JP2018069191A - 多段式脱硝装置のメンテナンス方法 - Google Patents

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岳史 山下
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Abstract

【課題】新しい触媒の脱硝性能を十分に発揮させられる多段式脱硝装置のメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】本発明のメンテナンス方法は、複数の触媒層を備え、排ガス中の窒素酸化物を分解する多段式脱硝装置のメンテナンス方法であって、交換対象の触媒層を抜き出す工程と、入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置する工程とを備えることを特徴とする。上記抜き出し工程後、上流側の触媒層を下流側に移動する工程をさらに備えるとよい。また、上記設置工程で、新しい触媒層を最上流側の段に設置するとよい。
【選択図】図3B

Description

本発明は、多段式脱硝装置のメンテナンス方法に関する。
石油、石炭、ガスなどを燃料として用いる火力発電所等から排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物(NO)は、硫黄酸化物(SO)や煤塵と並んで代表的な大気汚染物質であり、その排出が法令などで規制されている。そのため、火力発電所のボイラ、都市ゴミ焼却装置等には排煙脱硝装置が設けられる。このような排煙脱硝装置として、複数層の脱硝触媒を内蔵する多段式脱硝装置が多く用いられている。
上記脱硝触媒として、例えばハニカム状のものが使用される。このような触媒は、経時的に脱硝性能を劣化させる物質が表面に付着する。例えば石炭焚きボイラでは、触媒表面へのSiOの経時的な付着の進行によって触媒の脱硝性能が低下するので、多段式脱硝装置の脱硝性能を維持するために、劣化した脱硝触媒を新しい脱硝触媒に交換する必要がある。
多段式脱硝装置において劣化した脱硝触媒を新しい脱硝触媒に交換する際、脱硝装置の排ガスの入口側から順に劣化した触媒層を抜き出すと共に、交換しない触媒層を順序を変えずにそのまま入口側へ移動させ、新しい触媒層を出口側に充填するメンテナンス方法が提案されている(特開2004−330132号公報参照)。このメンテナンス方法の発明者は、触媒交換時に触媒層を入口側へ順次ずらし、出口側に新しい触媒層を充填することにより脱硝装置の脱硝能力を高く維持できることを見出したとしている。
一方、本発明者らは、脱硝触媒の交換に関し脱硝能力を更に効果的に発揮させるべく鋭意取組んだ結果、触媒層入口での窒素酸化物濃度が50ppm未満の場合、新しい触媒では、その触媒の有する脱硝性能が十分に発揮されないことを見出した。
特開2004−330132号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、新しい触媒の脱硝性能を十分に発揮させられる多段式脱硝装置のメンテナンス方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、新しい脱硝触媒を用いる場合、触媒入口での窒素酸化物濃度が50ppm未満では脱硝性能が十分に発揮されないことを見出した。具体的には、触媒入口での窒素酸化物濃度が50ppm以上の場合の新しい触媒による反応速度をA50、約14000時間使用した劣化触媒による反応速度をB50とし、触媒入口での窒素酸化物濃度が30ppmの場合の新しい触媒による反応速度をA30、上記劣化触媒による反応速度をB30としたとき、下記式(1)が成立することを見出した。つまり、触媒入口での窒素酸化物濃度が50ppm未満の場合、新しい触媒は劣化触媒と比較して相対的に脱硝性能が低いといえる。なお、上記劣化触媒は、触媒入口での窒素酸化物濃度に依存することなく脱硝性能が発揮されることを確認した。
A50/B50>A30/B30 ・・・(1)
