JP2018066290A - 圧縮機 - Google Patents

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田口 幸彦
Yukihiko Taguchi
幸彦 田口
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Abstract

【課題】液圧縮の低減を図ることができる機構を備えた圧縮機を提供する。【解決手段】圧縮機100は、蒸発器と吸入室H1との間の低圧側冷媒循環路LLに設けられる開閉弁30を備える。開閉弁30は、弁室31と、弁室31に収容される弁体32と、弁体32を弁室31の一端側に向かって付勢する付勢部材33とを含む。弁体32は、弁室31の蒸発器側の一端から流入する冷媒が衝突してその冷媒流れによる動圧を受ける受け面321と、弁室31の他端から吸入室H1に向かって延び弁室31と吸入室H1とを連通する弁孔L11の弁室側開口に対向して配置される弁部322と、を有する。開閉弁30は、冷媒がガス状態で受け面321に衝突している状態では、弁孔L11の弁室側開口を開放して低圧側冷媒循環路LLの開度を最大とし、冷媒が液状態で受け面321に衝突している状態では、低圧側冷媒循環路LLの開度を最小とするように構成される。【選択図】図3

Description

本発明は、圧縮機に関し、特に、冷凍装置の冷媒を圧縮して吐出する圧縮機に関する。
この種の圧縮機は、例えば、車両用空調システムに組み込まれ、冷凍装置の蒸発器からハウジング内の吸入室に導かれる冷媒を圧縮機構により圧縮して吐出するように構成されている。前記車両用空調システムにおいて、その冷凍装置の蒸発器と圧縮機との間の冷媒循環路(低圧側配管)が長くなると、圧縮機が長時間停止した場合に、前記冷媒循環路に液冷媒が多く残留する現象が起こる。そして、前記冷媒循環路の一部が圧縮機よりも重力方向下側に位置していると、停止状態の圧縮機内には、液冷媒がほとんど残留していない。例えば、このような状態で、圧縮機を起動させると、前記冷媒循環路内の液冷媒が一気に圧縮機に流入して、圧縮機内で液圧縮が発生する。その結果、圧縮機内で異常な圧力上昇や異音が発生するという問題があった。
上述の液圧縮に対する対策がなされた圧縮機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の圧縮機は、吐出容量を変更できる容量制御機構を備えた可変容量式の圧縮機であり、起動してから所定時間経過後に、容量制御信号を前記容量制御機構に送信することにより、液冷媒が一気に流入しないように構成され、これにより、液圧縮の低減を図っている。このように、特許文献1に記載の圧縮機は、可変容量式の圧縮機を前提とした制御により液圧縮の低減を図っている。
特開2008−157535公報
ここで、前記液圧縮の問題は、可変容量式の圧縮機に限らず、固定容量式の圧縮機においても発生し得る。
しかしながら、特許文献1に記載の圧縮機では、可変容量式の圧縮機を前提とした制御により前記液圧縮の低減を図っているため、この制御方法を固定容量式の圧縮機に適用して、固定容量式の圧縮機における液圧縮の問題を解決することはできない。そのため、液圧縮の問題に対して、制御的な対策ではなく、ハード(機構)的な対策が望まれている。
そこで、本発明は、液圧縮の低減を図ることができる機構を備えた圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、圧縮機は、圧縮機構をハウジング内に備え、冷凍装置の蒸発器から前記ハウジング内の吸入室内に導かれる冷媒を前記圧縮機構により圧縮して吐出する。前記圧縮機は、前記蒸発器と前記吸入室との間の低圧側冷媒循環路に設けられる開閉弁を備える。前記開閉弁は、前記低圧側冷媒循環路の一部を構成する弁室と、前記弁室に収容される弁体であって、前記弁室の前記蒸発器側の一端から流入する冷媒が衝突してその冷媒流れによる動圧を受ける受け面と、前記弁室の他端から前記吸入室に向かって延び前記弁室と前記吸入室とを連通する弁孔の弁室側開口に対向して配置される弁部と、を有する弁体と、前記弁体を前記弁室の前記一端側に向かって付勢する付勢部材と、を含む。前記開閉弁は、前記冷媒がガス状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記付勢部材の付勢力によって前記弁孔の弁室側開口の周囲に設けられる弁座から離れることにより、前記弁孔の弁室側開口を開放して前記低圧側冷媒循環路の開度を最大とし、前記冷媒が液状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記動圧によって前記弁座に当接することにより、前記冷媒循環路の開度を最小又は前記低圧側冷媒循環路を全閉とするように構成されている。
前記一側面による圧縮機において、前記開閉弁は、前記冷媒がガス状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記付勢部材の付勢力によって前記弁座から離れることにより、前記弁孔の弁室側開口を開放して前記低圧側冷媒循環路の開度を最大とし、前記冷媒が液状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記動圧によって前記弁座に当接することにより、前記低圧側冷媒循環路を全閉又は前記低圧側冷媒循環路の開度を最小とする。このため、前記冷媒がガス状態で流入する通常運転時には、前記付勢部材の付勢力を利用して前記低圧側冷媒循環路の全開状態を維持し、前記冷媒が液冷媒で流入する異常時には、前記受け面に衝突する前記冷媒の冷媒流れによる動圧を利用して前記低圧側冷媒循環路の開度を最小又は前記低圧側冷媒循環路を全閉として前記圧縮機構における液圧縮を低減することができる。つまり、可変容量式の圧縮機を前提とした制御ではなく、固定容量式及び可変容量式に共通の前記低圧側冷媒循環路に、動圧が過大になった場合にのみ前記低圧側冷媒循環路の開度を最小又は前記低圧側冷媒循環路を全閉とする前記開閉弁(機構)を設けることにより、液圧縮を低減することができる。
