JP2018054514A - 反射波同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既知の波形で発震される音波を用いることによって、その反射波の信号を容易に推定することができる、反射波推定方法を提供する。【解決手段】反射波推定方法は、既知の波形の音波を発震し、その反射波を含む音波を観測し、その受波信号に観測対象物からの反射波の信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化するモデル生成ステップStep1と、定式化したモデルに送波信号及び受波信号のデータを入力するデータ入力ステップStep2と、受波信号のデータから最初の値を減ずるステップ(Step31)及び受波信号のデータを最後の値で引き延ばすステップ(Step32)を含む前処理ステップStep3と、定式化された前記モデルから逆畳み込み処理により観測対象物からの反射波の信号を推定する推定ステップStep4と、を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、反射波同定方法に関し、特に、既知の波形で発震される音波の反射波の信号を同定するための反射波同定方法に関する。
大陸棚や深海底には豊富な資源(例えば、石油、天然ガス、メタンハイドレート、多金属団塊、マンガン・クラスト、海底熱水鉱床等)が存在している。特に、近年の資源価格の高騰により海洋資源開発の必要性が高まっている。
海底資源探査方法としては、例えば、特許文献1に記載されたように、所定の帯域の音波を発震可能な音源を用い、その反射波をストリーマケーブル(曳航型受振器)で計測する方法が既に提案されている。かかる探査方法は、海中で大振幅の音響信号を発振し、その反射波を観測することで、地中の状態の把握及び天然資源の埋蔵位置や量の推定を行うものである。また、かかる探査方法では、各地層間で音速が異なることを利用して、地層の各地点からの反射波を解析又は分析することにより、地層の形状や音速(すなわち物性) を知ることができる。
ところで、反射波には観測対象物(地層や天然資源等)からの反射波に加えて種々のノイズが含まれている。したがって、海底の状況をより正確に把握するには、ノイズを除去することが一般的に行われる。例えば、特許文献2には、複雑な海底地形が存在する海域の、海底地形に依存した音波の反射による、不要なエコー信号を残響として除去するためのアクティブソーナー装置が開示されている。
特開2014−137320号公報 特開2014−41135号公報
しかしながら、観測対象物がどこにどのような状態で存在しているか把握できていない状況下において、海中環境は時々刻々と変化するものであること、広帯域の音波を用いて観測した場合には全域に渡って種々のノイズが含まれてしまうこと等の理由から、観測対象物からの反射波とノイズとを分離することは一般に困難である。
そこで、本発明では、既知の波形で発震される音波を用いることによって、その反射波の信号を容易に同定することができる、反射波同定方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、既知の波形の音波を発震し、その反射波を含む音波を観測し、その受波信号に観測対象物からの反射波の信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化するモデル生成ステップと、定式化された前記モデルから逆畳み込み処理により前記観測対象物からの反射波の信号を同定する同定ステップと、を含むことを特徴とする反射波同定方法が提供される。
前記同定ステップは、均一な物質で構成された部分を音波が通過している間は反射がないものと仮定し、前記受波信号が時間的にスパースなものとして前記モデルを最適化することを含んでいてもよい。さらに、前記同定ステップは、畳み込みを時間領域ではなく周波数領域で考えることによって逆畳み込み処理を行うようにしてもよい。
また、前記同定ステップは、受波信号のデータから最初に受信した受波信号の振幅の値を減ずるとともに受波信号のデータを最後に受信した受波信号の振幅の値で引き延ばす前処理ステップを含んでいてもよい。
また、前記同定ステップは、最急降下写像及び近接写像を用いて逆畳み込み処理を行うようにしてもよい。さらに、前記同定ステップは、ネステロフの加速法を用いることを含んでいてもよい。
また、前記モデル生成ステップは、数式(1)により前記モデルを定式化するようにしてもよい。
上述した反射波同定方法によれば、エアガンのような波形が不明確な震源を用いずに、送波信号が既知で明確な波形の音波を発震することにより、観測した受波信号に観測対象物からの反射波の信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化し、その式を逆畳み込み処理によって解くことによって反射波の信号を容易に同定することができる。
