JP2018068165A - 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置 - Google Patents

細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018068165A
JP2018068165A JP2016209855A JP2016209855A JP2018068165A JP 2018068165 A JP2018068165 A JP 2018068165A JP 2016209855 A JP2016209855 A JP 2016209855A JP 2016209855 A JP2016209855 A JP 2016209855A JP 2018068165 A JP2018068165 A JP 2018068165A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
processing
cells
cell
surface treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016209855A
Other languages
English (en)
Inventor
敦史 宮岡
Atsushi Miyaoka
敦史 宮岡
高木 大輔
Daisuke Takagi
大輔 高木
俊平 鴨野
Shumpei Kamono
俊平 鴨野
明石 満
Mitsuru Akashi
満 明石
典弥 松▲崎▼
Noriya Matsuzaki
典弥 松▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Osaka University NUC
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, Ricoh Co Ltd filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2016209855A priority Critical patent/JP2018068165A/ja
Publication of JP2018068165A publication Critical patent/JP2018068165A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】被覆細胞の製造のような細胞の表面処理において、細胞へのダメージを低減し、細胞の回収率を向上し、かつ表面処理品質を向上する。
【解決手段】
被覆細胞製造装置1は、内部で細胞の表面への被膜形成が実行される処理内槽33を備える。処理内槽33の一部は液透過性膜37で構成されている。処理内槽33は、処理外槽34に配置される。処理内槽33と処理外槽34との間には、貯液空間42が形成される。貯液空間42には、液搬送部5によって処理液が供給される。貯液空間42に貯液された処理液は、水頭圧によって、液透過性膜37を介して処理内槽33内に逆流する。
【選択図】図4

Description

本発明は、細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置に関する。
近年、新たな医療分野として再生・細胞医療が注目されており、骨、軟骨、皮膚等の比較的単純な構造を持つ組織については、実用化され臨床応用の段階にまで進んでいる。しかしながら、心臓、腎臓、肝臓等の複雑な三次元構造を有し、多種細胞により組織化されている組織は、細胞を培養することのみで組織化することが困難であり、実用化には至っていない。
生体外で細胞を取り扱う場合、プラスチックディッシュやガラスシャーレ等の培養容器を用い、二次元的に細胞培養を行う方法が一般的である。一般的な接着性細胞である場合、細胞は培養容器に播種された後、培養容器へ接着し、その後に伸展していく事で扁平な形状を示す。そして、その培養容器に細胞が接着していないスペースがある場合、細胞は成長や増殖等により、それらスペースを埋めるように二次元的に拡がっていく。しかしながら、我々生体は三次元体であり、三次元的に細胞培養を行う方法が望まれてきた。そこで近年、細胞を三次元的に取り扱う研究が進み、いくつかの三次元培養方法が報告され始めた。
代表的な手法としては、二次元で培養したシート状の細胞を重ね合わせて三次元化する方法がある(特許文献1〜3)。しかしながら、この方法では、単層の細胞シートを作製した後に重ね合わせて三次元化させていくため、厚みのある三次元組織の作製には多大な時間が必要であり現実的では無い。
一方、特許文献4には、細胞層を形成する工程と、細胞層を第1物質含有液と第2物質含有液とに交互に接触させる工程とを繰り返し行い、ナノメートルサイズの厚みの接着膜(細胞外マトリックス(EMC)等)を介して連続的に細胞層を積層する技術が開示されている。これにより、単層の細胞シートの剥離や、剥離した細胞シートの重ね合わせ等が不要であるため、優れた再現性及び効率で、極めて簡便に三次元組織を作製できるとされている。しかしながら、この技術は、細胞を一層ずつ培養して三次元構造体を作製するものであるため、厚みのある組織の作製には長時間を必要とする。
特許文献5には、細胞表面を第1物質からなる接着膜及び第2物質からなる接着膜で交互に被覆し、得られた被覆細胞を基材上で培養することによって、細胞の三次元組織をより短時間で簡便に作製する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、細胞表面に接着膜を被覆する際に、第1物質もしくは第2物質を含有する処理液に細胞浸漬した後、遠心分離を用いて細胞と処理液とを遊離するため、被覆形成時に細胞へのダメージが問題となる。また、遊離した処理液をピペット等により除去する際に液と共に細胞が取り除かれるため、細胞の回収率が低下する問題がある。
特許文献6には、液透過性膜および揺動を用いることによって処理液と細胞とを分離する方法が開示されている。この方法によれば、遠心分離を用いる際と比較して細胞に与えるダメージないしストレスを低減することができ、処理液を除去する際のピペッティングが無いため回収率が改善すると記載されている。しかしながら、液透過性膜に細胞が付着もしくは膜孔に詰まるため、回収率と表面処理品質が低下しやすいという問題がある。
特開2004−261532 特開2004−261533 特開2005−608 特許第4919464号 特開2012−115254号 国際公開WO/2016/027853号
本発明は、細胞へのダメージが少なく、細胞の回収率が高く、かつ表面処理品質の高い細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、細胞の表面処理方法であって、少なくとも一部が液透過性膜で構成された処理部内において、表面処理のための第1の液体に細胞を浸漬する表面処理工程と、前記液透過性膜を透過させることで、前記処理部内の前記第1の液体を前記処理部外へ分離する液分離工程と、表面処理済みの前記細胞を第2の液体に懸濁することを含む回収工程とを少なくとも含み、前記回収工程における前記懸濁は、前記液透過性膜に付着した前記細胞を剥離することを含む、細胞の表面処理方法を提供する。
回収工程において液透過性膜に付着した細胞を剥離することで、細胞へのダメージを低減できる。また、液透過性膜に残留する細胞を減少させ、細胞の回収率を向上できる。さらに、液透過性膜から細胞を剥離することで、表面処理品質を向上できる。
本発明によれば、被覆細胞の製造のような細胞の表面処理において、細胞へのダメージを低減し、細胞の回収率を向上し、かつ表面処理品質を向上できる。