このようにして、固定容量式及び可変容量式のいずれにおいても液圧縮の低減を図ることができる開閉弁(機構)を備えた圧縮機を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る固定容量式の圧縮機の概略構成を説明するためのブロック図である。 前記圧縮機の開閉弁を含む要部の拡大断面図である。 液冷媒が流入した場合における前記開閉弁の状態を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る可変容量式の圧縮機の概略構成を説明するためのブロック図である。 前記開閉弁にシール部材を設けた変形例(変形例1)を示す図である。 前記開閉弁の規制部材の変形例を示す図である。 前記開閉弁の規制部材の別の変形例を示す図である。 前記開閉弁の絞り通路の変形例を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る圧縮機を説明する。実施形態に係る圧縮機は、主に車両用空調システムに適用される圧縮機として構成されている。第1実施形態では、吐出容量が固定されている固定容量式の圧縮機の場合の一例を、第2実施形態では、吐出容量を変更可能な可変容量式の圧縮機の場合の一例を、それぞれ挙げて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る固定容量式の圧縮機100の概略構成を説明するためのブロック図である。図2及び図3は、圧縮機100の要部の拡大断面図であり、図2は圧縮機停止時及び通常運転時における要部の状態を、図3は異常時における要部の状態の一例を示している。
圧縮機100は、図1に示すように、車両用空調システムに組み込まれ、ハウジング10と、圧縮機構20と、開閉弁30とを含んで構成されている。圧縮機100は、冷凍装置の蒸発器側から機外低圧側冷媒循環路L1及びハウジング10に形成された吸入ポートP1を経由して機内に流入する冷媒を圧縮機構20により圧縮する。そして、圧縮機100は、圧縮機構20により圧縮した冷媒を、ハウジング10に形成された吐出ポートP2及び機外高圧側冷媒循環路L2を経由して冷凍装置の凝縮器側へ吐出させ、冷媒を冷凍装置に循環供給するように構成されている。
前記ハウジング10は、図1から図3に示すように、複数のシリンダボア11aが形成されたシリンダブロック11と、シリンダブロック11の一端にバルブプレート12等を介して設けられ、吸入室H1及び吐出室H2が内部に区画形成されたシリンダヘッド13と、シリンダブロック11の他端に図示省略されたガスケット等を介して設けられたフロントハウジング14と、を含む。
シリンダブロック11のシリンダボア11a内には圧縮機構20を構成するピストン21が配置されている。このピストン21の端面とシリンダボア11aの内周面とバルブプレート12とによって圧縮室H3が形成されている。また、シリンダブロック11とフロントハウジング14とによってクランク室H4が形成されており、ピストン21を往復動させるための図示省略した駆動軸がクランク室H4内に設けられている。
シリンダヘッド13には、その中央部に配置された吸入室H1と、吸入室H1を環状に取り囲む吐出室H2とが区画形成されている。吸入ポートP1は、例えば、シリンダヘッド13の外周部に設けられ外部に開口するように形成されている。吸入ポートP1と吸入室H1とは、開閉弁30の後述する弁体32を収容する弁室31、及び、弁室31と吸入室H1とを連通する弁孔L11により連通されている。吸入室H1と圧縮室H3とは、バルブプレート12に設けられた連通孔12a、及び、吸入弁形成板15に形成された吸入弁15aからなる通路L12により連通されている。圧縮室H3と吐出室H2とは、バルブプレート12に設けられた連通孔12b及び吐出弁形成板16に形成された吐出弁16aからなる通路L21により連通されている。吐出ポートP2は、例えば、シリンダヘッド13の外周部に設けられ外部に開口するように形成されている。吐出室H2と吐出ポートP2とは、シリンダヘッド13の形成壁を貫通して形成される通路L22により連通されている。このようにして、冷凍装置の蒸発器側から機外低圧側冷媒循環路L1、吸入ポートP1、弁室31、弁孔L11、吸入室H1、通路L12(12a、15a)、圧縮室H3、通路L21(12b、16a)、吐出室H2、通路L22、吐出ポートP2、及び、機外高圧側冷媒循環路L2からなる冷媒循環路が構成されている。本実施形態では、前記蒸発器と吸入室H1との間の低圧側冷媒循環路LLは、機外低圧側冷媒循環路L1、吸入ポートP1、弁室31、及び、弁孔L11により構成されている。
前記圧縮機構20は、例えば、シリンダボア11a内を往復動して冷媒を圧縮する往復動式の機構を有して構成されるものである。圧縮機構20は、例えば、シリンダボア11a内に配置されるピストン21と、図示省略した駆動軸と、ピストン往復動機構22とを含む。前記駆動軸は、図示省略したエンジン等の外部駆動源に電磁クラッチを介して連結され、外部駆動源からの回転動力が電磁クラッチを介して伝達されると回転する。前記ピストン往復動機構は、ピストン21のクランク室H4側の端部に連結され、前記駆動軸の回転運動をピストン21の往復動に変換して伝達するものである。前記駆動軸が回転すると、ピストン21が一定のストロークでシリンダボア11a内を往復動するように構成されている。これにより、圧縮機構20を作動させると、冷凍装置の蒸発器からの冷媒は、低圧側循環路LLを介して吸入室H1に導かれた後、通路L12を経由して圧縮室H3に導入される。そして、圧縮室H3には、前記一定のストロークにより定まる一定の容量の冷媒が吸入されて圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出されて、通路L21、吐出室H2、吐出ポートP2、及び、機外高圧側冷媒循環路L2を経由して冷凍装置の凝縮器側に供給される。
