以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に介するセパレータと、非水電解質とを具備する。負極は、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を含む。負極は、放電状態における電気抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にある。セパレータは、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きい。この細孔体積比率は、水銀圧入法により得られる積算細孔体積頻度曲線から求められる。
発明者らは、非水電解質電池の負極活物質にLi吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を用いると共に、細孔直径が1μm以上である細孔がセパレータの細孔体積の大半を占めるセパレータを用い、更に、負極の放電状態の電気抵抗を100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内とすることで、寿命特性に優れ且つ自己放電の少ない電池を実現できることを見出した。
ここで、細孔直径が1μm以上である細孔がセパレータの細孔体積の大半を占めるセパレータとは、具体的には、細孔直径が1μm以上である細孔がセパレータの全細孔体積の70%よりも多くの体積を占めるセパレータを意味する。このようなセパレータは、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きい。この細孔体積比率は、セパレータの水銀圧入法での細孔直径分布測定から得られる積算細孔体積頻度曲線から求められる。
非水電解質電池では、充放電サイクルを繰り返すと、電池反応の副反応により生じる副生成物がセパレータの細孔に蓄積し、その結果、セパレータの目詰まりが生じ得る。セパレータに目詰まりが生じると、電池抵抗が上昇し得る。しかしながら、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きいセパレータは、セパレータのこのような目詰まりを防止することができ、ひいては電池の抵抗上昇を抑えることができる。
また、負極は、セパレータの貫通孔部分を介して正極に接触すると、その接触部分が速やかに放電状態となる。第1の実施形態に係る非水電解質が具備する負極は放電状態での電気抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にあるので、負極のうち放電状態となった部分は絶縁体として働くことができる。負極のうち放電状態となった部分のおかげで、正極と接触することにより引き起こされる自己放電は、ほとんど進行せずに停止する。つまり、負極のうち放電状態となった部分は、非水電解質電池の更なる自己放電の進行を防止することができる。
更に、非水電解質電池の負極活物質にLi吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を用いることにより、充放電サイクルによるリチウムデンドライドの析出を抑えることができる。その結果、リチウムデンドライドの析出に起因する短絡、自己放電及び発火などの危険性を避けることができる。
これらのおかげで、第1の実施形態に係る非水電解質電池は、優れた寿命特性を示すことができ、自己放電を抑えることができる。
セパレータの細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%よりも小さいと、セパレータの目詰まりが起こり易い。その結果、電池の抵抗上昇が起こり得る。セパレータの細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率は、99%以下であることが好ましい。
セパレータは、モード径が1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。セパレータのモード径は、セパレータの水銀圧入法により得られる細孔直径分布曲線において、細孔体積が最も大きい細孔径、すなわち最頻細孔径である。モード径が1〜20μmの範囲内にあるセパレータは、セパレータの目詰まりに起因する抵抗増加と、自己放電とを、更に抑えることができる。
セパレータは、厚さが3〜25μmの範囲内にあることが好ましい。厚さが3〜25μmの範囲内にあるセパレータは、セパレータの目詰まりに起因する抵抗増加と、自己放電とを、更に抑えることができる。
負極の放電状態の電気抵抗が100Ω・cmより小さいと、正極と負極とがセパレータの貫通孔部分で接触した際に起こる自己放電反応が、電池全体が放電状態になるまで進行するおそれがある。一方、負極の放電状態の電気抵抗が100000Ω・cmより大きい場合、負極の抵抗が大き過ぎ、出力特性が低下してしまう。負極の放電状態の電気抵抗のより好ましい範囲は、200Ω・cm〜10000Ω・cmである。
非水電解質電池の負極活物質にLi吸蔵電位が1V vs. Li/Li+未満である負極活物質を用いると、充放電サイクルにより負極の表面上にリチウムデンドライドが析出し得る。リチウムデンドライドは、非水電解質電池の短絡、自己放電及び発火を引き起こし得る。
セパレータの細孔状態は、様々な要因を組み合わせて調整することができる。
例えば、セパレータの細孔状態は、原料の繊維径[μm]、繊維長[μm]、材質及び形状の異なる原料の混合比率、坪量[g/m2]、セパレータの厚さ[μm]、密度[g/cm3]ならびにセパレータの製造方法などの条件を工夫して組み合わせることによって調整することができる。
負極の放電状態の電気抵抗は、様々な要因を組み合わせて制御することができる。
例えば、負極の放電状態の電気抵抗は、負極活物質自体の電気抵抗と、負極活物質に混合する導電剤の電気抵抗と、負極におけるこれらの混合比率とで制御することができる。
例えば、負極活物質としてスピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4+xTi5O12(xは充放電反応により−1≦x≦3の範囲で変化する)と導電剤としてグラファイトとを用いた混合電極の場合を例に挙げて説明する。スピネル型リチウムチタン複合酸化物は、放電状態では絶縁体である。ここで、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の比表面積をA[m2/g]とし、電極層中のスピネル型リチウムチタン複合酸化物の重量含有比率をBとし、グラファイトの比表面積をC[m2/g]とし、電極層中のグラファイトの重量含有比率をDとする。このような負極では、AB/CDの値を4〜25の範囲内とすると、負極の放電状態の電気抵抗を100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内とすることができる。ただし、負極密度や活物質と導電剤の分散状態によって、電気抵抗が変化することもある。
水銀圧入法によるセパレータの細孔直径分布は、以下の方法で測定することができる。
まず、非水電解質電池を解体する。解体は、例えば電池をアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことができる。次いで、解体した非水電解質電池から電極群を取り出す。取り出した電極群から、ピンセット等を用いてセパレータを取り出す。取り出したセパレータを、メチルエチルカーボネートで洗浄し、セパレータ中のLi塩を取り除く。洗浄後、セパレータを乾燥させて、測定試料とする。
次いで、測定試料を、測定分析装置に装入する。測定装置としては、例えば、島津製作所製細孔分布測定装置オートポア9520形が挙げられる。この装置の測定に際しては、この装置の試料セルに、測定試料を約25mm幅のサイズに裁断したものを折りたたんで入れ込むことで、細孔直径分布を測定することができる。
