JP2018068153A - 食品処理装置 - Google Patents

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Teiji Saito
禎司 齊藤
▲高▼田 誠
誠 ▲高▼田
Makoto Takada
安永 望
Nozomi Yasunaga
望 安永
勇 平敷
Isamu Hirashiki
勇 平敷
広幸 蔦田
Hiroyuki Tsutada
広幸 蔦田
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Abstract

【課題】食品表面の余分な油脂等の汚れ分離性能を向上させる。【解決手段】処理水に浸漬した食品に気泡を供給して処理を行う食品処理装置を提供する。食品処理装置は、食品が処理水中に浸漬される処理槽と、気泡としてマイクロバブルを発生して食品に供給する気泡発生部とを備える。食品処理装置を用いて食品にマイクロバブルの気泡を供給する場合、マイクロバブルが食品の汚れを引き離した後に水面に浮上することによって、汚れを食品から分離し得る。【選択図】図1

Description

本発明は、気泡を供給して食品の鮮度保持、洗浄または調理等の処理を行う装置に関するものである。
生鮮品等の食品について、洗浄等を目的として処理水に食品を浸す処理が知られている。例えば、食品表面上の余分な油、壊れた細胞膜の隙間を介して食品の内部から流出するタンパク質等を含んだ汚れを分離するために、循環する処理水中に食品を浸漬する処理が存在する。
特許文献1(特開2013−135661)では、循環する処理水に食品を浸漬する。また特許文献1では、酸素からなるナノバブル気泡をその処理水に付加し、処理水中の溶存酸素濃度を高め、処理水の食品への浸透力を高める技術が提案されている。更に特許文献1では、この技術を用い、洗浄に加えて食品の鮮度を保持する効果が提唱されている。
特開2013−135661
特許文献1で使用しているようなナノバブルは、外径がナノメートルレベルの超微細な気泡であり、食品から汚れを引き離す界面活性剤の機能を有する。そのため、処理水に対するナノバブルの付加は、食品の油およびタンパク質を含んだ汚れの分離にも貢献するように思われる。しかしながら、超微細な気泡であるナノバブルは、その気泡径の小ささのため浮力が比較的小さく、処理水中の食品周辺に滞留する。したがって、引き離した汚れを保持したまま食品の周囲に長時間漂う虞があって好ましくない。
本発明は、上記のような事情を鑑みてなされたものであり、処理水に浸して食品に処理を行う場合に、気泡を供給して食品の汚れを適切に分離することができる食品処理装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る食品処理装置は、処理水に浸漬した食品に気泡を供給して処理を行う食品処理装置であり、食品が処理水中に浸漬される処理槽と、気泡としてマイクロバブルを発生して食品に供給する気泡発生部とを備える。
本発明の一側面によれば、処理水中の食品に与えたマイクロバブルの気泡が食品の汚れを食品から引き離し、その引き離した汚れを処理水の水面に浮上させる。そのため、気泡によって引き離された汚れが食品の周囲に長時間漂う事態を可及的に抑制することができる。したがって、食品および処理水から汚れを適切に分離し得る。
実施の形態1に係る食品処理装置の概略図である。 実施の形態1に係る食品処理装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る食品処理装置を用いた実験結果を示す図である。 実施の形態2に係る食品処理装置を用いた実験結果を示す図である。 実施の形態3に係る食品処理装置を示す概略図である。 実施の形態3に係る食品処理装置を用いた実験結果を示す図である。 実施の形態3に係る食品処理装置を用いたタンパク質量の実験結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本願が開示する食品処理装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る食品処理装置1を示す概略図である。図1に例示する食品処理装置1は、水温調整槽2、処理槽3、分離槽4、第1仕切り板5、第2仕切り板6、汚れ排出部7、水温調整槽用ドレイン8、処理槽用ドレイン9、第1配管10、水循環ポンプ11、水流調整部12、気泡発生部13、気体供給部14、気流調整部15、制御部16、および第2配管24を含み、処理槽3の貯めた処理水中に浸した食品17に気泡を与えて処理を行う。具体的には、食品処理装置1は、これらの構成要素等を用いて気泡20を供給し、食品17および処理水18からの余分な油脂等の汚れ19を分離する処理を実行する。
水温調整槽2、処理槽3および分離槽4を含む水槽は、天面を長方形状に開放した直方体の容器であり、水温調整槽2と分離槽4との間に第1仕切り板5を有し、処理槽3と分離槽4との間に第2仕切り板6を有しており、処理水18を貯めることができる。水温調整槽2は、下部が分離槽4と連通している。分離槽4は、上方で処理槽3と連通している。天板の形状および容器の形状は一例であり、本発明を特に限定するものではない。天板の形状および容器の形状として、適宜設計することができる。
