JP2018067400A - 組成物、下地層付き集電体、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池が過充電となった場合に電池の内部抵抗を上昇させる機能を備え、通常作動時には優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池用電極の形成に用いられる組成物の提供。【解決手段】ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられる組成物、又はポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、組成物、下地層付き集電体、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池に関する。
ノート型パソコン、携帯電話及びPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯用情報端末の電源として、高いエネルギー密度を有するエネルギーデバイスであるリチウムイオン二次電池が汎用されている。代表的なリチウムイオン二次電池には、正極、セパレータ、負極、及びセパレータをこの順番で重ね合わせ、捲回して得られる捲回型電極群、又は正極、セパレータ、及び負極を積層してなる積層型電極群と電解液とが組み合わされて用いられている。負極の活物質としては、リチウムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)及び放出が可能な多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。正極の活物質としては、リチウム含有複合金属酸化物が主に用いられている。セパレータにはポリオレフィン製多孔質膜が主に用いられている。また、電解液には、カーボネート系の有機溶媒が主に用いられている。このようなリチウムイオン二次電池は、電池容量及び出力が高く、充放電サイクル特性(以下、サイクル特性と称する場合がある。)も良好である。
また、リチウムイオン二次電池は安全性の面でも高水準にあるが、その高容量及び高出力ゆえに、安全性の面でさらなる向上が要望されている。例えば、リチウムイオン二次電池が過充電されると、発熱する可能性がある。
リチウムイオン二次電池が過充電された場合の安全性を向上するための方法として、例えば、過充電防止剤を電解液に添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、その他の安全性向上手段として、PTC(Positive temperature coefficient)層が形成された電極が提案されている(例えば、特許文献2参照)。PTC層とは、電池の発熱に応じて電気抵抗(直流抵抗)を上昇させる機能を備える層のことである。特許文献2の電極(正極及び負極の少なくとも一方)は、正極活物質層又は負極活物質層、PTC層及び集電体をこの順番で重ね合わせた積層体である。
しかしながら、過充電防止剤を用いた特許文献1に記載のようなリチウムイオン二次電池では、電解液のイオン導電性が低下し、十分な入出力特性を得ることができないことがある。
また、高温雰囲気下では過充電防止剤が電気分解されやすくなり、自己放電の発生、分解生成物の堆積等によって、電池抵抗の上昇、電池寿命の低下等を引き起こす可能性がある。
このように、過充電防止剤のようなリチウムイオン二次電池の充放電に直接関与しない成分を電解液に添加すると、添加された成分に起因する別の問題が生ずることがある。そのため、リチウムイオン二次電池の充放電に直接関与しない成分を電解液に添加することなく、リチウムイオン二次電池が過充電された場合の安全性を向上する方法が求められている。
また、高温雰囲気下では過充電防止剤が電気分解されやすくなり、自己放電の発生、分解生成物の堆積等によって、電池抵抗の上昇、電池寿命の低下等を引き起こす可能性がある。
このように、過充電防止剤のようなリチウムイオン二次電池の充放電に直接関与しない成分を電解液に添加すると、添加された成分に起因する別の問題が生ずることがある。そのため、リチウムイオン二次電池の充放電に直接関与しない成分を電解液に添加することなく、リチウムイオン二次電池が過充電された場合の安全性を向上する方法が求められている。
また、特許文献2のPTC層は、発熱に伴ってポリマー粒子が融解し、導電性材料同士が非接触状態になることにより導通が遮断されることを指向したものである。しかしながら、特許文献2のPTC層を含む正極では、電池の初期の内部抵抗が上昇し、高出力化が困難であることが、本発明者らの検討の結果明らかとなった。初期の内部抵抗が上昇する理由は、導電性材料の分散が不十分であり、導電ネットワークがPTC層全体に均一に張り巡らされていないためと予想する。
さらに、PTC層では、過充電の発生に起因する発熱に感応して導通を遮断するものであるため、過充電が生じてから発熱するまでの間に時間的なずれが生ずる場合、リチウムイオン二次電池の過充電を防止することが難しい場合がある。そのため、過充電に感応する安全性の向上手段が求められる。
さらに、PTC層では、過充電の発生に起因する発熱に感応して導通を遮断するものであるため、過充電が生じてから発熱するまでの間に時間的なずれが生ずる場合、リチウムイオン二次電池の過充電を防止することが難しい場合がある。そのため、過充電に感応する安全性の向上手段が求められる。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池が過充電となった場合に電池の内部抵抗(以下、直流抵抗という場合もある)を上昇させる機能を備え、通常作動時には優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池用電極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用電極に用いられる下地層付き集電体並びに下地層の形成に用いられる組成物を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられる組成物。
<2> ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する組成物。
<3> バインダ成分をさらに含有する<2>に記載の組成物。
<4> 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である<3>に記載の組成物。
<5> 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である<2>〜<4>のいずれか1項に記載の組成物。
<6> 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の組成物。
<7> 集電体と、
前記集電体上に設けられ、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する下地層と、
を備える下地層付き集電体。
<8> 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である<7>に記載の下地層付き集電体。
<9> 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である<7>又は<8>に記載の下地層付き集電体。
<10> 前記下地層が、バインダ成分をさらに含有する<7>〜<9>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<11> 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である<10>に記載の下地層付き集電体。
<12> 前記下地層の平均厚みが、1μm〜10μmである<7>〜<11>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<13> 前記ポリスチレン粒子の前記下地層内での平均粒子径が、30nm〜100nmである<7>〜<12>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<14> <7>〜<13>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体と、
前記下地層付き集電体の下地層上に設けられる活物質層と、
を備えるリチウムイオン二次電池用電極。
<15> 前記活物質層が、正極活物質を含有する<14>に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
<16> <14>又は<15>に記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
<1> ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられる組成物。
<2> ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する組成物。
<3> バインダ成分をさらに含有する<2>に記載の組成物。
<4> 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である<3>に記載の組成物。
<5> 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である<2>〜<4>のいずれか1項に記載の組成物。
<6> 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の組成物。
<7> 集電体と、
前記集電体上に設けられ、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する下地層と、
を備える下地層付き集電体。
<8> 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である<7>に記載の下地層付き集電体。
<9> 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である<7>又は<8>に記載の下地層付き集電体。
<10> 前記下地層が、バインダ成分をさらに含有する<7>〜<9>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<11> 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である<10>に記載の下地層付き集電体。
<12> 前記下地層の平均厚みが、1μm〜10μmである<7>〜<11>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<13> 前記ポリスチレン粒子の前記下地層内での平均粒子径が、30nm〜100nmである<7>〜<12>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
<14> <7>〜<13>のいずれか1項に記載の下地層付き集電体と、
前記下地層付き集電体の下地層上に設けられる活物質層と、
を備えるリチウムイオン二次電池用電極。
<15> 前記活物質層が、正極活物質を含有する<14>に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
<16> <14>又は<15>に記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池が過充電となった場合に電池の内部抵抗を上昇させる機能を備え、通常作動時には優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池用電極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用電極に用いられる下地層付き集電体並びに下地層の形成に用いられる組成物が提供される。
以下、本発明の組成物、下地層付き集電体、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の平均粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の平均粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本発明の技術は、集電体に電極活物質が保持された形態の電極を備える各種の非水二次電池に広く適用され得る。この種の電池において、本発明の技術に係る下地層を集電体と活物質層との間に介在させることにより、電池が過充電された際に集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させることでリチウムイオン二次電池の内部抵抗を上昇させ、電池の発熱を抑制する効果が発揮され得る。以下、リチウムイオン二次電池を例として本発明をより詳しく説明するが、本発明の適用範囲をリチウムイオン二次電池に限定する意図ではない。
