A.第1実施形態:
第1実施形態では、図1〜図6を参照して、液体噴射装置10の構成を説明する。また、図7〜図37を参照して、液体噴射装置10に装着される液体収容体100の構成を、液体収容体100の装着に用いられるケース61の構成とともに説明する。なお、本明細書では、液体収容体100が装着された状態の液体噴射装置10を「液体噴射システム11」とも呼ぶ。
A1.液体噴射装置の構成:
[液体噴射装置の外観構成]
図1は、液体噴射システム11を構成する液体噴射装置10の外観構成を示す概略斜視図である。図1には、互いに直交する3つの方向を示す矢印X,Y,Zが図示されている。なお、矢印X,Y,Zは、本明細書において参照される他の各図においても、図1に対応するように、適宜、図示されている。
矢印X,Y,Zが示す方向は、通常の使用状態にあるときの液体噴射装置10の配置姿勢に対応している。液体噴射装置10の通常の使用状態は、液体噴射装置10が水平面に配置されて使用されるときの状態である。以下では、矢印X,Y,Zが示す方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と呼ぶ。各X方向のうち、ひとつの方向を「+X方向」と呼び、他の方向を「−X方向」と呼ぶ。Y,Z方向についても、同様に、ひとつの方向を「+Y方向」および「+Z方向」と呼び、他の方向を「−Y方向」および「−Z方向」と呼ぶ。
X,Y,Z方向について、Z方向、Y方向、X方向の順で説明する。Z方向は、重力方向に平行な方向を示している。+Z方向は重力方向であり、−Z方向は、重力方向とは反対の方向である。Z方向は、液体噴射装置10の上下方向(高さ方向)に一致している。以下の説明において、液体噴射装置10に関して「上」あるいは「下」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Zの方向を基準とする上下方向を意味しており、「上」は−Z方向を意味し、「下」は+Z方向を意味している。また、「水平方向」とは、Z方向に垂直な方向を意味している。
Y方向は、液体噴射装置10における液体収容体100の着脱方向を示しており、液体噴射装置10の前後方向(奥行き方向)に平行な方向に一致する。+Y方向は、液体噴射装置10に対する液体収容体100の装着方向を示しており、液体噴射装置10の前面側から背面側に向かう方向に一致する。−Y方向は、液体噴射装置10に対する液体収容体100の取り外し方向を示しており、液体噴射装置10の背面側から正面側に向かう方向に一致する。以下の説明において、液体噴射装置10に関して「前」あるいは「後」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Yの方向を基準とする前後方向を意味しており、「前」は−Y方向を意味し、「後」は+Y方向を意味している。
X方向は、液体噴射装置10の左右方向(幅方向)に平行な方向を示している。+X方向は、液体噴射装置10の前面に正対したときに右側から左側に向かう方向に一致し、−X方向は、逆に、左側から右側に向かう方向に一致する。以下の説明において、液体噴射装置10に関して「右」あるいは「左」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Xの方向を基準とする左右方向を意味しており、「右」は−X方向を意味し、「左」は+X方向を意味している。
以下の説明において、液体噴射装置10から分離可能な構成要素(ケース61や液体収容体100など)の説明におけるX,Y,Z方向は、いずれも通常の使用状態にあるときの液体噴射装置10に適切に装着された装着状態での姿勢を基準とするものである。
本実施形態では、液体噴射装置10は、インクジェットプリンターであり、液体噴射システム11は、インクジェット方式の印刷システムである。本実施形態の液体噴射装置10において噴射によって消費される液体はインクである。インクは、例えば、顔料インクであってもよい。液体噴射装置10は、インク滴を吐出して、処理対象である媒体にインクドットを記録することによって画像を形成する。前記の媒体は、例えば、印刷用紙である。本実施形態の液体噴射装置10は、液体噴射装置10の外装を構成する樹脂製の中空箱体であるハウジング10cを備えている。ハウジング10cは、略直方体形状を有する。−Y方向側に向き、ユーザーが液体噴射装置10を操作するときに正対することが想定されている前面部12には、操作部13と、媒体排出口14と、媒体受部15と、媒体収納口16と、媒体収納部17と、カバー部材18と、が設けられている。
操作部13は、ユーザーに対する情報を表示する表示部13iと、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタン13bと、を有する。媒体排出口14は、液体噴射装置10の内部から繰り出される媒体の出口である。媒体排出口14は、X方向に幅の広いスリット状の開口部として形成されており、−Y方向に開口している。媒体受部15は、媒体排出口14の下側において−Y方向に庇状に張り出しており、媒体排出口14から排出された媒体を受け止める。
媒体収納口16は、ユーザーが液体噴射装置10に対して媒体を補給するための開口部である。本実施形態では、媒体収納口16は、媒体受部15の下方において、−Y方向に開口しており、X方向に幅の広い略長方形の開口形状を有している。媒体収納部17は、本実施形態における処理対象媒体である媒体のストックを収納するトレー状の部材である。媒体収納部17は、その前面が媒体収納口16を介して液体噴射装置10の外部から見える状態で、媒体収納口16に収納されている。ユーザーは、媒体収納口16を介して液体噴射装置10から−Y方向に引き出した媒体収納部17に媒体を収納し、再び、媒体収納口16から媒体収納部17を、媒体収納口16に装填することによって、液体噴射装置10に媒体を補給することができる。
カバー部材18は、液体噴射装置10の外装の一部を構成する樹脂製の板状部材である。本実施形態では、カバー部材18は、X方向に幅が広い略長方形形状を有しており、媒体収納口16の下に配置されている。カバー部材18は、その外周縁に爪部(図示は省略)を有し、ハウジング10cに対して着脱可能に取り付けられている。カバー部材18は、液体噴射装置10の内部に収納されている複数の液体収容体100を被覆して保護する。
[液体噴射装置の内部構成]
図2〜図6を順に参照して液体噴射装置10の内部構成の概要を説明する。図2は、ハウジング10cおよびカバー部材18を取り除いて液体噴射装置10を+Y方向に見たときの概略図である。図2には、液体噴射装置10の主要な構成要素のうち、制御部20と、噴射実行部30と、媒体搬送部35と、液体供給部40と、ケース収納部60と、を抜き出して図示してある。図3は、ハウジング10cおよびカバー部材18を取り除いて液体噴射装置10を+Z方向に見たときの概略図である。図3では、図2に図示されている制御部20と噴射実行部30と媒体搬送部35の図示は省略されている。また、図3では、便宜上、複数の液体収容体100をそれぞれ、液体噴射装置10に対する装着が完了している装着位置である配置領域LAからケース61とともに−Y方向に引き出した状態を図示してある。
液体噴射装置10は、制御部20と、噴射実行部30と、媒体搬送部35と、液体供給部40と、ケース収納部60と、を備えている(図2)。液体噴射装置10では、液体供給部40の供給配管42を介して、ケース収納部60に収納されている液体収容体100から噴射実行部30に液体が供給される。そして、媒体搬送部35が媒体収納部17から繰り出して搬送している媒体MPに噴射実行部30が液体を吐出することによって、媒体MPに印刷画像が形成される。制御部20、噴射実行部30、媒体搬送部35、液体供給部40およびケース収納部60について順に説明する。
[制御部]
制御部20は、液体噴射装置10における各構成部の駆動を制御する。制御部20は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成され、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。制御部20の機能については、順次、説明する。
[噴射実行部]
噴射実行部30は、ヘッド部31と、複数のチューブ32と、を備える(図2)。ヘッド部31は、複数のチューブ32を介して、液体供給部40から液体の供給を受ける。液体供給部40からの液体の供給機構については後述する。ヘッド部31は、液体供給部40から供給された液体を収容する液体室(図示は省略)を備える。当該液体室の底面には、下方に向かって開口するノズル33が設けられている。ヘッド部31は、制御部20の制御下において、例えば、ピエゾ素子によるインクへの圧力の印加などの公知の方法によって、液体室の液体をノズル33から吐出する。
本実施形態では、ヘッド部31は、キャリッジ34に搭載されており、制御部20の制御下において、X方向に直線的に往復移動するように構成されている。図2には、ヘッド部31の移動方向および移動範囲を示す両矢印PSが図示されている。本実施形態では、液体噴射装置10の主走査方向はX方向に一致する。噴射実行部30は、ヘッド部31を移動させるための駆動機構として、キャリッジ34が移動するためのガイド軸と、駆動力を発生するモーターと、その駆動力を伝達するプーリーと、を備える。なお、それらについての図示および詳細な説明は省略する。
ヘッド部31に接続されている複数のチューブ32は可撓性を有している。複数のチューブ32はY方向に並列に配列されている。複数のチューブ32は、後述する液体供給部40の供給配管42との接続部位である継手部43からヘッド部31の走査経路に沿って+X方向に略直線状に配置されるとともに、上方に向かって湾曲して−X方向に折り返してヘッド部31に接続されている。複数のチューブ32の湾曲部位32rは、ヘッド部31の移動に伴って変位する。これによって、ヘッド部31の主走査が複数のチューブ32に阻害されてしまうことが抑制され、ヘッド部31の移動動作が円滑化されている。
[媒体搬送部]
媒体搬送部35は、制御部20の制御下において、処理対象である媒体MPを搬送する(図2)。媒体搬送部35は、ヘッド部31の下方においてX方向に架設された搬送ローラー36を備える。搬送ローラー36の下方には、上述した媒体収納部17が配置されている。媒体搬送部35は、媒体収納部17から搬送ローラー36の外周側面上に媒体MPを1枚ずつ繰り出す繰出機構(図示は省略)を備えている。媒体搬送部35は、駆動モーター(図示は省略)によって搬送ローラー36を回転させ、その回転駆動力によって、媒体MPをヘッド部31の下方において−Y方向に移動させる。本実施形態では、液体噴射装置10の副走査方向は、−Y方向に一致する。ヘッド部31の下方領域を通過した媒体MPは、媒体排出口14を介して液体噴射装置10の外部に排出される。
液体噴射装置10における印刷処理の実行時には、制御部20は、媒体搬送部35によって、媒体MPを上述した副走査方向に搬送する。そして、搬送ローラー36の上方において、ヘッド部31を、搬送ローラー36に沿って主走査方向に往復移動させ、印刷データに基づいて決定したタイミングで、媒体MPの印刷面に向かって、ヘッド部31からインク滴を吐出させる。これによって、媒体MP上には、印刷データに基づいて決定された位置にインクドットが記録され、印刷データに基づく画像が形成される。
[液体供給部]
図4を、図2および図3とともに参照し、液体供給部40について説明する。図4は、液体供給部40を抜き出して示す概略斜視図である。図4には、液体噴射装置10における液体供給部40と開口部材62との位置関係を示すために、液体供給部40とともに、開口部材62を抜き出して図示してある。液体供給部40は、上述した複数の供給配管42と継手部43に加えて、複数の接続受入部50と、変動圧力発生部45と、圧力伝達配管46と、を備える(図3,図4)。まず、複数の接続受入部50の構成について説明し、次に、供給配管42および継手部43について説明する。そして、液体の吸引・送出機構を構成する変動圧力発生部45および圧力伝達配管46について説明する。
[接続受入部]
液体供給部40は、複数の接続受入部50を介して、ケース収納部60に収納される複数の液体収容体100のそれぞれに接続される。本実施形態の液体噴射装置10では、後述するように、色インクごとの4つの液体収容体100が装着される。そのため、本実施形態では、液体供給部40は、4つの液体収容体100のそれぞれに対応するように、4つの接続受入部50を備えている。
本実施形態の4つの液体収容体100の3つは、液体を収容可能な容量が互いに等しい第1液体収容体100aであり、残りの1つは、液体を収容可能な容量が第1液体収容体100aより大きい第2液体収容体100bである(図2,図3)。複数の接続受入部50のうちの3つは、第1液体収容体100aに対応する第1接続受入部50aであり、残りの1つは、第2液体収容体100bに対応する第2接続受入部50bである(図4)。第1接続受入部50aおよび第2接続受入部50bは、特に区別する必要がない限り、「接続受入部50」と総称する。第1液体収容体100aおよび第2液体収容体100bについても、同様に、特に区別する必要がない限り、「液体収容体100」と総称する。なお、本実施形態では、第1接続受入部50aと第2接続受入部50bとは、液体収容体100との接続のための構成に関しては、構成上の実質的な相違はほとんどない。
複数の接続受入部50は、ケース収納部60の+Y方向側の端部に設置されている(図3,図4)。各接続受入部50は、液体噴射装置10において背面側の最も奥まった位置の最下段において、X方向に一列に配列されている。各接続受入部50は、対応する液体収容体100の−Y方向側からの接続を受け入れることができるように設置されている。3つの第1接続受入部50aは、右側からほぼ等間隔で3つ並列に設置されている。第2接続受入部50bは最も左側に設置されている。
図5を参照して、各接続受入部50の概略構成を説明する。図5は、複数の接続受入部50のうちの第1接続受入部50aの一部を抜き出して示す概略斜視図である。以下の説明は、特に断らない限り、第1接続受入部50aと第2接続受入部50bとに共通である。接続受入部50は、液体導入部51と、装置側電気接続部52と、第1位置決め部53fと、第2位置決め部53sと、装置側固定構造54と、嵌合構造55とが一体化された一部品として構成されている。
液体導入部51は、液体収容体100からの液体が流入する。本実施形態では、液体導入部51は、ケース収納部60の+Y方向側の端部に位置している。液体導入部51は、−Y方向に直線的に延びている形状を有する管部によって構成されており、−Y方向側の先端部51tにおいて開口している。液体導入部51は、その先端部51tが、液体収容体100内に挿入されることによって、液体収容体100に接続される。本実施形態では、液体導入部51は、X方向において接続受入部50のほぼ中央において、−Y方向に突出している。
液体導入部51の+Y方向側の後端部は、接続受入部50の内部に設けられたポンプ室(図示は省略)に連通している。液体導入部51に流入した液体はポンプ室に流入する。なお、接続受入部50の内部には、ポンプ室に流入した液体が再び液体導入部51へと逆流することを抑制するための逆止弁構造が設けられている(図示は省略)。
本実施形態の接続受入部50では、液体導入部51の下に、液体受部56が設けられている。液体受部56は、液体導入部51に沿って−Y方向に延び出ている。液体受部56は、液体導入部51の下側の側面形状に沿うように下にわずかに湾曲しており、液体導入部51と液体収容体100との接続部位から漏洩した液体を受け止める受け皿として機能する。液体受部56は、省略されてもよい。
液体導入部51および液体受部56の+Y方向側の後端部には、基端部材57が設けられている。基端部材57は、液体導入部51が挿通される貫通孔51pを有する樹脂部材である。基端部材57は、Y方向への移動が可能なように取り付けられている。基端部材57の背面側には付勢部材57eである弦巻ばねが、液体導入部51の周囲を囲むように配置されており、基端部材57に−Y方向の弾性力を付与している。付勢部材57eは基端部材57の背後に隠れて見えないため、図5では、その配置位置を破線で図示してある。付勢部材57eによって付与される力によって、基端部材57は、矢印SDで示されているように、Y方向に弾性的に移動する。液体噴射装置10に液体収容体100が装着されるときには、液体収容体100およびケース61は、基端部材57によって、−Y方向への力が付与される。
装置側電気接続部52は、液体収容体100に対して電気的に接続されるコネクターである。装置側電気接続部52は、ケース収納部60の+Y方向側の端部に位置する(図3)。装置側電気接続部52は、X方向に配列された複数の端子部52tを有している。各端子部52tは、装置側電気接続部52の表面から突出しており、液体収容体100の収容体側電気接続部(後述)に接触して電気的に接続される。各端子部52tは、板バネなどの弾性部材によって、その突出方向に付勢されていることが望ましい。本実施形態では、装置側電気接続部52は、液体収容体100の収容体側電気接続部の配置角度に対応する傾斜角度で配置されている。装置側電気接続部52は、その表面の法線ベクトルが、−Y方向のベクトル成分と、−Z方向のベクトル成分と、を有するように、斜め上方を向いて配置されている。
装置側電気接続部52は、配線(図示は省略)を介して、制御部20(図2)に接続されている。配線は、例えば、フレキシブルフラットケーブルによって構成される。装置側電気接続部52と収容体側電気接続部とが電気的に接続されることによって、制御部20は、液体収容体100との間で電気信号をやりとりする。これによって、制御部20は、液体収容体100に収容されている液体に関する情報を取得する。液体に関する情報とは、例えば、インクの色や、インクの種類、液体収容体100における液体の収容量を表すパラメーターなどである。また、制御部20は、液体収容体100の接続状態を電気的に検出する。
装置側電気接続部52のX方向における両脇には、案内凸部52gが1つずつ設けられている。図5では、便宜上、+X方向側の案内凸部52gのみを図示してあり、−X方向側の案内凸部52gの図示は省略されている。図5では、便宜上、案内凸部52gは、−Y方向に突出しており、装置側電気接続部52に対する液体収容体100の収容体側電気接続部(後述)の接続の際の位置決め部として機能する。
第1位置決め部53fおよび第2位置決め部53sは、互いに離間した位置において突出している。本実施形態では、第1位置決め部53fおよび第2位置決め部53sは、−Y方向に延びている軸状部位として構成されており、液体導入部51と並列に配列されている。第1位置決め部53fは、液体導入部51の−X方向側に位置しており、第2位置決め部53sは、液体導入部51の+X方向側に位置している。第1位置決め部53fは、装置側電気接続部52よりも−X方向側に位置している。本実施形態では、第1位置決め部53fと第2位置決め部53sとは、Y方向における先端部の位置がほぼ揃っている。また、第1位置決め部53fと第2位置決め部53sとは、ほぼ同じ高さ位置に設けられており、液体導入部51および装置側電気接続部52よりも低い位置に設けられている。
液体収容体100が装着されたときには、第1位置決め部53fおよび第2位置決め部53sはともに、液体収容体100に設けられている対応する受入部(後述)内に挿入される。第1位置決め部53fおよび第2位置決め部53sは、液体収容体100の装着時に、液体収容体100のX方向における配置位置と、水平方向における配置角度と、を規定する機能を有する。
第1位置決め部53fおよび第2位置決め部53sは、液体導入部51の先端部51tよりも−Y方向側に突出していることが望ましい。これによって、一対の位置決め部53f,53sによって液体収容体100の装着姿勢を規定した上で、液体収容体100の液体導出口(後述)に対して液体導入部51を接続することができる。各位置決め部53f,53sの外周側面には、図示されているように、Y方向に並列に延びる溝部53gが設けられていることが望ましい。これによって、液体収容体100の受入部に対する挿入が円滑化される。
装置側固定構造54は、液体収容体100が配置されるケース61に設けられているケース側固定構造(後述)と協働して、ケース61のY方向への移動を規制する。本実施形態では、装置側固定構造54は、装着される液体収容体100の下側に入り込めるように、装置側固定構造54は、アーム状の部材部として構成されており、−Y方向側に向かって延び出ている。装置側固定構造54は、液体導入部51よりも−X方向側に位置しており、装置側電気接続部52の下方に位置している。
