JP2018058642A - 樹脂被膜付容器製造方法および樹脂被膜付容器 - Google Patents

樹脂被膜付容器製造方法および樹脂被膜付容器 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸加飾を伴う容器を製造するのに適した樹脂被膜付容器製造方法、および、凹凸加飾を伴う容器を実現するのに適した樹脂被膜付容器を、提供する。【解決手段】本発明の樹脂被膜付容器製造方法は、熱収縮性樹脂フィルムの筒状体を容器本体10に被嵌させた状態で加熱して、容器本体10の表面の少なくとも一部を被覆する樹脂被膜30を形成する工程を含む。樹脂被膜30は、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aを含む。樹脂被膜30を形成するための熱収縮性樹脂フィルム20は、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む積層構造を有する。本発明の樹脂被膜付容器(容器X1)は、容器本体10と、その表面の少なくとも一部を被覆し且つ凹凸模様領域30Aを含む樹脂被膜30とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾を伴う容器およびその製造方法に関する。
従来、例えば飲料用のプラスチック製容器や金属製容器などに対して加飾を施すための手段として、いわゆるシュリンクラベルが利用される場合がある。シュリンクラベルは、熱収縮性の樹脂フィルムである、いわゆるシュリンクフィルムに所定の加飾用印刷層や各種表示用印刷層が設けられたものである。このようなシュリンクラベルについては、筒状体へと加工した後、当該筒状シュリンクラベルを容器本体に被嵌した状態で熱収縮させて、当該容器本体に装着することができる。熱収縮を経て容器本体に装着されたシュリンクラベルにおいては、その熱収縮前に加飾用印刷層が形成されていた領域に由来する印刷加飾領域が生じるところ、これによって容器本体に所定の印刷加飾が施されることとなる。
一方、金属製容器に凹凸加飾を施すための手段としては、エンボス加工が知られている。また、凹凸加飾を伴うガラス製容器を得るには、ガラス製容器を成形するための金型として、ガラス製容器表面に凹凸加飾を施すための表面凹凸形状を伴うものを使用する必要がある。容器への凹凸加飾技術については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開2008−126264号公報 特開2010−260764号公報 特開2012−51581号公報
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、凹凸加飾を伴う容器を製造するのに適した樹脂被膜付容器製造方法を提供すること、および、凹凸加飾を伴う容器を実現するのに適した樹脂被膜付容器を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面によると、樹脂被膜付容器の製造方法が提供される。この樹脂被膜付容器製造方法は、熱収縮性樹脂フィルムの筒状体を当該筒状体が容器本体に被嵌された状態で加熱する工程(加熱処理工程)を含む。本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。主成分とは、含有成分中で最も大きな質量割合を占める成分とする。熱収縮性樹脂フィルムは、好ましくは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する二つの第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有して当該第1樹脂層の間に位置する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。熱収縮性樹脂フィルム中に複数の第1樹脂層が存在する場合、これら第1樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。熱収縮性樹脂フィルム中に複数の第2樹脂層が存在する場合、これら第2樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。熱収縮性樹脂フィルムにおいて良好な熱収縮性を確保するという観点からは、熱収縮性樹脂フィルムの表面層は第1樹脂層(主成分は芳香族ポリエステル系樹脂)がなすのが好ましい。また、熱収縮性樹脂フィルムが相当程度に高温での加熱処理工程を経る過程で第1および第2樹脂層の間の剥離を抑制するという観点からは、好ましくは、熱収縮性樹脂フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層の間に介在する接着層を含む積層構造を有する。本発明におけるこれら第1樹脂層、第2樹脂層、および接着層は、積層化された樹脂フィルムの層である。そして、本製造方法の加熱処理工程では、容器本体に被嵌された状態にある熱収縮性樹脂フィルムの筒状体を加熱することにより、当該熱収縮性樹脂フィルムから、容器本体の表面の少なくとも一部を被覆する樹脂被膜であって、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む樹脂被膜を、形成する。
本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルムは、上述のように、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む積層構造を有する。すなわち、本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む異種積層フィルムである。このような構成の異種積層フィルムの筒状体が容器本体に被嵌された状態で当該樹脂フィルムを加熱すると、適当な加熱条件の下において、当該樹脂フィルムが熱収縮して容器本体の形状に追従することとなるうえに、当該樹脂フィルムから、上述の凹凸模様を露出面側(即ち、容器本体側とは反対の側)に有する凹凸模様領域を含む樹脂被膜を形成可能であることを、本発明者らは見出した。例えば後記の実施例をもって示すとおりである。当該樹脂被膜は、熱収縮性樹脂フィルムが一旦溶融して形成されるものであり、上述の第1および第2樹脂層を積層構造中に含む熱収縮性樹脂フィルムにおける樹脂成分が、当該フィルムに由来する溶融状態の被膜において表面凹凸を発生・成長させて凹凸模様を形成することとなる。形成される樹脂被膜における凹凸模様、即ち、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様については、熱収縮性樹脂フィルム中の第1樹脂層(主成分は芳香族ポリエステル系樹脂)と第2樹脂層(主成分はポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂)の間の、熱的特性上の諸々の差異や、水分等の揮発性成分の含有量の差の、総合的な寄与ないし兼ね合いの結果として溶融被膜にて生ずる、フィルムの樹脂成分の特異的な溶融混在化傾向に、主に起因して形成されるものであると考えられる。
本製造方法ないしその加熱処理工程では、上述のように、容器本体の表面の少なくとも一部を被覆して凹凸模様領域を含む樹脂被膜が、熱収縮性樹脂フィルムから形成される。樹脂被膜における凹凸模様は、凸条部が複数の凹部を区画している凹凸形状を有するところ、このような凹凸模様については、例えば、凸条部のなす網目模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現や、区画された複数の凹部のなす模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現として、利用することが可能である。
以上のように、本発明の第1の側面に係る樹脂被膜付容器製造方法は、凹凸加飾を伴う容器を製造するのに適するのである。
本発明の第1の側面において、好ましくは、加熱処理工程では、容器本体の表面の少なくとも一部を被覆して当該表面に接合一体化し、且つ、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む、樹脂被膜を形成する。本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む異種積層フィルムであるところ、このような構成の異種積層フィルムの筒状体が容器本体に被嵌された状態で当該樹脂フィルムを加熱すると、適当な加熱条件の下において、当該樹脂フィルムが熱収縮して容器本体の形状に追従することとなるうえに、当該樹脂フィルムから、容器本体の表面に接合一体化しつつ上述の凹凸模様を露出面側に有する凹凸模様領域を含む樹脂被膜を形成可能であることも、本発明者らは見出した。例えば後記の実施例をもって示すとおりである。凹凸模様領域を有する樹脂被膜が容器本体の表面に接合一体化しているという構成は、製造される樹脂被膜付容器における凹凸模様による凹凸加飾の剥離劣化を抑制するうえで、好適である。なお、本明細書において、「接合一体化」とは、凹凸模様領域を有する樹脂被膜が、装着された容器本体から剥離困難な程度に密着している状態をいい、容器本体に接合一体化した樹脂被膜は、熱収縮性樹脂フィルムが溶融した後冷却により容器本体に密着形成される。
本発明の第2の側面によると、樹脂被膜付容器が提供される。この樹脂被膜付容器は、容器本体と、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜とを備える。樹脂被膜は、容器本体の表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む。熱収縮性樹脂フィルムは、好ましくは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。熱収縮性樹脂フィルムは、より好ましくは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する二つの第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有して当該第1樹脂層の間に位置する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。熱収縮性樹脂フィルム中に複数の第1樹脂層が存在する場合、これら第1樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。熱収縮性樹脂フィルム中に複数の第2樹脂層が存在する場合、これら第2樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。
本樹脂被膜付容器において、樹脂被膜における凹凸模様は、凸条部が複数の凹部を区画している凹凸形状を有するところ、このような凹凸模様については、例えば、凸条部のなす網目模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現や、区画された複数の凹部のなす模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現として、利用することが可能である。したがって、本発明の第2の側面に係る樹脂被膜付容器は、凹凸加飾を伴う容器を実現するのに適する。このような樹脂被膜付容器は、本発明の第1の側面に係る上述の樹脂被膜付容器製造方法によって製造することが可能である。また、このような樹脂被膜付容器は、例えば、ソフトドリンク用容器、アルコール飲料用容器、調味料などの食品用の容器、医薬品容器、および、洗剤やスプレー等の化学製品の容器に、適用可能である。
本発明の第2の側面において、好ましくは、樹脂被膜は、容器本体の表面に接合一体化している。凹凸模様領域を有する樹脂被膜が容器本体の表面に接合一体化しているという構成は、本樹脂被膜付容器における凹凸模様による凹凸加飾の剥離劣化を抑制するうえで、好適である。
