JP2018065770A - 殺菌用組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水処理用抗菌材、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにも適用できる、水中に溶出する有機成分がなく、殺菌効果が高く、その効果が持続する銀担持ゼオライトを含む殺菌用組成物およびこの殺菌用組成物を容易に製造する方法の提供。【解決手段】イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む、好ましくはイオン交換銀担持ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体を1〜5質量%含む殺菌用組成物であって、前記殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、好ましくは前記比表面積が10〜20m2/gに制御されて、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され、増大された効果的殺菌処理寿命を有することを特徴とする殺菌用組成物により課題を解決できる。【選択図】図1

Description

本発明は、殺菌用組成物およびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、水処理用抗菌材として使用できるとともに、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにも適用できる殺菌用組成物であって、例えばNaA型ゼオライトにイオン交換により銀を担持した銀担持ゼオライトから水中に流出する銀イオンの殺菌作用と、非加熱で使用しても、例えば常温で使用しても遠赤外線を放射できる遠赤外線放射体に起因する殺菌作用を併せ持ち、その相乗効果により殺菌効果が高く、かつその効果が持続する殺菌用組成物およびその製造方法に関するものである。
以下、殺菌用組成物が、主として水処理用抗菌材として使用される場合について記載する。
水の需要の増大とともに水質向上が求められ、より無害で適切な水処理法が望まれている。なかでも銀ゼオライトのすぐれた抗菌性を活かして水処理用抗菌剤として使えるようにすることが求められ開発もなされている。
水処理用抗菌材としては、用途や対象の水、通水量などにより様々なものが提案されている。
現在使用されている銀ゼオライトの粒子の大きさはミクロン単位のものである。しかしながら、水処理用としては現在の銀ゼオライトの粒子の大きさを以てしては水の中で固液分離ができないので銀ゼオライトを水溶液に直接投入することはできない。そのためにこのような微粒子の銀ゼオライトはこれを固めて成形体として用いる必要がある。しかし、ゼオライト自体には自己結合性がないためにバインダを添加して成形する。その単位重量当たりの抗菌性能はバインダの分だけもとの銀ゼオライト粉末よりも低下することになる。
例えば、湿式混和、押出し、乾燥、焼成の工程を経て成形する方法で、水処理用として固液分離可能な任意の大きさ(例えば2〜3mm)のゼオライト粒子またはゼオライト系加工品に、ゼオライトの結晶構造を破壊しない程度のpHの処理液中で銀イオンを担持させてなる、水処理用銀担持抗菌剤が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、銀イオンを担持したゼオライト粒子をそのまま水に加えると、いくら粒子を固定してあっても長期使用には耐えられず、有効成分である銀溶出以外にゼオライト粉末の粉落ちや脱落があるうえ、銀溶出量の変動が大きいため、銀濃度が安定しないという問題がある。飲料用途や循環水などの清浄な水に対しては、抗菌成分である微量な銀イオンのみを適量溶出し、必要以上の他の物質が溶出・溶解しないものが最適である。
そこで、銀系無機抗菌剤をプラスチックなどに練り込んで使用することが提案されている。例えば、抗菌性能を有する金属または金属イオンをリン酸塩に担持させて得られる抗菌剤を繊維中に含有させた複数本の短繊維が絡み合った繊維塊からなる抗菌性水処理用媒体が提案されている(特許文献2参照)
しかし、抗菌剤と環境との平衡により溶出銀濃度を制御可能なイオン交換体ではないリン酸塩に銀を担持しても銀溶出濃度の制御はできない。また、短繊維では糸が解れて水に混入してしまう問題がある。
一方、近年における遠赤外線の利用に関する技術の開発と進展はめざましく、その応用分野は、塗料やプラスチックなどの工業的加熱または乾燥装置或いは各種暖房機器を始めとして、製茶、焙煎、熟成などの食品加工、オーブンなどの家庭用調理器、更には温熱治療を代表とする医療・健康機器などと多岐に亘っている。また、それに併せて、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体についても、放射特性或いは放射効率の向上などの点から、コージライト(コーディェライト)を基材とするものなどの種々のセラミックスからなる遠赤外線放射体が開発されている。
前記のような遠赤外線の利用の多くは、主として熱源としての利用に関している。しかし、遠赤外線の利用はそれに止まらず、特に最近では、セラミックスからなる遠赤外線放射体から常温下で放射される遠赤外線の利用、つまり、遠赤外線放射体の非加熱利用にも高い関心が集められており、その具体的応用は、飲料水の浄化または活性化、風呂水(24時間風呂)の浄化、切り花の保存、植物の発芽、生育の促進、有機質肥料の分解促進、或いはディーゼル燃料の無煙化などであり、これらの幾らかは既に実用化されている。
遠赤外線放射体の例として、例えば、セラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、トリウム及びウランのうちの少なくとも1種の自然放射性元素を含有する放射性鉱物からなる放射線源材料の粉末とを含む混合物を、焼成し、複合化してなる遠赤外線放射体が提案されている(特許文献3参照)。
