図1は、実施形態にかかる計測データの通知方法の例を説明するフローチャートである。実施形態にかかる通信システムは、N1に示すように、計測装置10とデータ収集サーバ30を含んでいる。また、計測装置10は、センサを備えていて、センサを用いた計測処理を行うと共に、得られた計測データをデータ収集サーバ30に送信するものとする。図1のフローチャートに示す処理は計測装置10で行われる。
図1のフローチャートでは、定数Nが用いられている。定数Nは、得られた計測データをデータ収集サーバ30に通知するかを判定する際に計測装置10が使用する閾値である。定数Nは、例えば、予測値を計算するために使用可能な計測データの最小数に設定される。この場合、予測値の計算方法に応じて、定数Nは変動し得る。
計測装置10は、過去のデータを用いて、次の予測値を計算する(ステップS1)。次に、計測装置10は、センサを用いて計測処理を行う(ステップS2)。計測装置10は、計測処理で得られた計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれているかを判定する(ステップS3)。計測処理で得られた計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれていない場合、計測装置10は、計測データが予測から外れた回数を1つ加算する(ステップS3でNo、ステップS4)。さらに、計測装置10は、計測データが予測から外れた回数が所定の閾値N以下であるかを判定する(ステップS5)。計測データが予測から外れた回数が所定の閾値N以下である場合、計測装置10は、計測データを記憶領域に蓄積して、計測データの送信を抑制する(ステップS5でYes、ステップS6)。その後、ステップS1以降の処理が繰り返される。
一方、計測処理で得られた計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれている場合も、計測装置10は、得られた計測データを記憶領域に蓄積して、計測データの送信を抑制する(ステップS3でYes、ステップS6)。その後、ステップS1以降の処理が繰り返される。
計測データが予測から外れた回数が所定の閾値Nを越えると、計測装置10は、これまでに記憶領域に蓄積している計測データを、データ収集サーバ30に一括送信する(ステップS5でNo、ステップS7)。
このように、予測値から外れた計測データが得られても、計測装置10は、予測値から外れたデータの数が、新たな計測データの予測に使用可能な数になるまでは、計測データをデータ収集サーバ30に送信しない。また、予測値から外れたデータの数が、新たな計測データの予測に使用可能な数になると、計測装置10は、これまで蓄積した計測データを一括してデータ収集サーバ30に送信する。このため、実施形態にかかる通信方法では、計測装置10での消費電力を抑えることができる。
さらに、計測装置10は、計測データを送信する際には、予測値から外れた計測データを新たな計測データの予測に使用可能な数だけ、データ収集サーバ30に送信している。このため、データ収集サーバ30は、計測装置10からのデータの受信後に、予測値から外れている分の計測データを用いて以後の予測処理を行うことにより、計測データの予測精度を向上させることができる。
また、計測装置10は、予測値から外れた計測データだけでなく、予測値から誤差範囲内に含まれている計測データについても送信を抑制している。しかし、予測値から外れた計測データの数がNに達すると、予測値から誤差範囲内に含まれている計測データもデータ収集サーバ30に通知している。このため、データ収集サーバ30は、予測値から誤差範囲内に入っているデータについても、実測された計測データを取得することができるので、データ収集サーバ30において正確なデータを収集することができる。
<装置構成>
図2は、計測装置10の構成の例を説明する図である。計測装置10は、通信部11、決定部12、判定部13、予測値計算部14、センサ15、記憶部20を備える。記憶部20は、未送信データテーブル21と予測材料テーブル22を有する。
未送信データテーブル21は、計測処理によって得られた計測データのうち、データ収集サーバ30に送信されていない計測データを保持する。予測材料テーブル22は、次回の計測データを予測する際に使用するデータを格納する。ここで、計測装置10は、データ収集サーバ30で行われる予測値の計算と同じ処理を行うことによって、データ収集サーバ30で得られる予測値と同じ値を計算する。このため、予測材料テーブル22には、データ収集サーバ30に通知済みの計測データや、データ収集サーバ30が予測値の計算に用いる過去の予測値などが含まれる。未送信データテーブル21や予測材料テーブル22の具体例は後述する。
予測値計算部14は、予測材料テーブル22を用いて、次回の計測処理で得られる計測データの予測値を計算する。センサ15は、計測処理を行うことにより、計測データを生成する。判定部13は、予測値計算部14で計算された予測値と、センサ15で得られた計測データを比較することにより、計測データが予測値から誤差範囲内に含まれているかを判定する。決定部12は、計測データと予測値の比較結果や、予測値からの誤差範囲内に入っていない計測データの数などに応じて、データ収集サーバ30に計測データを送信するかを決定する。決定部12は、未送信データテーブル21や予測材料テーブル22の更新処理も行う。通信部11は、データ収集サーバ30との間で通信する。
図3は、データ収集サーバ30の構成の例を説明する図である。データ収集サーバ30は、通信部31、保存データ決定部32、抽出部33、予測値計算部34、記憶部40を備える。記憶部40は、計測値テーブル41と予測材料テーブル42を有する。
計測値テーブル41は、計測装置10で得られた計測結果を記憶する。計測装置10から計測結果が送信されてくるまでは、計測値テーブル41は、測定値の代わりに暫定的な値として、計測データの予測値を記憶するが、計測装置10が計測データを受信すると予測値を計測データで置き換える。なお、予測値は予測値計算部34で計算される。
予測材料テーブル42は、予測値計算部34が予測値を計算するときに使用するデータを格納したテーブルである。抽出部33は、計測値テーブル41中の情報から、計測データの予測に使用するデータを抽出し、抽出したデータを予測材料テーブル42に記録する。通信部31は、計測装置10と通信する。保存データ決定部32は、通信部31で受信したデータや、予測値計算部34で得られた予測値を用いて、計測値テーブル41を更新する。
図3では、計測装置10からデータを取得する情報処理装置がデータ収集サーバ30である場合を例として説明したが、計測装置10からデータを取得する情報処理装置は、1つ以上の計測装置10からデータを収集して転送可能なゲートウェイであっても良い。すなわち、データ収集サーバ30は、ゲートウェイ装置において実現されても良い。
図4は、計測装置10とデータ収集サーバ30のハードウェア構成の例を説明する図である。計測装置10は、プロセッサ101、メモリ102、センサ15、バス104、クロック105、記憶装置106、通信インタフェース107を有する。プロセッサ101は、任意の処理回路であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)とすることができる。プロセッサ101は、メモリ102をワーキングメモリとして使用して、プログラムを実行することにより、様々な処理を実行する。メモリ102には、RAM(Random Access Memory)が含まれ、さらに、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリも含まれる。メモリ102や記憶装置106は、プログラムやプロセッサ101での処理に使用されるデータの格納に使用される。クロック105は、時間の計測処理を行う。通信インタフェース107は、ネットワークを介した他の装置との通信に使用される。バス104は、プロセッサ101、メモリ102、センサ15、クロック105、記憶装置106、通信インタフェース107を、互いにデータの入出力が可能になるように接続する。