このようにして、圧縮機構20をハウジング10内に備え、冷凍装置の蒸発器側からハウジング10内の吸入室H1内に導かれる冷媒を圧縮機構20により圧縮して吐出する固定容量式の圧縮機100が構成されている。
前記開閉弁30は、冷凍装置の前記蒸発器と吸入室H1との間の低圧側冷媒循環路LLに設けられる。本実施形態では、具体的には、開閉弁30は、低圧側冷媒循環路LLのうちのハウジング10(詳しくはシリンダヘッド13)内の部分を構成する機内通路に配置されている。言い換えると、開閉弁30は、ハウジング10内に収容されている。以下では、開閉弁30について詳述する。
本実施形態では、開閉弁30は、弁室31と、弁体32と、付勢部材33と、規制部材34と、絞り通路35とを含んで構成されている。
前記弁室31は、低圧側冷媒循環通路LLの一部を構成するものである。弁室31を形成する周壁31aは、例えば、シリンダヘッド13を形成するシリンダヘッド形成部材の一部からなる。弁室31の前記蒸発器側の一端は吸入ポートP1に接続されている。本実施形態では、弁室31は、一方向に直線的に延び、円柱状に形成されている。具体的には、弁室31は、その中心軸線が吸入ポートP1の中心軸線と一致する形成されている。また、弁室31の前記一端側には、規制部材34が配置され、弁室31の他端側には、弁体32の後述する弁部322が接離する円形の弁座31bが形成されている。この弁座31bは、例えば、前記シリンダヘッド形成部材の一部からなる。前述した弁孔L11は、この弁座31bと吸入室H1との間の前記シリンダヘッド形成部材を貫通するように形成されている。言い換えると、弁孔L11は、弁室31の前記他端から吸入室H1に向かって延び弁室31と吸入室H1とを連通し、弁座31bは、弁孔L11の弁室側開口の周囲に設けられる。このように、弁室31は、前記シリンダヘッド形成部材の一部からなる周壁31a及び弁座31bと、規制部材34とにより区画されている。
前記弁体32は、弁室31に収容され、樹脂又は金属等の適宜の材質からなる部材であり、弁室31の延伸方向の全長よりも短い全長を有して形成され、弁室31内で移動可能に支持されている。弁体32は、少なくとも受け面321と、弁部322とを有する。なお、本実施形態では、弁体32は、区画部323と、軸部324と、内部通路325と、を更に有している。これら(323、324、325)については後に詳述する。
前記受け面321は、弁室31の前記蒸発器側の一端から流入する冷媒が衝突してその冷媒流れによる動圧を受ける部位である。本実施形態では、受け面321は、弁室31の前記一端側の開口と対向するように配置されると共に、弁室31の延伸方向と直交するように延設されている。この受け面321は、本実施形態では、円形であり、弁部322の弁座31b側の端面とは反対側の一端面(言い換えると、後述する第1内部通路325a側の一端面)により構成されている。
ここで、前記動圧は、流体(冷媒)の流速Vの二乗と流体密度(冷媒密度)ρに比例する。例えば、冷媒としてR134aを使用する場合、10℃での冷媒密度ρは、ガス(蒸気)状態で約20kg/m3であり、液状態で約1261kg/m3である。このように、冷媒がガス状態から液状態に変わると、その冷媒密度が著しく大きくなる。そのため、冷媒が液状態で受け面321に衝突したときに受け面321に作用する動圧は、流速を同じとすれば、冷媒がガス状態で受け面321に衝突したときに受け面321に作用する動圧よりも著しく大きくなる。この受け面321に作用する動圧は、弁体32を閉弁方向に移動させる力となるため、冷媒が液状態で受け面321に衝突すると、弁体32を閉弁方向に移動させる力が急激に上昇する。開閉弁30は、液冷媒の流入により弁体32を閉弁方向に移動させる力が急激に上昇することを利用して、冷媒が液状態で受け面321に衝突している起動時等の異常時に、弁体32を閉弁方向に移動させるように構成されている。
前記弁部322は、弁孔L11の弁室側開口に対向して配置される。弁部322は、詳しくは、概ね円盤状に形成され、弁孔L11の孔径より大きな外径を有し、弁孔L11の弁室側開口及びその周囲の弁座31bに対向する。弁部322は、その前記一端面が受け面321を構成し、その他端面が弁座31bに当接する。
前記付勢部材33は、弁体32を弁室31の前記一端側に向かって付勢する部材であり、例えば、圧縮コイルばねからなるものである。付勢部材33は、その一端が弁座31bに当接し、その他端が後述する区画部323の軸部324側の端面に当接している。付勢部材33は、図2に示すように、弁体32を開弁方向に付勢し、圧縮機停止時及び冷媒がガス状態で受け面321に衝突している通常運転時では、弁体32の区画部323を規制部材34に押付けている。このように、圧縮機停止時及び通常運転時では、弁体32が付勢部材33により付勢されて規制部材34に押付けられる。この状態で、弁部322は弁座31bから最大に離れて、低圧側冷媒循環路LLの開度が最大(全開)となる。この付勢部材33の付勢力の設定については、後に詳述する。
前記規制部材34は、弁室31の前記一端側に配置され、弁体32の前記蒸発器側への移動を規制する円環状の部材である。また、規制部材34には、弁室31の前記一端側の開口断面積よりも小さい孔断面積を有する入口孔34aが形成されている。規制部材34は、例えば、ばね用鋼製の止め輪からなるものである。規制部材34は、弁室31を形成する周壁31aの吸入ポートP1側の端部に形成された溝部内に係止された状態で、その内側部分が周壁31aから内側に突出している。規制部材34の前記内側部分が弁体32(詳しくは区画部323)に当接して弁体32の移動を規制している。
前記絞り通路35は、弁孔L11の孔断面積よりも小さい通路断面積を有し、弁部322が弁座31bに当接した状態で、低圧側冷媒循環路LLの開度を最小として最小流量の冷媒の流れを許容するものである。したがって、本実施形態では、弁部322が閉弁方向に移動して弁座31bに当接した状態(異常時)であっても、冷媒(液冷媒)の最小流量の流れは許容されている。つまり、低圧側冷媒循環路LLの異常時における最小開度は、絞り通路35の流路断面積で設定されている。
