JP2018065943A - 不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体及びabx型ハイパーブランチポリマー - Google Patents

不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体及びabx型ハイパーブランチポリマー Download PDF

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Toru Tanaka
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渡辺 圭太
Keita Watanabe
圭太 渡辺
熊木 尚
Takashi Kumaki
尚 熊木
中 建介
Kensuke Naka
建介 中
裕顕 井本
Hiroaki Imoto
裕顕 井本
颯太 湯浅
Sota Yuasa
颯太 湯浅
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【課題】自己重合により単独で高分子量化が可能な、不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体と、該誘導体から製造されるABX型ハイパーブランチポリマーの提供。【解決手段】不完全縮合型シルスキオキサン誘導体に由来する式(I)で表される構造単位を含む、ABX型ハイパーブランチポリマー。(R1〜R3は夫々独立に、特定のアルキル基又はアリール基;kは0〜8の整数;「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位;各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、「**」と結合していない「*」はH)【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体、及び該誘導体から製造されるAB型ハイパーブランチポリマーに関する。
シルセスキオキサンは、トリクロロシラン又はトリアルコキシシランのゾルゲル反応を用いて製造され、優れた耐熱性、電気絶縁性、及び透明性を示し、有機・無機ハイブリッド材料のビルディングブロックとして注目されている。このシルセスキオキサンには、特定の構造が無いランダム型、並びに、構造を決定できるラダー型及びかご型の存在が知られている。なかでも、剛直な立方体構造を有するかご型シルセスキオキサンT8及び不完全縮合型シルセスキオキサンは、かごの各頂点において有機修飾が可能である(非特許文献1)。そのため、分子レベルで構造設計することにより屈折率、又は誘電率などの特性を制御できることが期待されている。例えば、単独で高分子量化が可能なかご型シルセスキオキサン又はシルセスキオキサン誘導体があれば、高分子量化した材料の特性を評価することにより単位構造と物性の相関が把握できると考えられる。
Chemical Reviews,(2010),110,2081〜2173
本発明の実施形態は、自己重合により単独で高分子量化が可能な、新規の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体と、該誘導体から製造される新規のAB型ハイパーブランチポリマーを提供することを課題とする。
本発明の一実施形態は、一般式(IV)の(IV−a)〜(IV−c)のいずれかで表される、不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体に関する。
Figure 2018065943
(一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
本発明の別の実施形態は、一般式(I)の(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される1種以上の構造単位を2つ以上含む、AB型ハイパーブランチポリマーに関する。
Figure 2018065943
(一般式(I)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位を示し、各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、各構造単位の少なくとも一つの「*」は別の構造単位の「**」と結合し、「**」と結合していない「*」は水素原子である。)
本発明のさらに別の実施形態は、一般式(I)の(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される1種以上の構造単位を2つ以上含むAB型ハイパーブランチポリマーの製造方法であって、
下記一般式(II)で表されるシルセスキオキサン誘導体に強塩基を作用させて、一般式(V)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を得る工程、
前記一般式(V)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体と、一般式(III)で表されるクロロシランとを反応させて、下記一般式(IV)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を得る工程、及び
前記一般式(IV)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を重合させる工程を含む、AB型ハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
Figure 2018065943
(一般式(I)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位を示し、各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、各構造単位の少なくとも一つの「*」は別の構造単位の「**」と結合し、「**」と結合していない「*」は水素原子である。)
Figure 2018065943
(一般式(II)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
Figure 2018065943
(一般式(V)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
Figure 2018065943
(一般式(III)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
Figure 2018065943
(一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
