JP2018066829A - 鍵盤楽器のストローク調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】押鍵ストローク及びハンマーストロークをきめ細かく調整できることにより、演奏時における弱音のコントロール性を十分に得ることができるとともに、ダイナミックレンジをより一層広げることができる鍵盤楽器のストローク調整装置を提供する。【解決手段】鍵盤7における複数の鍵7aの後端部の高さを調整することにより、複数の鍵7aの押鍵ストローク及び複数のハンマー27のハンマーストロークを調整する鍵盤楽器のストローク調整装置40であって、複数の鍵7aの各々の下面後端部にそれぞれ設けられた複数の永久磁石41と、複数の鍵7aの後端部の下方に、複数の永久磁石41に対向しかつ不動に設けられた電磁石42と、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整するための回転つまみ44が操作されることにより、複数の永久磁石41との間に斥力が発生するよう、電磁石42を制御する制御装置43と、を備えている。【選択図】図4
Description
本発明は、アコースティックピアノや電子ピアノに適用される鍵盤楽器のストローク調整装置に関し、特に、鍵が押し下げられる深さである押鍵ストローク、及び押鍵に伴って回動するハンマーとそのハンマーが打つ弦などとの距離であるハンマーストロークを調整するための鍵盤楽器のストローク調整装置に関する。
従来、この種のストローク調整装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このストローク調整装置は、一般的なグランドピアノと同様の鍵盤、アクション及びハンマーを有する鍵盤式打楽器に適用されている。この鍵盤式打楽器では、グランドピアノと同様、棚板上に設けられた筬に、鍵盤が下方から支持された状態で載置されている。鍵盤は、前後方向に延びかつ左右方向に並んだ多数の鍵(白鍵及び黒鍵)を有しており、各鍵が、前後方向の中央付近に立設されたバランスピンを中心として揺動自在になっている。また、各鍵には、バランスピンよりも後方にアクションが載置されており、その上部に、上方に回動自在のハンマーが設けられるとともに、ハンマーの上方に前後方向に延びる金属製の発音体が設置されている。このように構成された鍵盤式打楽器では、演奏時に鍵の前端部が押し下げられると、鍵の後部が上動し、アクションが作動する。そして、このアクションにより、ハンマーが押し上げられることによって上方に回動し、発音体を下方から打つことによって楽音が発生する。
また、上記の鍵盤式打楽器に適用されたストローク調整装置は、鍵盤式打楽器の下部に設けられたストローク調整用のペダル(以下、本欄において「ストロークペダル」という)と、このストロークペダルの後端部から上方に延びるとともに、上端部が棚板を貫通して上方に突出するペダル連結棒と、このペダル連結棒から前方に延びるように設けられるとともに前端部が棚板に回動自在に支持されたアームと、このアームの上側に設けられ、筬から上方に出没可能に構成された左右方向に延びるリフティングバーと、このリフティングバーを上方から覆った状態で筬上に設けられ、鍵盤の全ての鍵の後端部が載置されるバックフェルトなどを備えている。
演奏者によってストロークペダルが踏み込まれると、ペダル連結棒が上方にスライドし、アームが上方に回動する。これに伴い、リフティングバーが筬から上方に突出し、バックフェルトを介して、全ての鍵の後端部が押し上げられる。加えて、鍵の後部に載置されたアクションも押し上げられることで、ハンマーも上方に若干、回動した状態に押し上げられる。以上により、全ての鍵の後端部が押し上げられた分、全ての鍵の前端部が下がることにより、鍵の押鍵ストロークが短くなるとともに、ハンマーが押し上げられることによって発音体に近づき、ハンマーストロークも短くなる。その結果、押鍵に伴って上方に回動するハンマーの勢いが弱くなることで、発音体に当たったときの音量が小さくなり、演奏時に弱音が出せるようになっている。
上述した従来のストローク調整装置では、ストロークペダルを踏み込んだ状態で左方にずらすように操作することにより、ストロークペダルを踏み込んだ状態に維持し、それにより、押鍵ストローク及びハンマーストロークを短くした状態に維持することが可能である。しかし、このストローク調整装置では、押鍵ストローク及びハンマーストロークはいずれも、ストロークペダルの踏込みの有無による2つのストロークにしか設定することができない。そのため、押鍵ストローク及びハンマーストロークをきめ細かく調整することができず、演奏時における弱音のコントロール性が十分とは言えない。