本発明の第1実施形態に係る被覆細胞製造装置の模式的な正面図。 本発明の第1実施形態に係る被覆細胞製造装置の模式的な平面図。 容器台の模式的な縦断面図。 処理容器の模式的な縦断面図。 蓋を取り外した状態での処理容器の模式的な平面図。 処理内槽の模式的な斜視図。 本発明の第1実施形態に係る被覆細胞の製造方法を説明するためのフローチャート。 図7のステップS7−5(細胞被覆処理)の詳細を示すフローチャート。 図8のステップS8−2(第1物質被膜工程)の詳細を示すフローチャート。 図8のステップS8−3(第2物質被膜工程)の詳細を示すフローチャート。 細胞懸濁液セットの概要を示す模式図。 細胞分離工程の概要を示す模式図。 表面処理工程及び洗浄工程の概要を示す模式図。 液分離工程の概要を示す模式図。 回収工程の概要を示す模式図。 揺動の周波数の変化の一例を示すグラフ。 本発明の第2実施形態に係る被覆細胞製造装置が備える処理容器の模式的な縦断面図。 貯液部の断面積の設定を説明するための模式図。 本発明の第3実施形態に係る被覆細胞製造装置が備える処理容器の模式的な縦断面図。 本発明の第4実施形態に係る被覆細胞製造装置が備える処理容器の模式的な縦断面図。 本発明の第5実施形態に係る被覆細胞製造装置が備える処理容器の模式的な縦断面図。 比較例と実施例の逆流量を示すグラフ。 比較例と実施例の収率を示すグラフ。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。これらの実施形態では、細胞の表面処理方法の一例として、細胞の三次元構造体を作成する際に用いる被覆細胞の製造方法を説明する。また、これらの実施形態では、細胞の表面処理装置の一例として、被覆細胞製造装置を説明する。しかし、これらの実施形態は例示に過ぎず、本発明は、被覆細胞の製造以外にも適用できる。また、これらの実施形態に対して、特許請求の範囲又はその均等の範囲において、種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
まず、被覆細胞の製造方法の概要を説明する。
被覆細胞は、第1物質と、第1物質と相互作用する第2物質とが、細胞表面に積層された細胞であり、第1物質と第2物質とが交互に積層されたものである。
被覆細胞の製造に供される細胞は、組織を形成する多細胞生物の細胞であればどのような細胞でもよく、動物細胞であってもよいし、植物細胞であってもよい。特に動物細胞が好ましく、より好ましくは哺乳類由来細胞である。哺乳類由来の細胞として、肝細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、表皮細胞、上皮細胞、乳腺細胞、筋細胞、神経細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、骨細胞、及び免疫細胞等があげられる。細胞は1種類でもよいし、2種類以上を用いてもよい。
第1物質と第2物質は、RGD配列を有する高分子とRGD配列を有する高分子と相互作用する高分子、又は正の電荷を有する高分子と負の電荷を有する高分子等である。第1物質と第2物質の例としては、フィブロネクチンとゼラチン、フィブロネクチンとε-ポリリジン、フィブロネクチンとヒアルロン酸、フィブロネクチンとデキストラン硫酸、フィブロネクチンとヘパリン、及びラミニンとゼラチン等が挙げられる。
第1物質を含有する第1処理液と、第2物質を含有する第2処理液に浸漬し、攪拌することによって、細胞表面に第1物質と第2物質を被覆させる。第1処理液と第2処理液の溶媒は、特に制限されないが、細胞への毒性がない水や緩衝液等の水性溶媒が挙げられる。また、これらの処理液の緩衝液としては、Tris緩衝液(Tris-HCl等)、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液等が使用できる。これらの処理液の溶媒pHは、特に制限はないが、pH6〜8程度に調整済みのものが好ましい。
(第1実施形態)
図1及び図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係る被覆細胞製造装置(細胞処理装置の一例)1は、基台2上に設置された液配置部3、表面処理部4、及び液搬送部5を備える。液配置部3には、処理液及び洗浄液が配置される。表面処理部4は、細胞に対する被覆処理を行う。液搬送部(本発明における液供給部の一例)5は、液配置部3から処理液及び洗浄液を取り出して搬送し、表面処理部4に供給する。また、被覆細胞製造装置1は、入出力装置6と制御装置7を備える。
液配置部3は、容器台8と液温調ユニット9を備える。基台2上に液温調ユニット9が設置され、液温調ユニット9上に容器台8が設置されている。
図3を併せて参照すると、容器台8には、上部が開口する3個の容器配置溝11a,11b,11cが設けられている。また、容器台8には、互いに隣接する容器配置溝11a,11b間に、上部が開口する2個のノズル退避溝12a,12bが設けられている。さらに、容器台8には、互いに隣接する容器配置溝11b,11c間に、上部が開口する2個のノズル退避溝12c,12dが設けられている。図2に表れているように、平面視では、容器配置溝11a〜11cとノズル退避溝12a〜12dとが一つの直線上に等間隔で配置されている。
容器配置溝11a〜11cには、上部が開口した処理液容器13a〜13cが取出可能にそれぞれ配置されている。本実施形態では、処理液容器13aに前述した第1処理液14が収容され、処理液容器13bに前述した第2処理液15が収容され、処理液容器13cには洗浄液16が収容されている。洗浄液16は、第1処理液14及び第2処理液15の溶媒として例示したものを使用できる。以下の説明において、第1処理液14、第2処理液15、及び洗浄液16の総称として、「処理液」という用語を使用する場合がある。
容器配置溝11a〜11cは、処理液容器13a〜13cの外面と溝壁面とが可能な限り広い面積で接触する形状及び寸法を有することが好ましい。熱媒体として、生体適合性の液体で容器配置溝11a〜11cを満たしてもよい。
液温調ユニット9は、図示しない温度測定手段と温度調節手段を具備しており、容器配置溝11a〜11cに配置された処理液容器13a〜13c内の第1処理液14、第2処理液15、及び洗浄液16の温度を調節できる。また、液温調ユニット9は、図示しない液量計測手段を具備しており、第1処理液14、第2処理液15、及び洗浄液16の液量不足を検知することが可能である。
図1及び図2を参照すると、液搬送部5は、基台2上に設置された門型構造体18を備える。門型構造体18の横梁部19には、液配置部3及び表面処理部4の上方に位置するように、水平方向に延びるX軸ステージ20が固定されている。液搬送部5はX軸キャリッジ21を備える。X軸キャリッジ21は、符号22で概念的に示すX軸駆動部で駆動されることにより、X軸ステージ20上を位置決め可能に移動する。X軸キャリッジ21には、鉛直方向に延びるZ軸ステージ23が固定されている。液搬送部5は、Z軸キャリッジ24を備える。Z軸キャリッジ24は、符号25で概念的に示すZ軸駆動部で駆動されることにより、Z軸ステージ23上を位置決め可能に移動する。
Z軸キャリッジ24には、それぞれノズルアタッチメント26を介して3個のノズル27a,27b,27cが保持されている。個々のノズル27a〜27bは、ノズルアタッチメント26に嵌合により接続されており、Z軸キャリッジ24に対して着脱可能である。ノズル27a〜27cは吸排ポンプ28a,28b,28cにそれぞれ流体的に接続されている。吸排ポンプ28a〜28cにより、ノズル27a〜27bは定量の処理液の吸引、貯留、及び排出が可能となっている。ノズル27a〜27cは、それぞれ第1処理液14、第2処理液15、及び洗浄液16の搬送に用いられる。
ノズル27a〜27cのうち互いに隣接する2個間の間隔は、容器配置溝11a〜11c及びノズル退避溝12a〜12dのうち互いに隣接する2個間の間隔と等しく設定されている。そのため、例えば図3に示すように、ノズル27aが容器配置溝11aに配置された処理液容器13a内に進入しているとき、残りのノズル27b,27cは、ノズル退避溝12a,12b内に位置している。