計測装置10において、通信部11は、通信インタフェース107によって実現される。プロセッサ101は、決定部12、判定部13、予測値計算部14として動作する。メモリ102と記憶装置106は、記憶部20として動作する。センサ15は、クロック105から時刻情報を取得して、計測処理を行う。
データ収集サーバ30は、プロセッサ111、メモリ112、バス113、記憶装置114、通信インタフェース115、クロック116を備える。プロセッサ111は、任意の処理回路であり、例えば、CPUとすることができる。メモリ112には、RAMとROMが含まれる。メモリ112や記憶装置114は、プログラムやプロセッサ111での処理に使用されるデータを格納する。クロック115は、時間の計測処理を行う。通信インタフェース115は、ネットワークを介した他の装置との通信に使用される。バス113は、プロセッサ111、メモリ112、記憶装置114、通信インタフェース115、クロック116を、互いにデータの入出力が可能になるように接続する。
データ収集サーバ30において、通信部31は、通信インタフェース115によって実現される。プロセッサ111は、保存データ決定部32、抽出部33として動作する。予測値計算部34は、プロセッサ111とクロック116によって実現される。メモリ112と記憶装置114は、記憶部40として動作する。
<第1の実施形態>
以下、計測装置10とデータ収集サーバ30のいずれでも、2つ以上の計測データを用いて、次回の計測データの予測値を計算する場合を例として説明する。従って、計測装置10が計測データを送信するかの判定に使用する閾値Nは2であるとする。すなわち、予測値から誤差範囲内に入っていない計測データが2つ得られると、計測装置10は、データ収集サーバ30に得られたデータを通知するものとする。
図5は、計測の開始と予測処理の例を説明する図である。以下、計測装置10での計測の開始の際に、計測装置10とデータ収集サーバ30の各々で行われる処理を説明する。図5の最初の時点では、決定部12は、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を0と認識しているとする。
ステップS11において、計測装置10中のセンサ15は、時刻T1に計測処理を行うことにより計測データD1を取得し、得られた計測データを判定部13に出力する。時刻T1の時点では、計測を開始しているが予測値を計算するだけの計測データが得られていないので、判定部13には、予測値が通知されていない。そこで、判定部13は、判定処理を行わずに、計測データを決定部12に出力する。判定部13から判定結果が通知されていないことから、決定部12は、計測データD1が予測値から誤差範囲内に入っていないと判定し、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を1に設定する。予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数が閾値Nに達していないので、決定部12は、計測データD1を送信しないことを決定し、計測データD1を未送信データテーブル21に格納する。
未送信データテーブル21−1は、ステップS11の処理で得られる未送信データテーブル21の例である。未送信データテーブル21は、時刻、データ、および、判定結果フラグを含む。なお、図中では、判定結果フラグの欄を「判定」と記載している。時刻は計測データが計測された時刻である。未送信データテーブル21中に格納されるデータは、計測データである。判定結果フラグは、計測データが予測値から誤差範囲内に含まれているかの判定結果を表わす。未送信データテーブル21−1では、時刻T1での計測データがD1であることが記録される。さらに、時刻T1の時点では、計測データの予測が行われていないので、判定結果は未送信データテーブル21−1には記録されない。
ステップS12において、時刻T2になると、センサ15は、再度、計測処理を行うことにより、計測データD2を取得したとする。判定部13は、計測データD2に対して、ステップS11での処理と同様の処理を行うので、計測データD2は決定部12に出力される。決定部12は、計測データD2を取得すると、判定部13から判定結果が通知されていないことから、計測データD2が予測値から誤差範囲内に入っていないと判定し、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を2に設定する。予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数が閾値Nに達したので、決定部12は、未送信データテーブル21−1中のデータと共に、計測データD2を送信することを決定する。そこで、決定部12は、以下の情報を含む送信データを生成すると共に、未送信データテーブル21を初期化する。
時刻T1 計測データD1
時刻T2 計測データD2
決定部12で生成された送信データは、通信部11を介してデータ収集サーバ30に送信される(ステップS13)。決定部12は、送信済みのデータを予測材料テーブル22に格納する。このため、ステップS3の処理後に得られる予測材料テーブル22は、予測材料テーブル22−1に示す通りになる。さらに、決定部12は、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を0に設定する。
一方、データ収集サーバ30では、通信部31がデータを受信すると、受信データを保存データ決定部32に出力する。保存データ決定部32は、通知されたデータを計測値テーブル41に記録する。計測値テーブル41−1は、ステップS3での受信処理が終わったときに得られる計測値テーブル41の例である。計測値テーブル41−1は、時刻、データ、実測値フラグを含む。図中では、実測値フラグの欄を「実測値」と記載している。実測値フラグは、エントリ中の情報が計測装置10で実際に測定された計測データであるかを示す。実測値フラグ=Yesの場合、エントリ中の情報は、計測装置10で測定された計測データである。一方、実測値フラグ=Noの場合、エントリ中の情報は、予測値計算部34によって計算された予測値であり、計測装置10から通知された計測データではない。計測値テーブル41−1の場合は、計測データD1とD2のいずれも計測装置10から通知された計測データであるので、実測値フラグ=Yesに設定される。
抽出部33は、計測値テーブル41−1から、予測値の計算に使用するデータを抽出して、予測材料テーブル42に記録する。抽出部33は、計測装置10から通知された計測データを、計測時刻が新しい順に、閾値Nと同数だけ抽出する。図5の例では閾値N=2であるため、ステップS3の処理の後では、抽出部33は、予測材料テーブル42−1を生成する。予測値計算部34は、予測材料テーブル42−1を用いて、時刻T3に得られる計測データの予測値d3を計算する(ステップS14)。なお、予測値の計算方法は、予め予測値計算部34が記憶しているものとする。予測値計算部34は、得られた予測値を保存データ決定部32に出力する。
一方、計測装置10の予測値計算部14も、予測材料テーブル22−1を用いて、時刻T3に得られる計測データの予測値d3を計算する(ステップS15)。なお、予測値計算部14は、予め、予測値計算部34が保持する計算方法と同じ計算方法を、予測値の計算方法として記憶しているとする。このため、ステップS15で予測値計算部14は、時刻T3での計測データの予測値として、ステップS14で予測値計算部14が計算する予測値d3と同じ値を計算する。予測値計算部14は、得られた予測値を判定部13に通知する。
ステップS16において、時刻T3になると、センサ15は、計測処理を行うことにより、計測データD3を取得する。判定部13は、時刻T3での計測データの予測値d3から誤差範囲内に、計測データD3が入っているかを判定する。ステップS16では、判定部13は、計測データD3が計測データの予測値d3から誤差範囲内に入っている(D3≒d3)と判定したとする。すると、決定部12は、現時点では計測データD3をデータ収集サーバ30に通知しないことを決定し、計測データD3を判定結果や計測時刻の情報と共に、未送信データテーブル21−2に格納する。決定部12は、計測データD3をデータ収集サーバ30に通知しないため、データ収集サーバ30での予測値の計算では予測値d3が使用されると判定する。そこで、決定部12は、予測値d3と時刻T3の組み合わせを、予測材料テーブル22−1に追加するので、予測材料テーブル22−2が得られる。