処理水18は、食品17に処理を行うための液体である。具体的には、処理水18は水道水であり、後述のマイクロバブル20を気泡として発生させるため、また発生させたマイクロバブル20同士の合一を抑制するため、マイクロバブル発生用添加剤の塩が添加してある。処理水18としての水道水の使用は一例であり、本発明を特に限定するものではない。処理水18として他の適当な液体を使用することができる。また、マイクロバブル発生用添加剤としての塩の使用は一例であり、本発明を特に限定するものではない。マイクロバブル20の発生を促すように、処理水にカルボン酸などの添加物を一定の条件で添加することにより、より微小な気泡を得ることができ、液面に浮上した気泡がすぐに消えるようにすることができる。例えば、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、エステル基を持ち分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、またはスルホン酸基を持ち分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質を、0.001mol/L以上1mol/L以下になるように添加剤を添加してもよい。また、調味料としても知られている砂糖等を使用してもよく、前記添加剤条件に沿うように食品添加剤としても知られているクエン酸トリエチル、クエン酸イソプロピル、プロピレングリコール等を使用してもよい。
水温調整槽2は、処理水18の温度を調整できる空間を提供する。水温調整槽2には、冷却器または加熱器等の水温調整部21が配置してある。水温調整部21は、後述する制御部16と電気配線を介して接続してあり、制御部16によって水温調整部21の設定温度が制御される。
水温調整槽2内の処理水18は、水温調整部21によって、水温が0〜5℃となるように調整される。つまり、実施の形態1の食品処理装置1では、マイクロバブル発生用添加剤の塩が添加され水温0〜5℃の処理水18が食品17に処理されることになるため、いわゆる冷塩水処理が実行される。また水温調整槽2には、水温調整槽2内の処理水18を処理槽3へ循環するために第1配管10が下部の底面に接続してある。水温調整部21によって処理水18の水温を0〜5℃とする構成は一例であり、本発明を特に限定するものではない。水温調整部21によって処理水18の水温を50℃前後に調整し、いわゆる50度洗いの処理を実行する構成としても良い。
処理槽3は、食品17を処理水18中に浸漬して処理を施す空間を提供する。処理槽3には、気泡としてマイクロバブル20を発生するための気泡発生部13が第2配管24を介して下部の底面に接続してある。気泡発生部13が発生したマイクロバブル20は、第2配管24を介して下部の底面から処理槽3内の処理水18に供給され、下部から処理槽3内の食品17へと与えられる。処理槽3に接続する第2配管24の位置は、処理水18中に混合されたマイクロバブル20を食品17に接触させることができれば特に限定しないが、処理槽3の底面中心付近が好ましい。なぜなら、マイクロバブル20を食品17の全体に接触させ易くなるからである。
気泡発生部13は、第1配管10、水循環ポンプ11、および水流調整部12を介して水温調整槽2と接続してある。また気泡発生部13には、気泡発生部13へ気体を供給するための気体供給部14が接続してある。気体供給部14には、気泡発生部13へ供給する気体の流量を調整する気流調整部15が接続してある。水循環ポンプ11、水流調整部12、および気流調整部15は、水循環ポンプ電源11のON/OFFと水流調整部12の流量調整と気流調整部15の流量調整とを制御する制御部16へ電気配線を介して接続してある。このような構成によって、流量が調整された気体が気泡発生部13に供給され、水温調整槽2の処理水18が循環すべく気泡発生部13に供給され、供給された気体と供給された処理水18とが気泡発生部13で混合され、気泡が発生する。循環すべく気泡発生部13に供給された処理水18には、マイクロバブル発生用添加剤としての塩が含まれているため、発生した気泡はマイクロバブル20となる。ここで気泡発生部13における気泡の発生機構は、水と気体を乱流化し気体をせん断して気泡を生成する方式を応用したエジェクタを用いたが、例えば衝撃波や超音波による圧壊方式、過飽和析出方式、乱微細孔方式、電解方式などを用いて気泡を発生できれば特に限定はしない。
実施の形態1の食品処理装置1では、気流調整部15を介して気泡発生部13に空気が供給される。しかしながら、空気に代えて窒素ガス、オゾンガス等の他種のガスを供給するように構成しても良い。窒素ガスを供給する場合、処理水18中の溶存酸素濃度が低減することによって食品17の酸化を抑制することが可能となる。また、オゾンガス供給する場合、処理水18の殺菌力を高めることによって食品17の雑菌増加を抑制することが可能となる。
上述した構成では、マイクロバブル発生用添加剤の塩が添加してある処理水18を用いていたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、マイクロバブル発生用添加剤を供給する添加剤供給部を別途設けてもよい。また、その添加剤供給部を水温調整槽2、処理槽3、分離槽4、または気泡発生部13と制御部16とに接続するよう構成してもよい。このような構成によって、必要に応じた量のマイクロバブル発生用添加剤を自動的に添加できるようになる。
ここでマイクロバブルとは、外径が約1マイクロメートル〜数百マイクロメートルの範囲であり、微細であるがナノバブルよりも外径が大きい気泡を意味する。ミリサイズ以上の外径を有する一般的な通常の気泡は、水中に生じた場合に浮力によって水面に上昇し、比較的短時間ではじけて崩壊する。しかしながらマイクロバブルでは、水中に生じた場合に浮力によって水面に上昇するが、比較的ゆっくりと上昇する。また、気泡の内圧が高いため、通常の気泡と比較して長時間崩壊せずに滞在する。更にマイクロバブルの表面は、一般的に疎水性で負に帯電しており、通常のミリバブル気泡と比較して比表面積が大きいため汚れ19に対する付着能力が高いことが報告されている。そのため実施の形態1では、マイクロバブル発生用添加剤を付加した処理水18に対し気泡発生部13によって気泡を発生させることによって、マイクロバブル20を生じさせ、そのマイクロバブル20を用いて食品17に処理を行う。したがって、実施の形態1の食品処理装置1では、食品の油およびタンパク質を含んだ汚れの引き離し能力向上がもたらされ得る。