また、上記のストローク調整装置を、一般に3つのペダル(ソフトペダル、ソステヌートペダル及びラウドペダル)を備えるグランドピアノに適用する場合、上記のストロークペダルを新たに追加しなければならない。この場合、既存のグランドピアノに対し、大幅な設計変更及び多数の追加部品が必要となり、その分、製造コストが上昇してしまうという問題もある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、押鍵ストローク及びハンマーストロークをきめ細かく調整することができ、それにより、演奏時における弱音のコントロール性を十分に得ることができるとともに、より小さな音を出すことが可能になることで、ダイナミックレンジをより一層広げることができる鍵盤楽器のストローク調整装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、各々が前後方向に延びかつ長さ方向の中央付近に設けられた支点を中心として揺動自在に構成され、互いに左右方向に並設された複数の鍵を有する鍵盤と、複数の鍵ごとに設けられ、対応する鍵の押鍵に連動して回動する複数のハンマーとを備えた鍵盤楽器において、鍵盤における複数の鍵の後端部の高さを調整することにより、複数の鍵の押鍵ストローク及び複数のハンマーのハンマーストロークを調整する鍵盤楽器のストローク調整装置であって、複数の鍵の各々の下面後端部に、それぞれ対応する鍵と一体に設けられた複数の永久磁石と、複数の鍵の後端部の下方に、複数の永久磁石に対向しかつ不動に設けられた電磁石と、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整するために操作される操作部と、この操作部が操作されることにより、複数の永久磁石との間に斥力が発生するよう、電磁石を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、鍵盤の複数の鍵の各々には、下面後端部に永久磁石が鍵と一体に設けられる一方、複数の鍵の後端部の下方には、各鍵の永久磁石に対向する電磁石が不動に設けられている。鍵盤楽器における押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整する場合、操作部を操作することにより、制御手段で制御される電磁石と複数の永久磁石との間に斥力を発生させる。これにより、電磁石と各永久磁石との間の距離が、斥力の発生前に比べて大きくなり、その分、永久磁石が設けられた鍵の後端部が押し上げられる。
上記のように、鍵の後端部が押し上げられると、各鍵は、支点を中心として前下がりの方向に若干揺動する。その結果、各鍵では、後端部が押し上げられた分と同程度、前端部が下がり、鍵が押し下げられる深さである押鍵ストロークが、押上げ前に比べて短くなる。
また、アコースティックピアノでは一般に、鍵の上面において、その支点よりも後ろ側に、ハンマーを回動駆動するためのアクションが載置される。このため、離鍵状態における鍵の後端部の押上げに伴い、アクションも押し上げられ、それにより、回動するハンマーが弦に近づく。その結果、ハンマーでは、弦に近づいた分、ハンマーと弦の距離であるハンマーストロークが、押上げ前に比べて短くなる。一方、電子ピアノでは一般に、ハンマーが対応する鍵の揺動に連動して回動するので、上記のように、離鍵状態における鍵の後端部が押し上げられると、その分、ハンマーがあらかじめ回動する。その結果、ハンマーでは、あらかじめ回動した分、最終的な回動位置までの距離(角度)であるハンマーストロークが、押上げ前に比べて短く(小さく)なる。
さらに、電磁石と鍵の永久磁石との間に斥力が発生している状態において、その鍵が押鍵される場合、鍵の前端部の押下げが進むにつれ、鍵の後端部の永久磁石と電磁石との間の距離が広がることで、両者の間の斥力による鍵の後端部の押上げ力が次第に小さくなる。このため、押鍵の開始当初は、演奏者が自身の指に感じる鍵の重さ(以下「タッチ感」という)が軽い一方、押鍵が進むにつれて、タッチ感が次第に重くなり、その鍵が押し切られる最後まで、鍵が演奏者の指に追従した状態になる。その結果、鍵を押鍵する際の操作(以下「鍵操作」という)のコントロール性を向上させることができる。
以上のように、本発明のストローク調整装置によれば、操作部を操作することによって、各鍵の永久磁石と電磁石との間に斥力を発生させることにより、離鍵状態における複数の鍵の後端部を押し上げ、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整することができる。それにより、演奏時における弱音のコントロール性を十分に得ることができるとともに、より小さな音を出すことが可能になることにより、ダイナミックレンジをより一層広げることができる。加えて、鍵操作のコントロール性の向上を図ることもできる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鍵盤楽器のストローク調整装置において、操作部は、連続的又は複数の段階に操作可能に構成されており、制御手段は、操作部の操作に応じ、電磁石による斥力の大きさを制御することを特徴とする。