自然放射性元素の放射性崩壊によって放出される放射線のエネルギは、セラミックス遠赤外線放射材料に吸収されて、その励起エネルギとなり、遠赤外線となって放射されるため、常温(非熱下)においても、より多くの遠赤外線を放射することができる。
また、水分子(クラスタ)は、通常36〜37個のチェーンで繋がっているが、遠赤外線により切断されることによってチェーンが5〜6個と最良の状態になり、再び水汚染物質などの有害物質がクラスターの中に入れないようにする作用があり、水分子(クラスタ)を繋ぐチェーンを短くすることにより、酸化防止剤、重金属類、有毒ガスなどの水汚染物質の排除を行うことによって水の浄化を行うなどの作用があることが知られている(特許文献4参照)。
一方、平成20年4月1日から「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」が施行されたことに伴い、水質管理目標設定項目に「従属栄養細菌」が追加されたことにより、様々な水処理用抗菌材が知られている中でも、飲料用途や循環水などの清浄水の微生物汚染に関しては、これまで水質管理の必須項目となっていなかった従属栄養細菌に対して効果があるかどうかに注意する必要が生じた。
従属栄養細菌は、水処理材に用いる樹脂、バインダーおよび活性炭などから水中に微量溶出する有機成分により繁殖が助長されてしまうことがあるので、水処理材を使用することによって、逆に従属栄養細菌が増えてしまう可能性がある。
そこで、水へ有機成分の溶出成分の少ない樹脂に、銀系無機抗菌剤を練り込み加工した樹脂組成物からなる水処理用抗菌処理材として、「銀系無機抗菌剤を全体の1〜50質量%含む樹脂組成物からなる、比表面積が5cm2/g〜100cm2/gの成形体であり、100gの成形体を1Lの水に1週間浸漬したときのTOC値が1ppm〜10ppmの範囲内である、水処理用抗菌処理材。」が提案されている(特許文献5参照)。
銀イオンによる消毒効果の研究(III)(非特許文献1参照)には、銀イオンとして硝酸銀を水に溶かし、浴槽水に銀イオンとして0.05〜0.2ppmとなるように添加して、薬学会協定の衛生試験法中、水質試験法に従って大腸菌群、一般細菌数などを測定した結果、銀イオン0.05ppm程度が適当であると記載されている。
特開2001−278715号公報 特開平08−155480号公報 特開平09−208292号公報 特開200−-252674号公報 特開2013−056833号公報
衛生化学Vol.6(1958):銀イオンによる消毒効果の研究(III)Disinfection Effect by Silver Ion(III)硝酸銀並びに銀カタジン法による公衆浴場水の消毒:神奈川県衛生研究所:菅野三郎ほか5名
以上、水処理用抗菌材の用途における従来技術の問題点などについて記載したが、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにおいても、これらが水に接触する場合は勿論のこと、湿度が高い季節や場所に置かれるとカビなどが発生し安全性が失われたり、薬剤を使用してもやはり安全性を含む問題がある上、外観が損なわれるなどの問題も生じるので、水処理用抗菌材として使用できるとともに、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにも適用できる抗菌性や殺菌性に優れた殺菌用組成物の開発が望まれている。
本発明の第1の目的は、長期使用には耐えられず、有効成分である銀以外にゼオライト粉末の粉落ちや脱落があるうえ、銀溶出量の変動が大きいため、銀濃度が安定しないという問題のような従来技術における問題点を解決することであり、水中に溶出する有機成分がなく、殺菌効果がより高く、その効果が持続する、水処理用抗菌材として使用できるとともに、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにも配合したり塗布したりするなどして適用できる抗菌性や殺菌性に優れた殺菌用組成物を提供することである。
本発明の第2の目的は、このような殺菌用組成物を容易に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、例えば、イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む組成物を大気中で750〜1000℃で制御して焼成した殺菌用組成物は、水中に溶出する有機成分がなく、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され、かつ銀溶出量の変動が小さく、銀濃度が安定しており、増大された抗菌性や殺菌性および長寿命を有することを見出し、そして、常温で使用しても遠赤外線を放射できる遠赤外線放射体を併用すると、遠赤外線放射体に起因する殺菌作用と銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がより高くなり、その効果がより持続することを見出し、また本発明の組成物は粉末であっても固液分離が容易であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の請求項1は、イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む殺菌用組成物であって、前記殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、水中への前記銀のイオンの流出速度が抑制され、増大された効果的殺菌処理寿命を有することを特徴とする殺菌用組成物である。
本発明の請求項2は、請求項1記載の殺菌用組成物において、前記比表面積が10〜20m/gであることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の殺菌用組成物において、前記原料ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体の含有量が1〜5質量%であることを特徴とする。