データ収集サーバ30の保存データ決定部32は、時刻T3での計測データを待ち合わせる期間のタイムアウトを検出する(ステップS17)。計測データを待ち合わせる期間のタイムアウトが発生した場合、保存データ決定部32は、予測値からの誤差範囲内に計測データが含まれていると判定する。そこで、保存データ決定部32は、予測値d3と時刻T3の組み合わせを、計測値テーブル41に追加する。このため、計測値テーブル41−2が得られる。なお、予測値d3は、予測値計算部34が計算した予測値であるので、計測値テーブル41−2において、予測値d3に対応付けられた実測値フラグはNoに設定されている。抽出部33は、計測値テーブル41−2に新たに追加された予測値d3の情報を読み出して、予測材料テーブル42に追加する。このため、予測材料テーブル42−2が得られる。
図6は、予測処理の例を説明する図である。図6は図5の処理の後で行われる処理の例である。データ収集サーバ30中の予測値計算部34は、予測材料テーブル42−2(図5)を用いて、時刻T4に得られる計測データの予測値d4を計算する(ステップS21)。一方、計測装置10の予測値計算部14も、予測材料テーブル22−2(図5)を用いて、時刻T4に得られる計測データの予測値d4を計算し、得られた予測値d4を判定部13に通知する(ステップS22)。
ステップS23において、時刻T4になると、センサ15は、計測処理を行うことにより、計測データD4を取得する。判定部13は、時刻T4での計測データの予測値d4から誤差範囲内に、計測データD4が入っているかを判定する。ステップS23では、判定部13は、計測データD4が計測データの予測値d4から誤差範囲内に入っている(D4≒d4)と判定したとする。すると、決定部12は、現時点では計測データD4をデータ収集サーバ30に通知しないことを決定し、計測データD4を判定結果や計測時刻の情報と共に、未送信データテーブル21−2に格納する。このため、未送信データテーブル21−3が得られる。決定部12は、計測データD4をデータ収集サーバ30に通知しないため、データ収集サーバ30での予測値の計算では、時刻T4の情報として予測値d4が使用されると判定する。そこで、決定部12は、予測値d4と時刻T4の組み合わせを、予測材料テーブル22−2に追加し、予測材料テーブル22−3を生成する。
データ収集サーバ30の保存データ決定部32は、時刻T4での計測データを待ち合わせる期間のタイムアウトを検出する(ステップS24)。すると、保存データ決定部32は、予測値からの誤差範囲内に計測データが含まれていると判定して、予測値d4と時刻T4の組み合わせを、計測値テーブル41に追加する。このため、計測値テーブル41−2(図5)は、計測値テーブル41−3に更新される。抽出部33は、計測値テーブル41−3に新たに追加された予測値d4の情報を読み出して、予測材料テーブル42に追加する。このため、予測材料テーブル42−3が得られる。
図7は、計測結果が予測値から外れたときに行われる処理の例を説明する図である。図7は図6の処理の後で行われる処理の例である。データ収集サーバ30中の予測値計算部34は、予測材料テーブル42−3(図6)を用いて、時刻T5に得られる計測データの予測値d5を計算する(ステップS31)。一方、計測装置10の予測値計算部14も、予測材料テーブル22−3(図6)を用いて、時刻T5に得られる計測データの予測値d5を計算し、得られた予測値d5を判定部13に通知する(ステップS32)。
ステップS33において、時刻T5になると、センサ15は、計測処理を行うことにより、計測データD5を取得する。判定部13は、時刻T5での計測データの予測値d5から誤差範囲内に、計測データD5が入っていない(D5≠d5)と判定したとする。すると、決定部12は、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を0から1に変更する。予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数が閾値Nに達していないので、決定部12は、計測データD5を送信しないことを決定し、計測データD5を未送信データテーブル21に格納する(ステップS34)。このため、未送信データテーブル21−3(図6)は未送信データテーブル21−4に示すように更新される。決定部12は、計測データD5をデータ収集サーバ30に通知しないため、データ収集サーバ30での予測値の計算では、時刻T5の情報として予測値d5が使用されると判定する。そこで、決定部12は予測値d5と時刻T5の組み合わせを予測材料テーブル22−3に追加するので、予測材料テーブル22−4が得られる。
データ収集サーバ30の保存データ決定部32は、時刻T5での計測データを待ち合わせる期間のタイムアウトを検出する(ステップS35)。すると、保存データ決定部32は、予測値からの誤差範囲内に計測データが含まれていると判定して、予測値d5と時刻T5の組み合わせを、計測値テーブル41に追加する。このため、計測値テーブル41−3(図6)は、計測値テーブル41−4に更新される。抽出部33は、計測値テーブル41−4に新たに追加された予測値d5の情報を読み出して、予測材料テーブル42に追加する。このため、予測材料テーブル42−4が得られる。
データ収集サーバ30中の予測値計算部34は、予測材料テーブル42−4を用いて、時刻T6に得られる計測データの予測値d6を計算する(ステップS36)。計測装置10の予測値計算部14も、予測材料テーブル22−4を用いて、時刻T6に得られる計測データの予測値d6を計算する(ステップS37)。
ステップS38において、時刻T6になると、センサ15は、計測処理を行うことにより、計測データD6を取得する。判定部13は、時刻T6での計測データの予測値d6から誤差範囲内に、計測データD6が入っていない(D6≠d6)と判定したとする。すると、決定部12は、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数を1から2に変更する。すると、予測値から誤差範囲内に入っていない未送信の計測データの数が閾値Nに達するので、決定部12は、今までに得られた未送信の計測データと共に計測データD6を、データ収集サーバ30に送信することを決定する。未送信データテーブル21−4には、計測データD3〜D5が含まれているので、計測データD3〜D5と計測データD6が送信対象になる。決定部12は、計測データD3〜D6を含む送信データを生成すると共に、未送信データテーブル21を初期化する。決定部12で生成された送信データは、通信部11を介してデータ収集サーバ30に送信される(ステップS39)。
図8は、計測装置およびデータ収集サーバが保持する情報の例を説明する図である。図7のステップS39において、計測装置10からデータ収集サーバ30に送信される送信データに含まれる情報の例をR1に示す。なお、R1は一例である。例えば、送信データには、各データについての判定結果フラグは含められていなくても良い。送信データに判定結果フラグが含まれない場合、データ収集サーバ30では、計測値テーブル41の値と受信データを用いて、判定処理を行うことにより、判定結果を認識することができる。
データ収集サーバ30の保存データ決定部32は、通信部31を介して、受信データを取得する。保存データ決定部32は、通知されたデータを計測値テーブル41に記録する。このとき、既に計測値テーブル41に予測値が記録されているエントリについては、保存データ決定部32は、計測装置10から通知された計測データで予測値を置き換える。このため、計測値テーブル41−4(図7)のうち、時刻T3〜T5の予測値は、計測データD3〜D5で置き換えられる。さらに、予測値を計測データに置き換えることにより、時刻T3〜T5のデータに対応付けられた実測値フラグをYesに変更する。さらに、保存データ決定部32は、計測データD6の情報を計測値テーブル41に含めるので、計測値テーブル41−4は計測値テーブル41−5に更新される。