マイクロバブル以外に、微細な気泡としてナノバブルが知られている。ナノバブルは、マイクロバブルと同様に、通常の気泡と比較して長時間崩壊せずに滞在すること、および汚れに対する付着能力が高いことが報告されている。しかしながらナノバブルは、外径がナノサイズとなっており、マイクロバブルよりも外径が小さく、浮上速度が非常に遅く、水中に長時間漂う。そのため、気泡としてナノバブルを用いて食品17に処理を行う構成の場合には、食品の油およびタンパク質を含んだ汚れの引き離し能力向上がもたらされるかもしれないが、その引き離した汚れを有するナノバブルが水面に浮上せずに食品17の周囲に長時間漂うことになり、好ましくない。気泡としてマイクロバブルを発生させた場合、目視で水中の白濁を確認でき、その白濁となったマイクロバブルが水面に浮上することになるが、気泡としてナノバブルを発生した場合、目視では白濁を確認できず、マイクロバブルよりも浮上速度が非常に遅くなる。そのため実施の形態1では、処理水18にマイクロバブル発生用添加剤を付加し、その処理水18に対し気泡発生部13によってマイクロバブル20を発生させ、そのマイクロバブル20を用いて食品17に処理を行う。したがって、実施の形態1の食品処理装置1では、マイクロバブル20が食品17から汚れ19を引き離して、引き離した汚れ19を有するマイクロバブル20が処理槽3の上方の水面へと浮上することによって、汚れ19が食品17の周囲に長時間漂う事態を防止し、食品の汚れ19を適切に分離することが可能となる。
分離槽4は、上方が連通した状態で第2仕切り板6を介して処理槽3に隣接し、下部が連通した状態で第1仕切り板5を介して水温調整槽2に隣接する。分離槽4は、処理水18が処理槽3から分離槽4へオーバーフローするように構成してある。そのため、汚れ19が付着した処理槽3の水面のマイクロバブル20が、処理水18と共に分離槽4へ移行し得る。したがって、処理槽3内の汚れ19が分離槽4に移行し、食品の汚れの更なる適切な分離が可能となる。
汚れ19が付着したマイクロバブル20が処理槽3から分離槽4へオーバーフローした場合、マイクロバブル20の浮力によって、汚れ19はマイクロバブル20と共に分離槽4の上方の水面に分離されることになる。分離槽4は、下部が水温調整槽2と連通しており、分離槽4の処理水18が水温調整槽2へ移動し、水温調整槽2の処理水18が処理槽3へ循環される。そのため、汚れ19が分離槽4の水面に分離されることになり、汚れ19が再び食品17の周囲に漂う事態を防止することが可能となる。したがって、食品の汚れの更なる適切な分離が可能となる。
水温調整槽2には、下部に第1配管10が接続してあり、この下部の第1配管10を介して処理水18が循環するように構成してある。そのため、汚れ19が付着したマイクロバブル20が分離槽4へ移行する際、オーバーフローによってマイクロバブル20が水温調整槽2にまで到達した場合においても、浮力によって水温調整槽2の上方へとそのマイクロバブル20が汚れ19とともに浮上することになる。したがって、汚れ19が循環によって再び食品17の周囲に漂う事態を防止することが可能となる。ここで汚れ19とは、食品17の表面に付着している脂肪酸、雑菌類等を含み、塵、埃などのゴミ類も含む。
水温調整槽2には、下部に水温調整槽用ドレイン8が接続してあり、処理槽3には、下部に処理水槽用ドレイン9が接続してある。食品処理装置1で使用する処理水18は、水温調整槽用ドレイン8および処理水槽用ドレイン9のうちの一方を介して食品処理装置1に供給することができ、水温調整槽用ドレイン8および処理水槽用ドレイン9のうちの一方を介して食品処理装置1から排出することができる。
処理槽3と分離槽4との間に設置した第2仕切り板6は、処理槽3の底部から食品処理装置1の天面未満までの高さを有する。オーバーフローによって処理槽3から分離槽4へ処理水18および汚れ19が移動できるよう、また、分離槽4から処理槽3へは処理水18および汚れ19の移動が生じないように、水温調整槽2に接続した水温調整槽用ドレイン8と第1配管10とを介して水温調整槽2中の処理水18を減少させ、分離槽4の水位が処理槽3の水位よりも低くなるように調整してある。
分離槽4は、分離槽4の水面上に滞留させている汚れ19を食品処理装置1の外へ排出する汚れ排出部7を上方に備える。汚れ排出部7は、吸引によって、分離槽4の水面上にある汚れ19を排出する。このような構成によって、汚れ19が循環して再び食品17の周囲に漂うことになる事態をより効果的に防止することができる。本発明はこの構成例に限定されるものではなく、分離槽4の水面付近の側面に汚れ排出部7を設けて排出してもよい。
汚れ19が処理槽3の水面に残留する場合、食品17を処理槽3から引き上げる際に汚れ19が食品17に再付着する虞がある。そこで食品処理装置1は、処理槽3の水面に残留する汚れ19を強制的に分離槽4へと移動させるために、第2仕切り板6に対向する処理槽3の側面に送風機(不図示)を備え得る。必要に応じてこの送風機を駆動して風を処理槽3から分離槽4に向かって送ることによって、引き上げる際の汚れ19再付着を防止することが可能となる。
水温調整槽2、処理槽3、分離槽4、第1仕切り板5、第2仕切り板6、汚れ排出部7、水温調整槽用ドレイン8、処理槽用ドレイン9、第1配管10、第2配管24等の食品処理装置1を構成する構成要素は、処理水18に添加した添加剤に対する耐食性を有する材料で作製してある。また、0〜50℃の水温に対する耐性を有する材料で作製してある。例えば、ステンレス304、ステンレス316、銅、チタン等の金属材料で作成してある。また例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン4フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)等の樹脂材料で作製してある。
制御部16は、水温調整槽用ドレイン8、処理槽用ドレイン9、水循環ポンプ11、水流調整部12、気泡発生部13、水温調整部21等に直接的または間接的に接続してあり、これらの構成要素の動作を制御する。制御部16は、例えば、CPU、MPU等の演算処理装置であり、食品処理装置1の動作を自動化する。しかしながら、本発明はこの一例に限定されるものではなく、制御部16を省き、ユーザが手動で個別にこれらの構成要素の動作を制御する構成としても良い。制御部16を省くことによって、コスト削減を図ることが可能となる。