本発明の請求項4は、下記の工程(1)〜(4)を含む工程によって請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の殺菌用組成物を製造することを特徴とする殺菌用組成物の製造方法である。
(1)原料ゼオライトおよび硝酸銀を、純水を収容した容器中に入れて十分に混合してイオン交換銀担持ゼオライトを得る工程。
(2)工程(1)において得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を混合して混合原料を得る工程。
(3)工程(2)において得た混合原料を真空引きしつつ加温し乾燥して乾燥原料を得る工程。
(4)工程(3)において得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で高温で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で高温で焼成して殺菌用組成物を得る工程。
本発明の請求項5は、請求項4記載の製造方法において、前記工程(1)において、原料ゼオライトがNaA型ゼオライトであり、原料ゼオライトおよび硝酸銀を混合した前記純水のpHが7〜9であることを特徴とする。
本発明の請求項6は、請求項4あるいは請求項5記載の製造方法において、前記工程(2)において、工程(1)で得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体を1〜5質量%混合することを特徴とする。
本発明の請求項7は、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記工程(3)において、工程(2)で得た混合原料を真空度4〜8kPaで真空引きしつつ温度70〜95℃で加温して、前記工程(1)と工程(2)の合計時間が3〜10時間となるようにゆっくり乾燥することを特徴とする。
本発明の請求項8は、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法において、前記工程(4)において、工程(3)で得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成することを特徴とする。
本発明の請求項1は、イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む殺菌用組成物であって、前記殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、水中への前記銀のイオンの流出速度が抑制され、増大された効果的殺菌処理寿命を有することを特徴とする殺菌用組成物であり、
イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の前記遠赤外線放射体を含む組成物を大気中で例えば750〜1000℃で制御して焼成した殺菌用組成物は、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されているので、銀の溶出濃度の調節が可能となり、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され銀溶出量の変動が小さく、銀溶出濃度が安定しており、抗菌性や殺菌性に優れるとともに長寿命を有し、そして、前記遠赤外線放射体を併用することにより、その遠赤外線放射体に起因する殺菌作用と銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がより増大された水処理を行うことができ、その効果がより持続するものであり、また粉末であっても固液分離が容易であり、かつ、樹脂および活性炭などを使用していないので、これから水中に溶出する有機成分がない、という顕著な効果を奏する。
本発明の殺菌用組成物は、水処理用抗菌材として使用できるとともに、例えばセラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどが水に接触する場合は勿論のこと、湿度が高い季節や、湿度が高い場所で使用されたり、設置されるような場合には、カビなどが発生して不衛生となったり、安全性が失われたり、市販の殺菌剤などの薬剤を使用してもやはり安全性を含む問題がある上、外観が損なわれるなどの問題も生じるような場合があり、そのような場合には、これらのセラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにそれぞれの目的に合わせて本発明の殺菌用組成物を適量を配合したり、あるいは本発明の殺菌用組成物を外表面および/または内表面に適量塗布したりするなどして適用することによって抗菌性や殺菌性を付与することができ、これらの問題を解決することができる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2は、請求項1記載の殺菌用組成物において、前記比表面積が10〜20m/gであることを特徴とするものであり、このように前記比表面積が10〜20m/gであるので、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され銀溶出量の変動がより小さく、銀濃度がより安定しており、より増大された抗菌性や殺菌性を有するとともに長寿命を有する、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の殺菌用組成物において、前記原料ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体の含有量が1〜5質量%であることを特徴とするものであり、その殺菌作用が確実に発揮されて、銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がさらに高くなる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4は、前記の