本実施形態における液搬送部5は、X軸ステージ20とZ軸ステージ23を備える直交座標型である。しかし、液搬送部の形態は、必要な機能を実現できる限り特に限定されず、例えばθ軸ステージとZ軸ステージとを備える円筒座標型であってもよい。
図1、図2、図4、及び図5を参照すると、表面処理部4は、揺動ユニット31と処理容器32を備える。図4に最も明瞭に示すように、処理容器32は、処理内槽(処理部)33と、処理内槽33が取出可能に配置される処理外槽(配置部)34と、処理外槽34上に配置される蓋35とを備える。揺動ユニット31は基台2上に設置され、処理容器32が揺動ユニット31上に搭載されている。処理容器32は、揺動ユニット31に対して取り付け及び取外可能である。例えば細胞種毎に処理容器32を取り替えることで、細胞の汚染及び混入を防止できる。
図6を併せて参照すると、処理内槽33は液体を透過しない材料(例えばポリエチレンテレフタレートのような樹脂)からなる筒状部36と、筒状部36の下部の開口を閉鎖するように筒状部36の下端に設けられた平坦な液透過性膜37とを備える。言い換えれば、処理内槽33の底部が液透過性膜37によって構成されている。液透過性膜37とは、処理液を透過させ、処理液と細胞とを分離可能な膜をいう。液透過性膜37の材質等について特に制限はなく、不織布、多孔質、フィルター、メッシュ等を液透過性膜37として選択できる。筒状部36の上部は開口している。筒状部36の上端には、フランジ部38が設けられている。処理内槽33は、セルカルチャーインサートであってもよい。
本実施形態では、処理内槽33の底部の実質的に全体が液透過性膜37によって構成されている。しかし、処理内槽33の底部の一部、例えば筒状部36の最下端に近い部分が、液体を透過しない材料で構成されていてもよい。また、筒状部36の一部、例えば筒状部36の下端側の部分が、液体を透過する材料で構成されていてもよい。
処理外槽34は、液体を透過しない材料(例えばポリエチレンテレフタレートのような樹脂)からなる。図4及び図5を参照すると、処理外槽34は、処理内槽33を収容するための収容凹部41を備える。収容凹部41は上部が開口している。図4に最も明瞭に示すように、収容凹部41の周壁41a及び底壁41bの形状及び寸法は、収容凹部41内に収容された処理内槽33との処理外槽34との間に隙間、すなわち貯液空間42が形成されるように設定されている。詳細には、収容凹部41の底壁41bと処理内槽33の液透過性膜37との間に隙間43aが形成され、収容凹部41の周壁41aと処理内槽33の筒状部36との間に、隙間43bが形成される。言い換えれば、これらの隙間43a,43bが貯液空間42を構成している。収容凹部41の周壁41aの上端部には、処理内槽33のフランジ部38を支持し、貯液空間42が形成された状態で収容凹部41内に処理内槽33を保持する支持部44が形成されている。収容凹部41に保持されているとき、処理内槽33は液透過性膜37が水平面内で拡がる姿勢で保持される。
蓋35は、蓋35は処理外槽34に対して取り外し可能に配置されており、処理外槽34と収容凹部41に収容された処理内槽33に対してピン等の手段によって位置決めされている。
蓋35には、外側給液口45と内側給液口46とが、厚み方向に貫通するように設けられている。外側給液口45は、本実施形態では処理外槽34の上部に形成された溝である給液路47を介して、貯液空間42(より具体的には隙間43b)と流体的に連通している。外側給液口45を介して、処理液が貯液空間42に供給される。内側給液口46は、処理内槽33の内部(処理部内)に流体的に連通している。内側給液口46を介して、表面処理を行う細胞の懸濁液が処理内槽33の内部に供給される。また、内側給液口46を介して、表面処理済みの細胞が懸濁された洗浄液が処理内槽33から回収される。図2に表れているように、外側給液口45と内側給液口46は、平面視では、容器配置溝11a〜11cとノズル退避溝12a〜12dと共通する一つの直線上に配置されている。
貯液空間42に処理液を供給するための構造、及び処理内槽33の内部に対して液体の供給と回収を行うための構造は、本実施形態のものに限定されない。例えば、蓋35を省略し、給液路47を外側給液口として使用すると共に、収容凹部41の上部開口から露出している筒状部36の開口を内側給液口として使用してもよい。
図4、図5を参照すると、処理外槽34は、貯液空間42から液体(処理液及び表面処理を行う細胞の懸濁液の分散媒)を排出するための排液口48を備えている。本実施形態では、収容凹部41の底壁41bに複数個(5個)の排液口48が設けられている。排液口48の個数は1個でもよい。例えば、収容凹部41の底壁41bの平面視での中央領域に、単一の排液口48を設けてもよい。排液口48は、貯液空間42と、処理外槽34に形成された排液流路49とを流体的に連通している。排液流路49の出口は、パイプやチューブで構成された外部流路50を介して、廃液槽51に流体的に接続されている。廃液槽51には排液ポンプ52が流体的に接続されている。排液ポンプ52が作動すると、廃液槽51の内部が負圧となり、貯液空間42内の液体が排液口48、排液流路49、及び外部流路50を介して廃液槽51内に流入する。図2において符号50aで示すように、外部流路50にはいったん上向きに延びた後で下向きに折り返す部分を有する。この折り返し部50aを設けたことで、排液ポンプ52が動作しない限り、排液口48を介して貯液空間42からの液体の排出は生じない。言い換えれば、この折り返し部50aを設けたことで、排液ポンプ52を動作しない限り、貯液空間42内に液体が保持される。折り返し部50aに代えて、排液ポンプ52の動作時にのみ開弁する電磁弁を外部流路50に設けてもよい。
容器から容器へ液を搬送するには、チューブをコネクタでポンプを接続した構成が一般的であるが、細胞の表面処理においては汚染や異物の混入を確実に防ぐ必要があるため、被覆細胞作製毎に接液部を交換する必要がある。そのため、処理液容器13a〜13b、ノズル27a〜27b、及び処理容器32を含む処理液が接液する部材は、簡便に着脱して置換が可能となっている。
揺動ユニット31は処理容器32を振動ないし揺動させる。処理容器32が揺動することで、貯液空間42や処理内槽33内の液体が振とうされる。
本実施形態では、揺動ユニット31は水平面内の円運動で処理容器32を連続的に揺動させる。揺動のための具体的機構は特に限定されない。例えばモータ軸が鉛直方向に延びる姿勢でモータを配置し、モータ軸と処理容器32側とをリンクを介して連結することで、モータ軸の連続回転を処理容器32の水平面内での連続的な円運動に変換できる。揺動ユニット31の水平面内での揺動の軌道は、円軌道に限定されず、楕円軌道、直線又は曲線に沿った往復軌道、8の字状の軌道等であってもよい。言い換えれば、本明細書における「揺動」という用語は、周期的な運動である限り、往復運動と無端軌道に沿った運動の両方を含む。
後に詳述するように、処理容器32が水平面内で揺動することで、揺動時に細胞が液透過性膜37の膜孔に詰まるのを防止できる。しかし、この膜孔の詰まりを生じない程度であれば、処理容器32が完全に水平面内のみで揺動している必要はなく、処理容器32の揺動運動が鉛直方向(上下方向)の成分を含んでいてもよい。
揺動後の処理容器32の位置が変わると、正確に外側給液口45と内側給液口46に処理液を入れることができなくなるため、揺動ユニット31は、終了位置補正機構を持つ。この補正機構の具体的な構造は特に制限はないが、バネ等による押し当て機構が簡便で望ましい。
入出力装置6は、例えば装置前面に設置されたタッチパネルである。入出力装置6は、オペレータによるパラメータ設定の入力を受け付ける。また、入出力装置6は、工程状況をオペレータに対して視覚的に表示する。
制御装置7は、入出力装置6で設定されたパラメータと各種センサからの入力等に基づいて、液配置部3の液温調ユニット9、液搬送部5のX軸駆動部22、Z軸駆動部25、及び吸排ポンプ28a〜28c、並びに表面処理部4の揺動ユニット31及び排液ポンプ52を含む、被覆細胞製造装置1全体を統括的に制御する。制御装置7は、CPU、RAM、ROM等を備える一般的なコンピュータ等のハードウェアと、ハードウェアに実装されるソフトウェアとにより構築できる。
