JP2018062711A - アルミナバリア層を有する鋳造製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、上記特許文献のオーステナイト系耐熱合金は、Al2O3によるバリア機能の向上を期待することはできても、母材の延性低下を招来する不都合がある。
基地表面にアルミニウム酸化物を含むアルミナバリア層を有する鋳造製品であって、
前記アルミニウム酸化物は、(Al(1−x)M(x))2O3、但し、M:Cr、Ni、Si、Feの少なくとも1種、且つ、0<x<0.5である。
基地表面にアルミニウム酸化物を含むアルミナバリア層を有する鋳造製品であって、
前記アルミニウム酸化物は、Cr、Ni、Si、Feの少なくとも1種が固溶しており、Alと固溶した少なくとも1種のCr、Ni、Si、Feは、原子%比でAl/(Cr+Ni+Si+Fe)≧2.0である。
本発明の鋳造製品は、基地表面にアルミニウム酸化物を含むアルミナバリア層を有する。
本発明の鋳造製品は、質量%にて、Cr15%以上Ni18%以上、Alを1〜5%含有する耐熱合金であれば、本発明の効果を得ることができ、たとえば以下の成分により作製される。なお、以下の説明で、「%」は、特に表示がないときは、全て質量%である。
Cは、鋳造性を良好にし、高温クリープ破断強度を高める作用がある。このため、少なくとも0.05%を含有させる。しかし、含有量があまり多くなると、Cr7C3の一次炭化物が幅広く形成され易くなり、アルミナバリア層を形成するAlの移動が抑制されるため、鋳造体の表面部へのAlの供給不足が生じて、アルミナバリア層の局部的な寸断が起こり、アルミナバリア層の連続性が損なわれる。また、二次炭化物が過剰に析出するため、延性、靱性の低下を招く。このため、上限は0.7%とする。なお、Cの含有量は0.3%〜0.5%がより望ましい。
Siは、溶湯合金の脱酸剤として、また溶湯合金の流動性を高めるために含有させるが、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は2.5%とする。なお、Siの含有量は2.0%以下がより望ましい。
Mnは、溶湯合金の脱酸剤として、また溶湯中のSを固定するために含有させるが、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は3.0%とする。なお、Mnの含有量は1.6%以下がより望ましい。
Crは、高温強度及び繰返し耐酸化性の向上への寄与の目的のため、15.0%以上含有させる。しかし、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は50.0%とする。なお、Crの含有量は23.0〜35.0%がより望ましい。
Niは、繰返し耐酸化性及び金属組織の安定性の確保に必要な元素である。また、Niの含有量が少ないと、Feの含有量が相対的に多くなる結果、鋳造体の表面にCr−Fe−Mn酸化物が生成され易くなるため、アルミナバリア層の生成が阻害される。このため、少なくとも18.0%以上含有させるものとする。70.0%を超えて含有しても増量に対応する効果が得られないので、上限は70.0%とする。なお、Niの含有量は28.0〜45.0%がより望ましい。
Alは耐浸炭性及び耐コーキング性の向上に有効な元素である。また、本発明では、鋳造体の表面にアルミナバリア層を生じさせるために必要不可欠の元素である。このため、少なくとも1.0%以上含有させる。しかし、含有量が5%を超えると延性が劣化するため、本発明では上限を5.0%に規定する。なお、Alの含有量は2.5%〜3.8%がより望ましい。
希土類元素とは、周期律表のLaからLuに至る15種類のランタン系列に、YとScを加えた17種類の元素を意味するが、本発明の耐熱合金に含有させる希土類元素は、Ce、La及びNdからなる群のうち少なくとも一種以上が含まれることが好ましい。この希土類元素は、アルミナバリア層の生成と安定化の促進に寄与する。
アルミナバリア層の生成を高温の酸化性雰囲気下での加熱処理によって行なう場合は、希土類元素を0.005%以上含有させることでアルミナバリア層生成に有効に寄与する。
一方、あまりに多く含有すると、延性、靱性が悪化するので、上限は0.4%とする。
W、Moは、基地中に固溶し、基地のオーステナイト相を強化することにより、クリープ破断強度を向上させる。この効果を発揮させるために、W及びMoの少なくとも一種を含有させるものとし、Wの場合は0.5%以上、Moの場合は0.1%以上含有させる。
しかし、W及びMoは、含有量があまり多くなると、延性の低下や、耐浸炭性の劣化を招く。また、Cが多い場合と同じように、(Cr,W,Mo)7C3の一次炭化物が幅広く形成され易くなり、アルミナバリア層を形成するAlの移動が抑制されるため、鋳造体の表面部分へのAlの供給不足が生じ、アルミナバリア層の局部的な寸断が起こり、アルミナバリア層の連続性が損なわれ易くなる。また、WやMoは原子半径が大きいため、基地中に固溶することにより、AlやCrの移動を抑制してアルミナバリア層の生成を妨げる作用がある。
このため、Wは10.0%以下、Moは5.0%以下とする。なお、両元素を含有する場合でも、合計含有量は10.0%以下とすることが好ましい。
Ti、Zr及びNbは、炭化物を形成し易い元素であり、WやMoほど基地中には固溶しないため、アルミナバリア層の形成には特段の作用は認められないが、クリープ破断強度を向上させる作用がある。必要に応じて、Ti、Zr及びNbの少なくとも一種を含有させることができる。含有量は、Ti及びZrが0.01%以上、Nbが0.1%以上である。
しかし、過剰に添加すると、延性の低下を招く。Nbは、さらに、アルミナバリア層の耐剥離性を低下させる。このため、上限は、Ti及びZrは0.6%、Nbは1.8%とする。
