JP2018064409A - スリップリング用のブラシ構造 - Google Patents

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章吾 和田
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Akihiro Kubota
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Abstract

【課題】ブラシの振動に対する強度を向上させることができる、スリップリング用のブラシ構造を提供する。
【解決手段】スリップリング用のブラシ構造20は、スリップリング10にブラシ接点30aにおいて接触するブラシ30と、ブラシ30を電気回路に電気的に接続する接続構造31と、接続構造31よりもブラシ接点30aに近い位置でブラシ30を保持するブラシホルダ40,50,60とを備える。スリップリング10は高周波信号伝送用である。
【選択図】図1

Description

この発明は、スリップリング用のブラシ構造に関する。
回転電機等において、外部の電気回路とスリップリングとの電気的接触を実現するためにブラシが用いられる。従来のブラシ構造では、ブラシの接続部分は、プリント基板へのはんだ付けにより実現される。このような構成の例は特許文献1に開示される。
図5に、従来の構成に係るブラシ構造120の例を示す。スリップリング10に対し、ブラシ130がブラシ接点130aにおいて接触するよう設けられている。ブラシ130は、プリント基板140に接続構造131として示すようにはんだ付けされる。
特開2010−232139号公報
しかしながら、従来のブラシ構造では、ブラシの振動に対する強度を十分に高くできないという問題があった。
このような問題は、伝送信号の周波数に関わらず発生する可能性があるが、とくに高周波伝送用のスリップリングにおいて顕著となる。
たとえば図5に示すような従来のブラシ構造120では、ブラシ130を保持するための構造が、プリント基板140に対する接続構造131(はんだ付け)に限られるので、ブラシの振動に対する強度が低下する。
とくに、スリップリング10が高周波伝送用のものである場合には、専用ハーネスが用いられることがある。そのような場合にはリング径が大きくなり、結果としてプリント基板140とブラシ接点130aとの距離が長くなるので、ブラシの共振点が下がり、振動に対する強度がさらに低下する。
振動に対する強度が低下すると、たとえばブラシの接点状態が不安定となる等の状態が発生し、伝送信号にノイズ乱れが起こるおそれがある。このような問題は、伝送信号の周波数に関わらず発生する可能性があるが、とくに高周波の伝送信号において顕著となる。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、ブラシの振動に対する強度を向上させることができるスリップリング用のブラシ構造を提供することを目的とする。
この発明に係る、スリップリング用のブラシ構造は、
スリップリングにブラシ接点において接触するブラシと、
ブラシを電気回路に電気的に接続する接続構造と、
前記接続構造よりもブラシ接点に近い位置でブラシを保持する保持構造と
を備える。
特定の態様によれば、前記スリップリングは高周波信号伝送用である。
特定の態様によれば、前記保持構造は、所定の閾値以上の厚さを有する樹脂層を備え、前記樹脂層には、ブラシが挿通可能な貫通孔が設けられる。
特定の態様によれば、前記保持構造は、
ブラシが挿入可能な溝を備える溝部材と、
前記溝に挿入された状態のブラシの周方向を、前記溝部材とともに閉鎖する閉鎖部材と
を備える。
特定の態様によれば、少なくとも2本の前記ブラシが対を形成し、前記対の各ブラシは、各前記接続構造から各ブラシ接点に向けて互いに離れてゆくように配置される。
この発明によれば、接続構造よりもブラシ接点に近い位置でブラシを保持する保持構造を備えるので、保持構造とブラシ接点との距離がより短くなり、ブラシの振動に対する強度が向上する。
実施の形態1に係るスリップリング用のブラシ構造を、スリップリングの軸方向から見た部分断面図である。 図1のブラシ構造を矢印IIの向きに見た図である。 図1のブラシ構造を矢印IIIの向きに見た図である。 実施の形態2に係るスリップリング用のブラシ構造を、スリップリングの軸方向から見た部分断面図である。 従来のスリップリング用のブラシ構造を、スリップリングの軸方向から見た図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1〜図3を用いて、本発明の実施の形態1に係るブラシ構造20の構成の例を説明する。ブラシ構造20はスリップリング用のブラシ構造である。図1は、スリップリング10の軸方向から見た部分断面図であり、図2および図3は、いずれも軸と直交する方向すなわちそれぞれ図1の矢印IIおよびIIIの向きに見た図である。
