JP2018054108A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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Hayato KODAMA
勇人 児玉
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祐輔 渡部
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Abstract

【課題】摺動特性と耐摩耗性を両立することができると共に、使用による疲労や破壊が起きにくく、且つ製造が容易な摺動部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、ライニング層は、焼結金属からなる多孔質金属焼結層であり、裏金層は、ライニング層が形成された側の表面に凹部を有し、凹部及びその上方に位置する多孔質金属焼結層の密度が、他の多孔質金属焼結層の部分よりも低い摺動部材とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材及びその製造方法に関し、より詳細には、摺動層として多孔質金属焼結層を有する摺動部材及びその製造方法に関する。
従来、建機や自動車などの各種機械において、ハウジングに挿通された軸を回転可能とするために、すべり軸受などの摺動部材が用いられており、これに関する技術も開示されている。
摺動部材は、例えば、裏金層とライニング層とを備えたブシュを備え、該ブシュは、裏金層の表面で金属粉末を焼結することにより形成されたバイメタルの焼結合金からなり、この焼結合金がライニング層を形成している。また、このブシュを備えた摺動部材は、例えば、燃料噴射ポンプ、エンジン、変速機、ショックアブソーバー等においてすべり軸受として用いられている。すべり軸受は円筒形状を成し、その内部に形成される中空部分にて円柱状の相手軸を軸受けする。
すべり軸受は、流体潤滑下における高速かつ高温での摺動特性が必要であり、そのためには初期なじみ性・耐焼付き性といった性能が必要である。一方、すべり軸受には耐摩耗性も要求されている。そこで耐摩耗性を劣化させることなく摺動特性を高めることが望まれており、摺動特性と耐摩耗性の両立といった相反する特性を摺動部材に持たせるための検討が種々なされている。
例えば、特許文献1には、裏金の表面に形成するライニング層を、摺動特性に優れる部材(第1の摺動部材)と耐摩耗性に優れる部材(第2の摺動部材)の2種類で構成し、第1の摺動部材を銅系摺動部材とし、第2の摺動部材を鉄系摺動部材で形成することが提案されている。
特開2007−333185号公報
上記特許文献1の技術では、素材の異なった2種類の摺動部材を用いることにより摺動特性と耐摩耗性の両立を図るものであるが、第1、第2の摺動部材間で疲労や破壊が発生しやすいという問題がある。また、異なった素材で摺動部を構成するため、第1の摺動部材と第2の摺動部材をそれぞれ作製する必要があり、工程が複雑となるためコストが高くなってしまう。
そこで、本発明の課題は、摺動特性と耐摩耗性を両立することができると共に、使用による疲労や破壊が起きにくく、且つ製造が容易な摺動部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ライニング層を形成する多孔質金属焼結層内に密度の高い部分と密度の低い部分を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、前記ライニング層は、焼結金属からなる多孔質金属焼結層であり、前記裏金層は、前記ライニング層が形成された側の表面に凹部を有し、前記凹部及びその上方に位置する前記多孔質金属焼結層の密度が、他の多孔質金属焼結層の部分よりも低いことを特徴とする摺動部材。
(2)前記凹部及びその上方に位置する前記多孔質金属焼結層の含油率が25%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の摺動部材。