装置側固定構造54の−Y方向側の先端部54tは、液体導入部51の先端部51tよりも−Y方向側に突出している。また、先端部54tは、各位置決め部53f,53sの先端部よりも−Y方向側に突出している。先端部54tには、突起部54pが設けられている。突起部54pは先端部54tの中央において−Z方向に突出している。突起部54pは、ケース61がケース収納部60に装着されたケース収納状態において、ケース側固定構造に設けられた被係合部と係合する。以下の説明においては、突起部54pを「係合部54p」とも呼ぶ場合もある。突起部54pが、ケース側固定構造に設けられた被係合部に係止されることによってケース61の−Y方向への移動が規制される。
装置側固定構造54は、両矢印EXによって示されているように、+Y方向側の後端部を支点として、横方向への回動が許容された状態で取り付けられている。装置側固定構造54は、接続受入部50の内部に配置された弾性部材(図示は省略)によって、+X方向に付勢されており、−X方向に外力を受けたときに−X方向に弾性的に回動する。また、装置側固定構造54は、両矢印EZによって示されているように、+Y方向側の後端部を支点として、高さ方向への回動が許容された状態で取り付けられている。装置側固定構造54は、接続受入部50の内部に配置された弾性部材(図示は省略)によって−Z方向に付勢されており、+Z方向に外力を受けたときに+Z方向に弾性的に回動する。装置側固定構造54とケース61のケース側固定構造との係合のメカニズムについては後述する。
嵌合構造55は、液体導入部51よりも+X方向側に設けられている。嵌合構造55は、第2位置決め部53sの上方に位置しており、+Z方向に同じ高さで突出するとともに、−Y方向に並列に延びている略矩形状の複数の突起部55cが配列された凹凸構造を有している。嵌合構造55の凹凸構造における突起部55cの配列パターンは、接続受入部50ごとに異なっている。各接続受入部50の対応する液体収容体100には、その凹凸構造の配列パターンに対応し、嵌合可能な凹凸構造を有する嵌合構造受入部(後述)が設けられている。これによって、対応していない間違った液体収容体100が、接続受入部50に接続されてしまうことが抑制される。
[供給配管および継手部]
複数の供給配管42は、可撓性を有する樹脂製のチューブ部材によって構成されている(図4)。各供給配管42は、各接続受入部50の内部に設けられた上述したポンプ室(図示は省略)にそれぞれ1本ずつ接続されている。各供給配管42は、接続受入部50から液体収容体100が収容される領域の上方を通って−X方向側の端部に集められた後、−Y方向に並列に引き回されている(図3,図4)。そして、液体噴射装置10の前方側の端部において−Z方向へと引き回されて、媒体搬送部35よりも高い位置に設置されている継手部43に接続されている(図2,図4)。上述したように、各供給配管42は、継手部43を介して、噴射実行部30の複数のチューブ32のうちの対応する1本に接続されている。
[液体供給部における液体の吸引・送出機構]
変動圧力発生部45は、液体の吸引・送出のための圧力変動を発生させる発生源であり、例えば、ポンプによって構成される(図2,図3)。変動圧力発生部45は、液体噴射装置10の前面部12に寄った位置においてケース収納部60よりも上方に設置されている(図2)。変動圧力発生部45は、第1液体収容体100aの装着位置の上に位置する。圧力伝達配管46は、変動圧力発生部45に接続されており、変動圧力発生部45が発生させた圧力変動を伝達する(図3,図4)。圧力伝達配管46は、各接続受入部50の内部に設けられた圧力室(図示は省略)に接続されている。
各接続受入部50の圧力室は、可撓膜を挟んで、液体収容体100から液体が流入する上述したポンプ室に隣接している。そのため、変動圧力発生部45が圧力室の圧力を低下させたときには、可撓膜が圧力室側に撓み、ポンプ室の容積が増加して、液体収容体100の液体が液体導入部51を介してポンプ室へと吸引される。一方、変動圧力発生部45が圧力室の圧力を上昇させたときには、可撓膜がポンプ室側に撓み、ポンプ室の容積が低下して、ポンプ室に流入していた液体が、供給配管42へと押し出される。このように、液体供給部40では、変動圧力発生部45が圧力室における圧力の上昇と下降とを繰り返すことによって、噴射実行部30への液体の供給が実現される。
[ケース収納部]
本実施形態の液体噴射装置10では、ケース収納部60は、最下段に設けられている(図2,図3)。ケース収納部60には、複数のケース61が収納される。上述したケース収納状態にあるときには、複数のケース61は、ケース収納部60においてX方向に一列に配列される。複数のケース61にはそれぞれ、複数の液体収容体100が配置される。1つのケース61には、1つの液体収容体100が配置される。すなわち、ケース収納部60には、複数の液体収容体100がそれぞれ、ケース61に配置された状態でX方向に一列に配列されて収納される。図2では、液体収容体100はケース61に隠れて見えないため、その配置位置に破線で符号を付してある。また、図3では、ケース収納部60におけるケース61および液体収容体100の装着時の配置位置である配置領域LAを一点鎖線で図示してある。
ケース収納部60では、+X方向側の端に第2液体収容体100bが収納され、その−X方向側に3つの第1液体収容体100aが収納される(図2)。各液体収容体100の配置領域LAの+Y方向側には、対応する接続受入部50がひとつずつ設置されている(図3)。上述したとおり、本実施形態では、液体収容体100にはそれぞれ異なる色インクが収容されている。各液体収容体100に収容される色インクの組み合わせは特に限定されることはない。例えば、3つの第1液体収容体100aにはそれぞれ、シアン、マゼンタ、イエローが収容され、第2液体収容体100bには、最も消費量が多いことが見込まれるブラックが収容されるものとしてもよい。なお、液体収容体100の一部または全部が同じ色インクを収容していてもよい。
複数のケース61は、液体収容体100の装着に用いられる。本実施形態では、ケース61は、トレー状の容器として構成されている。ケース61は、ケース収納部60においてY方向に移動させることによって、液体噴射装置10に対する脱着が可能である。ケース61は、液体収容体100が配置されていない空の状態でも、ケース収納部60にセットすることができる。なお、ケース61および液体収容体100の液体噴射装置10に対する着脱の詳細については後述する。
液体収容体100は、ケース収納部60から引き出されたケース61の−Z方向側に着脱可能に配置される。液体収容体100は、ケース61に配置された状態で、液体噴射装置10に装着される。すなわち、液体収容体100は、ケース61に配置された状態で、液体噴射装置10のケース収納部60装着される。また、液体収容体100は、ケース61に配置された状態でケース収納部60から取り出される。なお、ケース61には、第1液体収容体100aが配置される第1ケース61aと、第2液体収容体100bが配置される第2ケース61bと、が含まれる。第1ケース61aおよび第2ケース61bは、特に区別する必要がない限り、「ケース61」と総称する。ケース61の構成の詳細については後述する。
本明細書では、第1ケース61aに適正に配置された第1液体収容体100aを「第1装着体105a」とも呼ぶ。同様に、第2ケース61bに適正に配置された第2液体収容体100bを「第2装着体105b」とも呼ぶ。第1装着体105aおよび第2装着体105bは、特に区別する必要がない場合には、「装着体105」と総称する。
ケース収納部60の入口には、開口部材62が配置されている(図2,図4)。開口部材62は、略長方形形状を有する板状部材であり、厚み方向に貫通する4つの貫通口63を備えている。開口部材62は、その厚み方向がY方向に一致し、その長手方向がX方向に一致する状態で、ケース収納部60の−Y方向側の端部に固定的に設置されている。各貫通口63は、ケース61が挿通される挿入口である。各貫通口63は、対応するケース61をY方向に見たときの外周輪郭形状に対応する開口形状を有している。開口部材62によって、液体噴射装置10へのケース61の挿入・引き出しがガイドされる。また、ユーザーが、第1ケース61aと第2ケース61bとを間違った場所に挿入してしまうことが抑制される。各貫通口63の下端には、+Z方向に窪んでいる複数の凹部63rが設けられている。各凹部63rは、貫通口63に対応するケース61の下面に設けられたレールリブ230(後述)に対応して設けられており、当該レールリブ230のケース収納部60への挿入を許容するとともに、その移動をガイドする。なお、開口部材62は省略されてもよい。
図6は、図2に示す6−6切断におけるケース収納部60の入口における概略断面図である。開口部材62は、各貫通口63の上端に、+Y方向に庇状に突出している天井壁部62eを有している(図4,図6)。天井壁部62eは、+Z方向に向き、−Y方向側から+Y方向側に向かって上方に傾斜している傾斜壁面62sを有している。液体収容体100の液体が消費され、ケース61内において、液体収容体100における袋状部材(後述)の−Y方向側の端部101が上方に沿ってしまったとしても、ケース61を引き出すときに、その端部101は、傾斜壁面62sにガイドされる。よって、ケース収納部60からのケース61の引き出しが円滑化される。
ケース収納部60の床面には、複数のレール溝64が形成されている(図3)。各レール溝64は、各液体収容体100の配置領域LAごとに、ケース収納部60のY方向の全域にわたって直線状に形成されている。各レール溝64には、ケース61の下面に設けられたレールリブ(後述)が嵌合する。レール溝64によって、液体噴射装置10の内部におけるケース61のY方向の移動がガイドされ、X方向において隣り合うケース61同士の接触が抑制される。また、接続受入部50に対する液体収容体100の接続が簡易化される。なお、レール溝64およびそれに対応するレールリブの構成は、誤装着の防止のために、ケース61ごとに異なっていてもよい。また、レール溝64の一部または全部は省略されてもよい。
ケース収納部60の床面には、複数のローラー65が設置されている(図3)。各ローラー65は、各液体収容体100の配置領域LAごとに、Y方向に適宜、分散して配列されている。ケース収納部60では、各ローラー65の回転によって、ケース61をY方向へ移動させるときの移動抵抗が低減され、ユーザーによるケース61の移動操作が円滑化される。ローラー65は省略されてもよい。
[液体収容体およびケースの構成]
図7〜図16を、適宜、参照して、第1装着体105aを構成する第1液体収容体100aおよび第1ケース61aの構成を説明する。その後、図17〜図24を参照して、第2装着体105bを構成する第2液体収容体100bおよび第2ケース61bの構成を説明する。
[第1装着体;第1液体収容体および第1ケース]
図7〜図16を参照する。図7は、第1装着体105aを上方から見たときの概略斜視図である。図8は、第1装着体105aを下方から見たときの概略斜視図である。図9は、第1装着体105aを+Z方向に正対して見たときの概略図であり、第1装着体105aの上面側を示している。図10は、第1装着体105aを−Z方向に正対して見たときの概略図であり、第1装着体105aの下面側を示している。図11は、第1装着体105aを−X方向に正対して見たときの概略図であり、第1装着体105aの左側面側を示している。第1装着体105aの右側面側は、第1装着体105aの左側面側とほぼ同様である。図12は、第1装着体105aを+Y方向に見たときの概略図であり、第1装着体105aの前面側(つまり、液体噴射装置10に対する第1装着体105aの装着方向における後端側)を示している。図13は、第1ケース61aから第1液体収容体100aを取り出した状態を、上方から見たときの概略分解斜視図である。図14は、図9に示す14−14切断における第1装着体105aの概略断面図である。図15は、接続部材120aの近傍を上方から見たときの概略斜視図である。図16は、図15から収容体側電気接続部140の近傍を抜き出して示す概略斜視図である。以下では、まず、第1液体収容体100aの概略構成について説明し、第1ケース61aの概略構成について説明する。
[第1液体収容体]
第1液体収容体100aは、インクパックであり、袋状部材110aと、接続部材120aと、を備える(図7)。第1液体収容体100aは、Z方向に見たときに、Y方向を長手方向とする略長方形形状の外周輪郭形状を有している(図9)。接続部材120aは、第1液体収容体100aの+Y方向側の端部部位を構成しており、袋状部材110aは、接続部材120aの−Y方向側に位置している。
第1液体収容体100aのZ方向における幅は、X方向における幅およびY方向における幅よりも小さい(図13,図14)。この「幅」は、各方向において第1液体収容体100aの最も外側に位置する部位同士の間の当該方向における距離を意味している。つまり、第1液体収容体100aは、厚みの薄い平板な形状を有している。そのため、第1液体収容体100aによれば、第1ケース61a上における配置姿勢について高い安定性を得ることができる(図7,図14)。
[袋状部材]
袋状部材110aは、内部に液体を収容する収容部115が構成されている収容体である(図7,図13,図14)。袋状部材110aは、可撓性を有する。袋状部材110aの可撓性は自重によって撓む程度であってもよいし、自重に対してはその形状を保持し、自重よりも大きな荷重が加えられたときに撓む程度であってもよい。袋状部材110aは、Z方向に見たときに、Y方向を長手方向とする略長方形形状を有している(図9)。袋状部材110aは、2枚のシート部材111,112を重ね合わせて、それらの外周端部113を溶着することによって構成される。なお、袋状部材110aの内部の収容部115は、Z方向に見たときに、袋状部材110aと同様なY方向を長手方向とする略長方形形状を有している(図示は省略)。
第1シート部材111は−Z方向側に配置され、袋状部材110aの上側の面を構成する(図14)。第2シート部材112は+Z方向側に配置され、袋状部材110aの下側の面を構成する。各シート部材111,112は、互いに同じサイズの長方形形状を有している(図9,図13)。各シート部材111,112は、完全に平坦な形状を有していなくてもよい。各シート部材111,112は、袋状部材110aにおいて中央に向かって徐々に膨らみが形成されるような撓んだ形状に成形されていることが望ましい(図14)。
各シート部材111,112は、可撓性とガスバリア性、液不透過性を有する素材で形成されている。各シート部材111,112は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどのフィルム部材によって構成されてもよい。各シート部材111,112は、前記の素材で構成されたフィルムを複数枚、積層して構成されていてもよい。この場合には、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPET又はナイロンのフィルムによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンのフィルムによって形成してもよい。さらに、その積層構造には、アルミニウムなどを蒸着した層が追加されてもよい。
袋状部材110の+Y方向側の端部には、供給口部材116が取り付けられている(図14)。供給口部材116については後述する。袋状部材110aの内部には、収容部115の形状を保持するための骨格部材や、収容部115の液体を袋状部材110aの外部へと導くための管状部材などが収容される。図14では、袋状部材110aの内部構造の図示は省略されている。
[接続部材]
接続部材120aは、袋状部材110aの+Y方向側の端部に取り付けられている(図7,図9,図13,図14)。接続部材120aは、第1装着体105aの装着方向における先端側の端部に固定されている。接続部材120aは、対応する第1接続受入部50aに接続する機能と、第1液体収容体100aを第1ケース61aに固定する機能と、を有する。
まず、接続部材120aの外観の概略を説明する。接続部材120aは、概ね、X方向を長手方向とする略直方体形状を有している(図13,図15)。接続部材120aのX方向における幅は、袋状部材110aのX方向における幅よりも、わずかに大きい(図9)。その差は、例えば、数mm〜十数mm程度であるとしてもよい。接続部材120aの本体部は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材を成形することによって作製される。
接続部材120aは、第1面部121と、第2面部122と、第3面部123と、第4面部124と、第5面部125と、第6面部126と、を有する(図15)。本明細書において、「面部」は、平面状に構成されていなくても良く、曲面状に構成されていてもよいし、凹部や凸部、段差、溝、屈曲部、傾斜面などを有していてもよい。また、2つの面部が「交差する」とは、2つの面部が相互に実際に交差する状態と、一方の面部の延長面が他方の面部に交差する状態と、2つの面部の延長面同士が交差する状態と、のいずれかの状態であることを意味する。隣り合う各面部の間に、各面部をなだらかに接続するための湾曲面や、各面部と斜めに交わる面が介在していてもよい。
第1面部121は+Y方向を向き、第1液体収容体100aの装着方向における先端面を構成する。後述するように、接続部材120aの第1面部121側には、第1接続受入部50aに接続するための構成要素がまとめられている。第2面部122は、第1面部121に対向する位置にあり、−Y方向を向く。第2面部122は、第1液体収容体100aの装着方向における後端面を構成する。第2面部122には、上述した袋状部材110aが固定されている。第3面部123は、第1面部121および第2面部122に交差し、−Z方向に向く。第3面部123は、接続部材120aの上面部を構成する。第3面部123には、第1液体収容体100aの取り回し性を高めるためのハンドル170aが取り付けられている。ハンドル170aについては後述する。
第4面部124は、第3面部123に対向する位置にあり、第1面部121および第2面部122に交差している。第4面部124は、+Z方向側の面部であり、+Z方向を向き、接続部材120aの底面部を構成する。第5面部125は、第1面部121と第2面部122と第3面部123と第4面部124とに交差している。第5面部125は、+X方向を向き、接続部材120aの左側面部を構成する。第6面部126は、第5面部125に対向する位置にあり、第1面部121と第2面部122と第3面部123と第4面部124とに交差している。第6面部126は、−X方向を向き、接続部材120aの右側面部を構成する。
接続部材120aは、Z方向に重ね合わされる第1部材127fと第2部材127sとを有する(図15)。接続部材120aには、スリット128が形成されている。袋状部材110aの+Y方向側の端部は、第2面部122に形成されているスリット128に挿入されている。袋状部材110aは、その+Y方向側の端部が第1部材127fと第2部材127sとにZ方向に挟み込まれた状態で、接続部材120aに固定されている。接続部材120aにおける袋状部材110aの固定構造の詳細については後述する。
接続部材120aには、第1接続受入部50aに接続するための構成要素として、液体導出口131と、収容体側電気接続部140と、第1受入部150fと、第2受入部150sと、嵌合構造受入部155と、が設けられている(図7,図13,図15)。接続部材120aにおいては、それらの構成要素は、第1面部121側にまとめられている。以下では、それらの構成要素について順に説明した後に、接続部材120aに設けられているその他の構成について説明する。
[液体導出口]
液体導出口131は、+Y方向に開口している開口部である(図15)。つまり、液体導出口131の中心軸は、Y方向に平行である。液体導出口131は、第1接続受入部50aの液体導入部51(図5)が+Y方向に挿入される。液体導出口131は、第1面部121において、X方向におけるほぼ中央の位置に設けられている。液体導出口131は、袋状部材110aが固定されているのとほぼ同様な高さ位置に形成されている。