このようにして得られたセパレータの細孔直径分布から、積算細孔体積頻度曲線及び細孔直径分布曲線が得られる。
このようにして得られた積算細孔体積頻度曲線から、測定したセパレータの細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率を求めることができる。
また、このようにして得られた細孔直径分布曲線において、測定したセパレータのモード径を求めることができる。
次に、放電状態の負極の電気抵抗の測定方法について説明する。
まず、室温において電池に適当な抵抗をつなぎ、電池電圧(開回路電圧)が1Vに達するまで放電を行う。次いで、このようにして放電した電池を、先に説明したようにして解体する。次いで、解体した電池から電極群を取り出し、取り出した電極群から負極を取り出す。次いで、取り出した電極をメチルエチルカーボネートで洗浄することで、負極中のLi塩を取り除く。洗浄した負極を乾燥させ、次いで、この負極を一定面積のリードで挟み込み、この状態で一定の圧力、例えば50kgf/cm2をかける。次いで、負極の表面および裏面のそれぞれに接触するリードをホイートストンブリッジに接続し、抵抗を測定する。
ホイートストンブリッジより読み取れる電気抵抗をR[Ω]、測定部分の電極面積をS[cm2]、電極厚さをT[cm]としたとき電気抵抗率[Ω・cm]は以下の式により計算される。
電気抵抗率[Ω・cm]=S[cm2]×R[Ω]/T[cm]
このようにして算出された電気抵抗が、放電状態の負極の電気抵抗である。
セパレータの厚さは、以下の手順により測定することができる。長さが500mmのセパレータを折り目が長さ方向に直角になるように10枚に折り重ねてJIS B7502で規定の外側マイクロメータ(スピンドル径6.35mm、測定長25mm以下)で厚さを測定する。このようにして得られた値を10で除した商を、セパレータ厚さとする。
次に、第1の実施形態に係る非水電解質電池について、詳細に説明する。
第1の実施形態に係る非水電解質電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に介するセパレータと、非水電解質とを具備する。
正極は、正極集電体と、正極集電体の片面又は両面に担持された正極材料層(正極活物質含有層)とを含むことができる。
正極材料層は、正極活物質を含むことができる。正極材料層は、必要に応じて、導電剤及び結着剤を更に含むこともできる。
正極集電体は、表面に正極材料層を担持していない部分を含むこともできる。正極集電体のうち正極材料層無担持部分は、正極タブとして働くことができる。或いは、正極は、正極集電体とは別体の正極タブを含むこともできる。
負極は、負極集電体と、負極集電体の片面又は両面に担持された負極材料層(負極活物質含有層)とを含むことができる。
負極材料層は、負極活物質を含むことができる。Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質は、負極材料層に含まれ得る。負極材料層は、必要に応じて、導電剤及び結着剤を更に含むこともできる。
負極集電体は、表面に負極材料層を担持していない部分を含むことができる。この部分は、負極タブとして働くことができる。或いは、負極は、負極集電体とは別体の負極タブを含むこともできる。
セパレータは、正極と負極との間に介する。それにより、正極材料層と負極材料層とは、セパレータを介して対向することができる。
正極、負極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電極群は、様々な構造を有することができる。例えば、電極群は、スタック型の構造を有することができる。スタック型構造の電極群は、例えば、複数の正極及び負極を、正極材料層と負極材料層との間にセパレータを挟んで積層することによって得ることができる。或いは、電極群は、巻回型の構造を有することができる。巻回型の電極群は、例えば、一枚のセパレータと、一枚の正極と、もう一枚のセパレータと、一枚の負極とをこの順で積層させて積層体を作り、この積層体を負極が外側にくるように巻回することによって得ることができる。
非水電解質は、このような電極群に含浸され得る。
第1の実施形態に係る非水電解質電池は、正極端子及び負極端子を更に具備することができる。
正極端子は、その一部が正極の一部に電気的に接続されることによって、正極と外部回路との間で電子が移動するための導体として働くことができる。正極端子は、例えば、正極集電体、特に正極タブに接続することができる。同様に、負極端子は、その一部が負極の一部に電気的に接続されることによって、負極と外部端子との間で電子が移動するための導体として働くことができる。負極端子は、例えば、負極集電体、特に負極タブに接続することができる。
第1の実施形態に係る非水電解質電池は、外装部材を更に具備することができる。外装部材は、電極群及び非水電解質を収容することができる。正極端子及び負極端子のそれぞれの一部は、外装部材から延出させることができる。
以下、第1の実施形態に係る非水電解質電池について、部材ごとに詳細に説明する。
1)負極
負極集電体には、例えば金属箔または合金箔が用いられる。特にアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム箔、アルミニウム合金箔は、50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは5μm以下の平均結晶粒径を有することが望ましい。アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の平均結晶粒径を50μm以下にすることによって、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができる。このため、プレス時の圧力を高めて負極材料層を高密度化して負極容量を増大させることが可能になる。また、高温環境下(40℃以上)における過放電サイクルでの集電体の溶解及び腐食を原因とする劣化を防ぐことができる。このため、負極インピーダンスの上昇を抑制することができる。さらに、出力性能、急速充電、充放電サイクル性能も向上させることができる。
平均結晶粒径は次のようにして求められる。集電体表面の組織を光学顕微鏡で組織観察し、1mm×1mm内に存在する結晶粒の数nを求める。このnを用いてS=1×106/n(μm2)から平均結晶粒子面積Sを求める。得られたSの値から下記(A)式により平均結晶粒子径d(μm)を算出する。
d=2(S/π)1/2 (A)
アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は、材料組織、不純物、加工条件、熱処理履歴、及び焼鈍条件など複数の因子から複雑な影響を受けて変化する。結晶粒径は、集電体の製造工程の中で上記諸因子を組合せて制御することにより、調整することが可能である。
集電体の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下であることが望ましい。アルミニウム箔は99質量%以上の純度を有することが好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金であることが好ましい。合金成分として含まれる鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属は1質量%以下にすることが好ましい。
先に説明したように、負極活物質は、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質、すなわちリチウムに対し1V以上(好ましくは1.1V以上3V以下)の電位で充放電反応が可能な負極活物質を含む。
