JP2018056676A - 回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1、第2の発振子により生成された第1、第2のクロック信号を用いた回路処理の高性能化や簡素化等を実現できる回路装置等の提供。【解決手段】回路装置10は、第1の発振子XTAL1を発振させて、第1のクロック周波数f1の第1のクロック信号CK1を生成する第1の発振回路101と、第2の発振子XTAL2を発振させて、第1のクロック周波数f1とは異なる第2のクロック周波数f2の第2のクロック信号CK2を生成する第2の発振回路102と、第1の発振回路101での第1の発振信号OS1と第2の発振回路102での第2の発振信号OS2を、位相同期タイミング毎に位相同期させる同期化回路110を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体等に関する。
従来より、発振子を用いてクロック信号を生成する発振回路が知られている。この発振回路では、発振子を所望の発振周波数で発振させることで、所望のクロック周波数のクロック信号を生成する。
しかしながら、回路装置に複数の発振回路を設け、これらの複数の発振回路により生成された複数のクロック信号を用いて、時間デジタル変換等の回路処理を行う手法については、これまでは提案されていなかった。
例えば時間デジタル変換の回路処理に関する従来技術としては、特許文献1〜4に開示される技術がある。
特許文献1〜3の従来技術では、いわゆるバーニア遅延回路を用いて時間デジタル変換の回路処理を実現している。バーニア遅延回路では、半導体素子である遅延素子を用いて時間デジタル変換を実現する。
特許文献4には、第1のクロックパルスを出力する第1の水晶発振器、第2のクロックパルスを出力する第2の水晶発振器、エッジ一致検出回路、同期カウンター、マイコン、及び送信時刻コントロール部を備えた微小時間計測装置が開示されている。エッジ一致検出回路は、第1、第2のクロックパルスの同期点を検出する。同期カウンターは、第1、第2のクロックパルスに同期してカウント処理を行う。マイコンは、同期カウンターの値に基づきスタートパルスからストップパルスまでの未知時間を算出する。送信時刻コントロール部は、エッジ一致検出回路の出力並びに同期カウンター及びマイコンの値に応じてスタートパルスを出力する。
特許文献4の従来技術では、第1、第2の水晶発振器からの第1、第2のクロックパルスを用いて、スタートパルスからストップパルスまでの未知時間を算出している。しかしながら、第1、第2の水晶発振子を発振させる第1、第2の発振回路は、第1、第2の水晶発振器に内蔵されており、マイコン等の回路装置側には設けられていない。従って、第1、第2の水晶発振器は、フリーランの発振動作で第1、第2のクロックパルスを生成しているだけであり、第1、第2の水晶発振器が内蔵する第1、第2の発振回路を、マイコン等の回路装置側で制御することはできない。このため、第1、第2のクロックパルスを用いて時間デジタル変換などの回路処理を行う場合に、回路処理の基準となるタイミングを適切に設定できないという問題がある。従って、回路処理や回路構成の複雑化を招いたり、回路処理の高性能化を十分に実現できないなどの問題を生じる。
本発明の幾つかの態様によれば、第1、第2の発振子により生成された第1、第2のクロック信号を用いた回路処理の高性能化や簡素化等を実現できる回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体等を提供できる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は態様として実現することが可能である。
本発明の一態様は、第1の発振子を発振させて、第1のクロック周波数の第1のクロック信号を生成する第1の発振回路と、第2の発振子を発振させて、前記第1のクロック周波数とは異なる第2のクロック周波数の第2のクロック信号を生成する第2の発振回路と、前記第1の発振回路での第1の発振信号と前記第2の発振回路での第2の発振信号を、位相同期タイミング毎に位相同期させる同期化回路と、を含む回路装置に関係する。
本発明の一態様では、第1、第2の発振回路により第1、第2の発振子を発振させることで、第1、第2のクロック周波数の第1、第2のクロック信号が生成される。そして同期化回路により、第1、第2の発振回路での第1、第2の発振信号の位相同期が行われる。このようにすれば、第1、第2の発振信号の位相が位相同期タイミングにおいて揃うようになるため、第1、第2のクロック信号についても位相同期させることが可能になる。これにより、第1、第2のクロック信号を用いた回路処理の高性能化や簡素化等を実現できるようになる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1のクロック信号の遷移タイミングと前記第2のクロック信号の遷移タイミングを、前記位相同期タイミング毎に一致させる位相同期を行ってもよい。
このようにすれば、位相同期タイミングにおいて第1、第2のクロック信号の遷移タイミングが一致するようになり、この位相同期タイミングを基準タイミングとして、第1、第2のクロック信号を用いた回路処理を実行できるようになる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1の発振回路の第1の発振ループと前記第2の発振回路の第2の発振ループを、前記位相同期タイミング毎に電気的に接続してもよい。
このようにすれば、位相同期タイミングにおいて、第1の発振ループと第2の発振ループの間で発振信号を伝達できるようになる。これにより、位相同期タイミングにおいて、第1、第2の発振信号を位相同期させることが可能になり、回路処理における適切な基準タイミングの設定等が可能になる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1の発振回路が含む発振用の第1のバッファー回路の出力ノードと、前記第2の発振回路が含む発振用の第2のバッファー回路の出力ノードを接続してもよい。
このようにすれば、第1、第2のバッファー回路の駆動能力を利用して、第1の発振ループと第2の発振ループの間で発振信号を伝達できるようになる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、第1の位相同期タイミングと第2の位相同期タイミングの間の期間の長さが、前記第1のクロック信号のNクロック数に対応する長さとなり、且つ、前記第2のクロック信号のMクロック数(N、Mは2以上の異なる整数)に対応する長さとなるように、前記位相同期タイミング毎の位相同期を行ってもよい。
このようにすれば、適切な位相同期タイミングでの位相同期が可能になり、不適切な位相同期タイミングでの位相同期を原因とする不具合の発生等を防止できる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の一方のクロック信号に基づいてカウント動作を行うカウンターを含み、前記カウンターのカウント値が所与の設定値に達する毎に、前記第1の発振信号と前記第2の発振信号の位相同期を行ってもよい。
このようにすれば、カウンターのカウント値が設定値に達する毎に、第1、第2の発振信号の位相同期を行って、第1、第2のクロック信号の位相同期を実現できるようになる。従って、簡素な処理での位相同期の実現が可能になる。
また本発明の一態様では、前記設定値は、第1の位相同期タイミングと第2の位相同期タイミングの間の期間における前記一方のクロック信号のクロック数に対応する値に、設定されてもよい。
このようにすれば、第1の位相同期タイミングで位相同期を行った後、適切な第2の位相同期タイミングで位相同期を行うことが可能になり、不適切な位相同期タイミングでの位相同期を原因とする不具合の発生等を防止できる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1の発振回路及び前記第2の発振回路の一方の発振回路を起動し、一方の発振回路の起動後の前記位相同期タイミングで、他方の発振回路を起動してもよい。
このようにすれば、発振回路の起動後の位相同期が原因となって、発振回路の発振が停止してしまうなどの不具合の発生を防止できる。
また本発明の一態様では、前記同期化回路は、前記第1の発振回路及び前記第2の発振回路の一方の発振回路の発振信号を、他方の発振回路の発振ループに、前記位相同期タイミング毎に伝達してもよい。
このようにすれば、一方の発振回路の発振信号を、他方の発振回路の発振ループに伝達することで、適切な位相同期を実現できるようになる。
また本発明の一態様では、前記第1のクロック周波数の前記第1のクロック信号と前記第2のクロック周波数の前記第2のクロック信号とが入力され、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号を用いて時間をデジタル値に変換する時間デジタル変換回路を含んでもよい。
このように第1、第2の発振子により生成された第1、第2のクロック信号を用いて時間デジタル変換を行えば、半導体素子を用いる手法に比べて、時間デジタル変換の精度等の向上を図れる。
また本発明の一態様では、前記時間デジタル変換回路は、前記第1のクロック周波数と前記第2のクロック周波数の周波数差に対応する分解能で時間をデジタル値に変換してもよい。
このようにすれば、第1、第2のクロック周波数の周波数差を用いて、時間デジタル変換の分解能を設定できるようになり、時間デジタル変換の高性能化を実現できる。
また本発明の一態様では、前記時間デジタル変換回路は、前記第1のクロック周波数をf1とし、前記第2のクロック周波数をf2とした場合に、Δt=|1/f1−1/f2|=|f1−f2|/(f1×f2)となる分解能Δtで、時間をデジタル値に変換してもよい。
このようにすれば、例えば第1、第2のクロック周波数の周波数差を小さくしたり、第1、第2のクロック周波数を高い周波数にすることで、分解能を小さくできるようになり、時間デジタル変換の高性能化を実現できる。
また本発明の一態様では、前記時間デジタル変換回路は、第1の信号と第2の信号の遷移タイミングの時間差をデジタル値に変換してもよい。
このようにすれば、第1、第2の信号の遷移タイミングの時間差を、第1、第2の発振子により生成された第1、第2のクロック信号を用いて、高精度でデジタル値に変換できるようになる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の回路装置と、前記第1のクロック信号を生成するための前記第1の発振子と、前記第2のクロック信号を生成するための前記第2の発振子と、を含む物理量測定装置に関係する。
このように第1、第2の発振子を利用して時間デジタル変換を行うことで、より高精度な物理量の測定処理が可能になる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む電子機器に関係する。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む移動体に関係する。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.回路装置
図1に本実施形態の回路装置10の第1の構成例を示し、図2に回路装置10の動作を説明する信号波形図を示す。回路装置10は、発振回路101(第1の発振回路)と発振回路102(第2の発振回路)と同期化回路110を含む。図1では同期化回路110は、カウンター112、スイッチ回路SWAにより構成されている。なお回路装置10、同期化回路110は図1の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図1に本実施形態の回路装置10の第1の構成例を示し、図2に回路装置10の動作を説明する信号波形図を示す。回路装置10は、発振回路101(第1の発振回路)と発振回路102(第2の発振回路)と同期化回路110を含む。図1では同期化回路110は、カウンター112、スイッチ回路SWAにより構成されている。なお回路装置10、同期化回路110は図1の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
発振回路101は、発振子XTAL1を発振させて、クロック周波数f1のクロック信号CK1を生成する。発振回路101は、発振用のバッファー回路BA1(第1のバッファー回路)を含む。バッファー回路BA1は、入力信号の反転信号(入力信号との位相差が180度の信号)を出力信号として出力する。バッファー回路BA1の出力ノードNA1は、発振子XTAL1の一端に接続される。バッファー回路BA1の入力ノードNA3は、発振子XTAL1の他端に接続される。具体的には、バッファー回路BA1の出力ノードNA1は、回路装置10の発振子接続用の第1の端子(第1のパッド)を介して、発振子XTAL1の一端に接続される。バッファー回路BA1の入力ノードNA3は、回路装置10の発振子接続用の第2の端子(第2のパッド)を介して、発振子XTAL1の他端に接続される。回路装置10の第1、第2の端子と発振子XTAL1の一端、他端は、後述する物理量測定装置のパッケージの内部配線により接続される。このようなバッファー回路BA1を用いて、発振子XTAL1を発振させることで、発振信号OS1が生成される。そして、この発振信号OS1が、バッファー回路BA3によりバッファリングされて、クロック信号CK1として出力される。
発振回路102は、発振子XTAL2を発振させて、クロック周波数f2のクロック信号CK2を生成する。ここでクロック周波数f2はクロック周波数f1とは異なる周波数であり、例えばクロック周波数f1よりも低い周波数である。但しクロック周波数f2はクロック周波数f1よりも高い周波数であってもよい。発振回路102は、発振用のバッファー回路BA2(第2のバッファー回路)を含む。バッファー回路BA2は、入力信号の位相を反転させた信号を出力信号として出力する。バッファー回路BA2の出力ノードNA2、入力ノードNA4は、各々、発振子XTAL2の一端、他端に接続される。具体的には、バッファー回路BA2の出力ノードNA2、入力ノードNA4は、各々、回路装置10の発振子接続用の第3の端子(第3のパッド)、第4の端子(第4のパッド)を介して、発振子XTAL2の一端、他端に接続される。回路装置10の第3、第4の端子と発振子XTAL2の一端、他端は、物理量測定装置のパッケージの内部配線により接続される。このようなバッファー回路BA2を用いて、発振子XTAL2を発振させることで、発振信号OS2が生成される。そして、この発振信号OS2が、バッファー回路BA4によりバッファリングされて、クロック信号CK2として出力される。