本発明の一実施形態に係る反射波同定方法を示すフロー図である。 震源に入力される信号の波形の一例を示す図である。 受波信号の一例を示す図であり、(a)は前処理前の波形、(b)前処理後の波形、を示している。 同定ステップを示すフロー図である。 図1に示した反射同定方法を用いた探査システムの一例を示す図である。 同定した反射波の一例を示す図であり、(a)は本実施形態により同定した反射波の波形、(b)は従来技術により同定した反射波の波形、を示している。
以下、本発明の実施形態及び実施例について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る反射波同定方法を示すフロー図である。図2は、震源に入力される信号の波形の一例を示す図である。図3は、受波信号の一例を示す図であり、(a)は前処理前の波形、(b)前処理後の波形、を示している。図4は、同定ステップを示すフロー図である。
本発明の一実施形態に係る反射波同定方法は、図1に示したように、既知の波形の音波を発震し、その反射波を含む音波を観測し、その受波信号に観測対象物からの反射波の信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化するモデル生成ステップStep1と、定式化したモデルに送波信号及び受波信号のデータを入力するデータ入力ステップStep2と、受波信号のデータから最初の値を減ずるステップ(Step31)及び受波信号のデータを最後の値で引き延ばすステップ(Step32)を含む前処理ステップStep3と、定式化された前記モデルから逆畳み込み処理により観測対象物からの反射波の信号を同定する同定ステップStep4と、を含んでいる。
本実施形態に係る反射同定方法は、送信波として、発震する音波の周波数や発震時間等が調整可能である等、発震波形が明確な音波を使用していることを一つの特徴としている。例えば、図2に示したように、震源に入力される信号の波形、すなわち、震源により発震される音波の波形は、既知であり、明確である。かかる音波は、例えば、油圧サーボ、圧電素子、電動機等を用いた音波発生装置により発震可能である。
なお、図示した波形は単なる一例であり、送信波の波形が既知である限り、本実施形態においては、音波の振幅、周波数、発震時間等を調整することにより任意の波形の音波を使用することができる。
ところで、海底探査では、震源として一般にエアガンが用いられている。エアガンは、圧縮空気を海中に放出することによって震動(音波)を生成する装置であるが、エアガンによって生成された音波の波形をコントロールすることは難しく、実際に水中でどのような波形の音波が放出されたかを知ることは困難である。
それに対して、上述した既知の波形を有する音波を発震可能な震源(音波発生装置)は、発震する音波を予め明確に定義しておくことができる。一方で、音波発生装置により発震される音波は、エアガンと比較して一般に周波数帯域が狭いという特性(狭帯域性)を有している。
したがって、震源により再生できない帯域の音波は、受振器で反射波として観測することができないことから、受波信号と送波信号との相互相関(パルス圧縮)による処理では、受波信号に含まれる観測対象物の反射波が時間的に引き延ばされてしまうという問題が生じる。
また、反射波の観測には、観測対象物の位置をより明確にするために、複数の受振器(ハイドロホン、海底設置型地震計等)を用いることが好ましい。海底探査や地中探査における観測対象物(地層、天然資源等)からの反射波は、パルス状(ある間隔で振幅の大きな信号を含む状態)であるものと仮定することができる。
モデル生成ステップStep1は、観測対象物に適したモデルを定式化するステップである。具体的には、上述した震源(音波発生装置)の狭帯域性に起因する時間局在性の低下を畳み込みとして数式(1)によりモデル化する。数式(1)は、震源から発震された信号に反射波の情報が畳み込まれているモデルを仮定したものである。
なお、加法性ノイズとは、一般に、反射波の信号に重なる周囲の雑音(ノイズ)を意味する。それに対して、受振器の個体差等に起因する信号の歪みは一般に乗法性ノイズと呼ばれている。
数式(1)によれば、送波信号及び受波信号は既知であることから、パルス状の反射波を同定する逆畳み込み問題を考えればよいことがわかる。もし、送波信号が全周波数帯域を含む信号であれば、加法性ノイズをガウス雑音と仮定することにより、最小二乗問題である数式(2)を解くことによって妥当に同定される。
しかしながら、上述したように送波信号は、所望の帯域全てを含んでいるとは限らない。その場合、最小二乗問題は不定な問題となり、その解は無数に存在することとなる。したがって、無限のバリエーションがある解のうち、何らかの基準により妥当な解を選び出す必要がある。
ここで「妥当」とは、処理の目的に対して有用であることを意味し、海底探査の場合は、より海底の状態を把握しやすい解が「妥当」であることになる。すなわち、時間・空間的に反射波が局在しているイメージングに適した解を妥当な解と定義することができる。なお、本実施形態に係る反射波同定方法は、数式(2)の解を同定することを排除するものではない。