液体導出口131は、袋状部材110a内部の液体収容領域である収容部115に連通している。液体導出口131は、袋状部材110aの+Y方向側の端部に取り付けられている供給口部材116(図14)と、当該供給口部材116に接続されている管状部材300(後に参照する図32に図示)と、を介して収容部115に連通している。第1液体収容体100aにおける液体の流路の構成についての詳細な説明は省略する。なお、接続部材120aの内部には、液体の漏洩を防止するために、液体導出口131に液体導入部51が挿入される前は閉じた状態を維持し、液体導入部51が挿入されたときに開く弁構造やシール構造が設けられている(図示は省略)。
本実施形態では、第1面部121において液体導出口131の周縁部132の全体が−Y方向に窪んでおり、液体導出口131は、周縁部132よりも−Y方向側に突出した位置において開口している。これによって、液体導出口131は、周縁部132によって形成された壁部に周囲が囲まれた状態になっており、液体導出口131の保護性が高められており、例えば、ユーザーが液体導出口131に誤って触れてしまうことが抑制される。また、第1液体収容体100aが誤って落下してしまったときなどに液体導出口131の衝突による損傷や変形などの劣化が抑制される。周縁部132には、液体導出口131を囲み、+Y方向に突出するように設けられた周縁リブが形成されていてもよい。
周縁部132は、液体導出口131に第1接続受入部50aの液体導入部51が接続されたときに、液体導入部51の周囲に設けられている基端部材57(図5)に接触して押され、−Y方向に弾性力を受ける。なお、第1液体収容体100aが液体噴射装置10に装着された装着状態においては、第1液体収容体100aが配置されている第1ケース61aが第1接続受入部50aに対して係合される(後述)。そのため、周縁部132が基端部材57によって−Y方向に付勢されても、第1液体収容体100aおよび第1ケース61aが配置領域LAから−Y方向に移動してしまうことは抑制される。
[収容体側電気接続部]
収容体側電気接続部140は、装置側電気接続部52に接続するための基板部141を備えている(図7,図15,図16)。収容体側電気接続部140は、第1接続受入部50aの装置側電気接続部52(図5)に電気的に接触する。基板部141の表面141sには、複数の端子142が配置されている(図16)。複数の端子142は、装置側電気接続部52の端子部52tに対応する位置に配置されている。基板部141の表面141sとは反対側の面には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気接続部52の接続を検出するための回路などが設けられていてもよい(図示および詳細な説明は省略)。
本実施形態では、各端子142は、装置側電気接続部52の端子部52tが接触する略平坦な接触面を有している。図16には、各端子142において、装置側電気接続部52の端子部52tが接触する接触部位CPの位置を破線で例示してある。各端子142の接触部位CPは基板部141の表面141sにおいて上段および下段のそれぞれにおいて、X方向に平行な配列方向で配列されている。なお、端子142や接触部位CPの配列パターンは図16において例示されているものに限定されることはない。
本実施形態では、収容体側電気接続部140は、接続部材120aの−X方向側の端部に寄った位置に設けられており、収容体側電気接続部140は、液体導出口131よりも−X方向側に位置している(図9,図15)。接続部材120aには、収容体側電気接続部140の基板部141を配置するための基板配置部144が−Y方向および+Z方向に窪んだ凹部として形成されている(図16)。基板配置部144には、+Y方向と−Z方向との間の斜め上方の方向に向いている傾斜面144sが形成されており、収容体側電気接続部140は、その傾斜面144s上に、傾斜面144sとほぼ平行な配置角度で傾斜配置されている。つまり、基板部141の表面141sおよび端子部52tの接触面の法線ベクトルは、+Y方向のベクトル成分と、−Z方向のベクトル成分と、を有している。
このように、基板部141は、表面141sが−Z方向側を向くように配置されている。そのため、装置側電気接続部52が電気的に接続されるときには、収容体側電気接続部140は、装置側電気接続部52から少なくとも下方に向かう+Z方向の力を受けつつ、装置側電気接続部52に電気的に接触することになる。この下方に向かう力によって、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との間の接触状態が良好になり、収容体側電気接続部140の電気的な接続性が高められる。
また、本実施形態では、上記のように基板部141が傾斜配置されて、その表面141sが+Y方向側にも向いている。そのため、第1液体収容体100aを第1ケース61aとともに+Y方向に移動させて、収容体側電気接続部140を装置側電気接続部52に接続させる場合には、第1ケース61aを+Y方向に移動させるときの力を利用して、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との間の電気的な接続状態を形成することができる。従って、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との電気的な接続性が高められる。
また、装置側電気接続部52との接続の際に、装置側電気接続部52の端子部52tが、収容体側電気接続部140の端子142の接触面を擦りつつ移動することになる。これによって、収容体側電気接続部140の端子142の接触面に付着した異物などが装置側電気接続部52の端子部52tによって除去されるため、収容体側電気接続部140の電気的な接続性が、さらに高められる。
加えて、第1液体収容体100aを第1ケース61aとともにケース収納部60から取り出す際には、装置側電気接続部52から受けている−Y方向の力によって、第1液体収容体100aの−Y方向への移動が補助される。従って、第1液体収容体100aの取り出しが簡易化される。
基板部141は、基板配置部144の奥まった位置に設置されている(図16)。基板部141は、そのX方向における両側において、基板部141の表面141sよりも−Z方向および+Y方向に突出している2つの壁部145によって挟まれている。これらの壁部145は基板部141の保護部として機能する。そのため、例えば、ユーザーが基板部141に誤って触れてしまうことや、第1液体収容体100aが誤って落下してしまったときなどに基板部141が損傷してしまうことなどが抑制される。
基板配置部144における基板部141をX方向に挟む両側の側壁面146にはそれぞれ、Y方向に延びる溝状の案内凹部147がひとつずつ設けられている(図16)。案内凹部147は、+Y方向に開口している。装置側電気接続部52が収容体側電気接続部140に接続されるときには、装置側電気接続部52のX方向における両側に設けられている各案内凸部52gが、対応する案内凹部147に対して−Y方向に挿入される。これによって、装置側電気接続部52に対する基板部141の位置決めがなされる。
[第1受入部および第2受入部]
第1受入部150fおよび第2受入部150sは、接続部材120aの第1面部121に設けられている(図15)。第1液体収容体100aが液体噴射装置10に装着されるときには、第1受入部150fは、第1接続受入部50aの第1位置決め部53f(図5)を受け入れ、第2受入部150sは、第2位置決め部53s(図5)を受け入れる。これによって、第1液体収容体100aの装着位置が適切に規定される。
本実施形態では、第1受入部150fおよび第2受入部150sは、−Y方向に延びる孔部として形成されており、それぞれ第1開口部151fおよび第2開口部151sを有している(図15)。第1受入部150fおよび第2受入部150sのそれぞれの開口部151f,151sは、対応する位置決め部53f,53sの+Y方向側からの挿入を受け入れる。なお、本実施形態では、第1受入部150fの第1開口部151fと第2受入部150sの第2開口部151sとで、その開口形状が異なっているが、その詳細については後述する。
第1受入部150fは、液体導出口131よりも−X方向側に位置している(図15)。第1液体収容体100aでは、第1受入部150fは第1面部121の−X方向側の下側の角部に設けられている。一方、第2受入部150sは、液体導出口131よりも+X方向側に位置している。第1液体収容体100aでは、第2受入部150sは第1面部121の+X方向側の下側の角部に設けられている。
本実施形態では、液体導出口131は、一対の受入部150f,150sによってX方向に挟まれている。これによって、液体噴射装置10に対する第1液体収容体100aの装着時に、液体導入部51(図5)に対する液体導出口131のX方向における位置決め精度が高められる。よって、液体導入部51と液体導出口131との接続性が改善される。本実施形態では、2つの受入部150f,150sはそれぞれ、第1液体収容体100aをY方向に見たときに、X方向において同じ側に設けられている被案内部165a(後述)の少なくとも一部と重なる位置に設けられている。このように、本実施形態では、一対の受入部150f,150sの間のX方向における距離を大きくとってあるため、その位置決め精度がさらに高められている。
[嵌合構造受入部]
嵌合構造受入部155は、液体導出口131よりも+X方向側に設けられている(図15)。嵌合構造受入部155は、第3面部123の+Y方向側の端部において、+X方向側の端部に寄った位置に設けられている。嵌合構造受入部155は、X方向において、液体導出口131を挟んで収容体側電気接続部140とは反対側に設けられている。嵌合構造受入部155は、−Z方向に同じ高さで突出するとともに、−Y方向に並列に延びている略矩形状の複数の突起部156が配列された凹凸構造を有している。嵌合構造受入部155における突起部156とその間に形成される凹部である谷間部157のX方向における配列パターンは、接続対象である嵌合構造55(図5)の凹凸構造における配列パターンとは凹凸が逆になっている。
第1液体収容体100aを+Y方向に移動させて、対応する第1接続受入部50aに接続させるときには、嵌合構造55の凹凸構造と嵌合構造受入部155の凹凸構造との嵌合が許容される。一方、第1液体収容体100aと第1接続受入部50aとの組み合わせが適切でない場合には、嵌合構造55の凹凸構造が嵌合構造受入部155の凹凸構造に適合せず、嵌合することができない。従って、対応していない間違った第1液体収容体100aが、第1接続受入部50aに接続されてしまうことが抑制される。
[接続部材のその他の構成]
[凹部]
接続部材120aの第4面部124には、−Z方向に窪んでいる凹部160が設けられている(図15,図16)。本実施形態では、凹部160は、略矩形形状を有しており、第1面部121まで+Y方向に延びて、+Y方向に開口している。第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置されるとき、凹部160には、第1ケース61aの底面に形成されている凸部(後述)が収容される。凹部160は、Z方向に見たときに、収容体側電気接続部140の少なくとも一部と互いに重なり合う位置に形成されている。この理由については後述する。
[嵌合凹部]
接続部材120aの第4面部124には、一対の嵌合凹部161が形成されている(図15)。2つの嵌合凹部161は、X方向に液体導出口131を挟むように配列されている。2つの嵌合凹部161はそれぞれ、X方向において液体導出口131の周縁部132に隣り合う位置に形成されている。本実施形態では、各嵌合凹部161は、−Z方向に切れ込んでいる凹部として形成されている。各嵌合凹部161は、上述した凹部160と同様に、第1面部121において+Y方向に開口している。第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置されるときに、各嵌合凹部161には、第1ケース61aの後面壁部203の一部が挿入されて嵌合する(図7,図13)。これによって、第1ケース61aに対する液体導出口131のX方向における位置決めがなされる。
[被案内部]
接続部材120aには2つの被案内部165aが設けられている(図7,図9,図13,図15)。第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置されるときには、各被案内部165aが、第1ケース61aの対応する案内部208a(後述)に案内されて、第1ケース61aに対する第1液体収容体100aの位置決めがなされる(図13)。第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置された状態では、案内部208aが被案内部165aに嵌まり、接続部材120aが第1ケース61aに固定される(図7,図9)。
第1液体収容体100aでは、2つの被案内部165aは、接続部材120aの第5面部125側と第6面部126側とにそれぞれひとつずつ設けられている(図9)。第1液体収容体100aの2つの被案内部165aは、第5面部125および第6面部126においてX方向に窪む凹部として形成されている(図15)。本実施形態では、被案内部165aは、水平な切断面において略半円形状を有している溝部であり(図9)、接続部材120aの各面部125,126において矢印Zの方向にわたって形成されている(図15)。被案内部165aの+Y方向側の端部は、面取りされたような形状となっている。これによって、各被案内部165aには、−Y方向に向く平坦面を有する平面部165pが形成されている。
本実施形態では、2つの被案内部165aは、X方向に並ぶように形成されている(図9)。2つの被案内部165aは、第1接続部材120aのX方向における中心を挟んで左右対称に形成されている。各被案内部165aは、液体導出口131、収容体側電気接続部140および嵌合構造受入部155よりも−Y方向側に位置している。2つの被案内部165aはそれぞれ、X方向においては、液体導出口131の両側にひとつずつ設けられており、X方向においては、液体導出口131は、2つの被案内部165aの間に位置している。また、X方向においては、液体導出口131と−X側の被案内部165aとの間に、収容体側電気接続部140が位置している。液体導出口131と+X側の被案内部165aとの間には、嵌合構造受入部155が位置している。被案内部165aの構成および機能の詳細については後述する。
[ハンドル]
ハンドル170aは、ユーザーが第1液体収容体100aを移動させるときなどに把持できる部位である(図7,図9,図13,図15)。本実施形態では、ハンドル170aは、ポリプロピレン等の樹脂部材の成形によって作製される。ハンドル170aは、把持部171と、2つの連結部172,173と、2つの基端部174,175と、を備える。把持部171は、ユーザーが手を掛けるための部位である。把持部171は、矢印Xの方向に延びている。本実施形態では、把持部171のX方向における幅は、接続部材120aのX方向における幅よりわずかに小さく、袋状部材110aのX方向における幅よりわずかに大きい(図9)。
2つの連結部172,173は、把持部171の両端から、X方向に交差する方向に延びている。第1連結部172は、把持部171の+X方向側の端部と第1基端部174とを連結している。第2連結部173は、把持部171の−X方向側の端部と第2基端部175とを連結している。各基端部174,175は略円柱形状を有する軸状部位であり、X方向に沿って互いに対向するように突出している。把持部171および2つの連結部172は、軽量化のために、適宜、肉抜きされていることが望ましい。
第1基端部174は、第1連結部172の端部において、+X方向に突出しており、第2基端部175は、第2連結部173の端部において、−X方向に突出している。2つの基端部174,175はそれぞれ、接続部材120aの第3面部123に設けられている固定部176に接続されている。固定部176によって、ハンドル170aは、第1接続部材120aに回動可能に固定される。本実施形態では、固定部176は、X方向に延びている軸穴によって構成されており、各基端部174,175は、その軸孔にX方向に挿入されている。
本実施形態では、2つの基端部174,175は、X方向において、2つの被案内部165aの間に位置している。本実施形態では、2つの基端部174,175は、X方向において、2つの被案内部165aに重なる位置にある。なお、2つの基端部174,175の間のX方向における距離は、把持部171のX方向における幅よりも短い(後述)。
ハンドル170aは、第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置された状態において露出する位置に設けられている。ハンドル170aは、ユーザーが見ることができ、かつ、操作が可能な位置に設けられている。
ハンドル170aは、ユーザーの操作によって、接続部材120aに対して、図17の矢印Rで示すように回動する。ハンドル170aは、袋状部材110a側から第1接続部材120a側に向かう方向と、第1接続部材120aから袋状部材110aに向かう方向の双方向に回動が可能である。ハンドル170aの回動の中心である回動軸RXは、2つの基端部174,175の中心軸に一致する。本実施形態では、回動軸RXは、第1液体収容体100aの第1接続受入部50aに対する装着方向(つまり、液体導出口131の開口方向であるY方向)に交差しており、X方向に沿っている。本実施形態では、袋状部材110aは、回動軸RXを挟んで、液体導出口131、収容体側電気接続部140、および、嵌合構造受入部155の反対側に位置している。
ハンドル170aは、第1ケース61aに配置された状態において回動可能な状態である。第1液体収容体100aが液体噴射装置10への装着状態にあるときには、ハンドル170aは、袋状部材110a側に倒され、図7に示されている第1姿勢にされる。ハンドル170aは、第1液体収容体100aの運搬時などには、第1姿勢から接続部材120aの方へと回動された第2姿勢(図35参照)にされる。
ハンドル170aを利用することにより、第1液体収容体100aの持ち運びや第1ケース61aへ着脱など、第1液体収容体100aの取り回しの際の利便性が高められる。特に、本実施形態では、ハンドル170は、X方向に延びている把持部171を有することによって、ユーザーが把持しやすい形状となっている。また、ハンドル170は、2つの基端部174,175の2点で接続部材120に固定されるため、安定して回動することができる。このように、本実施形態のハンドル170の形状であれば、高い操作性が得られるため、液体収容体100の取り回しやすさが高められている。その他、ハンドル170aの構成および機能についての詳細は後述する。
[第1ケース]
図7〜図14を参照する。第1ケース61aは、X方向を長手方向とする略直方体形状を有している。また、第1ケース61aは、−Z方向および+Y方向に開口している中空の箱体として形成されている。第1ケース61aは、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。
第1ケース61aは、底面壁部200と、2つの側壁部201,202と、2つの後面壁部203と、前面壁部205と、を備える。底面壁部200は、第1ケース61aの底面部を構成する略長方形形状の壁部であり(図8,図10)、X方向およびY方向に延在している。本明細書において「延在する」とは、分断されることなく、ある方向に連続して延びている構成を意味する。延在している途中には、凹凸や屈曲部、孔部、接合部が設けられていてもよい。第1液体収容体100aは、底面壁部200の上に配置される(図7,図13)。底面壁部200は、第1液体収容体100aが配置されたときに、少なくとも袋状部材110aの全体が収まる程度のサイズを有している。
第1側壁部201は、底面壁部200の−X方向側の長辺に交差するとともに連結されている略長方形形状の壁部であり、第1ケース61aの右側の側壁部を構成している(図7,図8)。第2側壁部202は、底面壁部200の+X方向側の長辺に交差するとともに連結されている略長方形形状の壁部であり、第1ケース61aの左側の側壁部を構成している(図7,図11)。第1側壁部201および第2側壁部202は互いに並列にY方向のほぼ全域にわたって延在している。第1側壁部201と第2側壁部202とは、X方向に第1液体収容体100aの袋状部材110aを挟んでおり、水平面に沿った方向における袋状部材110aの配置角度をY方向に沿った方向に規定する。