(3)前記他の多孔質金属焼結層の含油率が15%以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の摺動部材。
(4)前記焼結金属が、鉄系焼結金属、銅系焼結金属及び鉄銅合金系焼結金属からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の摺動部材。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の摺動部材を製造する方法であって、裏金層の一方の面に複数の凹部を形成する工程、前記裏金層の前記複数の凹部が形成された面に金属粉末を散布し、散布された金属粉末を焼結して粗金属焼結層を形成する工程、及び前記粗金属焼結層を加圧し、焼結する工程を有することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の摺動部材を備えることを特徴とするすべり軸受。
本発明の摺動部材は、ライニング層内で密度差ができるため、密度の高い部分は耐摩耗性に優れ、密度の低い部分は潤滑油の含油率が高くなるため耐焼付き性に優れる。よって、摺動特性と耐摩耗性を共に備えた摺動部材を提供することができる。また、本発明の摺動部材は、同一材料で形成されているため、使用による疲労や破壊が起きにくい。そして、本発明の摺動部材は、凹部が設けられた裏金層に金属粉末を散布し、焼結及び加圧成形することにより得られるため、容易に製造することができ、コストも抑えることができる。
実施形態に係る摺動部材の外観を示す概念図である。 実施形態に係る摺動部材の製造方法におけるステップS1〜ステップS2の工程を示した図である。 実施形態に係る摺動部材の製造方法におけるステップS3〜ステップS4の工程を示した図である。 実施形態に係る摺動部材の製造方法におけるステップS5〜ステップS7の工程を示した図である。 (a)及び(b)はそれぞれ、別の実施形態に係るカラーの製造方法を示した図である。
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態の摺動部材であるすべり軸受40の概略図である。すべり軸受40は円筒状の外形を呈しており、その摺動面としての内周面(内側)7から外周面(外側)8に向かう径方向に沿って、ライニング層11、裏金層15、カラー30の三層が、同心円状に配置されている。ライニング層11は、第1の焼結部(高密度焼結部)12と該第1の焼結部12よりも密度の低い第2の焼結部(低密度焼結部)13を有している。本実施形態に係るすべり軸受40は、図示しない建機や自動車などの各種機械が有するハウジングに挿通された軸を回転可能とするために用いられるすべり軸受であり、ハウジングに圧入されて使用されるものである。この軸は、すべり軸受40の中央に形成された穴を貫通するとともに、回転可能に支持されている。
裏金層15は、板状の金属部材より構成され、軸からの荷重を受ける部材である。裏金層15とライニング層11との二層構造により構成されるバイメタルが、主として摺動部材としての役割を果たすブシュ20を構成する。後述するように、このバイメタルは、潤滑油が含浸されているとともに、所定の強度を確保するため熱処理が施されている。
裏金層15を構成する金属としては、例えば、鉄系金属が挙げられる。
裏金層15の厚みは、所望のすべり軸受の軸径に応じて適宜調整すればよいが、例えば直径40〜80mmの軸が挿通される場合、1.0〜2.1mmが好ましく、1.3〜1.8mmがより好ましい。
本発明において、裏金層15は、ライニング層11が形成される側の表面に凹部9を有している。凹部9には、後述するライニング層11の第2の焼結部(低密度焼結部)13が位置する。
凹部9の深さは、裏金層15の厚みに応じて適宜選択できるが、例えば、裏金層15の厚みの20〜60%の深さとすることができ、30〜50%がより好ましい。凹部9の深さが裏金層15の厚みの20%以上であると、所望の含油率となるような密度を有した第2の焼結部13を凹部9に形成することができ、60%以下であると、裏金層15の強度を十分に保つことができる。なお、図1では凹部9の底部は半球形状を有しているが、その形状は特に限定はされない。