数式(1)から逆畳み込み処理によって反射波の信号を効率よく同定するには、後述する同定ステップStep4において、フーリエ変換を通じて周波数領域における最適化問題を解くことが好ましい。かかる同定ステップStep4では、高速フーリエ変換を用いる都合上、データに周期境界を仮定する必要があり、人工的なノイズ(アーチファクト) が発生する可能性がある。アーチファクトが発生する主な要因は、巡回畳み込みによるデータ観測モデルと処理の不一致と、データの不連続性による広帯域ノイズの出現である。そこで、アーチファクトの発生を予防するための前処理を導入することが好ましい。
例えば、図3(a)に示した受波信号は、基準値を0とすれば、初期サンプル値(最初に受信した受波信号の振幅の値)及び最終サンプル値(最後に受信した受波信号の振幅の値)の両端において基準値と不連続であることから、バンドパスフィルタを使用したときに悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、まず、初期サンプル値及び最終サンプル値の両端における不連続性を回避するために、受波信号のデータ(生データd)から最初の値(初期サンプル値d)を減ずる処理を行う(Step31)。この処理によって書き換えられるデータをd′とすれば、d′=d−dの処理を行う。
次に、フーリエ変換を用いることによる巡回畳み込みに対しては、データd′の後ろを最後の値(最終サンプル値)で引き延ばす処理を行うことによって線形畳み込みに変換する(Step32)。具体的には、受波信号のデータ点数(長さ)をN、送波信号のデータ点数(長さ)をNとすれば、受波信号及び送波信号の両方のデータ点数(長さ)がN+Nとなるようにそれぞれ最終サンプル値のデータを引き延ばす。
例えば、受波信号の最終サンプル値のデータが0である場合には、図3(b)に示したように、受波信号のデータの後ろに0を付け加えることとなる。かかる処理によって、巡回畳み込みと線形畳み込みの結果とを丸め誤差の範囲内で一致させることができ、高速フーリエ変換によるモデルミスマッチの問題を回避することができる。
なお、Step31とStep32とは順序を入れ替えてもよく、Step32を先に行う場合には、データdの後ろを最後の値(最終サンプル値)で引き延ばすようにすればよい。
一方、人工的にデータを付け加えたため、周期境界におけるデータの境目に置いて不連続性が生じ、周波数領域では広帯域なノイズになってしまう可能性がある。例えば、海底探査では、波や流れに起因する超低周波ノイズが大量に含まれており、そのような不連続性が存在すれば観測対象物からの信号を埋もれさせてしまうおそれもある。
そこで、バンドパスフィルタを用いて、ノイズの情報のみしか含まれていない帯域を除去することが好ましい(Step33)。このように、バンドパスフィルタを用いて所定の帯域を除去することにより、受波信号の元データと引き延ばし部分とを連続的に接続することができる。
なお、バンドパスフィルタにより除去される帯域は、超低周波ノイズの帯域に限定されるものではなく、送波信号に含まれない帯域において任意に設定することができる。また、送波信号の帯域以外におけるノイズが少ない場合には、バンドパスフィルタ処理(Step33)を省略するようにしてもよい。
上述したように、数式(1)の最小二乗問題は不定な問題となり、本来そのままでは解くことができない。したがって、何らかの別の情報を用いて妥当な解を選び出すことが必要となる。そのような情報は「先験情報(prior information)」と呼ばれており、「先験情報」は経験によって問題を解く前から知っている情報であることを意味している。
本実施形態では、受波信号が「スパースである」という先験情報を用いて反射波を同定する。ここで、ある集合が「スパースである」とは、その集合の要素の多くが0(ゼロ)で構成されていることを意味している。なお、先験情報は、観測場所や観測条件等によって種々変更することができ、例えば、最小二乗問題において「最も大きさ(ノルム) の小さい解が良い解である」と知っている場合には、最小ノルム最小二乗解と呼ばれる解を求めることもできる。
スパース性を利用した同定方法において、まず、受波信号の時間的スパース性を利用することを検討する。例えば、海底探査で観測されるべき反射波は、地層や天然資源の境界面の反射によって得られる。そこで、均一な物質で構成された媒体を音波が通過している間は反射がないものと仮定すれば、音波は境界面のみで反射し、その他の部分では反射しないスパースな信号として観測されるはずである。
したがって、数式(1)におけるパルス状の反射波そのものがスパースであると仮定することができる。かかる仮定により、無数にある解の中から最もスパースな解を選べば、妥当な解が得られることを期待することができる。すなわち、均一な物質で構成された部分を音波が通過している間は反射がないものと仮定し、受波信号が時間的にスパースなものとして数式(1)により定式化されたモデルを最適化することができる。