ここで、反応電位の測定法について説明する。まず、測定対象たる負極活物質を作用極とし、金属リチウムを対極及び参照極とした3電極式セルを作製する。この3電極式セルにおいて、作用極の電気容量の1/10の電流値、つまり0.1Cレートでリチウムの挿入脱離反応を行う。この際のリチウム脱離反応における平均作動電位を、負極活物質の反応電位とする。なお、ここでは、1Cレートを、電極の電気容量を1時間で放電させるのに必要な電流値を1Cレートと定義し、実際の電流値の1Cレートに対する比をその電流値のレートとしている。
Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質としては、例えば、スピネル型リチウムチタン複合酸化物が挙げられる。スピネル型リチウムチタン複合酸化物としては、Li4+xTi5O12(xは充放電反応により0≦x≦3の範囲で変化する)などを挙げることができる。
これ以外のLi吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出することができるリチウム化合物が挙げられる。このようなリチウム化合物としては、リチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウム窒化物などが挙げられる。これらの中には、未充電状態ではリチウムを含まない金属化合物であるが、充電によりリチウムを含むようになる化合物も含まれる。
充電によりリチウムを含むようになる酸化物としては、例えば、チタン含有金属複合酸化物、例えばSnB0.4P0.6O3.1などのアモルファススズ酸化物、例えばSnSiO3などのスズ珪素酸化物、例えばSiOなどの酸化珪素、例えばWO3などのタングステン酸化物などが挙げられる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好ましい。
チタン含有金属複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物などを挙げることができる。スピネル型リチウムチタン複合酸化物以外のリチウムチタン酸化物としては、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムなどを挙げることができる。ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムとしては、Li2+yTi3O7(yは充放電反応により−1≦y≦3の範囲で変化する)などが挙げられる。チタン系酸化物としては、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Nb及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物などが挙げられる。TiO2はアナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Nb及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2-P2O5、TiO2-V2O5、TiO2-P2O5-SnO2、TiO2-P2O5-MeO(Meは、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素である)、Nb2TiO7などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相とが共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能を大幅に向上させることができる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Nb及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物が好ましい。
硫化物としては、例えば、例えばTiS2などの硫化チタン、例えばMoS2などの硫化モリブデン、例えば、FeS、FeS2、LixFeS2(0≦x≦2)などの硫化鉄などが挙げられる。
窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物(例えば、LixCoyN、ここで、0<x<4であり、0<y<0.5である)などが挙げられる。
これらの活物質は1種類でも用いてもよいし2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
導電剤としては、例えばカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、グラフェン、フラーレン類、コークス、炭素繊維、金属粉末等を挙げることができる。中でもカーボンブラック、黒鉛、グラフェンが好ましく、カーボンブラックとしてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。
負極は、例えば、粉末状の負極活物質に導電剤及び結着剤を添加し、これらを適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物(スラリー)を集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状電極にすることにより作製することができる。
この際、負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質73〜98重量%、導電剤0〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
2)正極
正極活物質には、種々の酸化物、硫化物などが挙げられる。例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LixMn2O4またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-y-zCoyMzO2(MはAl,CrおよびFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である))、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMn1-y-zCoyMzO2(MはAl、CrおよびFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である))、リチウムマンガンニッケル複合化合物(例えばLixMn1/2Ni1/2O2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(例えばFe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料および無機材料も挙げられる。なお、上記に好ましい範囲の記載がないx、y及びzについては、0以上1以下の範囲であることが好ましい。
正極活物質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
導電剤としては、例えばカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、グラフェン、フラーレン類、コークス、炭素繊維、金属粉末等を挙げることができる。中でもカーボンブラック、黒鉛が好ましく、カーボンブラックとしてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。
正極集電体は、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔から形成されることが望ましい。アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、30μm以下である。更に好ましくは5μm以下である。平均結晶粒径が50μm以下であることにより、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができ、正極を高いプレス圧で高密度化することが可能になり、電池容量を増大させることができる。