次に、第1処理液14、第2処理液15、及び洗浄液16の液配置部3から表面処理部4への搬送に関し、液搬送部5の動作を説明する。
第1処理液14の搬送時には、X軸駆動部22によって駆動されたX軸キャリッジ21がX軸ステージ20上を移動することで、第1処理液14が収容された処理液容器13aの上方にノズル27aが移動する。次に、Z軸駆動部25によって駆動されたZ軸キャリッジ24がZ軸ステージ23に沿って降下することで、ノズル27aが処理液容器13a内に進入に、第1処理液14に接液する。この際、図3に示すように、ノズル27b,27cはノズル退避溝12a,12bに進入するので、容器台8と干渉しない。次に、吸排ポンプ28が作動し、ノズル27aの内部に定量の第1処理液14を吸引する。
ノズル27aへの第1処理液14の定量貯留完了後、Z軸キャリッジ24がZ軸ステージ23に沿って上昇することで、ノズル27aが処理液容器13a内から退出する。続いて、X軸キャリッジ21がX軸ステージ20上を移動することで、ノズル27aが表面処理部4の外側給液口45の上方に移動する。次に、Z軸キャリッジ24がZ軸ステージ23に沿って降下し、外側給液口45に接近する。続いて、吸排ポンプ28が作動し、ノズル27aの内部の第1処理液14が外側給液口45に注入される。
ノズル27bによる第2処理液15の搬送時及びノズル27cによる洗浄液16の搬送時にも、液搬送部5が同様に動作する。第2処理液15の搬送では、ノズル27bが処理液容器13b内に進入するとノズル27a,27cがノズル退避溝12b,12cに進入し、定量貯留後のノズル27bは外側給液口45に対向する位置に移動して、第2処理液15を外側給液口45に注入する。洗浄液16の搬送では、ノズル27cが処理液容器13cに進入するとノズル27a,27bが退避溝12c,12dに進入し、定量貯留後のノズル27bは外側給液口45に対向する位置に移動して、洗浄液16を外側給液口45に注入する。
以下、被覆細胞製造装置1を用いた被覆細胞の製造方法について説明する。
図7のフローチャートは、被覆細胞製造方法の概要を示す。
(接液部材セット:ステップS7−1)
前述のように、細胞の表面処理においては汚染や異物の混入を確実に防ぐため、接液部材は被覆細胞作製毎に使い捨て、もしくは取り外し洗浄するようになっている。そのため、処理開始前に処理液容器13a〜13b、ノズル27a〜27c、処理容器32等の接液部材を所定部にセットする。
(細胞懸濁液セット:ステップS7−2,図11)
接液部材のセットが完了した後、図11において矢印A1で概念的に示すように、内側給液口46から処理内槽33内に表面処理を行う細胞60の懸濁液61を注入する。この懸濁液61の注入は、手動操作で行ってもよいし、図1にのみ符号100で概念的に示すように、ロボットアームの先端に備えられたノズルと吸排ポンプを使用して自動的に実行してもよい。
(パラメータ設定:ステップS7−3)
入出力装置6を使用して被覆細胞製造装置1のパラメータを設定する。設定可能なパラメータとしては、例えば被膜工程回数、処理内槽液量、処理外槽液量、給排速度、揺動周波数、揺動時間等がある。
細胞懸濁液セット(ステップS7−2)とパラメータ設定(ステップS7−3)を実行する順序を入れ換えてもよい。
(処理開始操作:ステップS7−4)
パラメータ設定が完了した後、被覆細胞製造装置1に対する処理開始の指令が入出力装置6により入力される。入出力装置6がタッチパネルである場合、例えばタッチパネルに表示された処理開始ボタンの押下により、処理開始の指令が入力される。
(細胞被膜処理:ステップS7−5)
処理開始指令が入力されると、被覆細胞製造装置1は細胞被膜処理を自動的に実行し、細胞60の表面に第1物質の被膜と第2物質の被膜を交互に形成する。
図8のフローチャートは、被覆細胞製造装置1によって自動的に実行される細胞被覆処理の詳細を示す。
細胞被覆処理では、まず細胞分離工程(ステップS8−1)が実行される。次に、第1物質被膜工程(ステップS8−2)とそれに続く第2物質被膜工程(ステップS8−3)が規定回数だけ繰り返される。この規定回数は、前述のパラメータ設定(図7のステップS7−3)で設定される。規定回数の第1物質被膜工程と第2物質被膜工程の繰り返しが完了した後、回収工程(ステップS8−4)が実行される。回収工程が実行されると、細胞被膜処理が終了し、被膜細胞の製造が完了する。
(細胞分離工程:ステップS8−1,図12)
細胞分離工程の開始時には、処理容器32の処理内槽33内には細胞懸濁液セット(図7のステップS7−1,図11)で注入された細胞懸濁液61が貯液されているが、処理内槽33と処理外槽34との間に形成された貯液空間42は、液体が存在せず空状態である(図12の「状態1」)。この状態で揺動ユニット31が作動し、処理容器32を揺動させる(図12の「状態2」)。また、図12の「状態2」に矢印A2で概念的に示すように、排液ポンプ52を作動させる。処理内槽33の揺動により細胞懸濁液61が振とうされる。その結果、細胞60は処理内槽33に残り、細胞懸濁液61の分散媒のみが液透過性膜37の膜孔を通って処理内槽33内から貯液空間42に流出する。貯液空間42に流出した分散媒は、排液ポンプ52の吸引により、排液口48と外部流路50を通って廃液槽51に回収される。処理内槽33内の分散媒がなくなるまで、処理容器32の揺動と排液ポンプ52による吸引が継続される(図12の「状態3」)。
処理容器32を鉛直方向(上下方向)に揺動させると、処理内槽33内の細胞60は液透過性膜37に対して上方から衝突する傾向が強まるので、液透過性膜37への細胞60の付着、もしくは細胞60の膜孔への詰まりが発生する可能性が高くなる。しかし、本実施形態では、前述のように揺動ユニット31は水平面内で処理容器32を揺動させている。言い換えれば、処理容器32は液透過性膜37に平行な方向に揺動する。そのため、処理内槽33内の細胞60が液透過性膜37に対して上方から衝突する傾向を緩和ないし低減し、細胞60の液透過性膜37への付着や、膜孔への詰まりを防止ないし抑制できる。
揺動ユニット31による揺動周波数が高いほど、処理内槽33から貯液空間42への分散剤の排出能力は高くなる。しかし、揺動周波数が高すぎると細胞60にダメージを与える可能性があるため、細胞種によって適切に揺動周波数を選択する必要がある。揺動周波数は3000rpm以下が好ましく、100〜2000rpmがより好ましく、さらに好ましくは500〜1000rpmである。ダメージに弱い細胞としては、ヒトiPS細胞、ES細胞、心筋細胞、肝細胞、血管平滑筋細胞、膵島細胞等が挙げられる。
(第1物質被膜工程:ステップS8−2)
図9のフローチャートは、第1物質被膜工程の詳細を示す。第1被膜工程では、表面処理工程(ステップS9−1)、1回目の液分離工程(ステップS9−2)、洗浄工程(ステップS9−3)、及び2回目の液分離工程(ステップS9−4)が、この順に実行される。
(表面処理工程:ステップS9−1,図13)
表面処理工程の開始時には、処理内槽33内には液透過性膜37上に細胞60が存在するが液体は存在せず、貯液空間42も液体が存在せず空状態である(図13の「状態1」)。この状態で、図13の「状態2」に矢印A3で概念的に示すように、液搬送部5のノズル27aから外側給液口45及び給液路47を介して貯液空間42に第1処理液14を定量貯留する。また、揺動ユニット31を動作させることにより、処理容器32を水平面内で揺動させる(図13の「状態2」)。揺動周波数は、細胞分離工程(図12)と同様に、細胞にダメージを与えない周波数に設定される。