この構成によれば、連続的又は複数の段階に操作可能な操作部の操作に応じ、電磁石と鍵の永久磁石との間に生じる斥力の大きさが制御される。具体的には、その斥力が大きいほど、電磁石と鍵の永久磁石との間の距離が大きくなり、それにより、鍵の後端部がより高く押し上げられる。したがって、操作部を操作することにより、上記の斥力を調整することで、鍵の後端部の押上げ高さを調整し、それにより、押鍵ストローク及びハンマーストロークをきめ細かく調整することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の鍵盤楽器のストローク調整装置において、制御手段は、操作部の操作に応じ、電磁石の通電電流を制御することを特徴とする。
この構成によれば、操作部の操作に応じ、電磁石の通電電流を制御することにより、通電によって電磁石に発生する磁力、すなわち鍵の永久磁石との間に生じる斥力の大きさを容易に制御することができる。これにより、離鍵状態における鍵の後端部の高さ調整を容易に行うことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による鍵盤楽器のストローク調整装置を適用したグランドピアノを示している。同図に示すように、このグランドピアノ1(鍵盤楽器)は、ピアノ本体2と、これを下方から支持する3つの脚3と、ピアノ本体2の下方に設けられ、3つのペダル4aを有するペダル組立品4などで構成されている。
ピアノ本体2は、その底面前半部を構成する平板状の棚板5を備えており、この棚板5上に後述する筬6が載置され、この筬6によって、鍵盤7が下方から支持されている。鍵盤7は、各々が前後方向に延びる多数(例えば88鍵)の鍵(白鍵及び黒鍵)7aを有しており、これらの鍵7aが左右方向に並んだ状態で配置されている。
図2に示すように、筬6は、スプルスなどの木質材を井桁状に組み立てたものであり、左右方向に延びる筬前11、筬中12及び筬後13、並びにこれらを連結する前後方向に延びる左右の筬妻14、14、及びそれらの間に互いに左右方向に間隔を隔てて配置された複数(図2では4つ)の筬中束15などで構成されている。筬前11及び筬中12にはそれぞれ、多数のフロントピン16及びバランスピン17(図3等参照)が立設されており、各鍵7aが、対応するバランスピン17(支点)を中心として揺動自在に支持されるとともに、フロントピン16により、横振れが防止されるようになっている。
筬後13上には、その長さ方向に沿って、複数(本実施形態では5つ)の鍵盤枕19が載置されている。各鍵盤枕19は、フェルトなどから成り、平面形状が横長矩形状に形成されている。そして、これらの鍵盤枕19には、鍵7aの前端部が押し下げられていない離鍵状態において、鍵盤7の後ろ下がりに傾斜する全ての鍵7aの後端部が載置されている。また、筬後13には、その長さ方向に沿って、ストローク調整装置の後述する複数(本実施形態では5つ)の電磁石42が埋設されている。
筬6の左右両端部には、左右の筬妻14、14上に前後方向に延びるブラケット台21、21が設置されるとともに、これらの間の筬中束15及び筬後13上に、複数(本実施形態では4つ)の中間ブラケット台22が設置されている。また、これらのブラケット台21及び中間ブラケット台22を介して、所定形状の複数(本実施形態では6つ)のブラケット23(図3(a)、図4(a)参照)が筬6上に設置され、これらのブラケット23に、左右方向に延びるウィッペンレール24及びハンマーシャンクレール25(図3、4参照)が掛け渡されている。そして、これらのウィッペンレール24及びハンマーシャンクレール25にそれぞれ、複数のアクション26及びハンマー27が鍵7aごとに回動自在に支持されている。
ここで、図3及び図4を参照して、アクション26及びハンマー27について簡単に説明する。両図に示すように、アクション26は、ウィッペン31、レペティションレバー32及びジャック33を有している。ウィッペン31は、ウィッペンレール24にねじ止めされたウィッペンフレンジ34に回動自在に支持されるとともに、鍵7aの後部の所定位置に立設されたキャプスタンスクリュー8に載置されている。また、レペティションレバー32及びジャック33は、ウィッペン31の上端部及び前端部にそれぞれ回動自在に支持され、ジャック33の上端部がレペティションレバー32の前部を貫通した状態でこれに係合している。