<組成物>
第一実施形態の組成物(以下、第一の組成物と称することがある。)は、ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられるものである。
第一の組成物で形成される下地層を備えるリチウムイオン二次電池用電極の構造は特に限定されるものではなく、例えば、集電体と、集電体上に設けられ、第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子を含む下地層と、下地層上に設けられる活物質層とを備える電極が挙げられる。リチウムイオン二次電池用電極は、必要に応じてその他の層を有していてもよい。
下地層には、ポリスチレン粒子の他に、集電体と活物質層との間の導通を確保するために導電性材料が含有されることが好ましい。また、下地層は、集電体との接着性を確保するためにバインダ成分が含有されることが好ましい。下地層は、リチウムイオン二次電池が過充電となった場合に電池の内部抵抗を上昇させる機能を有する層である。
第一実施形態の組成物(以下、第一の組成物と称することがある。)は、ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられるものである。
第一の組成物で形成される下地層を備えるリチウムイオン二次電池用電極の構造は特に限定されるものではなく、例えば、集電体と、集電体上に設けられ、第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子を含む下地層と、下地層上に設けられる活物質層とを備える電極が挙げられる。リチウムイオン二次電池用電極は、必要に応じてその他の層を有していてもよい。
下地層には、ポリスチレン粒子の他に、集電体と活物質層との間の導通を確保するために導電性材料が含有されることが好ましい。また、下地層は、集電体との接着性を確保するためにバインダ成分が含有されることが好ましい。下地層は、リチウムイオン二次電池が過充電となった場合に電池の内部抵抗を上昇させる機能を有する層である。
リチウムイオン二次電池が過充電により発熱するのを抑制するため、集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させる機能を備える層をリチウムイオン二次電池に設けることが安全上の観点から望ましい。
本発明者等は、リチウムイオン二次電池の過充電に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させることが可能となる材料について鋭意検討した。過充電に感応する材料としては、電気化学的に酸化されやすい材料であることが好ましい。材料の酸化されやすさの指標として、本発明者等は、材料の最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)とのエネルギーギャップ(HOMO−LUMOエネルギーギャップ)の大きさに注目した。各種材料についてのHOMO−LUMOエネルギーギャップについてコンピュータシミュレーションを実施したところ、本発明者等は、集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させる機能を備える層を構成する材料として、ポリスチレンが相応しいことを見出し、本発明を完成させた。
本発明者等は、リチウムイオン二次電池の過充電に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させることが可能となる材料について鋭意検討した。過充電に感応する材料としては、電気化学的に酸化されやすい材料であることが好ましい。材料の酸化されやすさの指標として、本発明者等は、材料の最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)とのエネルギーギャップ(HOMO−LUMOエネルギーギャップ)の大きさに注目した。各種材料についてのHOMO−LUMOエネルギーギャップについてコンピュータシミュレーションを実施したところ、本発明者等は、集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させる機能を備える層を構成する材料として、ポリスチレンが相応しいことを見出し、本発明を完成させた。
ポリスチレン粒子と望ましくは導電性材料とを含む下地層を、集電体と活物質層との間に有するリチウムイオン二次電池用電極を用いるリチウムイオン二次電池では、集電体と活物質層との間の導通が、下地層に含まれる導電性材料により形成される導電パスにより確保される。一方、リチウムイオン二次電池において過充電が発生した場合、下地層に含まれるポリスチレン粒子が酸化により脆化して変形し、導電性材料により形成される導電パスが切断されることにより、集電体と活物質層との間の電気抵抗が上昇する。その結果、リチウムイオン二次電池の過充電による発熱を抑制することが可能になると考えられる。
なお、ポリスチレン粒子を含む下地層は、過充電に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させることが可能であるため、過充電により生ずる発熱に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させるPTC層よりも過充電に対する応答性に優れると考えられる。
なお、ポリスチレン粒子を含む下地層は、過充電に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させることが可能であるため、過充電により生ずる発熱に感応して集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させるPTC層よりも過充電に対する応答性に優れると考えられる。
ポリスチレン粒子は、スチレンモノマーのホモポリマーであってもよいし、スチレンモノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。ポリスチレン粒子を構成するモノマーの種類は、下地層の望ましい電流遮断電位に鑑みて適宜選択することができる。
スチレンモノマーとしては、スチレンの他、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、シアノスチレン、メトキシスチレン、メトキシメチルスチレン、ジメトキシスチレン等が挙げられる。スチレンモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレンモノマーとしては、スチレンの他、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、シアノスチレン、メトキシスチレン、メトキシメチルスチレン、ジメトキシスチレン等が挙げられる。スチレンモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、スチレンが好ましい。
ポリスチレン粒子がスチレンモノマーとその他のモノマーとの共重合体である場合の、その他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルへキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−t−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、クロロエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノプロピル(メタ)アクリレート、シアノベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリスチレン粒子がスチレンモノマーとその他のモノマーとの共重合体である場合、その他のモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリスチレン粒子に占めるスチレン由来の構造単位の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、実質的にスチレン由来の構造単位以外の構造単位を含まないことが特に好ましい。なお、スチレン由来の構造単位以外の構造単位には、架橋剤由来の構造単位を含めないものとする。本実施形態において「架橋剤」とは、一分子中に重合可能な炭素炭素二重結合を少なくとも2つ含む化合物をいう。
ポリスチレン粒子の耐溶剤性を向上するため、ポリスチレン粒子には、架橋剤が用いられてもよい。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジビニルベンゼンが好ましい。ジビニルベンゼンとしては、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びp−ジビニルベンゼンのいずれであってもよく、m−ジビニルベンゼン及びp−ジビニルベンゼンの混合物であってもよい。
ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、1質量%〜25質量%であることが好ましく、3質量%〜20質量%であることがより好ましい。
なお、架橋剤には、重合禁止剤が含有されている場合がある。そのため、架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成する際、重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いてもよいし、重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いてもよい。架橋剤から重合禁止剤を除去する方法は特に限定されるものではなく、シリカ、アルミナ等を用いるカラムクロマトグラフィーなどによる精製方法が挙げられる。
重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いた場合のポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、1質量%〜10質量%であってもよく、2質量%〜9質量%であってもよく、3質量%〜7質量%であってもよい。重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成し、ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を1質量%〜10質量%とした場合、ポリスチレン粒子を含む下地層を形成するときに、バインダ成分が不要になる傾向にある。
一方、重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いた場合のポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、7質量%〜25質量%であってもよく、7質量%〜20質量%であってもよく、7質量%〜15質量%であってもよい。重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成し、ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を7質量%〜25質量%とした場合、ポリスチレン粒子を含む下地層を形成するときに、バインダ成分が必要になる傾向にある。
ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、1質量%〜25質量%であることが好ましく、3質量%〜20質量%であることがより好ましい。
なお、架橋剤には、重合禁止剤が含有されている場合がある。そのため、架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成する際、重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いてもよいし、重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いてもよい。架橋剤から重合禁止剤を除去する方法は特に限定されるものではなく、シリカ、アルミナ等を用いるカラムクロマトグラフィーなどによる精製方法が挙げられる。