貯液空間42は給液流路47と外側給液口45を介して大気と連通し、処理内槽33内は内側給液口46を介して大気と連通している。つまり、貯液空間42と処理内槽33内には、いずれも大気圧が作用している。従って、貯液空間42に定量貯留された第1処理液14は、第1処理液14自体の水頭圧により、液透過性膜37の膜孔を介して貯液空間42から処理内槽33内に流入ないし逆流する。処理内槽33内の細胞60は、逆流した第1処理液14に浸漬される。処理内槽33内に流入する第1処理液14の量が増加して処理内槽33内の液面が上昇するのに伴って、貯液空間42の液面が低下する。処理内槽33内の液面上昇と貯液空円42の液面低下によって、処理内槽33の第1処理液14の水頭圧と貯液空間42の第1処理液14の水頭圧が釣り合うと、液透過性膜37を介した処理内槽33への第1処理液14の流入が停止する。
このように、本実施形態では、水頭圧を利用することで第1処理液14が液透過性膜37を透過して処理内槽33内に逆流させているので、ポンプ等の圧力付与手段は必要がない。また、処理内槽33内と貯液空間42の水頭圧が釣り合う液面高さまで貯液空間42側の第1処理液が減少すると逆流が停止する。言い換えれば、貯液空間42に貯液される第1液体の量(液面高さ)を制御することによって逆流量を制御することが可能である。そのため、逆流の制御に液面センサ、圧力センサ等を使用する必要がない。これらの理由により、被覆細胞製造装置1の構成を簡素化できる。
処理容器32を揺動せることで、液透過性膜37を介した第1処理液14の処理内槽33内への逆流を促進できる。つまり、処理容器32を揺動することで、逆流による処理内槽33内への第1処理液14の供給完了までに要する時間を短縮できる。
液透過性膜37を介して処理内槽33内へ逆流する第1処理液14によって、処理内槽33内の細胞の乖離を促し、液透過性膜37に付着した細胞を剥離することができる。その結果、細胞60の表面処理品質が向上し、細胞回収率も向上する。特に、処理容器32を揺動することで、逆流が促進されるので、液透過性膜37に付着した細胞をより効率よく剥離することができる。
貯液空間42から処理内槽33内への第1処理液14の逆流が完了し、処理内槽33の細胞60が第1処理液14で浸漬された後も、引き続き揺動ユニット31によって処理容器32が水平面内で揺動される(図13の状態3)。この揺動により、第1処理液14と細胞60が十分に攪拌され、細胞60の表面に第1物質の被膜が形成される。揺動によって、第1処理液14と細胞60を十分に攪拌することで、均質な表面処理を実現できる。揺動周波数は、細胞分離工程と同様に、細胞にダメージを与えない周波数に設定される。入出力装置6でパラメータの1つとして設定された揺動時間が経過するまで、揺動が継続される。
外部流路50に折り返し部40aを設けているので、貯液空間42の第1処理液14が排液口48から流出することがない。そのため、第1処理液14の不足による細胞60の表面処理品質の低下を防ぐことができる。また、揺動により処理内槽33内から第1処理液14が流出することがないので、細胞60の乾燥による死滅を回避し、回収率を向上できる。
図13の「状態3」における揺動の周波数が固定であると、液透過性膜37上の振動の節に相当する領域に細胞60が偏在し、偏在している細胞60は第1物質で十分に被覆されない傾向がある。つまり、揺動の周波数が固定であると、表面処理が不均一となる傾向がある。本実施形態では、図13の「状態3」における揺動の周波数を連続的に変化させている。周波数の連続的な変化の具体的な態様は特に限定されないが、例えば図16に示すように、一定時間は周波数f1を維持した後、周波数f1から周波数f2(f1<f2)へ周波数させて周波数f2を一定時間維持し、その後再び周波数f1の一定時間の維持を行うという周波数変化を連続的に繰り返してもよい。かかる揺動の振動の周波数の連続的な変化によって、液透過性膜37上の特定の領域に細胞60が偏在するのを防止し、均質な表面処理を実現できる。また、液透過性膜37上で細胞60が偏在することに起因する細胞60の凝集を防止できる。
(液分離工程:ステップS9−2,図14)
液分離工程の開始時には、処理内槽33内と貯液空間42の両方に第1処理液14が貯液されている。この状態で、この状態で揺動ユニット31を動作させることにより、処理容器32を揺動させる(図14の「状態1」)。また、図14の「状態1」に矢印A2で概念的に示すように、排液ポンプ52を作動させる。貯液空間42の第1処理液14は、排液ポンプ52の吸引により、排液口48と外部流路50を通って廃液槽51に回収される。処理内槽33内の第1処理液14は、液透過性膜37の膜孔を通って、貯液空間42に流出し、廃液槽51に回収される。処理内槽33内及び貯液空間42の第1処理液14がなくなるまで、処理容器32の揺動と排液ポンプ52による吸引が継続される(図14の「状態2」)。入出力装置6でパラメータの1つとして設定された揺動時間が経過するまで、揺動が継続される。
揺動ユニット31は水平面内で処理容器32を揺動させる。言い換えれば、処理容器32は液透過性膜37に平行な方向に揺動する。そのため、液分離工程中の処理内槽33内では、液透過性膜37の液透過方向(上下方向)に垂直な第1処理液14の流れ(液透過性膜37に沿った横方向の流れ)が、液透過性膜37の近傍に発生している。第1処理液14の横方向の流れにより、液透過性膜37の膜孔に細胞60が詰まることや、液透過性膜37に細胞60が付着することを防止し、細胞60の回収率を向上できる。また、この横方向の流れによって、細胞60と液透過性膜37との衝突ないし干渉を防止し、細胞60のダメージを防止ないし軽減でき、表面処理品質を向上できる。
(洗浄工程:ステップS9−3,図13)
洗浄工程は、使用される処理液が第1処理液14ではなく洗浄液16である点を除いて、表面処理工程(ステップS9−1)と同様である。
洗浄工程の開始時には、処理内槽33には液透過性膜37上に細胞60が存在するが液体は存在せず、貯液空間42も液体が存在せず空状態である(図13の「状態1」)。この状態で、液搬送部5のノズル27bから外側給液口45及び給液路47を介して貯液空間42に洗浄液16を定量貯留する(矢印A3)。また、揺動ユニット31により処理容器32を水平面内で揺動させる(図13の「状態2」)。揺動周波数は、細胞分離工程及び表面処理工程と同様に、細胞にダメージを与えない周波数に設定される。
貯液空間42に定量貯留された洗浄液16は、第1処理液14自体の水頭圧により、液透過性膜37の膜孔を介して貯液空間42から処理内槽33内に逆流する。処理内槽33内の細胞60は逆流した洗浄液16に浸漬される。処理内槽33内の洗浄液16の水頭圧と貯液空間42の洗浄液の水頭圧が釣り合うと、液透過性膜37を介した処理内槽33への洗浄液16の流入が停止する。
水頭圧を利用することで液透過性膜37を介して洗浄液16を処理内槽33内に逆流させるので、ポンプ等の圧力付与手段は必要がなく、逆流の制御に液面センサ、圧力センサ等も必要がないので、被覆細胞製造装置1の構成を簡素化できる。
処理容器32を揺動せることで、液透過性膜37を介した洗浄液16の処理内槽33内への逆流を促進し、処理内槽33内への洗浄液16の供給完了までに要する時間を短縮できる。
液透過性膜37を介して処理内槽33内へ逆流する洗浄液16によって、処理内槽33内の細胞の乖離を促し、液透過性膜37に付着した細胞を剥離することができる。その結果、細胞60の表面処理品質が向上し、細胞回収率も向上する。特に、処理容器32を揺動することで、逆流が促進されるので、液透過性膜37に付着した細胞をより効率よく剥離することができる。
貯液空間42から処理内槽33内への洗浄液16の逆流が完了し、処理内槽33の細胞60が洗浄液16で浸漬された後も、引き続き揺動ユニット31によって処理容器32が水平面内で揺動される(図13の「状態3」)。揺動によって、第1処理液14と細胞60を十分に攪拌し、残留する第1処理液及び第1物質を洗浄液16に効果的に溶解させることができる。揺動周波数は、細胞分離工程及び表面処理工程と同様に、細胞にダメージを与えない周波数に設定される。入出力装置6でパラメータの1つとして設定された揺動時間が経過するまで、揺動が継続される。