図1のように、ブラシ構造20はスリップリング10に対して設けられる。なお、スリップリング10は、図1では外周のみ破線で示しており、図2および図3では図示を省略している。スリップリング10は、たとえば高周波信号伝送用のものである。「高周波信号」に該当する周波数領域は当業者に公知であるが、たとえば100Mbps以上の信号を意味する。
ブラシ構造20は1本以上のブラシ30を備える。ブラシ30はそれぞれブラシ接点30aにおいてスリップリング10に接触する。また、本実施形態では、ブラシ30は、図1に示すように、直線状の第1部分30bと、同じく直線状の第2部分30cとを備え、これらの部分が接続されてなる折線形状に形成される。このように、ブラシ30は、純粋な直線形状ではなく、角度をつけるように形成されている。なお図3は、第2部分30cの長手方向と直交する方向から見た図である。
ブラシ構造20は、ブラシ30を保持または固定するための保持構造を備える。本実施形態では、保持構造は、図1に示すように、ブラシホルダ40(第1のブラシホルダ)、ブラシホルダ50(第2のブラシホルダ)およびブラシホルダ60(第3のブラシホルダ)を含む。
ブラシホルダ40は導体層41および樹脂層42を含み、たとえばこれらが互いに接着または固定されて形成される。導体層41は少なくとも一部に導体を含み、本実施形態では全体が銅板を形成する。導体層41は、スリップリング10と電気的に接続されるべき電気回路を構成する。すなわち、ブラシ30は、導体層41とスリップリング10との間の導通を実現する。導体層41には、ブラシ30が挿通可能な貫通孔41aが設けられる。樹脂層42は所定の厚さを有し、同様にブラシ30が挿通可能な貫通孔42aが設けられる。
ブラシホルダ50およびブラシホルダ60は樹脂を用いて形成され、それぞれ樹脂層を含む。本実施形態ではいずれも全体が樹脂から形成される。ブラシホルダ40の樹脂層42、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60は、たとえば同一の樹脂からなるものであってもよい。
ブラシ構造20は、ブラシ30を電気回路(たとえば導体層41)に接続するための接続構造31を備える。本実施形態では、接続構造31ははんだ70を含み、はんだ付けにより形成される。また、導体層41にはリード線80が接続されており、導体層41はリード線80を介して図示しない外部の電気回路に接続されている。
図2および図3に示すように、ブラシ30は、スリップリング10の軸方向に配列して設けられる。本実施形態では、4本のブラシ30が互いに並行に、スリップリング10の軸方向に配列され、ブラシ体32を構成している。また、図1に示すように、少なくとも2本のブラシ30がスリップリング10を挟んで面対称に配置され、対を形成している(本実施形態では、8本のブラシ30が、4本ずつ組となって2つのブラシ体32を構成し、この2つのブラシ体32が対を形成している)。図1の例では、対称面Sは、スリップリング10の軸を含み、対となるブラシ30の接続構造31の中点を通る平面であり、この例ではリード線80の軸を含む平面ともなっている。
ブラシ30(とくに、対となる各ブラシ30)の、第1部分30b(すなわち、接続構造31近傍の直線部分)は、互いに平行である。また、ブラシ30(とくに、対となる各ブラシ30)の、第2部分30cは、第1部分30bから離れるにつれて互いの距離が大きくなる。すなわち、対の各ブラシ30を全体として見ると、それぞれ対応する接続構造31から、それぞれ対応するブラシ接点30aに向けて、互いに離れてゆくように配置される。言い換えると、対となる2本(または2組)のブラシ30について、各ブラシ接点30aの間の距離は、各接続構造31の間の距離よりも大きくなっている。
次に、ブラシ30を保持または固定するための保持構造について説明する。図1に示すように、ブラシホルダ40は、樹脂層42の貫通孔42a(厳密にはその内周面)によってブラシ30を保持し、これによって、第1部分30bの長手方向と直交する方向の振動を抑制する。上述のように、樹脂層42は所定の厚さを有しており、その厚さに応じて振動抑制効果を得ることができる。ここで、ブラシホルダ40は、樹脂層42の厚さに応じて、接続構造31よりもブラシ接点30aに近い位置(言い換えると、より接続構造31から隔たった位置)で、ブラシ30を保持するということができる。