抽出部33は、計測値テーブル41が更新されたことから、予測値が計測データから外れ始めたと判定する。予測値が実測データから外れ始めていることから、現在の予測材料テーブル42に含まれている情報を予測に使用すると、計測データを正しく予測できるようになるまで時間がかかってしまうおそれがある。そこで、抽出部33は、予測材料テーブル42を初期化する。さらに、抽出部33は、計測値テーブル41−5から、予測値の計算に使用するデータを抽出して、初期化した後の予測材料テーブル42に記録する。このとき、抽出部33は、計測値テーブル41−5に記録されている計測データを、計測時刻が新しいものほど優先的に、閾値Nと同数だけ抽出する。図8の例では閾値Nが2であるため、抽出部33は、計測値テーブル41−5に含まれている情報のうち、時刻T5とT6の情報を、次回の予測値を求める際に用いるデータとして抽出する。このため、抽出部33は、予測材料テーブル42−5を生成する。
一方、計測装置10では、決定部12は、送信データによってデータ収集サーバ30が以後の予測に使用する予測材料テーブル42を更新することが予測されるので、予測材料テーブル42の更新に合わせて、予測材料テーブル22を更新する。従って、決定部12は、現在の予測材料テーブル22を初期化した上で、送信データに含まれている計測データのうちで、測定時刻が相対的に新しいものを、閾値Nと同数だけ予測材料テーブル22に含める。その結果、予測材料テーブル22−5が生成される。
図9は、計測値が変化した後の予測処理の例を説明する図である。図9は図8のデータが得られた後で行われる処理の例である。予測値計算部34は、予測材料テーブル42−5(図8)を用いて、時刻T7に得られる計測データの予測値d7を計算する(ステップS51)。同様に、計測装置10の予測値計算部14も、予測材料テーブル22−5(図8)を用いて、時刻T7に得られる計測データの予測値d7を計算する(ステップS52)。
ステップS53において、時刻T7になると、センサ15は、計測処理により、計測データD7を取得する。判定部13は、時刻T7での計測データの予測値d7から誤差範囲内に、計測データD7が入っているかを判定する。ステップS53では、計測データD7が計測データの予測値d7から誤差範囲内に入っている(D7≒d7)とする。すると、決定部12は、現時点では計測データD7をデータ収集サーバ30に通知しないことを決定し、計測データD7を未送信データテーブル21に格納するので、未送信データテーブル21−5が得られる。決定部12は、計測データD7をデータ収集サーバ30に通知しないため、データ収集サーバ30での予測値の計算では、時刻T7の情報として予測値d7が使用されると判定し、予測材料テーブル22−5を予測材料テーブル22−6に更新する。
データ収集サーバ30の保存データ決定部32は、時刻T7での計測データを待ち合わせる期間のタイムアウトを検出する(ステップS54)。すると、保存データ決定部32は、予測値からの誤差範囲内に計測データが含まれていると判定して、予測値d7と時刻T7の組み合わせを、計測値テーブル41に追加する。このため、計測値テーブル41−5(図8)は、計測値テーブル41−6に更新される。さらに、抽出部33は、計測値テーブル41−5に新たに追加された予測値d7の情報を、予測材料テーブル42に追加する。このため、予測材料テーブル42−6が得られる。
以後も、図5〜図9を用いて説明した処理と同様の処理が行われる。このため、予測値が計測データから外れても、予測値から外れている分のデータがデータ収集サーバ30において新たな予測値の計算に使用可能な数になるまでは、計測装置10はデータ収集サーバ30に計測データを通知しない。従って、計測装置10での消費電力が抑えられる。
図10は、計測装置10の処理の例を説明するフローチャートである。予測値計算部14は、予測材料テーブル22を用いて、次の予測値を計算する(ステップS61)。センサ15は、計測処理を行う(ステップS62)。判定部13は、予測値と計測データを比較することにより、計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれているかを判定する(ステップS63)。
計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれていない場合、決定部12は、予測が外れた回数を1つインクリメントし、予測が外れた回数が閾値N未満であるかを判定する(ステップS63でNo、ステップS64、S65)。予測が外れた回数が閾値N未満である場合、決定部12は、計測データを未送信データテーブル21に格納するとともに、計測データの送信を抑制する(ステップS65でYes、ステップS66)。さらに、決定部12は、計測データとの比較処理に使用された予測値を予測材料テーブル22に追加し、ステップS61に戻る(ステップS67)。
予測が外れた回数が閾値N以上である場合、決定部12は、計測データと未送信データテーブル21に格納されているデータを一括して、データ収集サーバ30に向けて送信する(ステップS65でNo、ステップS68)。さらに、決定部12は、予測材料テーブル22中のデータを、予測が外れたN回分のデータに置き換える(ステップS69)。さらに、決定部12は、予測が外れた回数のカウント値を0に戻し、ステップS61に戻る(ステップS70)。
一方、計測データが予測値からの誤差範囲内に含まれている場合、決定部12は、ステップS66以降の処理を行う(ステップS63でYes)。
なお、図10は処理の一例であり、実装に応じて変更され得る。例えば、ステップS69とS70の順序は互いに変更され得る。また、ステップS65では、図1を参照しながら説明したように、予測が外れた回数が閾値Nを超えたかを判定するように変更されてもよい。
図11は、データ収集サーバ30の処理の例を説明するフローチャートである。予測値計算部34は、予測材料テーブル42を用いて、次の予測値を計算する(ステップS81)。保存データ決定部32は、想定期間内に、計測装置10からの計測データの受信があったかを判定する(ステップS82)。想定期間内に、計測装置10からの計測データの受信がない場合、保存データ決定部32は、予測値を計測値テーブル41に保存する(ステップS82でNo、ステップS83)。なお、ステップS83の処理の際に、保存データ決定部32は、実測値フラグを用いることにより、格納されているデータが予測値であることも併せて計測値テーブル41に記録する。抽出部33は、計測値テーブル41に追加された予測値を、予測材料テーブル42に追加する(ステップS84)。
一方、想定期間内に、計測装置10から計測データを受信した場合、保存データ決定部32は、受信データに対応付けられたタイムスタンプが合致する予測値を、受信データ中の計測データで上書きする(ステップS82でYes、ステップS85)。なお、このとき、保存データ決定部32は、実測値フラグを変更することにより、格納されているデータが計測装置10での計測データであることも記録する。抽出部33は、更新後の計測値テーブル41のうち、計測時刻の新しい順にN個のデータを抽出して、予測材料テーブル42中のデータとする(ステップS86)。ステップS86の処理により、データ収集サーバ30が受信データを受信する前に使用していた予測値は、今後の予測には使用されなくなる。
図12は、第1の実施形態にかかるシステムと、予測が外れたときに計測値を送信するシステムとの比較例を説明する図である。ケースC11とC12は、第1の実施形態にかかるシステムでの予測値の変動を表している。一方、ケースC1とC2は、予測が外れたときに計測値を送信するシステムでの予測値の変動を表している。図12では、1つずつ送信された計測データを塗りつぶした四角(■)、一括送信の対象となった計測データを白抜きの四角(□)で示す。さらに、誤差範囲内に計測データが含まれている予測値を塗りつぶした丸(●)、誤差範囲内に計測データが含まれていない予測値を×印(×)で表わす。いずれのケースにおいても、時刻T1〜T4までは、計測データが予測値から誤差範囲の間に含まれているとする。このため、いずれのシステムでも、時刻T1およびT2の計測データと、時刻T3およびT4の予測値を用いて、時刻T5の計測データを予測する。