発振子XTAL1、XTAL2は例えば圧電振動子である。具体的には発振子XTAL1、XTAL2は例えば水晶振動子である。例えばATカットタイプやSCカットタイプなどの厚みすべり振動タイプの水晶振動子である。例えば発振子XTAL1、XTAL2は、シンプルパッケージタイプ(SPXO)の振動子であってもよいし、恒温槽を備えるオーブン型タイプ(OCXO)、或いは恒温槽を備えない温度補償型タイプ(TCXO)の振動子であってもよい。また発振子XTAL1、XTAL2として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子、シリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
そして本実施形態では回路装置10に、発振回路101、102の同期化回路110が設けられている。同期化回路110は、クロック信号CK1、CK2の位相同期を行う。例えばクロック信号CK1、CK2を位相同期タイミング毎(所与のタイミング毎)に位相同期させる。例えばクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを位相同期タイミング毎に一致させる位相同期を行う。
具体的には同期化回路110は、発振回路101での発振信号OS1(第1の発振信号)と発振回路102での発振信号OS2(第2の発振信号)の位相同期を行う。例えば同期化回路110は、発振信号OS1、OS2を位相同期タイミング毎に位相同期させる。例えば図2において、位相同期タイミングTMAで発振信号OS1、OS2を位相同期させ、次の位相同期タイミングTMBでも発振信号OS1、OS2を位相同期させる。その次の位相同期タイミングでも同様である。この位相同期により、位相同期タイミングにおいて発振信号OS1、OS2の位相が揃うようになる。
このように発振信号OS1、OS2の位相同期を行えば、発振信号OS1、OS2に基づくクロック信号CK1、CK2についても位相同期させることが可能になる。これにより、クロック信号CK1、CK2を用いた時間デジタル変換等の回路処理において、適切な基準タイミングを設定できるようになり、回路処理の簡素化や高性能化などを実現できるようになる。
例えば前述の特許文献4の従来手法では、第1、第2の発振器が、各々、独立にフリーランで発振動作を行っており、第1、第2の発振器で生成された第1、第2のクロックパルスの位相同期は行われていない。また発振回路は第1、第2の水晶発振器内(パッケージ内)に設けられており、マイコン等の回路装置側には設けられてないため、本実施形態のような同期化回路110による位相同期を実現することは困難である。このため、この従来手法では、回路処理や回路構成の複雑化を招いたり、回路処理の高性能化を十分に実現できないという問題がある。
この点、本実施形態では、発振回路101、102を回路装置10に内蔵させているため、同期化回路110による位相同期が可能になり、上記のような従来手法の問題を解消できる。
なお図1では、2つの発振回路101、102を設けて、同期化回路110は、これらの2つの発振回路101、102の位相同期を行っているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば3つ以上の発振回路を設けて、3つ以上のクロック信号を生成し、同期化回路110が、これらの3つ以上の発振回路の位相同期を行うようにしてもよい。例えば第1、第2の発振信号OS1、OS2に加えて第3の発振信号等の位相同期を行う。
更に具体的には同期化回路110は、クロック信号CK1の遷移タイミングとクロック信号CK2の遷移タイミングを、位相同期タイミング毎に一致させる位相同期を行う。遷移タイミングは、例えばクロック信号CK1、CK2の立ち上がり遷移タイミング(立ち上がりエッジ)又は立ち下がり遷移タイミング(立ち下がりエッジ)である。例えば図2の位相同期タイミングTMAで、同期化回路110による位相同期が行われることで、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミング(エッジ、位相)が一致するようになる。また位相同期タイミングTMBで、同期化回路110による位相同期が行われることで、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが一致するようになる。
このようにすれば、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが一致する位相同期タイミングを、基準タイミングとして、時間デジタル変換等の回路処理を実行することが可能になる。これにより、回路処理の簡素化や高性能化などの実現が可能になる。
また同期化回路110は、発振回路101の発振ループLP1(第1の発振ループ)と発振回路102の発振ループLP2(第2の発振ループ)を、位相同期タイミング毎に電気的に接続する。発振ループLP1は、バッファー回路BA1と発振子XTAL1とこれらを接続する配線の経路のループである。発振ループLP2は、バッファー回路BA2と発振子XTAL2とこれらを接続する配線の経路のループである。同期化回路110は、発振ループLP1の所定ノードと発振ループLP2の所定ノードを接続する。
このように位相同期タイミングにおいて発振ループLP1と発振ループLP2を接続することで、発振ループLP1、LP2間において発振信号を伝達できるようになる。これにより、位相同期タイミングにおいて、発振回路101、102の発振信号OS1、OS2を位相同期させることが可能になり、回路処理における適切な基準タイミングの設定が可能になる。
具体的には、同期化回路110は、発振回路101が含む発振用のバッファー回路BA1の出力ノードNA1と、発振回路102が含む発振用のバッファー回路BA2の出力ノードNA2を接続する。
このようにすれば、発振回路101、102のバッファー回路BA1、BA2の駆動能力を利用して、発振ループLP1、LP2間において発振信号を伝達することが可能になり、発振信号OS1、OS2の適切な位相同期を実現できるようになる。
同期化回路110はカウンター112を含む。カウンター112は、クロック信号CK1、CK2の一方のクロック信号に基づいてカウント動作を行う。図1ではカウンター112は例えばクロック信号CK1に基づいてカウント動作を行っている。但しカウンター112はクロック信号CK2に基づいてカウント動作を行ってもよい。そして同期化回路110は、カウンター112のカウント値が所与の設定値に達する毎に位相同期を行う。例えばカウント値が所与の設定値に達する毎に、発振信号OS1、OS2の位相同期を行う。
このようなカウンター112を設ければ、カウント値が設定値に達する毎に、発振信号OS1、OS2の位相が揃うようになり、クロック信号CK1、CK2を位相同期させることが可能になる。これにより、クロック信号CK1、CK2を用いた回路処理において、適切な基準タイミングの設定が可能になり、回路処理の簡素化や高性能化を図れるようになる。
ここでカウンター112の設定値は、図2の位相同期タイミングTMAとTMB(第1、第2の位相同期タイミング)の間の期間における一方のクロック信号のクロック数に対応する値に設定されている。例えば図1の場合には、設定値は、位相同期タイミングTMA、TMBの間の期間におけるクロック信号CK1のクロック数(N)に対応する値に設定されている。なお設定値を、当該期間でのクロック信号CK2のクロック数(M)に対応する値に設定してもよい。
このようにすれば、カウンター112のカウント値が、一方のクロック信号のクロック数に対応する値に達する毎に、発振信号OS1、OS2の位相同期が行われるようになる。これにより、位相同期タイミングTMA、TMBの間の期間の長さを、一方のクロック信号CK1のクロック数に対応する長さに設定できるようになり、一定期間毎の位相同期が可能になる。
また同期化回路110はスイッチ回路SWAを含む。スイッチ回路SWAは、発振回路101の発振ループLP1と発振回路102の発振ループLP2を電気的に接続する回路である。スイッチ回路SWAはカウンター112からの信号CTAに基づいてオンになり、発振ループLP1と発振ループLP2を電気的に接続する。例えば図2に示すように信号CTAは、位相同期タイミング毎にアクティブ(例えばHレベル)になるパルス信号であり、信号CTAがアクティブになると、スイッチ回路SWAがオンになる。具体的には、カウンター112は、カウント値が設定値に達すると信号CTAをアクティブにし、これによりスイッチ回路SWAがオンになる。その後にカウンター112のカウント値はリセットされる。
このようなスイッチ回路SWAを設ければ、位相同期タイミングにおいてスイッチ回路SWAをオンにすることで、発振ループLP1、LP2を電気的に接続して、発振ループLP1、LP2間で発振信号を伝達できるようになる。このような発振信号の伝達により、発振信号OS1、OS2の位相を揃える位相同期の実現が可能になる。
図3は、本実施形態の回路装置10の詳細な動作を説明する信号波形図である。図3では位相同期タイミングTMAにおいて、同期化回路110による位相同期が行われて、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが一致している。その後、後述の図10で説明するように、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの時間差が、Δt、2Δt、3Δt・・・・というように、クロックサイクル(CCT)毎にΔtずつ増えている。そして次の位相同期タイミングTMBにおいて、同期化回路110による位相同期が行われて、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが一致している。
ここで位相同期タイミングTMAとTMBの間の期間(第1、第2の位相同期タイミングの間の期間)をTABとする。この場合に期間TABの長さは、クロック信号CK1のNクロック数に対応する長さになっている。また期間TABの長さは、クロック信号CK2のMクロック数に対応する長さになっている。ここでN、Mは2以上の異なる整数である。例えば図3ではN=17、M=16であり、N−M=1になっている。
例えばクロック信号CK1、CK2のクロック周波数をf1、f2とした場合に、クロック信号CK1の1クロックサイクルの長さは1/f1であり、クロック信号CK2の1クロックサイクルの長さは1/f2である。従って、期間TABの長さを同じ記号のTABで表した場合に、図3ではTAB=N/f1=M/f2となっている。即ち、クロック周波数f1、f2の間には、回路設計上、N/f1=M/f2の関係が成り立っている。例えばf1=17MHz、f2=16MHzであれば、N=17、M=16とすることで、N/f1=M/f2の関係式が成り立つ。こうすることで、TMA、TMBのタイミングでクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることができる。
このようにN/f1=M/f2の関係式が成り立てば、同期化回路110を設けなくても、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることができるようにも思える。
しかしながら、発振回路101、102をフリーランで発振動作させた場合に、発振回路101、102の発振の起動タイミングは異なったタイミングになってしまう。このため、同期化回路110を設けなければ、図3のTMAのタイミングでクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることは極めて難しい。
また、発振子XTAL1、XTAL2の発振周波数に基づくクロック周波数f1、f2は、製造ばらつきや温度変動等の環境変動が原因で、設計上のクロック周波数とは厳密には一致しなくなる。従って、回路設計としてN/f1=M/f2の関係式が成り立っており、TMAのタイミングでクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させたとしても、次のTMBでは、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの間にズレが生じてしまう。この遷移タイミング間のズレは蓄積されて行くため、TMBの以降のタイミングでは、遷移タイミング間のズレが更に大きくなってしまう。このような遷移タイミングのズレは、例えば後述する時間デジタル変換においては変換精度の低下等の問題を招く。
この点、本実施形態では、図3の位相同期タイミングTMA、TMBにおいて、同期化回路110が発振回路101、102の発振信号OS1、OS2の位相同期を行っている。従って、発振回路101、102の発振の起動タイミングが異なっている場合等においても、同期化回路110の位相同期により、位相同期タイミングTMA、TMBにおいてクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることができる。また実際のクロック周波数f1、f2が設計上のクロック周波数f1、f2とは厳密には一致していない場合にも、位相同期タイミングTMA、TMBにおいてクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを適正に一致させることが可能になる。
この場合に、同期化回路110により位相同期を行えば、N/f1=M/f2の関係式が成り立っている必要が無いようにも思える。
しかしながら、TMAのタイミングで位相同期を行った後、TMBのタイミングにおいて、発振信号OS1とOS2の位相差が180度程度になっていると、一方の発振信号の波の山部分と他方の発振信号の波の谷部分が重なってしまい、発振が停止してしまう問題が発生してしまう。