また、図3に示すように、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60はブラシ30を挟持して保持する。ブラシホルダ50は、ブラシ30が挿入可能な溝51を備える溝部材である。ブラシホルダ60は、溝51に挿入された状態のブラシ30の周方向を、ブラシホルダ50とともに閉鎖する閉鎖部材である。図3の例では、ブラシホルダ50の溝51と、ブラシホルダ60の閉鎖面61とが、ブラシ30の周方向を閉鎖している。ここで、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60は、図3に示すように組み合わされることにより、ブラシ30が挿通可能な貫通孔を形成するということができる。ブラシホルダ50およびブラシホルダ60は、たとえば公知の締結具を用いてブラシホルダ40に固定することができる。また、ブラシ構造は、たとえばブラシホルダ40を介してスリップリング筐体に固定されてもよい。その場合、図1においてブラシホルダ40の上側左右(接続構造31よりも左右外側)に図示される構造は、ブラシホルダ40をスリップリング筐体に対して保持し固定するための機構であってもよい。
このようなブラシホルダ50およびブラシホルダ60の組み合わせが、ブラシ30を保持し、これによって、第2部分30cの長手方向と直交する方向の振動を抑制する。ここで、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60は、それぞれの厚さに応じて、接続構造31よりもブラシ接点30aに近い位置(言い換えると、より接続構造31から隔たった位置)で、ブラシ30を保持するということができる。
このような樹脂層の厚さに応じ、ブラシ30の最遠保持点30d(図1)の位置が決定される。ここで「最遠保持点」とは、ブラシ30が保持構造によって保持される部分のうち、接続構造31から最も隔たった点を意味し、図1の例ではブラシホルダ50の紙面下方向端に相当する。この最遠保持点30dと、ブラシ接点30aとの間の距離が小さいほど、ブラシ30が自由に振動する部分が短くなって相対的に剛性が向上し、したがって振動に対するブラシ30の強度が向上するということができる。なお、図1の例では、ブラシホルダ60の前面(紙面下方向の表面、すなわちスリップリング10に対向する面)に凹部が設けられている。このように凹部を設けることにより、スリップリング10とブラシホルダ60との接触を避けつつ、ブラシ30の長さ(より厳密には、最遠保持点30dと、ブラシ接点30aとの間の距離)を短くし、全体として小型化することができる。
以上説明するように、本発明の次実施の形態1に係るブラシ構造20によれば、ブラシホルダ40、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60を含む保持構造が、接続構造31から隔たった点においてブラシ30を保持するので、ブラシ30の振動に対する強度が向上する。
振動に対する強度が向上すると、その結果として、たとえばブラシ接点30aにおける接触状態が安定し、信号伝送自体の品質が向上する。
このような効果は、伝送信号の周波数に関わらず得られるが、とくに高周波の信号について顕著となる。
また、図5に示すような従来の構成と比較すると、本発明に係る構成では、電気的な接続機能を発揮する接続構造31とは別に、ブラシ30を保持する機能を発揮する保持構造を設けているので、ブラシ30がよりしっかりと保持される。とくに、ブラシ30を保持する強度がはんだ70の強度に制限されない。
また、本実施形態では、図1に示すようにブラシ30が成形され、角度をもってスリップリング10に接するので、接続構造31または最遠保持点30dと、ブラシ接点30aとの間の距離がさらに短くなる(図1の例では、スリップリング10の軸よりも紙面上側の位置となる)。さらに、このような形状により、ブラシ構造20全体を小型化することができる。なお、このようなブラシ30の形状は必須ではなく、ブラシ30の全体を直線的に構成してもよい。その場合には、ブラシ30は互いに平行に(すなわち第1部分30bのように)配置されてもよく、互いに角度をなすように(すなわち第2部分30cのように)配置されてもよい。
なお、保持構造における樹脂層の厚さは、所定の閾値以上であればよい。閾値は全体の構成に応じて当業者が適宜設計可能である。たとえばブラシ30の直径または断面径に応じて閾値を決定してもよく、たとえば直径を閾値としてもよい。