本実施形態では、絞り通路35は、弁部322に形成されている。具体的には、絞り通路35は、弁部322の前記一端面と弁部322の前記他端面との間を貫通し、その前記他端面側の開口が弁孔L11の弁室側開口と対向するように形成されている。
このようにして、本実施形態では、開閉弁30は、図2に示すように、冷媒がガス状態で受け面321に衝突している状態では、弁部322が付勢部材33の付勢力によって弁座31bから離れることにより、弁孔L11の弁室側開口を開放して低圧側冷媒循環路LLの開度を最大とするように構成されている。また、開閉弁30は、図3に示すように、冷媒が液状態で受け面321に衝突している状態では、弁部322が受け面321に作用する前記動圧によって弁座31bに当接することにより、低圧側冷媒循環路LLの開度を最小とするように構成されている。つまり、開閉弁30は、圧縮機停止時及び冷媒がガス状態で受け面321に衝突している通常運転時(図2参照)には、付勢部材33により低圧側冷媒循環路LLの開度を最大にする。そして、開閉弁30は、冷媒が液状態で受け面321に衝突している起動時等の異常時(図3参照)には、冷媒密度の上昇による動圧の急激な上昇を受け面321により感知し、受け面321に作用する動圧を利用して付勢部材33の付勢力に抗して弁体32を、その弁部322が弁座31bに当接するところまで移動させる。開閉弁30は、この閉弁状態であっても、絞り通路35により、最小流量の液冷媒の流れを許容する。
次に、前述した区画部323、軸部324及び内部通路325について説明する。
本実施形態では、弁体32は、前述したように、区画部323と、軸部324と、内部通路325と、を更に有している。
前記区画部323は、弁室31を前記一端側の領域である第1領域S1(図3参照)と前記他端側の領域である第2領域S2(図2参照)とに区画する円筒状の部材である。区画部323は、その外周面が弁室31を形成する周壁31aの内周面に支持されると共に、その第2領域S2側の端面が付勢部材33により押圧される。具体的には、区画部323は、弁部322よりも規制部材34側に配置されている。区画部323の外周面と弁室31を形成する周壁31aの内周面との間の隙間は、冷媒に混入して流れる異物が引っ掛からない程度に小さく設定されている。
前記軸部324は、弁部322と区画部323との間を連結し区画部323より小径の外径を有する円筒状の部材であり、例えば、弁部322の外径と同径の外径を有すると共に、区画部323の内径と略同径の内径を有する。
前記内部通路325は、第1領域S1と第2領域S2とを連通する通路であり、第1内部通路325aと、第2内部通路325bとにより構成されている。
前記第1内部通路325aは、区画部323及び軸部324の内側の領域からなり、その通路終端が弁部322により規定される。第1内部通路325aは、規制部材34に形成された入口孔34aから流入する冷媒を弁体32内に受け入れるための円柱状の領域であり、その中心軸線が弁室31の中心軸線及び吸入ポートP1の中心軸線と一致するように形成されている。第1内部通路325a内に流入した冷媒は、第1内部通路325aの通路終端に位置する受け面321に衝突する。
前記第2内部通路325bは、第1内部通路325aと第2領域S2とを連通する通路であり、第1内部通路325a内に受け入れられた冷媒を第2領域S2に導くための通路である。本実施形態では、第2内部通路325bは、具体的には、軸部324の周壁を貫通する軸部通路325b1と、前述した絞り通路35とにより構成されている。軸部通路325b1は、例えば、軸部324の周方向に間隔をあけて複数個所(図2及び図3では4箇所)に設けられている。冷媒がガス状態で受け面321に衝突している通常運転時(図2参照)には、第1内部通路325a内に受け入れられた冷媒の大半は、第2内部通路325bのうちの軸部通路325b1を経由して第2領域S2に導かれ、その後、弁孔L11を介して吸入室H1に導かれる。一方、冷媒が液状態で受け面321に衝突している起動時等の異常時(図3参照)には、第1内部通路325a内に受け入れられた冷媒は、絞り通路35及び弁孔L11を経由して吸入室H1に導かれる。
ここで、吸入ポートP1、入口孔34a、第1内部通路325a、第2内部通路325b(複数の軸部通路325b1、絞り通路35)、及び、弁孔L11の各断面積の大小関係について説明する。つまり、低圧側冷媒循環路LLのうちのハウジング10内の部分を構成する機内通路の各部位における断面積について説明する。
本実施形態では、前記機内通路の中で、吸入ポートP1は最大の通路断面積を有し、絞り通路35は最小の通路断面積を有する。そして、入口孔34aの孔断面積が弁孔L11の孔断面積よりも大きくなるように設定されている。また、第1内部通路325aの通路断面積は、弁孔L11の孔断面積よりも大きく設定されている。同様に、第2内部通路325bの通路断面積(つまり、本実施形態では4つの軸部通路325b1の合計通路断面積と、絞り通路35の通路断面積との総合計の面積)は、弁孔L11の孔断面積よりも大きく設定されている。したがって、第1内部通路325aの通路断面積、及び、第2内部通路325aの通路断面積は、それぞれ、入口孔34aの孔断面積と弁孔L11の孔断面積のうちの小さい方(本実施形態では、弁孔L11の孔断面積)の孔断面積よりも大きく設定されている。つまり、内部通路325の部分が前記機内通路の中の絞り部にならないように、内部通路325の通路断面積は、弁孔L11の孔断面積よりも大きく設定されている。このため、冷媒の流量が増大しても、第1領域S1の圧力と第2領域S2の圧力との差圧(静圧差)により弁体32に作用する力はさほど大きくならない。したがって、弁体32が作動して閉弁方向に移動するか否かは、概ね、受け面321に作用する動圧による閉弁方向の力が付勢部材33の付勢力による開弁方向の力よりも大きいか否かで決まり、動圧が弁体32の作動についての支配的なパラメータとなる。
次に、付勢部材33の付勢力の設定について説明する。