第1側壁部201および第2側壁部202の高さは、第1液体収容体100aの接続部材120aの第3面部123の高さとほぼ一致する(図7,図11)。本実施形態では、矢印Xの方向に第1装着体105aを見たときに、第1姿勢にあるハンドル170aの一部は、第1側壁部201および第2側壁部202の上端から突出する(図11)。
2つの後面壁部203は、底面壁部200の+Y方向側の端部において−Z方向に立っている(図13)。各後面壁部203は、X方向の両端に設けられており、2つの側壁部201,202のうちのX方向において同じ側にある方に連結されている。第1液体収容体100aが配置された状態では、2つの後面壁部203の間に液体導出口131およびその周縁部132が配置される(図7)。後面壁部203の一部は、液体導出口131のX方向における両側に形成されている各嵌合凹部161に挿入されて嵌合し、各嵌合凹部161を閉塞する。周縁部132は、2つの後面壁部203から+Y方向にわずかに突出する(図7,図9)。
2つの後面壁部203は、各側壁部201,202よりも低い高さを有している(図13)。2つの後面壁部203は、第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置された状態において、接続部材120aの収容体側電気接続部140および嵌合構造受入部155より下側の部位を覆うように形成されている(図7)。後面壁部203には、各受入部150f,第2受入部150sに対応する位置に、各位置決め部53f,53sの挿入を受け入れるための貫通孔203hが設けられている(図13)。
前面壁部205は、底面壁部200の−Y方向側の端部において、X方向およびZ方向に延在しており、底面壁部200と2つの側壁部201,202とに連結されている(図7)。前面壁部205の高さは、2つの側壁部201,202よりも高い(図7,図11)。これによって、第1ケース61aをケース収納部60から引き出す際に、ユーザーが前面壁部205に指を掛けやすくなっている。第1装着体105aをY方向に見たときに、第1姿勢にあるハンドル170aは、前面壁部205に覆い隠される(図12)。このように、ハンドル170aがコンパクトに収納されていることによって、第1装着体105aのケース収納部60への出し入れがハンドル170aによって阻害されてしまうことが抑制されている。
底面壁部200の−Z方向に向く面である第1ケース61aの底面200sには、−Z方向に突出する2つの案内部208aが設けられている(図13)。上述したように、2つの案内部208aはそれぞれ、第1液体収容体100aの接続部材120aにおける2つの被案内部165aのうちの対応するひとつに嵌入する(図7)。これによって、第1ケース61a上での第1液体収容体100aの位置決めがされ、第1液体収容体100aの水平方向に沿った方向への回転など、その配置位置のずれが抑制される。
第1ケース61aでは、案内部208aは、各側壁部201,202と一体化されている(図13)。案内部208aは、各側壁部201,202から接続部材120aの配置領域に向かって突き出た凸部として形成されている。本実施形態では、案内部208aは、半円柱形状を有している。各案内部208aの内部は、第1ケース61aの軽量化のために、肉抜きされていることが望ましい。
案内部208aは、+Y方向側の端部を面取りしたような形状となっている。すなわち、案内部208aには、+Y方向を向く平坦面を有する平面部208pが設けられている。案内部208aが被案内部165aに嵌められたときには、案内部208aの平面部208pは、被案内部165aの平面部165pと面接触する(図7)。第1ケース61aに配置されている第1液体収容体100aが−Y方向への荷重を受けたとき、Y方向において互いに対向する平面部165pと平面部208pとが接触していることによって、第1液体収容体100aの位置が安定する。
各案内部208aのZ方向における高さは、第1接続部材120aのZ方向における厚みとほぼ等しい。そのため、第1ケース61aに第1液体収容体100aが配置された状態においては、各案内部208aは、高さ方向全体にわたって、対応する被案内部165a内に配置されている。これによって、第1ケース61aに配置されている第1液体収容体100aが−Y方向への荷重を受けたとき、Y方向において互いに対向する平面部165pと平面部208pとが接触しやすくなる。よって、第1液体収容体100aの位置の安定性が高められる。
その他に、第1ケース61aには、底面壁部200の底面200sには、+Y方向側の端部に、−Z方向に突出している凸部210が設けられている(図13)。凸部210は、X方向において中央部よりも−X方向側に寄った位置に位置しており、一対の嵌合凸部207よりも−X方向側に位置している。本実施形態では凸部210は矩形状である。凸部210は中空に形成されている。凸部210の内部空間211については後述する。第1ケース61aに第1液体収容体100aが配置されるときには、凸部210は、上述した接続部材120aの凹部160(図16)に収容される。
本実施形態では、凸部210が凹部160に収容されたときには、凸部210の外壁面と凹部160の内壁面とが面接触する。つまり、凸部210は凹部160に対して嵌合する。従って、本実施形態では、凸部210および凹部160は、第1ケース61aにおける接続部材120aの位置決め部として機能する。
上述したように、本実施形態では、凹部160の上方に収容体側電気接続部140の少なくとも一部が配置されており、第1装着体105aにおいては、収容体側電気接続部140は、少なくとも一部が、凸部210の上方に配置される。従って、第1ケース61aの底面200sに液体が漏洩してしまった場合であっても、当該液体が、第1ケース61aの壁面を伝って、収容体側電気接続部140まで到達することが、凸部210によって抑制される。
底面壁部200の−Z方向側の面には、Y方向にわたって延びる複数の直線状の細溝部がX方向にわたって並列に配列されている(図示は省略)。細溝部によって、第1液体収容体100aの袋状部材110aを底面壁部200の面上をY方向に滑らせて配置するときの移動がガイドされる。
底面壁部200と第1側壁部201との間の角部、底面壁部200と第2側壁部202との間の角部、および、底面壁部200と前面壁部205との間の角部にはそれぞれ、−Z方向に階段状に高さが高くなっている段差部214が設けられている(図7,図13)。第1液体収容体100aが第1ケース61aに配置されたときには、段差部214は、袋状部材110aの外周端部113に接触して、袋状部材110aの外周端部113を支持する。これによって、第1ケース61a上における袋状部材110aの配置姿勢が安定化される。
本実施形態では、第1液体収容体100aは、接続部材120aにおいて第1ケース61a上における配置位置が固定されているのみであり、袋状部材110aは+Y方向側の端部以外は、第1ケース61aには実質的には拘束されていない。袋状部材110aは、第1ケース61a上において、第1ケース61aから離れる方向への移動が許容された状態で配置されている。このように、第1液体収容体100aが第1ケース61aに対して無駄に拘束されていないため、第1ケース61aに対する第1液体収容体100aの着脱が簡易化されている。また、袋状部材110aが、重力以外の余分な荷重を受けてしまうことが抑制されており、そうした余分な荷重によって袋状部材110内の収容部115における圧力状態が悪化してしまうことが抑制されている。
図8,図10を参照して、底面壁部200の下面側の構成を説明する。底面壁部200の+Z方向側の面には、+Y方向側の端部に、溝部215が設けられている。本実施形態では、溝部215は、リブ216によって囲まれることによって形成されている。溝部215は、ケース側固定構造220を構成している。溝部215の+Y方向側の端部は、上述した凸部210の内部空間211によって構成されている。つまり、凸部210の内部空間211は、ケース側固定構造220の一部を構成しており、ケース側固定構造220に含まれている。凸部210の内部空間211は、+Y方向に開口しており、溝部215(ケース側固定構造220)の入口を構成している。
ケース側固定構造220は、装置側固定構造54(図5)と協働して、第1ケース61aのY方向への移動を規制する。ケース側固定構造220には、第1ケース61aがケース収納部60の所定の配置領域LA(図3)に配置されたケース収納状態において、装置側固定構造54の突起部54p(係合部54p)と係合する被係合部(後述)が設けられている。突起部54pが被係合部に係止されることによって、第1ケース61aの−Y方向への移動が規制される。本実施形態では、ケース側固定構造220を構成する溝部215は、後述するループ状の溝構造であるハートカム溝構造を有するように構成されている。ケース側固定構造220の構成およびケース側固定構造220の被係合部と装置側固定構造54の突起部54p(係合部54p)の係合のメカニズムについては後述する。
底面壁部200の+Z方向側の面には、さらに、複数のレールリブ230と、複数の脚部231と、が設けられている。レールリブ230は、+Z方向に突出する凸壁部として構成されており、Y方向にほぼ一定の幅で直線状に延びている。上述したように、レールリブ230は、ケース収納部60の床面に設けられているレール溝64に嵌合し、第1ケース61aのY方向の移動をガイドする。複数の脚部231は、+Z方向に突出しており、それぞれ同じ高さを有している(図12)。複数の脚部231によって、第1ケース61aは、ケース収納部60の配置領域LA(図3)での配置姿勢が適切に保持される。
[第2装着体;第2液体収容体および第2ケース]
以下では、まず、第2液体収容体100bの概略構成について説明し、第2ケース61bの概略構成について説明する。なお、以下の説明および参照図においては、上述した第1液体収容体100aおよび第1ケース61aの各種の構成部と同じ、または、対応する構成部には、同じ符号、あるいは、末尾のアルファベットのみが異なり、数字が共通する符号を用いている。そうした対応する符号が付された構成部は、第2液体収容体100b、または、第2ケース61bにおいて、第1液体収容体100a、または、第1ケース61aにおける対応する構成部と同様な機能を奏する。よって、上記の第1液体収容体100aおよび第1ケース61aにおいて説明した種々の効果は、そうした対応している構成によって、第2液体収容体100bおよび第2ケース61bにおいても得ることができる。なお、第1実施形態以外の後述する他の実施形態および変形例においても同様である。
図17〜図24を参照する。図17は、第2装着体105bを上方から見たときの概略斜視図である。図18は、第2装着体105bを下方から見たときの概略斜視図である。図19は、第2装着体105bを+Z方向に見たときの概略図であり、第2装着体105bの上面側を示している。図20は、第2装着体105bを−Z方向に見たときの概略図であり、第2装着体105bの下面側を示している。図21は、第2装着体105bを−X方向に見たときの概略図であり、第2装着体105bの左側面側を示している。図22は、第2装着体105bを+Y方向に見たときの概略図であり、第2装着体105bの前面側(つまり、装着方向における後端側)を示している。図23は、第2ケース61bから第2液体収容体100bを取り出した状態を、上方から見たときの概略分解斜視図である。図24は、第2装着体105bを−Y方向に見たときの概略図であり、第2装着体105bの後面側(つまり、装着方向における先端側)を示している。図24の下段には、比較のために、同じ方向に見たときの第1装着体105aを図示してある。図24には、各装着体105a,105bのそれぞれにおけるX方向における中心軸CLを一点鎖線で図示してある。
[第2液体収容体]
第2液体収容体100bは、以下に説明する点以外は、第1液体収容体100aとほぼ同じ構成を有している(図17,図19,図23)。第2液体収容体100bでは、収容できる液体の量が第1液体収容体100aよりも多くなるように、X方向における幅が第1液体収容体100aよりも大きくなっている。
第2液体収容体100bは、第1液体収容体100aと同様に、袋状部材110bと、接続部材120bと、を備える(図17,図19,図23)。第2液体収容体100bの袋状部材110bは、X方向における幅が大きい点以外は、第1液体収容体100aの袋状部材110aとほぼ同じ構成を有している。
第2液体収容体100bの接続部材120bは、以下に説明する点以外は、第1液体収容体100aの接続部材120aとほぼ同じ構成を有している(図23,図24)。接続部材120bは、袋状部材110bのX方向における幅に合わせて、X方向における両端部が、第1液体収容体100aの接続部材120aよりも+X方向および−X方向に張り出している。接続部材120bのX方向における幅は、袋状部材110bのX方向における幅よりも、わずかに大きく、袋状部材110bの+Y方向側の両角部は、接続部材120bに保持されている(図19)。
第2液体収容体100bの接続部材120bの第2接続受入部50bに接続するための−Y方向側端部の各構成要素の配置構成は、第1液体収容体100aの接続部材120aとほぼ同じである(図24)。液体導出口131に対する各構成要素(収容体側電気接続部140、2つの受入部150f,150s、嵌合構造受入部155、凹部160および嵌合凹部161)の位置は、2種類の接続部材120a,120bの間で共通している(図24)。
第2接続部材120bのX方向の両側にはそれぞれ、2つの被案内部165bが設けられている(図17,図19,図23)。2つの被案内部165bは、接続部材120bのX方向における両端部に寄った位置においてZ方向に接続部材120bを貫通する貫通孔として設けられている(図23)。
被案内部165bは、水平な切断面において略円形状の開口断面を有している(図19)。被案内部165aの+Y方向側の端部は、面取りされたような形状となっている。すなわち、被案内部165aの+Y方向側の端部には、−Y方向に向く平坦面を有する平面部165pが形成されている(図19,図23)。本実施形態では、第2接続部材120bの2つの被案内部165bのそれぞれは、第1接続部材120aの対応する被案内部165aの形状にほぼ一致する部位を、第1接続部材120aの対応する被案内部165aに対応する位置に有している。
被案内部165bは、液体導出口131、収容体側電気接続部140および嵌合構造受入部155よりも−Y方向側に位置している(図17,図19,図23)。2つの被案内部165bは、X方向に並ぶように設けられている(図19)。2つの被案内部165bは、第2接続部材120bのX方向における中心を挟んで左右対称に形成されている。その他の被案内部165bの詳細については後述する。
第2接続部材120bの第3面部123には、ハンドル170bが設けられている(図17)。第2接続部材120bのハンドル170bは、把持部171のX方向における長さが、第1液体収容体100aのハンドル170aよりも長い点以外は、当該ハンドル170aとほぼ同じ構成を有している。
ハンドル170bは、ハンドル170aと同様に、ユーザーの操作によって、矢印R(図17)で示すように、X方向に沿った軸RXを中心に回動し、第1姿勢と第2姿勢とをとる。ハンドル170bの把持部171のX方向における幅は、接続部材120bのX方向における幅よりわずかに小さく、袋状部材110bのX方向における幅よりわずかに大きい。ハンドル170bは、ハンドル170bの2つの基端部174,175は、X方向において2つの被案内部165bの間に位置している。ハンドル170bの2つの基端部174,175の間の距離は、第1液体収容体100aにおける2つの基端部174,175の間の距離とほぼ同じである。
このように、第2液体収容体100bの接続部材120bは、第1液体収容体100aの接続部材120aに対する変更点が小さいため、部品を共通化することができ、その製造コストを低減することができる。また、第2液体収容体100bの接続部材120bに対応する第2接続受入部50bも、第1液体収容体100aの接続部材120aに対応する第1接続受入部50aとほぼ同様な構成とできるため、接続部材120の製造コストを低減できる。
以下の説明では、特に区別する必要がない場合には、第1液体収容体100aの袋状部材110aと第2液体収容体100bの袋状部材110bとを「袋状部材110」と総称する。接続部材120a,120b、被案内部165a,165b、及び、ハンドル170a,170bについても同様に、それぞれ、「接続部材120」、「被案内部165」、及び、「ハンドル170」と総称する。
[第2ケース]
第2ケース61bは、以下に説明する点以外は、第1ケース61aとほぼ同じ構成を有している。第2ケース61bでは、第2液体収容体100bのX方向の幅に適合するように、X方向の幅が変更されている(図17,図24)。第2ケース61bでは、第1側壁部201および第2側壁部202が、第1ケース61aよりも+X方向および−X方向に張り出した位置に設けられている(図24)。第2ケース61bでは、後面壁部203(図24)および前面壁部205(図22)がそれぞれ、第1ケース61aに対して、X方向に延長されている。
第2ケース61bには、第2接続部材120bの被案内部165bに対応する2つの案内部208bが設けられている(図17,図19,図23)。第2ケース61bでは、2つの案内部208bはそれぞれ、第1側壁部201および第2側壁部202から離間した位置において、底面壁部200の底面200sから−Z方向に突出している(図23)。本実施形態では、各案内部208bは、略円柱形状を有している。各案内部208bの内部は、肉抜きされていることが望ましい。
各案内部208bは、+Y方向側の曲面を面取りしたような形状となっている。すなわち、各案内部208bには、+Y方向に向く平坦面を有する平面部208pが設けられている(図19,図23)。第2装着体105bにおいても、第1装着体105aと同様に、案内部208bが被案内部165bに嵌められたときに、案内部208bの平面部208pは、被案内部165bの平面部165pと面接触する(図17,図19)。
各案内部208bのZ方向における高さは、第2接続部材120bのZ方向における厚みとほぼ等しい。そのため、第2ケース61bに第2液体収容体100bが配置された状態において、各案内部208bは、対応する被案内部165bを貫通する(図17)。これによって、第2ケース61bに配置されている第2液体収容体100bが−Y方向への荷重を受けたとき、Y方向において互いに対向する平面部165p(図19)と平面部208p(図19)とが接触しやすくなる。よって、第2液体収容体100bの位置の安定性が高められる。
以下の説明では、特に区別する必要がない場合には、第1ケース61aの案内部208aと第2ケース61bの案内部208bとを「案内部208」と総称する。
[液体収容体の装着メカニズム]
図25を参照して、接続受入部50に対する液体収容体100の装着メカニズムを説明する。図25の上段には、−Y方向に見たときの第1ケース61aに配置された状態の第1液体収容体100aを図示してある。また、図25の下段には、−Z方向に見たときの第1接続受入部50aの一部が、上段の第1液体収容体100aに対応するように図示してある。なお、以下の説明は、第1接続受入部50aに対する第1液体収容体100aの装着および第2接続受入部50bに対する第2液体収容体100bの装着に共通する。
ケース収納部60(図3)において、ケース61に配置された液体収容体100が、配置領域LAに向かって+Y方向に移動されると、まず、液体収容体100の一対の受入部150f,150sに、接続受入部50の一対の位置決め部53f,53sが挿入されて、液体収容体100の液体導出口131が位置決めされる。
そして、液体収容体100の液体導出口131に、接続受入部50の液体導入部51が挿入されて、液体収容体100の液体導出口131と接続受入部50の液体導入部51とが接続される。なお、液体導出口131と液体導入部51との接続が完全に完了する前に、液体導出口131の周囲に設けられている周縁部132は、液体導入部51の周囲にある基端部材57に接触する。液体導出口131と液体導入部51との接続が完了するまで液体収容体100およびケース61が+Y方向に押し込まれると、基端部材57は+Y方向に変位する。液体収容体100は、基端部材57の内部に設けられている付勢部材57e(図5)によって−Y方向に付勢される。