樹脂層の構成内訳は任意に設計可能である。たとえば樹脂層42の厚さを閾値以上としてもよく、その場合にはブラシホルダ50およびブラシホルダ60は任意の厚さとすることができる(またはこれらを省略してもよい)。あるいは、ブラシホルダ50およびブラシホルダ60の厚さをいずれも閾値以上としてもよく、その場合にはブラシホルダ40の樹脂層42は任意の厚さとすることができる(またはこれを省略してもよい)。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、同一の軸方向位置においてスリップリング10に接触するブラシ30の数を増加させたものである。以下、実施の形態1との相違を説明する。
図4を用いて、本発明の実施の形態2に係るブラシ構造20’の構成の例を説明する。図4は、スリップリング10の軸方向から見た部分断面図である。
図4に示すように、実施の形態1に示すブラシ30(または、ブラシ30の対、ブラシ体32、ブラシ体32の対、等と表現しても等価である)が、スリップリング10に対して対向する位置に設けられる。「対向する」とは、たとえば、あるブラシ30(またはブラシ30の対)に対して、スリップリング10の軸に関して180°回転した位置に、追加のブラシ30(またはブラシ30の対)が配置される位置関係をいうが、各ブラシ30が互いに干渉せず配置可能な位置関係であればこれに限らない。
言い換えると、スリップリング10の軸方向から見た場合に、ブラシ30(またはブラシ30の対)が、両側からスリップリング10を挟むように配置されるということもできる。結果として、スリップリング10とブラシ30との接点の数が増加している。図1に現れるブラシ接点30aは2箇所であるが、図4では4箇所にブラシ接点30aが現れている。
このように、実施の形態2に係るブラシ構造20’によれば、スリップリング10とブラシ30との接点の数が増加するので、スリップリング10とブラシ30との接触状態がさらに安定し、信号伝送自体の品質がさらに向上する。
なお、このような対向配置は、ブラシ30に角度をつけて配置することによって可能となる。たとえば図5のような従来の構成では、ブラシを対向させると互いに干渉するので、そのような構成は物理的に実現困難である。
上述の実施の形態1および2において、次のような変形を施すことができる。
実施の形態1および2ではブラシホルダ60は平面(閉鎖面61)でブラシ30を保持するが、ブラシホルダ60に溝が形成されてもよい。その場合にはブラシホルダ50は溝51を備えないものであってもよい。また、実施の形態1および2では、最遠保持点30dにおいてはブラシホルダ50のみがブラシ30に接触しており、ブラシホルダ60はブラシ30に接触しないが、ブラシホルダ60を変形して最遠保持点30dでもブラシ30に接触する形状としてもよい。さらに、ブラシホルダ60が最遠保持点30dにおいてブラシ30を保持する場合には、ブラシホルダ50は最遠保持点30dにおいてブラシ30に接触する必要はない。
実施の形態1および2では、接続構造31もまた、はんだ70等によってブラシ30を保持する作用をある程度有するが、接続構造31は保持作用を有しないものであってもよい。
10 スリップリング、20 ブラシ構造、30 ブラシ、30a ブラシ接点、31 接続構造、40 ブラシホルダ(保持構造)、42 樹脂層、42a 貫通孔、50 ブラシホルダ(保持構造、樹脂層、溝部材)、51 溝、60 ブラシホルダ(保持構造、樹脂層、閉鎖部材)。

Claims (5)

  1. スリップリングにブラシ接点において接触するブラシと、
    ブラシを電気回路に電気的に接続する接続構造と、
    前記接続構造よりもブラシ接点に近い位置でブラシを保持する保持構造と
    を備える、スリップリング用のブラシ構造。
  2. 前記スリップリングは高周波信号伝送用である、請求項1に記載のスリップリング用のブラシ構造。
  3. 前記保持構造は、所定の閾値以上の厚さを有する樹脂層を備え、前記樹脂層には、ブラシが挿通可能な貫通孔が設けられる、請求項1または2に記載のスリップリング用のブラシ構造。
  4. 前記保持構造は、
    ブラシが挿入可能な溝を備える溝部材と、
    前記溝に挿入された状態のブラシの周方向を、前記溝部材とともに閉鎖する閉鎖部材と
    を備える、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のスリップリング用のブラシ構造。
  5. 少なくとも2本の前記ブラシが対を形成し、前記対の各ブラシは、各前記接続構造から各ブラシ接点に向けて互いに離れてゆくように配置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスリップリング用のブラシ構造。
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