工程(1)〜(4)を含む工程によって請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の殺菌用組成物を製造することを特徴とする殺菌用組成物の製造方法であり、本発明の殺菌用組成物を確実に容易に製造できる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5は、請求項4記載の製造方法において、前記工程(1)において、原料ゼオライトがNaA型ゼオライトであり、原料ゼオライトおよび硝酸銀を混合した前記純水のpHが7〜9であることを特徴とするものであり、ゼオライトの本質的な三次元網目構造が破壊されず、銀のイオン交換率が高い殺菌用組成物が得られる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項6は、請求項4あるいは請求項5記載の製造方法において、前記工程(2)において、工程(1)で得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体を1〜5質量%混合することを特徴とするものであり、その殺菌作用が確実に発揮されて、銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がさらに高くなる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項7は、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記工程(3)において、工程(2)で得た混合原料を真空度4〜8kPaで真空引きしつつ温度70〜95℃で加温して、前記工程(1)と工程(2)の合計時間が3〜10時間となるようにゆっくり乾燥することを特徴とするものであり、水分を制御して必要量除去することができるので、次の焼結工程において余分な水分の蒸発による殺菌用組成物の破壊を防止でき、殺菌用組成物の比表面積を所定の範囲内に制御できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項8は、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法において、前記工程(4)において、工程(3)で得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成することを特徴とするものであり、殺菌用組成物からゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、殺菌用組成物の比表面積を所定の範囲内に制御できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
図1は、本発明の殺菌用組成物の製造工程の例を説明するグラフである。 図2は、実施例1で作製した本発明の殺菌用組成物および比較例2で作製した比較のための殺菌用組成物を用いて測定法2により、平成28年5月14日から平成28年9月28日まで約4ケ月間、銀溶出量(ppm)の測定を行った結果の代表例をプロットしたグラフである。
以下、図を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明の殺菌用組成物の製造工程の例を説明するグラフである。
本発明の殺菌用組成物は、下記の工程(1)〜(4)を含む工程によって製造することができる。
工程(1)は、原料ゼオライトおよび硝酸銀を、純水を収容した容器中に入れて十分に均一に撹拌し、混合してイオン交換銀担持ゼオライトを得る工程である。
銀を担持する原料ゼオライト担体としては、具体的には、例えば、天然ゼオライト原石、天然ゼオライトを加工して粉体、球状、円柱状、柱状、円筒状などにしたもの、NaA型ゼオライト系成形体、NaA型ゼオライトを原料にして作った粉体、焼成品、形状としては球状、柱状、円筒状、コイン状薄片、シート状などであり、人工ゼオライト系成形体、その焼成品など(特許第255731号)を挙げることができる。
使用する硝酸銀はイオン交換反応を損なわないものであればよく、特に限定されるものではないが、不純物がないか少ない、試薬級の硝酸銀が好ましく、例えば、和光純薬工業株式会社製の「硝酸銀」を挙げることができる。
使用する純水はイオン交換反応を損なわないものであればよく、特に限定されるものではないが、不純物がない精製水が好ましく、例えば、サンエイ化学工業製「精製水」(pH7.5)を挙げることができる。
使用する容器は、イオン交換反応を損なわないものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、耐薬品性の高いポリエチレンなどのポリオレフィン、セラミックス、ステンレスなどの容器を挙げることができる。
前記工程(1)において、原料ゼオライトがNaA型ゼオライトであり、原料ゼオライトおよび硝酸銀を混合した前記純水のpHが7〜9であることが好ましく、pHが7〜9の範囲でイオン交換するとゼオライトの本質的な三次元網目構造が破壊されず、銀のイオン交換率が高いイオン交換銀担持ゼオライトが得られるので、好ましい。
工程(2)は、工程(1)において得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を混合して混合原料を得る工程である。
工程(1)において得たイオン交換銀担持ゼオライトに所定量の非加熱使用の可能な後述する遠赤外線放射体を混合するが、前記ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体を1〜5質量%を均一に混合することが好ましい。前記範囲内であると、安全性が高く、その殺菌作用が確実に発揮されて、銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がさらに高くなる。