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、複数の触媒層を備え、排ガス中の窒素酸化物を分解する多段式脱硝装置のメンテナンス方法であって、交換対象の触媒層を抜き出す工程と、入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置する工程とを備えることを特徴とするメンテナンス方法である。
当該メンテナンス方法は、入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置するので、触媒入口での窒素酸化物濃度が低すぎることによる脱硝性能の低下を抑制でき、窒素酸化物濃度の規制条件が厳しい場合も新しい触媒層の脱硝性能を十分に発揮させられる。その結果、多段式脱硝装置の窒素酸化物濃度の脱硝率を向上できる。ここで、「新しい触媒層」とは、活性の高い触媒を有する触媒層を意味し、バージン触媒及び活性の高い再生触媒を含む。「活性が高い」とは、例えば再生触媒の活性度をK(1/h)、バージン触媒の活性度をK0(1/h)としたとき、K/K0が0.95以上である触媒を意味する。なお、活性度Kは、以下の式(2)により求められる。
K=−SV×ln(1−η/α) ・・・(2)
ここで、SVは空間速度(1/h)を示し、排ガス流量(Nm/h)/触媒容積(m)で求められる。ηは脱硝率を示し、(入口NO濃度(ppm)−出口NO濃度(ppm))/入口NO濃度(ppm)で求められる。αは入口でのNHとNOとのモル比である。
上記抜き出し工程後、上流側の触媒層を下流側に移動する工程をさらに備えるとよい。多段式脱硝装置では、上流側の方が、触媒層の入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が高い。これに対し、このように上流側の触媒層を下流側に移動することにより、移動した触媒層の設置されていた段に新しい触媒層を設置でき、上記触媒層の移動先の段よりも入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が高い段に新しい触媒層を設置できる。その結果、より確実に新しい触媒層の脱硝性能を十分に発揮させられる。
上記設置工程で、新しい触媒層を最上流側の段に設置するとよい。多段式脱硝装置では、上流側の方が触媒層の入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が高いので、触媒層を最上流側の段に設置した場合に上記窒素酸化物濃度が最も高くなる。従って、このように新しい触媒層を最上流側の段に設置することで、より確実に新しい触媒層の脱硝性能を十分に発揮させられる。
以上説明したように、本発明の多段式脱硝装置のメンテナンス方法により、新しい触媒の脱硝性能を十分に発揮させられる。
本発明の第一実施形態に係る脱硝装置を示す模式図である。 図1の脱硝装置の触媒層を示す模式的斜視図である。 図2Aの触媒層を構成する触媒単体の模式的斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るメンテナンス方法における交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示す図である。 図3Aのメンテナンス方法における新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。 図3Aのメンテナンス方法において、図3Aとは異なる触媒層を交換する場合の交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示す図である。 図4Aのメンテナンス方法における新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。 図4Aのメンテナンス方法において、図4Bとは異なる段に新しい触媒層を設置する場合の新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。 本発明の第二実施形態に係るメンテナンス方法における交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示す図である。 図5Aのメンテナンス方法における新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。 図5Aのメンテナンス方法において、図5Bとは異なる段に新しい触媒層を設置する場合の新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。 図5Aのメンテナンス方法において、図5B及び図5Cとは触媒層の移動位置が異なる場合の新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示す図である。