また、裏金層15における凹部9の面積の割合は、裏金層15の凹部9が形成されている面に垂直な方向から見て、該面の全体の面積に対し、5〜40%であることが好ましく、10〜25%がより好ましい。裏金層15の表面全体の面積に対し、裏金層15の表面から見た凹部9の面積の割合が5%以上であると、ライニング層11に第1の焼結部12と第2の焼結部13をバランスよく存在させることができるため、本発明の所望の効果を得ることができ、40%以下であると、裏金層15の強度を十分に保つことができる。
ライニング層11は、回転する軸と直接接触する部材であって、軸が摺動しながら回転するため、低摩擦性、耐摩耗性、耐焼付性などが要求される。ライニング層11は、金属粉末を焼結して得られる焼結体(焼結合金)より構成される多孔質金属焼結層である。
焼結金属は、例えば、鉄系焼結金属、銅系焼結金属、鉄銅合金系焼結金属等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。鉄系焼結金属としては、例えば、Cu:13.5〜22.5質量%、Sn:1.5〜2.5質量%、C:0.5〜3.0質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる金属等を挙げることができる。
本発明において、ライニング層11は、裏金層15の凹部9及びその上方に位置する多孔質金属焼結層の密度が、他の多孔質金属焼結層の部分よりも低いことを特徴とする。すなわち、ライニング層11は、第1の焼結部(高密度焼結部)12と該第1の焼結部12よりも密度の低い第2の焼結部(低密度焼結部)13を有する。第1の焼結部12は裏金層15の表面の凹部9が形成されていない部分に設けられ、第2の焼結部13は裏金層15の凹部9及びその上方に設けられる。なお、第1の焼結部12と第2の焼結部13は面一となるように構成される。
なお、本発明において、多孔質金属焼結層の密度は潤滑油からなる油分の含油率で表すことができる。
第1の焼結部12の含油率は、20%未満であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。第1の焼結部12の含油率が20%未満であると、第1の焼結部12が十分な硬度を有するため、耐摩耗性に優れたライニング層を形成することができる。よって、相手軸との摺動時におけるかじりや異音の発生を抑制することができる。また、含油率の下限は特に限定されないが、摺動に必要な潤滑油を保持する観点から、10%以上が好ましい。
第2の焼結部13の含油率は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。第2の焼結部13の含油率が20%以上であると、第2の焼結部13での耐焼付き性に優れる。また、含油率の上限は特に限定されないが、含油率が高くなり過ぎると、即ち第2焼結部13の密度が低くなり過ぎると、耐摩耗性低下や破壊の起点となる場合があるため、30%以下が好ましい。
本発明において、第1の焼結部12と第2の焼結部13の含油率の差は5〜25%であることが好ましく、10〜20%がより好ましい。含油率の差が5〜25%であることで、摺動部材におけるライニング層11の耐摩耗性と耐焼付き性を両立でき、本発明の所望の効果を得ることができる。
ライニング層11の厚みは、所望のすべり軸受の軸径に応じて適宜調整すればよいが、例えば直径40〜80mmの軸が挿通される場合、0.4〜2.5mmが好ましく、1.0〜1.2mmがより好ましい。なお、ライニング層11の厚みとは、第1の焼結部12における厚みを意味する。
本発明において、裏金層15とライニング層11により構成されるブシュ20には、ライニング層11における摺動面に、外部から潤滑油を供給する溝6が形成されている。
カラー30は、円筒形状を呈する金属部材より構成され、すべり軸受40の全体形状を維持するとともに、すべり軸受40(ブシュ20)をハウジングなど他の部材に固定するための部材である。ブシュ20がカラー30の内面に圧入されることにより、すべり軸受40が形成される。