集電体の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99質量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1質量%以下にすることが好ましい。
この正極は、例えば、正極活物質に導電剤及び結着剤を添加し、これらを適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物をアルミニウム箔などの集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状電極にすることにより作製される。
この際、正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
3)非水電解質
この非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質塩とを含むことができる。また、非水溶媒中にはポリマーを含んでもよい。ただし、Bを有するLi塩が電解質塩として含まれることが好ましい。
電解質塩の例としては、LiPF6、LiBF4、Li(CF3SO2)2N(ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム;通称LiTFSI)、LiCF3SO3(通称LiTFS)、Li(C2F5SO2)2N(ビスペンタフルオロエタンスルホニルアミドリチウム;通称LiBETI)、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、ビスオキサラトホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2(通称LiBOB))、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiF2BC2O4)、ジフルオロ(トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロ−メチルプロピオナト(2−)−0,0)ホウ酸リチウム(LiBF2(OCOOC(CF3)2)(通称LiBF2(HHIB)))、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)等のリチウム塩が挙げられる。これらの電解質塩は一種類で使用してもよいし又は二種類以上を混合して用いてもよい。特に、LiPF6、LiBF4、ビスオキサラトホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2(通称LiBOB))、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiF2BC2O4)、ジフルオロ(トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロ−メチルプロピオナト(2−)−0,0)ホウ酸リチウム(LiBF2(OCOOC(CF3)2)(通称LiBF2(HHIB)))、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)が好ましい。
電解質塩濃度は、0.5M以上、3.0M以下の範囲内とすることが好ましい。これにより、高負荷電流を流した場合の性能を向上することができる。
非水溶媒としては、特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeHF)、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル(AN)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネイト(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等が挙げられる。これらの溶媒は1種類で使用してもよいし又は2種類以上を混合して用いてもよい。また、溶媒を二種類以上組み合わせる場合、全ての溶媒に誘電率が20以上のものの中から選ぶことが好ましい。
この非水電解質に、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、特に限定されるものではないが、ビニレンカーボネイト(VC)、フルオロビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、フルオロメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネート、ビニレンアセテート(VA)、ビニレンブチレート、ビニレンヘキサネート、ビニレンクロトネート、カテコールカーボネート、プロパンスルトン、ブタンスルトン等が挙げられる。添加剤の種類は、1種類又は2種類以上にすることができる。
4)セパレータ
セパレータの材料は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、セルロース、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン及びビニロンのようなポリマーで作られた多孔質フィルム又は不織布を用いることができる。この多孔質フィルム又は不織布中に無機粒子が含まれてもよい。セパレータの材料は1種類であってもよく、或いは、2種類以上を組合せて用いてもよい。
5)外装部材
外装部材は、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルム又は厚さ3mm以下の金属製容器が用いられる。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましい。また、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレン系樹脂、フッ素系樹脂等からなる樹脂製容器を用いてもよい。
外装部材の形状、すなわち電池形状としては、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型等が挙げられる。また、電池は、例えば携帯用電子機器等に積載される小型用途、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型用途のいずれにも適用することができる。
ラミネートフィルムは、樹脂層間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属が含む場合、その量は100ppm以下にすることが好ましい。
6)負極端子
負極端子は、アルミニウム、又は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、又はSiから選択される少なくとも1種類の元素を含有するアルミニウム合金から形成することができる。負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極端子は負極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
7)正極端子
正極端子は、アルミニウム、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu、又はSiから選択される少なくとも1種類の元素を含有するアルミニウム合金から形成されることが好ましい。正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極端子は正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第1の実施形態に係る非水電解質電池の例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る一例の非水電解質電池の分解斜視図である。図2は、図1に示す非水電解質電池が具備する電極群の一部展開斜視図である。