以下、本発明に係るメンテナンス方法及びこのメンテナンス方法を用いる脱硝装置の実施形態について説明する。
〔第一実施形態〕
[脱硝装置]
当該メンテナンス方法を用いる脱硝装置は、複数の触媒層を備える多段式脱硝装置であり、排ガス中の窒素酸化物を分解し、窒素酸化物濃度を低下させる。
図1の脱硝装置は、排ガスGが上から下へ流れる反応容器1内に、上下方向に所定の間隔をおいて4段の触媒層2を備える。また、この脱硝装置は、これらの触媒層2の上流側にアンモニア(NH)を注入する複数のNH注入ノズル3を備える。
この脱硝装置は、NH注入ノズル3で排ガスG中にアンモニアを注入し、所定の温度で触媒層2を通過させることにより、次の化学反応式(3)及び(4)に従って窒素酸化物とアンモニアとを反応させる。この反応により、排ガスG中の窒素酸化物を無害な窒素及び水蒸気に分解する。
4NO+4NH+O→4N+6HO ・・・(3)
NO+NO+2NH→2N+3HO ・・・(4)
触媒層2は、図2Aに示すように、フレーム4中に複数の触媒単体5が整列充填されている。触媒単体5は、図2Bに示すように、四角形の貫通孔が格子状に設けられた角柱形状を有する。つまり、触媒単体5は、ハニカム形状をなしている。
触媒単体5の断面を形成する2辺の長さL1、L2の下限としては、例えば50mm以上250mm以下である。
上記2辺の長さL1、L2は、同一であることが好ましい。つまり、触媒単体5の形状が正四角柱であることが好ましい。図2Aに示すように、複数の触媒単体5は、水平面において直交する2方向に整列充填される。従って、触媒単体5を正四角柱とすることにより、上記直交する2方向における触媒単体5の配置密度を等しくでき、触媒層2の平面方向について均一な脱硝性能を発揮させ易い。
触媒単体5の高さHの下限としては、200mmが好ましく、500mmがより好ましい。一方、高さHの上限としては、1200mmが好ましく、900mmがより好ましい。高さHが上記下限に満たないと、触媒単体5の貫通孔内の壁面に接触せずに通過する排ガスGの割合が多くなり、十分な脱硝率が得られないおそれがある。逆に、高さHが上記上限を超えると、触媒単体5の入口からの距離に従って排ガスGが層流となり易く、触媒単体5の出口側で脱硝反応が生じ難くなるおそれがある。
触媒単体5の目開きdの下限としては、2mmが好ましく、4mmがより好ましい。一方、目開きdの上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。目開きdが上記下限に満たないと、触媒単体5の断面積に対する開口面積が小さくなり、触媒単体5の断面積当たりの脱硝率が十分に得られないおそれがある。逆に、目開きdが上記上限を超える場合、触媒単体5内を流通する排ガスGと触媒との接触面積が小さくなり、触媒単体5の体積当たりの脱硝率が十分に得られないおそれがある。
なお、触媒単体5の2辺の長さL1、L2を150mm程度とし、高さHを7000mm程度とすることが好ましい。触媒単体5をこのようなサイズとすることにより、触媒単体5の質量が10kg程度となるため手作業による運搬が容易となり、メンテナンス時の触媒層2の設置及び移動がし易くなる。
触媒単体5の形成材料として、従来公知の脱硝触媒を用いることができる。これらの脱硝触媒の中で、チタン−バナジウム系触媒が好ましく、特にTiO−WO−V系触媒が好ましい。
1つの触媒層2に充填する触媒単体5の本数としては、例えば3000本以上15000本以下とすることができる。
図1の脱硝装置は4段の触媒層2を備えるが、脱硝装置が備える触媒層2の段数はこれに限定されるものではなく、要求される排ガスG中の窒素酸化物の低減濃度によって適宜設定される。窒素酸化物濃度を14.5ppm以下にする場合、通常、3段以上の触媒層が必要となる。