予測が外れたときに計測値を送信するシステムでは、ケースC1のAに示す時刻T1〜T4の情報が、時刻T5での予測値の計算に使用される。ケースC1では、時刻T5において、計測データが予測値から誤差範囲の間に含まれていない。このため、センサを含む装置は、矢印Tr1に示すように、計測データをサーバに送信する。すると、時刻T6での予測値の予想には、時刻T2の実測値、時刻T3およびT4での予測値、時刻T5の実測値が使用される。この場合、時刻T5でデータの傾向に変化が出たにも関わらず、データに変化が発生する前に計測された時刻T2の値や時刻T3〜T4の予測値を用いて予測しているので、ケースC2に示すように、時刻T6での予測値も計測データから外れている。そこで、センサを含む装置は、矢印Tr2に示すように、計測データをサーバに送信する。時刻T7での予測値の計算には、ケースC2のBに示すように、時刻T3およびT4での予測値、時刻T5およびT6での実測値が使用される。時刻T7のデータの予測の際にも、データに変化が発生する前の傾向に合致している時刻T3〜T4の予測値を用いて予測しているので、ケースC2に示すように、時刻T7での予測値も計測データから外れる。そこで、センサを含む装置は、矢印Tr3に示すように、時刻T7の計測処理の後にも、計測データをサーバに送信する。
第1の実施形態にかかるシステムでは、ケースC11の予測材料テーブル42の点線の四角に示すように、時刻T1〜T4の情報が、時刻T5での予測値の計算に使用される。ケースC11でも、時刻T5において、計測データが予測値から誤差範囲の間に含まれていない。しかし、予測に合致しないデータの数が閾値に達しないので、計測装置10は、データ収集サーバ30への計測データの通知を抑制する。その後、予測に合致しないデータの数が閾値に達すると、計測データが計測装置10からデータ収集サーバ30に一括で送信される(矢印Tr11)。このため、時刻T6の測定処理後に、時刻T3〜T6で得られた計測データがデータ収集サーバ30に通知される。さらに、計測装置10とデータ収集サーバ30は、データの傾向の変化が始まった時刻T5以降の情報を、次回の予測に使用する。従って、時刻T7での計測データの予測には、ケースC12に示すように、時刻T5の計測データと時刻T6の計測データが使用されるが、傾向が変化する前の時刻T1〜T4の計測データは使用されない。このため、時刻T7での予測値からの誤差範囲に時刻T7での計測データが含まれる。
このように、第1の実施形態にかかるシステムでは、データの傾向が変化する前の情報を用いずに計測データの予測が行われるため、データの時間変化の傾向に変化が発生した場合にも、早い段階で正しい予測値を計算することができ、予測精度が高い。さらに、第1の実施形態にかかるシステムでは、計測装置10とデータ収集サーバ30の間の通信を削減することもできている。例えば、予測が外れたときに計測値を送信するシステムでは、センサが時刻T5〜T7の全てでの計測データをサーバに送信している。一方、第1の実施形態にかかるシステムでは、計測装置10とデータ収集サーバ30の間の通信は、矢印Tr11に示す1回である。
さらに、第1の実施形態にかかるシステムでは、データの傾向が変化すると、データの傾向が変化する前に蓄積された計測データも、計測装置10からデータ収集サーバ30に送信される。このため、データ収集サーバ30は、予測が正しかったかどうかにかかわらず、計測時刻の全てについて実測値を取得することができる。
〔シミュレーション結果〕
次に、図13と図14を参照しながらシミュレーション結果の例を説明する。図13と図14は、いずれも、水位センサを用いて、河川の水位の変動の計測を行う場合のシミュレーション結果である。なお、図13と図14のシミュレーションでは、いずれのシステムでも、4つ以上のデータを用いて予測値を計算するが、予測値の計算には、5つまでのデータが使用されるとする。すなわち、6回以上前の計測値は予測値の計算には使用されない。
図13は、第1の実施形態にかかるシステムとの比較対象のシステムでのシミュレーションの結果であり、予測が外れたときに計測値を送信するシステムでの予測値と保持されるデータの例を説明する図である。図13において、回数は計測回数を表し、実測値はセンサで計測された計測データである。予測値は、予測が外れたときに計測値を送信するシステムにおいて、センサを備える装置とサーバとの両方で予測される値である。送信の欄は、その測定で得られた計測データのサーバ側への送信が行われるかを示す。送信の欄に「有」と記載されている回では、計測データがサーバに送信され、送信の欄が空欄の回では、計測データはサーバに送信されない。記録−1〜記録−5は、予測値の計算に使用されている値である。「記録」の文字列とハイフンの後に続けて示される数字は、そのデータがエントリの回よりも何回前の計測に関する値であるかを示す。例えば、5回目の情報のエントリにおいての記録−1は、4回目の計測に関するデータであることを示し、5回目の情報のエントリにおいての記録−2は、4回目の計測に関するデータであることを示す。なお、図13のシステムでは、各回の記録−1〜記録−5に含まれている値は、センサ側からサーバ側に計測データが送信される場合は計測データであり、センサ側からサーバ側に計測データが送信されていない場合は予測値である。図13では、分かりやすくするために、予測値を通常のフォントで示し、計測データを太字で示す。
予測が外れたときに計測値を送信するシステムでは、予測に使用される数のデータが得られる前でも、センサ側からサーバ側に毎回、計測データを送信する。このため、1回目〜4回目の計測結果はセンサ側からサーバ側に送信される。1回目〜4回目の計測データを用いて5回目の計測の予測値が求められるが、5回目の計測では、計測データが予測値の範囲に入っているとする。すると、センサ側からサーバ側に計測データが送信されない。このため、6回目の計測の予測値は、1回目〜4回目の計測データと5回目の計測に対する予測値を用いて求められる。6回目の計測でも、計測データが予測値の範囲に入っているとする。すると、6回目の計測の際も、センサ側からサーバ側に計測データが送信されない。このため、7回目の計測の予測値は、2回目〜4回目の計測データと5回目〜6回目の計測に対する予測値を用いて求められる。7回目の計測でも、計測データが予測値の範囲に入っているとする。すると、7回目の計測では、センサ側からサーバ側に計測データが送信されない。このため、8回目の計測の予測値は、3回目〜4回目の計測データと5回目〜7回目の計測に対する予測値を用いて求められる。
8回目の計測では、計測データが予測値の範囲に入っていないとする。すると、8回目の計測で得られた計測データは、センサ側からサーバ側に送信される。このため、9回目の計測の予測値は、4回目の計測データ、5回目〜7回目の計測に対する予測値、および、8回目の計測データを用いて求められる。この場合、計測データの傾向が変化する前に求められた5回目〜7回目の計測に対する予測値や4回目の計測データも9回目の計測に対する予測に使用されてしまう。そこで、9回目の計測でも、計測データが予測値の範囲に入っていないとする。すると、9回目の計測で得られた計測データも、センサ側からサーバ側に送信される。このため、10回目の計測の予測値は、5回目〜7回目の計測に対する予測値と、8回目〜9回目の計測データを用いて求められる。10回目の計測でも、計測データが予測値の範囲に入っていない場合、同様に、センサ側からサーバ側に計測データが送信される。その結果、11回目での計測に使用されるデータでは、予測値と計測データが誤差範囲内で合致したので、計測データの送信が行われない。しかし、12回目の計測で予測値と計測データが誤差範囲内で合致しなくなると、再度、計測データの送信が行われる。
従って、図13に示すシステムでは、12回の計測の際に、センサ側からサーバ側に計測データが8回送信されることになる。特に、計測データの傾向が変化してからは、頻繁にセンサからサーバへの計測データの通知が行われる。しかも、8回目〜10回目の太線で示すように、計測データが予測値とずれ出しても計測データの送信を繰り返すことにより、少しずつ予測値を計測データの変化に合わせていくので、正しい予測が得られるまでに行われる送信の回数が大きくなる。さらに、計測データの送信が再開されてから、正しい予測が得られるまでにかかる時間も長い。