図1に示す電池100は、密閉型の角型非水電解質電池である。非水電解質電池100は、外装缶1と、蓋2と、正極外部端子3と、負極外部端子4と、電極群5とを具備している。外装缶1と蓋2とは、外装部材を構成している。
外装缶1は、有底角筒形状をなし、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄又はステンレスなどの金属から形成される。
図2に示すように、偏平型の電極群5は、正極6と負極7とがその間にセパレータ8を介して偏平形状に捲回されたものである。正極6は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の長辺に平行な一端部からなる正極集電タブ6aと、少なくとも正極集電タブ6aの部分を除いて正極集電体に形成された正極材料層(正極活物質含有層)6bとを含む。一方、負極7は、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の長辺に平行な一端部からなる負極集電タブ7aと、少なくとも負極集電タブ7aの部分を除いて負極集電体に形成された負極材料層(負極活物質含有層)7bとを含む。
このような正極6、セパレータ8及び負極7は、正極集電タブ6aが電極群5の捲回軸方向にセパレータ8から突出し、かつ負極集電タブ7aがこれとは反対方向にセパレータ8から突出するよう、正極6及び負極7の位置をずらして捲回されている。このような捲回により、電極群5は、図2に示すように、一方の端面から渦巻状に捲回された正極集電タブ6aが突出し、かつ他方の端面から渦巻状に捲回された負極集電タブ7aが突出している。電解液(図示しない)は、電極群5に含浸されている。
図1に示すように、正極タブ6a及び負極タブ7aは、それぞれ、電極群5の捲回中心付近を境にして二つの束に分けられており、2つの導電性の挟持部材9のそれぞれによって挟持されている。挟持部材9は、略コの字状をした第1の挟持部9a及び第2の挟持部9bと、これら第1の挟持部9aと第2の挟持部9bとを電気的に接続する連結部9cとを有する。正極タブ6aの一方の束は、1つの挟持部材9の第1の挟持部9aによって挟持されており、正極タブ6aの他方の束は、同じ挟持部材9の第2の挟持部9bによって挟持されている。同様に、負極タブ7aの一方の束は、もう1つの挟持部材9の第1の挟持部9aによって挟持されており、負極タブ7aの他方の束は、同じ挟持部材9の第2の挟持部9bによって挟持されている。
正極リード10は、略長方形状の支持板10aと、支持板10aに開口された貫通孔10bと、支持板10aから二股に分岐し、下方に延出した短冊状の集電部10c及び10dとを有する。一方、負極リード11は、略長方形状の支持板11aと、支持板11aに開口された貫通孔11bと、支持板11aから二股に分岐し、下方に延出した短冊状の集電部11c及び11dとを有する。
正極リード10の集電部10c及び10dは間に1つの挟持部材9を挟んでいる。集電部10cは、挟持部材9の第1の挟持部9aに配置されている。集電部10dは、第2の挟持部9bに配置されている。集電部10c及び10dと、第1及び第2の挟持部9a及び9bと、正極集電タブ6aとは、例えば超音波溶接によって接合されている。これにより、電極群5の正極6と正極リード10とが正極集電タブ6aを介して電気的に接続されている。
負極リード11の集電部11c及び11dは間にもう1つの挟持部材9を挟んでいる。集電部11cは、挟持部材9の第1の挟持部9aに配置されている。一方、集電部11dは、第2の挟持部9bに配置される。集電部11c及び11dと、第1及び第2の挟持部9a及び9bと、負極集電タブ7aとは、例えば超音波溶接によって接合されている。これにより、電極群5の負極7と負極リード11が負極集電タブ7aを介して電気的に接続されている。
正極リード10及び負極リード11並びに挟持部材9の材質は、特に指定しないが、正極外部端子3及び負極外部端子4と同じ材質にすることが望ましい。正極外部端子3には、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が使用され、負極外部端子4には、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ニッケル、ニッケルメッキされた鉄などが使用される。例えば、外部端子の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、リードの材質をアルミニウム、アルミニウム合金にすることが好ましい。また、外部端子が銅の場合は、リードの材質を銅などにすることが望ましい。
矩形板状の蓋2は、外装缶1の開口部に例えばレーザでシーム溶接されている。蓋2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。蓋2と外装缶1とは、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。正極外部端子3は、正極リード10の支持板10aと電気的に接続され、負極外部端子4は、負極リード11の支持板11aと電気的に接続されている。正極外部端子3と蓋2との間、及び負極外部端子4と蓋2との間には、それぞれ、絶縁ガスケット12が配置されており、正極外部端子3と負極外部端子4と蓋2とを電気的に絶縁している。絶縁ガスケット12は、樹脂成形品であることが望ましい。
第1の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、負極が、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を含む。また、負極の放電状態における電気抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にある。更に、セパレータは、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きい。この非水電解質電池は、セパレータの目詰まりを防止すると共に、自己放電を防ぐことができる。その結果、この非水電解質電池は、優れた寿命特性を示すことができ、自己放電を抑えることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第1の実施形態に係る非水電解質電池を含む。
第2の実施形態に係る電池パックは、1個の非水電解質電池を備えてもよいし、複数個の非水電解質電池を備えてもよい。また、第2の実施形態に係る電池パックが複数の非水電解質電池を備える場合、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置することができるし、直列接続及び並列接続を組み合わせて配置することもできる。
次に、第2の実施形態に係る電池パックの一例を、図面を参照して説明する。
図3は、第2の実施形態に係る一例の電池パックの分解斜視図である。図4は、図3に示す電池パックの電気回路を示すブロック図である。
図3及び図4に示す電池パック200は、図1及び図2に示した構造を有する複数個の扁平型電池100を含む。
複数個の単電池100は、外部に延出した負極外部端子4及び正極外部端子3が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結されており、それにより組電池23を構成している。これらの単電池100は、図4に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板24が、複数の単電池100の負極外部端子4及び正極外部端子3が延出している側面に対向して配置されている。プリント配線基板24には、図4に示すように、サーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、プリント配線基板24の組電池23と対向する面には、組電池23の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