[メンテナンス方法]
当該メンテナンス方法は、図1のような複数の触媒層2を備え、排ガスG中の窒素酸化物を分解する多段式脱硝装置のメンテナンス方法であって、交換対象の触媒層2を抜き出す工程(抜き出し工程)と、入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段(以下、高濃度段ということがある)に新しい触媒層2を設置する工程(設置工程)とを備える。また、当該メンテナンス方法は、上記抜き出し工程後、上流側の触媒層2を下流側に移動する工程(移動工程)をさらに備えてもよい。ここで「交換対象の触媒層」とは、取り外しが必要になった触媒層のことであり、例えば経時的な脱硝性能の低下により触媒層の脱硝率が所定の脱硝率を下回るようになった場合、もしくは触媒層の設置後一定時間経過した場合にその触媒層の交換が必要となる。
<抜き出し工程>
上記抜き出し工程では、交換対象の触媒層2を抜き出す。具体的には、交換対象の触媒層2の段に充填されている触媒単体5を例えば作業者が1本ずつ取り外す。
<設置工程>
上記設置工程では、入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層2を設置する。
<移動工程>
上記抜き出し工程では、脱硝装置に既設の触媒層2を他の段に移動する。具体的には、移動対象の触媒層2の段に充填されている触媒単体5を例えば作業者が1本ずつ取り外し、その取り外した触媒単体5を他の段に1本ずつ設置し、触媒層2を移動する。この移動工程は、上記設置工程において交換対象の触媒層2を抜き出した段以外の段に新しい触媒層2を設置する場合に行う。一方、上記設置工程において交換対象の触媒層2を抜き出した段に新しい触媒層2を設置する場合、本移動工程は行わない。移動工程を行う場合、上記設置工程は、移動工程後に行う。つまり、移動工程により触媒単体5を取り外した段に、設置工程により新しい触媒単体5を設置する。
次に、図1の脱硝装置を用いて当該メンテナンス方法を具体的に説明する。上述したように、図1の脱硝装置は、4段の触媒層2を備える。この触媒装置に流入する排ガスGの上流側から順に、各触媒層が設置される脱硝装置内の位置を1段目、2段目、3段目及び4段目とする。また、図3Aに示すように、この脱硝装置の1段目、2段目、3段目及び4段目に設置されている触媒層をそれぞれ触媒層A、触媒層B、触媒層C、触媒層Dとする。
この脱硝装置は、排ガスG中の窒素酸化物濃度を15ppm以下に低減するものであり、触媒層A及び触媒層Bの入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度が50ppm以上であり、触媒層C及び触媒層Dの入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度が50ppm未満である。また、当該脱硝装置が触媒層A〜Cの3層構造を有する場合、例えば触媒層Aにより、排ガスG中の200ppm程度の窒素酸化物濃度が50ppm程度に低減され、触媒層Bにより、50ppm程度の窒素酸化物濃度がさらに20ppm程度に低減され、触媒層Cにより、20ppm程度の窒素酸化物濃度がさらに15ppm以下に低減される。
本実施形態では、高濃度段に配置される触媒層が交換対象の場合における当該メンテナンス方法について説明する。
<最上流側の段の触媒層の交換>
最初に、図3A及び図3Bを用いて、最上流側の段(1段目)の触媒層が交換対象である場合について説明する。
図3Aは、交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示しており、交換対象の触媒層に網掛けを付している。つまり、最上流側の段に設置されている触媒層Aが交換対象の触媒層である。
この場合、最上流側の段に設置されている交換対象の触媒層Aを新しい触媒層Eに置き換える。これにより、図3Bのように新しい触媒層Eが最上流側の段に設置される。図3Bは、新しい触媒層設置後の脱硝装置の状態を示しており、新しい触媒層Eに斜線を付している。以下、図4B、図4C、図5B、図5C及び図5Dも同様である。具体的には、まず抜き出し工程により、図3Aの触媒層Aを抜き出す。次に、設置工程により、触媒層Aを抜き出した1段目に新しい触媒層Eを設置する。この場合、他の段の触媒層を移動しなくてもよい。つまり、移動工程を行わなくてもよい。