上記の液体導出口131と液体導入部51との接続に並行して、接続受入部50の装置側電気接続部52と液体収容体100の収容体側電気接続部140とが接続される。まず、装置側電気接続部52の一対の案内凸部52g(図5)が、対応する案内凹部147に挿入されて、装置側電気接続部52に対する収容体側電気接続部140の基板部141の位置決めがなされる。そして、装置側電気接続部52の端子部52tが、液体収容体100の基板配置部144に挿入され、基板部141の対応する端子142に電気的に接触する。液体導出口131と液体導入部51との接続が完了したときには、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との電気的な接続が確立された状態になる。
接続受入部50の装置側固定構造54は、一対の受入部150f,150sに一対の位置決め部53f,53sが挿入されるより前に、ケース61の溝部215の入口を構成している凸部210の内部空間211に挿入される。装置側固定構造54の突起部54pは、液体導出口131と液体導入部51との接続が完了するときには、後述する係合メカニズムによって、ケース61のケース側固定構造220(図10,図20)の被係合部に係合する。このように、ケース61の位置が、ケース61における所定の配置領域LA(図3)に固定された状態が、「ケース61がケース収納部60に装着されたケース収納状態」である。
本実施形態の液体収容体100では、収容体側電気接続部140は、X方向において、液体導出口131と第1受入部150fとの間に位置している。そのため、一対の位置決め部53f,53sと一対の受入部150f,150sとによって、液体導出口131とともに、装置側電気接続部52に対する収容体側電気接続部140のX方向における位置決め精度が高められている。
また、本実施形態の液体収容体100では、ケース側固定構造220の入口部である内部空間211を収容している凹部160がX方向において、液体導出口131と第1受入部150fとの間に位置している。そのため、一対の位置決め部53f,53sと一対の受入部150f,150sとによって、装置側固定構造54が溝部215内に挿入された後の、装置側固定構造54のY方向への移動がガイドされ、ケース側固定構造220に対する装置側固定構造54の位置決め精度が高められている。
加えて、本実施形態の液体収容体100では、上記のように液体導出口131と第1受入部150fとの間に収容体側電気接続部140と凹部160が設けられている分だけ、一対の受入部150f,150s同士の間のX方向における距離が大きくなっている。そのため、一対の位置決め部53f,53sと一対の受入部150f,150sとによる上述した位置決めの精度がより高められている。
上述したように、本実施形態の液体収容体100においては、第1受入部150fの第1開口部151fと第2受入部150sの第2開口部151sとで、その開口形状が異なっている。第2開口部151sのX方向における開口幅W2は、第1開口部151fのX方向における開口幅W1より大きい。この構成によって、第2受入部150sに第2位置決め部53sが挿入されるときの第2位置決め部53sの水平方向におけるY方向に対する角度に余裕を持たせることができる。そのため、接続受入部50に対する液体収容体100の接続操作が容易化される。また、そうした余裕が設けられていることによって、接続受入部50に対する液体収容体100の接続の際に、第2受入部150sに第2位置決め部53sが挿入されるときに生じる応力が低減される。なお、本実施形態では、第1開口部151fと第2開口部151sのZ方向における開口幅はほぼ等しいが、第1開口部151fと第2開口部151sのZ方向における開口幅は異なっていてもよい。
[ケース側固定構造に対する装置側固定構造の係合メカニズム]
図26Aおよび図26Bを参照して、ケース61のケース側固定構造220に対する装置側固定構造54の係合メカニズムを説明する。図26Aおよび図26Bにはそれぞれ、−Z方向に見たときのケース側固定構造220を図示してある。また、図26Aおよび図26Bでは、溝部215内における装置側固定構造54の突起部54pの移動軌跡を示すために、それぞれ異なるタイミングでの突起部54pの位置P1〜P6が破線によって示してある。
まず、図26Aを参照して、ケース側固定構造220の構成を説明する。ケース側固定構造220は、凸部210の内部空間211よりも−Y方向側の奥まった領域内の中央に、+Z方向に突出している中央凸部221を有している。Z方向に見たときに中央凸部221の外周壁面は、略三角形状の外周輪郭線を構成する。中央凸部221の内部は肉抜きされている。
中央凸部221の外周壁面は、第1壁面222と、第2壁面223と、第3壁面224と、を含む。第1壁面222は、X方向とY方向の間の斜め方向に延在している。第1壁面222の少なくとも一部は、Y方向において内部空間211と重なる。第2壁面223は、X方向に延在しており、第1壁面222に交差している。第3壁面224は、Y方向に延在しており、第1壁面222と第2壁面223とに交差している。第3壁面224は、Y方向において凸部210の内部空間211と重なる。
中央凸部221は、第1突出壁部225と、第2突出壁部226と、を有する。第1突出壁部225は、第2壁面223の−X方向側の端部において、第2壁面223から第1壁面222が延在している方向に沿って、−Y方向側に、第2壁面223からわずかに延び出ている。第2突出壁部226は被係合部として機能する壁部である。以下では、第2突出壁部226を被係合部226と呼ぶ場合もある。第2突出壁部226は、第2壁面223の+X方向側の端部において、第3壁面224が延在している方向に沿って、−Y方向側に第2壁面223からわずかに延び出ている。
ケース側固定構造220は、さらに、第3突出壁部227を有する。第3突出壁部227はリブ216の一部として形成されている。第3突出壁部227は、中央凸部221の第2壁面223にY方向に対向する位置において、リブ216から第2壁面223に向かって+Y方向に突出している。
説明の便宜上、溝部215を、第1溝部215Aと、第2溝部215Bと、第3溝部215Cと、第4溝部215Dと、に区分ける。第1溝部215Aは、内部空間211によって形成されたY方向に延びている部位である。第2溝部215Bは、第1壁面222に面し、X方向とY方向との間の斜め方向に延びている部位である。第3溝部215Cは、第2壁面223に面する部位を含み、3つの突出壁部225〜227によってX方向に略ジグザグに蛇行するように形成されている部位である。第4溝部215Dは、第3壁面224に面し、第1溝部215Aに向かって+Y方向に延びている部位である。
第1溝部215Aの底面である第1底面228Aは、−Y方向に向かって次第に+Z方向へとせり上がる傾斜面を構成している。第2溝部215Bの第1溝部215Aに連結している部位の底面である第2底面228Bは、略水平な水平面を構成している。第2溝部215Bの中央あたりに位置する第3底面228Cは、第2底面228Bから−Z方向に落ち込む傾斜面を構成している。第2溝部215Bの−Y方向側の端部部位の底面および第3溝部215Cの底面を含む第4底面228Dは、略水平な水平面を構成している。第4溝部215Dの底面である第5底面228Eは、+Y方向側ほど第4底面228Dから+Z方向にせり上がる傾斜面を構成している。第1底面228Aと第5底面228Eとの間の底面である第6底面228Fは、略水平な水平面を構成している。
図26Aを参照して、ケース側固定構造220の第2突出壁部226(被係合部226)と、装置側固定構造54の突起部54p(係合部)と、の係合が完了するまでのメカニズムを説明する。装置側固定構造54の先端部54tが第1溝部215Aに対して−Y方向に挿入された時点では、先端部54tの+X方向側の端面が第1溝部215Aの+X方向側の側壁面229に接触して、装置側固定構造54の突起部54pは、側壁面229から離れた位置に位置する(P1)。このとき、装置側固定構造54は、先端部54tの端面が側壁面229によって−X方向に押されているため、水平方向への外力が付与されていないときよりも−X方向側に回動した状態である。装置側固定構造54の突起部54pは、位置P1から+Y方向に移動していく過程において、傾斜面である第1底面228Aに接触し、第1底面228Aによって+Z方向に押される。
液体収容体100が、さらに+Y方向に押し込まれると、装置側固定構造54の突起部54pが第1底面228Aに+Z方向に押されて、装置側固定構造54の先端部54tはリブ216の+Z方向側の端面よりも+Z方向側に位置してリブ216から離間する。そして、装置側固定構造54の突起部54pが第1壁面222に接触するとともに、水平な第2底面228Bに乗り上がる(位置P2)。
装置側固定構造54の突起部54pは、第1壁面222によって−X方向側に押されつつ、第1壁面222に沿って−Y方向側に移動し、第3底面228Cを下って、水平な第3底面228Cに到達し、第1突出壁部225に接触する位置まで到達する(位置P3)。その後、装置側固定構造54の突起部54pは、さらに−Y方向側に移動して第1突出壁部225との接触状態が解除されると、装置側固定構造54に+X方向側に向かって付与されている付勢力によって、+X方向側に瞬発的に移動して、第3突出壁部227に対して衝突する(位置P4)。この衝突によって、クリック音が生じる。
そのクリック音を合図に、ユーザーが液体収容体100およびケース61の+Y方向方向に付与している力を解除すると、基端部材57(図25)による+Y方向への付勢力によって、液体収容体100およびケース61は+Y方向にわずかに移動する。これによって、装置側固定構造54の突起部54pは第3突出壁部227に沿って+Y方向に移動し、第3突出壁部227に対する突起部54pの接触状態が解除される。すると、突起部54pは、装置側固定構造54に+X方向側に向かって付与されている付勢力によって、+X方向側に瞬発的に移動し、第2壁面223および第2突出壁部226に衝突して受け止められる(位置P5)。
このように、位置P5において、装置側固定構造54の突起部54pがケース側固定構造220の第2突出壁部226に係止され、ケース側固定構造220の第2突出壁部226と装置側固定構造54の突起部54pとが係合する。以下では、第2突出壁部226を、「被係合部226」以外にも、「係止部226」と呼ぶ場合もある。ケース側固定構造220の第2突出壁部226と装置側固定構造54の突起部54pとの係合によって、ケース61は、−Y方向への移動が規制された状態となり、ケース61はケース収納部60に装着されたケース収納状態となる。この状態においては、装置側固定構造54の突起部54pが第4底面228Dに接触している。先に説明したとおり、装置側固定構造54は、接続受入部50の内部に配置された弾性部材(図示は省略)によって−Z方向に付勢されており、+Z方向に外力を受けたときに+Z方向に弾性的に回動する。この+Z方向への付勢力は、突起部54pを通じて第4底面228D(図26A)に伝達される。すなわち、ケース61がケース収納部60に装着されたケース収納状態において、突起部54pは、ケース61に対して、−Z方向に力を付与した状態となる。
ここで、ケース側固定構造220の被係合部226と装置側固定構造54の係合部54pとが係合している状態であるケース収納状態においては、収容体側電気接続部140は、装置側電気接続部52に電気的に接続されており、収容体側電気接続部140は、装置側電気接続部52から少なくとも+Z方向の力を受けた状態にある。本実施形態の液体収容体100であれば、上述したように、凹部160と、収容体側電気接続部140とは、Z方向に見たときに少なくとも一部が重なり合う位置関係にある。凹部160には、ケース61の凸部210が収容される。凸部210の内部空間211は、ケース側固定構造220の少なくとも一部を構成している。収容体側電気接続部140が装置側電気接続部52から受ける+Z方向の力の少なくとも一部は、ケース61が突起部54pから−Z方向に受ける力によって打ち消される。よって、液体収容体100が+Y方向側において受ける力のZ方向の成分が低減され、液体収容体100のZ方向における配置姿勢が、想定されている適正な姿勢からずれてしまうことが抑制される。従って、接続受入部50に対する液体収容体100の配置姿勢の悪化が抑制され、その接続状態が改善される。また、液体収容体100の配置姿勢の低下に伴って、接続受入部50と液体収容体100との接続部位に無駄な応力が生じてしまうことが抑制されるため、接続受入部50と液体収容体100とを接続するための上述した各種の構成部の損傷・劣化が抑制される。
図26Bを参照して、ケース側固定構造220と装置側固定構造54との係合状態を解除するときのメカニズムを説明する。本実施形態の液体噴射装置10では、以下に説明するように、ケース側固定構造220と装置側固定構造54とは、上述した係合状態にあるときに、ケース61が、さらに+Y方向に押し込まれると、その係合状態を解除するように構成されている。ユーザーが、ケース61を、+Y方向に押し込むと、装置側固定構造54の突起部54pは位置P5から+Y方向に移動し、+X方向に第2突出壁部226に係っていた状態から外れる。そのため、付勢部材によって+X方向側に向かって装置側固定構造54に付与されている付勢力によって、突起部54pは+X方向側に瞬発的に移動し、リブ216の+X方向側の側壁面229に衝突する(位置P6)。
これによって、突起部54pは、第4溝部215Dに位置することになるため、+Y方向への移動が許容された状態となる。つまり、ケース側固定構造220と装置側固定構造54との係合状態が解除された状態となる。上述したリブ216への突起部54pの衝突によって生じるクリック音によって、ユーザーは、ケース側固定構造220と装置側固定構造54との係合状態が解除されたことを知ることができる。突起部54pの+Y方向への移動が許容されると、基端部材57(図25)によって+Y方向に付与される力によって、液体収容体100およびケース61は自動的に−Y方向に移動する。基端部材57が接続受入部50から離れた後は、ユーザーがケース61を引き出すことによって、液体収容体100を取り出すことができる。以上の説明からもわかるとおり、溝部215は、突起部54pを案内するループ状の案内経路を構成している。当該案内経路の入口部分と出口部分とは共通である。案内経路は、途中に設けられている突起部54pを係止する係止部226と、入口側案内路と、出口側案内路と、によって構成される。入口側案内路は、前述した入口部分から係止部226までの経路部分である。出口側案内路は、係止部226から前述した出口部分までの経路部分である。
[被案内部および案内部の構成・機能の詳細]
図27A,図27Bおよび図28を参照する。図27Aは、第1装着体105aの装着方向における先端側を+Z方向に見たときの概略図である。図27Bは、第2装着体105bの装着方向における先端側を+Z方向に見たときの概略図である。図28は、図27A,Bのそれぞれに示されている28−28切断における装着体105の断面構造を模式的に表した概略図である。図28では、−X方向に見たときの基板部141の配置領域および基板部141が配置されている傾斜面144sを破線で図示してある。
上述したように、装着体105では、2つの被案内部165は、接続部材120の長手方向であるX方向に並んでいる(図27A,図27B)。そのため、ケース61上において、液体収容体100が、底面壁部200の底面200sに沿った方向に回転移動することが抑制される。従って、液体収容体100の姿勢変化に起因する接続部材120と接続受入部50との間の接続状態の悪化が抑制される。
本実施形態では、X方向において、2つの被案内部165の間に、液体導出口131が位置している。そのため、液体噴射装置10内において、2つの被案内部165の配列方向が、X方向に対してずれてしまうような装着体105の姿勢変化が生じたとしても、接続受入部50の液体導入部51に対する液体導出口131の位置ずれが抑制される。従って、液体収容体100の姿勢変化に起因する液体導入部51と液体導出口131との間の接続状態の悪化が抑制される。また、その姿勢変化に起因する液体導入部51と液体導出口131との間の接触部位における応力の発生が抑制されるため、液体導入部51および液体導出口131の損傷・劣化が抑制される。
本実施形態では、X方向において、2つの被案内部165の間に、収容体側電気接続部140が位置している。そのため、液体噴射装置10内において、2つの被案内部165の配列方向が、X方向に対してずれてしまうような装着体105の姿勢変化が生じたとしても、接続受入部50の装置側電気接続部52に対する収容体側電気接続部140の位置ずれが抑制される。従って、液体収容体100の姿勢変化に起因する装置側電気接続部52と収容体側電気接続部140との間の接続状態の悪化が抑制される。また、その姿勢変化に起因する装置側電気接続部52と収容体側電気接続部140との間の接触部位における応力の発生が抑制されるため、装置側電気接続部52および収容体側電気接続部140の損傷・劣化が抑制される。
さらに、本実施形態では、X方向において、2つの被案内部165のうちの−X方向側の被案内部165と液体導出口131との間に、収容体側電気接続部140が位置している。そのため、2つの被案内部165と液体導出口131の3点によって、収容体側電気接続部140の位置決めがされるため、装置側電気接続部52に対する液体収容体100の配置姿勢の回転が、さらに抑制される。従って、装置側電気接続部52と収容体側電気接続部140との間の接続状態の悪化が、さらに抑制される。
特に、本実施形態では、2つの被案内部165は、液体導出口131よりも−Y方向側に配置されている。つまり、液体導出口131が2つの被案内部165を結ぶ仮想直線から離間した位置に配置され、液体導出口131と2つの被案内部165とがそれぞれ、X,Y方向の二方向において離間して配置されている。従って、2つの被案内部165と液体導出口131の3点の支持による液体収容体100の配置姿勢の安定性が高まり、収容体側電気接続部140の位置決め精度がより高められている。また、2つの被案内部165は、収容体側電気接続部140よりも−Y方向側に配置されている。従って、装置側電気接続部52に対する収容体側電気接続部140の接続の際に、収容体側電気接続部140が、その+Y方向側において、被案内部165に嵌まっている案内部208によって支持される。従って、装置側電気接続部52から受ける荷重による収容体側電気接続部140のY方向に沿った位置ずれが抑制される。本実施形態では、液体導出口131と収容体側電気接続部140とが、接続部材120において+Y方向側の端部にまとめられているため、接続部材120の小型化が可能である。その他にも、液体導入部51に対する液体導出口131の接続、および、装置側電気接続部52に対する収容体側電気接続部140の接続が容易化される。
本実施形態では、収容体側電気接続部140は、液体収容体100のX方向における中心よりも−X方向側の被案内部165に近い位置に設けられている。従って、被案内部165に案内部208が嵌入することによるケース61に対する液体収容体100の位置決めによって、ケース61上における収容体側電気接続部140の配置位置がより高い精度で位置決めされる。従って、収容体側電気接続部140の装置側電気接続部52に対する接続性が高められている。本実施形態では、収容体側電気接続部140は、X方向において液体導出口131から離間した位置に設けられているとともに、Y方向において2つの被案内部165から離間した位置に設けられている。これによって、収容体側電気接続部140の基板配置部144を、接続部材120において、液体導出口131および被案内部165と干渉しないように設けることができ、接続部材120を小型化できる。
本実施形態では、袋状部材110は、2つの被案内部165よりも−Y方向側に配置されており、液体導出口131および収容体側電気接続部140が、2つの被案内部165を挟んで、袋状部材110の収容部115から離れた位置に配置されている。よって、袋状部材110に収容されている液体の荷重によって生じる接続部材120を−Y方向側に引っ張る力が、各被案内部165に嵌まっている案内部208の支持によって、液体導出口131および収容体側電気接続部140に伝達されることが抑制される。そして、液体の消費に伴う袋状部材110の変形や姿勢の変化が、液体導出口131と液体導入部51との接続箇所、および、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との接続箇所にまで影響することが抑制される。従って、それら接続箇所における持続応力の発生が抑制され、接続部品のクリープによる変形・劣化等が抑制される。また、それら接続箇所における接続状態の悪化が抑制される。