前記ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体が1質量%未満では遠赤外線放射体に起因する殺菌作用が確実に発揮されない恐れがあり、5質量%を超えるとイオン交換銀担持ゼオライトが少なくなり、銀イオン殺菌作用が不十分となる恐れがある。
工程(3)は、工程(2)において得た混合原料を真空引きしつつ加温し乾燥して乾燥原料を得る工程である。
使用する真空引き装置は特に限定されるものではないが、具体例としては、例えばULVAC社製「DAP-6D」(真空度6.65kPa,Pumping Speed6/7L/min)を挙げることができる。
真空度4〜8kPaで真空引きしつつ温度70〜95℃で加温して、前記工程(1)と工程(2)との合計時間が3〜10時間となるようにゆっくり乾燥することが好ましく、水分を制御して必要量除去することができるので、次の焼結工程において余分な水分の急激な蒸発による殺菌用組成物の破壊を防止できる。真空度、温度、時間が下限値未満では、水分を制御して必要量除去することができない恐れがあり、上限値を超えると残留水分の急激な蒸発による殺菌用組成物の破壊の恐れがあり、また、さらなる効果がなく、不経済となる恐れがある。
工程(4)は、工程(3)において得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で高温で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で高温で焼成して殺菌用組成物を得る工程である。
使用する焼成装置は、特に限定されるものではないが、具体例としては、例えば、(株)デンケン製の「KDF-75」を挙げることができる。
大気中で750〜1000℃で焼成することが好ましく、殺菌用組成物からゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、殺菌用組成物の比表面積を所定の範囲内に制御でき、また粉末であっても固液分離が容易となる。750℃未満では、比表面積を所定の範囲内に制御できない恐れがあり、1000℃を超えると、ゼオライトの本質的な三次元網目構造が破壊される恐れがある。
また、昇温スタートして焼成温度に達するまで、昇温速度20±5℃/分で昇温することが好ましい。昇温速度が上限値を超えると脆くなり、割れやすくなる恐れがあり、下限値未満では粉落ちや脱落が起こる恐れがある。
前記バインダーは、有機成分を含有しない粘度鉱物などの無機物粉末が好ましく、前記乾燥原料に前記バインダーを前記乾燥原料に対して必要最小限配合して、例えば1〜20質量%程度配合して、成形した後、炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成することにより、使用目的に適応した円形、楕円形、多角形などの任意の形状の殺菌用組成物とすることができ、水処理効果をあまり損なわずに、作業性や利便性を向上できる。
工程(3)において得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で高温で焼成得た焼成物の場合は、そのまま本発明の殺菌用組成物として使用することもできるが、粉砕して平均粒径を均一に低減して、殺菌用組成物の比表面積をより安定して所定の範囲内に制御することもできる。
一般に3μm以上の波長の遠赤外線帯域に吸収スペクトルのピークを有している遠赤外線は、水に対して特異的な吸収特性を有しており、3μm、6μm、及び10μm以上の波長に吸収ピークがある。これは、それらの分子を構成している原子間の伸縮運動や変角運動などの振動運動に固有な振動数が遠赤外線の振動数(1/波長)に一致し、それによって、遠赤外線はその分子の振動に共鳴して吸収されるからであると考えられる。
そして、この共鳴吸収によって遠赤外線は水に効果的に吸収され、その振動運動を増幅し、発熱させる。また、例えば、「セラミックボール」などと呼ばれる後述するコージライト(2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 )などのセラミックス遠赤外線放射材料を小球状に焼成した遠赤外線放射体を水道水に入れておくと、カルキ臭が除去されると共に美味しい水が生成されることが知られており、また、花瓶に入れておくことにより、水の汚れや濁りが防止され、生花を長持ちさせることができるなど、水の活性化効果と共に、有機物の分解効果及び抗菌効果があることが知られており(前記特許文献3参照)、水分子(クラスタ)は、通常36〜37個のチェーンで繋がっているが、遠赤外線により切断されることによってチェーンが5〜6個と最良の状態になり、再び水汚染物質などの有害物質がクラスターの中に入れないようにする作用があり、水分子(クラスタ)を繋ぐチェーンを短くすることにより、酸化防止剤、重金属類、有毒ガスなどの水汚染物質の排除を行うことによって水の浄化を行うなどの作用があることが知られている(前記特許文献4参照)。
遠赤外線放射体の具体例としては、例えば、アルミナ(Al2 3 )、ジルコニア(ZrO2 )、チタニア(TiO2 )、シリカ(SiO2 )、ジルコン(ZrSiO4 )、マグネシア(MgO)、イットリア(Y2 3 )、コージライト(2MgO・2Al2 3 ・5SiO2 )、βスポジューメン(Li2 O・Al2 3 ・4SiO2 )、ムライト(Al2 3 ・3SiO2 )、チタン酸アルミニウム(Al2 3 ・TiO2 )、酸化コバルト(CoO、Co3 4)などのセラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、
モナザイト[(Ce,La,Th)PO4 ,ThO26%,U3 8 0.3%]、パイロクロワ[(Na,Ca)(Nb,Ta,Ti)2 6 (O,OH,F),ThO2 0.5%,U3 8 1%]、或いはゼノタイム[YPO4 etc ,ThO2 1%,U3 8 1%]などのトリウム及びウランのうちの少なくとも1種の自然放射性元素の化合物を含有する放射性鉱物からなる放射線源材料の粉末とを含む混合物を、焼成し、複合化してなるものを挙げることができる。