本発明の第2の側面において、熱収縮性樹脂フィルムが第1および第2樹脂層を含む積層構造を有する場合、当該熱収縮性樹脂フィルムは、好ましくは、第1樹脂層と第2樹脂層の間に介在する接着層を含む積層構造を有する。このような構成は、熱収縮性樹脂フィルムが相当程度に高温での加熱処理工程を経て本樹脂被膜付容器が製造される過程で第1および第2樹脂層の間の剥離を抑制するうえで、好適である。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、凹凸模様領域における凸条部の、樹脂被膜の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合は、当該凹凸模様領域における凹部の、樹脂被膜の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合よりも大きい。このような構成は、凹部を基準面として凸条部が充分な突出長さを有する良好な凹凸模様を形成するという観点から、好ましい。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、樹脂被膜は、凹凸模様を有しない印刷領域を含む。上述の熱収縮性樹脂フィルムが、印刷層(例えば、加飾用印刷層や各種表示用印刷層)を含む積層構造の印刷層形成領域を部分的に有する場合には、当該熱収縮性樹脂フィルムから形成される樹脂被膜は、熱収縮前の熱収縮性樹脂フィルムの印刷層形成領域に由来して生ずる印刷領域を有することとなる。熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側(露出面を形成することとなる側)の印刷層形成領域では、第1および第2樹脂層に由来する樹脂成分の上述の特異的な溶融混在化傾向が抑制される傾向にあり、従って、露出面側に印刷層形成領域を設けることによって、上述の凹凸模様を有する凹凸模様領域と凹凸模様を有しない印刷領域とを共に含む樹脂被膜を上述の熱収縮性樹脂フィルムから形成可能であることも、本発明者らは見出している。これは、熱収縮性樹脂フィルムを容器本体に装着する際の加熱処理工程において外面側に設けられた印刷層により物理的に凹凸模様の形成が妨げられるためであると考えられる。例えば後記の実施例をもって示すとおりである。凹凸模様を有する凹凸模様領域と凹凸模様を有しない印刷領域とを樹脂被膜が含むという構成は、凹凸加飾領域と印刷加飾領域とが区分された加飾表現を実現したり、凹凸加飾領域と区分された表示用印刷領域を設けるうえで、好適である。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、樹脂被膜は、凹凸模様を有する印刷領域を含む。この場合の印刷領域は、上述の凹凸模様領域に含まれる。熱収縮性樹脂フィルムが印刷層形成領域を有する場合における当該印刷層形成領域では、第1および第2樹脂層に由来する樹脂成分の上述の特異的な溶融混在化傾向が抑制される傾向にあるものの、熱収縮性樹脂フィルムにおける内面側(露出面側となる側とは反対側)に印刷層を設けた熱収縮性樹脂フィルムを用いることによって、上述の凹凸模様を有する印刷領域を含む樹脂被膜を上述の熱収縮性樹脂フィルムから形成可能であることも、本発明者らは見出している。例えば後記の実施例をもって示すとおりである。凹凸模様を有する印刷領域を樹脂被膜が含むという構成は、凹凸加飾と印刷加飾とを重ね合わせた重畳的な加飾表現を実現するうえで、好適である。
本発明の第1および第2の側面において、好ましくは、容器本体は金属製またはガラス製である。本発明によると、金属製容器について、エンボス加工を経ることなく所定の凹凸加飾を施すことが可能である。また、形成される凹凸模様は、図2〜5に示されるように、エンボス加工が施された熱収縮性樹脂フィルムでは表現困難な、エンボス加工とは全く異なる加飾表現である。さらに、本発明によると、ガラス製容器について、凹凸加飾用の成形金型を作製・使用することなく、所定の凹凸加飾を施すことが可能である。
本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器製造方法の説明図である。(a)は、当該製造方法の加熱処理工程に供されることとなる容器本体と熱収縮性樹脂フィルムの筒状体とを表す。(b)は、加熱処理工程を経て得られる樹脂被膜付容器を表す。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器における樹脂被膜の凹凸模様領域の拡大図である。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器の写真である。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器の写真である。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器の写真である。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器製造方法の説明図である。(a)は、当該製造方法の加熱処理工程に供されることとなる容器本体と熱収縮性樹脂フィルムの筒状体とを表す。(b)は、加熱処理工程を経て得られる樹脂被膜付容器を表す。 図6(b)に示す樹脂被膜付容器の変形例を表す。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器の概略図である。(a)は斜視図、(b)及び(c)は樹脂被膜のA−A’断面に相当する熱収縮性樹脂フィルムの断面図の一例を表す。 本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器の概略図である。(a)は斜視図、(b)は樹脂被膜のB−B’断面に相当する熱収縮性樹脂フィルムの断面図の一例を表す。
図1は、本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器製造方法を表す。本製造方法は、表面に凹凸加飾の施された容器を製造するための方法であって、図1(a)に示すように容器本体10に熱収縮性樹脂フィルム20の筒状体を被嵌させた状態で行う、加熱処理工程を含む。
容器本体10は、表面に凹凸加飾の付される対象であり、胴部11と、首部12と、当該胴部11から首部12にかけて丸みを帯びるように径の漸減する肩部13と、底部14とを有する。本実施形態は、胴部11および肩部13に凹凸加飾が施される場合を例示するものである。容器本体10において凹凸加飾が施される領域(本実施形態では胴部11と肩部13)は、凹凸のない平滑な表面を有する。
また、容器本体10は、加熱処理工程での加熱条件に耐えうる程度の耐熱性を有する材料よりなる。そのような容器本体10は、好ましくは、金属製容器またはガラス製容器である。金属製容器としては、例えば、アルミニウム缶やスチール缶が挙げられる。本製造方法によると、金属製容器については、エンボス加工を経ることなく所定の凹凸加飾を施すことが可能であり、ガラス製容器については、凹凸加飾用の成形金型を作製・使用することなく所定の凹凸加飾を施すことが可能である。また、形成される凹凸模様は、エンボス加工が施された熱収縮性樹脂フィルムでは表現困難な、エンボス加工とは全く異なる加飾表現である。
熱収縮性樹脂フィルム20は、いわゆる異種積層フィルムであり、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを少なくとも含む積層構造を有する。主成分とは、含有成分中で最も大きな質量割合を占める成分とする。熱収縮性樹脂フィルム20は、好ましくは、二つの第1樹脂層と、これら第1樹脂層の間に位置する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。第1樹脂層と第2樹脂層の間の層間強度の確保の観点からは、両層間には接着層が介在しているのが好ましい。すなわち、熱収縮性樹脂フィルム20は、好ましくは、第1樹脂層/接着層/第2樹脂層という積層ユニットを含む積層構造や、第1樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第1樹脂層という積層ユニットを含む積層構造を有する。熱収縮性樹脂フィルム20が複数の第1樹脂層を積層構造中に含む場合、これら第1樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。熱収縮性樹脂フィルム20が複数の第2樹脂層を積層構造中に含む場合、これら第2樹脂層は、組成や厚さの点で、同じであってもよいし、異なってもよい。異種積層フィルムである熱収縮性樹脂フィルム20の熱収縮時のカールを抑制するという観点からは、熱収縮性樹脂フィルム20は、それを構成する各層の組成および/または厚さについて、より対称的な積層構造を有するのが好ましい。以上のような熱収縮性樹脂フィルム20の積層構造としては、例えば、第1樹脂層/第2樹脂層、第1樹脂層/接着層/第2樹脂層、第1樹脂層/第2樹脂層/第1樹脂層、第1樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第1樹脂層、および、第1樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第2樹脂層/接着層/第1樹脂層が、挙げられる。また、熱収縮性樹脂フィルム20は、第1樹脂層、第2樹脂層、および接着層以外の他の層を含む積層構造を有してもよい。他の層としては、例えば、アンカーコート層や易接着層が挙げられる。熱収縮性樹脂フィルム20の各層について、より具体的には以下のとおりである。
熱収縮性樹脂フィルム20における第1樹脂層は、上述のように、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有するところ、芳香族ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸に由来する構成ユニットとジオールに由来する構成ユニットとを少なくとも含み、且つ、分子中に芳香環を含む、ポリエステルである。このような芳香族ポリエステル系樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジオールとの縮合反応によって得ることができる。第1樹脂層は、一種類の芳香族ポリエステル系樹脂を含有してもよいし、二種類以上の芳香族ポリエステル系樹脂を含有してもよい。
芳香族ポリエステル系樹脂を形成するためのジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエ-テルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、およびこれらの置換体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、およびこれらの置換体が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、およびこれらの置換体が挙げられる。芳香族ポリエステル系樹脂を形成するためのジカルボン酸としては、一種類のジカルボン酸を用いてもよいし、二種類以上のジカルボン酸を用いてもよい。
芳香族ポリエステル系樹脂を得るためのジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールが挙げられる。脂環式ジオールとしては、例えば、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンおよびビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、並びに、キシリレングリコールが挙げられる。芳香族ポリエステル系樹脂を形成するためのジオールとしては、一種類のジオールを用いてもよいし、二種類以上のジオールを用いてもよい。