本発明の摺動部材は、裏金層の一方の面に複数の凹部を形成する工程と、裏金層の複数の凹部が形成された面に金属粉末を散布し、散布された金属粉末を焼結して粗金属焼結層を形成する工程と、前記粗金属焼結層を加圧し、焼結する工程を含んで製造される。
以下、本発明の摺動部材の製造方法について、すべり軸受である場合について説明する。
本実施形態に係るすべり軸受の製造方法は、図2〜4も示した如く、裏金層への凹部形成工程(ステップS1)、金属粉末散布・焼結工程(ステップS2)と、加圧・焼結工程(ステップS3)と、ブシュ成形工程(ステップS4)と、熱処理工程(ステップS5)と、圧入工程(ステップS6)と、含油・仕上げ工程(ステップS7)とを備える。以下、各工程について具体的に説明する。
図2に示したように、裏金層への凹部形成工程(ズテップS1)では、まず、板状の金属部材である裏金(裏金層15)を準備する。この裏金層15の材料には例えば鉄系部材などが用いられる。次に、裏金層15に複数の凹部9を形成する。凹部9の形成方法は特に限定されず、切削加工、プレス加工等が挙げられる。
次に、図2に示す金属粉末散布・焼結工程(ステップS2)では、裏金層15の複数の凹部9が形成された面に金属粉末を散布し(ステップS2−1)、散布された金属粉末を焼結して粗金属焼結層11Aを形成する(ステップS2−2)。金属粉末としては、例えば、鉄粉と銅粉とが略均一に混合されたものを使用することができる。金属粉末の散布工程(ステップS2−1)では、このように、裏金層15の表面に略均一に散布層11bを散布して、板状の焼結前部材10bを構成する。なお、散布層11bの表面は略面一となるように金属粉末を散布する。
次に、焼結前部材10bを焼結炉に入れてヒータで加熱し、散布層11bにおける主成分である鉄粉末の融点よりも低い温度(例えば、800〜1300℃)の雰囲気で散布層11bを焼結させて粗金属焼結層11Aを形成する(ステップS2−2)。焼結時間としては、例えば、0.5〜2時間が好ましい。
続いて、粗金属焼結層11Aに対して加圧し、焼結を行う(ステップS3)。加圧をしながら焼結を行う(圧下焼結を行う)ことで、裏金層15上に形成された粗金属焼結層11Aのうち、裏金層15の凹部9と該凹部9の上方以外の部分に形成された粗金属焼結層11Aは高密になり、凹部9と該凹部9の上方に形成された粗金属焼結層11Aは、それ以外の部分に形成された粗金属焼結層11Aよりも低密になる。よって、加圧・焼結工程(ステップS3)により、高密度焼結部である第1の焼結部12と、第1の焼結部12よりも密度の低い低密度焼結部である第2の焼結部13とを有する多孔質の金属焼結層(ライニング層11)が形成され、粗金属焼結層11Aは裏金層15とライニング層11とのバイメタルからなる焼結合金10となる。
加圧の方法としては特に限定されないが、粗金属焼結層11Aをローラで圧延する方法、粗金属焼結層11Aを全体的に押圧(プレス)する方法等が挙げられる。加圧を行うことで、ライニング層11に密度差を生じさせるとともに、ライニング層11の強度を確保することができる。
また、加熱温度は、900〜1300℃の範囲が好ましく、1000〜1200℃がより好ましく、加熱時間は、例えば、0.5〜2時間の範囲が好ましい。
加圧・焼結工程は、焼結工程の間に加圧を行う連帯焼結法によって焼結合金10を形成してもよいし、焼結工程と加圧工程を別々に行う単体焼結法など他の方法で形成する構成とすることも可能である。
以上のステップS1〜S3が、本発明でいうブシュ20を形成する工程に相当する。
なお、本発明において、得られたブシュ20に対して、ライニング層11の表面に溝6を形成したり、図示しない凹部(インデント)を形成することもできる。
次に、図3に示すブシュ成形工程(ステップS4)ではステップS1〜ステップS3で形成した焼結合金10を、ライニング層11が内側となるようにプレス機等によって巻いて曲げ加工を行い、円筒状のブシュ20を成形する。このブシュ成形工程によって、後に摺動部材であるすべり軸受40の内周面となる、ブシュ20の内周面が形成される。