食品処理装置1の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る食品処理装置1の動作を示すフローチャートである。具体的には、制御部16を用いた制御動作を示すフローチャートである。説明の都合上、マイクロバブル発生用添加剤として塩が3%濃度となるように添加された処理水18が水温調整槽2、処理槽3、および分離槽4に供給された後の動作について記載する。
制御部16は、水温調整部21を制御し、水温調整槽2における処理水18の水温を所望の0〜5℃に導く(ステップS1)。また制御部16は、水循環ポンプ11および水流調整部12を制御し、水温調整槽2の処理水18を処理槽3へと循環させる(ステップS2)。食品処理装置1は、このような制御を介し、食品処理装置1全体の処理水18の水温を所望の0〜5℃で維持する。その後、所望の0〜5℃が維持された処理槽3の処理水18に食品17が浸漬され、食品17に対する冷塩水処理が実行される。
制御部16は、水循環ポンプ11および水流調整部12に加えて気泡発生部13を制御し、第2配管24内の処理水18に気体を供給し(ステップS3)、第2配管24から処理槽3へマイクロバブル20を発生させる(ステップS4)。そのため、気泡としてマイクロバブル20が食品17に接触し、余分な油脂等の汚れ19を吸着し、汚れ19を食品17から引き離す。また、汚れ19を吸着したマイクロバブル20は、自身の浮力によって水面へと移動する。したがって、汚れ19が食品17から分離され、汚れ19が食品の周囲に長時間漂う事態を可及的に抑制することができる。
ステップS3において、制御部16は、マイクロバブル発生用添加剤の塩が添加された処理水18に気体を供給する。マイクロバブル発生用添加剤の添加によって、処理水18内でマイクロバブル20とマイクロバブル20とが合一してミリサイズ以上の外径を有する一般的な通常の気泡となる事態を抑制し、多数のマイクロバブル20を比較的容易に生成できるようになる。更に、マイクロバブル発生用添加剤として塩を用いた場合、食品17と塩水との浸透圧差によって食品17からドリップとなる液体の排出を促すことが容易となる。したがって、実施の形態1に係る食品処理装置1は、食品の汚れを適切に分離することが可能となる。
ステップS3において、制御部16は、気泡発生部13における気流と水流との混合比(G/L)を制御し、ステップS4で処理槽3に供給するマイクロバブル20の量およびマイクロバブル20のサイズを調整する。例えば制御部16は、G/Lとして0.01と0.5と間で適当な値を選択する制御を行う。G/L=0.01の場合、G/L=0.5の場合と比較し、供給するマイクロバブル20の量は少なくなるが、生成するマイクロバブル20の外径サイズを小さくすることができる。G/L=0.5の場合、G/L=0.01の場合と比較し、生成するマイクロバブルの外径サイズは大きくなるが、供給するマイクロバブル20の量は多くなる。G/L=0.01程度の混合比を適用して食品17表面の汚れ19に対しサイズが小さいマイクロバブル20を付着させた後、G/L=0.5程度の混合比を適用して大きなたくさんのマイクロバブル20を与えることで、浮力を向上させて汚れ19を水面へと促す対応が考えられる。したがって、気泡によって引き離された汚れが食品の周囲に長時間漂う事態を可及的に抑制することができ、泡を供給して食品の汚れを適切に分離することが可能となる。
制御部16は、ステップS4の開始後に所定の時間が経過した場合に、水循環ポンプ11および水流調整部12を制御し、水温調整槽2の処理水18を処理槽3へと更に循環させ、水面の汚れ19をオーバーフローによって分離槽4に流入させる(ステップS5)。したがって、気泡によって引き離された汚れが食品の周囲に長時間漂う事態を更に抑制することができ、気泡を供給して食品の汚れを適切に分離することが可能となる。
ステップS5の後、制御部16は水循環ポンプ11および水流調整部12を制御し、水温調整槽2の処理水18を処理槽3へと更に循環させることによって、比重差を用いて汚れ19が分離された処理水18を分離槽4の下部から水温調整槽2へと移動させる(ステップS6)。
ステップS6の後、制御部16は、上述したステップS3〜6を所定回数繰り返したか否か判断する(ステップS7)。所定回数繰り返したと判断しなかった場合(S7:NO)、制御部16は、ステップS3に戻る。所定回数繰り返したと判断した場合(S7:YES)、食品17が処理槽3から引き上げられ、制御部16は処理を終了する。
上述した制御部16の制御動作は、本発明の一例であり、食品の汚れを適切に取り除くことが可能な範囲において様々な変更が可能である。例えば、水温を所望の0〜5℃に導く前に水温調整槽2の処理水18を処理槽3へと循環させてもよい。第2配管24から処理槽3へのマイクロバブル20供給を開始した後に水温を所望の0〜5℃に導く工程を開始してもよい。必要に応じ、適当な時間に制御部16が汚れ排出部7を制御し、分離槽4の水面にオーバーフローした汚れ19を食品処理装置1から外部へ排出してもよい。図2で示した制御部16の制御動作について、ステップS7の判断工程を省き、動作開始から動作停止までを時間に基づいて設定される構成としてもよい。そのため、実施の形態1の食品処理装置1では、制御部16の制御動作の最適化を図ることが可能となる。
実施の形態1に係る食品処理装置1は、オーバーフローによって処理水18と汚れ19とを処理槽3から分離槽4に流出させる。分離槽4に流入した汚れ19は、分離槽4の水面に浮上し滞留した後、汚れ排出部7によって処理水18から分離して排出される。そのため、汚れ19が処理水18とともに再循環する事態を回避し、食品17に対する汚れ19の再付着を抑制することができる。したがって、油脂等の汚れ19に起因した食品17の酸化を抑制でき、鮮度保持期間の延長が可能となる。また、処理水18の水質の清浄度を維持することができ、処理水18の交換頻度を減らすことが可能となる。例えば、1日1回交換していた処理水を2日に1回、または3日に1回だけ交換することにより、水質の清浄度を維持しつつ交換頻度を削減することができる。