熱収縮性樹脂フィルム20の第1樹脂層中の芳香族ポリエステル系樹脂は比較的に高温の領域に融点を有するところ、そのような芳香族ポリエステル系樹脂について軟化傾向を付与して、当該芳香族ポリエステル系樹脂を含有する第1樹脂層とこれに隣接する層との間の層間剥離を生じにくくさせると共に熱収縮性樹脂フィルム20についての熱収縮率を向上させるという観点から、芳香族ポリエステル系樹脂は非晶性を示すのが好ましい。芳香族ポリエステル系樹脂の非晶性は、主成分の他に変性成分を含んで構成される変性芳香族ポリエステル系樹脂において実現可能である。変性芳香族ポリエステル系樹脂は、具体的には、少なくとも二種類以上のジカルボン酸に由来する構成ユニットおよび/または少なくとも二種類以上のジオールに由来する構成ユニットを含んで構成される。非晶性を示す変性芳香族ポリエステル系樹脂は、好ましくは、変性PET、即ち、ジカルボン酸としてテレフタル酸を用い且つジオールとしてエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレ-ト(PET)においてジカルボン酸および/またはジオールの一部を変性成分(即ち、他のジカルボン酸および/または他のジオール)に置き換えたもの、である。変性PETを形成するための変性成分ないし共重合成分として用いられるジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、およびイソフタル酸が挙げられる。変性PETを形成するための変性成分ないし共重合成分として用いられるジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)、およびジエチレングリコールが挙げられる。より具体的に、変性PETとしては、例えば、CHDM共重合PETおよびNPG共重合PETが挙げられる。CHDM共重合PETは、ジカルボン酸としてテレフタル酸を用い、ジオールの主成分としてエチレングリコールを用い、且つジオールの共重合成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を用いて得られる。NPG共重合PETは、ジカルボン酸としてテレフタル酸を用い、ジオールの主成分としてエチレングリコールを用い、且つジオールの共重合性分としてネオペンチルグリコール(NPG)を用いて得られる。
変性芳香族ポリエステル系樹脂において、変性成分ないし共重合成分の共重合比率(変性芳香族ポリエステル系樹脂を得るために用いられる全ジカルボン酸における共重合ジカルボン酸の割合または全ジオールにおける共重合ジオールの割合)は、第1樹脂層の熱変形挙動(例えば、他層と積層化されるにあたっての製膜適性や、フィルム作製時の延伸適性)を適正化し、層間剥離を低減させる観点から、好ましくは15モル%以上であって、例えば15〜40モル%の範囲にある。CHDM共重合PETの場合、当該共重合比率、即ち、全ジオールにおけるCHDMの割合は、好ましくは20〜40モル%、より好ましくは25〜35モル%である。NPG共重合PETの場合、当該共重合比率、即ち、全ジオールにおけるNPGの割合は、好ましくは15〜40モル%である。
芳香族ポリエステル系樹脂の、示差走査熱量測定(DSC)法(10℃/分の昇温速度で測定)により測定した結晶化度は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。芳香族ポリエステル系樹脂としては、DSC法により測定した場合に融点(融解ピーク)がほとんど見られないもの(即ち、結晶化度が0%のもの)が最も好ましい。結晶化度は、DSC測定より得られる結晶融解熱の値から、X線法等により測定した結晶化度の明確なサンプルを標準として、算出することができる。結晶融解熱は、例えば、セイコーインスツル製の示差走査熱量測定装置を使用して、試料量を10mgとし、昇温速度を10℃/分とし、試料について窒素シールを行いつつ一度融点以上まで昇温させ、次に常温まで降温させ、そして再び昇温させる過程で検出される融解ピークの面積から、求めることができる。
本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルム20の第1樹脂層中の芳香族ポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶融挙動や収縮挙動の観点から、例えば15000〜90000であり、好ましくは30000〜80000である。当該芳香族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば60〜80℃であり、好ましくは60〜75℃である。Tgは、芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸やジオールなどの種類や、変性に用いられる共重合成分の共重合比率により、制御することが可能である。ガラス転移温度(Tg)は、例えば、JIS K 7121に準拠してDSC(示差走査熱量測定)によって測定することができる。また、当該芳香族ポリエステル系樹脂のIV値(固有粘度)は、層間強度の観点から、例えば0.70(dl/g)以上であり、好ましくは0.70〜0.90(dl/g)である。
以上のような芳香族ポリエステル系樹脂について、第1樹脂層における含有量は、熱収縮性樹脂フィルム20の収縮特性(熱収縮率)、耐熱性、強度、耐薬品性、印刷適性等の観点から、例えば50質量%以上であり、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%である。例えばこのような範囲において芳香族ポリエステル系樹脂含有量がより大きいほど、凹部を基準面として凸条部が充分な突出長さを有する良好な凹凸模様を形成する観点から特に好ましい。
熱収縮性樹脂フィルム20における第1樹脂層は、主成分である芳香族ポリエステル系樹脂に加えて一種類または二種類以上の他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、および熱可塑性エラストマーが挙げられる。
熱収縮性樹脂フィルム20における第1樹脂層は、第1樹脂層に関して既に述べた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、およびピニング剤(アルカリ土類金属)が挙げられる。
熱収縮性樹脂フィルム20における第2樹脂層は、上述のように、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層である。
第2樹脂層におけるポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーを必須成分として含む原料モノマーから形成される重合体であり、スチレン系モノマーに由来する構成ユニットを分子中に含む。当該ポリスチレン系樹脂は、単独重合体であってもよいし、複数種類のスチレン系モノマーの共重合体であってもよいし、スチレン系モノマーとそれ以外の他種の共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、およびクロロメチルスチレンが挙げられる。主成分としてポリスチレン系樹脂を含有する場合の第2樹脂層は、一種類のポリスチレン系樹脂を含有してもよいし、二種類以上のポリスチレン系樹脂を含有してもよい。
第2樹脂層におけるポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレンの単独重合体である汎用ポリスチレン(GPPS)、スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体、スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体、スチレン−ジエン系共重合体エラストマー等のスチレン系エラストマー、および、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させたポリスチレンなどの耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が挙げられる。これらのうち、特にスチレン−共役ジエン共重合体が、第2樹脂層におけるポリスチレン系樹脂として好ましい。
スチレン−共役ジエン共重合体を得るための共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、およびクロロプレンが挙げられる。スチレン−共役ジエン共重合体は、好ましくは、スチレン−ブタジエン共重合体であり、より好ましくはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体である。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレン含有割合は、例えば65〜90質量%である。
スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体を得るための重合性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、フマル酸エステル、およびマレイン酸エステルが挙げられる。「(メタ)アクリル」をもって、「アクリル」および/または「メタクリル」を表す。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、および(メタ)アクリル酸オクチルが挙げられる。フマル酸エステルとしては、例えば、フマル酸ジメチルおよびフマル酸ジエチルが挙げられる。マレイン酸エステルとしては、例えば、マレイン酸ジメチルおよびマレイン酸ジエチルが挙げられる。スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体におけるスチレン含有割合は、例えば60〜90質量%である。
第2樹脂層が主成分としてポリスチレン系樹脂を含有する場合、当該第2樹脂層におけるポリスチレン系樹脂の含有割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは55〜95質量%である。
第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを必須成分として含む原料モノマーから形成される重合体(オレフィン系エラストマーを含む)であり、オレフィンに由来する構成ユニットを分子中に含む。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンが挙げられる。
第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、および、非晶性環状オレフィン系重合体が挙げられる。主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有する場合の第2樹脂層は、一種類のポリオレフィン系樹脂を含有してもよいし、二種類以上のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンを必須成分として含む原料モノマーから形成される重合体であり、エチレンに由来する構成ユニットを分子中に含む。本実施形態においてポリエチレン系樹脂とは、エチレンに由来する構成ユニットを、質量比で最も多い主たる構成ユニットとして含む重合体をいうものとする。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、および、エチレンとエチレン以外の一種類または二種類以上のモノマー成分との共重合体(エチレン共重合体)が挙げられる。
エチレン以外のモノマー成分としては、例えば、エチレン以外のα−オレフィン、塩化ビニルなどのビニル系モノマー、不飽和カルボン酸、不飽和無水カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和アミド又はイミド、および酢酸ビニルが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸が挙げられる。不飽和無水カルボン酸としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチル、およびマレイン酸ジエチルが挙げられる。不飽和アミド又はイミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびマレイミドが挙げられる。
エチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、および1−デセンが挙げられる。
第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂をなすエチレン共重合体としては、例えば、エチレン以外の一種類または二種類以上のα−オレフィンに由来する構成ユニットを分子中に含むエチレン共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体)、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸系共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸系共重合体(EMAA)等のエチレン−カルボン酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、および、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等のエチレン-カルボン酸エステル系共重合体が挙げられる。