外部流路50に折り返し部50aを設けているので、揺動によって貯液空間42の洗浄液16が排液口48から流出することに起因する洗浄液16の不足や、揺動によって処理内槽33内から第1処理液14が流出することに起因する細胞60の乾燥による死滅を回避できる。
揺動ユニット31は揺動の周波数を連続的に変化させているので、液透過性膜37上の特定の領域に細胞60が偏在するのを防止し、残留する第1処理液及び第1物質を洗浄液16により効果的に溶解させることができる。また、液透過性膜37上で細胞60が偏在することに起因する細胞60の凝集を防止できる。
(液分離工程:ステップS9−2,図14)
洗浄工程後の液分離工程(ステップS9−4)は、廃液槽51に回収されるのが第1処理液14ではなく洗浄液16である点を除いて、表面処理工程後の液分離工程(ステップS9−2)と同様である。
(第2物質被膜工程:ステップS8−3)
図10のフローチャートは、第2物質被膜工程の詳細を示す。第1被膜工程では、表面処理工程(ステップS10−1)、液分離工程(ステップS10−2)、洗浄工程(ステップS10−3)、及び液分離工程(ステップS10−4)が、この順に実行される。これらの工程は、第1物質被覆工程(ステップS8−2)の対応する工程(図9のステップS9−1〜S9−4)と同様である。
前述のように、第1物質被膜工程(ステップS8−2)と第2物質被膜工程(ステップS8−3)が交互に繰り返されることで被膜細胞を形成される。これらの工程を繰り返す規定回数は、特に制限されないが、被膜厚みが1nm以上になるように設定することが好ましい。細胞種、各処理液濃度等に応じて規定回数を設定する必要がある。第1物質被膜工程(ステップS8−2)と第2物質被膜工程(ステップS8−3)の繰り返し回数が規定回数に達すると、処理容器32から細胞を回収する回収工程が実行される。
(回収工程:ステップS8−4,図15)
回収工程の開始時には、処理内槽33内には液透過性膜37上に細胞60が存在するが液体は存在せず、貯液空間42も液体が存在せず空状態である(図15の「状態1」)。この状態で、図15において矢印A3で概念的に示すように、液搬送部5のノズル27cから外側給液口45及び給液路47を介して貯液空間42に洗浄剤を定量貯留する。また、揺動ユニット31を動作させることにより、処理容器32を水平面内で揺動させる(図15の「状態2」)。揺動周波数は、細胞分離工程、表面処理工程、洗浄工程、及び液分離工程と同様に、細胞にダメージを与えない周波数に設定される。
貯液空間42は給液路47と外側給液口45を介して大気と連通し、処理内槽33内は内側給液口を介して大気と連通している。つまり、貯液空間42と処理内槽33内には、いずれも大気圧が作用している。従って、貯液空間42に定量貯留された洗浄液16は、洗浄液16自体の水頭圧により、液透過性膜37の膜孔を介して貯液空間42から処理内槽33内に逆流する。処理内槽33内の細胞60は逆流した洗浄液16に浸漬される。処理内槽33内に流入する洗浄液16の量が増加して処理内槽33内の液面が上昇するのに伴って、貯液空間42の液面が低下する。処理内槽33の洗浄液16の水頭圧と貯液空間42の洗浄液16の水頭圧が釣り合うと、液透過性膜37を介した処理内槽33への洗浄液16の流入が停止する。
水頭圧を利用することで液透過性膜37を介して洗浄液16を処理内槽33内に逆流させるので、ポンプ等の圧力付与手段は必要がなく、逆流の制御に液面センサ、圧力センサ等も必要がないので、被覆細胞製造装置1の構成を簡素化できる。
処理容器32を揺動せることで、液透過性膜37を介した洗浄液16の処理内槽33内への逆流を促進し、処理内槽33内への洗浄液16の供給完了までに要する時間を短縮できる。
液透過性膜37を介して処理内槽33内へ逆流する洗浄液16によって、処理内槽33内の細胞の乖離を促し、液透過性膜37に付着した細胞を剥離することができる。特に、処理容器32を揺動することで、逆流が促進されるので、液透過性膜37に付着した細胞をより効率よく剥離することができる。液透過性膜37に付着した細胞60を剥離することで、細胞60へのダメージを低減できる。また、液透過性膜37に残留する細胞60を減少させ、細胞60の回収率を向上できる。さらに、液透過性膜37から細胞を剥離することで、表面処理品質を向上できる。さらにまた、懸濁のための洗浄液16を処理内槽33内へ供給するのと同時に、液透過性膜37から細胞60を剥離できるので、処理効率を向上できる。
貯液空間42から処理内槽33内への洗浄液16の逆流が完了し、処理内槽33の細胞60が洗浄液16で浸漬された後も、引き続き揺動ユニット31によって処理容器32が水平面内で揺動される。揺動によって、洗浄液16に対して細胞60を十分に懸濁させることができる。入出力装置6でパラメータの1つとして設定された揺動時間が経過するまで、揺動が継続される。
外部流路50に折り返し部50aを設けているので、揺動によって貯液空間42の洗浄液16が排液口48から流出することに起因する洗浄液16の不足や、揺動によって処理内槽33内から第1処理液14が流出することに起因する細胞60の乾燥による死滅を回避できる。
揺動停止後、図15の「状態3」に矢印A4で概念的に示すように、内側給液口46から細胞を懸濁させた洗浄液16を取り出す。この懸濁液61の取り出しは手動操作で行ってもよいし、図1にのみ符号100で概念的に示すように、ロボットアームの先端に備えられたノズルと吸排ポンプを使用して自動的に実行してもよい。
本実施形態の回収工程では、揺動ユニット31により処理容器32全体を揺動させている。言い換えれば、貯液空間42の洗浄液16、処理内槽33内の洗浄液16、及び液透過性膜37を揺動させている。しかし、貯液空間42の洗浄液16、処理内槽33内の洗浄液16、及び液透過性膜37のうち1つ又は2つを揺動させてもよい。例えば、貯液空間42内に超音波振動子を配置することで、液透過性膜37を揺動させることなく、貯液空間42の洗浄液16を揺動ないし振とうできる。また、処理内槽33内に超音波振動子を配置することで、液透過性膜37を揺動させることなく、処理内槽33内の洗浄液16を揺動ないし振とうできる。この点は、細胞分離工程、表面処理工程、及び液分離工程における揺動についても同様である。
回収工程は、液透過性膜に付着する細胞を十分に剥離するため複数回行うことが望まし。
以上のように、被覆細胞製造装置1によって被覆細胞を作製できる。
以下、本発明の第2から第5実施形態を説明する。これらの実施形態における被覆細胞製造装置1の特に言及しない構造及び機能は、第1実施形態と同様である。また、これらの実施形態に関する図面では、第1実施形態と同一又は同様の要素には、同一の符号を付している。
(第2実施形態)
図17に示す第2実施形態では、処理外槽34の収容凹部41は上端側に他の部分よりも広い拡大部41bを備える。そのため、貯液空間42の隙間43bの水平断面の断面積は、下部よりも上部で大きくなっている。
図18を併せて参照すると、同図の「構成A」において、処理液62が貯液空間42に貯液された時点(水頭圧による逆流前)の貯液空間42の液面高さ(初期液面高さ)を符号H1で示す。また、「構成A」において、水頭圧による液透過性膜37を介した処理内槽33内への処理液62の逆流が完了した時点での貯液空間42の液面高さ(釣り合い液面高さ)を符号Hbで示す。使用する処理液62の量を低減するためには、貯液空間42の容積を減少させる必要がある。しかし、「構成B」のように、単に貯液空間42の隙間43bを狭くすると、釣り合い液面Hbを維持するためには、水頭圧の不足を補うために、初期液面高さH1を「構成A」の場合よりも高く設定する必要がある。一方、構成C(本実施形態)のように、拡大部41bを設けて貯液空間42の隙間43bの水平断面の断面積を下部よりも上部で大きく設定すれば、釣り合い液面Hbを維持しつつ、貯液空間42の隙間43bを狭く設定できる。