本実施形態では、付勢部材33は、冷媒がガス状態で受け面321に衝突している通常運転時において、前記動圧の所定の最大動圧(通常運転時に想定される最大の動圧)により受け面321に作用する力よりも大きい付勢力を有する。つまり、付勢部材33の付勢力は、圧縮機停止時及び前記通常運転時では、図2に示すように、低圧側冷媒循環路LLを最大開度に維持するように設定されている。
次に、本実施形態における圧縮機100の開閉弁30の動作を図1及び図3を参照して説明する。なお、本実施形態では、図1に示すように、冷凍装置の蒸発器と圧縮機100との間の機外低圧側冷媒循環路L1は比較的に長く、且つ、その一部が圧縮機100よりも重力方向下側に位置している。したがって、圧縮機100が長時間停止した場合には、機外低圧側冷媒循環路L1のうちの少なくとも高さ位置が低い部位には、液冷媒が多く残留する。そして、圧縮機100は、長時間停止すると、液冷媒が内部にほとんど残留していない状態になる。以下では、このような状態で、圧縮機100を起動させたものとして説明する。
圧縮機100を起動させると、まず、機外低圧側冷媒循環路L1内のガス状態の冷媒が吸入ポートP1を介して圧縮機100内に流入する。吸入ポートP1に流入したガス状態の冷媒は、入口孔34aを介して第1内部通路325aに流入して受け面321に衝突する。このときに生じる動圧により弁体32に作用する閉弁方向の力は付勢部材33の付勢力よりも小さいため、開閉弁30は低圧側冷媒循環路LLを最大開度に維持している。そのため、第1内部通路325a内に流入したガス冷媒は、第2内部通路325bを介して、第2領域S2に流入する。そして、第2領域S2に流入した冷媒は、弁孔L11を流通して、吸入室H1に導かれる。吸入室H1に導かれた冷媒は、通路L12を流通して、圧縮室H3に導かれて、ピストン21により圧縮される。圧縮された冷媒は、通路L21、吐出室H2、通路L22、及び、吐出ポートP2を経由して吐出される。
次に、上記ガス状態の冷媒に遅れて、吸入ポートP1には機外低圧側冷媒循環路L1内に残留していた液状態の冷媒が一気に流入し始める。この液状態の冷媒が受け面321に衝突すると、受け面321は、液冷媒の冷媒流れによる動圧を受けて、冷媒密度の上昇による動圧の急激な上昇を感知する。このとき、受け面321に作用する動圧による閉弁方向の力が付勢部材33の付勢力による開弁方向の力よりも大きくなり、弁体32は、動圧によりその弁部322が弁座31bに当接するところまで移動する。開閉弁30は、この閉弁状態であっても、絞り通路35により低圧側冷媒循環路LLを最小開度とし、最小流量の液冷媒の流れを許容する。絞り通路35を流通した液冷媒は、弁孔L11、吸入室H1、通路L12を介して圧縮室H3に導かれることになる。しかし、圧縮室H3に導かれる液冷媒の流量は微小であるため、液圧縮による圧力上昇や異音の発生は無視できる程度である。
その後、機外低圧側冷媒循環路L1内の液冷媒が無くなり、受け面321にガス状態の冷媒が衝突し始める。このとき、受け面321に作用する動圧による閉弁方向の力が付勢部材33の付勢力による開弁方向の力よりも小さくなり、弁体32は、付勢力によりその区画部323が規制部材34に当接するところまで移動する。この状態で、開閉弁30は低圧側冷媒循環路LLを最大開度に維持する。これにより、圧縮機100は通常運転状態に復帰する。
本実施形態による圧縮機100によれば、開閉弁30は、冷媒がガス状態で受け面321に衝突している状態では、弁部322が付勢部材33の付勢力によって弁座31bから離れることにより、弁孔L11の弁室側開口を開放して低圧側冷媒循環路LLの開度を最大とし、冷媒が液状態で受け面321に衝突している状態では、弁部322が動圧によって弁座31bに当接することにより、低圧側冷媒循環路LLの開度を最小とする。このため、冷媒がガス状態で流入する通常運転時には、付勢部材33の付勢力を利用して低圧側冷媒循環路LLの全開状態を維持し、冷媒が液冷媒で流入する異常時には、受け面321に衝突する冷媒の冷媒流れによる動圧を利用して低圧側冷媒循環路LLの開度を最小として圧縮機構20における液圧縮を低減することができる。つまり、可変容量式の圧縮機を前提とした制御ではなく、固定容量式及び可変容量式に共通の低圧側冷媒循環路LLに、動圧が過大になった場合にのみ低圧側冷媒循環路LLの開度を最小とする開閉弁30(機構)を設けることにより、液圧縮を低減することができる。
このようにして、固定容量式及び可変容量式のいずれにおいても液圧縮の低減を図ることができる開閉弁30(機構)を備えた圧縮機100を提供することができる。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る可変容量式の圧縮機100’の概略構成を説明するためのブロック図である。なお、この可変容量式の圧縮機100’における開閉弁30は、第1実施形態の固定容量式の圧縮機100における開閉弁30と同じである。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明し、同じ要素については同じ符号をつけて説明を省略する。
前記圧縮機100’は、クランク室(調圧室)H4内の調圧によって冷媒の吐出容量を変更できるように構成された斜板式の可変容量圧縮機である。
本実施形態において、図示省略した前記駆動軸は、クランク室H4を横断(図4では左右方向に延伸)し、その一端部がフロントハウジング14を貫通してフロントハウジング14の外側まで延伸している。前記駆動軸は、その前記一端部が図示省略したエンジン等の外部駆動源に電磁クラッチを介して連結され、外部駆動源からの回転動力が電磁クラッチを介して伝達されると回転する。