第2樹脂層におけるポリエチレン系樹脂としては、熱収縮性樹脂フィルム20において良好な熱収縮性を確保するという観点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。LDPEは、エチレンに由来する構成単位を少なくとも含み、高圧法により製造される0.850〜0.945g/cm3程度の低密度のポリエチレンをいう。LLDPEは、エチレンに由来する構成単位を少なくとも含み、中・低圧法により製造され、短鎖分岐を有する0.850〜0.945g/cm3程度の低密度のポリエチレンをいう。
第2樹脂層中のポリオレフィン系樹脂としてのポリエチレン系樹脂の、エチレンに由来する構成ユニットの含有割合、即ち、当該ポリエチレン系樹脂を形成するための原料モノマー中のエチレンの含有割合は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、当該含有割合の上限は、例えば100重量%、99重量%、98重量%、または95重量%である。また、上述のエチレン−α−オレフィン共重合体の、α−オレフィンに由来する構成ユニットの含有割合、即ち、当該エチレン−α−オレフィン共重合体を形成するための原料モノマー中のα−オレフィンの含有割合は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
また、第2樹脂層におけるポリエチレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合して得られるメタロセン触媒系ポリエチレン系樹脂であるのが好ましい。
上記のポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを必須成分として含む原料モノマーから形成される重合体であり、プロピレンに由来する構成ユニットを分子中に含む。本実施形態においてポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構成ユニットを、質量比で最も多い主たる構成ユニットとして含む重合体をいうものとする。当該ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)であってもよいし、プロピレンと他の一種類または二種類以上のオレフィンとの共重合体であってもよい。そのような共重合体としては、例えば、プロピレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。主成分としてポリプロピレン系樹脂を含有する場合の第2樹脂層は、一種類のポリプロピレン系樹脂を含有してもよいし、二種類以上のポリプロピレン系樹脂を含有してもよい。
上記のプロピレン−α−オレフィン共重合体を得るためのα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、および1−デセンが挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体を得るうえで、一種類のα−オレフィンを用いてもよいし、二種類以上のα−オレフィンを用いてもよい。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。好ましくは、第2樹脂層がポリプロピレン系樹脂を含む場合における当該ポリプロピレン系樹脂は、エチレンをプロピレンとの共重合成分とするエチレン-プロピレンランダム共重合体である。当該エチレン-プロピレンランダム共重合体において、エチレンとプロピレンの比率(エチレン/プロピレン)は、例えば、2/98〜5/95である。
第2樹脂層中のポリオレフィン系樹脂たるポリプロピレン系樹脂の、プロピレンに由来する構成ユニットの含有割合、即ち、当該ポリプロピレン系樹脂を形成するための原料モノマー中のプロピレンの含有割合は、熱収縮性樹脂フィルム20の収縮性や強度の観点から、例えば50〜100質量%であり、好ましくは60〜100質量%である。
また、第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、例えば10万〜50万であり、好ましくは20万〜40万である。第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の融点は、例えば95〜150℃であり、好ましくは100〜140℃である。また、第2樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の含有割合は、例えば40〜100質量%であり、好ましくは50〜95質量%である。
熱収縮性樹脂フィルム20における第2樹脂層は、主成分としてのポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、および熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、第2樹脂層は、主成分としてのポリスチレン系樹脂に加えてポリオレフィン系樹脂を含有してもよいし、主成分としてのポリオレフィン系樹脂に加えてポリスチレン系樹脂を含有してもよい。第2樹脂層と上述の第1樹脂層との間における接着性や熱的特性の調整の観点からは、好ましくは、第2樹脂層は芳香族ポリエステル系樹脂を含有する。芳香族ポリエステル系樹脂としては、第1樹脂層に関して上述した芳香族ポリエステル系樹脂を用いることができる。第2樹脂層が芳香族ポリエステル系樹脂を含有する場合、第2樹脂層における芳香族ポリエステル系樹脂の含有割合は、例えば5〜40質量%である。
熱収縮性樹脂フィルム20における第2樹脂層は、第2樹脂層に関して既に述べた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、およびピニング剤(アルカリ土類金属)が挙げられる。
熱収縮性樹脂フィルム20において、上述の第1樹脂層の厚さは例えば1〜20μmであり、上述の第2樹脂層の厚さは例えば1〜98μmであり、フィルムの総厚は例えば10〜120μmである。
熱収縮性樹脂フィルム20がその積層構造中に接着層を含む場合、当該接着層は、例えば、上述の第1樹脂層中に主成分として含有されている芳香族ポリエステル系樹脂と上述の第2樹脂層中に主成分として含有されているポリオレフィン系樹脂またはポリスチレン系樹脂との混合物を主成分とする樹脂層である。熱収縮性樹脂フィルム20の積層構造中の接着層としては、熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂層を採用することもできる。当該熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、およびポリエステル系エラストマーが挙げられる。或いは、熱収縮性樹脂フィルム20の積層構造中の接着層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、およびエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体からなる群より選択される一種類を主成分とする樹脂層であってもよいし、当該群より選択される二種類以上の混合物を主成分とする樹脂層であってもよい。以上のような接着層の厚さは、例えば0.1〜20μmである。
熱収縮性樹脂フィルム20は、充分な熱収縮性の発現のために一軸延伸処理または二軸延伸処理が施されて主延伸方向を有する。主延伸方向の延伸倍率は、例えば2〜6倍である。熱収縮性樹脂フィルム20がその主延伸方向に直交する方向にも延伸処理が施されている場合には、当該方向の延伸倍率は、例えば1.01〜2倍である。このような延伸処理の施された熱収縮性樹脂フィルム20の熱収縮率(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)について、主延伸方向には例えば40〜80%であり、主延伸方向に直交する方向には例えば−5〜20%であり、主延伸方向が熱収縮性樹脂フィルム20の主収縮方向となる。
以上のような構成の熱収縮性樹脂フィルム20は、例えば、これをなすための上述の各層を共押出法によって積層形成して未延伸の積層シートを作製し、当該シートに所定の延伸倍率の延伸処理を施し、そして所望サイズに裁断することによって、製造することができる。得られた熱収縮性樹脂フィルム20の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理などの表面処理が施されてもよい。また、熱収縮性樹脂フィルム20は、その主延伸方向(主収縮方向)の両端を所定幅で重ね合わせて接着されて筒状体とされる。
そして、本製造方法の加熱処理工程では、図1(a)に示すように容器本体10に被嵌された状態にある熱収縮性樹脂フィルム20の筒状体を、加熱することにより、当該熱収縮性樹脂フィルム20から、図1(b)に示すように樹脂被膜30を形成する。加熱処理の手法としては、例えば、恒温槽で静置する手法、ドライスチームトンネルや熱風トンネルを通過させる手法、および、赤外線などの輻射熱で加熱する手法が、挙げられる。凹凸模様を有する樹脂被膜30の形成は、熱収縮樹脂フィルム20の筒状体を容器本体に装着する際の加熱処理として、公知乃至慣用の熱収縮性樹脂フィルムを容器本体に装着する際の通常の条件(即ち、凹凸模様が形成されない従来の条件)よりも、温度及び時間において過酷な加熱条件で加熱処理を行うことにより実現可能である。なお、加熱が充分で無い場合は、熱収縮性樹脂フィルムが凹凸模様を形成されずに装着されるか、或いは凹凸模様が不均一となる傾向がある。また、加熱が過剰である場合は、焦げ等により着色する傾向がある。具体的な加熱条件として、加熱処理温度(熱収縮性樹脂フィルム20の温度)は、例えば160〜280℃であり、好ましくは180〜260℃、より好ましくは200〜240℃である。また、加熱処理時間は、例えば0.5〜90分であり、好ましくは1〜60分、より好ましくは5〜30分、さらに好ましくは10〜30分である。このような加熱処理工程を経て形成される樹脂被膜30は、容器本体10の外表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aを含む。本実施形態では、樹脂被膜30は容器本体10の胴部11および肩部13を被覆し、当該胴部11と肩部13の全体において凹凸模様が形成されている。図1(b)では、凹凸模様領域30Aについてクロスハッチングを付して表す。凹凸模様領域30Aの凹凸模様は、例えば図2に模式的に例示するように、凸条部31が複数の凹部32を区画してなる模様である。凸条部31につき、凹部32を基準面とする突出長さは例えば5〜150μmである。凹凸模様中の凹部32の面積割合は例えば5〜95%であり、好ましくは20〜90%、より好ましくは40〜80%である。このような凹凸模様領域30Aにおける凸条部の、樹脂被膜30の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合は、当該凹凸模様領域30Aにおける凹部の、樹脂被膜30の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合よりも大きいという知見を、本発明者らは得ている。上記芳香族ポリエステル系樹脂含有割合は、凸条部31または凹部32の、樹脂被膜の厚み方向における樹脂成分を測定して得ることができる。また、本実施形態では、樹脂被膜30は容器本体10の表面に接合一体化している。
本製造方法によると、以上のようにして、容器本体10と樹脂被膜30とを備える容器X1が製造される。