この点、図3のように、期間TABの長さが、クロック信号CK1のNクロック数に対応する長さになり、且つ、クロック信号CK2のMクロック数に対応する長さになるというように、N/f1=M/f2の関係式が成り立っていれば、このような問題の発生を防止できる。即ち、位相同期タイミングTMAでの位相同期の後、位相同期タイミングTMBにおいて図1のスイッチ回路SWAがオンになった場合に、N/f1=M/f2の関係式が成り立っていれば、一方の発振信号の波の山部分と他方の発振信号の波の谷部分が重なることはない。従って、上記のような問題の発生を防止できる。
具体的には、図1のカウンター112の設定値を、図3の期間TABでのクロック信号CK1のクロック数Nに対応する値(例えば図3では0からN−1までカウントする設定)に設定する。これにより、カウンター112のカウント値が、クロック数Nに対応する設定値に達し、0に戻るタイミング毎に、信号CTAがアクティブになって、スイッチ回路SWAがオンになる。このようにスイッチ回路SWAがオンになった場合に、N/f1=M/f2の関係式が成り立っていることで、発振回路101、102の発振信号OS1、OS2の一方の波の山部分と他方の波の谷部分は重ならないようになる。従って、スイッチ回路SWAがオンになることで発振回路101、102の発振動作が停止してしまうような事態の発生を防止できる。
なお、カウンター112のカウント動作をクロック信号CK2に基づき行う場合には、カウンター112の設定値を、期間TABでのクロック信号CK2のクロック数Mに対応する値(例えば0からM−1までカウントする設定)に設定すればよい。
また同期化回路110による位相同期タイミング毎の位相同期は、図3のような期間TAB毎の位相同期には限定されない。例えば位相同期タイミング毎の位相同期は、2×TAB毎、3×TAB毎、4×TAB毎・・・というように、J×期間TAB毎(Jは整数)の位相同期であってもよい。即ち、間欠的な位相同期タイミング毎の位相同期であってもよい。また本実施形態の位相同期はN/f1=M/f2の関係式が成り立たないような位相同期であってもよい。
2.回路装置の第2の構成例
図4に本実施形態の回路装置10の第2の構成例を示す。この第2の構成例では、図1の第1の構成例と比べると、発振回路102の発振ループLP2にスイッチ回路SWB(第2のスイッチ回路)が更に設けられている。このスイッチ回路SWBは制御部114からのイネーブル信号ENBによりオン、オフされる。また図4では、発振回路101からの発振信号OS1は、バッファー回路BA5によりバッファリングされて、スイッチ回路SWAを介して発振回路102の発振ループLP2に伝達されている。
図4に本実施形態の回路装置10の第2の構成例を示す。この第2の構成例では、図1の第1の構成例と比べると、発振回路102の発振ループLP2にスイッチ回路SWB(第2のスイッチ回路)が更に設けられている。このスイッチ回路SWBは制御部114からのイネーブル信号ENBによりオン、オフされる。また図4では、発振回路101からの発振信号OS1は、バッファー回路BA5によりバッファリングされて、スイッチ回路SWAを介して発振回路102の発振ループLP2に伝達されている。
図5、図6は第1の構成例の動作を説明する図である。まず、図5に示すように、発振回路101を起動(発振動作の起動)する。例えば種回路(不図示)を用いて、発振回路101を起動する。例えば発振ループLP1に設けられたスイッチ回路をオンにすることで、発振回路101を起動する。或いは、バッファー回路BA1の動作をイネーブル状態にすることで、発振回路101の発振を起動する。この時、スイッチ回路SWA、SWBは共にオフになっている。スイッチ回路SWBがオフになることで、発振回路102は起動しておらず、発振動作を行わないようになる。
そして図5の発振回路101の起動後に、図6に示すように発振回路102を起動する。例えば発振回路101の起動後の位相同期タイミングで、発振回路102を起動する。具体的には、発振回路101の起動後に、図6に示すようにスイッチ回路SWA、SWBをオンにする。例えば初回の位相同期タイミングにおいて信号CTAがアクティブになることで、スイッチ回路SWAがオンになる。また制御部114がイネーブル信号ENBをアクティブにすることで、スイッチ回路SWBをオンにして、発振回路102を起動可能な状態にする。そして発振回路101の発振信号OS1を、バッファー回路BA5によりバッファリングして、オンになったスイッチ回路SWAを介して発振回路102の発振ループLP2に伝達する。このように発振信号OS1が伝達されることで、発振回路102は、この発振信号OS1を種信号として、発振を起動できるようになる。このようにして発振回路101、102の両者を起動し、その後、図2、図3に示すような位相同期タイミング毎の通常の位相同期の動作に移行する。
例えば発振回路101、102の両方を起動した後、例えば初回の位相同期タイミングでスイッチ回路SWAをオンにした時に、発振信号OS1と発振信号OS2の位相差が180度程度であったとする。この場合には、発振信号OS1、OS2の一方の発振信号の波形の山部分と他方の発振信号の波形の谷部分が重なってしまい、発振が停止してしまう問題が生じてしまう。即ち、回路装置10への電源投入後、発振回路101、102の両者が起動する場合に、両者の起動タイミングにはズレが生じ得る。従って、発振回路101、102の発振信号OS1、OS2の位相関係の状態も、様々な状態を取り得る。このため、例えば初回の位相同期タイミングにおいてスイッチ回路SWAがオンになった時に、発振信号OS1、OS2の位相差が180度程度となる位相関係の状態になる場合があり、この場合には発振が停止してしまうおそれがある。
そこで本実施形態の同期化回路110は、発振回路101、102の一方の発振回路を起動し、一方の発振回路の起動後の位相同期タイミング(例えば初回の位相同期タイミング)で、他方の発振回路を起動する。また発振回路101、102の一方の発振回路の発振信号を、他方の発振回路の発振ループに、位相同期タイミング毎に伝達する。
例えば図4では、発振回路101を起動し、発振回路101の起動後の位相同期タイミングで、発振回路102を起動している。そして発振回路101の発振信号OS1を発振回路102の発振ループLP2に伝達している。即ち、回路装置10の電源投入後等に、まず、発振回路101を起動する。そして発振回路101の発振信号OS1を発振回路102の発振ループLP2に伝達する。例えば、発振回路101の起動後の位相同期タイミングで、スイッチ回路SWAをオンにすることで、発振信号OS1を発振ループLP2に伝達する。そして伝達された発振信号OS1を種信号として、発振回路102を起動する。
このように発振回路101の起動し、その後の位相同期タイミングで、発振回路102を起動すれば、発振回路101の発振信号OS1を種信号として、発振回路102を適正に起動できるようになる。そして例えばスイッチ回路SWAがアクティブになるタイミングでは、発振回路102は未だ発振動作を開始していないため、発振信号OS1、OS2の位相差が180度程度となることによる発振の停止を効果的に防止できる。
また図4では、発振回路101の発振信号OS1の方が、発振回路102の発振ループLP2の方に伝達されており、信号の伝達が双方向ではなく、一方向になっている。即ち、発振信号OS1を、バッファー回路BA5を用いて発振ループLP2に伝達することで、発振ループLP1から発振ループLP2への一方向の信号の伝達が行われ、発振ループLP2から発振ループLP1への信号の伝達は行われないようになる。従って、例えば発振回路102の発振ループLP2での信号が発振回路101の発振ループLP1に伝達されて、発振が停止するなどの不具合が発生するのを防止できる。このように発振ループLP1、LP2の電気的な接続は、信号を双方向に伝達する接続のみならず、信号を一方向に伝達する接続であってもよい。
なお、図4では、発振回路101の起動後の位相同期タイミングで発振回路102を起動し、発振回路101の発振信号OS1を発振回路102の発振ループLP2に伝達しているが、この逆であってもよい。例えば発振回路102の起動後の位相同期タイミングで発振回路101を起動してもよい。そして発振回路102の発振信号OS2を発振回路101の発振ループLP1に伝達してもよい。この場合には例えば、図4のスイッチ回路SWBに相当するスイッチ回路を発振回路101の発振ループLP1に設ける。またバッファー回路BA5に対応するバッファー回路を、発振回路102側に設け、発振信号OS2のバッファリングを行うようにする。またカウンター112がクロック信号CK2に基づいてカウント動作を行うようにする。そして発振回路102の起動後、発振信号OS2をバッファー回路によりバッファリングして、オンになったスイッチ回路SWAを介して、発振ループLP1に伝達する。そして発振信号OS2を種信号として発振回路101を起動すればよい。
3.発振回路
図7に発振回路100の第1の構成例を示す。ここでは発振回路101、102を代表して、発振回路100と記載している。
図7に発振回路100の第1の構成例を示す。ここでは発振回路101、102を代表して、発振回路100と記載している。
図7の発振回路100(101、102)は、発振用のバッファー回路BAB、可変容量回路CB1、CB2(可変容量キャパシター。広義にはキャパシター)、帰還抵抗RBを含む。バッファー回路BABは1又は複数段(奇数段)のインバーター回路により構成できる。図7ではバッファー回路BABは、3段のインバーター回路IV1、IV2、IV3により構成されている。このバッファー回路BAB(IV1〜IV3)は、発振のイネーブル・ディスエーブルの制御や、流れる電流の制御が可能な回路であってもよい。
発振子XTALの一端(NB1)、他端(NB2)には、各々、可変容量回路CB1、CB2が設けられている。また発振子XTALの一端と他端の間には、帰還抵抗RBが設けられている。可変容量回路CB1、CB2は、制御電圧VC1、VC2(広義には制御信号)に基づいて、その容量値が制御される。可変容量回路CB1、CB2は、可変容量ダイオード(バラクター)などにより実現される。このように容量値を制御することで、発振回路100の発振周波数(クロック周波数)を調整(微調整)することが可能になる。
なお、発振子XTALの一端及び他端の一方にのみ可変容量回路を設けてもよい。また可変容量回路の代わりに、容量値が可変ではない通常のキャパシターを設けてもよい。
図8に発振回路100の第2の構成例を示す。この発振回路100は、電流源IBX、バイポーラートランジスターTRX、抵抗RX、キャパシターCX2、CX3、可変容量回路CX1(可変容量キャパシター)を有する。例えば電流源IBX、バイポーラートランジスターTRX、抵抗RX、キャパシターCX3により発振用のバッファー回路BAXが構成される。
電流源IBXは、バイポーラートランジスターTRXのコレクターにバイアス電流を供給する。抵抗RXは、バイポーラートランジスターTRXのコレクターとベースの間に設けられる。
容量が可変である可変容量回路CX1の一端は、発振子XTALの一端(NX1)に接続される。具体的には、可変容量回路CX1の一端は、回路装置10の発振子用の第1の端子(発振子用パッド)を介して発振子XTALの一端に接続される。キャパシターCX2の一端は、発振子XTALの他端(NX2)に接続される。具体的には、キャパシターCX2の一端は、回路装置10の発振子用の第2の端子(発振子用パッド)を介して発振子XTALの他端に接続される。キャパシターCX3は、その一端が発振子XTALの一端に接続され、その他端がバイポーラートランジスターTRXのコレクターに接続される。
バイポーラートランジスターTRXには、発振子XTALの発振により生じたベース・エミッター間電流が流れる。そしてベース・エミッター間電流が増加すると、バイポーラートランジスターTRXのコレクター・エミッター間電流が増加し、電流源IBXから抵抗RXに分岐するバイアス電流が減少するので、コレクター電圧VCXが低下する。一方、バイポーラートランジスターTRXのベース・エミッター間電流が減少すると、コレクター・エミッター間電流が減少し、電流源IBXから抵抗RXに分岐するバイアス電流が増加するので、コレクター電圧VCXが上昇する。このコレクター電圧VCXはキャパシターCX3を介して発振子XTALの一端にフィードバックされる。即ちキャパシターCX3によりAC成分がカットされて、DC成分がフィードバックされる。このようにバイポーラートランジスターTRX等により構成される発振用のバッファー回路BAXは、ノードNX2の信号の反転信号(位相差が180度の信号)をノードNX1に出力する反転回路(反転増幅回路)として動作する。
可変容量ダイオード(バラクター)などにより構成される可変容量回路CX1の容量値は、制御電圧VC(制御信号)に基づいて制御される。これにより発振回路100の発振周波数の調整が可能になる。例えば発振子XTALの発振周波数が温度特性を有している場合に、発振周波数の温度補償等も可能になる。
なお発振回路100(101、102)は図7、図8の構成に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばバッファー回路の構成や、可変容量回路やキャパシターの接続構成として、種々の構成を採用できる。例えば可変容量回路(CB1、CB2、CX1)の容量値をデジタル値で調整できるようにしてもよい。この場合には、可変容量回路は、複数のキャパシター(キャパシターアレイ)と、デジタル値である周波数制御データ(広義には制御信号)に基づき各スイッチ素子のオン、オフが制御される複数のスイッチ素子(スイッチアレイ)により構成される。これらの複数のスイッチ素子の各スイッチ素子は、複数のキャパシターの各キャパシターに電気的に接続される。そして、これらの複数のスイッチ素子がオン又はオフされることで、複数のキャパシターのうち、発振子XTALの一端に、その一端が接続されるキャパシターの個数が変化する。これにより、可変容量回路の容量値が制御されて、発振子XTALの一端の容量値が変化する。従って、周波数制御データにより、可変容量回路の容量値が直接に制御されて、発振信号の発振周波数を制御できるようになる。