数式(2)の最小二乗問題は、未知であるパルス状の反射波に既知である送波信号が畳み込まれて観測される畳み込みモデルを表していることから、「モデルの当てはまり」を良い解の基準として用いた最適化問題であると読み替えることができる。すなわち、畳み込みモデルで表すことのできる解のうち、観測信号との誤差が最も少ない解を良い解とする問題である。
一方、よりスパースな解を得たい場合には、「スパースである」ことを最適化問題として定式化する必要がある。具体的には、数式(3)に示すような最適化問題を考える。ここで、Λはスパース性を計る実数値関数であり、スパースである場合は小さな値を示し、スパースでない場合は大きな値を示すものとする。
最適化問題は、数式(3)において、Λを小さくするような解を探せばよいことになるが、明らかに最もスパースなものは全ての要素が0の状態である。しかしながら、そのような自明な解を得ても意味がないことから、数式(3)の大括弧部分内の第一項でモデルの当てはまりを計ることで、「観測になるべく近い」という条件を与えることとする。
このとき、受波信号に近い信号でもΛを小さくするようなスパースな解を得ることができるはずであり、正則化パラメータλ>0によってスパース性の度合いを調節することができる。すなわち、λが大きいほど0の個数が増えていき、よりスパースな解を得ることができる。
スパース正則化項Λをスパースな解に誘導する効果を持ちつつ、より解きやすい関数で代替することを考えた場合、多くのスパース推定手法で採用されている数式(4)に示したlノルムを採用することができる。lノルムは、lノルムの凸関数による近似であり、容易に最適化することができ、最も普及しているスパース誘導項である。この数式(4)を用いることにより、数式(3)は数式(5)のように書き換えることができる。
この数式(5)を用いて最適化問題を解くことも考えられるが、発明者らの実験の結果、数式(5)では優れた同定を行うことができない場合もあることがわかった。そこで、本実施形態では、畳み込みを時間領域ではなく周波数領域で考えることとし、数式(5)を数式(6)に書き直して逆畳み込み処理を行うことが好ましい。なお、本実施形態において、記号の真上に記載した^(ハット)はフーリエ変換後であることを示している。
ここで、対角行列のうち震源により再生できない帯域に対応する小さな要素は0で置き換えるものとする。このとき、時間領域におけるスパース性は、逆フーリエ変換をした後にlノルムを計る合成関数によって誘導することができる。このように、周波数領域で定式化し直すことにより、狭帯域な送波信号による観測に対する逆畳み込み処理の不定性を明確にすることができる。
数式(6)の周波数領域における解集合は、数式(7)のように表すことができる。ここで、数式(7)の大括弧部分内の第一項は微分可能であり、同じ大括弧部分内の第二項は微分不可能であるが、近接作用素が容易に計算可能であることから、一般的な凸最適化問題の具体形と捉えることができる。したがって、数式(7)は、凸最適化問題に対応したアルゴリズム(例えば、前方後方分離型近接法)を用いて解くことができる。
前方後方分離型近接法は、数式(8)を反復することにより凸最適化問題の解に収束する点列を得るアルゴリズムである。ただし、kは反復のインデックスであり、μはステップサイズパラメータである。μは∇fのリプシッツ(Lipschitz)定数βに対してμ(k)∈(0,2/β)となるように選ぶ必要がある。
ここで、以下の数式(10)が満たされることから数式(11)が成立し、数式(9)、数式(11)及び数式(12)を組み合わせることによって、数式(13)によって表現されるアルゴリズムを導くことができる。なお、数式(12)は一般にsoft-thresholding operatorと呼ばれている。
数式(13)のアルゴリズムに含まれる最急降下写像(中括弧部分)は、対角行列が0でない成分についてのみ計算すればよい。また、xは実数値のみをとるべきであるから、正の周波数成分のみを考慮して差し支えないこととなる。一方、数式(13)の小括弧部分の第一項目の行列部分(Sの真上に^*Sの真上に^)及び第二項目のベクトル部分(Sの真上に^*dの真上にハット)は予め計算できることから、各反復において定数として扱うことができる。また、フーリエ変換及び逆フーリエ変換については、FFTW(Fastest Fourier Transform in the West)等に収録されている高速フーリエ変換アルゴリズムを用いることにより効率よく計算することができる。