本製造方法により得られる、樹脂被膜表面に凹凸模様を有する樹脂被膜付容器の写真を、図3〜5に示す。図3に示す樹脂被膜付容器は、中央部に窪みがある菱形をその辺を接して連なる方向に複数並べた形状を有するアルミニウム缶に、凹凸模様を有する樹脂被膜が装着されたものである。図3において、樹脂被膜は、アルミニウム缶の菱形部分の窪み形状にも追従しており、このように容器本体に設けられた形状にも追従するように凹凸領域を樹脂被膜に形成可能である。なお、図3において、樹脂被膜には印刷層が設けられていない。図4及び図5に示す樹脂被膜付容器は、それぞれ、内面側に印刷層(図4の場合は緑色印刷層、図5の場合は黒色印刷層)が設けられた凹凸模様を有する樹脂被膜が、ガラス瓶に装着されたものである。図4及び図5において示されるように、熱収縮性樹脂フィルムにおける内面側に印刷層を設けることにより、印刷領域を有する凹凸加飾を実現することができる。なお、着色ガラス瓶に凹凸模様を有する樹脂被膜が装着されたものとすることも可能である。そして、図3〜5に示すいずれの樹脂被膜付容器においても、樹脂被膜上の凹凸模様は、凸条部が複数の凹部を区画してなる模様である。また、このように、本発明の樹脂被膜付容器は、熱収縮性樹脂フィルムを用いながらこれまでになかった全く新しい手法により凹凸模様が施されている。これに対し、熱収縮前の樹脂フィルムにエンボス加工を施したフィルムを容器に熱収縮させて装着した場合にはエンボス加工が消失してしまうため、通常は熱収縮樹脂フィルムを用いて良好なエンボス加工を施すことは困難である。このように、上記凹凸模様はエンボス加工を施した熱収縮性樹脂フィルムでは表現困難な模様である。
本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルム20は、上述のように、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。すなわち、本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルム20は、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む異種積層フィルムである。本発明者らの知見によると、このような構成の異種積層フィルムの筒状体が所定の容器本体に被嵌された状態で当該樹脂フィルムを加熱すると、適当な加熱条件の下において、当該樹脂フィルムが熱収縮して容器本体の形状に追従して密着することとなるうえに更なる加熱によって溶融し、その結果、当該樹脂フィルムから、容器本体の表面に接合一体化しつつ所定の凹凸模様を露出面側に有する凹凸模様領域を含む樹脂被膜を形成可能である。本実施形態では、樹脂被膜30は、熱収縮性樹脂フィルム20が一旦溶融して形成されるものであるところ、上述の第1および第2樹脂層を積層構造中に含む熱収縮性樹脂フィルム20における樹脂成分が、当該フィルムに由来する溶融状態の被膜において表面凹凸を発生させて成長させる。形成される樹脂被膜30における凹凸模様、即ち、凸条部31が複数の凹部32を区画してなる凹凸模様については、熱収縮性樹脂フィルム20中の第1樹脂層(主成分は芳香族ポリエステル系樹脂)と第2樹脂層(主成分はポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂)の間の、熱的特性上の諸々の差異や、水分等の揮発性成分の含有量の差の、総合的な寄与ないし兼ね合いの結果として溶融被膜にて生ずる、フィルムの樹脂成分の特異的な溶融混在化傾向に、主に起因して形成されるものであると考えられる。また、容器本体10に対する樹脂被膜30の接合一体化は、加熱温度と加熱時間との兼ね合いなど主に加熱条件を調整することによって実現することができる。或いは、容器本体10に対する樹脂被膜30の接合一体化は、加熱処理工程にて熱収縮する熱収縮性樹脂フィルム20の表面層に対して易接着性を示す樹脂層等を容器本体10の樹脂被膜30形成表面に予め設けたうえで、当該容器本体10を用いて上記加熱処理工程を行うことによっても実現可能である。これら接合一体化手法については、後記の他の実施形態においても同様である。
本製造方法ないしその加熱処理工程では、上述のように、容器本体10の表面の少なくとも一部を被覆して凹凸模様領域30Aを含む樹脂被膜30が、熱収縮性樹脂フィルム20から形成される。樹脂被膜30における凹凸模様は、凸条部31が複数の凹部32を区画している凹凸形状を有するところ、このような凹凸模様については、例えば、凸条部31のなす網目模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現や、区画された複数の凹部32のなす模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現として、利用することが可能である。したがって、このような凹凸模様を表面に伴う容器X1は、凹凸加飾を伴う容器を実現するのに適する。
以上のように、本製造方法は、凹凸加飾を伴う容器X1を製造するのに適する。また、容器X1において、凹凸模様領域30Aを有する樹脂被膜30が容器本体10の表面に接合一体化しているという構成は、容器X1における凹凸模様による凹凸加飾の剥離劣化を抑制するうえで、好適である。
図6は、本発明の一の実施形態に係る樹脂被膜付容器製造方法を表す。本製造方法は、熱収縮性樹脂フィルム20の代わりに熱収縮性樹脂フィルム20’が用いられる点、および、製造される容器において樹脂被膜30の代わりに樹脂被膜30’が形成される点で、図1を参照して上述した樹脂被膜付容器製造方法と異なり、他の点については、図1を参照して上述した樹脂被膜付容器製造方法と同様である。
熱収縮性樹脂フィルム20’は、上述の熱収縮性樹脂フィルム20に対して部分的に印刷層21が形成されたものである。すなわち、熱収縮性樹脂フィルム20’は、熱収縮性樹脂フィルム20に関して上述した各層に加えて印刷層21を含む積層構造の印刷層形成領域を一部に有する。印刷層21は、イラストや商品名などを表現すための加飾用印刷層であってもよいし、取扱い注意事項や成分などを表示するための表示用印刷層であってもよい。また、印刷層21は、熱収縮性樹脂フィルム20’において容器本体10に接することとなる内面側に設けられてもよいし、それとは反対の露出面をなすこととなる側に設けられてもよい。図6(a)には、熱収縮性樹脂フィルム20’において露出面側をなすこととなる外面側に印刷層21が設けられている場合を示す。このような印刷層21は、例えば、上述の熱収縮性樹脂フィルム20に対する印刷インキの塗布によって形成することができる。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷やフレキソ印刷が挙げられる。印刷層21の形成に用いられる印刷インキは、例えば、バインダー樹脂、溶剤、及び、必要に応じて、顔料、その他の添加剤を含む。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、セルロース系樹脂、およびニトロセルロース系樹脂が挙げられる。顔料としては、例えば、酸化チタン等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、マイカ、及びその他の着色顔料を、用途に応じて選択して使用できる。顔料としては、光沢調整などの目的で、アルミナや、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料を使用してもよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒や、水が、挙げられる。以上のような印刷層21の厚さは、例えば0.1〜10μmであり、酸化チタンを含有する場合の印刷層21の厚さは、好ましくは1〜3μmである。
本製造方法の加熱処理工程では、図6(a)に示すように容器本体10に被嵌された状態にある熱収縮性樹脂フィルム20’の筒状体を、加熱することにより、当該熱収縮性樹脂フィルム20’から、図6(b)に示すように樹脂被膜30’を形成する。加熱処理工程を経て形成される樹脂被膜30’は、容器本体10の外表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aと凹凸模様を有しない印刷領域30Bとを含む。本実施形態では、樹脂被膜30’は容器本体10の胴部11および肩部13を被覆し、当該胴部11と肩部13において印刷領域30Bを除く領域に凹凸模様が形成されている。図6(b)では、凹凸模様領域30Aについてクロスハッチングを付して表す。凹凸模様領域30Aの凹凸模様は、図2に示すように、凸条部31が複数の凹部32を区画してなる模様である。印刷領域30Bは、熱収縮前の熱収縮性樹脂フィルム20’の上述の印刷層形成領域に由来して生じる領域である。このような樹脂被膜30’は、本実施形態では容器本体10の表面に接合一体化している。
本製造方法によると、以上のようにして、容器本体10と樹脂被膜30’とを備える容器X2が製造される。
本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルム20’は、上述の熱収縮性樹脂フィルム20と同様に、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する。すなわち、本製造方法で使用される熱収縮性樹脂フィルム20’は、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する樹脂層とを含む異種積層フィルムである。本発明者らの知見によると、このような構成の異種積層フィルムの筒状体が所定の容器本体に被嵌された状態で当該樹脂フィルムを加熱すると、適当な加熱条件の下において、当該樹脂フィルムが熱収縮して容器本体の形状に追従して密着することとなるうえに更なる加熱によって溶融し、その結果、当該樹脂フィルムから、容器本体の表面に接合一体化しつつ所定の凹凸模様を露出面側に有する凹凸模様領域を含む樹脂被膜を形成可能である。本実施形態では、樹脂被膜30’は、熱収縮性樹脂フィルム20’が一旦溶融して形成されるものであるところ、上述の第1および第2樹脂層を積層構造中に含む熱収縮性樹脂フィルム20’における樹脂成分が、当該フィルムに由来する溶融状態の被膜において表面凹凸を発生させて成長させる。形成される樹脂被膜30’における凹凸模様、即ち、凸条部31が複数の凹部32を区画してなる凹凸模様については、熱収縮性樹脂フィルム20’中の第1樹脂層(主成分は芳香族ポリエステル系樹脂)と第2樹脂層(主成分はポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂)の間の、熱的特性上の諸々の差異や、水分等の揮発性成分の含有量の差の、総合的な寄与ないし兼ね合いの結果として溶融被膜にて生ずる、フィルムの樹脂成分の特異的な溶融混在化傾向に、主に起因して形成されるものであると考えられる。一方、本発明者らの知見によると、外面側に印刷層形成領域を有する熱収縮性樹脂フィルムからは、印刷層形成領域に由来して凹凸模様を有しない印刷領域を含む樹脂被膜を、形成可能である。容器X2の場合、熱収縮性樹脂フィルム20’の印刷層形成領域では、外面側に設けられた印刷層により物理的に凹凸模様の形成を妨げられるためであると考えられるが、第1および第2樹脂層に由来する樹脂成分の上述の特異的な溶融混在化傾向が加熱処理工程で抑制されて、樹脂被膜30’には、図2に示すような凹凸模様を有しない、印刷領域30Bが形成されるものと考えられる。
なお、図6(b)に示すような、容器本体10の外表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aと凹凸模様を有しない印刷領域30Bとを含む樹脂被膜30’は、熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側に印刷層を設ける方法以外に、内面側に、酸化チタンやアルミフレークなどの金属顔料を含有する印刷層21を設け、上述の凹凸領域を形成可能な加熱条件(例えば、加熱温度220℃、加熱処理時間10分間)の加熱処理工程を経る方法によっても形成することができる。後述のように熱収縮性樹脂フィルム20’の印刷層形成領域に由来して樹脂被膜30’の印刷領域30Bが生じるところ、樹脂被膜30’において良好な印刷領域30Bを形成するという観点からは、印刷層21は熱収縮性樹脂フィルム20’の内面側に設けられるのが好ましい。当該方法における印刷層21は、上述したのと同様の印刷インキの塗布によって形成することができる。また、当該方法の酸化チタンを含有する場合の印刷層21における酸化チタン含有量は40〜80質量%の範囲が好ましい。以上のような印刷層21の厚さは、例えば0.1〜10μmであり、酸化チタンを含有する場合の印刷層21の厚さは、好ましくは1〜3μmである。但し、凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aと凹凸模様を有しない印刷領域30Bとを含む樹脂被膜30’を得る方法としては、加熱処理工程における加熱条件を厳密に調整することなく凹凸模様領域の形成有無のコントロールが容易である観点から、上述の外面側に印刷層を有する熱収縮性樹脂フィルムを用いる方法が好ましい。