4.時間デジタル変換の回路処理
図9に時間デジタル変換回路20を有する本実施形態の回路装置10の構成例を示す。発振回路101、102により生成されて同期化回路110により位相同期されるクロック信号CK1、CK2は、種々の回路処理に用いることができるが、ここでは回路処理の1つである時間デジタル変換を例にとり、説明を行う。なお、クロック信号CK1、CK2を用いた回路処理としては、例えば時間以外の種々の物理量を測定するための回路処理や、通信処理、或いは各種の装置の制御処理などの種々の処理が考えられる。また、以下では、第1、第2の信号の遷移タイミングの時間差をデジタル値に変換する時間デジタル変換に、本実施形態の手法を適用した場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば絶対時刻等を測定するための時間デジタル変換等に本実施形態の手法を適用してもよい。
図9に時間デジタル変換回路20を有する本実施形態の回路装置10の構成例を示す。発振回路101、102により生成されて同期化回路110により位相同期されるクロック信号CK1、CK2は、種々の回路処理に用いることができるが、ここでは回路処理の1つである時間デジタル変換を例にとり、説明を行う。なお、クロック信号CK1、CK2を用いた回路処理としては、例えば時間以外の種々の物理量を測定するための回路処理や、通信処理、或いは各種の装置の制御処理などの種々の処理が考えられる。また、以下では、第1、第2の信号の遷移タイミングの時間差をデジタル値に変換する時間デジタル変換に、本実施形態の手法を適用した場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば絶対時刻等を測定するための時間デジタル変換等に本実施形態の手法を適用してもよい。
図9の回路装置10は、時間デジタル変換回路20と発振回路101、102と同期化回路110を含む。なお回路装置は図9の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
時間デジタル変換回路20は、クロック信号CK1とクロック信号CK2とが入力され、クロック信号CK1、CK2を用いて時間をデジタル値に変換する。図9の例では、時間デジタル変換回路20は、クロック周波数f1、f2のクロック信号CK1、CK2を用いて、信号STA(第1の信号。例えばスタート信号)と信号STP(第2の信号。例えばストップ信号)の遷移タイミングの時間差をデジタル値DQに変換する。ここでクロック周波数f2はクロック周波数f1とは異なる周波数であり、例えばクロック周波数f1よりも低い周波数である。また信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差は、信号STAと信号STPのエッジ間(例えば立ち上がりエッジ間又は立ち下がりエッジ間)の時間差である。また時間デジタル変換回路20は、デジタル値DQのフィルター処理(デジタルフィルター処理、ローパスフィルター処理)を行い、フィルター処理後のデジタル値DQを出力してもよい。なお、時間デジタル変換回路20は、クロック周波数が異なる3つ以上のクロック信号を用いて、時間デジタル変換を行ってもよい。例えば第1、第2、第3のクロック信号が入力されて、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差をデジタル値DQに変換してもよい。
同期化回路110は、クロック信号CK1とクロック信号CK2の位相同期を行う。具体的には図1で前述したように発振信号OS1、OS2の位相同期を行う。
時間デジタル変換回路20は、クロック信号CK1、CK2の位相同期タイミングの後、クロック信号CK1に基づいて信号STAの信号レベルを遷移させる。例えば同期化回路110によるクロック信号CK1、CK2の位相同期が行われ、この位相同期のタイミングの後、時間デジタル変換回路20が、クロック信号CK1を用いて信号STAの信号レベルを遷移させる。例えば信号STAの信号レベルを第1の電圧レベル(例えばLレベル)から第2の電圧レベル(例えばHレベル)に変化させる。具体的には時間デジタル変換回路20は、パルス信号の信号STAを生成する。
そして時間デジタル変換回路20は、信号STAに対応して信号レベルが遷移する信号STPと、クロック信号CK2との位相比較を行うことで、時間差に対応するデジタル値DQを求める。例えば位相比較により、信号STPとクロック信号CK2の位相の前後関係が入れ替わるタイミングを判断して、デジタル値DQを求める。位相の前後関係が入れ替わるタイミングは、信号STPとクロック信号CK2の一方の信号の方が他方の信号よりも位相が遅れている状態から、一方の信号の方が他方の信号よりも位相が進んでいる状態に入れ替わるタイミングである。この信号STPとクロック信号CK2の位相比較は、例えば信号STP及びクロック信号CK2の一方の信号に基づき他方の信号をサンプリングすることなどで実現できる。
このように本実施形態では、同期化回路110によりクロック信号CK1、CK2の位相同期が行われ、この位相同期のタイミングの後に、クロック信号CK1に基づき信号STAが生成される。そして、このように生成された信号STAに対応して信号レベルが遷移する信号STPと、クロック信号CK2との位相比較が行われて、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差に対応するデジタル値DQが求められる。このようにすれば、時間デジタル変換に用いられる第1の信号を自発的に生成しながら、高性能(高精度、高分解能)の時間デジタル変換を実現できるようになる。
また本実施形態では、回路装置10に同期化回路110を設けることで、位相同期タイミング毎にクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることが可能になる。従って、位相同期タイミングを基準タイミングとして、回路処理を開始することが可能になるため、回路処理や回路構成の簡素化を図れる。またクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが偶然に一致するのを待つことなく、同期化回路110による位相同期タイミングから、直ぐに時間デジタル変換の処理を開始できるようになる。従って、時間デジタル変換の高速化を図れる。また同期化回路110を設けることで、位相同期タイミングでのクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの時間差に起因する誤差を、最小限にできる。従って、この時間差に起因してシステム的に発生する誤差を十分に低減して、精度の向上等を図れるようになる。
例えば前述の特許文献4の従来手法では、エッジ一致検出回路により、第1、第2のクロックパルスのエッジの一致を検出し、エッジの一致が検出されたことを条件に、時間計測を開始する。しかしながら、この従来手法では、第1、第2のクロックパルスのエッジの一致が検出されない限り、時間計測を開始できないため、時間計測の開始が遅れてしまい、時間デジタル変換の変換時間が長くなってしまうという第1の問題点がある。また第1、第2のクロックパルスのクロック周波数の関係が、同期点においてエッジが一致しないような周波数の関係である場合には、偶然でしかエッジが一致しないようになり、時間デジタル変換の実現が困難になるという第2の問題点がある。また第1、第2のクロックパルスの同期点のタイミングを、システム的に確定できないため、回路処理や回路構成が複雑化してしまうという第3の問題点がある。更に第1、第2のクロックパルスのエッジの一致検出に誤差がある場合には、その誤差が原因で精度が低下してしまうという第4の問題点がある。
これに対して本実施形態では、同期化回路110を設けることで、位相同期タイミング毎に、強制的にクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを一致させることができる。従って、位相同期タイミングの後に、直ぐに時間デジタル変換処理を開始できるため、従来手法の上述の第1の問題点を解消できる。また本実施形態によれば、クロック信号CK1、CK2のクロック周波数の関係が、遷移タイミングが一致しないような周波数の関係である場合にも、同期化回路110により、位相同期タイミング毎に強制的にクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが一致するようになる。従って、従来手法の第2の問題点を解消できる。また、位相同期タイミングは、同期化回路110の位相同期によりシステム的に確定できるため、回路処理や回路装置を簡素化でき、従来手法の第3の問題点を解消できる。またクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが位相同期タイミング毎に一致することで、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングのずれに起因する変換誤差を低減でき、従来手法の第4の問題点も解消できる。
図10は、クロック周波数差を用いた時間デジタル変換手法の説明図である。t0で、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミング(位相)が一致している。その後、t1、t2、t3・・・では、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの時間差であるクロック間時間差TR(位相差)が、Δt、2Δt、3Δtというように長くなって行く。図10では、クロック間時間差を、TRの幅のパルス信号で表している。
そして本実施形態の時間デジタル変換では、例えば複数の発振子を用い、そのクロック周波数差を用いて時間をデジタル値DQに変換する。即ち、クロック信号CK1、CK2のクロック周波数をf1、f2とした場合に、時間デジタル変換回路20は、クロック周波数f1、f2の周波数差|f1−f2|に対応する分解能で時間をデジタル値DQに変換する。例えば図10に示すようにノギスの原理を利用して時間をデジタル値DQに変換する。
このようにすれば、クロック周波数f1、f2の周波数差|f1−f2|を用いて、時間デジタル変換の分解能を設定できるようになり、時間デジタル変換の精度や分解能などの性能の向上等が可能になる。
具体的には本実施形態の時間デジタル変換の分解能(時間分解能)は、Δt=|1/f1−1/f2|=|f1−f2|/(f1×f2)と表すことができる。そして時間デジタル変換回路20は、Δt=|1/f1−1/f2|=|f1−f2|/(f1×f2)となる分解能Δtで、時間をデジタル値DQに変換する。分解能はΔt=|f1−f2|/(f1×f2)と表され、周波数差|f1−f2|に対応する分解能となっている。
このようにすれば、クロック周波数f1、f2の設定により、時間デジタル変換の分解能を設定できるようになる。例えばクロック周波数f1、f2の周波数差|f1−f2|を小さくすることで、分解能Δtを小さくでき、高分解能の時間デジタル変換を実現できるようになる。またクロック周波数f1、f2を高い周波数にすることで、分解能Δtを小さくでき、高分解能の時間デジタル変換を実現できるようになる。そしてクロック周波数f1、f2のクロック信号CK1、CK2を、発振子XTAL1、XTAL2を用いて生成すれば、半導体素子の遅延素子を用いる場合に比べて、時間デジタル変換の精度の向上も図れるようになる。
図11は、信号STA(第1の信号、スタート信号)と信号STP(第2の信号、ストップ信号)の関係を示す図である。本実施形態の時間デジタル変換回路20は、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差TDFをデジタル値に変換する。なお図11では、TDFは、信号STAと信号STPの立ち上がりの遷移タイミング間(立ち上がりエッジ間)の時間差となっているが、信号STAと信号STPの立ち下がりの遷移タイミング間(立ち下がりエッジ間)の時間差であってもよい。
図12は、信号STA、STPを用いた物理量測定の例を示す図である。例えば本実施形態の回路装置10を含む物理量測定装置は、信号STAを用いて照射光(例えばレーザー光)を対象物(例えば車の周囲の物体)に出射する。そして対象物からの反射光の受光により信号STPが生成される。例えば物理量測定装置は、受光信号を波形整形することで信号STPを生成する。このようにすれば、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差TDFをデジタル値に変換することで、例えばタイムオブフライト(TOF)の方式で、対象物との距離を物理量として測定でき、例えば車の自動運転などに利用できる。
或いは物理量測定装置は、信号STAを用いて送信音波(例えば超音波)を対象物(例えば生体)に送信する。そして対象物からの受信音波の受信により信号STPが生成される。例えば物理量測定装置は、受信音波を波形整形することで信号STPを生成する。このようにすれば、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差TDFをデジタル値に変換することで、対象物との距離等を測定でき、超音波による生体情報の測定などが可能になる。
なお図11、図12において、信号STAにより送信データを送信し、受信データの受信による信号STPを用いることで、送信データを送信してから受信データを受信するまでの時間を測定してもよい。また本実施形態の物理量測定装置により測定される物理量は、時間、距離には限定されず、流量、流速、周波数、速度、加速度、角速度又は角加速度等の種々の物理量が考えられる。
5.時間デジタル変換回路の構成
図13に時間デジタル変換回路20の構成例を示す。時間デジタル変換回路20は、位相検出器21、22、処理部30、カウンター部40を含む。なお時間デジタル変換回路20は図13の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図13に時間デジタル変換回路20の構成例を示す。時間デジタル変換回路20は、位相検出器21、22、処理部30、カウンター部40を含む。なお時間デジタル変換回路20は図13の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