しかし、核原料物質であるこれらの放射性核種を含有するものについては、その使用に関して規制があり、これらの濃度が370ベクレル/g(現行規則では、トリウム含有%+3×ウラン含有%で1.8%)以上である場合には届出が必要となる。そのため、遠赤外線放射体をこのような届出をしないでも使用できる点において、放射線源材料の配合割合は、酸化トリウムの含有量として換算して、2.0重量%未満であることが好ましく、より好ましくは1.8重量%以下である。
前記トリウムまたはウランの放射性崩壊によって放出される放射線(α線、β線、γ線)のエネルギ、特に、α線が持つ約5MeVの大きなエネルギは、セラミックス遠赤外線放射材料に吸収され、その励起エネルギとなり、遠赤外線となって放射されるものと考えられる。こうして、この遠赤外線放射体によれば、その温度にかかわらず、即ち、常温においても、遠赤外線をより多く放射することができる。なおこの場合、放射線源材料である放射性鉱物は、粉末としてセラミックス遠赤外線放射材料の粉末と共に混合し、そして焼成することにより複合化されているため、遠赤外線放射体中に均一に分散・分布されると共に、セラミックス遠赤外線材料の粒子との間が緻密化されるため、トリウムまたはウランの放出する放射線はセラミックス遠赤外線材料に効果的に吸収され、そして有効に遠赤外線の放射エネルギに変換されることができる。
そして、本発明の殺菌用組成物中の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体に含まれる放射性鉱物からなる放射線源材料から放射される前記放射線(α線、β線、γ線)は水によく吸収される。セラミックス遠赤外線材料に吸収されなかった一部の微弱な放射線が処理水に吸収されると、OH-、H、OH・、H・、Hなどのイオン、ラジカル、分子などが生成する。OHラジカル(OH・)や過酸化水素(H)は酸素よりも高い酸化力があり、水素ラジカル(H・)は酸素引き抜きの還元力があり、水中に溶存する生体有機物(大腸菌、レジオネラ菌などの菌類、バクテリア、タンパク質、脂肪など)に対する抗菌、防食、消色などの作用があり、酸化還元力により分解する働きがある。
本発明の殺菌用組成物は、セラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどにそれぞれの目的に合わせて、予めテストして効果を認めた量を配合したり、あるいは外表面および/または内表面にやはり予めテストして効果を認めた適量を塗布したりしておくと、水に接触する場合は勿論のこと、湿度が高い季節や、湿度が高い場所で使用された場合、水中に銀のイオンが流出して銀イオンの殺菌作用が発揮されるとともに、前記遠赤外線放射体に起因する殺菌作用が発揮され、両者の相乗効果により殺菌効果や抗菌効果が増大し、しかもその効果が長時間持続するので、カビなどが発生して不衛生となったり、安全性が失われたりすることを抑制・防止できる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
遠赤外線放射材料として、ジルコン(ZrSiO4 )60質量%とアルミナ(Al2 3 )15質量%の混合物に放射線源材料としてはモナザイト[(Ce,La,Th)PO4 ,ThO26%,U3 8 0.3%]25質量%を配合した。
放射性鉱物である前記モナザイト(精製物)は豪州産であり、レア・アース酸化物61.33質量%、五酸化リン26.28質量%などの他に、自然放射性元素である酸化トリウムを6.55質量%、酸化ウランを0.34質量%を含有している。
そして、次のようにして遠赤外線放射体を作製した。
磁器製ポットをボールミルとして用い、ジルコン60質量%とアルミナ(Al2 3 )15質量%の混合物に放射線源材料としてはモナザイト25質量%を含む原材料に、略同量の水を添加し、湿式混合粉砕を24時間行った。次いで、これを取出して上水を切り、400℃の温度で乾燥させた後、200メッシュの篩を通した。そして、この原材料粉末の混合物を、電気炉で1200℃の温度に2時間保持して焼成し、複合化した後、これを再び試験用ミルで粉砕して粉体状の遠赤外線放射体(比重4.7)を作製した。
(作製された遠赤外線放射体中のウラン含有量0.036質量%、トリウム含有量1.444質量%であるので、Th含有%+3×U含有量%は1.552質量%であり、前記規制値1.8質量%以下である。)
そして、下記の工程(1)〜(4)により本発明の殺菌用組成物を作製した。
(1)原料NaA型ゼオライト(光が丘興産(株)製fa-Nゼオライト、比重2.35)5gおよび硝酸銀(和光純薬工業株式会社製「硝酸銀」)0.05gを、純水(サンエイ化学工業製「精製水」、pH7.5)50mlを収容したポリエチレン容器中に入れて常温で十分に3時間混合(55℃、350rpm)してイオン交換銀担持ゼオライト4.8gを得た。
(2)工程(1)において得たイオン交換銀担持ゼオライト4.8gに対して1質量%の前記遠赤外線放射体を常温で1時間混合して混合原料4.84gを得た。
(3)工程(2)において得た混合原料をULVAC社製「DAP-6D」を用いて真空引き(6.65kPa)しつつ5時間、加温(70℃)し、乾燥して乾燥原料4.6gを得た(工程(1)+工程(2)+工程(3)の合計時間は9時間)。
(4)工程(3)において得た乾燥原料を(株)デンケン製の「KDF-75」を使用して炉内に収容し大気中で昇温速度20℃/分で800℃まで加熱し、800℃で3時間焼成して本発明の殺菌用組成物(平均粒径5〜100μm)を得た。
そして、作製した本発明の殺菌用組成物の比表面積を島津製作所株式会社製マイクロメリティクスジェミニ2360を用いて測定した。
測定した結果、比表面積は15m/gであった。
次いで、下記の銀溶出量の測定法1および長期にわたる銀溶出量などの測定法2により、銀溶出量などを測定した。
(銀溶出量の測定法1)
本発明の殺菌用組成物1gを常温の純水100mlに入れ、3分間撹拌した後、撹拌をやめて静置した後、純水中への銀溶出量(ppm)をハンナインスルメンツ・ジャパン(株)製「吸光光度計 水質測定用(銀測定用)」を用いて測定した。