本製造方法ないしその加熱処理工程では、上述のように、容器本体10の表面の少なくとも一部を被覆し且つ凹凸模様領域30Aと印刷領域30Bとを含む樹脂被膜30’が、熱収縮性樹脂フィルム20’から形成される。樹脂被膜30’における凹凸模様は、凸条部31が複数の凹部32を区画している凹凸形状を有するところ、このような凹凸模様については、例えば、凸条部31のなす網目模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現や、区画された複数の凹部32のなす模様が視覚上の印象的な要素となる凹凸加飾表現として、利用することが可能である。したがって、このような凹凸模様を表面に伴う容器X2は、凹凸加飾を伴う容器を実現するのに適する。
以上のように、本製造方法は、凹凸加飾を伴う容器X2を製造するのに適する。また、容器X2において、凹凸模様を有する凹凸模様領域30Aと凹凸模様を有しない印刷領域30Bとを樹脂被膜30’が含むという構成は、凹凸加飾領域と印刷加飾領域とが区分された加飾表現を実現したり、凹凸加飾領域と区分された表示用印刷領域を設けるうえで、好適である。加えて、容器X2において、凹凸模様領域30Aと印刷領域30Bを有する樹脂被膜30’が容器本体10の表面に接合一体化しているという構成は、容器X2における凹凸模様による凹凸加飾の剥離劣化や印刷領域30Bによる表示箇所の剥離劣化を抑制するうえで、好適である。
図7には、例えば図2に模式的に示すような凹凸模様が印刷領域30Bにも形成された、上述の容器X2の変形例を表す。すなわち、図7に示す容器X2は、容器本体10と、上述の凹凸模様を有する印刷領域30Bを含む樹脂被膜30’とを備える。本変形例における印刷領域30Bは、凹凸模様領域30Aでもある。熱収縮性樹脂フィルム20’における内面側に印刷層形成領域を設け、図6(a)を参照して上述した加熱処理工程において適当な加熱条件の加熱処理工程を経ることによって、上述の凹凸模様を有する印刷領域30Bを含む樹脂被膜30’を当該熱収縮性樹脂フィルム20’から形成可能であることも、本発明者らは見出している。例えば後記の実施例をもって示すとおりである。凹凸模様を有する印刷領域30Bを樹脂被膜30’が含むという構成は、凹凸加飾と印刷加飾とを重ね合わせた重畳的な加飾表現を容器X2において実現するうえで、好適である。
上述の熱収縮性樹脂フィルム20’は、本発明の好ましい一形態として、製造される容器X2の表面に印刷加飾領域や表示用印刷領域を設けるために上述のように印刷層形成領域を一部に有する。これに代えて或いはこれと共に、本発明においては、容器本体側の所望領域に印刷層を形成することによって、製造される容器の表面に印刷加飾領域や表示用印刷領域を設けてもよい。
また、上述のように、樹脂被膜付容器における樹脂被膜において、凹凸模様領域の形成の有無をコントロールすることができる。例えば、熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側と内面側の両方に印刷層形成領域を有する熱収縮性樹脂フィルムから、適当な加熱条件の加熱処理工程を経ることによって、凹凸模様を有する印刷領域と凹凸模様を有しない印刷領域の両方を同一の樹脂被膜に付与することも可能である。このような凹凸模様領域と凹凸模様を有しない領域とを含む樹脂被膜付容器の一実施形態として、例えば、ロゴ、社名、POS、QRコード、成分表示など、デザインに高い視認性が求められる領域には凹凸模様を設けず、その他の領域には凹凸模様を設ける態様とすることができる。例えば、図8(a)に示す樹脂被膜付容器に装着された樹脂被膜40は、ロゴ領域41及びPOS領域42が設けられており、これらの領域には凹凸模様が設けられておらず、ロゴ領域41及びPOS領域42を除く他の領域43は凹凸模様領域となっている。図8(a)では、凹凸模様領域についてクロスハッチングを付して表す。図8(b)は、図8(a)における樹脂被膜40のA−A’断面に相当する熱収縮性樹脂フィルムの断面(即ち、樹脂被膜40を形成する前の熱収縮性樹脂フィルムにおける、A−A’断面に相当する部分)の一例を示す概略図である。熱収縮性樹脂フィルムにおける支持基体となるフィルム基材44の内面側において、フィルム基材44上には、ロゴ領域41を形成するための複数の印刷層からなるデザイン印刷層形成領域45、及び、デザイン印刷層形成領域45を覆うように、筒状体とする際のシール部を確保するための所定領域を除いた略全域に設けられた酸化チタンを含む背景印刷層形成領域46を有する。また、背景印刷層形成領域46上にはメジウム領域(透明印刷層形成領域)を有していてもよい(図示略)。一方、熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側において、フィルム基材44上には、厚み方向においてデザイン印刷層形成領域45に相当する領域にメジウム領域(透明印刷層形成領域)47を有し、これにより加熱処理工程後のロゴ領域41の凹凸模様形成が妨げられる。そして、メジウム領域47が設けられている領域を除く領域は、加熱処理工程後に凹凸模様が形成される。
図8(c)は、図8(a)における樹脂被膜40のA−A’断面に相当する熱収縮性樹脂フィルムの断面(即ち、樹脂被膜40を形成する前の熱収縮性樹脂フィルムにおける、A−A’断面に相当する部分)の他の一例を示す概略図である。熱収縮性樹脂フィルムにおける内面側において、フィルム基材44上には、筒状体とする際のシール部を確保するための所定領域を除いた略全域に酸化チタンを含む背景印刷層形成領域46を有する。また、背景印刷層形成領域46上にはメジウム(透明印刷層形成領域)を有していてもよい(図示略)。一方、熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側において、フィルム基材44上には、ロゴ領域41を形成するための複数の印刷層からなるデザイン印刷層形成領域45を有しており、これにより加熱処理工程後のロゴ領域41の凹凸模様形成が妨げられる。そして、デザイン印刷層形成領域45が設けられている領域を除く領域は、加熱処理工程後に凹凸模様が形成される。なお、当該印刷層形成領域45上にはメジウム領域が設けられていてもよい(図示略)。
また、凹凸模様領域と凹凸模様を有しない領域とを含む樹脂被膜付容器の他の一実施形態として、胴部の高さ方向において径の異なる部分を有する容器本体と、該容器本体の外表面を被覆する樹脂被膜とを有し、該樹脂被膜の、胴部における最大外径周辺領域を凹凸模様を有しない領域とし、他の領域を凹凸模様領域とする態様とすることができる。胴部の高さ方向において外径の異なる部分を有する容器本体に凹凸模様領域を有する樹脂被膜を用いる場合、外径が大きい部分(特に最大外径周辺領域)は輸送中などにおいて擦れやすく凹凸模様領域が消失しやすいため、当該部分は凹凸模様を有しない領域とすることが視認性の観点から好ましい。例えば、図9(a)に示す樹脂被膜付容器に装着された樹脂被膜40において、最大外径周辺領域48には凹凸模様が設けられておらず、最大外径周辺領域48を除く他の領域49は凹凸模様領域となっている。図9(a)では、凹凸模様領域についてクロスハッチングを付して表す。図9(b)は、図9(a)における樹脂被膜のB−B’断面に相当する熱収縮性樹脂フィルムの断面(即ち、樹脂被膜40を形成する前の熱収縮性樹脂フィルムにおける、B−B’断面に相当する部分)の一例を示す概略図である。熱収縮性樹脂フィルムにおける内面側において、フィルム基材44上には、複数の印刷層からなるデザイン印刷層形成領域や背景印刷層形成領域を含む印刷層形成領域50を有する。一方、熱収縮性樹脂フィルムにおける外面側において、フィルム基材44上には、樹脂被膜40における最大外径周辺領域48に相当する領域にメジウム領域51を有し、これにより加熱処理工程後の最大外径周辺領域48の凹凸模様形成が妨げられる。そして、メジウム領域51が設けられている領域を除く領域は、加熱処理工程後に凹凸模様が形成される。
さらに、凹凸模様領域と凹凸模様を有しない領域とを含む樹脂被膜付容器のさらなる他の実施形態としては、略角柱型の容器本体(例えば、四角柱型の容器本体を有するPETボトルにおける容器本体)に凹凸模様領域を有する樹脂被膜を用いる場合において、水平面断面の角周辺部分は凹凸模様を有しない領域とする態様が挙げられる。略角柱型の容器を手で握る際、手と容器の接触面積が比較的小さく、接触部分は特に水平面断面の角部分、即ち略角柱型の容器本体の高さ方向に延びる角部に集中する。このため、当該角部周辺は摩擦が大きいラベル表面とすることが好ましく、当該角部周辺を凹凸模様を有しない領域とすることにより達成できる。
また、さらなる他の実施形態としては、これまで述べてきたような、比較的小さい領域を凹凸模様を有しない領域とし当該領域を除く比較的大きい領域を凹凸模様領域とする態様とは逆に、比較的小さい領域を凹凸模様領域とし当該領域を除く比較的大きい領域を凹凸模様を有しない領域とする態様が挙げられる。この態様では、比較的小さい一部の領域で凹凸模様に基づく加飾表現とすることができ、当該一部の領域の表示を目立たせることができる。
また、さらなる他の実施形態としては、容器に直接印刷が施された容器(直印容器)本体と、該容器本体の表面を被覆し凹凸模様領域を有する樹脂被膜とを有する態様が挙げられる。この態様では、熱収縮性樹脂フィルムに印刷層形成領域を設けることなく、また容器本体に施されたデザインの形状を変化させることなく、容易に凹凸模様を有する印刷領域を形成することができる。
〔実施例1〕
〈原料〉
第1樹脂層を形成するための原料としては、非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(商品名「EMBRACE」,CHDM変性芳香族ポリエステル系樹脂,イーストマンケミカル社製)を用いた。第2樹脂層を形成するための原料としては、ポリスチレン系樹脂(商品名「スタイロルクス T」,スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体,スタイロルーション社製)を用いた。接着層を形成するための原料としては、非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(商品名「EMBRACE」,イーストマンケミカル社製)30質量%とポリスチレン系樹脂(商品名「スタイロルクス T」,スタイロルーション社製)70質量%との混合物を用いた。
〈熱収縮性樹脂フィルム〉
上述の第1樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第1押出機に投入し、上述の第2樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第2押出機に投入し、上述の接着層形成用原料を内部温度220℃の第3押出機に投入した。次に、これら3台の押出機を使用して、溶融押出法すなわち共押出法により、3種5層型の異種積層フィルムを作製した。具体的には、第2押出機から押し出される第2樹脂層形成用の樹脂が中心層をなし、第3押出機から押し出される接着層形成用の樹脂が中心層の両側に位置する二層をなし、第1押出機から押し出される第1樹脂層形成用の樹脂が最外の両端に位置する二層をなすようにするための3種5層型合流方式のフィードブロックを用いて第1〜第3押出機からの各樹脂を合流させ、当該合流樹脂について、Tダイの押出口から押し出した後にキャスティングドラム(設定温度25℃)上で急冷し、3種5層型の積層構造を有する未延伸のフィルムを作製した。次に、この未延伸フィルムについて、90℃にて幅方向(いわゆるTD方向)にテンター延伸処理した。この延伸処理による延伸倍率は5倍である。以上のようにして、熱収縮性樹脂フィルムの長尺体を得た。この樹脂フィルムは、幅方向に主延伸方向を有する一軸配向フィルムであり、当該方向に熱収縮性を有する。また、この熱収縮性樹脂フィルムの総厚は35μmであり、各層の厚さの比(第1樹脂層:接着層:第2樹脂層:接着層:第1樹脂層)は1:1:4:1:1であった。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルムの長尺体について、長手方向にスリットして所定の幅とした後、当該幅方向の一縁端と他縁端とを、テトラヒドロフランによって溶剤シールした。これにより、周方向に主延伸方向を有する熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体を得た。この熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体は、胴部の外径が66mmのアルミ缶が用いられる後述の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が5%となるように、217mmの周長を有する。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体について、長手方向に所定の長さを有するようにカットした。以上のようにして、実施例1で用いられる熱収縮性樹脂フィルムの筒状体(周長217mm)を得た。