本発明の実施形態によれば、新規材料として有用な不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体と、該誘導体から製造される新規のAB型ハイパーブランチポリマーを提供することができ、各種電気・電子材料、及び機能性材料等への応用が期待できる。
不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体の一実施例のH NMRスペクトル図である。 不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体の一実施例の29Si NMRスペクトル図である。
1.不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体
本実施形態の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体は、シルセスキオキサン骨格を含み、下記の一般式(IV)の(IV−a)〜(IV−c)のいずれかにより表される(以下、この誘導体を「不完全縮合型SQ誘導体IV」とも記す。)。
Figure 2018065943
一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、アルキル基は炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。アリール基は、炭素数6〜14であることが好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。より具体的には、これらに限定はされないが、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びイソオクチル基等を挙げることができ、好ましいアリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。kは0〜8までの整数を表し、0または1であることがより好ましい。さらに、すべてのR、R及びRは同一の置換基であることが好ましい。
上記一般式(IV)に示されるとおり、この不完全縮合型SQ誘導体IVは2種類の官能基を含み、複数の反応点を持ち、自己重合をすることができる。具体的には、該誘導体のビニル基とヒドロシリル基(−SiH)とが酸化的付加反応をするため、自己重合が可能であり、よって、AB型ハイパーブランチポリマーのビルディングブロックとなる。なかでも、ビニル基1つに対しヒドロシリル基を3つ有する(ビニル基:ヒドロシリル基=1:3)、一般式(IV−a)又は(IV−b)のAB型不完全縮合型SQ誘導体IVであることが好ましく、特には、ヒドロシリル基がビニル基に対しパラ位に導入された(すなわち、ビニル基が結合するケイ素原子に対してパラ位に位置するケイ素原子の脱離によりヒドロシリル基が導入された)、(IV−a)のAB型不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体であることが好ましい。ここで、「パラ位」とは、完全縮合型である6面体構造のかご型において、あるケイ素原子(頂点)に対し、立体中心を通る対角線の頂点に位置するケイ素原子(頂点)の位置を意味する。(IV−a)構造は、後述するが、ビニル基の結合するケイ素原子に対しパラ位に位置するケイ素原子をとりまく3つのSi−O結合が切断して(パラ位のケイ素原子は脱離)、3つのヒドロシリル基が導入された構造である。
上記のとおり、本実施形態の不完全縮合型SQ誘導体IVはAB型のモノマーであって、AB型ハイパーブランチポリマーのビルディングブロックとして有用である他、他のポリマー材料に無機材料の性質を付加するため、又は最終製品に特定の性質(機械特性、耐熱性、光学特性等)を持たせるための改質剤としても利用価値が高いと考えられる。
2.不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体の製造方法
本実施形態の不完全縮合型SQ誘導体IVは、ビニル基を有するかご型シルセスキオキサン誘導体に強塩基を作用させて、アルコキシシリル基(−SiOH)を導入し(工程1)、さらに、このアルコキシシリル基にクロロシランを反応させてアルコキシシリル基をヒドロシリル基(−SiH)に変換する(工程2)ことにより好ましく製造することができる。
より詳細には、ビニル基を有するかご型シルセスキオキサン誘導体にアルコキシシリル基(−SiOH)を導入する工程1は、下記の一般式(II)で示されるT8(オクタキス)シルセスキオキサン誘導体を用いて行うことができる。これは、完全縮合型のシルセスキオキサン誘導体である。
Figure 2018065943
一般式(II)中、Rは、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、アルキル基は炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。アリール基は、炭素数6〜14であることが好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。より具体的には、これらに限定はされないが、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びイソオクチル基等を挙げることができ、好ましいアリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。kは0〜8までの整数を表し、0または1であることがより好ましい。さらに、すべてのRは同一の置換基であることが好ましい。
シルセスキオキサン誘導体に作用させる強塩基としては、特に限定はされないが、テトラメチルアンモニウム水酸化物(水酸化テトラメチルアンモニウム)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(水酸化テトラエチルアンモニウム)等のテトラアルキルアンモニウムの水酸化物、又はアルカリ金属(Li、Na、K等)の水酸化物を好ましく用いることができる。毒性など考慮すると、テトラエチルアンモニウム水酸化物が特に好ましい。
シルセスキオキサン誘導体に強塩基を作用させることにより、Si−O−Si結合が切断される。この場合、1箇所のSi−O−Si結合だけが切断される場合と、さらにもう2箇所切断されてケイ素原子が脱離する場合とがある。前者の1箇所の切断により、二つの−SiOH基が導入され、後者の3箇所の切断により三つの−SiOH基が導入される。
この切断反応又は脱離反応を行う溶剤には特に制限はないが、原料の一般式(II)のシルセスキオキサン誘導体と、テトラエチルアンモニウム水酸化物等のテトラアルキルアンモニウムの水酸化物とが溶解した状態で存在できるものが望ましい。具体的には、テトラヒドロフランと水を含む混合溶剤を挙げることができる。