本実施形態において、ピストン往復動機構22は、前記駆動軸に固定されるロータ(図示省略)にリンク機構(図示省略)を介して連結される概ね円盤状の斜板221を含む。斜板221の中央部には、前記駆動軸が挿通される貫通孔(図示省略)が形成されている。斜板221は、前記貫通孔に前記駆動軸が挿通された状態で、その外周部が一対のシュー222を介してピストンのクランク室H4側に突設された端部223に収容されている。前記貫通孔は、斜板221が最大傾角から最小傾角の範囲で傾動可能な形状に形成されている。斜板221が前記駆動軸に直交するときの斜板221の傾角を0°とした場合、前記最小傾角は略0°となる。また、前記駆動軸には、傾角を減少させる方向に斜板221を付勢する傾角減少バネ(図示省略)と、傾角を増大させる方向に斜板221を付勢する傾角増大バネ(図示省略)とが、斜板221を挟んで装着されている。圧縮機停止時には、斜板221の傾角が、例えば、最小傾角よりも若干大きくなるように各バネの付勢力が設定されている。ピストン往復動機構22は、前記駆動軸が回転すると、前記駆動軸と伴に回転し、斜板221及び一対のシュー222を介して回転運動をピストン21の往復動に変換する。ピストン21のストロークは、斜板221の傾角により定まる。冷媒の吐出容量は、斜板221の傾角が大きいほど大きくなる。斜板221の傾角は、後述する制御弁40により適宜に調整できるように構成されている。
圧縮機100’は、圧力供給通路L3と、放圧通路L4と、制御弁40とを更に含む。 前記圧力供給通路L3は、吐出室H2とクランク室H4とを連通する通路であり、吐出室H2とクランク室H4との間のシリンダヘッド13やシリンダブロック11や貫通するように形成されている。また、圧力供給通路L3には、制御弁40が設けられている。前記放圧通路L4は、クランク室H4と吸入室H1とを連通し、クランク室H4内の冷媒を吸入室H1に流出させる(排出する)ための通路である。放圧通路L4には、オリフィス等の絞り部OLが設けられている。
前記制御弁40は、圧力供給通路L3の開度(通路断面積)を調整し、これによって、吐出室H2内の冷媒のクランク室H4への導入量(圧力供給量)を制御するものである。制御弁40は、例えば、シリンダヘッド13内に設けられる。制御弁40には、連通路L5を介して吸入室H1の圧力が導入されるように構成されている。制御弁40は、具体的には、連通路L5を介して導入される吸入室H1の圧力と、外部信号に基づき内蔵するソレノイドに流れる電流によって発生する電磁力とに応じて圧力供給通路L3の開度(通路断面積)を調整し、これによって、吐出室H2内の冷媒のクランク室H4への導入量(圧力供給量)を制御する。制御弁40は、クランク室H4への導入量を制御することにより、斜板221の傾角、つまり、ピストン21のストロークを増大又は減少させる。詳しくは、冷媒のクランク室H4への導入量を増大させると、吐出容量を減少させることができ、導入量を減少させると、吐出容量を増大させることができる。このようにして、制御弁40により冷媒の吐出容量を可変制御できるように構成されている。
ここで、制御弁40は、圧縮機停止時には、前記ソレノイドへの通電が遮断され、圧力供給通路L3の開度を最大にするように構成されている。また、圧縮機100’内に液冷媒が残留していない状態で、圧縮機100’が起動されると共に外部信号に基づいて制御弁40の前記ソレノイドに電流が流れると、制御弁40は、圧力供給通路L3を全閉する特性を有している。その結果、起動直後に、クランク室H4内の圧力が急激に低下する。そして、このクランク室H4内の圧力低下に応じて斜板221の傾角が直ちに最大になり、これにより、冷媒の吐出容量は最大吐出容量になる。このような現象は、従来の斜板式の可変容量圧縮機において共通する現象である。したがって、従来の斜板式の可変容量圧縮機において、起動後に、ガス状態の冷媒が流入し、その後遅れて液冷媒が流入すると、吐出容量が最大吐出容量の状態で圧縮することになるため、液圧縮により著しい圧力上昇や異音が発生する。そのため、液圧縮の低減は、固定容量式の圧縮機よりも強く求められている。この点、本実施形態における可変容量式の圧縮機100’は、第1実施形態で詳述した開閉弁30を有しているため、固定容量式の圧縮機100と同じように、液圧縮を低減することができる。
上記各実施形態では、弁室31は、一方向に直線的に延び、例えばその中心軸線が吸入ポートP1の中心軸線と一致するように形成され、受け面321は、弁室31の前記一端側の開口と対向するように配置されている。これにより、吸入ポートP1に流入した液冷媒が受け面321に衝突するまでの間に、その液冷媒の流れを緩めることなく、受け面321に直接的に衝突させることができる。その結果、動圧の上昇を受け面321で確実に感知することができるため、液冷媒が流入する異常時に弁体32を確実に作動させることができる。弁室31は、より具体的には、その中心軸線が吸入ポートP1の中心軸線と一致するように形成されている。
上記各実施形態では、受け面321は、弁室31の延伸方向と直交するように延設されている。このため、液冷媒の流入による動圧の上昇をより確実に感知し、弁体32をより確実に作動させることができる。
上記各実施形態では、開閉弁30は、弁部322が弁座31bに当接した状態で、低圧側冷媒循環路LLの開度を最小として最小流量の冷媒の流れを許容する絞り通路35を有する。これにより、液冷媒が流入する異常時に、液圧縮を低減しつつ、最小流量の液冷媒の流れを許容することができる。その結果、液圧縮による異常な圧力上昇や異音の発生を防止又は抑制しつつ、低圧側冷媒循環路LLを全閉した場合に想定される弁体32の微小な振動の発生を防止することができる。
上記各実施形態では、弁体32は、弁室31を第1領域S1と第2領域S2とに区画する区画部323と、区画部323と弁部322との間を連結する軸部324と、第1内部通路325aと第2内部通路325bとからなり第1領域S1と第2領域S2と連通する内部通路325、を更に有している。このように、通常運転時において、冷媒を流通させるための通路を、弁体32の内部に形成したため、開閉弁30をコンパクトに形成することができる。また、第1内部通路325aは、弁体32の区画部323及び軸部324の内側の領域からなると共に、その通路終端が弁部322(受け面321)により規定されている。これにより、入口孔34aを介して第1領域S1に流入した冷媒を、第1内部通路325aにより効率的に受け入れると共に、その通路終端に位置させた受け面321により冷媒流れの動圧を効果的に受けることができる。