このように交換対象が最上流側の段に設置されている触媒層Aである場合、新しい触媒層Eを最上流側の段に設置すると他の触媒層を移動しなくてもよいので、触媒層の交換に要する作業量が小さくてすむ。また、脱硝性能の高い新しい触媒層Eを入口での窒素酸化物濃度が最も高い最上流側の段に設置するので、脱硝装置の脱硝率を向上できる。
<最上流側以外の段の触媒層の交換>
次に、図4A〜図4Cを用いて、最上流側以外の高濃度段に配置される触媒層が交換対象である場合について説明する。
図4Aは、交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示している。高濃度段である2段目に設置されている触媒層Bが交換対象の触媒層である。
まず、交換対象の触媒層Bの段に新しい触媒層Eを設置する実施形態について説明する。この実施形態では、交換対象の触媒層Bを抜き出した高濃度段に新しい触媒層Eを設置する。これにより、各触媒層は図4Bに示す配置となる。具体的には、まず抜き出し工程により、図4Aの触媒層Bを抜き出す。次に、設置工程により、触媒層Bを抜き出した2段目に新しい触媒層Eを設置する。
このように交換対象の触媒層Bが最上流側でない場合も、交換対象の触媒層Bを抜き出した高濃度段に新しい触媒層Eを設置すると他の触媒層を移動しなくてもよいので、移動工程が不要となり、触媒層の交換に要する作業量が小さくてすむ。また、新しい触媒層Eは高濃度段に設置されるので、新しい触媒層Eの脱硝性能を十分に発揮させることができる。
次に、新しい触媒層Eを最上流側の段に設置する実施形態について説明する。この実施形態では、交換対象の触媒層Bを抜き出し、交換対象の触媒層Bよりも上流側の1段目に設置されている触媒層Aを下流側へ移動し、移動した触媒層Aが設置されていた1段目に新しい触媒層Eを設置する。これにより、各触媒層は図4Cに示す配置となる。具体的には、まず抜き出し工程により、図4Aの触媒層Bを抜き出す。次に、移動工程により、2段目の触媒層Bよりも上流側に設置されている1段目の触媒層Aを下流側の2段目に移動する。最後に、設置工程により、移動した触媒層Aが設置されていた1段目に新しい触媒層Eを設置する。
なお、ここでは、2段目の触媒層Bが交換対象の触媒層である場合について説明したが、高濃度段が3段以上ある脱硝装置において3段目以降の高濃度段に配置される触媒層が交換対象の触媒層である場合についても、この実施形態と同様の処理を行える。この場合、交換対象の触媒層の上流側に複数の触媒層が設置されているので、新しい触媒層を最上流側の段に設置するために、移動工程において複数の触媒層を移動してもよい。
このように最上流側以外の高濃度段に配置されている触媒層Bを抜き出した段へ触媒層Bよりも上流側に設置されていた触媒層Aを移動することにより、入口での窒素酸化物濃度が最も高い最上流側の段に脱硝性能の高い新しい触媒層Eを設置できる。その結果、上述の図4Bを用いて説明した交換対象の触媒層の段に新しい触媒層を設置する実施形態に比べて脱硝装置の脱硝率を向上できる。
当該メンテナンス方法は、多段式脱硝装置において入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置するので、新しい触媒層の脱硝性能を十分に発揮させられる。その結果、脱硝装置の窒素酸化物濃度の脱硝率を向上できる。
〔第二実施形態〕
次に、図1の脱硝装置を用いて第一実施形態とは異なる当該メンテナンス方法の実施形態について説明する。ここでは、入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度が50ppm未満の段(以下、低濃度段ということがある)に配置される触媒層が交換対象の場合について説明する。
図5Aは、交換対象の触媒層抜き出し前の脱硝装置の状態を示しており、交換対象の触媒層に網掛けを付している。つまり、最下流側の4段目に設置されている触媒層Dが交換対象の触媒層である。