測定結果、1.084ppmであった。
(長期にわたる銀溶出量などの測定法2):
次に、本発明の殺菌用組成物5gを常温の純水500mlに入れ、1日放置した後、この純水への銀溶出量(ppm)を前記ハンナインスルメンツ・ジャパン(株)製「吸光光度計 水質測定用(銀測定用)」を用いて測定した後にこの純水を廃棄し、翌日に新たな常温の純水500mlを入れて前記と同じ測定を行うことを繰り返し、0.05ppm以上(非特許文献1参照)が安定して、しかも長時間持続されるかを確認するととものに、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、純水中に溶出する有機成分がないことを確認する。
(長期にわたる銀溶出量測定結果):
測定を開始してから4か月経ても0.05ppm以上が安定して、長時間持続されているととものに、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、また純水中に溶出する有機成分がないことを確認した。
図2は、実施例1で作製した本発明の殺菌用組成物を用いて測定法2により、平成28年5月14日から平成28年9月28日まで約4ケ月間、銀溶出量(ppm)の測定を行った結果の代表例をプロットしたグラフ(縦軸:銀溶出量、横軸:測定日)である。
表1に銀溶出量および測定日を記載した。
図2および表1から、平成28年5月14日においては銀溶出量0.209ppmであり、平成28年9月28日においては銀溶出量0.054ppmであり、測定を開始してから4か月経ても銀溶出量が安定して0.05ppm以上であることが判る。
(比較例1)
実施例1で使用したセラミックス遠赤外線放射材料を用いず、かつ炉内に収容して大気中で高温で焼成する工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして比較のための殺菌用組成物(平均粒径5〜100μm)を作製し、実施例1と同様にして評価した。
評価結果:
比表面積:150m/g
(銀溶出量の測定法1による銀溶出量の測定結果):0.421ppm
(長期にわたる銀溶出量などの測定法2による銀溶出量などの測定結果):測定を開始してから1か月以下で0.05ppm以下となった。ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がやや見られ、純水中に溶出する有機成分がないことを確認した。
(比較例2)
実施例1で使用したセラミックス遠赤外線放射材料を用いたが、炉内に収容して大気中で高温で焼成する工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして比較のための殺菌用組成物(平均粒径5〜100μm)を作製し、実施例1と同様にして評価した。
評価結果:
比表面積:160m/g
(銀溶出量の測定法1による銀溶出量の測定結果):0.934ppm
(長期にわたる銀溶出量などの測定法2による銀溶出量などの測定結果):測定を開始してから1.5か月で0.05ppm以下となった。ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がやや見られ、純水中に溶出する有機成分がないことを確認した。
前記図2には、比較例2で作製した比較のための殺菌用組成物を用いて実施例1と同様にして測定法2により約4ケ月間、銀溶出量(ppm)の測定を行った結果の代表例をプロットしたグラフが記載されている。
前記表1には、比較例2の銀溶出量(縦軸)および測定日(横軸)が記載されている。
前記図2および前記表1から、平成28年5月14日においては銀溶出量0.178ppmであり、平成28年7月1日においては銀溶出量0.018ppmであり、測定を開始してから1.5か月で0.05ppm以下となったことが判る。
(比較例3)
実施例1で使用したセラミックス遠赤外線放射材料を用いなかった以外は実施例1と同様にして比較のための殺菌用組成物(平均粒径5〜100μm)を作製し、実施例1と同様にして評価した。
評価結果:
比表面積:50m/g
(銀溶出量の測定法1による銀溶出量の測定結果):0.952ppm
(長期にわたる銀溶出量などの測定法2による銀溶出量などの測定結果):測定を開始してから2か月以下で0.05ppm以下となった。ゼオライト粉末の粉落ちや脱落が見られず、純水中に溶出する有機成分がないことを確認した。
(実施例2)
実施例1の工程(3)において得た乾燥原料80質量%に対してバインダーとしての粘土(陶芸用有田粘土)20質量%を配合してボール状に成形した後、炉内に収容し大気中で高温で焼成してセラミックボール状の本発明の殺菌用組成物(4〜8メッシュパス)を作製した以外は、実施例1と同様にして評価した。
評価結果:
比表面積:17m/g
(銀溶出量の測定法1による銀溶出量の測定結果):1.10ppm
(長期にわたる銀溶出量などの測定法2による銀溶出量などの測定結果):測定を開始してから4か月経ても0.05ppm以上が安定して、長時間持続されているととものに、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、純水中に溶出する有機成分がないことを確認した。
(実施例3)
実施例1で作製した本発明の殺菌用水処理材の殺菌効果を、一般社団法人日本食品分析センターに依頼し、下記の試験方法によって試験した。試験の結果、優れた殺菌性を有することが判った。
試験方法:
精製水に本発明の殺菌用水処理材を添加した後、大腸菌または大腸菌(O157:H7)の下記の菌液を接種して試験液とし、25℃に保存し、1、3、6および24時間後に試験液中の生菌数を測定する。
試験菌:
Escherichia coli NBRC 3972(大腸菌)
Escherichia coli ATCC 4395(大腸菌、血清型O157:H7、ヘ゛ロ毒素I及びII型産生菌)
菌数測定用培地及び培養条件:
SCDLP寒天培地(日本製薬(株))、混釈平板培養法、35℃±1℃、2日間