Bは、鋳造体の粒界を強化する作用があるので、必要に応じて含有させることができる。なお、含有量が多くなるとクリープ破断強度の低下を招くため、添加する場合でも0.1%以下とする。
本発明の鋳造製品は、上記成分組成の溶湯を溶製し、遠心力鋳造、静置鋳造等により上記組成に鋳造される。
たとえば、鋳造製品として、管、特に高温環境下で使用される反応管を例示することができる。
本発明の鋳造製品は、酸化性雰囲気下で加熱処理を行なう。加熱処理は、低温加熱処理と高温加熱処理に分けることができる。なお、低温加熱処理と高温加熱処理は、別工程で行なうこともできるし、低温加熱処理の後、続けて高温加熱処理を行なってもよい。
低温加熱処理は、酸化性雰囲気下で基地の表面にアルミニウム酸化物の層を形成する処理である。低温とは、1050℃未満を例示できる。望ましくは、600℃〜900℃である。低温加熱処理は、5時間〜15時間実施することが望ましい。
高温加熱処理は、低温加熱処理の後に実施される熱処理であって、後述するとおり、低温加熱処理にて形成されたアルミニウム酸化物をαアルミナ構造(コランダム構造)に相変態させると共に、このアルミニウム酸化物の層と基地との間にAlの濃度の高いアルミニウム酸化物層を形成するものである。
そして、基地10側からは、図3に示すように、Al、Cr、Ni、Si、Feが基地表面側に拡散する。しかしながら、Alは、Cr、Ni、Si、Feに比べて、酸素との結合に必要なエネルギーが小さいから、Alが優先して酸素と結合し、濃度の高いアルミニウム酸化物の層(Al濃化層24)が、基地10とAl薄化層22との間に形成されるためである。
必要に応じて、鋳造製品には、アルミナバリア層に表面処理を行なうことができる。たとえば表面処理として研磨を例示できる。たとえば、鋳造製品を反応管に使用したときに、原料の炭化水素と鋳造製品のFeやNi等が触れて、FeやNiの触媒作用によりコーク(炭素)が管内面に付着し易いが、表面処理を施して、アルミナバリア層の表面粗さ(Ra)を小さくすることで、コークの付着を抑えることができる。
比較例2は、鋳造体に含まれるAlが0.9%と低く、鋳造体表面に皮膜を形成するためのAlが不足しているためである。比較例3は、低温加熱処理温度が1200℃と高いため、γ又はθアルミナ構造を有するアルミナバリア層が形成される前にCr、Ni、Si、Fe等を主体とする酸化物が形成されたためである。比較例4は、低温加熱処理温度が500℃と低いために、γ又はθアルミナ構造を有するアルミナバリア層が形成されなかったためである。比較例5及び比較例6は、高温加熱処理の温度が1000℃と低いからである。この結果、低温加熱処理にてAl薄化層が形成された後、高温加熱処理においてAl薄化層を通過する酸素が少なく、また、温度が低いから取り込まれた酸素とAlが結合するに十分なエネルギーを得られなかったためである。
コーキング試験は、供試管を電気炉内に設置し、供試管に炭化水素(エタン)を供給して、所定の時間(12〜24時間)、高温加熱(955℃)することにより行なった。そして、試験終了後、供試管の内面の浸炭度合いを比較すると共に、供試管の内面に付着したコーク(炭素)の重量比を測定した。結果を表4に示す。
20 アルミナバリア層
22 Al薄化層
24 Al濃化層
Claims (5)
- 基地表面にアルミニウム酸化物を含むアルミナバリア層を有する鋳造製品の製造方法であって、
前記アルミニウム酸化物の形成処理は、1050℃未満の酸化性雰囲気下にて低温熱処理を施した後に、1050℃以上の酸化性雰囲気下にて高温熱処理を施すステップにより、アルミニウム酸化物の層と基地の間にAl濃度の高いアルミニウム酸化層を具備することを特徴とする鋳造製品の製造方法。 - 前記低温熱処理は600℃〜900℃で5時間〜15時間、高温熱処理は1050℃以上で3時間〜15時間実施することを特徴とする請求項1に記載の鋳造製品の製造方法。
- 前記アルミニウム酸化物は、少なくともCrが固溶しており、Alと固溶したCrは、原子%比でAl/Cr≧10である、
請求項1又は請求項2に記載の鋳造製品の製造方法。 - 前記アルミニウム酸化物は、Ni、Si、Feの少なくとも1種が固溶しており、
Alと固溶した少なくとも1種のNi、Si、Feの合計原子%は、10原子%以下である、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の鋳造製品の製造方法。 - 前記基地は、質量%にて、少なくともSi:0%を越えて2.5%以下、Cr:15.0%〜50.0%、Ni:18.0%〜70.0%、Al:1.0%〜5.0%を含有する、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の鋳造製品の製造方法。
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JPS5641364A (en) * | 1979-09-10 | 1981-04-18 | Mazda Motor Corp | Forming method for alumina coating having exfoliation resistance |
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WO2004111291A1 (ja) * | 2003-06-10 | 2004-12-23 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 水素ガス環境用鋼材、構造機器部材およびその製造方法 |
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