上記各実施形態では、第2内部通路325bは、軸部324の周壁を貫通する軸部通路325b1と、絞り通路35とにより構成されている。これにより、内部通路325の一部を利用して、絞り通路35を容易に形成することができるため、弁体32をコンパクトに形成することができる。
上記各実施形態では、絞り通路35は、弁部322に形成される構成としため、絞り通路35をより容易に形成することができる。
上記各実施形態では、開閉弁30は、第1内部通路325aの通路断面積、及び、第2内部通路325bの通路断面積は、それぞれ、入口孔34aの孔断面積と弁孔L11の孔断面積のうちの小さい方の孔断面積よりも大きく設定されている。これにより、内部通路325の部分が絞り部にならないようにすることができるため、第1領域S1の圧力と第2領域S2の圧力との差圧により弁体32に作用する力を小さくすることができる。その結果、弁体32が閉弁方向に移動するか否かを、概ね、受け面321に作用する動圧による閉弁方向の力と付勢部材33の付勢力による開弁方向の力の大小関係のみにより規定することができる。したがって、液冷媒が流入する異常時に開閉弁30が閉弁方向に動作するように、付勢部材33の付勢力を容易に設定することができる。
上記各実施形態では、付勢部材33は、冷媒がガス状態で受け面321に衝突している通常運転時において、動圧の所定の最大動圧により受け面321に作用する力よりも大きい付勢力を有する。これにより、圧縮機停止時及び前記通常運転時では、低圧側冷媒循環路LLを最大開度に維持することができるため、通常運転を妨げないように構成することができる。
上記各実施形態では、開閉弁30は、低圧側冷媒循環路LLのうちのハウジング10(シリンダヘッド13)内の部分を構成する通路に配置されている。これにより、開閉弁30を圧縮機100の本体と一体的に設けることができる。
上記各実施形態では、弁室31及び弁座31bは、ハウジング10(シリンダヘッド13)を形成するハウジング形成部材(シリンダヘッド形成部材)と一体的に形成されている。これにより、弁体32を収容するケース部材が不要となり、開閉弁30をコンパクトに形成できると共に、開閉弁30の構造を簡素化することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。そのうちのいくつかを以下に記載する。
例えば、図5に示すように、開閉弁30は、弁部322と弁座31bとの間に配置された弾性を有するシール部材36を更に備えてもよい。シール部材36は、樹脂又はゴム材料からなる。これにより、弁体32の弁部322が弁座31bに直接的に衝突することがないため、異常時における弁部322の衝撃を緩和し、開閉弁30の作動に起因する異音の発生を防止することができる。
また、規制部材34は、止め輪からなる場合を一例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、図6に示すように、規制部材34は、周壁31aの一部を塑性変形させて形成した突設させた複数の突設部34bからなるものとしてもよい。この場合、弁体32及び付勢部材33を弁室31に挿入した後に、適宜の治具により、周壁31aの一部をその内周面から内側に突出するように塑性変形させることにより、複数の突設部34bを形成すればよい。また、図7に示すように、規制部材34を、吸入ポートP1に接続する機外低圧側冷媒循環路L1の接続部により構成してもよい。前記接続部よりなる規制部材34は、吸入ポートP1内に挿入される嵌合部341と、規制部材34をシリンダヘッド13に固定するためのフランジ部342と、嵌合部341と吸入ポートP1の内周面との間に設けられるシール部材343とを有し、嵌合部341の端面により、弁体32の移動を規制するように構成されている。この場合、嵌合部341の弁室31側の開口が、入口孔34aとなる。図6及び図7に示す変形例により、規制部材34としての専用部品が不要となり、開閉弁30の構造を簡素化することができる。
また、絞り通路35は、弁部322を貫通させて形成する構成に限らない。例えば、図8に示すように、絞り通路35は、弁部322と弁座31bにより協働して形成してもよい。具体的には、弁部322の周縁部から突設される円環状突設部322aに溝を形成し、弁部322の円環状突設部322aが弁座31bに当接したときに、前記溝と弁座31bにより絞り通路35が形成されるように構成する。
また、上記各実施形態では、開閉弁30は、規制部材34を備えるものとしたが、備えなくてもよい。この場合、通常運転時において、弁体32が不安定にならないように付勢部材33の付勢力を設定すればよい。また、弁体32は、区画部323及び軸部324を含むものとしたが、これに限らない。例えば、弁体32は、弁部322と付勢部材33の機能を一体化させた板状のリード弁により構成してもよい。この場合、リード弁形成板の一端が弁座31bに固定され、他端が弁孔L11の弁室側開口と対向すると共に初期状態で弁座31bとの間に所定の隙間が確保されるように配置する。この所定の隙間は、低圧側冷媒循環路LLの前記最大開度を確保可能に設定される。そして、リード弁形成板の他端に受け面321を形成すると共に、リード弁形成板の受け面321の部位を貫通させて絞り通路35を形成するとよい。
また、上記各実施形態では、絞り通路35を設ける場合を一例に挙げて説明したが、絞り通路35は設けなくてもよい。この場合、開閉弁30は、冷媒が液状態で受け面321に衝突している状態では、弁部322が動圧によって弁座31bに当接することにより、低圧側冷媒循環路LLを全閉とするように構成されている。そのため、異常時には、弁体32が微小に振動する可能性があるが、液圧縮による異常な圧力上昇や異音の発生を低減又は防止するという課題については解決できる。
また、上記各実施形態では、前記ハウジング形成部材を利用して弁室31及び弁座31bを構成したが、これに限らず、弁室31及び弁座31bを構成するケース部材を別途設けてもよい。この場合、弁体32及び付勢部材33を前記ケース部材に収容し、開閉弁30の組立体をシリンダヘッド13内に配置してもよい。また、開閉弁30は、低圧側冷媒循環路LLのうちのハウジング10内の部分を構成する機内通路に限らず、機外低圧側冷媒循環路L1に配置してもよい。この場合、開閉弁30の前記組立体を機外低圧側冷媒循環路L1に接続すればよい。