以上のように、本実施形態では、拡大部41bを設けて貯液空間42の隙間43bの水平断面の断面積を下部よりも上部で大きく設定することで、処理内槽33内への処理液62の逆流が完了するまで逆流に必要な水頭圧差を確保しつつ、貯液空間42の高さの抑制と、貯液空間内の貯液する必要がある処理液の量の低減とを両立できる。
(第3実施形態)
図19に示す本発明の第3実施形態では、収容凹部41の周壁41aは、上端側から下端側に向けて収容凹部41の幅が狭まるテーパー状である。この場合も、貯液空間42の隙間43bの水平断面の断面積が下部よりも上部で大きくなる。そのため、処理内槽33内への処理液の逆流が完了するまで逆流に必要な水頭圧差を確保しつつ、貯液空間42の高さの抑制と、貯液空間内の貯液する必要がある処理液の量の低減とを両立できる。
(第4実施形態)
図20に示す本発明の第4実施形態では、表面処理部4は、貯液空間42の上部に空気を供給するための加圧ポンプ63を備える。また、外側給液口45を密閉状態で閉鎖できる、開閉可能な栓体64が設けられている。
外側給液口45から貯液空間42に処理液が注入された後、栓体64によって外側給液口45が閉鎖される。その後、加圧ポンプ63により貯液空間42の上部(液面よりも上方)に空気が送り込まれる。貯液空間42の処理液は、それ自体の水頭圧と、加圧ポンプ63からの空気供給によって上昇した貯液空間42内の空気圧とによって、液透過性膜37を透過して処理内槽33内に逆流する。
(第5実施形態)
図21に示す本発明の第5実施形態では、収容凹部41の底壁41bに、平面視で環状の隔壁66が設けられている。この隔壁66によって貯液空間42の隙間43aは、内側領域67と外側領域68に区画されている。また、処理内槽33の筒状部36と収容凹部41の周壁41aとは隙間なく密接している。
第1実施形態のような外側給液口45と給液路47(例えば図4参照)は設けられていない。これらの代わりに、内側領域67に対して処理液を供給する第1給液部69と、外側領域68に対して処理液を供給する第2給液部70が設けられている。
第1給液部69と第2給液部70から内側領域67と外側領域68に、それぞれ処理液を供給して加圧することで、液透過性膜37を透過して処理液が処理内槽33内に逆流する。第1給液部69から内側領域67に対して処理液を供給する圧力(供給圧Pi)と、第2給液部70から外側領域68に対して処理液を供給する圧力(供給圧力Po)とは別個に制御できる。例えば、処理内槽33内において液透過性膜37の平面視で中央領域に細胞が偏在する傾向がある場合、供給圧Piを供給圧力Poよりも高く設定される。この圧力設定により、処理内槽33内では、液透過性膜37の近傍に中央側から外側に向かう処理液の流れが生じる。この流れにより、液透過性膜37の中央領域の細胞は外側に移動するので、偏在が防止ないし緩和される。
(実施例1)
第1実施形態の被覆細胞製造装置1を用いて、ヒト皮膚由来繊維芽(NHDF)細胞をフィブロネクチン及びゼラチンで被覆した被覆細胞を作製した。
処理内槽33としては6wellセルカルチャーインサート(Corning社製、孔径3μm、孔密度2×10^6 pores/cm2)を用いた。表面処理工程開始時の貯液空間42の液量を2300μL、処理内槽33内の液量を0μL、洗浄工程開始時の貯液空間42の液量を2300μL、処理内槽33内の液量を0μL、回収工程開始時の貯液空間42の液量を2300μL、処理内槽33内の液量を0μLとした。各工程における液量は、貯液空間42と処理内槽33内で意図的に大きな水頭圧を発生させる条件であり、貯液空間42から処理内槽33内へ400〜800μL程度の逆流が起こる条件である。本条件にて発生する逆流量を測定した。
前記の条件にて、5×10^6個のNHDF細胞に対して、フィブロネクチンを被覆する被膜工程5回、ゼラチンを被覆する被膜工程4回を規定回数とし、被膜処理を行った。被膜処理によって得られた被覆細胞の生存細胞数をトリパンブルー染色と血球計により測定し、収率(処理後生細胞数÷処理前生細胞数)を算出した。
(実施例2)
また、第1実施形態の被覆細胞製造装置1を用いて、表面処理工程開始時の貯液空間42の液量を1000μL、処理内槽33の液量を500μL、洗浄工程開始時の貯液空間42の液量を1000μL、処理内槽33の液量を500μL、回収工程開始時の排出部側液量を1000μL、処理内槽33の液量を500μLとしてヒト皮膚由来繊維芽(NHDF)細胞をフィブロネクチンおよびゼラチンで被覆した被覆細胞を作製した。本条件にて発生した逆流量を測定した。
前記の条件にて、5×10^6個のNHDF細胞に対して、フィブロネクチンを被覆する被膜工程を5回、ゼラチンを被覆する被膜工程4回を規定回数として、被膜処理をおこなった。実施例同様、被膜処理によって得られた被覆細胞の生存細胞数をトリパンブルー染色と血球計により測定し、収率(処理後生細胞数÷処理前生細胞数)を算出した。
逆流量及び収率の結果を図22及び図23に示す。実施例1はいずれの場合においても実施例2よりも収率が高かった。
1 被覆細胞製造装置
2 基台
3 液配置部
4 表面処理部
5 液搬送部
6 入出力装置
7 制御装置
8 容器台
9 液温調ユニット
11a〜11c 容器配置溝
12a〜12d ノズル退避溝
13a〜13c 処理液容器
14 第1処理液
15 第2処理液
16 洗浄液
18 門型構造体
19 横梁部
20 X軸ステージ
21 X軸キャリッジ
22 X軸駆動部
23 Z軸ステージ
24 X軸キャリッジ
25 Z軸駆動部
26 ノズルアタッチメント
27a〜27c ノズル
28a,28b,28c 吸排ポンプ
31 揺動ユニット
32 処理容器
33 処理内槽
34 処理外槽
35 蓋
36 筒状部
37 液透過性膜
38 フランジ部
41 収容凹部
41a 周壁
41b 底壁
41c 拡大部
42 貯液空間
43a,43b 隙間
44 支持部
45 外側給液口
46 内側給液口
47 給液路
48 排液口
49 排液流路
50 外部流路
50a 折り返し部
51 廃液槽
52 排液ポンプ
60 細胞
61 懸濁液
62 処理液
63 加圧ポンプ
64 栓体
65 電磁弁
66 隔壁
67 内側領域
68 外側領域
69 第1給液部
70 第2給液部

Claims (12)

  1. 細胞の表面処理方法であって、
    少なくとも一部が液透過性膜で構成された処理部内において、表面処理のための第1の液体に細胞を浸漬する表面処理工程と、
    前記液透過性膜を透過させることで、前記処理部内の前記第1の液体を前記処理部外へ分離する液分離工程と、
    表面処理済みの前記細胞を第2の液体に懸濁することを含む回収工程と
    を少なくとも含み、
    前記回収工程における前記懸濁は、前記液透過性膜に付着した前記細胞を剥離することを含む、細胞の表面処理方法。
  2. 前記剥離は、前記液透過性膜を介して前記処理部外から前記処理部内へ前記第2の液体を逆流させることを含む、請求項1に記載の細胞の表面処理方法。
  3. 前記逆流は、前記処理部外の前記第2の液体の水頭圧によって生じる、請求項2に記載の細胞の表面処理方法。
  4. 前記逆流は、前記処理部外の前記第2の液体、前記処理部内の前記第2の液体、及び前記液透過性膜のうちの少なくとも1つを揺動しながら行うことを含む、請求項2又は3に記載の細胞の表面処理方法。
  5. 前記表面処理工程は、前記処理部内から前記処理部外への前記第1の液体の流出が許容されない状態で、前記処理部外の前記第1の液体、前記処理部内の前記第1の液体、及び前記液透過性膜のうちの少なくとも1つを揺動しながら行うことを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の細胞の表面処理方法。
  6. 前記表面処理工程における前記揺動は、前記揺動の周波数を変化させつつ行うことを含む、請求項5に記載の細胞の表面処理方法。
  7. 前記液分離工程における前記透過は、前記処理部内において前記液透過性膜の液透過方向に垂直な前記第1の液体の流れを発生させつつ行うことを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の細胞の表面処理方法。