組電池23の最下層に位置する単電池100の正極外部端子3に正極側リード28が接続されており、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。組電池23の最上層に位置する単電池100の負極外部端子4に負極側リード30が接続されており、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29及び31は、プリント配線基板24に形成された配線32及び33をそれぞれ通して保護回路26に接続されている。
サーミスタ25は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路26に送信する。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断することができる。所定の条件の例は、例えばサーミスタ25から、単電池100の温度が所定温度以上であるとの信号を受信したときである。また、所定の条件の他の例は、単電池100の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池100又は単電池100全体について行われる。個々の単電池100を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。図3及び図4の電池パック200では、単電池100それぞれに電圧検出のための配線35が接続されており、これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
正極外部端子3及び負極外部端子4が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
組電池23は、各保護シート36及びプリント配線基板24と共に収納容器37内に収納されている。すなわち、収納容器37の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート36が配置されており、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置されている。組電池23は、保護シート36及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収納容器37の上面に取り付けられている。
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮チューブを周回させた後、熱収縮チューブを熱収縮させて組電池を結束させる。
図3及び図4に示した電池パック200は複数の単電池100を直列接続した形態を有するが、第2の実施形態に係る電池パックは、電池容量を増大させるために、複数の単電池100を並列に接続してもよい。或いは、第2の実施形態に係る電池パックは、直列接続と並列接続とを組合せて接続された複数の単電池100を備えてもよい。組み上がった電池パック200をさらに直列又は並列に接続することもできる。
また、図3及び図4に示した電池パック200は複数の単電池100を備えているが、第2の実施形態に係る電池パックは1つの単電池100を備えるものでもよい。
また、電池パックの実施形態は用途により適宜変更される。本実施形態に係る電池パックは、大電流を取り出したときにサイクル特性が優れていることが要求される用途に好適に用いられる。具体的には、デジタルカメラの電源として、又は、例えば二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及び、アシスト自転車の車載用電池として用いられる。特に、車載用電池として好適に用いられる。
第2の実施形態に係る電池パックは、第1の実施形態に係る非水電解質電池を含む。そのおかげで、第2の実施形態に係る電池パックは、優れた寿命特性を示すことができ、自己放電を抑えることができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、以下の手順により、図1及び図2に示す構造を有する非水電解質電池100を作製した。
<正極6の作製>
正極活物質として、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2を準備した。また、導電剤として、グラファイト及びアセチレンブラックを準備した。そして、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を準備した。次に、正極活物質、グラファイト、アセチレンブラック及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、グラファイトは、作製する正極全体に対して2.5重量%の割合になるように添加した。アセチレンブラックは、作製する正極全体に対して2.5重量%の割合になるように添加した。PVdFは、作製する正極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物をn−メチルピロリドン(NMP)溶媒中に分散して、スラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔に単位面積当たりの塗布量が80g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスした。かくして、電極密度が3.0g/cm3である正極6を作製した。
<負極7の作製>
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.4V〜2.0V vs. Li/Li+の範囲内であり、比表面積が10m2/gであるスピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を準備した。また、導電剤として比表面積が18m2/gであるグラファイトを準備した。そして、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質、グラファイト、及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、グラファイトは、作製する負極全体に対して5重量%になるように添加した。PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が120g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が2.1g/cm3である帯状の負極7を作製した。
負極7において、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の比表面積Aが10m2/gであり、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の重量含有比率Bが90であり、グラファイトの比表面積Cが18m2/gであり、グラファイトの重量含有比率Dが5であった。すなわち、実施例1の負極7は、AB/CDの値が10であった。
<非水電解質の調製>
33体積%のプロピレンカーボネート(PC)及び67体積%のジメチルカーボネート(DMC)からなる非水溶媒中に、1.0MのLiPF6を混合して溶解させて、非水電解質を調製した。
<電池の組み立て>
厚さが20μmのセルロース製不織布からなるセパレータ8を用意した。
このセパレータ8に、先に調製した非水電解質を含浸させた。次いで、このセパレータ8で先に作製した正極6を覆い、次に、先に作製した負極7をセパレータ8を介して正極6と対向するように重ねて積層体を得た。この積層体を、渦巻状に捲回し、渦巻状の電極群5を作製した。この電極群5をプレスに供して、図2に示すような扁平状に成形した。