位相検出器21(位相比較器)は、クロック信号CK1、CK2が入力され、リセット信号RSTをカウンター部40に出力する。例えば位相同期タイミングにおいてアクティブになるパルス信号のリセット信号RSTを出力する。
位相検出器22(位相比較器)は、信号STPとクロック信号CK2が入力され、位相比較結果の信号PQ2を出力する。位相検出器22は、例えば信号STP、クロック信号CK2の一方の信号を他方の信号でサンプリングすることで、信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行う。位相比較結果の信号PQ2は処理部30に出力される。
カウンター部40は、カウント値のカウント処理を行う。例えばカウンター部40は、クロック信号CK1に基づいてカウント処理を行う第1のカウンターと、クロック信号CK2に基づいてカウント処理を行う第2のカウンターの少なくとも一方を含む。これらの第1、第2のカウンターは、例えば位相検出器22からのリセット信号RSTに基づいて、そのカウント値がリセットされる。そしてカウンター部40でのカウント値CQは処理部30に出力される。カウント値CQは、クロック信号CK1、CK2に基づいてカウント処理を行う第1、第2のカウンターの少なくとも一方のカウンターのカウント値であり、後述のCCT、TCNTなどに相当する。
処理部30は、時間をデジタル値DQに変換する処理を行う。即ち、時間デジタル変換についての種々の演算処理を行う。例えば処理部30は、信号STAと信号STPの時間差に対応するデジタル値DQを求める演算処理を行う。具体的には、処理部30は、カウンター部40からのカウント値CQや位相検出器22からの位相比較結果の信号PQ2に基づいて、時間デジタル変換の演算処理を行う。処理部30は、例えばASICのロジック回路や、或いはCPU等のプロセッサーなどにより実現できる。
処理部30は、出力コード生成部31、信号出力部32、レジスター部33を含む。出力コード生成部31は、時間デジタル変換の演算処理を実行して、最終的なデジタル値DQを、最終的な出力コードとして出力する。信号出力部32は、信号STAを生成して出力する。信号出力部32は、クロック信号CK1に基づいて信号STAを出力する。例えば信号出力部32は、後述するように、例えばクロック信号CK1に基づいて、クロック信号CK1のクロックサイクル毎に信号STAを出力する。或いは信号出力部32は、例えばクロックサイクル指定値で指定されるクロックサイクルで、信号STAを出力する。レジスター部33は1又は複数のレジスターにより構成される。例えばレジスター部33は、後述するクロックサイクル指定情報を記憶するレジスターなどを含む。レジスター部33は例えばフリップフロップ回路やメモリー素子などにより実現できる。
図14に、位相検出器22の構成例を示す。位相検出器22は、例えばフリップフロップ回路DFBにより構成される。フリップフロップ回路DFBのデータ端子には信号STPが入力され、クロック端子にはクロック信号CK2が入力される。これにより、信号STPをクロック信号CK2でサンプリングすることによる位相比較を実現できる。なおフリップフロップ回路DFBのデータ端子にクロック信号CK2を入力し、クロック端子に信号STPを入力するようにしてもよい。これにより、クロック信号CK2を信号STPでサンプリングすることによる位相比較を実現できる。
6.信号STAの繰り返し手法
次に本実施形態の時間デジタル変換手法の種々の例について説明する。まず、信号STAをクロックサイクル毎に繰り返して生成する手法について説明する。
次に本実施形態の時間デジタル変換手法の種々の例について説明する。まず、信号STAをクロックサイクル毎に繰り返して生成する手法について説明する。
図15は、本実施形態の信号STAの繰り返し手法(以下、適宜、単に、繰り返し手法と記載する)を説明する信号波形図である。図15では位相同期タイミングTMにおいてクロック信号CK1、CK2の位相同期が行われている。具体的には位相同期タイミングTMにおいてクロック信号CK1、CK2の遷移タイミング(例えば立ち上がり遷移タイミング。立ち上がりエッジ)を一致させる位相同期が行われている。この位相同期は図9の同期化回路110により行われる。この位相同期タイミングTMにおいて、カウンター部40(第2のカウンター)のカウント値TCNTが例えば0にリセットされる。
なお、位相同期タイミングTMが、回路装置10のシステムにおいて既知のタイミングとなる場合には、位相同期タイミングTMは、例えばタイミング制御部(不図示)により設定される。この場合には図13の位相検出器21の機能はタイミング制御部により実現されることになる。即ちタイミング制御部が、位相同期タイミングTMにおいてアクティブになるリセット信号RSTを、カウンター部40に出力する。
そして時間デジタル変換回路20は、クロック信号CK1、CK2の位相同期タイミングTMの後、クロック信号CK1に基づいて信号STAの信号レベルを遷移させる。具体的には、位相同期タイミングTMの後、クロック信号CK1のクロックサイクル毎に信号STAの信号レベルを遷移させる。例えば図13の信号出力部32が、クロック信号CK1をバッファー回路によりバッファリングした信号を、信号STAとして出力することで、クロックサイクル毎に信号STAの信号レベルが遷移するようになる。
図15においてCCTはクロックサイクル値である。クロックサイクル値CCTは、クロック信号CK1のクロックサイクル毎に更新される。具体的にはクロックサイクル毎にインクリメントされる。なお、ここでは、説明の便宜上、最初のクロックサイクルのクロックサイクル値をCCT=0としている。このため次のクロックサイクルのクロックサイクル値はCCT=1になる。また図15では、CCTはクロック信号CK1のクロックサイクル値となっているが、クロック信号CK2のクロックサイクル値を用いてもよい。
このように、位相同期タイミングTMの後、クロック信号CK1に基づいて信号STAの信号レベルが遷移すると、図11、図12で説明したように、信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移する。ここでは、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差はTDFとなっている。
この場合に時間デジタル変換回路20は、図15のG1〜G6に示すように、信号STPとクロック信号CK2との位相比較を行う。そして位相比較の結果に基づいて、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差TDFに対応するデジタル値DQを求める。具体的には図13の処理部30が、位相検出器22からの位相比較結果の信号PQ2に基づいて、デジタル値DQを求める演算処理を行う。
例えば図10で説明したように、位相同期タイミングTMの後、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの時間差であるクロック間時間差TRは、例えばΔt、2Δt、3Δt・・・6Δtというように、クロック信号CK1のクロックサイクル毎に増加して行く。本実施形態の繰り返し手法では、位相同期タイミングTMの後に、このようにΔtずつ増加するクロック間時間差TRに着目して、時間デジタル変換を実現している。
具体的には時間デジタル変換回路20は、図15のG1〜G6に示すようにクロックサイクル毎に信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行う。この位相比較は、例えば信号STP及びクロック信号CK2の一方の信号を他方の信号でサンプリングすることで実現できる。
そして図15のG1〜G3では、信号STPをクロック信号CK2でサンプリングした信号である位相比較結果の信号PQ2は、Lレベルになっている。即ちG1〜G3では、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れているため、信号PQ2はLレベルになる。
このように図15のG1〜G3では、信号STPとクロック信号CK2の位相比較の結果により、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れていると判断されている。別の言い方をすれば、G1、G2、G3では、各々、TDF>TR=Δt、TDF>TR=2Δt、TDF>TR=3Δtとなっており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差TDFの方が、クロック信号CK1、CK2のクロック間時間差TRよりも長くなっている。
そして図15のG4では、信号STPとクロック信号CK2の位相の前後関係が入れ替わっている。例えば信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れている状態から、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいる状態に入れ替わっている。
このように位相の前後関係が入れ替わると、G4〜G6に示すように、信号STPをクロック信号CK2でサンプリングした信号である位相比較結果の信号PQ2は、Hレベルになる。即ちG4〜G6では、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいるため、信号PQ2はHレベルになる。
このようにG4〜G6では、信号STPとクロック信号CK2の位相比較の結果により、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいると判断されている。別の言い方をすれば、G4、G5、G6では、各々、TDF<TR=4Δt、TDF<TR=5Δt、TDF<TR=6Δtとなっており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差TDFの方が、クロック信号CK1、CK2のクロック間時間差TRよりも短くなっている。
そして図15のG1〜G3では、位相比較結果の信号PQ2がLレベルであり、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れていると判断されている。この場合には、カウント値TCNTは非更新になる。例えば、カウント値TCNTは0から増加しない。一方、G4〜G6では、位相比較結果の信号PQ2がHレベルであり、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいると判断されている。この場合には、カウント値TCNTが更新される。例えば、カウント値TCNTはクロックサイクル毎に例えば1ずつインクリメントされる。
時間デジタル変換回路20(処理部30)は、このようにして求められたカウント値TCNTを用いて、時間差TDFに対応するデジタル値DQを求める。例えばカウント値TCNTで表されるコードの変換処理を行うことで、最終的なデジタル値DQである出力コードを求めて出力する。
図16は本実施形態の繰り返し手法の説明図である。位相同期タイミングTMA、TMBにおいて、同期化回路110によりクロック信号CK1、CK2の位相同期が行われる。これによりクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが位相同期タイミングTMA、TMBにおいて一致するようになる。そして、位相同期タイミングTMAとTMBの間が測定期間TSとなる。本実施形態の繰り返し手法ではこの測定期間TSにおいて、時間差TDFに対応するデジタル値DQを求める。
具体的には図15、図16のG4に示すように、時間デジタル変換回路20は、信号STPとクロック信号CK2の位相の前後関係が入れ替わるタイミング(クロックサイクル)を特定することで、時間差TDFに対応するデジタル値DQを求める。例えばG4に示すCCT=4となるクロックサイクルを特定することで、時間差TDFに対応するデジタル値DQは、例えばTR=4Δtに対応するデジタル値(或いは3Δtと4Δtの間の値に対応するデジタル値)であると判断できる。従って、図16の1回の測定期間TSで、時間差TDFをデジタル値DQに変換することが可能になるため、時間デジタル変換の高速化を図れる。
例えば前述の特許文献4の従来手法では、時間計測を行う1回の測定期間において1つのスタートパルスしか発生しないため、最終的なデジタル値を得るためには、非常に多い回数の測定期間を繰り返す必要がある。
これに対して本実施形態の繰り返し手法によれば、図15、図16に示すように1回の測定期間TSにおいて、信号STAを、複数回発生させ、複数回(例えば1000回以上)の位相比較を行うことで、デジタル値DQを求めている。これにより、最終的なデジタル値DQを1回の測定期間TS内で求めることが可能になるため、従来手法に比べて時間デジタル変換を大幅に高速化できる。
なお図16において、測定期間TSの長さは、この測定期間TSでの例えばクロック信号CK1のクロック数N(クロックサイクル数)に相当する。例えば同期化回路110は、設定されたクロック数Nに対応する測定期間TS毎に、クロック信号CK1、CK2の位相同期を行うことになる。そして本実施形態の繰り返し手法では、高分解能の時間デジタル変換を実現するために、この測定期間TSでのクロック数Nを、例えば1000以上(或いは5000以上)というように非常に大きな数に設定する。例えばクロック信号CK1、CK2のクロック周波数をf1、f2とした場合に、本実施形態での時間デジタル変換の分解能は、Δt=|f1−f2|/(f1×f2)と表すことができる。従って、周波数差|f1−f2|が小さいほど、或いはf1×f2が大きいほど、分解能Δtは小さくなり、高分解能の時間デジタル変換を実現できる。そして分解能Δtが小さくなれば、測定期間TSでのクロック数Nも大きくなる。