実施の形態1に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す。実験に用いた食品処理装置1は、水温調整槽2、処理槽3、および分離槽4を組み合わせた水槽として、縦30cm、幅50cm、高さ35cmのアクリル樹脂容器を使用した。このアクリル樹脂容器内に、容器の底面と第1仕切り板5の底面との空間が4cmとなるよう、第1仕切り板5を配置した。またこのアクリル樹脂容器内に、容器の天面と第2仕切り板6の天面との空間が5cmとなるよう、第2仕切り板6を配置した。処理槽3は、処理水18で満水にした。水温調整槽2の水位は、第2仕切り板6の天面から2cm下がる位置に調整した。また分離槽4の水位も、第2仕切り板6の天面から2cm下がる位置に調整した。
実験に用いた食品処理装置1では、マイクロバブル発生用添加剤として食塩を使用し、水温4℃となる処理水18に対して塩分濃度が3%となるように調整した。気泡供給部13としてエジェクタを用い、G/Lとして0.1を適用した。水流と気流との総供給流量11.5L/minとした。食品17として、数cm角の牛肉片を3つ用意し、ステンレス製の網カゴに入れ処理槽3に浸漬させた。食品17の浸漬時間は20分とした。この食品処理装置1および処理条件を用いて処理を施した食品17を実施例1とし、気泡を供給せずに水流のみ供給する装置構成に変更して処理を施した食品17を比較例1とし、実験結果を以下に説明する。
図3は、実施の形態1に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す図である。具体的には、上述した実施例1および比較例1に対する処理後の汚れ量を示す棒グラフである。この汚れ量とは、食品17の余分な油脂等を含む汚れ19の量であり、分離槽4から回収された汚れ19の量を紫外光域(波長280nm)の吸光度で評価した値を示す。比較例1のときに分離槽4から回収された汚れ量を1とし、実施例1のときに分離槽4から回収された汚れ量を相対値で記している。
図3に示してあるように、マイクロバブル20を発生させた実施例1のときに分離槽4から回収された汚れ量は、マイクロバブル20無しの比較例1のときに分離槽4から回収された汚れ量の約2.1倍であった。つまり、マイクロバブル20を発生させることによって、マイクロバブル20を発生させない場合と比較し、約2.1倍の汚れ19を食品17および処理水18から分離させることができた。
処理後、実施例1および比較例1の食品17を処理槽3から引き上げ、牛肉である食品17の表面の水気を拭き取り、トレイ上で冷蔵保管しながら定期的に牛肉表面の色調の変化を色度計で評価した。具体的には、食品17の鮮赤色が酸化され赤黒色に至る色度変化率を測定した。その結果、同じ時間で比較した場合、実施例1の色度変化率は比較例1の色度変化率よりも小さかった。また、食品17である牛肉の鮮赤色が酸化されて赤黒色に到達するまでの到達時間を測定した場合、実施例1の到達時間は比較例1の到達時間よりも約6時間長かった。このような実施例1の鮮度保持期間延長結果から、実施の形態1に係る食品処理装置1では、マイクロバブル20の発生等によって、食品17の表面に付着している雑菌類を含んだ汚れ、壊れた細胞膜の隙間を介して食品の内部から流出する液汁のドリップ等の汚れ等を食品17から適切に引き離すことができただけでなく、引き離した汚れが食品17へ再付着する事態も適切に抑制することができた、と考えられる。
上述したように、実施の形態1に係る食品処理装置1は、マイクロバブル20を用いることによって、食品17表面および処理水18から余分な油脂等の汚れ19をより多く引き離して分離することができる。そのため、気泡によって引き離された汚れ19が食品の周囲に長時間漂う事態を可及的に抑制することができる。したがって、気泡を供給して食品の汚れを適切に分離することが可能となる。
実施の形態1のように水温調整部21によって水温を常温より低温にした場合、気泡発生部13から生成されるマイクロバブル20の外径サイズは、同じG/Lであるが常温の場合に気泡発生部13から生成されるマイクロバブル20の外径サイズと比較して小さくなる。そのため、水温が0〜5℃となる場合は、同じ気流量であるが常温の場合と比較し、小さなマイクロバブル20が多量に生成され、食品17および処理水18からより多くの汚れ19を分離できる。そのため、鮮度保持期間の延長が可能となり、処理水18の水質の清浄度を維持することが可能となる。また、食品17の品温を低温に管理できるため、細菌の繁殖、酵素によるタンパク質の分解(自己消化)および蒸散作用による目減りや萎れの抑制も可能となる。
実施の形態1とは異なり水温調整部21によって水温が50℃前後とする場合、常温の場合と比較し、処理水18の粘度が下がり、汚れ19に含まれる油脂等の粘度が下がる。そのため、水温が50℃前後とする場合、常温の場合と比較し、汚れ19を食品17および処理水18から分離する分離性能が向上し得る。また、50℃洗いによる鮮度向上効果が期待できる。
上述した実施の形態1に係る食品処理装置1では、食品17である生鮮食品をテンレス製の網カゴに入れ処理槽3に浸漬させていた。具体的には、食品17よりも大きな寸法の網カゴを処理槽3に配置し、その配置した網カゴ中に食品17を入れて処理を行った。マイクロバブル20は浮力が比較的大きいため、網カゴがない場合には、食品17が水面から部分的に浮上して好ましくないためである。また、網カゴを有することにより、マイクロバブル20の浮力によって食品17が網カゴ内で回転し、全面にマイクロバブル20が接触することになり、気泡を用いた処理性能が向上するからである。
実施の形態2.