図14は、第1の実施形態にかかるシステムでの予測値の例を説明する図である。図14では、図13とは異なり、各回の測定に対応付けて、その回の予測値の計算で使用される予測材料テーブル(22、42)の値を示している。図14の例でも、4つ以上のデータが予測に使用され、予測に使用されるデータ数は5個までであるとする。また、予測材料テーブル(22、42)中の値のうち、予測値を通常のフォントで示し、計測データを太字で示す。なお、図14に示す予測値は、計測装置10とデータ収集サーバ30で計算される予測値である。
第1の実施形態にかかるシステムでは、予測に使用される数のデータが得られるまでは、計測装置10からデータ収集サーバ30に、計測データを送信しない。このため、1回目〜3回目の計測の際には計測データが計測装置10からデータ収集サーバ30に送信されず、4回目の計測の際に、1回目〜4回目の計測データがまとめてデータ収集サーバ30に送信される。5回目の計測では、1回目〜4回目の計測データを用いて計算された予測値からの誤差範囲内に計測データが入っているとする。すると、計測装置10はデータ収集サーバ30に計測データを送信しない。このため、6回目の計測の予測値は、1回目〜4回目の計測データと5回目の計測に対する予測値を用いて求められる。6回目の測定から8回目の測定結果の予測に対する処理は、図14でのシミュレーション結果も、図13でのシミュレーション結果と同様である。
図14でも、図13と同様に、8回目〜10回目では計測データが予測値の範囲に入っていないとする。この場合、第1の実施形態では、計測装置10は、予測に使用される数と同数だけ、予測値の範囲に含まれないデータが得られるまでは、データ収集サーバ30に計測データを送信しない。このため、8回目〜10回目では計測データが予測値の範囲に入っていなくても計測データの送信は抑制される。従って、点線で示す予測値は、計測データとのずれがあっても予測材料テーブルに含まれている。11回目で計測データが予測値の範囲に入っていないと、計測データが予測値から誤差範囲に入っていない回数が予測値の計算に使用されるデータ数と同じになるので、計測装置10は、8回目〜11回目の計測データをまとめてデータ収集サーバ30に送信する。従って、太線で示す予測値を用いた予測結果と計測データの比較後に、8回目〜11回目の計測データが一括してデータ収集サーバ30に送信される。
計測データの送信が行われると、データ収集サーバ30では、まとめて送られたデータのうち、相対的に測定時刻の新しいデータを予測に使用される数だけ選択して、以後の予測値が求められる。このため、12回目の測定値の予測では、8回目〜11回目の計測データは使用されるが、データの傾向の変更が発生する前の7回目の計測データは使用されない。このため、12回目での計測に使用されるデータでは、予測値と計測データが誤差範囲内で合致する。
このように、第1の実施形態にかかるシステムでは、12回の計測の際に、計測装置10からデータ収集サーバ30への計測データの送信は2回で済む。さらに、計測データが予測値とずれ出しても、予測に使用される数のデータが得られてから計測データを一括送信しているので、送信処理の効率が良い。さらに、計測データの傾向の変化が始まった時点以降のデータを用いて以後のデータを予測するので、計測データがデータ収集サーバ30に送信されてから、正しい予測が得られるまでにかかる時間も、図13のシステムより短くて済む。従って、第1の実施形態にかかるシステムでは、計測装置10での消費電力を抑えつつ、計測データの更新に即した予測値を計算することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、計測データが予測値から所定値以上大きく外れた場合は、計測データをデータ収集サーバ30に通知するように設定する場合の例を説明する。例えば、河川の水位が急激に増加した場合には、津波や越水が発生する恐れがある。このような場合、データ収集サーバ30側に計測データを早く知らせることが望ましい。
図15は、第2の実施形態にかかる計測装置の処理の例を説明するフローチャートである。ステップS91〜S93の処理は、図10を参照しながら説明した処理と同様である。決定部12は、計測データと予測値との差が所定値以下であるかを判定する(ステップS94)。ステップS94において、所定値は、実装に応じて設定される。例えば、所定の値は、重大な災害や異常事態の発生が想定されない計測値の上限と平均的な計測データとの差に設定されてもよい。また、所定値は、計測データの80%など、計測データの値を基準に決定されても良い。さらに、所定値は、誤差範囲の2倍など、誤差範囲を基準に求められても良い。決定部12は、計測データと予測値との差が所定値を超えたと判定すると、計測データをデータ収集サーバ30に送信する(ステップS94でNo、ステップS95)。ステップS96〜S102の処理は、図10を参照しながら説明したステップS64〜S70の処理と同様である。
第2の実施形態にかかるシステムは、第1の実施形態にかかるシステムで得られる利点と同じ利点を有しつつ、計測データの値の変動から災害や異常事態が予測される場合、いち早くデータ収集サーバ30でこれらの事態を特定できるという利点も有している。
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、計測データの値に応じて誤差範囲を変更することが可能なシステムの例を説明する。以下、水位センサを用いて河川や水道管の水位が計測される場合を例とするが、計測の対象などに応じて、誤差範囲の設定は任意に変更され得る。
図16は、誤差範囲の変更に使用されるテーブルの例を説明する図である。図16のDは、河川の水位の計測に使用されるシステムでの誤差範囲の変更に使用されるテーブルの例である。例えば、監視対象の河川の水位の上限は2.5mであり、水位が2m以上になると越水に対する警戒を行うとする。一方、水位が1m以上では、水位の変動に注意するが越水に対する警戒の対象にはならないとする。さらに、水位が1m以下の場合は、この河川での状況は特に注意する対象にならないとする。すると、水位が1m未満であるときの誤差範囲は、水位が1m以上になっているときに適用する誤差範囲よりも大きく設定される。同様に、水位が1m以上かつ2m未満であるときの誤差範囲は、水位が2m以上になっているときに適用する誤差範囲よりも大きく設定される。図16のDの場合、水位が1m未満の場合の誤差範囲は0.1mであり、水位が1m以上かつ2m未満であるときの誤差範囲は0.07mである。さらに、水位が2m以上になっているときに適用する誤差範囲は0.03mである。
計測装置10中の判定部13は、図16のDに示すテーブルを保持しているとする。判定部13は、センサ15から得られた計測データの値が含まれているエントリを図16のDのテーブルから選択する。判定部13は、予測値を基準として、選択したエントリ中の誤差範囲の中に、センサ15で得られた計測データが、含まれているかを判定する。計測データが予測値から誤差範囲に含まれている場合、計測装置10は、データ収集サーバ30に計測データを通知しない。一方、計測データが予測値から誤差範囲に含まれていないデータが連続して所定の閾値以上の回数だけ得られると、計測装置10は、得られた計測データをデータ収集サーバ30に通知する。
図16のEは、筒状の水道管の水位の計測に使用されるシステムでの誤差範囲の変更に使用されるテーブルの例である。筒状の水道管の場合、水道管の下方と上方は狭いので、水位の変動が激しいが、水位が水道管の半径付近である場合は、水位の変動が大きくならないことが想定される。すると、半径が1.2m程度の水道管の場合、例えば、水位が0.3m未満であるときの誤差範囲は、水位が0.3m〜1mのときの誤差範囲よりも小さく設定される。同様に、水位0.3m以上かつ1m未満であるときの誤差範囲は、水位が1m以上になっているときに適用される誤差範囲よりも大きく設定される。図16のEの場合、水位が0.3m未満の場合の誤差範囲は0.05mであり、水位が0.3m以上かつ1m未満であるときの誤差範囲は0.10mである。さらに、水位が1m以上になっているとき誤差範囲は0.05mである。なお、Eに示すテーブルも、Dのテーブルと同様に計測装置10で使用される。