また、この反応を行う温度には特に制限はないが、溶剤の沸点や凝固点の観点から、0〜60℃の範囲が好ましい。さらに、切断又は脱離位置の選択性という観点から、15〜35℃がより好ましい。
上記工程1により、次の一般式(V)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(以下、これを「不完全縮合型SQ誘導体V」とも記す。)を得ることができる。一般式(I)中、R及びkは 、それぞれ、上記一般式(II)のR及びkと同じである。
Figure 2018065943
上記一般式(V−a)及び(V−b)は、三つの−SiOH基が導入された不完全縮合型SQ誘導体Vであり、上記一般式(V−c)は、二つの−SiOH基が導入された不完全縮合型SQ誘導体Vである。なお、得られる不完全縮合型SQ誘導体Vは、上記式(V−a)、(V−b)及び(V−c)のいずれか1種以上を含む混合物であり、この混合物は、これらの式で示された化合物の異性体、及びその他の構造の、−SiOH基及びビニル基含有不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を含んでいてもよい。
上記Si−O−Si切断後の生成物は、溶剤に溶かして核磁気共鳴装置NMR(Nuclear Magnetic Resonance)で分析することにより、その構造を確認することができる。特に29Si NMRを用いて測定すると、かご型シスセスキオキサン骨格に帰属できるピーク(シグナル)が、分子対称性に基づいた計算値と一致した形で観察することができる。かご型シルセスキオキサン帰属ピークのケミカルシフトは、ビニル基が直接結合したSiで−80ppm付近、一般的なアルキル基が結合したSiであれば−68〜−69ppm、OHが結合した場合には−58〜−59ppmにピークが観察できる。
次に、上記不完全縮合型SQ誘導体Vのアルコキシシリル基(−SiOH)をヒドロシリル基(−SiH)に変換する工程2は、好ましくは、上記不完全縮合型SQ誘導体Vに下記一般式(III)で表されるクロロシランを反応させることにより行われる。
Figure 2018065943
一般式(III)中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、アルキル基は炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。アリール基は、炭素数6〜14であることが好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。より具体的には、これらに限定はされないが、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びイソオクチル基等を挙げることができ、好ましいアリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。kは0〜8までの整数を表し、0または1であることがより好ましい。さらに、すべてのR及びRは同一の置換基であることが好ましい。
この反応に用いる溶剤としては、特に限定はされないが、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。これらを単独で用いるほか、混合して使用してもよい。このとき、反応を促進するためにトリエチルアミン等の塩基性試薬を共存させることが好ましく、これにより、反応の副生成物である腐食性HClを効率よくトラップして、反応を促進させることができる。また、反応は冷却下、0℃付近で行うことが好ましく、その後にさらに室温又は加温下で反応を継続させることが好ましい。
上記工程2により、上述した一般式(IV)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(不完全縮合型SQ誘導体IV)を得ることができる。不完全縮合型SQ誘導体IVは、NMR及び/又は質量分析により構造を確定することができる。なお、得られた不完全縮合型SQ誘導体IVは、上記式(IV−a)、(IV−b)及び(IV−c)のいずれか1種以上を含む混合物であり、この混合物は、これらの式で示された化合物の異性体、及びその他の構造の、−SiH基及びビニル基含有不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を含んでいてもよい。
図1に、不完全縮合型SQ誘導体IVのH NMRの測定結果の一例を、図2には29Si NMRの測定結果の一例を示す。図1に示されるとおり、SiH基のケイ素のピーク(図1のg)は4.7ppm付近に現れ、図2に示されるとおり、SiH基のケイ素のピークは−5.5ppm付近に現れる。また、図2において、−66〜−69ppm付近のピークは、かご構造のケイ素のピークである。
3.AB型ハイパーブランチポリマー
本実施形態のAB型ハイパーブランチポリマーは、下記一般式(I)の(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される1種以上の構造単位を2つ以上含む、多分岐ポリマーである。
Figure 2018065943
上記一般式(I)中、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、アルキル基は炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜8であることがより好ましい。アリール基は、炭素数6〜14であることが好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。より具体的には、これらに限定はされないが、好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びイソオクチル基等を挙げることができ、好ましいアリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。kは0〜8までの整数を表し、0または1であることがより好ましい。さらに、すべてのR、R及びRは同一の置換基であることが好ましい。
上記一般式(I)中、「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位を示し、各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、各構造単位の少なくとも一つの「*」は別の構造単位の「**」と結合する。その結果、このポリマーは、枝分子が放射状に組み立てられ、分子鎖が三次元的に拡がった構造を有する、いわゆるハイパーブランチポリマーとなる。なお、「**」と結合していない「*」は水素原子である。