次に、図4に示す熱処理工程(ステップS5)では、ブシュ20に対して浸炭焼入れ・焼き戻し等の熱処理を行い、ブシュ20のライニング硬化及び表面改質を行う。この処理により、裏金層15及びライニング層11それぞれの硬度が向上し(例えば、裏金層15はビッカース硬さ100〜400、ライニング層11における第1の焼結部12はビッカース硬さ300〜800、ライニング層11における第2の焼結部13はビッカース硬さ200〜700)、ブシュ20の強度が向上する。
次に、図4に示す圧入工程(ステップS6)では、円筒状の金属部材(例えば、鉄系部材)であるカラー30に、熱処理を行ったブシュ20を圧入し、すべり軸受40を形成する。カラー30はブシュ20のような熱処理は行われていないため、その硬度は裏金層15よりも小さい(例えば、ビッカース硬さ100〜200)。また、カラー30の内径寸法はブシュ20を圧入できる程度に、ブシュ20の外径寸法と同一若しくは若干小さく形成されている。この圧入工程によって、後に摺動部材である軸受40の外周面となる、カラー30の外周面が形成される。
次に、図4に示す含油・仕上げ工程(ステップS7)では、含油機を用いてすべり軸受40に高粘度潤滑油からなる油分を含浸させる。含油工程では、高粘度潤滑油を加熱して低粘度化し、この潤滑油内にすべり軸受40を浸漬し、真空雰囲気下で静置する。これにより、すべり軸受40の気孔内の空気が気孔外へ吸い出される一方で、低粘度化した潤滑油がすべり軸受40の気孔内に吸引される。潤滑油を吸引したすべり軸受40を空気中に取り出して室温にまで放冷すると、低粘度化した潤滑油はすべり軸受40の気孔内で再び元の高粘度潤滑油に戻り流動性を失う。これにより、高粘度潤滑油をすべり軸受40の気孔内に留めておくことができる。
上記の如く、本実施形態に係る摺動部材であるすべり軸受40においては、凹部9を有する板状の金属部材である裏金層15の表面において金属粉末を焼結し、さらに加圧・焼結してライニング層11が形成されることにより、バイメタルの焼結合金10が形成される。そして、焼結合金10が円筒状のブシュ20として成形され、ブシュ20に熱処理が施された後に、ブシュ20が円筒状の金属部材であるカラー30に圧入されて、すべり軸受40が形成される。即ち、本実施形態に係るすべり軸受40は、図1に示したように、その内側から外側に向かって、ライニング層11、裏金層15、カラー30の三層が配置される。すなわち、ブシュ20と、ブシュ20の周囲に設けられたカラー30より、すべり軸受40が構成される。
本発明によれば、ライニング層11が密度の高い第1の焼結部12と該高い第1の焼結部12よりも密度の低い第2の焼結部13とで構成され、第2の焼結部13は裏金層15の凹部9及びその上方に位置する。ライニング層11内で密度差ができるため、密度の高い第1の焼結部12は耐摩耗性に優れ、密度の低い第2の焼結部13は潤滑油の含油率が高くなるため耐焼付き性に優れる。よって、摺動特性と耐摩耗性を共に備えた摺動部材を提供することができる。また、本発明の摺動部材は、同一材料で形成されているため、使用による疲労や破壊が起きにくい。
また、本発明すべり軸受40の構成によれば、すべり軸受40をハウジングに圧入する際に、すべり軸受40の外周面にかじりを生じにくくすることができる。具体的には、すべり軸受40の外周に配置されるカラー30には熱処理が行われていないため、カラー30の硬度は裏金層15等と比較して小さくなる。このため、すべり軸受40をハウジングに圧入する際にハウジングと当接するカラー30の部分でかじりの発生を抑制することが可能となる。
また、熱処理がされていないカラー30が外周部に配置されることにより、すべり軸受40の全体的な硬さを抑えることができる。これにより、すべり軸受40が局部的に発生する強い当りを減少させることができ、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上させて割れを生じにくくすることができる。
加えて、厚み(半径方向の厚さ)が大きいすべり軸受40を形成する場合でも、カラー30の半径方向厚さを調整すればよく、焼結合金10の厚さを一定とすることができる。このため、すべり軸受40の厚みが大きい場合でも容易に成形することが可能となる。