前方後方分離型近接点法は、それぞれの反復ごとにアルゴリズムの軌跡を外挿するネステロフ(Nesterov)の加速法によって大幅に収束を早めることができる。具体的には、数式(8)のアルゴリズムの各反復において、1ステップ前の情報x(k-1)を用いて以下の数式(14)のように表すことができ、数式(14)において、x(0)=x(1)としてk=1から反復すれば、生成される点列は数式(8)のアルゴリズムよりも早く解集合に向かって進んでいくことになる。このアルゴリズムは、一般に、FISTA(Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm」と呼ばれている。
数式(14)を数式(13)のアルゴリズムに適用することにより数式(15)を得ることができる。ここで、上段の式はネステロフの加速法を意味し、下段の式における中括弧部分は最急降下写像を意味し、中括弧よりも前の部分(先頭部分)は近接写像を意味している。
以上の検討から、モデル生成ステップStep1において数式(1)により定式化されたモデルは、数式(15)を解くことによって反射波の信号を同定することができる。すなわち、同定ステップStep4は、図4に示したように、データを初期化するステップ(Step41)と、ネステロフの加速法を用いて現在の変数を計算するステップ(Step42)と、数式(15)の中括弧部分に表示される最急降下写像処理を行うステップ(Step43)と、数式(15)の先頭部分に表示される近接写像処理を行うステップ(Step44)と、Step42〜44の処理を反復するか否か判定(終了判定)するステップ(Step45)と、を含むものとして表現することができる。
終了判定(Step45)は、例えば、ループが規定回数に達したか否か、数式(7)の大括弧部分により表現された評価関数値が所定の閾値に達したか否か、評価関数値の変動分が所定の閾値に達したか否か、変数(xの真上に^)の変動分が所定の閾値に達したか否か等のいずれか又は複数の基準によって処理される。
ここで、図5は、図1に示した反射同定方法を用いた探査システムの一例を示す図である。また、図6は、同定した反射波の一例を示す図であり、(a)は本実施形態により同定した反射波の波形、(b)は従来技術により同定した反射波の波形、を示している。
図5に示した探査システム1は、海底探査を行う際に使用されるシステムであり、水中に沈められ所定の音波を発震可能な震源2と、略直線状に配列され水中の音波を観測可能な複数の受振器3l(図では「l」は筆記体で表示している。)と、複数の受振器3lの受波信号から反射波Wrの信号を同定する制御装置4と、を備えている。なお、本実施形態に係る反射波同定方法は海底探査への適用に限定されるものではなく、例えば、地上における地中探査等の類似する探査にも適用することができる。
震源2は、例えば、油圧サーボを用いた音波発生装置である。かかる音波発生装置の原理は例えば、特開平8−280089号公報等に詳細に記載されている。なお、震源2はかかる音波発生装置に限定されるものではないが、発震する音波の周波数や発震時間等が調整可能である等、発震波形が明確な音波を生成可能な装置であることが必要である。
震源2は、例えば、ケーブル21を介して曳航船5に接続されている。震源2は、例えば、水深数十m〜数百mあるいは数千mまでの深い水中に沈められる。なお、震源2は、曳航船5に曳航されるものに限定されず、例えば、自走式水中航走体に接続したものであってもよいし、海底に固定したものであってもよい。
複数の受振器3lは、例えば、複数のハイドロフォンをケーブルに連結したストリーマケーブル3(曳航型受振器)により構成される。ストリーマケーブル3は、例えば、一端がケーブルを介して曳航船5に接続され、他端がケーブルを介してブイ6に接続されている。曳航船5及びブイ6を用いることにより、ストリーマケーブル3を略直線状に展張することができる。なお、図示した受振器31の構成は単なる一例であり、かかる構成に限定されるものではない。例えば、受振器31は単一であってもよいし、海底に固定にしたものであってもよい。
また、「略直線状」とは、複数の受振器3lが文字通り直線状に配列した場合に限定されるものではなく、左右方向又は上下方向に蛇行している場合や湾曲している場合を含む趣旨であり、全体として一方向に配列した状態を保持することができていればよい。
ストリーマケーブル3に配置される受振器3lの個数は任意であるが、少なくとも三個以上であることが好ましい。また、受振器3lは、震源2に近い側から離れる方向に向かってl=1,2,3,…,Nと番号を振るものとし、各受振器3lをチャンネルと呼ぶこともある。
制御装置4は、震源2から発震される音波の周波数、波形、発震時刻等の制御を行う他、図1に示したフロー図に基づいて反射波Wrの信号を同定する処理を行う。なお、制御装置4は、震源2の制御機能と反射波Wrの同定機能とを分離して別の制御装置で処理するようにしてもよい。また、反射波Wrの同定機能を有する制御装置4は、曳航船5に配置される場合に限定されず、ブイ6に配置されていてもよいし、専用の作業船に配置されていてもよいし、地上基地に配置されていてもよい。なお、ストリーマケーブル3から制御装置4へのデータ伝送は有線であってもよいし無線であってもよい。