ここで、「「*」と「**」が結合する」とは、「*」の付いたSiと「**」の付いたCとが直接に結合することを意味する。
ポリマー中の各構造単位(I−a)、(I−b)、及び(I−c)の互いの結合は任意であり、同じ構造単位同士が重合してもよいし、別の構造単位同士が重合してもよく、それらのさまざまな結合を含んでいる。また、上記構造単位(I−a)、(I−b)、及び(I−c)以外の構造単位(これらの構造単位の異性体等)を含んでいてもよい。
ハイパーブランチポリマーの多分岐構造は、例えば、模式的に次のように表すことができるが、これに限定されることはない。各構造単位からの分岐点の数(1、2又は3)、並びに各枝の長さ等は何ら限定されず、個々には無限の具体的構造が存在する。
Figure 2018065943
ポリマーの重量平均分子量(GPCにより測定、後述)は、2,000〜1,000,000であることが好ましく、2,000〜100,000であることがより好ましい。また、ポリマーの数平均分子量(GPCにより測定、後述)は、2,500〜80,000が好ましく、2,500〜50,000がより好ましい。
4.AB型ハイパーブランチポリマーの製造方法
本実施形態のAB型ハイパーブランチポリマーは、上記の一般式(IV)で表されるAB型不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体の一段階重合により好ましく得ることができる。得られるポリマーは、透明であり、様々な有機溶媒に再溶解させることが可能で、また製膜もできるため、様々な産業上の利用可能性を有している。特に、ディスプレイ材料、光学材料としての利用が期待できる。
この重合反応には、白金系触媒を用いることが好ましい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との触媒、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルシロキサン錯体(Karstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体であるPt[P(C、PtCl[P(C、Pt[P(C、白金−ホスファイト錯体であるPt[P(OC、Pt(OC、及びジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。
反応に用いる溶剤としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。これらを単独で用いるほか、混合して使用してもよい。重合は、50〜150℃の加熱下で行うことが好ましく、70〜100℃で行うことがより好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
(1)不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(一般式(V))の合成
100mLのナス型フラスコに、ビニルイソブチルPOSS(ビニルイソブチルかご型シルセスキオキサン、一般式(II)においてk=0、R=イソブチル基)(ハイブリッドプラスチックス社製)2.00g、及びテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)44gを秤取して加え、撹拌して透明溶液を調製した。35%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(東京化成工業(株)製)を1.00mL加え、このまま室温で6時間撹拌した。2N塩酸で中和後、硫酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製)を加えて脱水乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からロータリーエバポレーターで溶剤を留去した。オイルポンプで減圧乾燥した後、メタノール(和光純薬工業(株)製)を50mL加え、不溶分を桐山ロートでろ別した。ろ液からロータリーエバポレーターで溶剤を留去し、オイルポンプで減圧乾燥して、粘性固体を1.78g得た。
得られた粘性固体の構造及び純度を、H NMR及び29Si NMRを用いて決定した。H NMR及び29Si NMRの測定条件は、それぞれ以下のとおりである。
H NMR)
機種:PDX−400(Bruker製)
観測核:1H
共鳴周波数:400MHz
測定温度:25℃
溶媒:重水素化クロロホルム
基準物質:テトラメチルシラン
29Si NMR)
機種:PDX−400(Bruker製)
共鳴周波数:80MHz
測定温度:40℃
溶媒:重水素化クロロホルム
基準物質:テトラメチルシラン
測定の結果、29Si NMRの測定により、−58ppm〜−59ppm付近に、OHが結合したSiのピークが観測された。また、29Si NMR測定により、−66〜−69ppm付近にかご構造のケイ素のピークを観測した。以上より、切断反応が起きて、上記一般式(V)の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体が合成できたことを確認した。
(2)不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体(一般式(IV))の合成
50mLの二口フラスコに上記で合成したシルセスキオキサンを1.78g秤取し、窒素雰囲気下でトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)を1.1mL、テトラヒドロフラン24mLを加えて撹拌し、無色透明溶液を調製した。フラスコを氷水バスで冷却しながらクロロジメチルシラン(東京化成工業(株)製)1.1mLをゆっくり滴下した。このまま氷水バスで冷却しながら1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。水を5mL加え、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去し、オイルポンプで減圧乾燥して固体を得た。この固体にヘキサン(和光純薬工業(株)製)を20mL加え、内容物を分液ロートに移し激しく振った。分離した下層水層を除き、上層有機層に硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液についてロータリーエバポレーターで溶剤を留去し、オイルポンプで減圧乾燥して液体物を1.85g得た。
得られた液体物の構造及び純度を、H NMR及び29Si NMRを用いて決定した。H NMR及び29Si NMRの測定条件は、それぞれ上記のとおりである。