このように、計測データに応じて誤差範囲を変更することにより、警戒を行う場合には、計測データの測定対象が警戒対象ではない場合よりも細かく監視することができる。さらに、図16のDとEに示すように、予測されるデータの変動の傾向や警戒される領域などに応じて、異なる誤差範囲を設定することもできる。
<第4の実施形態>
非線形の変動を繰り返す計測では、過去の変動の推移を予測に利用しやすいことがある。例えば、満ち潮のときの海面の変化は過去の変動と似ている傾向がある。また、河川の上流で雨が降った場合の河川の水量の変化等も、過去の変動と同様の傾向を示すことがある。なお、過去の計測データの推移が使用可能なシステムでの計測対象は水位の変化に限られず、気温や湿度等の他の情報であっても良い。過去の計測データの推移が使用可能なケースでは、計測データの推移モデルを予め生成しておき、計測装置10やデータ収集サーバ30が推移モデルデータベースを記憶することにより過去のデータを予測に使用できる。
図17は、第4の実施形態にかかるシステムの例を説明する図である。第4の実施形態では、計測装置50とデータ収集サーバ60が用いられる。計測装置50は、通信部11、決定部12、判定部13、予測値計算部14、センサ15、記憶部51、選択部53を備える。記憶部51は、推移モデルDB52を備え、さらに、未送信データテーブル21と予測材料テーブル22も格納している。推移モデルDB52は、そのシステムで計測された過去の計測データの変化のモデルである。各推移モデルには、モデル番号とそのモデルでの時刻ごとの計測データが記録されている。
選択部53は、過去の計測データの変化を表す推移モデルと予測結果やセンサ15での計測結果を用いて、現在の状況に近い推移モデルを選択する。さらに、選択部53は、選択したモデルを現在の計測データの傾向に合わせる場合に使用する時間軸の差分(オフセット値)を求める。選択部53は、例えば、モデル番号No.1の推移モデルの時刻情報を、5時間遅くすると、現在の計測データの変動に近いなどと判定する。選択部53は、選択したモデル番号とオフセット時間を、通信部11を介して、データ収集サーバ60に送信する。さらに、選択部53は、選択したモデル番号とオフセット時間を予測値計算部14にも通知する。このため、計測装置55での以後の予測値は、選択部53が選択したモデル番号とオフセット時間を用いて求められる。
一方、データ収集サーバ60は、通信部31、保存データ決定部32、抽出部33、予測値計算部34、記憶部61を有する。記憶部61は、推移モデルDB62を備え、計測値テーブル41と予測材料テーブル42も備える。推移モデルDB62は、データ収集サーバ30が有する推移モデルDB52と同様のデータベースである。
通信部31は、計測装置55から、選択したモデル番号とオフセット時間を含むパケットを受信すると、予測値計算部34にこれらの情報を通知する。すると、予測値計算部34は、通知された情報と推移モデルDB62を用いて予測値を計算する。
第4の実施形態においても、予測に推移モデルが使用される以外は、第1〜第3の実施形態と同様の処理が行われる。このため、推移モデルを用いて予測される予測値から計測データが誤差範囲内にある場合や、誤差範囲から外れた計測データの数が所定値に達するまでの間は、計測装置50からデータ収集サーバ60への通信が抑制される。なお、計測装置50とデータ収集サーバ60のいずれも推移モデルを使用することにより、予測の計算を簡略化することができる上、予測精度を高めることができる。
図18は、第4の実施形態にかかるシステムの変形例を説明する図である。図18のシステムでは、予測に用いられる推移モデルはデータ収集サーバ65で選択される。図18に示すシステムでは、計測装置55とデータ収集サーバ65が用いられる。計測装置55は、通信部11、決定部12、判定部13、予測値計算部14、センサ15、記憶部51を備える。
一方、データ収集サーバ65は、通信部31、保存データ決定部32、抽出部33、予測値計算部34、記憶部61、取得部66、選択部67を有する。取得部66は、ネットワーク中の気象情報サーバなどの他の装置(図示せず)から、天気予報情報などを取得する。変形例で用いられる推移モデルDB62は、モデル番号とそのモデルでの時刻ごとの計測データが、そのモデルが得られた気象条件などと対応付けているものとする。例えば、推移モデルDB62は、河川の上流で集中豪雨が発生したという条件と、その条件で得られた水位の変化を対応付けて保持している。選択部67は、過去の計測データの変化を表す推移モデルの中から、取得部66が取得した条件と似た状況で得られた推移モデルを選択する。
選択部67は、過去の計測データの変化を表す推移モデルと計測値テーブル41に記録されている計測データを用いて、現在の状況に近い推移モデルを選択する。さらに、選択部67は、選択したモデルに現在の計測データを合わせる場合に使用する時間軸の差分(オフセット値)を求める。選択部67は、例えば、モデル番号No.3の推移モデルの時刻情報を、2時間遅くすると、現在の計測データの変動に近いなどと判定する。選択部67は、選択したモデル番号とオフセット時間を、通信部31を介して、計測装置55に送信する。なお、計測装置55への通知は、計測装置55からの計測データの通知に対する応答に含めて送信されてもよい。
計測装置55の通信部11は、データ収集サーバ65から、選択したモデル番号とオフセット時間を含むパケットを受信すると、予測値計算部14にこれらの情報を通知する。すると、予測値計算部14は、通知された情報と推移モデルDB52を用いて、予測値を計算する。
図18に示すように変形した場合、予測モデルの選択はデータ収集サーバ65で行われるので、計測装置55では予測モデルを選択しない。従って、変形例では、図17のシステムに比べて計測装置55での処理負荷が低くなっている。
<その他>
なお、実施形態は上記に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
計測装置(10、50、55)において、計測データが周期的に得られる場合、データ収集サーバ(30、60、65)への送信データ中のタイムスタンプは一部省略してもよい。例えば、先頭のデータの計測時刻と計測周期の組み合わせと、計測データを時系列に並べたデータ群がデータ収集サーバに通知されてもよい。
計測装置(10、50、55)において、連続して所定回数と同数回だけ予測が外れていない場合は、外れた回数のカウンタを0に戻すように変形されても良い。すると、突発的に1回だけセンサ15で異常値が計測された場合を、予測値から外れた計測データが得られた測定としてカウントすることを防止できる。
システム中に可視化サーバが含まれていても良い。可視化サーバは、管理サーバが保持する計測値テーブル中の情報を用いて、得られたデータのグラフ化などを行う。なお、異常値が含まれている計測結果がデータ収集サーバ30で得られたとしても、異常値の前後に正常な値が含まれている場合、可視化サーバは、欠落しているデータの推定値を求めて、グラフに含めても良い。この場合、可視化サーバでは、データの推定値であることが分かるように、計測データや予測値とは異なる記号などを用いて推定値を表示するものとする。
計測装置(10、50、55)は、計測に失敗したときに、計測が失敗していることを通知するために異常値を含めてデータ収集サーバ(30、60、65)に通知してもよい。
いずれの実施形態においても、計測データが予測値の範囲に入り続けていたとしても、所定期間ごとに、計測装置(10、50、55)からデータ収集サーバ(30、60、65)に、複数の計測データを一括送信するように変形されても良い。このように変形すると、計測データが予測値の範囲に入り続けていても、所定期間ごとに、データ収集サーバ30に計測データが通知されるので、例えば、可視化サーバなどで計測データと予測値をグラフ化する場合などに、所定期間ごとに、計測データの推移を表示できる。