まず、新しい触媒層Eを最上流側の段に設置する実施形態について説明する。この実施形態では、低濃度段である4段目に設置されている交換対象の触媒層Dを抜き出し、最上流側の段に設置されている触媒層Aを触媒層Dが設置されていた4段目へ移動し、移動した触媒層Aが設置されていた1段目に新しい触媒層Eを設置する。これにより、各触媒層は図5Bに示す配置となる。具体的には、まず抜き出し工程により、図5Aの4段目の触媒層Dを抜き出す。次に、移動工程により、1段目の触媒層Aを触媒層Dの抜き出し後の4段目に移動する。最後に、設置工程により、移動した触媒層Aが設置されていた1段目に新しい触媒層Eを設置する。
なお、ここでは、最下流側の4段目に設置されている触媒層Dが交換対象の触媒層である場合について説明したが、低濃度段が複数ある脱硝装置において最下流側以外の低濃度段に設置されている触媒層が交換対象の触媒層である場合についても、この実施形態と同様の処理を行える。
このように、交換対象の触媒層Dを抜き出した低濃度段へ最上流側の段に設置されていた触媒層Aを移動することにより、入口での窒素酸化物濃度が最も高い最上流側の段に脱硝性能の高い新しい触媒層Eを設置できるので、脱硝装置の脱硝率を向上できる。
次に、新しい触媒層Eを最上流側以外の段に設置する実施形態について説明する。この実施形態では、低濃度段である4段目に設置されている交換対象の触媒層Dを抜き出し、高濃度段である2段目に設置されている触媒層Bを触媒層Dが設置されていた4段目に移動し、移動した触媒層Bが設置されていた2段目に新しい触媒層Eを設置する。これにより、各触媒層は図5Cに示す配置となる。具体的には、まず抜き出し工程により、図5Aの4段目の触媒層Dを抜き出す。次に、移動工程により、2段目の触媒層Bを触媒層Dの抜き出し後の4段目に移動する。最後に、設置工程により、移動した触媒層Bが設置されていた2段目に新しい触媒層Eを設置する。
なお、ここでは、最下流側の4段目に設置されている触媒層Dが交換対象の触媒層である場合について説明したが、低濃度段が複数ある脱硝装置において最下流側以外の低濃度段に設置されている触媒層が交換対象の触媒層である場合についても、この実施形態と同様の処理を行える。また、ここでは、高濃度段に配置される触媒層として2段目の触媒層Bを移動する場合について説明したが、高濃度段が3段以上ある脱硝装置において3段目以降の高濃度段に配置される触媒層を移動してもよい。
このように、交換対象の触媒層Dを抜き出した低濃度段へ高濃度段に設置されていた触媒層Bを移動することにより、新しい触媒層Eを高濃度段に設置でき、新しい触媒層Eの脱硝性能を十分に発揮させることができる。
例えば既設の触媒層Aが比較的新しく使用期間が短い場合、この触媒層Aを低濃度段である4段目に設置すると触媒層Aの脱硝性能を十分に発揮させられない。このような場合に、この実施形態のように触媒層Bの移動及び新しい触媒層Eの設置を行うことで、新しい触媒層Eの脱硝性能を十分に発揮させられると共に、比較的新しい触媒層Aの脱硝性能を十分に発揮させることができる。また、2段目以降の触媒層を下流側に移動する方が、最上流側の段の触媒層を同じ下流側の段へ移動するよりも触媒層の移動に要する作業量を小さくできる。
次に、交換対象の触媒層Dの上流側の触媒層を順次移動する実施形態について説明する。この実施形態では、低濃度段である4段目に設置されている交換対象の触媒層Dを抜き出し、抜き出した触媒層Dの上流側の触媒層A〜Cを順次下流側に移動し、最上流側の段に新しい触媒層Eを設置する。これにより、各触媒層は図5Dに示す配置となる。具体的には、まず抜き出し工程により、図5Aの4段目の触媒層Dを抜き出す。次に、移動工程により、3段目の触媒層Cを4段目に移動し、2段目の触媒層Bを3段目に移動し、1段目の触媒層Aを2段目に移動する。最後に、設置工程により、移動した触媒層Aが設置されていた1段目に新しい触媒層Eを設置する。
なお、ここでは、最下流側の4段目に設置されている触媒層Dが交換対象の触媒層である場合について説明したが、低濃度段が複数ある脱硝装置において最下流側以外の低濃度段に設置されている触媒層が交換対象の触媒層である場合についても、この実施形態と同様の処理を行える。例えば、図5Aにおいて3段目の触媒層Cが交換対象の触媒層である場合、移動工程において、触媒層Cより下流側の触媒層Dは移動せずに、触媒層Cより上流側の触媒層B及び触媒層Aを順次下流側へ移動する。