本実施形態では、2つの被案内部165は、接続部材120のZ方向における厚み方向全体にわたって形成されており、各案内部208が、対応する被案内部165の内部に当該厚み方向の全体にわたって配置されている(図28)。そのため、上述した袋状部材110から荷重を受けたとき、被案内部165の平面部165pと案内部208の平面部208pとが接触しやすい。よって、液体収容体100の配置位置の安定性が高められる。また、ケース61上における液体収容体100が、ケース61から離れる方向に回転する姿勢変化が抑制される。
本実施形態では、Y方向に見たときに、2つの受入部150f,150sは、2つの被案内部165の一方と、少なくとも一部が重なる位置に設けられている(図27A,図27B)。これによって、接続受入部50に対する装着体105の接続部材120の位置決め精度を高めることができる。従って、液体導出口131と液体導入部51との接続性、および、収容体側電気接続部140と装置側電気接続部52との接続性が、さらに改善される。
本実施形態では、上述したように、2つの被案内部165は、接続部材120の凹部(貫通孔を含む)として設けられている(図13,図23)。そのため、ユーザーは、2つの被案内部165の位置を視認しやすい。また、ユーザーは、2つの被案内部165の位置を、手で触れることによって触覚によって認識することもできる。このように、2つの被案内部165がユーザーがその位置を把握しやすい形状を有しているため、ケース61に対する液体収容体100の装着の際には、ユーザーは、2つの被案内部165を目印として、ケース61に対する液体収容体100の位置決めを容易におこなうことができる。
本実施形態では、ケース61の案内部208は、被案内部165に対してZ方向に挿入されるのみで被案内部165に嵌まる。よって、ケース61に対する液体収容体100の装着操作が簡易化されている。
本実施形態では、被案内部165aは、接続部材120において、Z方向に、第3面部123から第4面部124にわたって、貫通するように設けられている(図28)。これによって、液体収容体100をケース61に配置するときには、被案内部165の内部空間を通して、+Z方向に、ケース61上の案内部208の位置を視認することができる。従って、ケース61に対する液体収容体100の配置操作が容易化され、ケースに対する液体収容体の装着性が改善される。
ここで、上述したように、本実施形態では、収容体側電気接続部140の端子142は、装置側電気接続部52の端子部52t(図5)によって−Y方向に加えて、+Z方向にも押圧されている。また、本実施形態の装着体105においては、案内部208の上端部は、基板部141の端子142よりも上方に位置している。そのため、装置側電気接続部52の端子部52tによる+Z方向への押圧による接続部材120の回転が、当該案内部208の上端部と被案内部165との接触によって抑制される。
加えて、本実施形態では、被案内部165の上端部に、被案内部165の内壁面全体が案内部208の外周側面に面接触する嵌合部165fが設けられている(図28)。これによって、被案内部165および案内部208によるケース61上での液体収容体100の位置決め精度がより高められている。また、当該嵌合部165fが、基板部141の端子142よりも上方に位置しているため、上述した装置側電気接続部52の端子部52tによる+Z方向側の押圧による接続部材120の回転が、さらに抑制されている。さらに、本実施形態では、当該嵌合部165fが、+Y方向に向く平面部165pを有しており、接続部材120が−Y方向への荷重を受けたとき、平面部165pは案内部208の平面部208pとの接触によって支持される。そのため、装置側電気接続部52の端子部52tの押圧による接続部材120の回転が、より一層、抑制されている。
本実施形態では、被案内部165は、案内部208が挿入される入口側の端部である+Z方向側の端部部位に、+Z方向に向く傾斜面165iを有している(図28)。本実施形態では、傾斜面165iは、平面部165pよりも−Y方向側に位置しており、嵌合部165fから下方に延びている。傾斜面165iは、被案内部165に案内部208が嵌まっている状態において、挿入されている案内部208の側面に面する。傾斜面165iを有することによって、嵌合部165fより下方の部位における被案内部165のX,Y方向に沿った断面における開口面積は、下方ほど大きくなっている。これによって、案内部208の上端が被案内部165の嵌合部165fへと円滑に誘導されるため、液体収容体100のケース61への装着操作が容易化される。
また、傾斜面165iを有することによって、被案内部165と案内部208とは、上端の嵌合部165fにおいて局所的に嵌合した状態となる。そのため、被案内部165と案内部208との係合状態の解除が容易に行え、ケース61からの液体収容体100の取り外し操作が容易化される。その他に、例えば、装着体105の落下などにより、装着体105に予期せぬ衝撃力が外部から加わったとしても、被案内部165と案内部208との係合状態が早期に解除されるため、装着体105に加わる衝撃力を分散させることができ、液体収容体100の損傷・破壊が抑制される。
本実施形態では、被案内部165および案内部208は、平面部165p,208p同士がZ方向においてほとんど全体にわたって面接触している。そのため、ケース61上の液体収容体100に−Y方向にかかる荷重を受けても、液体収容体100の位置が変動しにくい。
[第1液体収容体と第2ケースとの組み合わせ]
図29は、第2ケース61bに配置された状態の第1液体収容体100aを+Z方向に見たときの概略図である。本実施形態では、第1液体収容体100aの第1接続部材120aは、接続受入部50に接続するための各構成部の配置レイアウトは、第2液体収容体100bの第2接続部材120bとほぼ一致する。また、上述したように、第2接続部材120bの2つの被案内部165bはそれぞれ、第1接続部材120aの被案内部165aに対応する位置に設けられているとともに、第1接続部材120aの被案内部165aの形状が一致する部位を有している。そのため、第2液体収容体100bの第2接続部材120bに適合するように構成されている第2ケース61bであれば、第1液体収容体100aを装着することが可能である。第2ケース61bに第1液体収容体100aを装着したときには、第2ケース61bの2つの案内部208bの一部が、第1接続部材120aの被案内部165aに嵌合する。これによって、第2ケース61b上における第1液体収容体100aの位置決めがなされる。
[接続部材における袋状部材の固定構造]
図30〜図33A,図33Bを参照して、液体収容体100の接続部材120における袋状部材110の固定構造の詳細を説明する。図30は、接続部材120の第1部材127fと第2部材127sとを分離させた状態を示す液体収容体100の概略分解斜視図である。図31は、図30に示す31−31切断における接続部材120の第1の概略断面図である。図32は、図31に示す32−32切断における接続部材120の第2の概略断面図である。図30〜図32では、第2液体収容体100bの構成が図示されているが、以下の説明は、第1液体収容体100aおよび第2液体収容体100bに共通する。
接続部材120は、第1部材127fと第2部材127sとをZ方向に重ね合わせて結合した構成を有している(図30)。第1部材127fは、+Z方向に下方に突出している複数の爪部129cを有している。第2部材127sは、各爪部129cに対応する係合穴部129hを有している。第1部材127fと第2部材127sとは、各爪部129cが対応する係合穴部129hに係合することによって結合される。第1部材127fと第2部材127sとは、互いに結合されるときに、互いの間に、袋状部材110の外周端部113のうちの+Y方向側の先端部113eをZ方向に挟み込んで保持する。
袋状部材110の先端部113eには、収容部115に連通する開口部である供給口114が設けられている(図30,図31)。供給口114は、袋状部材110の外周端部113のうちで、第1シート部材111と第2シート部材112とが接合されていない部位である。袋状部材110の供給口114には、液体導出口131と供給口114とを連通する液体流路を構成する供給口部材116が挿入されている。
供給口部材116は、ポリプロピレンなどの樹脂部材を成形することによって作製される。供給口部材116は、配管部117(図30)と、接続本体部118(図31)と、を有する。配管部117(図30)は、X方向における中心にY方向に延びる管状の部位であり、+Y方向側の開口端部が、接続部材120の液体導出口131に接続される。配管部117の+Y方向側の開口部は、フィルム部材FMが貼付されて封止されている。液体導出口131に液体導入部51が接続されるときには、液体導入部51は、フィルム部材FMを貫通して、配管部117の開口部に接続される。
接続本体部118は、配管部117の−Y方向側に設けられている部位である(図30,図31)。接続本体部118の内部には、配管部117に接続され、Y方向に延びる液体流路が設けられている(図示は省略)。接続本体部118は、第1固定部118fと、第2固定部118sと、を有する。第1固定部118fは、袋状部材110の外部に配置され、接続部材120に連結されて固定される部位である(図30,図31)。第2固定部118sは、袋状部材110の内部に配置され、袋状部材110に固定される部位である(図31)。第2固定部118sは、袋状部材110の供給口114の内周面に気密に接合される(図30,図31)。第2固定部118sの−Y方向側の端部には、収容部115内に配置され、収容部115の液体を袋状部材110の外部へと導くための管状部材300が接続されている(図32)。
第2部材127sの上面には、2つの突起部301が設けられている(図30)。2つの突起部301は、−Z方向に延びる軸状の部位である。本実施形態では、2つの突起部301は、略円柱形状を有している。2つの突起部301は、Y方向に見たときに、液体導出口131および配管部117をX方向に挟む位置に設けられている(図32)。
接続本体部118の第1固定部118fには、第1固定部118fをZ方向に貫通する2つの貫通口302f,302sが設けられている(図30)。2つの貫通口302f,302sは、X方向に配列されている。2つの貫通口302f,302sの間には、配管部117に接続される液体流路が設けられている(図32)。各貫通口302f,302sには、第2部材127sの2つの突起部301のうちの対応するひとつが挿入される(図30)。第1貫通口302fには、+X方向側の突起部301が挿入され、第2貫通口302sには、−X方向側の突起部301が挿入される。
第1部材127fの下面には、第2部材127sの2つの突起部301に対応する位置に、各突起部301が嵌合する2つの孔部303が設けられている。図30では、2つの孔部303の形成位置が破線で図示してある。第1部材127fと第2部材127sとが結合されたときには、第1固定部118fにおける上記の2つの貫通口302f,302sを貫通した第2部材127sの2つの突起部301の上端部が、第1部材127fの2つの孔部303に嵌合する(図31)。これによって、接続部材120に袋状部材110が固定される。以下では、第2部材127sの2つの突起部301と、供給口部材116の2つの貫通口302f,302sと、第1部材127fの2つの孔部303と、を合わせて、袋状部材110を接続部材120に固定するための「固定構造305」とも呼ぶ(図31)。
このように、本実施形態の液体収容体100では、袋状部材110は、その供給口114を有する先端部113eが、接続部材120を構成する第1部材127fと第2部材127sとにZ方向に挟まれて保持される。これによって、接続部材120に対する供給口114の位置ずれが抑制され、液体噴射装置10と液体収容体100との間の液体供給経路の接続状態の低下が抑制される。また、第1部材127fと第2部材127sとをZ方向に結合する工程によって接続部材120に袋状部材110を固定することができるため、袋状部材110の組立が容易化されている。
本実施形態の接続部材120においては、袋状部材110に取り付けられている供給口部材116の全体が接続部材120の本体部を構成する第1部材127fおよび第2部材127sによって覆われており、供給口部材116の保護性が高められている。本実施形態の接続部材120においては、袋状部材110を固定するための固定構造305を構成する2つの突起部301および2つの貫通口302f,302sが、供給口部材116における液体流路を挟んでX方向に配列されている。これによって、接続部材120と袋状部材110とが互いにX方向に回転する位置ずれが抑制されている。また、接続部材120の液体導出口131と供給口部材116の液体流路との間の位置ずれが抑制されており、接続部材120内の液体の供給流路の連通状態の悪化が抑制されている。さらに、本実施形態の接続部材120では、供給口部材116を固定する2つの突起部301が、第1部材127fと第2部材127sとにわたってZ方向に延伸している。これによって、供給口部材116を固定する固定構造305の強度が高められており、接続部材120内部における供給口部材116の位置ずれがさらに抑制されている。
上述したように、本実施形態では、袋状部材110の供給口114において、供給口部材116は、第2固定部118sにおいて、シート部材111,112に溶着されている。第2固定部118sにおける溶着領域WDのY方向における長さLaは、接続部材120のY方向の長さLbよりも長い(図31)。その溶着領域WDの全体は、接続部材120によって覆われている。これによって、溶着領域WDが接続部材120によって保護されており、供給口部材116からシート部材111,112が剥離してしまうことが抑制されている。
図31には、収容体側電気接続部140における基板部141の配置位置を破線によって図示してある。本実施形態では、収容体側電気接続部140は、供給口114よりも+Y方向側に設けられている。そのため、上述したように、基板配置部144を、袋状部材110に干渉させることなく、+Z方向に窪んでいる凹部として設けることができ、基板部141をY方向において供給口114と少なくとも一部が重なる位置に配置することができる。よって、その分だけ、接続部材120のZ方向における厚みを小さくすることができ、接続部材120を小型化することができる。
本実施形態では、収容体側電気接続部140は、供給口部材116の固定構造305よりも+Y方向側方向側に離間した位置に設けられている。そのため、例えば、液体収容体100が予期せぬ衝撃を受けるなどして、供給口部材116の固定構造305が破損した場合であっても、その破損が、収容体側電気接続部140に影響することが抑制される。従って、基板部141の保護性が高められている。
本実施形態では、供給口部材116の第1固定部118fに設けられている2つの貫通口302f,302sはX方向における開口幅が異なっている(図32)。ここでの開口幅は、X方向における開口幅の最大値を意味している。第2貫通口302sのX方向における開口幅Wbは、第1貫通口302fのX方向における開口幅Waより大きい。これによって、第2貫通口302sに対応する突起部301を挿入するときのX方向における突起部301の挿入角度に幅を持たせることができる。従って、第1貫通口302fに対応する突起部301を挿入して基準位置を確定した上で、第2貫通口302sに対して、対応する突起部301を容易に挿入させることができる。そのため、第2部材127sへの袋状部材110の取り付け工程が容易化され、接続部材120に袋状部材110を固定する組み立て工程が容易化される。また、固定構造305に、そうした余裕が設けられていることによって、接続部材120の組立の際に、固定構造305に生じる応力が低減され、接続部材120における袋状部材110の固定性の低下が抑制される。なお、本実施形態では、第1貫通口302fと第2貫通口302sのY方向における開口幅Wcは、突起部301のY方向における直径にほぼ等しい。ただし、第1貫通口302fと第2貫通口302sのY方向における開口幅は、互いに異なっていてもよい。
図33A,図33Bは、接続部材120における袋状部材110の先端部113eの位置を説明するための模式図である。図33Aは、第1液体収容体100aについての図であり、図33Bは、第2液体収容体100bについての図である。図33A,図33Bではそれぞれ、+Z方向に見たときの接続部材120a,120bの輪郭線を一点鎖線で図示するとともに、袋状部材110a,110bの配置領域を斜線ハッチングを付して示している。また、図33A,図33Bにはそれぞれ、上述した袋状部材110a,110bを接続部材120a,120bに固定する固定構造305の位置を二点鎖線で図示してある。
本実施形態では、袋状部材110の先端部113eは、接続部材120において、2つの被案内部165に挟まれる位置に設けられている。袋状部材110の先端部113eは、X方向に見たときに、2つの被案内部165に重なる位置にある。これによって、例えば、装着体105に対してX方向に衝撃が加えられたときなどに、接続部材120に保持されている袋状部材110の先端部113eが、被案内部165によってX方向に支持される。従って、液体収容体100の耐衝撃性能が高められている。
本実施形態では、X方向に見たときに、袋状部材110の先端部113eを固定する固定構造305が2つの被案内部165に重なる位置に設けられている。これによって、上述したX方向の衝撃力に対して、袋状部材110の先端部113eが、上述した被案内部165および案内部208に加えて、固定構造305によっても支持される。従って、液体収容体100の耐衝撃性能が、さらに高められている。
本実施形態では、袋状部材110の側端部113sは、X方向において、接続部材120の第5面部125および第6面部126よりも内側に位置している。袋状部材110の側端部113sが、X方向において接続部材120の外側に張り出していないことによって、袋状部材110の側端部113sの保護性が高められている。本実施形態では、液体収容体100をY方向に見たときに、袋状部材110の少なくとも一部が、各被案内部165に重なる。これによって、接続部材120における袋状部材110の+Y方向への位置ずれが抑制される。
本実施形態では、袋状部材110の+Y方向側の2つの角部が被案内部165に干渉してしまうことを避けるために、当該角部が切除された形状を有している。これによって、袋状部材110の側端部113sにおける+Y方向側の端部には、2つの被案内部165のうちの一方の内周面に沿って、被案内部165から袋状部材110に向かう方向に窪んでいる窪部113rが形成されている。図33Aおよび図33Bには、切除する前の角部の形状を破線で図示してある。
このような窪部113rを設けることによって、接続部材120に袋状部材110を固定するときに、袋状部材110の角部が邪魔にならないため、液体収容体100の組み立てが容易化される。また、袋状部材110の先端部113eおよび側端部113sを、当該窪部113rにおいて、被案内部165に近接して配置させることができる。よって、接続部材120によって袋状部材110の外周端部113を保持することができる。すなわち、接続部材120によって袋状部材110を保護することができる。窪部113rは、袋状部材110の供給口114に供給口部材116を溶着した後、供給口部材116における2つの貫通口302f,302sの位置を基準として、被案内部165の位置を特定し、袋状部材110の溶着部を切断することによって形成される。
[収容部の構成]
