスが少量混合されることもある。
上記の原料ガスを使用し、上記剛性基材を700〜1000℃の高温に加熱し、マイクロ波や高周波等によりプラズマを発生させ、プラズマ中で原料ガスを分解して活性種を生成せしめ、剛性基材上でダイヤモンド結晶を成長させることにより成膜が行われる。かかる成膜に際しては、プラズマ中で解離した水素原子が、剛性基材上に生成したグラファイトやアモルファスカーボンを選択的にエッチングし、これにより、ダイヤモンド成分が多く、膜のラマン分光スペクトルのピーク強度比を前述した範囲内とすることができる。
本発明においては、上記のように形成されるダイヤモンド膜について表面研磨が行われる。
蒸着等の手段により形成されるダイヤモンド膜は表面が粗面であり、特に上記のようなピーク強度比を有するダイヤモンド膜は、成膜に際してグラファイトやアモルファスカーボンのエッチングを伴うため、ダイヤモンド結晶が成長しやすく、その面が粗面となってしまう。このため、表面研磨により、ダイヤモンド膜の表面を平滑面としておくことが必要となる。
例えば、前述した光輝性に優れた外面を有するアルミニウム缶を得るためには、その表面粗さRa(JIS B−0601−1994)が0.1μm以下、特に0.05μm以下となるように表面研磨が行われる。
ダイヤモンド膜の表面研磨は、それ自体公知の方法で行うことができる。
例えば、ダイヤモンド砥粒(砥石)を用いて、炭素膜の共削り加工を行う機械的な研磨方法でもよいし、化学作用を利用した研磨方法でもよい。これらの機械的および化学的手法を複合した研磨方法でもよい。
上記のような平滑面を有するダイヤモンド膜が加工面に設けられているしごき加工ダイス33を用いたドライ条件でのしごき加工により、光輝性に優れた外面を有する本発明のアルミニウム缶を得ることができる。
このような方法で得られる本発明のアルミニウム缶は、光輝性に優れているばかりか、ドライ条件でしごき加工により製造されるため、クーラントを除去する洗浄設備や薬剤を必要とせず、製造コストの点でも極めて有利である。
本発明を次の実施例で説明する。
[しごき加工用ダイス]
タングステンカーバイド(WC)とコバルトの金属バインダーとの混合物を焼結した超硬合金製の基材の表面に、熱フィラメントCVD法により炭素膜をコーティングしたしごき加工用ダイスを用いた。
[しごき加工用ダイスの炭素膜の表面粗さの測定]
(株)東京精密製表面粗さ計(サーフコム2000SD3)を使用し、JIS−B−0601に準拠し、算術平均粗さRaを測定した。
[評価]
多角度分光測色計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製)を使用し、アルミニウム缶の胴部外面での反射光をLCH法により評価し、高さ方向および周方向に45度で入射した入射光に対する正反射光を基準として、高さ方向15度、25度反射光での彩度(鮮やかさ)を示すC15h値、C25h値と、周方向15度、25度反射光での彩度(鮮やかさ)を示すC15w値、C25h値とのそれぞれの角度における比C15h/C15w、C25h/C25wを求め、アルミニウム缶の外観の光輝性感を目視で確認した。
また、同様に、 高さ方向15度反射光の明度を示すL15h値と周方向15度反射光の明度を示すL15w値を求め、アルミニウム缶の外観の金属光沢感を目視で確認し、上記光輝性感と合わせて外観を総合評価した。
<実施例1>
材料として、板厚が0.27mmのアルミニウム板(A3104材)を用い、その外面側(しごき加工側)には表面処理を行わず、内面側にはリン酸クロメート処理を行った後に厚さ12μmのポリエステル樹脂をラミネートしたラミネート材を用いた。
まず汎用プレスにて、この板材を円形に打ち抜くと同時に絞り加工を行いΦ95mmの有底筒状体(1stカップ)を成形した。
次いで、缶胴成形専用プレスに移送し、外径約Φ66mmのパンチを最大速度約6m/sで移動させ、再絞り加工(絞り比70%)およびドライ条件で三回のしごき加工(最大しごき率40%)を行い、トリミングを行って缶胴径66mm、高さ130mmのアルミニウム缶を作製した。
尚、上記再絞り加工およびしごき加工を行う工具の表面は、炭素膜でコーティングした後、成形部分の表面粗さがRa0.05μm以下となるように研磨した。
このアルミニウム缶を、多角度分光測色計を使用して評価し、外観の光輝性感、光輝性感と金属光沢感による外観(総合評価)を目視で確認した。
その結果を表1に示す。
<実施例2>
材料として、板厚が0.27mmのアルミニウム板(A3104材)を用い、その外面側(しごき加工側)と内面側には、ともにリン酸クロメート処理を行った後に、内面側にのみ厚さ12μmのポリエステル樹脂をラミネートしたラミネート材を用い、それ以外は実施例1と同様にアルミニウム缶を作製して評価し、確認した。
その結果を表1に示す。
<比較例1>
板厚が0.29mmの外面側(しごき加工側)と内面側の表面処理を行っていないアルミニウム板(A3104材)を用い、再絞り加工およびしごき加工を行う工具の表面を炭素膜でコーティングせずに研磨し、また、缶胴成形専用プレスでは、材料および工具にクーラントを噴射させながらウエット環境下で成形を行った以外は、実施例1と同様にアルミニウム缶を作製して評価し、確認した。
その結果を表1に示す。
<比較例2>
材料として、板厚が0.27mmのアルミニウム板(A3104材)を用い、その外面側(しごき加工側)と内面側にリン酸クロメート処理を行った後、外面側には厚さ10μm、内面側に厚さ12μmのポリエステル樹脂をラミネートしたラミネート材を用いた以外は、実施例1と同様にアルミニウム缶を作製して、評価し、確認した。
その結果を表1に示す。
以上の結果、本発明のアルミニウム缶が、胴部の高さ方向(缶の軸方向)の反射光の彩度の測定値(C)と、胴部の周方向の反射光の彩度の測定値(C)との差が少なく、光輝性の異方性が抑制され、外観が光輝性感に優れることが判る。また、明度(明るさ)の測定値(L)が低く、正反射成分を多くすることにより、安定した高い金属光沢感が得られ、光輝性感と金属光沢感が相俟ってより優れた外観を呈することが判る。
11:素板
13:円板
19:しぼり缶
30:アルミニウム缶基体(絞りしごき缶)
31:しごき用パンチ
33:しごき用ダイス

Claims (5)

  1. 多角度分光測色計を使用し、胴部外面での反射光をLCH法により評価したとき、高さ方向および周方向に45度で入射した入射光に対する正反射光を基準として、高さ方向15度反射光の彩度C15h値と周方向15度反射光の彩度C15w値との比C15h/C15wが0.6〜1.4であることを特徴とするアルミニウム缶。
  2. 高さ方向15度反射光の彩度C15h値が8以上である請求項1に記載のアルミニウム缶。
  3. 高さ方向25度反射光の彩度C25h値と周方向25度反射光の彩度C25w値との比C25h/C25wが0.6〜1.4である請求項1または2に記載のアルミニウム缶。
  4. 高さ方向15度反射光の明度L15h値と周方向15度反射光の明度L15w値がともに75以下である請求項1〜3の何れかに記載のアルミニウム缶。
  5. 高さ方向15度反射光の明度L15h値が50以下である請求項4に記載のアルミニウム缶。
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