このような交換対象の触媒層Dの上流側の触媒層A〜Cを順次移動する実施形態のメンテナンス方法を繰り返すことにより、複数の触媒層は設置後の使用期間が長い順に下流側から配列される。一方、触媒層の入口での排ガスG中の窒素酸化物濃度は下流側ほど低いので、触媒入口での窒素酸化物濃度が低い場合における新しい触媒の脱硝性能の低下を最小限に抑制できる。その結果、脱硝装置の脱硝率を向上できる。
当該メンテナンス方法は、多段式脱硝装置において入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm未満の触媒層を抜き出す場合でも、新しい触媒層を確実に入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に設置でき、より確実に新しい触媒層の脱硝性能を十分に発揮させられる。
〔その他の実施形態〕
なお、本発明のメンテナンス方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
つまり、上記実施形態では、4段の触媒層を備える多段式脱硝装置について説明したが、多段式脱硝装置が備える触媒層の段数に特に制限はなく、当該メンテナンス方法は、2段以上の多段式脱硝装置に用いることができる。
また、上記実施形態では、交換対象の触媒層が1段の場合について説明したが、2段以上の触媒層が交換対象である場合についても、当該メンテナンス方法を用いることができる。例えば2段の触媒層が交換対象である場合、2つの段に設置されている交換対象の触媒層を抜き出し、新しい触媒層を2つの段に設置する。このとき、新しい触媒層は、いずれも入口での窒素酸化物濃度が50ppm以上となる段に設置する。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の効果を裏付けるために以下の試験を行った。まず、使用時間の異なる単体の触媒層を用いて、触媒層入口における窒素酸化物(NO)濃度とNHとNOとのモル比とを変化させて反応速度を測定した。得られた反応速度を入口NO濃度が180ppmの場合を1.00とした比として表1に示す。
Figure 2018069191
表1に示すように使用時間が10000時間以下の比較的新しい触媒では、入口NO濃度が50ppm以下となると反応速度が大きく低下することがわかる。
次に、1段目に6600時間使用した触媒層、2段目に20000時間使用した触媒層を有する多段式脱硝装置と、1段目に20000時間使用した触媒層、2段目に6600時間使用した触媒層を有する多段式脱硝装置とを用い、入口NO濃度を変化させて装置出口のNO濃度を計測した。その結果を表2に示す。
Figure 2018069191
表2に示すように、入口のNO濃度が50ppm以上の段に比較的新しい触媒を用いた試験例1が、試験例2よりも脱硝率が優れている。
以上の結果から、触媒層の交換時に、入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置することで、脱硝性能を向上できることがわかる。
以上説明したように、当該メンテナンス方法は、新しい触媒の脱硝性能を十分に発揮させられるので、窒素酸化物の厳しい低濃度化が要求される脱硝装置等に好適に用いることができる。
1 反応容器
2 触媒層
3 NH注入ノズル
4 フレーム
5 触媒単体
d 目開き
G 排ガス
H 高さ
L1、L2 辺の長さ

Claims (3)

  1. 複数の触媒層を備え、排ガス中の窒素酸化物を分解する多段式脱硝装置のメンテナンス方法であって、
    交換対象の触媒層を抜き出す工程と、
    入口での排ガス中の窒素酸化物濃度が50ppm以上の段に新しい触媒層を設置する工程と
    を備えることを特徴とするメンテナンス方法。
  2. 上記抜き出し工程後、上流側の触媒層を下流側に移動する工程をさらに備える請求項1に記載のメンテナンス方法。
  3. 上記設置工程で、新しい触媒層を最上流側の段に設置する請求項1又は請求項2に記載のメンテナンス方法。
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