一方、ハンマー27は、前後方向に所定長さ延びるハンマーシャンク36と、その先端部に設けられたハンマーヘッド37と、ハンマーシャンク36の基端寄りの所定位置に下方に突設されたシャンクローラ38とを有している。そして、このハンマー27は、ハンマーシャンク36の基端部において、ハンマーシャンクレール25にねじ止めされたハンマーシャンクフレンジ39に回動自在に支持されるとともに、シャンクローラ38がレペティションレバー32に載置されている。
以上のように構成されたアクション26及びハンマー27では、対応する鍵7aの前端部が押し下げられると、鍵7aの後部が上動する。それに伴い、アクション26では、ウィッペン31が上方に回動しながら、レペティションレバー32及びジャック33が所定動作を実行する。これにより、ハンマー27が上方に回動し、水平に張設された弦Sをハンマーヘッド37で下方から打弦することによって、楽音が発生する。
次に、本発明のストローク調整装置40について説明する。図5に示すように、ストローク調整装置40は、鍵盤7の全ての鍵7aにそれぞれ設けられた複数の永久磁石41と、後筬13に埋設された複数の電磁石42と、これらの電磁石42を制御する制御装置43(制御手段)と、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整する際に、手動で回転操作される回転つまみ44(操作部)などを備えている。上記の複数の電磁石42、制御装置43及び回転つまみ44は、電線45を介して電気的に接続されている。
各永久磁石41は、図3に示すように、対応する鍵7aの下面後端部に、その鍵7aと一体に設けられ、所定の磁極(N極又はS極)が下側になるように配置されている。
各電磁石42は、左右方向に延びるように構成され、筬後13上の対応する鍵盤枕19から上方に露出した状態で(図2、3参照)、上方の鍵7aの永久磁石41に対向しかつ筬後13に不動に設けられている。また、各電磁石42は、図示しない電源からの通電により、電磁石42の上面において、鍵7aの永久磁石41の下側の磁極と同じ磁極(N極又はS極)が生じるように構成されている。
制御装置43は、円形の回転つまみ44が回転操作されることにより、その回転つまみ44の操作に応じた電流を、各電磁石42に通電するようになっている。回転つまみ44は、ピアノ本体2の所定位置、例えば棚板5の下面に、回転自在に取り付けられ、表面(下面)の周縁部には、その周方向に沿って目盛り(本実施形態では「0」〜「8」)が表記されている。回転つまみ44の目盛りが「0」のときには、各電磁石42への通電は行われない。したがって、この場合、鍵盤7の全ての鍵7aは、後端部が鍵盤枕19に載置された状態になる。一方、回転つまみ44が回転操作され、その目盛りの値が大きいほど、各電磁石42への通電電流が大きくなり、その通電電流の大きさに応じた斥力が、電磁石42と鍵7aの永久磁石41との間に発生する。
図6は、回転つまみ44を回転操作し、所定の目盛りにセットしたときの電磁石42と、永久磁石41を有する鍵7aとの関係を示している。同図(a)に示すように、回転つまみ44を回し、目盛りを「0」以外(同図(a)では「4」)にセットしたときには、電磁石42と各鍵7aの永久磁石41との間に、目盛りの値に応じた斥力が発生する。これにより、鍵盤7の全ての鍵7aの後端部は、発生した斥力の大きさに応じた高さH分、押し上げられる。また、同図(b)に示すように、回転つまみ44の目盛りを最も大きな値8にセットしたときには、電磁石42と各鍵7aの永久磁石41との間に、ストローク調整装置40において発生させることが可能な最大の斥力が発生する。これにより、鍵盤7の全ての鍵7aの後端部は、発生した斥力の大きさに応じ、最大で所定高さH(例えば1.5mm)、押し上げられる。
上記のように、鍵7aの後端部が押し上げられると、図4に示すように、各鍵7aは、対応するバランスピン17を中心として前下がり(図4では左下がり)の方向に若干揺動する。その結果、鍵7aでは、後端部が押し上げられた分と同程度、前端部が下がり、鍵7aが押し下げられる深さである押鍵ストロークが、押上げ前に比べて短くなる。
また、この場合、鍵7aの後端部が押し上げられることにより、鍵7aの後部のキャプスタンスクリュー8に載置されたアクション26も押し上げられる。そして、アクション26のレペティションレバー32にシャンクローラ38を介して載置されたハンマー27は、図4(b)に実線で示すように、反時計方向に若干回動し、それにより、ハンマーヘッド37が上方の弦Sに近づく。その結果、ハンマー27では、ハンマーヘッド37が弦Sに近づいた分、ハンマーヘッド37と弦Sの距離であるハンマーストロークが、押上げ前に比べて短くなる。
以上のように、本実施形態によれば、回転つまみ44を手動で回転操作することによって、各鍵7aの永久磁石41と電磁石42との間に斥力を発生させることにより、鍵盤7の全ての鍵7aの後端部を押し上げ、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整することができる。それにより、演奏時における弱音のコントロール性を十分に得ることができるとともに、より小さな音を出すことが可能になることにより、ダイナミックレンジをより一層広げることができる。