〈樹脂被膜付容器〉
上述のようにして得られた熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程を行った。この加熱処理工程において、加熱温度は220℃とし、加熱処理時間は10分間とした。加熱処理工程の後、空冷し、実施例1の樹脂被膜付容器を得た。実施例1の樹脂被膜付容器は、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有しつつアルミ缶表面に接合一体化した、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。実施例1の樹脂被膜付容器の凹凸模様において、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは15〜30μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は80%程度であった。また、このような凹凸模様領域において凸条部は凹部よりも、樹脂被膜の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂の含有割合が大きいという分析結果が得られた。
〔実施例2〕
周長を217mmに代えて208mmとしたこと以外は実施例1におけるのと同様にして、熱収縮性樹脂フィルム筒状体を得た。この熱収縮性樹脂フィルム筒状体は、胴部の外径が62.5mmのガラス瓶が用いられる次の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が6%となるように、208mmの周長を有するものである。この熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をガラス瓶(500mlアルコール瓶,胴部の外径は62.5mm,日本山村硝子製)に被嵌した後、当該筒状フィルムを伴うガラス瓶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程を行った。この加熱処理工程において、加熱温度は220℃とし、加熱処理時間は10分間とした。加熱処理工程の後、空冷し、実施例2の樹脂被膜付容器を得た。実施例2の樹脂被膜付容器は、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有しつつガラス瓶表面に接合一体化した、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。実施例2の樹脂被膜付容器の凹凸模様において、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは15〜30μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は80%程度であった。
〔実施例3〕
外面側の一部の領域に透明印刷層(厚さ1.5μm)を形成したこと以外は実施例1におけるのと同様にして、熱収縮性樹脂フィルム筒状体を得た。実施例3における熱収縮性樹脂フィルムは、外面側に透明印刷層を伴う印刷領域を一部に有すること以外は実施例1における熱収縮性樹脂フィルムと同様の構成を有する。透明印刷層は、商品名「(NT−ハイラミック)」,(大日精化工業)製)を熱収縮性樹脂フィルムの長尺体にグラビア印刷することによって形成したものである。この熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をガラス瓶(500mlアルコール瓶,胴部の外径は62.5mm,日本山村硝子製)に被嵌した後、実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うガラス瓶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程(220℃,10分間)を行った。加熱処理工程の後、空冷し、実施例3の樹脂被膜付容器を得た。実施例3の樹脂被膜付容器は、ガラス瓶表面に接合一体化し且つ透明印刷層に由来して生じた透明印刷領域を含む、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。この樹脂被膜において、透明印刷領域以外の領域には、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様が形成され、透明印刷領域にはそのような凹凸模様は形成されなかった。
〔実施例4〕
内面側の一部の領域に白色印刷層(厚さ1.5μm)を形成したこと以外は実施例1におけるのと同様にして、熱収縮性樹脂フィルム筒状体を得た。実施例4における熱収縮性樹脂フィルムは、内面側に白色印刷層を伴う印刷領域を一部に有すること以外は実施例1における熱収縮性樹脂フィルムと同様の構成を有する。白色印刷層は、酸化チタンを含有する白色インキ(商品名「NT−ハイラミック 白」,大日精化工業製)を熱収縮性樹脂フィルムの長尺体にグラビア印刷することによって形成したものである。この熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程(220℃,10分間)を行った。加熱処理工程の後、空冷し、実施例4の樹脂被膜付容器を得た。実施例4の樹脂被膜付容器は、アルミ缶表面に接合一体化し且つ白色印刷層に由来して生じた白色印刷領域を含む、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。この樹脂被膜において、白色印刷領域以外の領域には、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様が形成され、白色印刷領域にはそのような凹凸模様は形成されなかった。実施例4の樹脂被膜付容器の凹凸模様において、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは15〜30μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は80%程度であった。
〔実施例5〕
加熱処理工程(220℃)での加熱処理時間を10分間に代えて20分間としたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5の樹脂被膜付容器を得た。実施例5の樹脂被膜付容器は、アルミ缶表面に接合一体化し且つ白色印刷層に由来して生じた白色印刷領域を含む、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。この樹脂被膜においては、白色印刷領域もそれ以外の領域にも、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様が形成された。実施例5の樹脂被膜付容器の凹凸模様につき、白色印刷領域においてもそれ以外の領域においても共に、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは15〜30μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は80%程度であった。
〔実施例6〕
〈熱収縮性樹脂フィルム〉
実施例1におけるのと同様の上述の第1樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第1押出機に投入し、実施例1におけるのと同様の第2樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第2押出機に投入し、接着層形成用原料を内部温度220℃の第3押出機に投入した。本実施例で用いた接着層形成用原料は、非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(商品名「EMBRACE」,イーストマンケミカル社製)50質量%とポリスチレン系樹脂(商品名「スタイロルクス T」,スタイロルーション社製)50質量%との混合物である。そして、これら3台の押出機を使用して、溶融押出法すなわち共押出法により、所定の超多層型の異種積層フィルムを作製した。具体的には、次のとおりである。
まず、第2押出機から押し出される第2樹脂層形成用の樹脂が中心層をなし且つ第3押出機から押し出される接着層形成用の樹脂が中心層の両側に位置する二つの層をなすようにするための2種3層型合流方式のフィードブロックと、4分割マルチプライヤーとを組み合わせてなる積層装置を用いて、第2および第3押出機からの各樹脂を2種9層の積層構成(即ち、前記の2種3層の構成が四つ積層され且つ三つの積層界面のそれぞれにて同一組成の樹脂が合して単一層(接着層形成用の樹脂よりなる層)を生ずる結果として形成される積層構成)で合流させ、当該2種9層の合流樹脂の両面に対して、更に、第1押出機から押し出される第1樹脂層形成用の樹脂を所定のフィードブロックを用いて合流させて、当該合流樹脂について、Tダイの押出口から押し出した後にキャスティングドラム(設定温度25℃)上で急冷し、3種11層型(超多層型)の積層構造を有する未延伸のフィルムを作製した。次に、この未延伸フィルムについて、90℃にて幅方向(いわゆるTD方向)にテンター延伸処理した。この延伸処理による延伸倍率は5倍である。以上のようにして、熱収縮性樹脂フィルムの長尺体を得た。この樹脂フィルムは、幅方向に主延伸方向を有する一軸配向フィルムであり、当該方向に熱収縮性を有する。また、この熱収縮性樹脂フィルムの総厚は35μmであり、層の種類ごとの厚さの合計の比(第1樹脂層の合計厚さ:第2樹脂層の合計厚さ:接着層の合計厚さ)は3:2:2であった。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルムの長尺体について、長手方向にスリットして所定の幅とした後、当該幅方向の一縁端と他縁端とを、テトラヒドロフランによって溶剤シールした。これにより、周方向に主延伸方向を有する熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体を得た。この熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体は、胴部の外径が66mmのアルミ缶が用いられる後述の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が5%となるように、217mmの周長を有する。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体について、長手方向に所定の長さを有するようにカットした。以上のようにして、実施例6で用いられる熱収縮性樹脂フィルムの筒状体(周長217mm)を得た。
〈樹脂被膜付容器〉
上述のようにして得られた熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程(220℃,10分間)を行った。実施例6の樹脂被膜付容器は、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有しつつアルミ缶表面に接合一体化した、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。実施例6の樹脂被膜付容器の凹凸模様において、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは10〜25μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は50%程度であった。
〔実施例7〕
〈原料〉