そしてカウント値TCNTは、図16の期間TSBの長さに相当する。ここでは、位相同期タイミングTMAから、位相の前後関係が入れ替わるG4のタイミングまでの前半の期間をTSFとし、G4のタイミングから位相同期タイミングTMBまでの後半の期間をTSBとしている。例えば期間TSFでのクロック信号CK1のクロック数(クロックサイクル数)をNFとした場合には、例えばN=NF+TCNTが成り立つ。例えば図15ではNF=4となるため、最終的なデジタル値DQ=4×Δtに対応する値は、クロック数NFに対応するデジタル値になる。このため時間デジタル変換回路20(処理部30)は、カウント値TCNTに基づいて、NF=N−TCNTに対応するデジタル値を求めることになる。例えばデジタル値DQが8ビットである場合には、クロック数Nに対応するデジタル値は例えば11111111になる。但し、クロック数NFのカウント処理を行って、デジタル値DQを求めるようにしてもよい。
なお、測定期間TSに対応するクロック数Nを大きくした場合には、図15において測定可能な時間差TDFが短くなるため、ダイナミックレンジが小さくなってしまう。しかしながら本実施形態の繰り返し手法では、クロック数Nを大きくして分解能を高めながら、1回の測定期間TSにおいて時間デジタル変換を完了させている。これにより、例えばフラッシュ型のA/D変換のように変換処理の高速化を実現しながら、高分解能化も実現できるようになる。
この場合に本実施形態の繰り返し手法では、常にクロックサイクル毎に信号STAを発生して位相比較を行うのではなく、特定の期間においてだけ信号STAを発生して位相比較を行うようにしてもよい。例えば後述するバイナリーサーチの手法により、デジタル値DQの探索範囲を絞った後に、その探索範囲に対応する期間において、クロックサイクル毎に信号STAを発生して位相比較を行い、最終的なデジタル値DQを求めるようにしてもよい。この場合には、例えば図16の測定期間TSにおいて、絞られた探索範囲に対応する期間においてだけ、クロックサイクル毎に信号STAを発生して位相比較を行う時間デジタル変換を行えばよい。また、位相の前後関係が入れ替わるタイミング(G4)が特定された後は、信号STAを発生しないようにして、省電力化を図るようにしてもよい。
また本実施形態では、図1に示すように、クロック信号CK1、CK2は、各々、発振子XTAL1、XTAL2を用いて生成されるクロック信号になっている。このように、発振子XTAL1、XTAL2により生成されたクロック信号CK1、CK2を用いる手法によれば、バーニア遅延回路のように半導体素子を用いて時間デジタル変換を実現する従来手法に比べて、時間(物理量)の測定の精度を大幅に向上できる。
例えば半導体素子を用いた従来手法は、分解能の向上については比較的容易であるが、精度の向上については難しいという課題がある。即ち、半導体素子である遅延素子の遅延時間は、製造ばらつきや環境の変化により大きく変動する。このため、この変動が原因で、測定の高精度化には限界がある。例えば相対的な精度については、ある程度保証できるが、絶対的な精度を保証することは難しい。
これに対して発振子の発振周波数は、半導体素子である遅延素子の遅延時間に比べて、製造ばらつきや環境の変化による変動が極めて小さい。従って、発振子XTAL1、XTAL2により生成されたクロック信号CK1、CK2を用いて時間デジタル変換を行う手法によれば、半導体素子を用いる従来手法に比べて、精度を大幅に向上できる。またクロック信号CK1、CK2の周波数差を小さくすることで、分解能についても高めることができる。
例えばクロック信号CK1、CK2の周波数差をΔf=|f1−f2|=1MHzとし、f1、f2を100MHz程度とすれば、時間測定の分解能Δt=|f1−f2|/(f1×f2)を、100ps(ピコセカンド)程度とすることができる。同様に、f1、f2を100MHz程度とし、Δf=100kHz、10kHz、1kHzとすれば、各々、分解能をΔt=10ps、1ps、0.1ps程度とすることができる。そして、発振子XTAL1、XTAL2の発振周波数の変動は、半導体素子を用いる手法に比べて、極めて小さい。従って、分解能の向上と精度の向上を両立して実現できる。
また前述した特許文献4の従来手法では、水晶発振器を用いて時間デジタル変換を実現している。しかしながら、この従来手法では、第1、第2のクロックパルスのエッジが一致する同期点のタイミングから、時間計測の開始タイミングを順次に遅らせて行く構成となっている。そして各時間計測は、第1、第2のクロックパルスのエッジが一致した同期点のタイミングから行われ、この時間計測を何回も繰り返す必要がある。このため、時間デジタル変換の変換時間が非常に長くなってしまうという問題がある。
これに対して本実施形態の繰り返し手法では、測定期間TSにおいて、信号STAを、複数回発生させ、複数回の位相比較を行うことで、時間デジタル変換を実現している。従って、従来手法に比べて時間デジタル変換を大幅に高速化できる。
7.クロックサイクル指定値の更新手法
次に本実施形態の時間デジタル変換手法として、クロックサイクル指定値(広義にはクロックサイクル指定情報)の更新により時間デジタル変換を実現する手法について説明する。
次に本実施形態の時間デジタル変換手法として、クロックサイクル指定値(広義にはクロックサイクル指定情報)の更新により時間デジタル変換を実現する手法について説明する。
図17〜図19は、クロックサイクル指定値の更新手法(以下、適宜、単に、更新手法と記載する)を説明する信号波形図である。CINはクロックサイクル指定情報である。以下ではCINが、クロックサイクル指定情報で表されるクロックサイクル指定値であるとして説明を行う。
TMA、TMBは位相同期タイミングである。図17〜図19では位相同期タイミングTMA、TMBは、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミング(立ち上がりエッジ)が一致するタイミングとなっている。但し本実施形態の更新手法はこれに限定されず、位相同期タイミングTMA、TMBは、クロック信号CK1、CK2の位相の前後関係が入れ替わるタイミングであってもよい。位相の前後関係が入れ替わるタイミングは、一方のクロック信号の方が他方のクロック信号よりも位相が進んでいる状態から、一方のクロック信号の方が他方のクロック信号よりも位相が遅れている状態に入れ替わるタイミングである。
更新期間TPは位相同期タイミングTMA、TMBの間の期間である。本実施形態の更新手法では更新期間TPにおいて、クロックサイクル指定値の例えば1回の更新が行われる。なお図17〜図19では説明の簡素化のために、更新期間TPでのクロック信号CK1のクロック数が14である場合を示している。しかし実際には、高い分解能に設定するために、更新期間TPでのクロック数を、例えば1000以上(或いは5000以上)というように非常に大きな数に設定する。
図17の更新期間TP(第1の更新期間)では、クロックサイクル指定値がCIN=3になっている。従って、CIN=3で指定されるクロックサイクル(CCT=3)で信号STAの信号レベルを遷移させる。このように本実施形態の更新手法ではクロックサイクル指定値CIN(クロックサイクル指定情報)に基づき指定されるクロック信号CK1のクロックサイクルで、信号STAの信号レベルを遷移させている。そして、図11、図12で説明したように、この信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移しており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差はTDFとなっている。
一方、CIN=3で指定されるクロックサイクル(CCT=3)では、図10で説明したようにクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの時間差であるクロック間時間差は、TR=CIN×Δt=3Δtになっている。
この場合に本実施形態の更新手法では、図17のA1に示すように、信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行う。この位相比較は、例えば信号STP及びクロック信号CK2の一方の信号を他方の信号でサンプリングすることで実現できる。
そして図17のA1では、信号STPをクロック信号CK2でサンプリングした結果である位相比較結果がLレベルになっている。この位相比較の結果により、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れていると判断する。別の言い方をすれば、図17のA1ではTDF>TR=3Δtとなっており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差TDFの方が、クロック信号CK1、CK2のクロック間時間差TR=3Δtよりも長くなっている。この場合には、クロックサイクル指定値CINを増加させる更新を行う。
図18の更新期間TP(第2の更新期間)では、クロックサイクル指定値がCIN=9になっている。例えば図17に示す前回の更新期間TPにおいて、上述のようにクロックサイクル指定値を、CIN=3から増加させる更新が行われることで、CIN=9に更新されている。従って、CIN=9で指定されるクロックサイクル(CCT=9)で信号STAの信号レベルを遷移させる。そして信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移しており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差はTDFになっている。
一方、CIN=9で指定されるクロックサイクル(CCT=9)では、クロック信号CK1、CK2のクロック間時間差は、TR=CIN×Δt=9Δtになっている。
そして本実施形態の更新手法では、図18のA2に示すように、信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行う。この場合に信号STPをクロック信号CK2でサンプリングした結果である位相比較結果がHレベルになっているため、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいると判断する。別の言い方をすれば、図18のA2ではTDF<TR=9Δtとなっており、時間差TDFの方がクロック間時間差TR=9Δtよりも短くなっている。この場合には、クロックサイクル指定値CINを減少させる更新を行う。
図19の更新期間TP(第3の更新期間)では、クロックサイクル指定値がCIN=6になっている。例えば図18に示す前回の更新期間TPにおいて、上述のようにクロックサイクル指定値を、CIN=9から減少させる更新が行われることで、CIN=6に更新されている。従って、CIN=6で指定されるクロックサイクル(CCT=6)で信号STAの信号レベルを遷移させる。そして信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移しており、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差はTDFになっている。
一方、CIN=6で指定されるクロックサイクル(CCT=6)では、クロック信号CK1、CK2のクロック間時間差は、TR=CIN×Δt=6Δtになっている。
そして本実施形態の更新手法では、図19のA3に示すように、信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行う。この場合に図19のA3では信号STPとクロック信号CK2の遷移タイミング(位相)は一致(略一致)している。別の言い方をすれば、図19のA3ではTDF=TR=6Δtとなっている。従って、この場合には、信号STA、STPの時間差TDFを変換したデジタル値として、DQ=TR=6Δtに対応するデジタル値を最終結果として出力する。
なお、図17〜図19では説明を簡素化するために、各更新期間でのクロックサイクル指定値CINの増減値を、1よりも大きな値にしているが、実際には、Δシグマ型のA/D変換のように、クロックサイクル指定値CINの増減値は、1又は1以下の小さな値であるGKとすることができる。GKはゲイン係数であり、GK≦1となる値である。
例えば図17、図18では、クロックサイクル指定値CINを3から9に増加させているが、実際には、例えば更新期間毎に、クロックサイクル指定値CINを所与の値GKだけ増加させる更新を行う。例えばGK≦1となるゲイン係数をGKとした場合に、クロックサイクル指定値CINを+GKする更新を行う。例えばGK=0.1である場合には、例えば+GKの更新が10回連続した場合に、クロックサイクル指定値CINは1だけインクリメントされることになる。
また図18、図19では、クロックサイクル指定値CINを9から6に減少させているが、実際には、例えば更新期間毎に、クロックサイクル指定値CINを所与の値GKだけ減少させる更新を行う。例えば、クロックサイクル指定値CINを−GKする更新を行う。例えばGK=0.1である場合には、例えば−GKの更新が10回連続した場合に、クロックサイクル指定値CINは1だけデクリメントされることになる。
また図19のA3において、信号STPとクロック信号CK2の遷移タイミングが略一致した後も、クロックサイクル指定値CINを更新して行き、例えばCINが6、7、6、7・・・というように変化したとする。この場合には、最終結果として出力されるデジタル値DQは、6Δtと7Δtの間の値(例えば6.5×Δtなど)とすることができる。このように本実施形態の更新手法によれば、Δシグマ型のA/D変換のように、実質的な分解能を小さくすることもできる。
以上のように本実施形態の更新手法では、信号STAに対応して信号レベルが遷移する信号STPと、クロック信号CK2との位相比較を行い、位相比較の結果に基づいて、信号STAの信号レベルを遷移させるクロックサイクル指定値CINを更新している。
具体的にはクロックサイクル指定値CINで指定されるクロックサイクルで信号STAの信号レベルを変化させる。例えば図17ではCIN=3で指定されるクロックサイクルで信号STAの信号レベルを遷移させている。図18ではCIN=9で指定されるクロックサイクルで信号STAの信号レベルを遷移させている。図19も同様である。