図34を参照して、袋状部材110の内部の収容部115の構成を説明する。図34には、+Z方向に見たときの袋状部材110が模式的に示されている。図34では、袋状部材110の外周端部における溶着領域WAを、破線ハッチングを付して例示してある。溶着領域WAは、袋状部材110の外周端部113に沿って形成されており、収容部115は、溶着領域WAに囲まれた領域として形成されている。溶着領域WAは、収容部115の四隅が直角にならないように、傾斜した接続部CCを有することが望ましい。つまり、溶着領域WAは、収容部115の四隅において、収容部115の中央に向かって入り込んでいる部位を有していることが望ましい。収容部115が、このように接続部CCを有していることによって、液体噴射装置10において収容部115の液体が消費されていくときに、収容部115の四隅に、液体が残留してしまうことが抑制される。なお、収容部115においては、接続部CCが少なくとも1つでも形成されていれば、そうした効果を得ることができる。また、接続部CCは、直線ではなく、曲線によって形成されていてもよい。
[ハンドルの構成・機能の詳細]
図35〜図37を参照して、ハンドル170の構成および機能についての詳細を説明する。図35は、ハンドル170aが第2姿勢にあるときの第1液体収容体100aを示す概略斜視図である。なお、第2液体収容体100bにおいても、ハンドル170bは、第2姿勢にあるときには、図35に示されているハンドル170aと同様な姿勢になる。図36は、第2姿勢にあるときのハンドル170bの第2基端部175の近傍を抜き出して示す概略図である。図37は、ハンドル170a,170bが第1姿勢にあるときの2種類の装着体105a,105bを+Z方向に見たときの概略図である。以下の説明は、特に断らない限り、第1液体収容体100aのハンドル170aおよび第2液体収容体100bのハンドル170bに共通する。
上述したように、ハンドル170は、液体収容体100の運搬時などには、袋状部材110側に倒されていた第1姿勢から接続部材120の方へと回動されて起き上がった第2姿勢にされる(図35)。ハンドル170は、液体収容体100の+Y方向側の端部に位置する接続部材120に設けられている。そのため、ユーザーがハンドル170を持って液体収容体100を移動させるときには、液体収容体100の姿勢は、液体収容体100の重心がある袋状部材110側が吊り下げられた姿勢で安定する。よって、液体収容体100の取り回しやすさが高められ、ケース61に対する着脱が容易化される。
本実施形態では、ハンドル170は、第2姿勢にあるときに、連結部172,173の一部が、接続部材120に対して、ハンドル170の回動方向に接触して、ハンドル170を止める(図36)。ハンドル170は、把持部171が固定部176より上方に位置する状態で止まる。このときの接続部材120におけるハンドル170の接触部位は、ハンドル170の回動を制限する制限部310として機能している。制限部310は、ハンドル170の回動軸RXを挟んで、袋状部材110とは反対側にある。制限部310を有していることによって、ユーザーがハンドル170を持ったときの液体収容体100の揺動が抑制されるため、第2姿勢にあるときの液体収容体100の姿勢を、より安定化させることができる。なお、液体収容体100の重心は、制限部310から見て、回動軸RXよりも袋状部材110側に位置していることが望ましい。これによって、ユーザーがハンドル170を持って液体収容体100を吊り下げたときに、ハンドル170を制限部310に当接させて、袋状部材110の揺動を抑制することができ、袋状部材110内の液体の揺動を抑制することができる。
本実施形態では、第2姿勢にあるときのハンドル170は、Z方向において収容体側電気接続部140と重なるとともに、収容体側電気接続部140から離間した位置に保持される(図36)。従って、液体収容体100の取り回しの際には、収容体側電気接続部140が、第2姿勢にあるハンドル170によって覆われて保護される。
上述したように、本実施形態では、ハンドル170の基端部174,175は、X方向において、2つの被案内部165の間に設けられており、ユーザーが、ハンドル170の位置を基準に被案内部165の位置を把握しやすくなっている(図35)。そのため、ハンドル170を利用した液体収容体100のケース61への着脱操作が簡易化される。また、液体収容体100をケース61に配置するときの液体収容体100の位置決めが容易化される。
本実施形態の液体収容体100では、ハンドル170の把持部171は、第1姿勢においては、接続部材120から、−Y方向側の袋状部材110の方に突出する位置に配置される(図37)。そのため、ハンドル170が第1姿勢にあるときに、ユーザーは、把持部171を把持しやすい。ハンドル170が第2姿勢にあるときには、ハンドル170の把持部171は、接続部材120から袋状部材110とは反対の+Y方向側に突出する位置に配置される(図35)。そのため、ハンドル170が第2姿勢にあるときにも、ユーザーは、把持部171を把持しやすい。特に、本実施形態では、第2姿勢にあるときには、ハンドル170は、水平方向よりも上方に傾いているため、把持部171は、ユーザーがより把持しやすい位置に位置する。このように、液体収容体100では、第1姿勢においても第2姿勢においても、ハンドル170の把持部171がユーザーが把持しやすい位置に位置する。従って、ハンドル170の操作がしやすくなり、液体収容体100のケース61に対する着脱操作が容易化されている。
本実施形態では、液体導出口131と収容体側電気接続部140とは、第1姿勢においては、ハンドル170とZ方向に重ならない位置に配置されている(図37)。また、嵌合構造受入部155も、ハンドル170とZ方向に重ならない位置に配置されている。そのため、本実施形態の接続部材120であれば、接続部材120の第3面部123に、第1姿勢にあるハンドル170のなくとも一部を収容可能な凹部123r(図15,図35)を設けることができる。本実施形態では、ハンドル170が第1姿勢にあるときには、連結部172,173の一部が、当該凹部123rに収容される。これによって、第1姿勢にあるハンドル170の少なくとも一部を、接続部材120に対してZ方向に入り込ませることができ、液体収容体100のZ方向におけるサイズを小型化することができる。
本実施形態では、第1姿勢にあるハンドル170が、液体導出口131と収容体側電気接続部140と嵌合構造受入部155とに干渉しない位置に配置されている。そのため、ハンドル170によって、装着体105の接続受入部50に対する接続が阻害されてしまうことが抑制されている。
本実施形態では、第1姿勢においては、ハンドル170は、Z方向に直交する平面に沿った姿勢にされる(図37,図14)。これによって、液体収容体100がケース61に配置された状態において、ハンドル170が、−Z方向に無駄に突出してしまうことを抑制し、装着体105をコンパクト化することができる。従って、液体噴射装置10におけるケース収納部60の空間容積を小さくすることができ、液体噴射装置10を小型化することができる。
本実施形態では、ハンドル170の2つの連結部172,173がそれぞれ、把持部171の両端から、把持部171のX方向における中心に向かう方向に延びる部位を有している(図37)。本実施形態では、連結部172,173はそれぞれ、把持部171の両端から、X方向における把持部171の中心に向かってクランク状に折れ曲がっている。この構成によって、ハンドル170では、把持部171におけるX方向の幅WHが、基端部174,175におけるX方向の幅WBよりも長くなっている。これによって、ハンドル170の基端部174,175側の部位を小型化しつつ、把持部171を把持しやすいサイズにすることができる。
本実施形態では、ハンドル170の連結部172,173は、第1姿勢においても第2姿勢においても被案内部165とZ方向において重ならないように、被案内部165を避けて延びている。従って、ハンドル170によって、ユーザーによる被案内部165の視認が阻害されてしまうことが抑制されている。
ハンドル170の把持部171は、第1姿勢において、袋状部材110に接触していてもよい。ただし、ハンドル170の把持部171は、図14に例示されているように、第1姿勢において、袋状部材110から離間した位置に保持されていることが望ましい。これによって、袋状部材110がハンドル170によってZ方向に押圧されないため、袋状部材110内の収容部115における圧力状態が、ハンドル170から受ける荷重によって悪化してしまうことが抑制される。従って、液体噴射装置10に対する液体収容体100からの液体の供給性が低下してしまうことが抑制される。接続部材120には、第1姿勢にあるときのハンドル170の一部に接触して、ハンドル170の袋状部材110に向かう方向への回動を制限する制限部が設けられてもよい。当該制限部によって、第1姿勢にあるハンドル170が、袋状部材110に接触することが抑制されてもよい。
図37を参照する。接続部材120の+Y方向側の端部から、第1姿勢にあるハンドル170の−Y方向側の端部の間のY方向における距離をDaとする。また、接続部材120の+Y方向側の端部から、袋状部材110の−Y方向側の端部101の間のY方向における距離をDbとする。このとき、距離Daは、距離Dbの1/3以内であることが望まししい(Da≦Db/3)。これによって、Z方向においてハンドル170と袋状部材110とが重なり合う範囲を小さくすることができる。また、ハンドル170の把持部171を袋状部材110のZ方向における厚みが比較的小さい部位の上方に位置させることができる。よって、第1姿勢において、ハンドル170の把持部171を把持しやすい位置に配置することができるとともに、袋状部材110がハンドル170から荷重を受けることを抑制できる。また、ハンドル170が大型化してしまうことが抑制されるため、液体収容体100を小型化でき、液体噴射装置10のケース収納部60にコンパクトに収めることができる。
[第1実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態の液体収容体100によれば、ハンドル170を利用することにより、液体収容体100の持ち運びやケース61へ着脱など、液体収容体100の取り回しの際の利便性が高められている。その他に、本実施形態の液体収容体100によれば、上記実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
B.第2実施形態:
図38は、第2実施形態における装着体105cを+Z方向に見たときの概略図である。第2実施形態における装着体105cは、X方向におけるサイズが大きい液体収容体100cとケース61cとで構成される。液体収容体100cおよびケース61cはそれぞれ、X方向における側端部が、+X方向および−X方向に延長されている点以外は、第1実施形態における第2液体収容体100bおよび第2ケース61bとほぼ同じ構成を有している。
第2実施形態の液体収容体100cが装着される液体噴射装置は、単色印刷を実行するインクジェットプリンターである点以外は、第1実施形態で説明した液体噴射装置10とほぼ同じである。第2実施形態の液体噴射装置では、ケース収納部60は、1つの液体収容体100cによって占められる。接続受入部50は、ケース収納部60の+Y方向側の領域において、X方向のほぼ中央あたりに1つ設置されている。
第2実施形態の液体収容体100cの袋状部材110cは、第1実施形態の第2液体収容体100bの袋状部材110bよりもX方向における幅が延長されている。袋状部材110cのX方向における幅は、Y方向における幅よりも大きい。
第2実施形態の液体収容体100cの接続部材120cは、袋状部材110cのX方向における幅に合わせて、X方向における両端部がそれぞれ+X方向または−X方向に延長されている。袋状部材110cの+Y方向側の端部は、X方向の全体にわたって、接続部材120cに保持されている。
第2実施形態の接続部材120cは、第1実施形態で説明したのと同じ構成の接続受入部50に接続可能に構成されている。接続部材120cにおける接続受入部50に接続するための各種の構成部の配置レイアウトは、第1実施形態の第2接続部材120bとほぼ同じである。接続部材120cは、第1実施形態で説明したのと同様な2つの被案内部165bを有している。
第2実施形態のケース61cは、液体収容体100cに適合するようにX方向における幅が拡大されている。ケース61cは、底面壁部200の底面に、第1実施形態で説明したのと同様な2つの案内部208bを有している。第2実施形態の装着体105cにおいても、被案内部165bに案内部208bが嵌まることによって、ケース61c上における液体収容体100cの位置決め精度が高められている。
第2実施形態の液体収容体100cによれば、インクの収容量を増大させることができる。また、液体収容体100cの配置姿勢の安定性が高められる。その他に、第2実施形態の液体収容体100cによれば、第1実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。なお、第2実施形態の液体収容体100cが装着される液体噴射装置は、複数の液体収容体100cをZ方向に積層して並列に装着できるように構成されていてもよい。この場合には、液体噴射装置は、異なる色インクを収容する複数の液体収容体100cを装着して、多色印刷を実行するものとしてもよい。
C.第3実施形態:
図39は、第3実施形態における液体収容体100dを+Z方向に見たときの概略図である。第3実施形態の液体収容体100dは、Z方向に見たときの形状が異なる袋状部材110dを備えている点と、第1実施形態で説明した第2接続部材120bと同様な構成の接続部材120dを備えている点以外は、第3実施形態の液体収容体100cとほぼ同じである。
第3実施形態の液体収容体100dは、第1実施形態で説明した第2液体収容体100bにおいて、袋状部材110bのX方向における両側の側端部113sを、第2接続部材120bから+X方向および−X方向に伸び出させた構成に相当する。液体収容体100dは、第2実施形態で説明したケース61cに配置され、第2実施形態で説明したのと同様な液体噴射装置に装着される。
第3実施形態の液体収容体100dでは、袋状部材110dの先端部113eのX方向における中央部分が接続部材120dによって保持されている。そのため、第3実施形態の袋状部材110dのX方向における両側の側端部113sは、接続部材120dからX方向に延び出ている。
袋状部材110dの+Y方向側の端部にある2つの角部315は面取りされたような形状となっている。これによって、当該角部315における溶着領域の損傷・劣化が抑制されている。また、袋状部材110dでは、内部の収容部115についても、同様に、角部が面取りされたような形状となっている(破線によって図示)。そのため、液体噴射装置において収容部115の液体が消費されていくときに、収容部115における当該角部に液体が残留してしまうことが抑制される。その他に、第3実施形態の液体収容体100dであれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
D.第4実施形態:
図40は、第4実施形態における液体収容体100eを示す模式図である。液体収容体100eは、接続部材120に取り付けられたハンドル170の代わりに、シート部材320に取り付けられたハンドル170eを備えている点以外は、第1実施形態で説明した液体収容体100とほぼ同様な構成を有している。液体収容体100eは、第1実施形態で説明したのと同様なケース61に装着され、第1実施形態で説明したのと同様な構成の液体噴射装置10に装着される。
液体収容体100eは、袋状部材110の下方に、袋状部材110を支持するためのシート部材320が設けられている。シート部材320は、袋状部材110の全体を支持するように配置されている。シート部材320は、例えば、ポリエチレンテフタレート(PET)などの樹脂を成膜して構成されてもよい。シート部材320は、紙や、プラスチック製、または、金属製の板状部材によって構成されてもよい。
シート部材320のX方向における一方の端部には、ハンドル170eが設けられている。図40では、ハンドル170eは、−X方向側の端部に設けられている。ハンドル170eは、袋状部材110の側端部113sからX方向に延出している。ハンドル170eは、袋状部材110の側端部113sに沿ってY方向に延びている把持部171eと、把持部171eの両端をそれぞれシート部材320に連結する2つの連結部172eと、を備える。ハンドル170eは、シート部材320の一部として構成されていてもよいし、シート部材320とは別の部材を、シート部材320に接合することによって構成されていてもよい。
ハンドル170eは、通常は、袋状部材110からX方向に延出している第2姿勢をとる。ユーザーは、第2姿勢にあるハンドル170eを把持して、液体収容体100eを運搬することができる。ハンドル170eは、2つの連結部172eとシート部材320との連結部位を支点として回動可能である。ハンドル170eは、袋状部材110に折り重なるように袋状部材110側に倒れた第1姿勢をとることができる(破線で図示)。これによって、液体収容体100eのケース61に対する収容が、ハンドル170eによって阻害されてしまうことが抑制される。
液体収容体100eがケース61に収容された状態においては、ハンドル170eは、袋状部材110側に完全に折りたたまれていなくてもよい。ハンドル170eは、第1姿勢から上方に回動して、ケース61の側壁部201,202に接触した状態になっていてもよい。ハンドル170eがケース61に接触していることにより、液体収容体100eのX方向における位置が安定する。
ハンドル170eは、2つの連結部172eとシート部材320との連結部位にミシン目などを予め設けておき、シート部材320から切り離せるように構成されていてもよい。これによって、ハンドル170eが切り離されたコンパクトな状態で、液体収容体100eを液体噴射装置10に装着することができ、液体噴射装置10に対する液体収容体100eの装着性が高められる。
ハンドル170eは、袋状部材110のX方向における両側に設けられていてもよいし、袋状部材110の−Y方向側の端部に設けられていてもよい。第4実施形態の液体収容体100eによれば、上記の作用効果に加えて、上記の各実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。
E.第5実施形態:
図41は、第5実施形態における液体収容体100fの構成を説明するための模式図である。 図41には、複数の液体収容体100fと、複数の液体収容体100fが共通に配置される1つのケース61fと、が図示されている。第5実施形態の液体収容体100fは、以下に説明する点以外は、第4実施形態の液体収容体100eと同様な構成を有している。第5実施形態では、複数の液体収容体100fが、X方向に一列に配列された状態で、シート部材320を介して、互いに連結されている。X方向における両端の位置にある液体収容体100fにはそれぞれ、第4実施形態で説明したのと同様なハンドル170eが設けられている。
ハンドル170eは、複数の液体収容体100fの連結体に対して、X方向の両側にひとつずつ設けられている。これによって、X方向につながっている複数の液体収容体100fの取り回し性が高められ、ケース61に対する装着操作が簡易化される。なお、ハンドル170eは、X方向における一方の側にのみ設けられていてもよい。ハンドル170eがひとつであっても、複数の液体収容体100fの運搬において、その利便性が発揮される。
複数の液体収容体100fは、シート部材320によって連結された状態のまま、ケース61fの上に配置される。ケース61fの底面壁部200には、各液体収容体100fの被案内部165に対応する案内部208が設けられている。各液体収容体100fは、被案内部165に対応する案内部208が嵌まることによって、ケース61fの規定の配置位置に位置決めされる。
液体収容体100fの連結体がケース61fに収容されたときには、ハンドル170eは、第4実施形態で説明したように、袋状部材110側に折りたたまれてもよいし、ケース61の側壁部に接触して上方に向かって回動した状態にされていてもよい。あるいは、ハンドル170eは、液体収容体100eから切り離されてもよい。
複数の各液体収容体100fは、ケース61fに配置された状態で、液体噴射装置に装着される。複数の液体収容体100fのそれぞれには、同じ色のインクが収容されていてもよい。この場合には、当該色インクの容量を容易に増加させることができる。また、複数の液体収容体100fのそれぞれには、異なる色インクが収容されていてもよい。この場合には、複数の色インクを同時に扱うことができるため、効率的である。