重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いた場合のポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、1質量%〜10質量%であってもよく、2質量%〜9質量%であってもよく、3質量%〜7質量%であってもよい。重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成し、ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を1質量%〜10質量%とした場合、ポリスチレン粒子を含む下地層を形成するときに、バインダ成分が不要になる傾向にある。
一方、重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いた場合のポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合は、7質量%〜25質量%であってもよく、7質量%〜20質量%であってもよく、7質量%〜15質量%であってもよい。重合禁止剤を除去した状態の架橋剤を用いてポリスチレン粒子を合成し、ポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を7質量%〜25質量%とした場合、ポリスチレン粒子を含む下地層を形成するときに、バインダ成分が必要になる傾向にある。
ポリスチレン粒子の平均粒子径は特に限定されるものではなく、下地層の平均厚みを考慮して適宜選択することができる。動的光散乱法により測定されるポリスチレン粒子の25℃における水中での平均粒子径Aとしては、例えば、5nm〜500nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがより好ましく、30nm〜100nmであることがさらに好ましい。
また、動的光散乱法により測定されるポリスチレン粒子の25℃におけるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中での平均粒子径Bとしては、例えば、5nm〜500nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがより好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましい。
動的光散乱法によるポリスチレン粒子の平均粒子径の測定方法の詳細は、以下の通りである。
測定装置として、大塚電子株式会社製:動的光散乱装置DLS−7000を用いる。測定条件としては、光源にHe−Ne レーザーを使用し、散乱角度90°、測定温度25℃で測定する。
また、動的光散乱法により測定されるポリスチレン粒子の25℃におけるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中での平均粒子径Bとしては、例えば、5nm〜500nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがより好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましい。
動的光散乱法によるポリスチレン粒子の平均粒子径の測定方法の詳細は、以下の通りである。
測定装置として、大塚電子株式会社製:動的光散乱装置DLS−7000を用いる。測定条件としては、光源にHe−Ne レーザーを使用し、散乱角度90°、測定温度25℃で測定する。
ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)は、1〜2であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましく、1〜1.3であることがさらに好ましい。
ポリスチレンは有機溶媒に溶解しやすい傾向にあるため、有機溶媒中でポリスチレンが粒子の形状を保つためには、ポリスチレンに架橋構造が含まれていることが望ましい。一般に、ポリマー中に含まれる架橋構造の比率を特定することは困難である場合が多い。一方、ポリマー中に含まれる架橋構造の比率が多くなれば、有機溶媒中においてポリマー粒子が膨潤しにくい傾向となる。比(B/A)が1〜2の範囲にあれば、ポリスチレン粒子中に粒子の形状を保つために架橋構造が適度な割合で存在していることが示唆される。
ポリスチレンは有機溶媒に溶解しやすい傾向にあるため、有機溶媒中でポリスチレンが粒子の形状を保つためには、ポリスチレンに架橋構造が含まれていることが望ましい。一般に、ポリマー中に含まれる架橋構造の比率を特定することは困難である場合が多い。一方、ポリマー中に含まれる架橋構造の比率が多くなれば、有機溶媒中においてポリマー粒子が膨潤しにくい傾向となる。比(B/A)が1〜2の範囲にあれば、ポリスチレン粒子中に粒子の形状を保つために架橋構造が適度な割合で存在していることが示唆される。
なお、本実施形態において、ポリスチレン粒子の25℃におけるN−メチル−2−ピロリドン中での平均粒子径に注目したのは、下地層を形成する際に、ポリスチレン粒子を分散させる有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いる場合が多いためである。
ポリスチレン粒子の合成方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。ポリスチレン粒子の合成方法としては、例えば、水、スチレンモノマー、架橋剤、重合開始剤、界面活性剤及び必要に応じて用いられるその他のモノマーを、反応容器内に投入し、撹拌しながら加熱して重合体を得る乳化重合法を用いることができる。また、ポリスチレン粒子を合成するためのその他の方法としては、懸濁重合法、塊状重合法等が挙げられる。
乳化重合法に用いられるスチレンモノマー並びに必要に応じて用いられるその他のモノマー及び架橋剤の具体例等は上述のとおりである。
乳化重合法に用いられる重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等)などが挙げられる。重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の含有率は、スチレンモノマー並びに必要に応じて用いられるその他のモノマー及び架橋剤の合計量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましく、1質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。
乳化重合法に用いられる重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等)などが挙げられる。重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の含有率は、スチレンモノマー並びに必要に応じて用いられるその他のモノマー及び架橋剤の合計量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましく、1質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。
乳化重合法に用いられる界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩系、4級アンモニウム塩系等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤の含有率は、スチレンモノマー並びに必要に応じて用いられるその他のモノマー及び架橋剤の合計量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜8質量%であることがより好ましく、3質量%〜7質量%であることがさらに好ましい。
なお、乳化重合法は、界面活性剤を用いないソープフリー重合であってもよい。
アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤の含有率は、スチレンモノマー並びに必要に応じて用いられるその他のモノマー及び架橋剤の合計量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜8質量%であることがより好ましく、3質量%〜7質量%であることがさらに好ましい。
なお、乳化重合法は、界面活性剤を用いないソープフリー重合であってもよい。
乳化重合法は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。乳化重合法を不活性ガス雰囲気下で実施する場合、上述の各種成分を反応容器内に投入した後、氷浴下において不活性ガスで置換することが好ましい。
乳化重合法における加熱条件は、40℃〜90℃で2時間〜24時間であることが好ましく、65℃〜85℃で6時間〜12時間であることがより好ましい。また、加熱温度を段階的に上昇させてもよい。
乳化重合が完了した後、得られたラテックスを塩化カルシウム等の凝固剤を含む水溶液中に投入してポリスチレン粒子を析出させる。その後、ろ過等により固液分離を実施し、得られた固形物に対して蒸留水、メタノール等を用いた洗浄及びろ過又は遠心分離による固液分離を繰り返した後、真空乾燥を行うことにより粉末状のポリスチレン粒子が得られる。粉末状のポリスチレン粒子を溶媒に分散して第一の組成物を調製することができる。
ポリスチレン粒子の分散に用いられる溶媒は特に限定されるものではない。溶媒の具体例としては、水、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子の割合は特に限定されるものではなく、例えば、1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子の割合は特に限定されるものではなく、例えば、1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
第二実施形態の組成物(以下、第二の組成物と称することがある。)は、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。第二の組成物は、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に好適に使用することが可能であるが、これに限定されるものではない。
第二の組成物に含有されるポリスチレン粒子としては、第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子と同様のものを用いることができる。
第二の組成物に含有されるポリスチレン粒子としては、第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子と同様のものを用いることができる。
第二の組成物に含有される導電性材料としては、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等の炭素粒子、ニッケル粒子等の金属粒子、WC、B4C、ZrC、NbC、MoC、TiC、TaC等の金属炭化物、TiN、ZrN、TaN等の金属窒化物、WSi2、MoSi2等の金属ケイ化物などが挙げられる。これらの中でも、導電性材料としては、炭素粒子及び金属粒子が好ましく、炭素粒子がより好ましい。導電性材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性材料として炭素粒子を使用する場合、該粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、電池特性をより向上できる観点から、10nm〜500nmであることが好ましく、15nm〜200nmであることがより好ましく、20nm〜100nmであることがさらに好ましい。
導電性材料としては、一次粒子がある程度連なった構造のアセチレンブラックが特に好ましい。一次粒子の連なりの程度(ストラクチャの発達の程度)は、例えば、一次粒子が連なった鎖の平均長さを一次粒子の平均直径で割って算出される形状係数が5〜50程度であるアセチレンブラックが好ましい。
また、導電性材料とポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)は、特に制限されるものではなく、好ましくは3:97〜20:80であり、より好ましくは5:95〜20:80であり、さらに好ましくは10:90〜20:80である。導電性材料の含有割合が3以上であれば、第二の組成物を用いて形成される下地層内での電子移動経路が確保され、電池の出力特性が向上する傾向にある。導電性材料の含有割合が20以下であれば、過充電に対する応答性が向上する傾向にある。