実施の形態1に係る食品処理装置1は、水温調整部21によって水温が0〜5℃となるように冷水され、食品17に対して冷塩水処理を実行していた。実施の形態2に係る食品処理装置1は、実施の形態1に係る食品処理装置1と同様の構成を備える。しかしながら実施の形態2に係る食品処理装置1は、水温調整部21によって水温が室温となるように温水され、処理を実行する。
実施の形態2に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す。水温条件が0〜5℃から室温へと変更された以外は実施の形態1と同様の食品処理装置1および処理条件を用いて処理を施した食品17を実施例2とし、気泡を供給せずに水流のみ供給する装置構成に変更して処理を施した食品17を比較例2とし、実験結果を以下に説明する。
図4は、実施の形態2に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す図である。具体的には、上述した実施例2および比較例2に対する処理後の汚れ量を示す棒グラフである。この汚れ量とは、食品17の余分な油脂等を含む汚れの量であり、分離槽4から回収された汚れ19の量を紫外光域(波長280nm)の吸光度で評価した値を示す。比較例2のときに分離槽4から回収された汚れ量を1とし、実施例2のときに分離槽4から回収された汚れ量を相対値で記している。
図4に示してあるように、水温が室温となる場合、マイクロバブル20を発生させた実施例2のときに分離槽4から回収された汚れ量は、マイクロバブル20無しの比較例2のときに分離槽4から回収された汚れ量の約1.8倍であった。つまり、マイクロバブル20を発生させることによって、マイクロバブル20を発生させない場合と比較し、約1.8倍の汚れを食品17および処理水18から分離させることができた。また、水温が室温の状態でマイクロバブル20を発生させた場合、水温が室温の状態でマイクロバブル20を発生させない場合と比較し、より多くの汚れ19を分離させることができた。
処理後、実施例2および比較例2の食品17を処理槽3から引き上げ、牛肉である食品17の表面の水気を拭き取り、トレイ上で冷蔵保管しながら定期的に牛肉表面の色調の変化を色度計で評価した。具体的には、食品17の鮮赤色が酸化され赤黒色に至る色度変化率を測定した。その結果、同じ時間で比較した場合、実施例2の色度変化率は比較例2の色度変化率よりも小さかった。また、食品17である牛肉の鮮赤色が酸化されて赤黒色に到達するまでの到達時間を測定した場合、実施例2の到達時間は比較例2の到達時間よりも約4時間長かった。このような実施例2の鮮度保持期間延長結果から、実施の形態2に係る食品処理装置1では、マイクロバブル20の発生等によって、食品17の表面に付着している雑菌類を含んだ汚れ、壊れた細胞膜の隙間を介して食品の内部から流出する液汁のドリップ等の汚れ等を適切に引き離すことができただけでなく、引き離した汚れが食品17へ再付着する事態も適切に抑制することができた、と考えられる。
上述したように、実施の形態2に係る食品処理装置は、マイクロバブル20を用いることによって、食品表面および処理水から余分な油脂等の汚れをより多く引き離して分離することができる。そのため、気泡によって引き離された汚れが食品の周囲に長時間漂う事態を可及的に抑制することができる。したがって、気泡を供給して食品の汚れを適切に分離することが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態1に係る食品処理装置1では、処理槽3の底面に第2配管24が接続してあり、処理槽3の底面からマイクロバブル20を与えるように構成されていた。しかしながら実施の形態3に係る食品処理装置1では、マイクロバブル20を処理槽3の底面からだけでなく、処理槽3の側面、分離槽4からでも与えられるように構成してある。
図5は実施の形態3に係る食品処理装置1を示す概略図である。図5に例示する食品処理装置1は、循環処理水18およびマイクロバブル20を供給する流路を切り替えるため、流路切替手段22a、22b、22c、配管24a、10b、10c、水質検知部23を備える。その他の構成については、実施の形態1に係る食品処理装置1と同様であるため、同様な構成の詳細な説明は省略し、異なる構成を中心として以下に説明する。
実施の形態3に係る食品処理装置1は、処理槽3と分離槽4との間でマイクロバブル20の供給の切替制御を行う。実施の形態3に係る食品処理装置1は、切替制御を介して食品17へのマイクロバブル20供給の有無を変化させることによって、食品17および処理水18から汚れ19を分離する分離性能を向上させるとともに、マイクロバブル20の供給過多に起因して食品17からタンパク質等の旨味成分が過剰に流出する事態を抑制する。
実施の形態3に係る食品処理装置1は、図1に記載した実施の形態1に係る食品処理装置1の構成に加えて、水循環ポンプ11と気泡発生部13との間に流路を切り替える流路切替手段22aを備え、第2配管24とは別に流路切替手段22aと処理槽3の底面とを接続する第2配管24aを備える。
第2配管24aと処理槽3との接続位置は、処理槽3の底面であって処理槽3に対する処理水18の循環とマイクロバブル20の供給とが可能であれば特に限定しないが、処理槽3から分離槽4へ処理水18が速やかにオーバーフローする水流を発生させるために、処理槽3の底面の中央付近、もしくは第2仕切り板6との対向面となる処理槽3側面と処理槽3の底面の中央付近との間に配設される構成が好ましい。
図1に記載した実施の形態1に係る食品処理装置1にも設けてあった第2配管24は、流路を切り替える流路切替手段22bおよび22cを備える。流路切替手段22bは、第2配管24bを介して分離槽4の底面に接続してある。流路切替手段22cは、第2配管24cを介して処理槽3の側面上部に接続してある。