以上のように、第5実施形態の液体収容体100fによれば、連結された状態で複数の液体収容体100fを、ハンドル170eを利用して同時に取り回すことができる。従って、ケース61fに対する液体収容体100fの着脱を効率的におこなうことができる。その他に、第5実施形態の液体収容体100fによれば、上記の各実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。
F.第6実施形態:
図42〜図45A,図45Bを参照して、第6実施形態における液体収容体100ga,100gbの構成を説明する。図42は、第6実施形態の第1液体収容体100gaが第1ケース61aに配置された第1装着体105gaの装着方向における先端側(+Y方向側)の端部を−Z方向側から見たときの概略斜視図である。図43は、第6実施形態の第2液体収容体100gbが第2ケース61bに配置された第2装着体105gbの先端側の端部を−Z方向側から見たときの概略斜視図である。図44は、第2液体収容体100gbの+Y方向側の端部を+Z方向側から見たときの概略斜視図である。図45Aは、第2液体収容体100gbの接続部材120bを−Z方向に見たときの概略図である。図45Bは、図45Aに示す45B−45B切断における接続部材120bの概略断面図である。
第6実施形態の各液体収容体100ga,100gbの構成は、以下に説明するように、第1接続部材120gaおよび第2接続部材120gbの構成が異なっている点以外は、第1実施形態の対応する液体収容体100a,100bと実質的に同じである。また、各液体収容体100ga,100gbが配置される各ケース61a,61bの構成は、第1実施形態の各ケース61a,61bと実質的に同じである。各液体収容体100ga,100gbは、対応する各ケース61a,61bに配置されて、装着体105ga,105gbを構成し、第1実施形態で説明したのと同様な構成の液体噴射装置10に装着される。以下の説明では、各液体収容体100ga,100gbを特に区別する必要がない場合には、「液体収容体100g」と総称する。各装着体105ga,105gb、各接続部材120ga,120gbについても、同様に、「装着体105g」、「接続部材120g」と総称する。
液体収容体100gでは、ハンドル170の固定部176は、接続部材120gの凹部123r内に設けられており、ハンドル170aの回動軸(図示は省略)が接続部材120gの第3面部123よりも+Z方向側に位置している(図42,図43)。固定部176が接続部材120gにおいて奥まった位置に設けられていることによって、固定部176やハンドル170の基端部174の破損が抑制され、接続部材120gからのハンドル170の脱落が抑制されている。
第1姿勢にあるときに、−Z方向側に向くハンドル170の面部を「上面部SF」と呼び、その反対側の面部を「下面部SR」と呼ぶ(図42,図43)。液体収容体100gでは、ハンドル170が第1姿勢にあるときに、その上面部SFの全体が、当該第3面部123よりも+Z方向側に位置している。ハンドル170の上面部SFは、接続部材120gの第3面部123よりもわずかに(例えば、0.1〜1.0mm程度)、+Z方向側に位置している。これによって、装着体105gがケース収納部60に挿入されるときに(図3)、ハンドル170が、ケース収納部60の入口の開口部材62(図4)に干渉してしまうことが抑制される。よって、ユーザーによるケース収納部60に対する装着体105gの着脱操作が円滑化される。また、ハンドル170が−Z方向に突出していない分だけ、ケース収納部60の内部空間の高さを低減することも可能である。なお、液体収容体100gでは、ハンドル170が第1姿勢にあるときに、その上面部SFの全体が、接続部材120の上面部である第3面部123とZ方向において同じ位置に位置していてもよい。この場合であっても、前述したのと同様な効果を奏することができる。
第2液体収容体100gbでは、ハンドル170bの第1連結部172と第2連結部173との間に、第3連結部177が追加されている(図43)。ハンドル170の2つの連結部172,173のそれぞれには、第1実施形態において図37を参照して説明したように、2つの基端部174,175の間のX方向の距離が、把持部171のX方向の幅よりも小さくなるように、クランク状に屈曲した部位が設けられている(図42,図43)。第3連結部177は、ハンドル170bの2つの連結部172,173のそれぞれにおける前述の屈曲した部位の角部同士を連結するようにX方向に架設されている(図43)。第3連結部177は、ハンドル170bが第1姿勢にあるときには、第2接続部材120gbの第2面部122に近接した位置において、第2接続部材120gbの第2面部122に沿って小さくまとまって配置される。ハンドル170bは、第3連結部177が設けられていることによって、その強度が高められており、より重いものを吊り下げることができる。
装着体105gでは、ケース61が有する各案内部208の−Z方向側の上端面208suと、接続部材120gの上面部である第3面部123とは、ケース61の底面200s(図13)に対して、Z方向において互いに揃った位置にある(図42,図43)。つまり、各案内部208の上端面208suと、接続部材120gの第3面部123とは、Z方向における位置(高さ位置)が実質的に同じである。ここで、「実質的に同じ」とは、例えば、公差の範囲内や、0〜5%程度の誤差の範囲内において等しいことを意味する。ユーザーは、各案内部208の上端面208suが、接続部材120gの第3面部123とともにフラットな面を構成していることを視覚や触覚によって確認することによって、液体収容体100gがケース61に適正に配置されていることを容易に確認できる。なお、各案内部208の上端面208suのZ方向における位置は、少なくとも、第3面部123のうちの被案内部165bの周縁部と実質的に同じであればよい。
第2液体収容体100gbの第2接続部材120gbにおける2つの被案内部165bはそれぞれ、+Z方向側の端部における開口形状がX方向を長手方向とする略長方形形状を有している(図44)。各被案内部165bでは、+Z方向側の端部における開口領域OPdが、−Z方向側の端部における開口領域OPuよりも、X方向において外方に向かって拡大されている(図45A,図45B)。このため、各被案内部165bでは、+Z方向側の端部におけるX方向の開口幅の最大値WMaが、−Z方向側の端部におけるX方向の開口幅の最大値WMbより大きくなっている。これによって、各被案内部165bに対する案内部208bの挿入が容易化されており、第2ケース61bに対する第2液体収容体100gbの装着操作が容易化されている。また、第2装着体105gbによれば、ユーザーが、第2装着体105gbを誤って落下させてしまったとしても、各案内部208bが各被案内部165bから容易に外れて、第2液体収容体100bが第2ケース61bから容易に分離する。そのため、第2装着体105bにそうした予期せぬ衝撃が加わったとしても、それに起因する第2液体収容体100gbや第2ケース61bの破損を抑制できる。
以上のように、第6実施形態の液体収容体100gによれば、ケース61やケース収納部60に対する着脱のしやすさが高められるなど、第6実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。その他に、第6実施形態の液体収容体100gによれば、上記の他の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
G.第7実施形態:
図46は、第7実施形態の液体収容体100hがケース61hに配置された装着体105hを−Z方向側から見たときの概略斜視図である。第7実施形態の液体収容体100hの構成は、第3実施形態の接続部材120dに代えて、第6実施形態で説明した第2接続部材120gbと同様な構成の接続部材120hを有している点以外は、第3実施形態の液体収容体100d(図39)とほぼ同じである。ケース61hの構成は、第2実施形態で説明したケース61c(図38)の構成と実質的に同じである。第7実施形態の装着体105hは、第2実施形態で説明したのと同様な単色印刷を実行する液体噴射装置に装着される。第7実施形態の液体収容体100hによれば、第6実施形態で説明したのと同様に、ケース61hやケース収納部60に対する着脱性が高められる。その他に、第7実施形態の液体収容体100hによれば、上記の各実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
H.変形例:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように変形することが可能である。以下に説明する変形例はいずれも、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。
H1.変形例1:
ハンドル170は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されない。ハンドル170は、2つの連結部172,173のうちのいずれか一方が省略された構成を有していてもよい。この場合には、基端部174,175のうちのいずれか一方が省略される。把持部171は、X方向に湾曲しつつ延びていてもよいし、屈曲しつつ延びていてもよい。2つの連結部172,173は直線状に延びていてもよいし、湾曲して延びていてもよい。連結部172,173は可撓性を有する部材によって構成されていてもよい。固定部176は、軸状の基端部174,175が挿入される軸孔によって構成されていなくてもよい。固定部176は例えば、ヒンジによって構成されていてもよい。ハンドル170の固定部176は、接続部材120の第3面部123に設けられていなくてもよい。ハンドル170の固定部176は、例えば、接続部材120の−Y方向に向く第2面部122(図15)に設けられていてもよいし、接続部材120の第5面部125や、第6面部126に設けられていてもよい。
H2.変形例2:
上記の各実施形態では、ハンドル170は、第1姿勢において、接続部材120から袋状部材110の方に突出し、第2姿勢において、接続部材120から袋状部材110とは反対の方向に突出するように構成されている。これに対して、ハンドル170は、第1姿勢において、接続部材120から袋状部材110の方に突出しなくてもよいし、第2姿勢において、接続部材120から袋状部材110とは反対の方向に突出しなくてもよい。ハンドル170は、Y方向において接続部材120から突出しない範囲で回動するように構成されていてもよい。
H3.変形例3:
上記の各実施形態では、ハンドル170は、第1姿勢において、Z方向に直交する平面に沿った姿勢で配置されている。これに対して、ハンドル170は、第1姿勢において、Z方向に直交する平面に対して傾斜する姿勢で配置されてもよい。ハンドル170は、第1姿勢において、把持部171が固定部176よりも上方に位置するように傾斜していてもよいし、把持部171が固定部176よりも下方に位置するように傾斜していてもよい。
H4.変形例4:
上記形態の各実施形態では、接続部材120には、第2姿勢にあるハンドル170に接触して、ハンドル170の回動範囲を制限する制限部310が設けられている。これに対して、接続部材120には、制限部310が設けられていなくてもよい。ハンドル170は、例えば、把持部171が袋状部材110から離れる方向に回動させたときに、把持部171が固定部176より下方になる位置まで、その回動が許容されるように構成されていてもよい。
H5.変形例5:
上記形態の各実施形態では、ハンドル170の基端部174,175は、X方向において、2つの被案内部165の間に設けられている。これに対して、ハンドル170の基端部174,175は、X方向において、2つの被案内部165の間に位置していなくてもよい。2つの基端部174,175のいずれか一方のみがX方向において、2つの被案内部165の間に位置していてもよいし、2つの基端部174,175の両方がX方向において、2つの被案内部165の間の領域から外れていてもよい。ハンドル170の基端部174,175は、2つの被案内部165からY方向にオフセットされた位置に設けられていてもよい。
H6.変形例6:
上記の各実施形態において、ハンドル170が第2姿勢にあるときに、Z方向において、ハンドル170と収容体側電気接続部140とはZ方向に重なっている。これに対して、ハンドル170が第2姿勢にあるときに、ハンドル170と収容体側電気接続部140とは、Z方向において重ならなくてもよい。例えば、収容体側電気接続部140は、連結部172,173に挟まれる位置に位置していてもよい。
F7.変形例7:
上記の第4実施形態および第5実施形態において、液体収容体100e,100fは、接続部材120を有しているが、接続部材120は省略されてもよい。液体収容体100e,100fは、袋状部材110の+Y方向側の端部に、液体導入部51が挿入される液体導入口が設けられた構成を有しているのみでもよい。
H8.変形例8:
上記の各実施形態では、収容体側電気接続部140は端子142を有する基板部141を備えている。これに対して、収容体側電気接続部140は基板部141を備えていなくてもよい。収容体側電気接続部140は、例えば、装置側電気接続部52が電気的に接触する端子142が接続部材120の壁面に直接的に配置された構成であってもよい。上記の各実施形態では、収容体側電気接続部140の端子142は、斜め上方を向くように配置されている。これに対して、収容体側電気接続部140の端子142は、斜め上方を向くように配置されていなくてもよい。端子142は、Z方向に直交するように配置されていてもよいし、Y方向に直交するように配置されていてもよい。上記の各実施形態では、端子142を配置するための基板配置部144が−Y方向および+Z方向に窪んだ凹部として設けられている。これに対して、基板配置部144は凹部として形成されていなくてもよい。端子142は、他の部位よりも突出した部位に設けられていてもよい。
H9.変形例9:
上記の各実施形態では、被案内部165aは略半円柱形状の凹部によって構成されており、被案内部165bは略円柱形状の空間を構成する貫通孔によって構成されている。これに対して、接続部材120に設けられる被案内部165は、他の形状を有していてもよい。被案内部165は、例えば半球状に窪んでいる凹部として形成されてもよい。被案内部165は、水平断面における開口形状が略三角形状や他の多角形状を有していてもよいし、Z方向に延びるスリット状の切れ間として形成されてもよい。2つの被案内部165は、X方向に並んでいなくてもよい。2つの被案内部165は、Y方向において互いにオフセットされた位置に設けられていてもよい。2つの被案内部165は、X方向に互いに離れて設けられていればよい。2つの被案内部165は、互いに異なる大きさや形状を有していてもよい。被案内部165は省略されてもよい。
H10.変形例10:
上記各実施形態では、ケース収納部60における液体収容体100およびケース61の移動方向であるY方向は、液体噴射装置10の前後方向に一致している。これに対して、ケース収納部60における液体収容体100およびケース61の移動方向であるY方向は、液体噴射装置10の前後方向に一致していなくてもよい。ケース収納部60における液体収容体100およびケース61の移動方向であるY方向は、例えば、液体噴射装置10の横方向であってもよい。つまり、液体収容体100およびケース61の装着口が、液体噴射装置10の右側または左側の側面に設けられていてもよい。ケース61の移動方向であるY方向は、重力方向に対して垂直でなくてもよく、重力方向に対して斜めに交差する方向であってもよい。また、上記各実施形態では、ケース収納部60は液体噴射装置10において最下段の位置に設けられている。これに対して、ケース収納部60は他の高さ位置に形成されていてもよい。ケース収納部60はZ方向における中央部に設けられていてもよい。
H11.変形例11:
上記第1実施形態では、4つの液体収容体100を装着する液体噴射装置10の構成を説明している。上記第2実施形態および第3実施形態では、1つの液体収容体100c,100dを装着する液体噴射装置の構成を説明している。液体噴射装置に装着される液体収容体100の個数は、上記の各実施形態で説明している個数に限定されることはない。例えば、液体噴射装置は、第1実施形態の第1液体収容体100aまたは第2液体収容体100bを1つのみ装着可能に構成されていてもよいし、液体噴射装置は、第2実施形態の液体収容体100cまたは第3実施形態の液体収容体100dをそれぞれ、2個以上、収納可能に構成されていてもよい。また、上記の第1実施形態では、液体噴射装置10には、2種類の液体収容体100a,100bが装着されている。これに対して、液体噴射装置10には、液体収容体100a,100bのうちのいずれか一方のみが装着されてもよいし、構成の異なる3種類以上の液体収容体が装着されてもよい。
H12.変形例12:
上記の各実施形態において、第1受入部150fと第2受入部150sはそれぞれ、Y方向に見たときに、各被案内部165と少なくとも一部が重なる位置に設けられている。これに対して、第1受入部150fと第2受入部150sは、Y方向に見たときに、各被案内部165からオフセットされた位置に設けられていてもよい。上記の各実施形態において、第1受入部150fと第2受入部150sは省略されてもよい。
H13.変形例13:
上記の各実施形態において、ケース側固定構造220は、ハートカム溝構造を有している。これに対して、ケース側固定構造220は、ハートカム溝構造を有していなくてもよい。ケース側固定構造220は、例えば、係合状態において、装置側固定構造54の突起部54pが−Y方向に係合する段差部を有するのみの構成であってもよい。この場合には、装置側固定構造54は、ユーザーの操作などによって、X方向に移動させて係合状態を解除できるように構成されていることが望ましい。上記の各実施形態において、ケース側固定構造220は省略されてもよい。
H14.変形例14:
液体収容体100の構成は、上記の各実施形態で説明した構成には限定されない。例えば、液体収容体100の袋状部材110は、略円盤形状を有していてもよい。また、接続受入部50において、液体導出口131は、X方向における中央に位置していなくてもよく、収容体側電気接続部140がX方向における中央に設けられていてもよい。液体導出口131は、X方向において一対の受入部150f,150sの間に設けられていなくてもよい。また、一対の受入部150f,150sは同じ高さ位置に設けられていなくてもよいし、ほぼ同じ開口形状や開口サイズを有していてもよい。収容体側電気接続部140は、−Y方向側に奥まった位置に形成されていなくてもよく、+Y方向側に突出した位置に形成されていてもよい。
H15.変形例15:
液体収容体100が配置されるケース61の構成は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されることはない。ケース61は、トレー状の構成を有していなくてもよく、例えば、複数の柱状の部材を組み合わせたフレーム状の部材によって構成されていてもよい。
H16.変形例16:
液体収容体100が接続される接続受入部50は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されることはない。接続受入部50は、単一の部品として構成されていなくてもよく、液体導入部51や、装置側電気接続部52、一対の位置決め部53f,53sがそれぞれ異なる部材として独立に分離配置されている構成を有していてもよい。
H17.変形例17:
上記各実施形態の液体噴射装置10は、プリンターであり、液体噴射システム11はインクジェット方式の印刷システムである。これに対して、液体噴射装置10は、プリンターでなくてもよいし、液体噴射システム11は印刷システムでなくてもよい。液体噴射装置10は、例えば、液体洗剤を噴射する洗浄装置として構成されてもよい。この場合には、液体噴射システムは、洗浄システムである。
H18.変形例18:
上記第6実施形態で説明したハンドル170や、被案内部165および案内部208の構成は、他の実施形態の液体収容体、ケース、装着体に適用されてもよい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴は、本明細書中に、省略されてもよい、と説明されているものに限らず、必須なものとして説明されていないものであれば、適宜、削除することが可能である。