第二の組成物は、バインダ成分を含有してもよい。第二の組成物がバインダ成分を含有することで、第二の組成物を用いて形成された下地層上に設けられる活物質層と下地層との接着性が向上する傾向にある。さらに、下地層と集電体との密着性が向上する傾向にある。
バインダ成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ゴム粒子としては、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。
これらの中でも、第二の組成物を用いて形成される下地層の耐酸化性の向上の観点から、フッ素樹脂が好ましい。バインダ成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ゴム粒子としては、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。
これらの中でも、第二の組成物を用いて形成される下地層の耐酸化性の向上の観点から、フッ素樹脂が好ましい。バインダ成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第二の組成物において、導電性材料及びポリスチレン粒子の合計量に対するバインダ成分の含有率は、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.5質量%〜4質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。バインダ成分の含有率が0.1質量%以上であれば、第二の組成物を用いて形成される下地層の集電体への密着性が確保される傾向にある。バインダ成分の含有率が5質量%以下であれば、集電体への第二の組成物の塗工性が向上する傾向にある。
なお、第二の組成物に含まれるポリスチレン粒子として、重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いて合成され、且つポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を1質量%〜10質量%としたポリスチレン粒子を用いる場合、第二の組成物にはバインダ成分を含有させなくともよい傾向にある。
なお、第二の組成物に含まれるポリスチレン粒子として、重合禁止剤を含んだ状態の架橋剤を用いて合成され、且つポリスチレン粒子に占める架橋剤由来の構造単位の割合を1質量%〜10質量%としたポリスチレン粒子を用いる場合、第二の組成物にはバインダ成分を含有させなくともよい傾向にある。
第二の組成物は、必要に応じて溶媒を含有してもよい。第二の組成物に用いることのできる溶媒は特に限定されるものではない。溶媒の具体例としては、水、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
第二の組成物の粘度は特に制限されず、第二の組成物を用いて下地層を形成する場合に、第二の組成物を集電体上に付与する際の付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、第二の組成物の粘度は0.01Pa・s〜100000Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜10000Pa・sであることがより好ましい。なお、第二の組成物の粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
<下地層付き集電体>
本実施形態の下地層付き集電体は、集電体と、前記集電体上に設けられ、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する下地層と、を備える。下地層は、例えば、第一の組成物に導電性材料を含有したもの又は第二の組成物を用いて形成することができる。また、下地層は、集電体の厚み方向における一方又は両方の面に設けられる。さらに、下地層は、必要に応じてバインダ成分を含有してもよい。
本実施形態の下地層付き集電体は、集電体と、前記集電体上に設けられ、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する下地層と、を備える。下地層は、例えば、第一の組成物に導電性材料を含有したもの又は第二の組成物を用いて形成することができる。また、下地層は、集電体の厚み方向における一方又は両方の面に設けられる。さらに、下地層は、必要に応じてバインダ成分を含有してもよい。
下地層付き集電体に用いられる集電体としては特に限定されるものではなく、従来から公知の材料を用いることができる。
下地層付き集電体がリチウムイオン二次電池の正極に用いられる場合、集電体(つまり、正極集電体)としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。具体的には、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等を含有するシート、箔などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。シート及び箔の平均厚みは、特に限定されず、例えば、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
下地層付き集電体がリチウムイオン二次電池の負極に用いられる場合、集電体(つまり、負極集電体)としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅等を含むシート、箔などが挙げられる。シート及び箔の平均厚みは特に限定されず、例えば、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
下地層付き集電体がリチウムイオン二次電池の正極に用いられる場合、集電体(つまり、正極集電体)としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。具体的には、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等を含有するシート、箔などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。シート及び箔の平均厚みは、特に限定されず、例えば、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
下地層付き集電体がリチウムイオン二次電池の負極に用いられる場合、集電体(つまり、負極集電体)としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅等を含むシート、箔などが挙げられる。シート及び箔の平均厚みは特に限定されず、例えば、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
下地層の平均厚みは、特に限定されるものではない。下地層の平均厚みが薄い場合には、この下地層を有する電極を用いるリチウムイオン二次電池の入出力特性がより向上する傾向にある。つまり、下地層の平均厚みが薄ければ、下地層内での電子移動距離が短くなることで、活物質層から集電体への電子移動の応答性がより均一になる傾向にある。その結果、入出力特性が向上すると考えられる。また、下地層の平均厚みが薄いことによって、エネルギー密度が向上する傾向にある。入出力特性及びエネルギー密度の向上の観点から、下地層の平均厚みは10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。
下地層の平均厚みの下限値には特に制限はなく、膜形成性の観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。
また、下地層の平均厚みとしては、電池特性と電流遮断機能の両立の観点から、1μm〜10μmであることが好ましく、2μm〜8μmであることがより好ましく、3μm〜6μmであることがさらに好ましい。
下地層の平均厚みは、マイクロメーター、電極の断面のSEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)観察等の方法により測定される。
下地層の平均厚みの下限値には特に制限はなく、膜形成性の観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。
また、下地層の平均厚みとしては、電池特性と電流遮断機能の両立の観点から、1μm〜10μmであることが好ましく、2μm〜8μmであることがより好ましく、3μm〜6μmであることがさらに好ましい。
下地層の平均厚みは、マイクロメーター、電極の断面のSEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)観察等の方法により測定される。
下地層付き集電体を構成する下地層に含まれるポリスチレン粒子の詳細は、第一の組成物に含有されるポリスチレン粒子と同様である。また、下地層付き集電体を構成する下地層に含まれる導電性材料及び必要に応じて用いられるバインダ成分の詳細は、第二の組成物に含有される導電性材料及びバインダ成分と同様である。
下地層付き集電体の製造方法は特に限定されるものではない。下地層は、例えば、第一の組成物に導電性材料を含有したもの又は第二の組成物を集電体上に付与し、乾燥し、さらに必要に応じて圧延することにより形成できる。
下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は特に限定されるものではない。下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は、例えば、30nm〜100nmであることが好ましく、40nm〜90nmであることがより好ましく、50nm〜80nmであることがさらに好ましい。
下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いたポリスチレン粒子の観察により、50個のポリスチレン粒子について円相当径(長径と短径の幾何平均)を算出し、その算術平均値として求められる値である。なお、下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は、乾燥状態のポリスチレン粒子の平均粒子径である。
下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いたポリスチレン粒子の観察により、50個のポリスチレン粒子について円相当径(長径と短径の幾何平均)を算出し、その算術平均値として求められる値である。なお、下地層内でのポリスチレン粒子の平均粒子径は、乾燥状態のポリスチレン粒子の平均粒子径である。
<リチウムイオン二次電池用電極>
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、本実施形態の下地層付き集電体と、前記下地層付き集電体の下地層上に設けられる活物質層と、を備える。
下地層上に設けられる活物質層は、正極活物質層であっても負極活物質層であってもよく、過充電が生じた際の下地層による集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させる効果が有効に機能しやすい正極活物質層であることが好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、本実施形態の下地層付き集電体と、前記下地層付き集電体の下地層上に設けられる活物質層と、を備える。
下地層上に設けられる活物質層は、正極活物質層であっても負極活物質層であってもよく、過充電が生じた際の下地層による集電体と活物質層との間の電気抵抗を上昇させる効果が有効に機能しやすい正極活物質層であることが好ましい。
活物質層は、集電体の厚み方向における一方又は両方の面に形成される。活物質層は、活物質(正極活物質又は負極活物質)を含有し、さらに必要に応じて、導電材、バインダ成分等を含有してもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極が正極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池用正極である場合、正極活物質としては、この分野で常用されるものを使用できる。正極活物質としては、リチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リチウム塩、カルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。異種元素は1種でもよく、2種以上でもよい。