試験菌液の調製:
試験菌を普通寒天培地(栄研化学(株))で35℃±1℃、18〜24時間培養した後、精製水に浮遊させ、菌数が10〜10/mlとなるように調製し試験菌液とした。
試験操作:
精製水100mlに乾熱滅菌(170℃、60分)した検体(本発明の殺菌用水処理材)1gを添加した後、試験菌液を1ml接種し、試験液とした。25℃±1℃で保存し、1、3、6および24時間後に試験液をSCDLP寒天培地(日本製薬(株))で直ちに10倍に希釈し、試験液中の生菌数を菌数測定用培地を用いて測定した。
試験結果:
大腸菌:
試験開始時生菌数(/ml) 6.8×10
1、3、6および24時間後の生菌数 いずれも検出せず
大腸菌(0157:H7):
試験開始時生菌数(/ml) 4.4×10
1、3、6および24時間後の生菌数 いずれも検出せず
本発明は、イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む殺菌用組成物であって、前記殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され、増大された効果的殺菌処理寿命を有することを特徴とする殺菌用組成物であり、
イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の前記遠赤外線放射体を含む組成物を大気中で例えば750〜1000℃で制御して焼成した殺菌用組成物は、ゼオライト粉末の粉落ちや脱落がなく、殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されているので、銀の溶出濃度の調節が可能となり、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され、銀溶出量の変動が小さく、銀溶出濃度が安定しており、その結果、長寿命を有し、そして、前記遠赤外線放射体を併用することにより、その遠赤外線放射体に起因する殺菌作用と銀イオン殺菌作用との相乗効果により殺菌効果がより増大された水処理を行うことができ、その効果がより持続するものであり、また粉末であっても固液分離が容易であり、かつ、樹脂および活性炭などを使用していないので、これれから水中に溶出する有機成分がない、という顕著な効果を奏し、また本発明の殺菌用組成物を、例えばセラミック製品、塗料、プラスチック製品、水硬性セメントなどに適量配合したり、外表面および/または内表面に適量塗布したりするなどして抗菌性や殺菌性を付与することができる、という顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。

Claims (8)

  1. イオン交換銀担持ゼオライトおよび所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を含む殺菌用組成物であって、前記殺菌用組成物の比表面積が所定の範囲内に制御されて、水中における前記銀のイオンの流出速度が抑制され、増大された効果的殺菌処理寿命を有することを特徴とする殺菌用組成物。
  2. 前記比表面積が10〜20m/gであることを特徴とする請求項1記載の殺菌用組成物。
  3. 前記原料ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体の含有量が1〜5質量%であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の殺菌用組成物。
  4. 下記の工程(1)〜(4)を含む工程によって請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の殺菌用組成物を製造することを特徴とする殺菌用組成物の製造方法。
    (1)原料ゼオライトおよび硝酸銀を、純水を収容した容器中に入れて十分に混合してイオン交換銀担持ゼオライトを得る工程。
    (2)工程(1)において得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して所定量の非加熱使用の可能な遠赤外線放射体を混合して混合原料を得る工程。
    (3)工程(2)において得た混合原料を真空引きしつつ加温し乾燥して乾燥原料を得る工程。
    (4)工程(3)において得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で高温で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で高温で焼成して殺菌用組成物を得る工程。
  5. 前記工程(1)において、原料ゼオライトがNaA型ゼオライトであり、原料ゼオライトおよび硝酸銀を混合した前記純水のpHが7〜9であることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  6. 前記工程(2)において、工程(1)で得たイオン交換銀担持ゼオライトに対して前記遠赤外線放射体を1〜5質量%混合することを特徴とする請求項4あるいは請求項5記載の製造方法。
  7. 前記工程(3)において、工程(2)で得た混合原料を真空度4〜8kPaで真空引きしつつ温度70〜95℃で加温して、前記工程(1)と工程(2)の合計時間が3〜10時間となるようにゆっくり乾燥することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記工程(4)において、工程(3)で得た乾燥原料を炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成するか、あるいは前記乾燥原料に必要に応じてバインダーを配合して成形した後、炉内に収容し大気中で750〜1000℃で焼成することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。
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