H NMRの測定により、4.7ppm付近にSiH基のケイ素のピーク(図1のg)を観測した。29Si NMRの測定により、図2に示すように、−5.5ppm付近にSiH基のケイ素のピークを観測した。これらのことから、SiH基が導入できたことが分かった。また、29Si NMR測定により、−66〜−69ppm付近にかご構造のケイ素のピークを観測した。以上より、上記一般式(IV)の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体が合成できたことを確認した。さらに、これらのNMR測定により、SiH基とビニル基の積分比が1:1.2であることが判明し、Siの脱離を伴わない結合切断の生成物(IV−c)が存在することが示された。
<実施例1>
[AB型ハイパーブランチポリマー(一般式(I))の作製]
ガラス基板上に上記不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を0.1g秤取し、0.1M白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(アルドリッチ・シグマ社製)0.01mL加えて混合し、12時間静置して固体を得た。
得られた固体の分子量を以下のとおりにGPCで評価した結果、数平均分子量は2,630であり、重量平均分子量は5,090であった。また、H−NMR測定によってヒドロシリル基の積分値が減少していること、及び、29Si−NMR測定によりヒドロシリル化が起こった部分の新たなケイ素のピークの存在を確認できた。以上より、上記一般式(I)のAB型ハイパーブランチポリマーが合成できたことが示された。
数平均分子量及び重量平均分子量の測定条件は、次のとおりである。
GPC機種:LC−6DA(株式会社島津製作所製)
検出器:RID−20A(株式会社島津製作所製)
波長:270nm
データ処理機:ATT 8Labosolutions(株式会社島津製作所製)
カラム:Shodex KF−2001(昭和電工株式会社製)
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶媒:クロロホルム 試料濃度:5mg/1ml
注入量:5μl
圧力:8.0kgf/cm(8.0×10Pa)
流量:1.0ml/min
<実施例2>
[AB型ハイパーブランチポリマー(一般式(I))の作製]
50mLなす型フラスコ中で上記一般式(IV)の不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体0.1gをトルエン1mLに溶解させ、0.1M白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(アルドリッチ・シグマ社製)を5μL加え撹拌した。オイルバスで内容物を90℃に加熱し、24時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去し、オイルポンプで減圧乾燥して固体を得た。
上記と同様に分子量をGPCで測定した結果、数平均分子量は7,780、重量平均分子量は19,990であった。また、H−NMR測定によってヒドロシリル基の積分値が減少していること、及び、29Si−NMR測定によりヒドロシリル化が起こった部分の新たなケイ素のピークの存在を確認できた。以上より、上記一般式(I)のAB型ハイパーブランチポリマーが合成できたことが示された。

Claims (3)

  1. 一般式(IV)の(IV−a)〜(IV−c)のいずれかで表される、不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体。
    Figure 2018065943
    (一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
  2. 一般式(I)の(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される1種以上の構造単位を2つ以上含む、AB型ハイパーブランチポリマー。
    Figure 2018065943
    (一般式(I)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位を示し、各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、各構造単位の少なくとも一つの「*」は別の構造単位の「**」と結合し、「**」と結合していない「*」は水素原子である。)
  3. 一般式(I)の(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される1種以上の構造単位を2つ以上含むAB型ハイパーブランチポリマーの製造方法であって、
    下記一般式(II)で表されるシルセスキオキサン誘導体に強塩基を作用させて、一般式(V)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を得る工程、
    前記一般式(V)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体と、一般式(III)で表されるクロロシランとを反応させて、下記一般式(IV)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を得る工程、及び
    前記一般式(IV)で表される不完全縮合型シルセスキオキサン誘導体を重合させる工程を含む、AB型ハイパーブランチポリマーの製造方法。
    Figure 2018065943
    (一般式(I)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。「*」及び「**」は他の構造単位との結合部位を示し、各構造単位の「**」は別の構造単位の「*」と結合し、各構造単位の少なくとも一つの「*」は別の構造単位の「**」と結合し、「**」と結合していない「*」は水素原子である。)
    Figure 2018065943
    (一般式(II)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
    Figure 2018065943
    (一般式(V)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
    Figure 2018065943
    (一般式(III)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
    Figure 2018065943
    (一般式(IV)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を表し、kは0〜8までの整数を表す。)
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