第1樹脂層を形成するための原料としては、非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(商品名「EMBRACE」,CHDM変性芳香族ポリエステル系樹脂,イーストマンケミカル社製)を用いた。第2樹脂層を形成するための原料としては、メタロセン触媒系プロピレン−エチレンランダム共重合体(商品名「ウィンテック WFX6」,日本ポリプロ製)50質量%と、石油樹脂(商品名「アルコン P125」,荒川化学工業製)20質量%と、本実施例の熱収縮性樹脂フィルムの以前の製造過程で生じて回収した熱収縮性樹脂フィルム由来の再生材30質量%とをメルトブレンドして得た樹脂を用いた。接着層を形成するための原料としては、非晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(商品名「EMBRACE」,イーストマンケミカル社製)20質量%と、メタロセン触媒系プロピレン−エチレンランダム共重合体(商品名「ウィンテック WFX6」,日本ポリプロ製)20質量%と、ポリオレフィン系混合樹脂(商品名「エクセレン XF5010」,住友化学製)60質量%とをメルトブレンドして得た樹脂を用いた。
〈熱収縮性樹脂フィルム〉
上述の第1樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第1押出機に投入し、上述の第2樹脂層形成用原料を、内部温度220℃の第2押出機に投入し、上述の接着層形成用原料を内部温度220℃の第3押出機に投入した。次に、これら3台の押出機を使用して、溶融押出法すなわち共押出法により、3種5層型の異種積層フィルムを作製した。具体的には、第2押出機から押し出される第2樹脂層形成用の樹脂が中心層をなし、第3押出機から押し出される接着層形成用の樹脂が中心層の両側に位置する二層をなし、第1押出機から押し出される第1樹脂層形成用の樹脂が最外の両端に位置する二層をなすようにするための3種5層型合流方式のフィードブロックを用いて第1〜第3押出機からの各樹脂を合流させ、当該合流樹脂について、Tダイの押出口から押し出した後にキャスティングドラム(設定温度25℃)上で急冷し、3種5層型の積層構造を有する未延伸のフィルムを作製した。次に、この未延伸フィルムについて、90℃にて幅方向(いわゆるTD方向)にテンター延伸処理した。この延伸処理による延伸倍率は5倍である。以上のようにして、熱収縮性樹脂フィルムの長尺体を得た。この樹脂フィルムは、幅方向に主延伸方向を有する一軸配向フィルムであり、当該方向に熱収縮性を有する。また、この熱収縮性樹脂フィルムについて、総厚は35μmであり、各層の厚さの比、即ち第1樹脂層:接着層:第2樹脂層:接着層:第1樹脂層は、3:1:8:1:3であった。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルムの長尺体について、長手方向にスリットして所定の幅とした後、当該幅方向の一縁端と他縁端とを、テトラヒドロフランによって溶剤シールした。これにより、周方向に主延伸方向を有する熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体を得た。この熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体は、胴部の外径が66mmのアルミ缶が用いられる後述の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が5%となるように、217mmの周長を有する。次に、得られた熱収縮性樹脂フィルム筒状長尺体について、長手方向に所定の長さを有するようにカットした。以上のようにして、実施例7で用いられる熱収縮性樹脂フィルムの筒状体(周長217mm)を得た。
〔樹脂被膜付容器〕
上述のようにして得られた熱収縮性樹脂フィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程(220℃,10分間)を行った。実施例7の樹脂被膜付容器は、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有しつつアルミ缶表面に接合一体化した、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜を、有する。実施例7の樹脂被膜付容器の凹凸模様において、凹部を基準面とする凸条部の突出長さは5〜20μm程度であり、且つ、凹凸模様領域での凹部の面積割合は20%程度であった。
〔比較例1〕
PET系シュリンクフィルム(商品名「LX18S」,厚さ40μm,三菱樹脂製)の長尺体を用意した。このPET系シュリンクフィルムは、TD方向に主延伸方向を有し、当該方向に熱収縮性を有する。次に、このシュリンクフィルムの長尺体について、長手方向にスリットして所定の幅とした後、当該幅方向の一縁端と他縁端とを、テトラヒドロフランによって溶剤シールした。これにより、周方向に主延伸方向を有するシュリンクフィルム筒状長尺体を得た。このシュリンクフィルム筒状長尺体は、胴部の外径が66mmのアルミ缶が用いられる後述の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が5%となるように、217mmの周長を有する。次に、得られたシュリンクフィルム筒状長尺体について、長手方向に所定の長さを有するようにカットした。以上のようにして、比較例1で用いられるシュリンクフィルムの筒状体(周長217mm)を得た。そして、このシュリンクフィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程(220℃,10分間)を行った。シュリンクフィルムは加熱処理工程にて熱収縮したものの、アルミ缶表面に接合一体化した樹脂被膜は形成されなかった。また、熱収縮したフィルム表面には、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様は形成されなかった。
〔比較例2〕
ポリスチレン系シュリンクフィルム(商品名「GMVS」,厚さ50μm,グンゼ製)の長尺体を用意した。このポリスチレン系シュリンクフィルムは、TD方向に主延伸方向を有し、当該方向に熱収縮性を有する。次に、このシュリンクフィルムの長尺体について、長手方向にスリットして所定の幅とした後、当該幅方向の一縁端と他縁端とを、テトラヒドロフランによって溶剤シールした。これにより、周方向に主延伸方向を有するシュリンクフィルム筒状長尺体を得た。このシュリンクフィルム筒状長尺体は、胴部の外径が66mmのアルミ缶が用いられる後述の加熱処理工程での容器胴部周方向の収縮率が5%となるように、217mmの周長を有する。次に、得られたシュリンクフィルム筒状長尺体について、長手方向に所定の長さを有するようにカットした。以上のようにして、比較例2で用いられるシュリンクフィルムの筒状体(周長217mm)を得た。そして、このシュリンクフィルムの筒状体をアルミ缶(400gボトル缶,胴部の外径は66mm,ユニバーサル製缶製)に被嵌した後、加熱温度を220℃に代えて140℃としたこと及び加熱処理時間を10分間に代えて2分間としたこと以外は実施例1と同様にして、当該筒状フィルムを伴うアルミ缶を恒温槽に入れて静置して加熱処理工程を行った。シュリンクフィルムは加熱処理工程にて熱収縮したものの、アルミ缶表面に接合一体化した樹脂被膜は形成されなかった。熱収縮したフィルム表面には、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様は形成されなかった。加熱処理工程のフィルムは、破れた箇所を有し、アルミ缶から脱落した。
[評価]
上述のように、実施例1〜7では、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有しつつ容器表面に接合一体化した、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜、を有する樹脂被膜付容器が得られた。実施例1〜5における凹凸模様の凹凸は、相対的に大きかった。実施例6における凹凸模様の凹凸は、上述のように、実施例1〜5における凹凸模様の凹凸よりも小さかった。実施例7における凹凸模様の凹凸は、上述のように、実施例6における凹凸模様の凹凸よりも更に小さかった。また、実施例3では、透明印刷領域以外の領域には凹凸模様を有し且つ透明印刷領域に凹凸模様を形成しない樹脂被膜を有する樹脂被膜付容器が得られた。なお、実施例4では、白色印刷領域以外の領域には凹凸模様を有し且つ白色印刷領域に凹凸模様を有しない樹脂被膜を有する樹脂被膜付容器が得られた。これらに対し、比較例1,2では、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を伴う樹脂被膜を有する樹脂被膜付容器は得られなかった。
X1,X2 容器(樹脂被膜付容器)
10 容器本体
20 熱収縮性樹脂フィルム
21 印刷層
30,40 樹脂被膜
30A 凹凸模様領域
31 凸条部
32 凹部
30B 印刷領域

Claims (12)

  1. 芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する熱収縮性樹脂フィルムの筒状体を、当該筒状体が容器本体に被嵌された状態で加熱することにより、前記容器本体の表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む、樹脂被膜、を形成するための加熱処理工程を含む、樹脂被膜付容器製造方法。
  2. 前記加熱処理工程では、前記容器本体の表面の少なくとも一部を被覆して当該表面に接合一体化し、且つ、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む、樹脂被膜を形成する、請求項1に記載の樹脂被膜付容器製造方法。
  3. 前記熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する二つの第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有して当該第1樹脂層の間に位置する第2樹脂層とを含む積層構造を有する、請求項1または2に記載の樹脂被膜付容器製造方法。
  4. 容器本体と、
    前記容器本体の表面の少なくとも一部を被覆し、且つ、凸条部が複数の凹部を区画してなる凹凸模様を有する凹凸模様領域を含む、熱収縮性樹脂フィルム由来の樹脂被膜と、を備える樹脂被膜付容器。
  5. 前記樹脂被膜は、前記容器本体の表面に接合一体化している、請求項4に記載の樹脂被膜付容器。
  6. 前記熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する第2樹脂層とを含む積層構造を有する、請求項4または5に記載の樹脂被膜付容器。
  7. 前記熱収縮性樹脂フィルムは、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分として含有する二つの第1樹脂層と、ポリスチレン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含有して当該第1樹脂層の間に位置する第2樹脂層とを含む積層構造を有する、請求項6に記載の樹脂被膜付容器。
  8. 前記熱収縮性樹脂フィルムは、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層の間に介在する接着層を含む積層構造を有する、請求項4から7のいずれか一つに記載の樹脂被膜付容器。
  9. 前記凹凸模様領域において、前記凸条部の、前記樹脂被膜の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合は、前記凹部の、前記樹脂被膜の厚み方向における全樹脂成分に対する芳香族ポリエステル系樹脂含有割合よりも大きい、請求項4から8のいずれか一つに記載の樹脂被膜付容器。
  10. 前記樹脂被膜は、前記凹凸模様を有しない印刷領域を含む、請求項4から9のいずれか一つに記載の樹脂被膜付容器。
  11. 前記樹脂被膜は、前記凹凸模様を有する印刷領域を含む、請求項4から10のいずれか一つに記載の樹脂被膜付容器。
  12. 前記容器本体は金属製またはガラス製である、請求項4から11のいずれか一つに記載の樹脂被膜付容器。
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