上述した探査システム1において、震源2から音波を発震すると、音波は水中で球形状に伝播する。各受振器3lは、海底や地層等に反射して伝播した音波(反射波Wr)及びノイズ(波の音、船舶のプロペラ音、海洋生物の発する音等)を受信する。各受振器3lが受信した信号(受波信号)は制御装置4に伝送される。
受波信号には、観測対象物(地層や天然資源等)の反射波Wrだけでなく種々のノイズも含まれている。上述した本実施形態に係る反射波同定方法では、エアガンのような波形が不明確な震源を用いずに、送波信号が既知で明確な波形の音波を震源2から発震することにより、観測した受波信号に観測対象物からの反射波Wrの信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化し、その式を逆畳み込み処理によって解くことによって、反射波Wrの信号を同定している。
上述した探査システム1において、本実施形態に係る反射波同定方法の妥当性を検討するために、シミュレーションによって反射波Wrの信号を同定した結果を図6(a)に示している。また、その妥当性を比較検討するために、従来技術である通常の相互相関によって反射波Wrの信号を同定した結果を図6(b)に示している。
図6(b)に示したように、通常の相互相関によって反射波Wrを同定した場合には、いくつかのピーク値が見られるものの、パルスの幅が広いうえに、いわゆるサイドローブ(ピーク値の両側で脈動する波形)も漏れ残ることとなる。したがって、この反射波Wrの同定信号を用いて海底探査画像を生成した場合には、欠損や鮮明度の低下等を生じ、画質が低下してしまうこととなる。
それに対して、本実施形態に係る反射波同定方法を用いた場合には、図6(a)に示したように、幅の狭いパルスを明確に同定することができるとともに、いわゆるサイドローブの漏れ残りも少なくすることができる。したがって、この反射波Wrの同定信号を用いて海底探査画像を生成した場合には、欠損や鮮明度の低下等を抑制することができ、鮮明な画像を生成することができ、画質の向上を図ることができる。
本発明は上述した実施形態及び実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1 探査システム
2 震源
3 ストリーマケーブル
3l 受振器
4 制御装置
5 曳航船
6 ブイ
21 ケーブル
Step1 モデル生成ステップ
Step2 データ入力ステップ
Step3 前処理ステップ
Step4 同定ステップ

Claims (7)

  1. 既知の波形の音波を発震し、その反射波を含む音波を観測し、その受波信号に観測対象物からの信号が畳み込まれていると仮定したモデルを定式化するモデル生成ステップと、
    定式化された前記モデルから逆畳み込み処理により前記観測対象物からの反射波の信号を同定する同定ステップと、
    を含むことを特徴とする反射波同定方法。
  2. 前記同定ステップは、均一な物質で構成された部分を音波が通過している間は反射がないものと仮定し、前記受波信号が時間的にスパースなものとして前記モデルを最適化することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反射波同定方法。
  3. 前記同定ステップは、畳み込みを時間領域ではなく周波数領域で考えることによって逆畳み込み処理を行う、ことを特徴とする請求項2に記載の反射波同定方法。
  4. 前記同定ステップは、受波信号のデータから最初に受信した受波信号の振幅の値を減ずるとともに受波信号のデータを最後に受信した受波信号の振幅の値で引き延ばす前処理ステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反射波同定方法。
  5. 前記同定ステップは、最急降下写像及び近接写像を用いて逆畳み込み処理を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の反射波同定方法。
  6. 前記同定ステップは、ネステロフの加速法を用いることを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の反射波同定方法。
  7. 前記モデル生成ステップは、数式(1)により前記モデルを定式化する、ことを特徴とする請求項1に記載の反射波同定方法。

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WO2020147099A1 (zh) * 2019-01-18 2020-07-23 深圳大学 一种智能电子设备的水下操控系统及其操控方法
JP6966824B1 (ja) * 2021-09-03 2021-11-17 株式会社アーク・ジオ・サポート 深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システム
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