これらの中でも、正極活物質としては、リチウム含有複合金属酸化物が好ましい。リチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1−yO2、LixCoyM1 1−yOz(LixCoyM1 1−yOz中、M1はNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)、LixNi1−yM2 yOz(LixNi1−yM2 yOz中、M2はNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)、LixMn2O4及びLixMn2−yM3 yO4(LixMn2−yM3 yO4中、M3はNa、Mg、Sc、Y、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)が挙げられる。ここで、xは0<x≦1.2の範囲であり、yは0〜0.9の範囲であり、zは2.0〜2.3の範囲である。また、リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。
また、リチウム含有複合金属酸化物としては、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(以下、NMCという場合もある)を含んでもよい。NMCは、高容量であり、且つ安全性にも優れる。
安全性の更なる向上の観点からは、NMCとスピネル型リチウム・マンガン酸化物(以下、sp−Mnという場合もある)とを併用してもよい。
安全性の更なる向上の観点からは、NMCとスピネル型リチウム・マンガン酸化物(以下、sp−Mnという場合もある)とを併用してもよい。
NMCとしては、以下の組成式(化1)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+δ)MnxNiyCo(1−x−y−z)MzO2…(化1)
組成式(化1)において、(1+δ)は、Li(リチウム)の組成比、xはMn(マンガン)の組成比、yはNi(ニッケル)の組成比、(1−x−y−z)はCo(コバルト)の組成比を示す。zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
元素Mは、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Al、Si、Ga、Ge及びSnからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。
組成式(化1)において、−0.15<δ<0.15、0.1<x≦0.5、0.6<x+y+z≦1.0、0≦z≦0.1である。
Li(1+δ)MnxNiyCo(1−x−y−z)MzO2…(化1)
組成式(化1)において、(1+δ)は、Li(リチウム)の組成比、xはMn(マンガン)の組成比、yはNi(ニッケル)の組成比、(1−x−y−z)はCo(コバルト)の組成比を示す。zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
元素Mは、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Al、Si、Ga、Ge及びSnからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。
組成式(化1)において、−0.15<δ<0.15、0.1<x≦0.5、0.6<x+y+z≦1.0、0≦z≦0.1である。
また、sp−Mnとしては、以下の組成式(化2)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+η)Mn(2−λ)M’λO4…(化2)
組成式(化2)において、(1+η)はLiの組成比、(2−λ)はMnの組成比、λは元素M’の組成比を示す。O(酸素)の組成比は4である。
元素M’は、Mg、Ca、Sr、Al、Ga、Zn及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
組成式(化2)において、0≦η≦0.2、0≦λ≦0.1である。
組成式(化2)における元素M’としては、Mg又はAlを用いることが好ましい。Mg又はAlを用いることにより、電池が長寿命化する傾向にある。また、電池の安全性が向上する傾向にある。さらに、元素M’を加えることで、Mnの溶出を低減できるため、貯蔵特性及びサイクル特性が向上する傾向にある。
Li(1+η)Mn(2−λ)M’λO4…(化2)
組成式(化2)において、(1+η)はLiの組成比、(2−λ)はMnの組成比、λは元素M’の組成比を示す。O(酸素)の組成比は4である。
元素M’は、Mg、Ca、Sr、Al、Ga、Zn及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
組成式(化2)において、0≦η≦0.2、0≦λ≦0.1である。
組成式(化2)における元素M’としては、Mg又はAlを用いることが好ましい。Mg又はAlを用いることにより、電池が長寿命化する傾向にある。また、電池の安全性が向上する傾向にある。さらに、元素M’を加えることで、Mnの溶出を低減できるため、貯蔵特性及びサイクル特性が向上する傾向にある。
また、オリビン型リチウム塩としては、例えば、LiFePO4が挙げられる。カルコゲン化合物としては、例えば、二硫化チタン及び二硫化モリブデンが挙げられる。正極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
正極活物質としてリチウム含有複合金属酸化物を用いる場合の、リチウム含有複合金属酸化物の含有率は、正極活物質の総量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
正極活物質としてリチウム含有複合金属酸化物を用いる場合の、リチウム含有複合金属酸化物の含有率は、正極活物質の総量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
正極活物質層に用いてもよい導電材としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維及び金属繊維が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックが挙げられる。黒鉛としては、例えば、天然黒鉛及び人造黒鉛が挙げられる。導電材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層に用いてもよいバインダ成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂及びゴム粒子が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ゴム粒子としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。
これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させること等を考慮すると、フッ素を含むバインダ成分が好ましい。バインダ成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ゴム粒子としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。
これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させること等を考慮すると、フッ素を含むバインダ成分が好ましい。バインダ成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層は、例えば、正極合剤ペーストを下地層上に塗布し、乾燥し、さらに必要に応じて圧延することにより形成できる。正極合剤ペーストは、正極活物質を、バインダ成分、導電材等とともに分散媒に添加して混合することにより調製できる。分散媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドを使用できる。なお、分散媒は、下地層に含有されるポリスチレン粒子を溶解しないものを選択するのが好ましい。ポリスチレン粒子の中には、有機溶媒及び水の両方に溶解し難いものがあり、このようなポリスチレン粒子を用いる場合は、分散媒の種類を考慮する必要性は低い。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極が負極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池用負極である場合、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属間化合物、炭素材料、有機化合物、無機化合物、金属錯体及び有機高分子化合物が挙げられる。負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、負極活物質としては、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。炭素材料の体積平均粒子径は、0.1μm〜60μmであることが好ましく、0.5μm〜30μmであることがより好ましい。
また、炭素材料のBET比表面積は、1m2/g〜10m2/gであることが好ましい。BET比表面積は、例えば、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、例えば、QUANTACHROME社製、商品名:AUTOSORB−1を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77K(−196℃)とし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
炭素材料の中でも特に、電池の放電容量をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.35Å〜3.40Åであり、c軸方向の結晶子(Lc)が100Å以上である黒鉛が好ましい。
また、炭素材料の中でも特に、サイクル特性及び安全性をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.5Å〜3.95Åである非晶質炭素が好ましい。
d002は、X線(CuKα線)を試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定し得た回折プロファイルより、回折角2θ=24°〜27°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用い算出することができる。
d002は、例えば、以下の条件で測定を行うことができる。
線源:CuKα線(波長=0.15418nm)
出力:40kV、20mA
サンプリング幅:0.010°
走査範囲:10°〜35°
スキャンスピード:0.5°/min
また、炭素材料のBET比表面積は、1m2/g〜10m2/gであることが好ましい。BET比表面積は、例えば、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、例えば、QUANTACHROME社製、商品名:AUTOSORB−1を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77K(−196℃)とし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
炭素材料の中でも特に、電池の放電容量をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.35Å〜3.40Åであり、c軸方向の結晶子(Lc)が100Å以上である黒鉛が好ましい。
また、炭素材料の中でも特に、サイクル特性及び安全性をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.5Å〜3.95Åである非晶質炭素が好ましい。
d002は、X線(CuKα線)を試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定し得た回折プロファイルより、回折角2θ=24°〜27°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用い算出することができる。
d002は、例えば、以下の条件で測定を行うことができる。
線源:CuKα線(波長=0.15418nm)