また、電磁石42と鍵7aの永久磁石41との間に斥力が発生している状態において、その鍵7aが押鍵される場合、鍵7aの前端部の押下げが進むにつれ、鍵7aの後端部の永久磁石41と電磁石42との間の距離が広がることで、両者41、42の間の斥力による鍵7aの後端部の押上げ力が次第に小さくなる。このため、押鍵の開始当初は、演奏者が自身の指に感じる鍵のタッチ感が軽い一方、押鍵が進むにつれて、タッチ感が次第に重くなり、その鍵7aが押し切られる最後まで、鍵7aが演奏者の指に追従した状態になる。その結果、鍵7aを押鍵する際の鍵操作のコントロール性を向上させることができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明のストローク調整装置40をグランドピアノに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アップライトピアノはもちろん、押鍵に連動して回動するハンマーを有する電子ピアノにも適用することが可能である。
また、実施形態では、グランドピアノ1のストローク調整装置40において、5つの電磁石42を用いたが、鍵盤7の左右方向の全体にわたって延びるように構成された単一の電磁石を用いることも可能である。さらに、実施形態では、押鍵ストローク及びハンマーストロークを調整するために操作される操作部として、棚板5の下面に設けられた回転つまみ44を採用したが、この回転つまみ44を、例えば鍵盤7の側方の拍子木に設けることが可能であり、加えて、回転式の回転つまみ44に代えて、スライド式やレバー式の操作部を採用することも可能である。
また、本実施形態では、回転つまみ44を「0」〜「8」の目盛りにセットすることよって、鍵7aの後端部の押上げによる押鍵ストローク及びハンマーストロークを、8段階に調整可能に構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作部を連続的に操作可能に構成することにより、押鍵ストローク及びハンマーストロークを連続的に調整できるように構成することも可能である。
また、実施形態で示したストローク調整装置40の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 グランドピアノ(鍵盤楽器)
5 棚板
6 筬
7 鍵盤
7a 鍵
17 バランスピン(支点)
19 鍵盤枕
26 アクション
27 ハンマー
40 ストローク調整装置
41 永久磁石
42 電磁石
43 制御装置(制御手段)
44 回転つまみ(操作部)
S 弦
5 棚板
6 筬
7 鍵盤
7a 鍵
17 バランスピン(支点)
19 鍵盤枕
26 アクション
27 ハンマー
40 ストローク調整装置
41 永久磁石
42 電磁石
43 制御装置(制御手段)
44 回転つまみ(操作部)
S 弦
Claims (3)
- 各々が前後方向に延びかつ長さ方向の中央付近に設けられた支点を中心として揺動自在に構成され、互いに左右方向に並設された複数の鍵を有する鍵盤と、前記複数の鍵ごとに設けられ、対応する鍵の押鍵に連動して回動する複数のハンマーとを備えた鍵盤楽器において、前記鍵盤における前記複数の鍵の後端部の高さを調整することにより、前記複数の鍵の押鍵ストローク及び前記複数のハンマーのハンマーストロークを調整する鍵盤楽器のストローク調整装置であって、
前記複数の鍵の各々の下面後端部に、それぞれ対応する鍵と一体に設けられた複数の永久磁石と、
前記複数の鍵の後端部の下方に、前記複数の永久磁石に対向しかつ不動に設けられた電磁石と、
前記押鍵ストローク及び前記ハンマーストロークを調整するために操作される操作部と、
この操作部が操作されることにより、前記複数の永久磁石との間に斥力が発生するよう、前記電磁石を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする鍵盤楽器のストローク調整装置。 - 前記操作部は、連続的又は複数の段階に操作可能に構成されており、
前記制御手段は、前記操作部の操作に応じ、前記電磁石による斥力の大きさを制御することを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器のストローク調整装置。 - 前記制御手段は、前記操作部の操作に応じ、前記電磁石の通電電流を制御することを特徴とする請求項2に記載の鍵盤楽器のストローク調整装置。
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