圧縮機100、100’は、電磁クラッチを装着した圧縮機に限らず、クラッチレス圧縮機としてもよい。圧縮機100、100’の圧縮機構20は、ピストン往復動式に限らず、スクロール式、ベーン式等の適宜の形式の圧縮機構を備えてもよい。また、可変容量式の圧縮機100’は、斜板式に限らず、揺動板式であってもよい。また、圧縮機100、100’は、圧縮機構20を駆動するモータと一体化されていてもよい。
10・・・・・ハウジング
20・・・・・圧縮機構
30・・・・・開閉弁
31・・・・・弁室
31a・・・・弁座
32・・・・・弁体
321・・・・受け面
322・・・・弁部
323・・・・区画部
324・・・・軸部
325・・・・内部通路
325a・・・第1内部通路
325b・・・第2内部通路
325b1・・軸部通路
33・・・・・付勢部材
34・・・・・規制部材
34a・・・・入口孔
35・・・・・絞り通路
36・・・・・シート部材
100・・・・固定容量式の圧縮機(圧縮機)
100’・・・可変容量式の圧縮機(圧縮機)
L11・・・・弁孔
LL・・・・・低圧側冷媒循環路
H1・・・吸入室

Claims (12)

  1. 圧縮機構をハウジング内に備え、冷凍装置の蒸発器から前記ハウジング内の吸入室に導かれる冷媒を前記圧縮機構により圧縮して吐出する圧縮機であって、
    前記蒸発器と前記吸入室との間の低圧側冷媒循環路に設けられる開閉弁を備え、
    前記開閉弁は、
    前記低圧側冷媒循環路の一部を構成する弁室と、
    前記弁室に収容される弁体であって、前記弁室の前記蒸発器側の一端から流入する冷媒が衝突してその冷媒流れによる動圧を受ける受け面と、前記弁室の他端から前記吸入室に向かって延び前記弁室と前記吸入室とを連通する弁孔の弁室側開口に対向して配置される弁部と、を有する弁体と、
    前記弁体を前記弁室の前記一端側に向かって付勢する付勢部材と、
    を含み、
    前記冷媒がガス状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記付勢部材の付勢力によって前記弁孔の弁室側開口の周囲に設けられる弁座から離れることにより、前記弁孔の弁室側開口を開放して前記低圧側冷媒循環路の開度を最大とし、前記冷媒が液状態で前記受け面に衝突している状態では、前記弁部が前記動圧によって前記弁座に当接することにより、前記低圧側冷媒循環路の開度を最小又は前記低圧側冷媒循環路を全閉とするように構成されている、
    圧縮機。
  2. 前記弁室は、一方向に直線的に延び、
    前記受け面は、前記弁室の前記一端側の開口と対向するように配置されている、請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記受け面は、前記弁室の延伸方向と直交するように延設されている、請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記開閉弁は、前記弁孔の孔断面積よりも小さい通路断面積を有する絞り通路であって前記弁部が前記弁座に当接した状態で、前記低圧側冷媒循環路の開度を最小として最小流量の前記冷媒の流れを許容する絞り通路を、更に有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の圧縮機。
  5. 前記弁室は、円柱状に形成され、
    前記弁体は、前記弁室を前記一端側の領域である第1領域と前記他端側の領域である第2領域とに区画する円筒状の区画部と、前記区画部と前記弁部との間を連結し前記区画部より小径の外径を有する円筒状の軸部と、前記第1領域と前記第2領域とを連通する内部通路と、を更に有し、
    前記区画部は、その外周面が前記弁室を形成する周壁の内周面に支持されると共に、その前記第2領域側の端面が前記付勢部材により押圧され、
    前記内部通路は、前記区画部及び前記軸部の内側の領域からなる第1内部通路であって、その通路終端が前記弁部により規定される第1内部通路と、前記第1内部通路と前記第2領域とを連通する第2内部通路とにより構成され、
    前記弁部は、その前記第1内部通路側の一端面が前記受け面を構成し、その他端面が前記弁座に当接する、請求項4に記載の圧縮機。
  6. 前記第2内部通路は、前記軸部の周壁を貫通する軸部通路と、前記絞り通路とにより構成されている、請求項5に記載の圧縮機。
  7. 前記絞り通路は、前記弁部に形成されている、請求項6に記載の圧縮機。
  8. 前記絞り通路は、前記弁部と前記弁座により協働して形成されている、請求項6に記載の圧縮機。
  9. 前記開閉弁は、前記弁室の前記一端側に配置され、前記弁体の前記蒸発器側への移動を規制すると共に前記弁室の前記一端側の開口断面積よりも小さい孔断面積を有する入口孔が形成された円環状の規制部材を更に含み、
    前記第1内部通路の通路断面積、及び、前記第2内部通路の通路断面積は、それぞれ、前記入口孔の前記孔断面積と前記弁孔の孔断面積のうちの小さい方の孔断面積よりも大きく設定されている、請求項5〜8のいずれか一つに記載の圧縮機。
  10. 前記付勢部材は、前記冷媒がガス状態で前記受け面に衝突している通常運転時において、前記動圧の所定の最大動圧により前記受け面に作用する力よりも大きい付勢力を有する、請求項5〜9のいずれか一つに記載の圧縮機。
  11. 前記弁部と前記弁座との間に配置された弾性を有するシール部材を更に備える、請求項1〜10のいずれか一つに記載の圧縮機。
  12. 前記開閉弁は、前記蒸発器と前記吸入室との間の前記低圧側冷媒循環路のうちの前記ハウジング内の部分を構成する通路に配置される、請求項1〜11のいずれか一つに記載の圧縮機。
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