出力:40kV、20mA
サンプリング幅:0.010°
走査範囲:10°〜35°
スキャンスピード:0.5°/min
負極活物質層に用いてもよい導電材としては、正極活物質層に含有される導電材と同様のものを使用できる。また、負極活物質層に用いてもよいバインダ成分としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム及びアクリルゴムが挙げられる。負極活物質層に用いてもよい増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
負極活物質層は、例えば、負極合剤ペーストを負極集電体表面に付与し、乾燥し、必要に応じて圧延することにより形成できる。負極合剤ペーストは、例えば、負極活物質を、必要に応じて、バインダ成分、導電材、増粘剤等とともに分散媒に添加して混合することにより調製できる。分散媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン及び水を使用できる。
負極活物質層は、例えば、負極合剤ペーストを負極集電体表面に付与し、乾燥し、必要に応じて圧延することにより形成できる。負極合剤ペーストは、例えば、負極活物質を、必要に応じて、バインダ成分、導電材、増粘剤等とともに分散媒に添加して混合することにより調製できる。分散媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン及び水を使用できる。
<リチウムイオン二次電池>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を備える。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を正極として備えることが好ましい。本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を正極として備えることで、初期の内部抵抗の低減が可能となり、リチウムイオン二次電池の高出力化及びサイクル特性の向上を図ることが可能になる傾向にある。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、例えば、正極、負極、セパレータ及び非水電解質を含んで構成される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を備える。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を正極として備えることが好ましい。本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を正極として備えることで、初期の内部抵抗の低減が可能となり、リチウムイオン二次電池の高出力化及びサイクル特性の向上を図ることが可能になる傾向にある。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、例えば、正極、負極、セパレータ及び非水電解質を含んで構成される。
正極は、セパレータを介して負極に対向するように設けられる。正極は、正極集電体、下地層及び正極活物質層を含む本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極であることが好ましい。
負極は、セパレータを介して正極に対向するように設けられる。負極は、負極集電体、下地層及び負極活物質層を含む本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極であってもよいし、負極集電体及び負極活物質層を含み、下地層を含まないリチウムイオン二次電池用負極であってもよい。負極が下地層を含まない場合における、負極に含まれる負極集電体及び負極活物質層の構成は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極の場合と同様とすることができる。
また、負極は、負極集電体、PTC層及び負極活物質層を含むリチウムイオン二次電池用負極であってもよい。負極がPTC層を含む場合、PTC層は、導電性材料とポリマー粒子と水溶性高分子とを含む層であることが好ましい。
PTC層に含まれる導電性材料としては、本実施形態に係る下地層で用いられるものと同様のものを用いることができる。
PTC層に含まれる導電性材料としては、本実施形態に係る下地層で用いられるものと同様のものを用いることができる。
また、PTC層に含まれるポリマー粒子としては、非導電性で熱可塑性の樹脂により構成される粒子であれば特に制限されない。このようなポリマー粒子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性変性セルロース、ポリスルホン及びポリメチル(メタ)アクリレートの粒子が挙げられる。これらの中でも、ポリマー粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン粒子が好ましい。ポリマー粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリマー粒子の平均粒子径は特に制限されず、電池特性をより向上できる観点から、0.1μm〜5μmであることが好ましく、0.2μm〜2μmであることがより好ましく、0.3μm〜1μmであることがさらに好ましい。
また、PTC層における導電性材料とポリマー粒子との含有割合(導電性材料:ポリマー粒子)は、特に制限されず、好ましくは質量比で2:98〜20:80、より好ましくは質量比で3:97〜15:85、さらに好ましくは質量比で5:95〜10:90である。導電性材料の含有割合が2以上であれば、PTC層内での電子移動経路が確保され、電池の出力特性が向上する傾向にある。導電性材料の含有割合が20以下であれば、PTC機能が発揮され、発熱に対する応答性が向上する傾向にある。
また、PTC層における導電性材料とポリマー粒子との含有割合(導電性材料:ポリマー粒子)は、特に制限されず、好ましくは質量比で2:98〜20:80、より好ましくは質量比で3:97〜15:85、さらに好ましくは質量比で5:95〜10:90である。導電性材料の含有割合が2以上であれば、PTC層内での電子移動経路が確保され、電池の出力特性が向上する傾向にある。導電性材料の含有割合が20以下であれば、PTC機能が発揮され、発熱に対する応答性が向上する傾向にある。
水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボキシメチルセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性アルギン酸誘導体、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、ポリアクリル酸等のポリアクリル酸誘導体などが挙げられる。これらの中でも、水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸誘導体がより好ましく、カルボキシメチルセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸誘導体がさらに好ましく、カルボキシメチルセルロース誘導体が特に好ましい。また、PTC層に含まれる導電性材料及びポリマー粒子の合計量と、水溶性高分子との含有割合は特に制限されず、導電性材料及びポリマー粒子の合計量に対する水溶性高分子の含有率は、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.5質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜2質量%であることがさらに好ましい。水溶性高分子の含有割合が0.1質量%以上であれば、導電性材料の分散が十分であり、PTC層内での電子移動経路が十分に確保され、電池特性が向上する傾向にある。水溶性高分子の含有割合が5質量%以下であれば、得られる分散液の粘度が低くなり、集電体への塗工性が容易になる傾向にある。
本実施形態において、水溶性高分子が“高分子”であるとは、水溶性高分子の数平均分子量が1000以上であることをいう。
水溶性高分子の数平均分子量は、導電性材料の分散性の観点から、10000以上であることが好ましく、200000以上であることがより好ましく、300000以上であることがさらに好ましい。水溶性高分子の数平均分子量の上限に特に制限はないが、実用的な観点から、1000000以下が好ましい。
また、水溶性高分子の重量平均分子量は、上記と同様の観点から、50000以上であることが好ましく、1000000以上であることがより好ましく、2000000以上であることがさらに好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量の上限に特に制限はないが、実用的な観点から、5000000以下が好ましい。
水溶性高分子の数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、検出器として示差屈折計を備えたHPLCシステムにGPCカラムを接続し、溶離液としてNaCl水溶液とアセトニトリルの混合溶液を用いて、標準物質としてプルランを用いた検量線から算出することができる。
また、水溶性高分子を1質量%水溶液にしたときの25℃における粘度(60回転)は、100mPa・s〜8000mPa・sであることが好ましく、500mPa・s〜6000mPa・sであることがより好ましく、1000mPa・s〜4000mPa・sであることがさらに好ましい。
本実施形態において、水溶性高分子が“高分子”であるとは、水溶性高分子の数平均分子量が1000以上であることをいう。
水溶性高分子の数平均分子量は、導電性材料の分散性の観点から、10000以上であることが好ましく、200000以上であることがより好ましく、300000以上であることがさらに好ましい。水溶性高分子の数平均分子量の上限に特に制限はないが、実用的な観点から、1000000以下が好ましい。
また、水溶性高分子の重量平均分子量は、上記と同様の観点から、50000以上であることが好ましく、1000000以上であることがより好ましく、2000000以上であることがさらに好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量の上限に特に制限はないが、実用的な観点から、5000000以下が好ましい。
水溶性高分子の数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、検出器として示差屈折計を備えたHPLCシステムにGPCカラムを接続し、溶離液としてNaCl水溶液とアセトニトリルの混合溶液を用いて、標準物質としてプルランを用いた検量線から算出することができる。
また、水溶性高分子を1質量%水溶液にしたときの25℃における粘度(60回転)は、100mPa・s〜8000mPa・sであることが好ましく、500mPa・s〜6000mPa・sであることがより好ましく、1000mPa・s〜4000mPa・sであることがさらに好ましい。
PTC層の電流遮断温度は、70℃〜140℃に設定することが好ましく、90℃〜120℃に設定することがより好ましい。電流遮断温度を70℃〜140℃に設定すれば、電池自体又は電池が装着された各種機器に異常が発生したときに電流を遮断し、発熱を抑制し、さらに電池から各種機器への電力の供給等を停止できるので、高い安全性が得られる傾向にある。また、90℃〜120℃に設定すれば、さらに、通常使用時の誤作動が少なくなる傾向にある。前記のような電流遮断温度は、ポリマー粒子の融点に依存する。電流遮断温度を90℃〜120℃に設定する場合は、ポリマー粒子としてポリエチレン粒子を用いることが好ましい。
尚、電流遮断温度は、電池の25℃における直流抵抗を100%とした場合、直流抵抗が110%以上となる温度とする。
尚、電流遮断温度は、電池の25℃における直流抵抗を100%とした場合、直流抵抗が110%以上となる温度とする。
PTC層の平均厚みは、電池特性とPTC機能の両立の観点から、1μm〜10μmであることが好ましく、2μm〜8μmであることがより好ましく、3μm〜6μmであることがさらに好ましい。PTC層の平均厚みは、下地層の平均厚みと同様の方法により測定することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極として下地層を備えるリチウムイオン二次電池用正極を用い、負極としてPTC層を備えるリチウムイオン二次電池用負極を用いる態様であってもよい。