そして信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移すると、信号STPとクロック信号CK2の位相比較を行い、位相比較結果に基づいてクロックサイクル指定値CINを更新する。例えば図17では、信号STAの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れているという位相比較結果であったため、図17のCIN=3が、図18ではCIN=9に更新されている。図18では、信号STAの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいるという位相比較結果であったため、図18のCIN=9が、図19ではCIN=6に更新されている。このようにして更新されるクロックサイクル指定値CINの最終的な値が、信号STA、STPの時間差TDFのデジタル値DQとして出力される。
また本実施形態の更新手法では、各更新期間においてクロックサイクル指定値CINを更新して行く。そして更新されたクロックサイクル指定値CINがフィードバックされる構成になっている。従って、測定対象となる時間又は物理量が動的に変化した場合にも、この動的変化に追従した時間デジタル変換を実現できる。例えば図19のA3に示すように、測定対象の時間(時間差TDF)に対応するクロックサイクル指定値CINに近づいた後、当該時間が動的に変化した場合にも、それに応じてクロックサイクル指定値CINを順次に更新することで、このような動的な変化に対応することができる。
また本実施形態の更新手法において、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングの不一致による誤差成分を低減する場合には、時間デジタル変換回路20は、クロックサイクル指定値と、クロックサイクル指定値の更新期間でのクロック信号CK1又はクロック信号CK2のクロック数情報とに基づいて、時間差をデジタル値DQに変換する処理を行うことが望ましい。例えば信号STPとクロック信号CK2の位相比較結果とクロック数情報とに基づいて、クロックサイクル指定値CINの更新を行うことで、デジタル値DQを求める。
即ち、本実施形態の更新手法では、位相同期タイミングにおいてクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが厳密に一致しなくても、時間デジタル変換を実現できる。例えば本実施形態の更新手法では、位相同期タイミングTMA、TMBは、クロック信号CK1、CK2の位相の前後関係が入れ替わるタイミングであればよく、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが完全に一致しなくてもよい。即ち、本実施形態では同期化回路110を設けない変形実施も可能である。
例えば位相同期タイミングにおいてクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングを厳密に一致させるためには、N/f1=M/f2の関係を満たす必要がある。ここで、N、Mは、各々、更新期間でのクロック信号CK1、CK2のクロック数であり、2以上の整数である。ところが、図1の発振子XTAL1、XTAL2によるクロック周波数f1、f2を、N/f1=M/f2の関係を厳密に満たすような周波数に設定することは実際には難しい場合がある。そしてN/f1=M/f2の関係が満たされない場合において、同期化回路110を設けないと、位相同期タイミングTMA、TMBにおいて、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングにずれが生じ、このずれが変換誤差になってしまうおそれがある。
そこで本実施形態の更新手法では、各更新期間でのクロック数Nを測定する。位相同期タイミングTMA、TMBにおいて、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングにずれがあることで、クロック数Nは、常には同じ値にはならなくなり、更新期間に応じて変動する。時間デジタル変換回路20は、このように変動するクロック数Nと、信号STP、クロック信号CK2の位相比較結果に基づいて、クロックサイクル指定値CINの更新を行う。こうすることで、位相同期タイミングTMA、TMBでのクロック信号CK1、CK2の遷移タイミングのずれに起因する変換誤差を低減できる。
8.バイナリーサーチ手法
次に本実施形態の時間デジタル変換手法として、バイナリーサーチ手法について説明する。
次に本実施形態の時間デジタル変換手法として、バイナリーサーチ手法について説明する。
図20は、バイナリーサーチ手法を説明する信号波形図である。図20では、クロック周波数f1、f2の周波数差に対応する分解能で、信号STAと信号STPの遷移タイミングの時間差に対応するデジタル値を、バイナリーサーチにより求めている。具体的には、信号STPとクロック信号CK2の位相比較結果に基づくクロックサイクル指定値CINの更新を、バイナリーサーチにより実現している。
バイナリーサーチ(二分探索、二分割法)は、探索範囲を次々に分割(2分割)することで、探索範囲を狭めながら、最終的なデジタル値を求めて行く手法である。例えば時間差を変換したデジタル値DQを4ビットのデータとし、4ビットの各ビットをb4、b3、b2、b1とする。b4がMSBであり、b1がLSBである。図20では、デジタル値DQの各ビットb4、b3、b2、b1を、バイナリーサーチにより求めている。例えば逐次比較のA/D変換と同様の手法により、デジタル値DQの各ビットb4、b3、b2、b1を順次に求める。
例えば図20において、クロック信号CK1、CK2のクロック周波数は、例えばf1=100MHz(周期=10ns)、f2=94.12MHz(周期=10.625ns)となっており、分解能はΔt=0.625nsとなっている。そして図20のE1、E2は位相同期タイミングであり、クロック信号CK1、CK2の遷移タイミングが例えば一致しているタイミングである。そして、クロックサイクル指定値CINは、例えば初期値であるCIN=8に設定されている。この初期値であるCIN=8は、最初の探索範囲内の例えば真ん中付近の値に相当する。
このようにCIN=8に設定されると、最初の更新期間TP1(第1の更新期間)では、図20のE3に示すように、クロックサイクル値がCCT=8になった場合に、信号STAの信号レベルを遷移させる。この信号STAに対応して信号STPの信号レベルが遷移すると、信号STPとクロック信号CK2の位相比較が行われる。例えば信号STPでクロック信号CK2をサンプリングする位相比較が行われ、E4に示すようにクロック信号CK2のHレベルがサンプリングされて、このHレベルが位相比較結果になる。このように位相比較結果がHレベルである場合には、デジタル値DQのMSBであるビットb4の論理レベルは、b4=1であると判断される。
このようにb4=1が求められたことで、バイナリーサーチの探索範囲が狭まり、最終的なデジタル値DQに対応するCINは、例えば8〜15の探索範囲内にあると判断される。そして、この探索範囲内の値(例えば中央付近の値)に設定されるように、クロックサイクル指定値を、例えばCIN=12に更新する。
このようにCIN=12に更新されると、次の更新期間TP2(第2の更新期間)では、E5に示すように、クロックサイクル値がCCT=12になった場合に、信号STAの信号レベルを遷移させる。そして信号STPとクロック信号CK2の位相比較が行われ、例えばE6に示すようにクロック信号CK2のLレベルがサンプリングされたため、このLレベルが位相比較結果になる。このように位相比較結果がLレベルである場合には、デジタル値DQの次のビットb3の論理レベルは、b3=0であると判断される。
このようにb4=1、b3=0が求められたことで、バイナリーサーチの探索範囲が狭まり、最終的なデジタル値DQに対応するCINは、例えば8〜11の探索範囲内にあると判断される。そして、この探索範囲内の値(例えば中央付近の値)に設定されるように、クロックサイクル指定値を、例えばCIN=10に更新する。
このようにCIN=10に更新されると、次の更新期間TP3(第3の更新期間)では、E7に示すように、クロックサイクル値がCCT=10になった場合に、信号STAの信号レベルを遷移させる。そして信号STPとクロック信号CK2の位相比較が行われ、例えばE8に示すようにクロック信号CK2のHレベルがサンプリングされたため、このHレベルが位相比較結果になる。このように位相比較結果がHレベルである場合には、デジタル値DQの次のビットb2の論理レベルは、b2=1であると判断される。
最後にCIN=11に更新されて、次の更新期間TP4(第4の更新期間)では、E9に示すように、クロックサイクル値がCCT=11になった場合に、信号STAの信号レベルを遷移させる。そして信号STPとクロック信号CK2の位相比較が行われ、例えばE10に示すようにクロック信号CK2のHレベルがサンプリングされたため、このHレベルが位相比較結果になる。このように位相比較結果がHレベルである場合には、デジタル値DQのLSBであるビットb1は、b1=1に設定される。そしてE11に示すように、最終的なデジタル値である出力コードとして、DQ=1011(2進数)が出力される。
このようなバイナリーサーチの手法を用いれば、信号STA、STPの遷移タイミングの時間差に対応するデジタル値DQを、高速に求めることが可能になる。例えば前述の特許文献4の従来手法では、図20の場合には、最終的なデジタル値DQを求めるのに、最大で例えば15回の時間計測が必要になってしまう。これに対して本実施形態の手法によれば、図20に示すように、例えば4回の更新期間で最終的なデジタル値DQを求めることができ、時間デジタル変換の高速化を図れる。
特に、分解能Δtを小さくして、デジタル値DQのビット数Lが大きくなった場合に、従来手法では、例えば2L程度の回数の時間計測が必要になってしまい、変換時間が非常に長くなってしまう。これに対して本実施形態の手法によれば、例えばL回の更新期間で最終的なデジタル値DQを求めることができ、従来手法に比べて時間デジタル変換の大幅な高速化を図れる。
なお、デジタル値DQの上位ビット側を図20のバイナリーサーチ手法で求めた後、下位ビット側(例えばLSBを含む下位ビット。或いはLSBの下位ビット)については、例えば図17〜図19で説明した更新手法で求めるようにしてもよい。例えば図20では、逐次比較型のA/D変換のように、探索範囲(逐次比較範囲)を順次に狭めながら、探索範囲内の値になるようにクロックサイクル指定値CINを更新している。これに対して図17〜図19の更新手法では、Δシグマ型のA/D変換のように、位相比較結果に基づいて、CINを±GKだけ増減させる更新を行っている。GKはゲイン係数であり、GK≦1である。具体的には、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が遅れているという位相比較結果である場合には、CINを+GKだけ増加させる更新(デジタル演算処理)を行う。一方、信号STPの方がクロック信号CK2よりも位相が進んでいるという位相比較結果である場合には、CINを−GKだけ減少させる更新(デジタル演算処理)を行う。このように2つの手法を組み合わせることで、時間デジタル変換の高速化と高精度化を両立して実現することが可能になる。
9.物理量測定装置、電子機器、移動体
図21に本実施形態の物理量測定装置400の構成例を示す。物理量測定装置400は、本実施形態の回路装置10と、クロック信号CK1を生成するための発振子XTAL1(第1の発振子、第1の振動片)と、クロック信号CK2を生成するための発振子XTAL2(第2の発振子、第2の振動片)を含む。また物理量測定装置400は、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2が収容されるパッケージ410を含むことができる。パッケージ410は、例えばベース部412とリッド部414により構成される。ベース部412は、セラミック等の絶縁材料からなる例えば箱型等の部材であり、リッド部414は、ベース部412に接合される例えば平板状等の部材である。ベース部412の例えば底面には外部機器と接続するための外部接続端子(外部電極)が設けられている。ベース部412とリッド部414により形成される内部空間(キャビティー)に、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2が収容される。そしてリッド部414により密閉することで、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2がパッケージ410内に気密に封止される。
図21に本実施形態の物理量測定装置400の構成例を示す。物理量測定装置400は、本実施形態の回路装置10と、クロック信号CK1を生成するための発振子XTAL1(第1の発振子、第1の振動片)と、クロック信号CK2を生成するための発振子XTAL2(第2の発振子、第2の振動片)を含む。また物理量測定装置400は、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2が収容されるパッケージ410を含むことができる。パッケージ410は、例えばベース部412とリッド部414により構成される。ベース部412は、セラミック等の絶縁材料からなる例えば箱型等の部材であり、リッド部414は、ベース部412に接合される例えば平板状等の部材である。ベース部412の例えば底面には外部機器と接続するための外部接続端子(外部電極)が設けられている。ベース部412とリッド部414により形成される内部空間(キャビティー)に、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2が収容される。そしてリッド部414により密閉することで、回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2がパッケージ410内に気密に封止される。