第2配管24bと分離槽4との接続位置は、分離槽4に対する処理水18の循環とマイクロバブル20の供給とが可能であれば特に限定せず、分離槽4の底面に連結されていれば良いが、発生させたマイクロバブル20が水温調整槽2に流出してしまい分離槽4への供給量が減少しないように、分離槽4の底面を貫通して上方へ延設している構成が好ましく、延設した端部が第1仕切り板5の下方端部近傍に位置する構成がより好ましい。
第2配管24cと処理槽3との接続位置は、処理槽3の側面であって処理槽3に対する処理水18の循環とマイクロバブル20の供給とが可能であれば特に限定しないが、第2配管24cからのマイクロバブルが食品17に極力接触しないように、食品17の最上面の高さに対応する位置に配設する構成が好ましい。
流路切替手段22aは、第2配管24aへ向かう流路と気泡発生部13へ向かう流路とを切り替える手段であり、三方バルブおよびボールバルブなどが適用可能である。流路切替手段22aは、制御部16によって自動で流路を切り替えるように構成されている。しかしながら、ユーザによって手動で流路を切り替えるように構成されてもよい。手動で切り替える構成とすることによって、食品処理装置1の製造コストの抑制、製造負荷の軽減が期待される。
流路切替手段22bは、同様に、第2配管24bへ向かう流路と流路切替手段22cへ向かう流路とを切り替える手段であり、流路切替手段22cは、第2配管24へ向かう流路と第2配管24cへ向かう流路とを切り替える手段であり、三方バルブおよびボールバルブなどが適用可能である。
実施の形態3に係る食品処理装置1は、図1に記載した実施の形態1に係る食品処理装置1の構成に加えて更に、制御部16へ水質検知結果を送信できる水質検知部23を処理槽3に備える。食品処理装置1は一例として、吸光度および光散乱度合い等を検知できる水質検知部23を処理槽3の水面に備える。
食品17を処理水18に浸漬した場合、旨味成分が食品17から流出する虞がある。水質検知部23は、旨味成分であるタンパク質の紫外光域での吸光度を検出できる。また水質検知部23は、油脂成分である脂肪酸の赤外域での吸光度、付着物粒子といった濁度の光散乱度合いなどを検出することができる。
上述したように、実施の形態3に係る食品処理装置1では、マイクロバブル20を供給する経路を切り替えることができる。そのため、食品17表面からの汚れ19分離に注力するだけでなく、処理水18中からの汚れ19分離にも注力することも可能となり、汚れ19を分離しつつも食品17からの旨味成分の流出を抑制することも可能となる。
処理槽3に浸漬中の食品17から旨味成分であるタンパク質の流出を水質検知部23が検知した場合、制御部16は、旨味成分流出抑制モードの制御を行うことができる。具体的には、流路切替手段22a、22b、22cを開閉して第2配管24b、24cからマイクロバブル20を供給するが、第2配管24aからは供給しない制御を行うことができる。この制御によって、マイクロバブル20が食品17と接触する機会を可及的に抑制することができ、食品17に対する過剰な油脂の引き離しによる旨味成分の流出を抑制することも可能となる。
処理槽3の処理水18から基準値を超えた濁度の光散乱度合いを水質検知部23が検知した場合、制御部16は、汚れ分離促進モードの制御を行うことができる。具体的には、流路切替手段22a、22b、22cを開閉して第2配管24bから分離槽4へ供給するマイクロバブル20を増加する制御を行うことができる。この制御によって、分離槽4へ供給されるマイクロバブルの気泡20の量が増大し、分離槽4内における汚れ19の浮上分離能力が大きくなり、分離槽4の処理水18から汚れ19を分離する性能が向上する。
上述したように、実施の形態3に係る食品処理装置1では、水質検知部23の検知結果に基づいて制御部16が気泡供給の切替制御を行っている。しかしながら、本発明はこの例示内容に限定されるものではない。水質検知部23の検知結果ではなく、予め設定した切替時間に基づいて制御部16が気泡供給の切替制御を行う構成としてもよい。この変形例の場合、水質検知部23が不要となるため、製造コストを抑制しつつも比較的容易な技術で食品処理装置1を製造し得る。
実施の形態3に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す。実施の形態1で示した実施例1を実施の形態3における比較例3とした。また、実施の形態1と異なり、分離槽4には常時マイクロバブル20の気泡供給を行いながら、食品17の浸漬時間20分のうち初めの10分間は第2配管24aおよび24cから気泡供給を行わずに、第2配管24から気泡供給を行い、処理槽3の流量比が2/3および分離槽4の流量比が1/3となるようにし、残りの10分間は第2配管24から気泡供給を行わずに、第2配管24aおよび24cから気泡供給を行い、第2配管24aの流量比1/3、第2配管24bの流量比1/3、第2配管24cの流量比が1/3となるようにし、食品17を実施例3とした。その他の条件は、実施の形態1における条件と同じであるため省略する。
図6は、実施の形態3に係る食品処理装置1を用いた実験結果を示す図である。具体的には、上述した実施例3および比較例3に対する処理後の汚れ量を示す棒グラフである。この汚れ量とは、食品17の余分な油脂等を含む汚れの量であり、分離槽4から回収された汚れ19の量を紫外光域(波長280nm)の吸光度で評価した値を示す。比較例3のときに分離槽4から回収された汚れ量を1とし、実施例3のときに分離槽4から回収された汚れ量を相対値で記している。
図6に示してあるように、食品17にマイクロバブル20を供給するだけでなく分離槽4に常時気泡供給を行った場合に分離槽4から回収された汚れ量は、分離槽4に対して底面から気泡を供給しない比較例3のときに分離槽4から回収された汚れ量の約1.3倍であった。つまり、分離槽4に常時気泡供給を行うことによって、分離槽4に気泡供給を行わない場合と比較し、約1.3倍の汚れを食品17および処理水18から分離させることができた。この結果は、分離槽4にも常時気泡を供給したことで、汚れの分離性能が向上したことを示している。