セパレータは、正極と負極との間に介在するように設けられ、正極と負極とを絶縁する。セパレータには、無機多孔質膜等のイオン透過性を有するものを使用できる。また、セパレータとしては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用でき、例えば、樹脂製多孔質シートが挙げられる。樹脂製多孔質シートを構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。樹脂製多孔質シートには、不織布、織布等も含まれる。これらの中でも、内部に形成される空孔の平均径が0.05μm〜0.15μm程度である多孔質シートが好ましい。このような多孔質シートは、イオン透過性、機械的強度及び絶縁性を高い水準で兼ね備えている。また、多孔質シートの平均厚みは、特に制限されない。
無機多孔質膜は、無機化合物を主に含有し、高い耐熱性を有している。無機化合物としては、アルミナ、シリカ等の無機酸化物、BN、Si3N4等の無機窒化物、ゼオライト等の多孔性無機化合物などが挙げられる。これらの無機化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。無機多孔質膜は、さらに耐熱性樹脂を含んでいてもよい。耐熱性樹脂としては特に制限されないが、例えば、ポリアミド及びポリイミドが挙げられる。無機多孔質膜の平均厚みは特に制限されないが、0.5μm〜30μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましい。
非水電解質としては、例えば、液状非水電解質、ゲル状非水電解質及び固体状電解質(例えば高分子固体電解質)が挙げられる。液状非水電解質は、溶質(支持塩)と非水溶媒とを含み、さらに必要に応じて各種添加剤を含む。溶質は通常非水溶媒中に溶解する。液状非水電解質は、例えば、セパレータに含浸される。
溶質としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用でき、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類及びイミド塩類が挙げられる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等が挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO2)2NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO2)(C4F9SO2)NLi)、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C2F5SO2)2NLi)等が挙げられる。溶質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。溶質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2モル/Lとすることが好ましい。
非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及び環状カルボン酸エステルが挙げられる。環状炭酸エステルとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)及びエチレンカーボネート(EC)が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、例えば、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)が挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(GBL)及びγ−バレロラクトン(GVL)が挙げられる。非水溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、電池特性をより向上できる観点から、非水溶媒にビニレンカーボネート(VC)を含有することが好ましい。
ビニレンカーボネート(VC)を含有する場合の含有率は、非水溶媒全量に対して、0.1質量%〜2質量%が好ましく、0.2質量%〜1.5質量%がより好ましい。
また、電池特性をより向上できる観点から、非水溶媒にビニレンカーボネート(VC)を含有することが好ましい。
ビニレンカーボネート(VC)を含有する場合の含有率は、非水溶媒全量に対して、0.1質量%〜2質量%が好ましく、0.2質量%〜1.5質量%がより好ましい。
次いで、本発明をラミネート型電池に適用した実施の形態について説明する。
ラミネート型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製できる。まず、正極と負極とを角形に切断し、それぞれの電極にタブを溶接し正負極端子を作製する。正極、セパレータ及び負極をこの順番に積層した積層体を作製し、その状態でアルミニウム製のラミネートパック内に収容し、正負極端子をアルミラミネートパックの外に出し密封する。次いで、非水電解質をアルミラミネートパック内に注液し、アルミラミネートパックの開口部を密封する。これにより、リチウムイオン二次電池が得られる。
ラミネート型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製できる。まず、正極と負極とを角形に切断し、それぞれの電極にタブを溶接し正負極端子を作製する。正極、セパレータ及び負極をこの順番に積層した積層体を作製し、その状態でアルミニウム製のラミネートパック内に収容し、正負極端子をアルミラミネートパックの外に出し密封する。次いで、非水電解質をアルミラミネートパック内に注液し、アルミラミネートパックの開口部を密封する。これにより、リチウムイオン二次電池が得られる。
次いで、本実施形態をコイン型電池に適用した実施の形態について説明する。
コイン型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、正極と負極とセパレータとを円形に切断する。正極、セパレータ及び負極をこの順番に積層し、コイン型電池容器内に収容する。その後、適宜、スペーサ、スプリングワッシャー等を積層してもよい。次いで、非水電解質をコイン型電池容器内に注液し、コイン型電池容器と蓋とをかしめることによって密閉する。これにより、コイン型のリチウムイオン二次電池が得られる。
コイン型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、正極と負極とセパレータとを円形に切断する。正極、セパレータ及び負極をこの順番に積層し、コイン型電池容器内に収容する。その後、適宜、スペーサ、スプリングワッシャー等を積層してもよい。次いで、非水電解質をコイン型電池容器内に注液し、コイン型電池容器と蓋とをかしめることによって密閉する。これにより、コイン型のリチウムイオン二次電池が得られる。
次に、図面を参照して、本実施形態を18650タイプの円柱状リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。図1は、本実施形態の円柱状リチウムイオン二次電池の断面図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器6を有している。電池容器6には、電極群5が収容されている。電極群5は、帯状の正極板2及び負極板3がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ4は、例えば、幅が58mm、平均厚みが30μmに設定される。電極群5の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極群5の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極群5の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器6の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子及び負極タブ端子は、それぞれ電極群5の両端面の互いに反対側に導出されている。なお、電極群5の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器6の上部にかしめ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池1の内部は密封されている。また、電池容器6内には、図示しない非水電解質が注液されている。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器6を有している。電池容器6には、電極群5が収容されている。電極群5は、帯状の正極板2及び負極板3がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ4は、例えば、幅が58mm、平均厚みが30μmに設定される。電極群5の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極群5の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極群5の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器6の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子及び負極タブ端子は、それぞれ電極群5の両端面の互いに反対側に導出されている。なお、電極群5の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器6の上部にかしめ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池1の内部は密封されている。また、電池容器6内には、図示しない非水電解質が注液されている。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、高い安全性を有し、しかも高出力であり、従来の非水電解質二次電池と同様の用途に好適に使用できる。特に、携帯電話、ノート型パソコン、携帯用情報端末、電子辞書、ゲーム機器等の各種携帯用電子機器類の電源として好適に使用できる。このような用途に利用する場合、充電の際に万が一過充電状態になっても、発熱が抑制されるので、電池の高温化、膨れ等が防止される。また、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電力貯蔵用、電気自動車、ハイブリット自動車等の輸送機器用などの用途にも応用可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリスチレン粒子を含む組成物の調製)
セパラブルフラスコに、蒸留水、スチレン(St)、ジビニルベンゼン(DVB)、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、表1に記載の比率(質量基準)で混合した。DVBについては、粒子1〜粒子3の場合には重合禁止剤を含んだ状態で用いた。粒子4〜粒子6については、アルミナカラムを用いて重合禁止剤を取り除いた状態で用いた。メカニカルスターラーを用いて100回毎分で撹拌しながら、氷浴下で20分間窒素バブリングを行った。その後、ウォーターバスを用いて70℃に加熱し、12時間かけて重合反応を実施した。得られたラテックスを塩化カルシウム3.3質量%水溶液に流し込み、ろ過により固形分を得た。得られた固形分を、蒸留水及びメタノールの順でろ過又は遠心分離により洗浄し、その後、真空乾燥し、粉末状のポリスチレン粒子を得た。
得られた粉末状のポリスチレン粒子を水及びN−メチル−2−ピロリドンに10質量%又は20質量%の割合で分散し、得られた分散液について、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中における平均粒子径Bとを動的光散乱法に基づいて測定した。得られた結果を、比(B/A)と共に表2に示す。
セパラブルフラスコに、蒸留水、スチレン(St)、ジビニルベンゼン(DVB)、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、表1に記載の比率(質量基準)で混合した。DVBについては、粒子1〜粒子3の場合には重合禁止剤を含んだ状態で用いた。粒子4〜粒子6については、アルミナカラムを用いて重合禁止剤を取り除いた状態で用いた。メカニカルスターラーを用いて100回毎分で撹拌しながら、氷浴下で20分間窒素バブリングを行った。その後、ウォーターバスを用いて70℃に加熱し、12時間かけて重合反応を実施した。得られたラテックスを塩化カルシウム3.3質量%水溶液に流し込み、ろ過により固形分を得た。得られた固形分を、蒸留水及びメタノールの順でろ過又は遠心分離により洗浄し、その後、真空乾燥し、粉末状のポリスチレン粒子を得た。