回路装置10と発振子XTAL1、XTAL2は、パッケージ410内に実装される。そして発振子XTAL1、XTAL2の端子と、回路装置10(IC)の端子(パッド)は、パッケージ410の内部配線により電気的に接続される。回路装置10には、発振子XTAL1、XTAL2を発振させるための発振回路101、102が設けられ、これらの発振回路101、102により発振子XTAL1、XTAL2を発振させることで、クロック信号CK1、CK2が生成される。
例えば前述の特許文献4の従来手法では、第1、第2の発振回路は第1、第2の水晶発振器に設けられており、回路装置は第1、第2の発振回路を内蔵していない。このため同期化回路110による第1、第2のクロック信号の位相同期を実現することはできない。また第1、第2の発振回路に共通する制御処理を、回路装置において実行することができないという不利点がある。
なお、物理量測定装置400の構成としては種々の変形実施が可能である。例えばベース部412が、平板状の形状であり、リッド部414が、その内側に凹部が形成されるような形状であってもよい。またパッケージ410内での回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2の実装形態や配線接続などについても種々の変形実施が可能である。また発振子XTAL1、XTAL2は完全に別体に構成されている必要は無く、1つの部材に形成された第1、第2の発振領域であってもよい。また物理量測定装置400(パッケージ410)に3つ以上の発振子を設けてもよい。この場合には回路装置10に、それに対応する3つ以上の発振回路を設ければよい。
図22に、本実施形態の回路装置10を含む電子機器500の構成例を示す。この電子機器500は、本実施形態の回路装置10、発振子XTAL1、XTAL2、処理部520を含む。また通信部510、操作部530、表示部540、記憶部550、アンテナANTを含むことができる。回路装置10と発振子XTAL1、XTAL2により物理量測定装置400が構成される。なお電子機器500は図22の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
電子機器500としては、例えば距離、時間、流速又は流量等の物理量を計測する計測機器、生体情報を測定する生体情報測定機器(超音波測定装置、脈波計、血圧測定装置等)、車載機器(自動運転用の機器等)、基地局又はルーター等のネットワーク関連機器、頭部装着型表示装置や時計関連機器などのウェアラブル機器、印刷装置、投影装置、ロボット、携帯情報端末(スマートフォン、携帯電話機、携帯型ゲーム装置、ノートPC又はタブレットPC等)、コンテンツを配信するコンテンツ提供機器、或いはデジタルカメラ又はビデオカメラ等の映像機器などの種々の機器を想定できる。
通信部510(無線回路)は、アンテナANTを介して外部からデータを受信したり、外部にデータを送信する処理を行う。処理部520は、電子機器500の制御処理や、通信部510を介して送受信されるデータの種々のデジタル処理などを行う。また処理部520は、物理量測定装置400で測定された物理量情報を用いた種々の処理を行う。この処理部520の機能は、例えばマイクロコンピューターなどのプロセッサーにより実現できる。
操作部530は、ユーザーが入力操作を行うためのものであり、操作ボタンやタッチパネルディスプレイをなどにより実現できる。表示部540は、各種の情報を表示するものであり、液晶や有機ELなどのディスプレイにより実現できる。なお操作部530としてタッチパネルディスプレイを用いる場合には、このタッチパネルディスプレイが操作部530及び表示部540の機能を兼ねることになる。記憶部550は、データを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどの半導体メモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
図23に、本実施形態の回路装置を含む移動体の例を示す。本実施形態の回路装置(発振器)は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、ロボット、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器(車載機器)を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。図23は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。自動車206(移動体)には、本実施形態の回路装置と発振子を有する物理量測定装置(不図示)が組み込まれる。制御装置208は、この物理量測定装置に測定された物理量情報に基づいて種々の制御処理を行う。例えば物理量情報として、自動車206の周囲の物体の距離情報が測定された場合に、制御装置208は、測定された距離情報を用いて自動運転のための種々の制御処理を行う。制御装置208は、例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪209のブレーキを制御する。なお本実施形態の回路装置や物理量測定装置が組み込まれる機器は、このような制御装置208には限定されず、自動車206等の移動体に設けられる種々の機器(車載機器)に組み込むことが可能である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(クロックサイクル指定情報、制御信号等)と共に記載された用語(クロックサイクル指定値、制御電圧等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また回路装置、物理量測定装置、電子機器、移動体の構成・動作や、位相同期処理、発振処理、時間デジタル変換処理、第1、第2の信号の生成処理、位相比較処理等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
OS1、OS2…発振信号、LP1、LP2…発振ループ、
SWA、SWB…スイッチ回路、BA1〜BA5…バッファー回路、
CK1、CK2…第1、第2のクロック信号、f1、f2…第1、第2のクロック周波数、
XTAL1、XTAL2…第1、第2の発振子、Δt…分解能、
STA、STP…第1、第2の信号、
CIN…クロックサイクル指定値(クロックサイクル指定情報)、
CCT…クロックサイクル値、DQ…デジタル値、TDF…時間差、
TR…クロック間時間差、TCNT…カウント値、TS…測定期間、
TM、TMA、TMB…位相同期タイミング、
TP、TP1〜TP4…更新期間、N、M…クロック数、
10…回路装置、20…時間デジタル変換回路、
21、22…第1、第2の位相検出器、30…処理部、31…出力コード生成部、
32…信号出力部、33…レジスター部、40…カウンター部、
100…発振回路、101、102…第1、第2の発振回路、110…同期化回路、
112…カウンター、114…制御部、
206…自動車(移動体)、207…車体、208…制御装置、209…車輪、
400…物理量測定装置、410…パッケージ、412…ベース部、414…リッド部、
500…電子機器、510…通信部、520…処理部、530…操作部、
540…表示部、550…記憶部
SWA、SWB…スイッチ回路、BA1〜BA5…バッファー回路、
CK1、CK2…第1、第2のクロック信号、f1、f2…第1、第2のクロック周波数、
XTAL1、XTAL2…第1、第2の発振子、Δt…分解能、
STA、STP…第1、第2の信号、
CIN…クロックサイクル指定値(クロックサイクル指定情報)、
CCT…クロックサイクル値、DQ…デジタル値、TDF…時間差、
TR…クロック間時間差、TCNT…カウント値、TS…測定期間、
TM、TMA、TMB…位相同期タイミング、
TP、TP1〜TP4…更新期間、N、M…クロック数、
10…回路装置、20…時間デジタル変換回路、
21、22…第1、第2の位相検出器、30…処理部、31…出力コード生成部、
32…信号出力部、33…レジスター部、40…カウンター部、
100…発振回路、101、102…第1、第2の発振回路、110…同期化回路、
112…カウンター、114…制御部、
206…自動車(移動体)、207…車体、208…制御装置、209…車輪、
400…物理量測定装置、410…パッケージ、412…ベース部、414…リッド部、
500…電子機器、510…通信部、520…処理部、530…操作部、
540…表示部、550…記憶部
Claims (16)
- 第1の発振子を発振させて、第1のクロック周波数の第1のクロック信号を生成する第1の発振回路と、
第2の発振子を発振させて、前記第1のクロック周波数とは異なる第2のクロック周波数の第2のクロック信号を生成する第2の発振回路と、
前記第1の発振回路での第1の発振信号と前記第2の発振回路での第2の発振信号を、位相同期タイミング毎に位相同期させる同期化回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。 - 請求項1に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1のクロック信号の遷移タイミングと前記第2のクロック信号の遷移タイミングを、前記位相同期タイミング毎に一致させる位相同期を行うことを特徴とする回路装置。 - 請求項1又は2に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1の発振回路の第1の発振ループと前記第2の発振回路の第2の発振ループを、前記位相同期タイミング毎に電気的に接続することを特徴とする回路装置。 - 請求項3に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1の発振回路が含む発振用の第1のバッファー回路の出力ノードと、前記第2の発振回路が含む発振用の第2のバッファー回路の出力ノードを接続することを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
第1の位相同期タイミングと第2の位相同期タイミングの間の期間の長さが、前記第1のクロック信号のNクロック数に対応する長さとなり、且つ、前記第2のクロック信号のMクロック数(N、Mは2以上の異なる整数)に対応する長さとなるように、前記位相同期タイミング毎の位相同期を行うことを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の一方のクロック信号に基づいてカウント動作を行うカウンターを含み、前記カウンターのカウント値が所与の設定値に達する毎に、前記第1の発振信号と前記第2の発振信号の位相同期を行うことを特徴とする回路装置。 - 請求項6に記載の回路装置において、
前記設定値は、第1の位相同期タイミングと第2の位相同期タイミングの間の期間における前記一方のクロック信号のクロック数に対応する値に、設定されていることを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1の発振回路及び前記第2の発振回路の一方の発振回路を起動し、一方の発振回路の起動後の前記位相同期タイミングで、他方の発振回路を起動することを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記同期化回路は、
前記第1の発振回路及び前記第2の発振回路の一方の発振回路の発振信号を、他方の発振回路の発振ループに、前記位相同期タイミング毎に伝達することを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記第1のクロック周波数の前記第1のクロック信号と前記第2のクロック周波数の前記第2のクロック信号とが入力され、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号を用いて時間をデジタル値に変換する時間デジタル変換回路を含むことを特徴とする回路装置。 - 請求項10に記載の回路装置において、
前記時間デジタル変換回路は、
前記第1のクロック周波数と前記第2のクロック周波数の周波数差に対応する分解能で時間をデジタル値に変換することを特徴とする回路装置。 - 請求項10又は11に記載の回路装置において、
前記時間デジタル変換回路は、
前記第1のクロック周波数をf1とし、前記第2のクロック周波数をf2とした場合に、Δt=|1/f1−1/f2|=|f1−f2|/(f1×f2)となる分解能Δtで、時間をデジタル値に変換することを特徴とする回路装置。 - 請求項10乃至12のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記時間デジタル変換回路は、
第1の信号と第2の信号の遷移タイミングの時間差をデジタル値に変換することを特徴とする回路装置。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の回路装置と、
前記第1のクロック信号を生成するための前記第1の発振子と、
前記第2のクロック信号を生成するための前記第2の発振子と、
を含むことを特徴とする物理量測定装置。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする移動体。
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JP2016187911A JP2018056676A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | 回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 |
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JP2016187911A Pending JP2018056676A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | 回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 |
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