この扁平状電極群5を、厚さ0.3mmのアルミニウムからなる缶形状の容器1に挿入して、蓋体2で封止した。このようにして、図1及び図2に示す、厚さ5mm、幅30mm、高さ25mm、重量100gの扁平型非水電解質電池100を作製した。
<電池容量の測定>
得られた電池を25℃環境下で20mAで電池電圧が2.8Vに達するまで定電流で充電したのちに充電電流が5mAとなるまで定電圧で充電を行った。つづいて20mAで電池電圧が1.5Vに達するまで放電して電池容量を確認したところ得られた電池容量は250mAhであった。
<寿命特性評価>
得られた電池を、25℃環境にて電池電圧が2.0Vになるように調整したのちに1kHzにおける抵抗値を測定した。続いて、得られた電池に対して、60℃環境にて5Cの電流値で2.6Vで充電し5Cの電流値で1.8V放電するというサイクル試験を50000回実施し、環境温度を25℃に戻したのちに電池電圧が2.0Vとなるように調整してから、1kHzにおける抵抗値を測定した。
<自己放電評価>
得られた電池を、25℃環境下で20mAで電池電圧が1.5Vに達するまで放電したのちに、20mAで電池容量の半分まで、すなわち電池容量が125mAhの状態まで充電した。得られた電池を−20℃環境下で2週間放置して、つづいて環境温度を25℃に戻したのちに20mAで電池電圧が1.5Vに達するまで放電した時の電池容量を測定した。半充電容量から得られた電池容量を減じることで自己放電量を算出した。
<負極の放電状態における電気抵抗>
実施例1の非水電解質電池100が具備する負極7の放電状態における電気抵抗を、先に説明した方法により測定した。この負極7の放電状態における電気抵抗は、8000Ω・cmであった。
<セパレータ8の細孔直径分布測定>
実施例1の非水電解質電池100が具備するセパレータ8の細孔直径分布測定を、先に説明したように水銀圧入法により行った。この細孔直径分布測定の結果得られた積算細孔体積頻度曲線を図5に示し、細孔直径分布曲線を図6に示す。なお、図5及び図6は、横軸を細孔直径(μm)の対数とした片対数グラフである。
図5に示す積算細孔体積頻度曲線から、実施例1の非水電解質電池100が具備するセパレータ8は、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が78%であることが分かった。また、図6に示す細孔径分布曲線から、セパレータ8のモード径が2.6μmであることが分かった。
(実施例2)
実施例2では、Li吸蔵電位が1.2V〜2.0V vs. Li/Li+の範囲内であるブロンズ型二酸化チタンTiO2(B)を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様の電池を作製した。負極7におけるTiO2(B)の重量含有比率は実施例1と同じとした。
(実施例3)
実施例3では、Li吸蔵電位が1.0V〜2.0V vs. Li/Li+の範囲内である単斜晶型ニオブチタン酸化物Nb2TiO7を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様の電池を作製した。負極7におけるNb2TiO7の重量含有比率は実施例1と同じとしたとした。
(実施例4及び5)
実施例4及び5では、セパレータを変更した以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
(実施例6)
実施例6では、以下に示すようにして作製した負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.4V〜2.0V vs. Li/Li+以上であり、比表面積が10m2/gであるスピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を準備した。また、導電剤として比表面積が18m2/gであるグラファイトを準備した。そして、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質、グラファイト、及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、グラファイトは、作製する負極全体に対して2.85重量%になるように添加した。PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が155g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が2.1g/cm3である帯状の負極を作製した。
負極7において、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の比表面積Aが10m2/gであり、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の重量含有比率Bが92.15であり、グラファイトの比表面積が18m2/gであり、グラファイトの重量含有比率Dが2.85であった。すなわち、実施例6の負極7は、AB/CDの値が18であった。
(実施例7)
実施例7では、以下に示すようにして作製した負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.4V〜2.0V vs. Li/Li+以上であり、比表面積が10m2/gであるスピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を準備した。また、導電剤として比表面積が18m2/gであるグラファイトを準備した。そして、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質、グラファイト、及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、グラファイトは、作製する負極全体に対して9.5重量%になるように添加した。PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が155g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が2.1g/cm3である帯状の負極を作製した。
負極7において、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の比表面積Aが10m2/gであり、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の重量含有比率Bが85.5であり、グラファイトの比表面積が18m2/gであり、グラファイトの重量含有比率Dが9.5であった。すなわち、実施例7の負極7は、AB/CDの値が5であった。
(実施例8〜10)
実施例8〜10では、セパレータを変更した以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
(比較例A)
比較例Aでは、セパレータを変更した以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
(比較例B)
比較例Bでは、以下に示すようにして作製した負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
負極活物質として、Li吸蔵電位が1.4V〜2.0V vs. Li/Li+の範囲内であり、比表面積が10m2/gであるスピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を準備した。また、導電剤として比表面積が18m2/gであるグラファイトを準備した。そして、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質、グラファイト、及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、グラファイトは、作製する負極全体に対して15重量%になるように添加した。PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が155g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が2.1g/cm3である帯状の負極を作製した。