上述の第1〜第4の実施形態を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
センサを用いた計測処理を行う計測装置と、
前記計測装置から前記計測処理の結果を受信する情報処理装置
を備え、
前記計測装置は、
前記計測処理によって得られた計測データが、当該計測データが得られるまでに行った計測処理の結果を用いて予測される予測値からの誤差範囲内に入らない場合、当該計測データの前記情報処理装置への送信を、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが所定数得られるまで遅延させ、
前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが前記所定数に達すると、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データの全てを前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする通信システム。
(付記2)
前記計測装置は、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データの各々を各計測データの測定時刻とともに前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記所定数以上の計測データを受信すると、前記予測値の計算に使用中のデータを前記予測値の計算に使用するデータから除外し、
前記計測装置から受信した計測データのうち計測時刻が相対的に新しい計測データを前記所定数と同数選択するとともに、選択した計測データを、次回の計測データに対する予測値の計算に使用する
ことを特徴とする付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記計測装置は、前記予測値からの誤差範囲内に入らず、かつ、前記予測値との間の差分が、予め設定された閾値を超えている計測データを、次回の計測処理の結果を待たずに前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする付記1または2に記載の通信システム。
(付記4)
前記計測装置は、
前記計測処理により得られる計測データの値に対応付けて前記誤差範囲を記憶する記憶部を備え、
前記計測データの値に応じて、前記予測値との比較に使用する誤差範囲を前記記憶部中の情報から選択する
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記5)
前記情報処理装置と前記計測装置の各々は、過去に発生した天候状況に対応付けて過去に測定された計測データの推移モデルを記録した推移モデルデータベースを備え、
前記情報処理装置は、
前記現在の天候状況を他のサーバから取得するとともに、取得した天候状況に合致した推移モデルを前記推移モデルデータベースから選択し、
前記計測装置に選択した推移モデルを通知し、
前記計測装置は、前記情報処理装置から通知された推移モデルを用いて求めた予測値の誤差範囲内に、前記計測処理によって得られた計測データが含まれているかを判定する
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記6)
計測処理に使用するセンサと、
前記計測処理の結果の通知先の情報処理装置と通信する通信部と、
前記計測処理によって得られた計測データが、当該計測データが得られるまでに行った計測処理の結果を用いて予測される予測値からの誤差範囲内に入らない場合、当該計測データの前記情報処理装置への送信を、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが所定数得られるまで遅延させることを決定する決定部
を備え、
前記通信部は、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが前記所定数に達すると、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データの全てを前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする計測装置。
(付記7)
前記予測値を計算する計算部と、
前記センサで得られた計測データと過去の予測値のうちで前記予測値の計算に用いるデータを記憶する記憶部
をさらに備え、
前記決定部は、前記所定数以上の計測データを前記通信部から前記情報処理装置に送信すると、前記予測値の計算に使用中のデータを前記予測値の計算に使用するデータから除外し、
前記計算部は、計測時刻が相対的に新しい計測データを前記所定数と同数選択するとともに、選択した計測データを、次回の計測データに対する予測値の計算に使用する
ことを特徴とする付記6に記載の計測装置。
(付記8)
前記決定部は、前記予測値からの誤差範囲内に入らず、かつ、前記予測値との間の差分が、予め設定された閾値を超えている計測データを、次回の計測処理の結果を待たずに前記情報処理装置に送信することを決定する
ことを特徴とする付記6または7に記載の計測装置。
(付記9)
前記計測処理により得られた計測データが前記予測値との比較に使用する誤差範囲に含まれているかを判定する判定部をさらに備え、
前記記憶部は、前記計測処理により得られる計測データの値に対応付けて、前記誤差範囲を記憶し、
前記判定部は、前記計測データの値に応じて、前記予測値との比較に使用する誤差範囲を前記記憶部中の情報から選択する
ことを特徴とする付記6〜8のいずれか1項に記載の計測装置。
(付記10)
センサを用いた計測処理を行い、
前記計測処理によって得られた計測データが、当該計測データが得られるまでに行った計測処理の結果を用いて予測される予測値からの誤差範囲内に入らない場合、当該計測データの通知先である情報処理装置への当該計測データの送信を、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが所定数得られるまで遅延させ、
前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データが前記所定数に達すると、前記予測値からの誤差範囲内に入らない計測データの全てを前記情報処理装置に送信する
処理を、計測装置が行うことを特徴とする通信方法。
(付記11)
前記所定数以上の計測データを前記情報処理装置に送信すると、前記予測値の計算に使用中のデータを、次回の予測値の計算に使用するデータから除外し、
計測時刻が相対的に新しい計測データを前記所定数と同数選択するとともに、選択した計測データを、次回の計測データに対する予測値の計算に使用する
処理を前記計測装置が行うことを特徴とする付記10に記載の通信方法。
(付記12)
前記計測装置は、前記予測値からの誤差範囲内に入らず、かつ、前記予測値との間の差分が、予め設定された閾値を超えている計測データを、次回の計測処理の結果を待たずに前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする付記10または11に記載の通信方法。
(付記13)
前記計測装置は、
前記計測処理により得られる計測データの値に対応付けて前記誤差範囲を記憶し、
前記計測データの値に応じて、前記予測値との比較に使用する誤差範囲を選択する
ことを特徴とする付記10〜12のいずれか1項に記載の通信方法。
(付記14)
前記情報処理装置と前記計測装置の各々は、過去に発生した天候状況に対応付けて過去に測定された計測データの推移モデルを記録した推移モデルデータベースを備えており、
前記情報処理装置は、
前記現在の天候状況を他のサーバから取得するとともに、取得した天候状況に合致した推移パターンを前記推移モデルデータベースから選択し、
前記計測装置に選択した推移モデルを通知し、
前記計測装置は、前記情報処理装置から通知された推移モデルを用いて求めた予測値の誤差範囲内に、前記計測処理によって得られた計測データが含まれているかを判定する
ことを特徴とする付記10〜13のいずれか1項に記載の通信方法。