図7は、実施の形態3に係る食品処理装置1を用いたタンパク質量の実験結果を示す図である。具体的には、実施例3の場合および比較例3の場合に処理槽3の処理水18中から定量されたタンパク質量を示す図である。タンパク質の定量は、BCA(bicinchonic acid)法を用いて行った。
図7に示すように、食品17にマイクロバブル20を供給するだけでなく分離槽4に常時気泡供給を行った場合に処理槽3の処理水18中から回収されたタンパク質量は、分離槽4に対して底面からマイクロバブル20を供給しない比較例3のときに処理槽3の処理水18中から回収された汚タンパク質量の約0.5倍であった。つまり、食品17に対するマイクロバブル20を供給する量を切り替えることによって、食品17からタンパク質が流出される事態を抑制できた。
上述したように、本発明に係る食品処理装置1の一例は、食品17の表面および処理水18から余分な油脂等の汚れ19を適切に分離することができる。そのため、油脂等による食品17の酸化を抑制することができ、鮮度保持期間を延長することができる。このような汚れ19の分離性能によって、循環する処理水18中の清浄度を維持することができ、処理水18の交換頻度を減らすことが可能となる。さらに、汚れ19を分離するマイクロバブル20の供給経路を切り替えることによって、食品17に対する過剰な油脂の分離を抑制し、旨味成分の流出を抑え、食品17の品質を維持することが可能となる。マイクロバブル20の供給経路の切替を調整することによって、汚れ除去に重点をおいた運転、旨味成分維持に重点をおいた運転、汚れ除去と旨味成分維持との両立に重点をおいた運転等、多用な運転方式が実現可能となる。
本発明は、以上のように説明し且つ記述した特定の詳細、および代表的な実施の形態に限定されるものではない。当業者によって容易に導き出すことのできる変形例、および効果も発明に含まれる。したがって、特許請求項の範囲、およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 食品処理装置、2 水温調整槽、3 処理槽、4 分離槽、5 第1仕切り板、6 第2仕切り板、7 汚れ排出部、8 水温調整槽用ドレイン、9 処理槽用ドレイン、10 第1配管、11 水循環ポンプ、12 水流調整部、13 気泡発生部、14 気体供給部、15 気流調整部、16 制御部、17 食品、18 処理水、19 油脂等の汚れ、20 気泡、21 水温調整部、22 流路切替手段、23 水質検知部、24 第2配管

Claims (10)

  1. 処理水に浸漬した食品に気泡を供給して処理を行う食品処理装置において、
    前記食品が前記処理水中に浸漬される処理槽と、
    前記気泡としてマイクロバブルを発生して前記食品に供給する気泡発生部と
    を備えることを特徴とする食品処理装置。
  2. 前記マイクロバブルは、前記食品の汚れを前記食品から引き離して前記処理水の水面に浮上する
    ことを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置。
  3. 前記処理水は、前記マイクロバブルの発生を補助するマイクロバブル発生用添加剤を含む
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の食品処理装置。
  4. 前記食品は生鮮食品である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品処理装置。
  5. 前記処理槽中に配置した網カゴを備え、
    前記網カゴは、前記食品よりも寸法が大きく、前記食品を収容可能である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品処理装置。
  6. 前記処理槽からオーバーフローした処理水を受ける分離槽と、
    下部が前記分離槽と接続してあり、前記分離槽からの処理水を受けて水温を調節する水温調節槽と、
    前記水温調節槽の処理水を前記処理槽へ循環させる配管とを備え、
    前記気泡発生部は、前記マイクロバブルを前記配管に与えることによって、前記食品に供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品処理装置。
  7. 前記処理槽からオーバーフローした処理水を受ける分離槽と、
    下部が前記分離槽と接続してあり、前記分離槽からの処理水を受けて水温を調節する水温調節槽と、
    前記水温調節槽の処理水を前記処理槽へ循環させる配管と、
    前記マイクロバブルが前記食品から引き離して前記処理水の水面に浮上させた前記食品の汚れを前記分離槽から外部へ排出する汚れ排出部と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置。
  8. 前記マイクロバブルを前記処理槽の底面に供給する配管と、
    前記マイクロバブルを前記処理槽の側面であって前記食品の上方に供給する配管と
    を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の食品処理装置。
  9. 前記マイクロバブルを前記処理槽の底面に供給する配管と、
    前記マイクロバブルを前記処理槽の側面であって前記食品の上方に供給する配管と、
    前記マイクロバブルを前記分離槽の底面から供給する配管と
    を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の食品処理装置。
  10. 前記処理槽の処理水の水質を検知する水質検知部と、
    前記水質検知部が検知した水質に基づいて、前記マイクロバブルを供給する配管を切り替える制御部と
    を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の食品処理装置。
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