負極7において、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の比表面積Aが10m2/gであり、スピネル型リチウムチタン複合酸化物の重量含有比率Bが80であり、グラファイトの比表面積が18m2/gであり、グラファイトの重量含有比率Dが15であった。すなわち、比較例Bの負極7は、AB/CDの値が3であった。
(比較例C)
比較例Cでは、以下に示すようにして作製した負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
負極活物質として、Li吸蔵電位がLi吸蔵電位が1.4V〜2.0V vs. Li/Li+の範囲内であり、比表面積が10m2/gであるリチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を準備した。また、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が130g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が2.1g/cm3である帯状の負極を作製した。
すなわち、比較例Cの非水電解質電池の負極は、導電剤を含んでいなかった。
(比較例D)
比較例Dでは、以下に示すようにして作製した負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
負極活物質として、Li吸蔵電位が0.01V〜0.9V vs. Li/Li+の範囲内であるグラファイトを準備した。また、結着剤としてPVdFを準備した。次に、負極活物質(グラファイト)及びPVdFを混合して混合物を得た。この際、PVdFは、作製する負極全体に対して5重量%となるように添加した。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に単位面積当たりの塗布量が60g/m2になるように塗布し、乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜をプレスして、集電体上に負極材料層を形成した。かくして、電極密度が1.5g/cm3である帯状の負極7を作製した。
得られた電池を25℃環境下で20mAで電池電圧が4.2Vに達するまで定電流で充電したのちに充電電流が5mAとなるまで定電圧で充電を行った。つづいて20mAで電池電圧が3.0Vに達するまで放電して電池容量を確認したところ得られた電池容量は250mAhであった。
(比較例E及びF)
比較例E及びFでは、セパレータを変更した以外は実施例2及び3とそれぞれ同様にして非水電解質電池を作製した。
実施例2〜10及び比較例A〜Fの非水電解質電池に対して、実施例1と同様に、寿命特性評価、自己放電評価、負極の放電状態の抵抗の測定及びセパレータの細孔直径分布の測定を行った。その結果を、実施例1の結果と合わせて、以下の表1及び表2に示す。
表1の結果から、実施例1〜10の非水電解質電池100は、サイクル前に低い抵抗値を示すことができた共に、保管による自己放電及びサイクルによる抵抗上昇を抑えることができたことが分かる。
用いた負極活物質が異なる実施例1〜3の結果を比較すると、負極活物質が異なっていても、負極活物質のLi吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上であれば、保管による自己放電及びサイクルによる抵抗上昇を同様に抑えることができたことが分かる。
一方、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+未満であるグラファイトを負極活物質として用いた比較例Dは、実施例1〜3に比べて、保管による自己放電及びサイクルによる抵抗上昇が著しく大きかった。これは、比較例Dでは、負極の放電状態の抵抗が低いこととサイクルにより負極上にリチウムが析出したこととが原因であると思われる。
また、用いたセパレータのみが異なる実施例1、4、5、及び8〜10、並びに比較例Aの結果を比較すると、比較例Aは、実施例1、4、5、及び8〜10と同様に自己放電を抑えることができたものの、サイクルによる抵抗値の上昇がこれらの実施例に比べて著しく大きかったことが分かる。これは、比較例Aでは、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%未満であったため、サイクルによりセパレータの細孔の目詰まりが生じたことが原因であると考えられる。更に、実施例2の結果と比較例Eの結果との比較、及び実施例3の結果と比較例Fの結果との比較から、負極活物質の種類が異なっても同様の傾向を確認することができた。
負極の放電状態の抵抗が異なる実施例1、6及び7の結果の比較から、負極の放電状態の抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にあるこれらの実施例は、保管による自己放電及びサイクルによる抵抗上昇を同様に抑えることができたことが分かる。
一方、負極の放電状態の抵抗が100Ω・cm未満であった比較例Bは、実施例1、6及び7に比べて、保管による自己放電量が著しく大きかった。これは、比較例Bは、負極の放電状態の抵抗が低過ぎたために、正極と負極とがセパレータの貫通孔部分で接触した際に起こる自己放電反応が進行してしまったことが原因であると考えられる。
また、負極の放電状態の抵抗が100000Ω・cmより高かった比較例Cは、実施例1、6及び7に比べて、抵抗値が著しく高かった。これは、比較例Cは、負極の放電状態の抵抗が高すぎたことが原因であると考えられる。比較例Cの電池は、このように抵抗が高かったために、出力特性に著しく劣っていた。
以上に説明した少なくとも一つの実施形態及び実施例に係る非水電解質電池は、負極が、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を含む。また、負極の放電状態における電気抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にある。更に、セパレータは、細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きい。この非水電解質電池は、セパレータの目詰まりを防止すると共に、自己放電を防ぐことができる。その結果、この非水電解質電池は、優れた寿命特性を示すことができ、自己放電を抑えることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、原出願の出願当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]正極と負極とその間に介在するセパレータと非水電解質を具備する非水電解質電池において、前記負極は、Li吸蔵電位が1V vs. Li/Li+以上である負極活物質を含み、放電状態における電気抵抗が100Ω・cm〜100000Ω・cmの範囲内にあり、前記セパレータの水銀圧入法より得られる積算細孔体積頻度曲線から求められる細孔直径が1μm以上である細孔の細孔体積比率が70%より大きいことを特徴とする非水電解質電池。
[2]前記セパレータの水銀圧入法により得られる細孔直径分布曲線におけるモード径が、1〜20μmの範囲内にあることを特徴とする[1]に記載の非水電解質電池。
[3]前記セパレータの厚さが3〜25μmの範囲内であることを特徴とする[2]に記載の非水電解質電池。
[4]前記負極活物質は、Li4+xTi5O12(0≦x≦3)を含むことを特徴とする[2]に記載の非水電解質電池。
[5][1]に記載の非水電解質電池を含むことを特徴とする電池パック。