得られた粉末状のポリスチレン粒子を水及びN−メチル−2−ピロリドンに10質量%又は20質量%の割合で分散し、得られた分散液について、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中における平均粒子径Bとを動的光散乱法に基づいて測定した。得られた結果を、比(B/A)と共に表2に示す。
[実施例1]
−下地層付き集電体の作製−
アセチレンブラック(導電性材料、平均粒子径48nm)と、ポリスチレン粒子1(粒子1)のN−メチル−2−ピロリドン分散液(固形分が10質量%)とを、固形分の質量比(ポリスチレン粒子(PS):アセチレンブラック(C))が90:10となるように混合し、分散させた。その後、この分散液にポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ成分、固形分5質量%)を、導電性材料及びポリスチレン粒子の合計量に対するバインダ成分の含有率が2質量%となるように混合し、下地層形成用スラリーを得た。
得られた下地層形成用スラリーを平均厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体、三菱アルミニウム株式会社)の片面に塗布し、60℃で乾燥させ、平均厚みが5μmの下地層を備える下地層付き集電体を作製した。
−下地層付き集電体の作製−
アセチレンブラック(導電性材料、平均粒子径48nm)と、ポリスチレン粒子1(粒子1)のN−メチル−2−ピロリドン分散液(固形分が10質量%)とを、固形分の質量比(ポリスチレン粒子(PS):アセチレンブラック(C))が90:10となるように混合し、分散させた。その後、この分散液にポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ成分、固形分5質量%)を、導電性材料及びポリスチレン粒子の合計量に対するバインダ成分の含有率が2質量%となるように混合し、下地層形成用スラリーを得た。
得られた下地層形成用スラリーを平均厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体、三菱アルミニウム株式会社)の片面に塗布し、60℃で乾燥させ、平均厚みが5μmの下地層を備える下地層付き集電体を作製した。
−正極の作製−
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物90質量部、アセチレンブラック(導電材、平均粒子径48nm)4.5質量部及びポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ成分、固形分12質量%)5.5質量部を混合して正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを正極集電体上に形成した下地層表面に塗布し、60℃で乾燥後圧延して、塗布量160g/m2、合剤密度2.5g/cm3の正極活物質層を形成し、正極を作製した。
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物90質量部、アセチレンブラック(導電材、平均粒子径48nm)4.5質量部及びポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ成分、固形分12質量%)5.5質量部を混合して正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを正極集電体上に形成した下地層表面に塗布し、60℃で乾燥後圧延して、塗布量160g/m2、合剤密度2.5g/cm3の正極活物質層を形成し、正極を作製した。
−コイン型電池の作製−
作製した正極を、直径15mmの円形に切断し、評価用電極を得た。また、リチウム箔(平均厚み1mm)を直径16mmの円形に切断し負極を得た。また、ポリエチレン製多孔質シート(平均厚み20μm)を直径20mmに切断し、セパレータを得た。負極、セパレータ及び正極(評価用電極)をこの順番に積層し、コイン型電池容器内に収容した。その後、非水電解質(1.2MのLiPF6を含むエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジメチルカーボネート:2/2/3混合溶液(体積比)に、混合溶液全量に対してビニレンカーボネートを0.8質量%添加した電解液)を注液した。最後に、コイン型電池容器と蓋とをかしめて密閉し、評価用電池を作製した。
作製した正極を、直径15mmの円形に切断し、評価用電極を得た。また、リチウム箔(平均厚み1mm)を直径16mmの円形に切断し負極を得た。また、ポリエチレン製多孔質シート(平均厚み20μm)を直径20mmに切断し、セパレータを得た。負極、セパレータ及び正極(評価用電極)をこの順番に積層し、コイン型電池容器内に収容した。その後、非水電解質(1.2MのLiPF6を含むエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジメチルカーボネート:2/2/3混合溶液(体積比)に、混合溶液全量に対してビニレンカーボネートを0.8質量%添加した電解液)を注液した。最後に、コイン型電池容器と蓋とをかしめて密閉し、評価用電池を作製した。
−電池特性の評価−
得られた評価用電池について、25℃での放電容量を、充放電装置(北斗電工株式会社)を用いて以下の充放電条件で測定した。
(1)終止電圧4.2V、0.5Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行った。なお、Cとは”電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。
(2)次いで、終止電圧4.2V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(3)次いで、終止電圧4.4V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(4)次いで、終止電圧4.6V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(5)次いで、終止電圧4.7V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(6)次いで、終止電圧4.8V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
得られた評価用電池について、25℃での放電容量を、充放電装置(北斗電工株式会社)を用いて以下の充放電条件で測定した。
(1)終止電圧4.2V、0.5Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行った。なお、Cとは”電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。
(2)次いで、終止電圧4.2V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(3)次いで、終止電圧4.4V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(4)次いで、終止電圧4.6V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(5)次いで、終止電圧4.7V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
(6)次いで、終止電圧4.8V、0.5Cで定電流(CC)充電を行った後、0.5Cで終止電圧3Vまで定電流(CC)放電するサイクルを3サイクル行い、放電容量を求めた。
−評価基準−
上述の電池特性の評価で得られた結果から、下記式を用いて算出される値を下地層の過充電への応答性とした。応答性の値は、小さいほど優れる。得られた結果を表2に示す。
応答性=(6)の評価で得られた放電容量/(2)の評価で得られた放電容量
また、(2)の評価で得られた放電容量を、表2に示す。
上述の電池特性の評価で得られた結果から、下記式を用いて算出される値を下地層の過充電への応答性とした。応答性の値は、小さいほど優れる。得られた結果を表2に示す。
応答性=(6)の評価で得られた放電容量/(2)の評価で得られた放電容量
また、(2)の評価で得られた放電容量を、表2に示す。
[実施例2〜14]
ポリスチレン粒子及びポリスチレン粒子(PS)と導電性材料(C)との比率(PS/C)を表2に示す組み合わせとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜14に係る評価用電池を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
ポリスチレン粒子及びポリスチレン粒子(PS)と導電性材料(C)との比率(PS/C)を表2に示す組み合わせとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜14に係る評価用電池を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例1]
下地層を設けない以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
下地層を設けない以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示す。
表2の評価結果から明らかなように、実施例1〜14は比較例1と同等の放電容量を有しつつ、比較例1に比較して応答性に優れることがわかる。
1…リチウムイオン二次電池、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…電極群、6…電池容器
Claims (16)
- ポリスチレン粒子を含有し、リチウムイオン二次電池用電極の下地層の形成に用いられる組成物。
- ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する組成物。
- バインダ成分をさらに含有する請求項2に記載の組成物。
- 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である請求項3に記載の組成物。
- 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
- 集電体と、
前記集電体上に設けられ、ポリスチレン粒子と導電性材料とを含有する下地層と、
を備える下地層付き集電体。 - 前記導電性材料と前記ポリスチレン粒子との質量基準の含有比率(導電性材料:ポリスチレン粒子)が、3:97〜20:80である請求項7に記載の下地層付き集電体。
- 前記ポリスチレン粒子の、25℃の水中における平均粒子径Aと、25℃のN−メチル−2−ピロリドン中における平均粒子径Bとの比(B/A)が、1〜2である請求項7又は請求項8に記載の下地層付き集電体。
- 前記下地層が、バインダ成分をさらに含有する請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
- 前記導電性材料及び前記ポリスチレン粒子の合計量に対する前記バインダ成分の含有率が、0.1質量%〜5質量%である請求項10に記載の下地層付き集電体。
- 前記下地層の平均厚みが、1μm〜10μmである請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
- 前記ポリスチレン粒子の前記下地層内での平均粒子径が、30nm〜100nmである請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の下地層付き集電体。
- 請求項7〜請求項13のいずれか1項に記載の下地層付き集電体と、
前記下地層付き集電体の下地層上に設けられる活物質層と、
を備えるリチウムイオン二次電池用電極。 - 前記活物質層が、正極活物質を含有する請求項14に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
- 請求項14又は請求項15に記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
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