  8. 内部で細胞に対する表面処理が実行される、少なくとも一部が液透過性膜で構成された処理部を配置可能であり、前記処理部が配置されると、前記処理部との間に貯液空間が形成される配置部と、
    前記貯液空間に液体を供給して貯液させる液体供給部と
    を備え、
    前記貯液空間に貯液された液体が、前記液透過性膜を介して前記貯液空間から前記処理部内へ前記液体を逆流するように構成されている、細胞表面処理装置。
  9. 前記逆流は、前記貯液空間に貯液された前記液体の水頭圧によって生じる、請求項8に記載の細胞表面処理装置。
  10. 前記貯液空間は、下部の断面積よりも上部の断面積が大きい、請求項9に記載の細胞表面処理装置。
  11. 細胞の表面に被膜を形成することを含む、被覆細胞の製造方法であって、
    少なくとも一部が液透過性膜で構成された処理部内において、被膜成分を含有する第1の液体に前記細胞を浸漬させる表面処理工程と、
    前記液透過性膜を透過させることで、前記処理部内の前記第1の液体を前記処理部外へ分離する液分離工程と、
    前記被膜を形成済みの前記細胞を第2の液体に懸濁することを含む回収工程と
    を少なくとも含み、
    前記回収工程における前記懸濁は、前記液透過性膜に付着した前記細胞を剥離することを含む、被覆細胞の製造方法。
  12. 内部で細胞の表面への被膜形成が実行される、少なくとも一部が液透過性膜で構成された処理部を配置可能であり、前記処理部が配置されると、前記処理部との間に貯液空間が形成される配置部と、
    前記貯液空間に液体を供給して貯液させる液体供給部と
    を備え、
    前記貯液空間に貯液された液体が、前記液透過性膜を介して前記貯液空間から前記処理部内へ前記液体を逆流するように構成されている、被覆細胞製造装置。
JP2016209855A 2016-10-26 2016-10-26 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置 Pending JP2018068165A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016209855A JP2018068165A (ja) 2016-10-26 2016-10-26 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016209855A JP2018068165A (ja) 2016-10-26 2016-10-26 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018068165A true JP2018068165A (ja) 2018-05-10

Family

ID=62111407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016209855A Pending JP2018068165A (ja) 2016-10-26 2016-10-26 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018068165A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020110114A (ja) * 2019-01-15 2020-07-27 東レ・メディカル株式会社 セルカルチャーインサート
JP2021087364A (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 株式会社日立製作所 細胞培養装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020110114A (ja) * 2019-01-15 2020-07-27 東レ・メディカル株式会社 セルカルチャーインサート
JP7265243B2 (ja) 2019-01-15 2023-04-26 ネッパジーン株式会社 セルカルチャーインサート
JP2021087364A (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 株式会社日立製作所 細胞培養装置
JP7339138B2 (ja) 2019-12-02 2023-09-05 株式会社日立製作所 細胞培養装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3194150B1 (en) Container for accommodating at least of a least one biologically active fluid and at least one preparatory fluid, and a method therefor
US8741631B2 (en) Submerged perfusion bioreactor
CN111867837A (zh) 用于制造3d细胞结构的生物打印机
US20140287512A1 (en) Method of cultivating cells on microcarriers in a bag
US11634677B2 (en) Coating a bioreactor in a cell expansion system
KR20120014137A (ko) 조직 및 장기 이식편 생물반응기 및 작동 방법
JP2016093149A (ja) 細胞培養装置および細胞培養方法
JP2023182712A (ja) 自動化された製造及び収集
JP2022511527A (ja) 3dバイオプリンタ用のプリントヘッドアセンブリ
US11999929B2 (en) Methods and systems for coating a cell growth surface
JP2018068165A (ja) 細胞の表面処理方法及びその装置、並びに被覆細胞の製造方法及びその装置
EP4048773A1 (en) Cell culture chamber with improved cell-contacting surfaces
US20180142199A1 (en) Cell Growth with Mechanical Stimuli
US20220411738A1 (en) Fixed bed cell culture and harvesting system and methods of using the same
JP5912734B2 (ja) 細胞培養装置
KR20210098948A (ko) 모듈식 생물반응기
WO2022254039A1 (en) Bioreactor system with enhanced cell harvesting capabilities and related methods
JP2016036274A (ja) 細胞剥離方法、細胞剥離装置、及び、細胞培養システム
CN110055178A (zh) 细胞培养方法及细胞培养系统
JPWO2021080847A5 (ja)
JP2015123060A (ja) 細胞剥離装置及び細胞剥離方法及び細胞培養システム
CN110066726A (zh) 用于细胞连续三维培养的全自动化系统及其细胞培养方法
US20230167392A1 (en) Systems and methods for bioprocessing
Lu et al. Spheroid construction strategies and application in 3D bioprinting
US20240093155A1 (en) Method of changing culture medium of a culture using spinfilters