さらに、本実施形態によれば、板状の焼結前部材10bから焼結合金10を形成し、この焼結合金10を曲げ加工してブシュ20を成形する構成としているため、焼結材料のみで円筒状部品を成形する必要がなく、容易に加工することができる。加えて、脆性の高い焼結材料のみを裏金層に圧入する必要がないため、焼結材料を裏金層に圧入する際に割れが生じることがない。
上記の如く、本実施形態によれば、ハウジングに圧入する際にすべり軸受40の裏金部分であるカラー30にかじりが生じにくく、割れにくく、溝や凹部等の成形がしやすい、すべり軸受40を製造することが可能となるのである。
尚、本願発明の「円筒状の金属部材であるカラー30」は、パイプ材やソリッド材から切削形成しても、また、板状(帯状)の部材の端部同士を突き合せて(巻いて)形成してもよく、コスト面や設備面で適宜選択可能である。但し、板状部材から円筒形状を作成した方がより安価にカラーを作成でき好ましい。その場合は締め代を持たせるために合せ目を閉じた状態で仕上げ加工をする。さらに、板状部材を巻いてカラーを形成する場合は、合せ目を溶接で結合するのみでなく、クリンチ形状で結合するようにしてもよい。
以下、図5を用いて、カラー30を板状部材から形成し、合せ目をクリンチ形状で結合した場合について説明する。具体的には図5(a)に示す如く、両端にクリンチ形状(略円形状の係合凸部17a及び係合凹部17bを有する板状部材を、図示しない曲げ加工機等によって巻いて曲げ加工を行い、中央部分が半円筒状の曲げ部材17cを成形する。この際、曲げ部材17cにおける内周面の曲率半径は、ブシュ20における外周面の曲率半径と略同一か、少し大きくなるように形成する。この荒曲げ工程によって形成される曲げ部材17cにおける外側の面が、カラー30の外周面、即ちすべり軸受40の外周面となる。
次に、図5(b)に示す如く、半円筒形状の固定型である上型52sの側に曲げ部材17cの中央部分(半円筒状部分)をセットする。そして、同じく半円筒形状の可動型である下型52mを、曲げ部材17cの端部の側から図5(b)に示す矢印Uの如く近接させるのである。これにより、板状部材である曲げ部材17cの両側端部を、下型52mの半円筒面に沿わせて変形させることにより、クリンチ形状を係合させる。具体的には、係合凸部17aを係合凹部17bに進入させて係合させることにより、板状部材である曲げ部材17cの両側端部を接合するのである。このようにして、外側部材であるカラー30を形成する。その後、ブシュ20を円筒状のカラー30に圧入して、すべり軸受40を形成する。
本発明の摺動部材は、摺動特性と耐摩耗性の両立が可能であり、また、同一材料で形成されているため、使用による疲労や破壊が起きにくい。本発明の摺動部材は、特にすべり軸受として好適に用いられ、産業上有用である。
6 溝
7 内周面(摺動面)
8 外周面
9 凹部
11 ライニング層
12 第1の焼結部
13 第2の焼結部
15 裏金層
20 ブシュ
30 カラー
40 すべり軸受

Claims (6)

  1. 裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、
    前記ライニング層は、焼結金属からなる多孔質金属焼結層であり、
    前記裏金層は、前記ライニング層が形成された側の表面に凹部を有し、
    前記凹部及びその上方に位置する前記多孔質金属焼結層の密度が、他の多孔質金属焼結層の部分よりも低いことを特徴とする摺動部材。
  2. 前記凹部及びその上方に位置する前記多孔質金属焼結層の含油率が25%以上であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記他の多孔質金属焼結層の含油率が15%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記焼結金属が、鉄系焼結金属、銅系焼結金属及び鉄銅合金系焼結金属からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動部材を製造する方法であって、
    裏金層の一方の面に複数の凹部を形成する工程、
    前記裏金層の前記複数の凹部が形成された面に金属粉末を散布し、散布された金属粉末を焼結して粗金属焼結層を形成する工程、及び
    前記粗金属焼結層を加圧し、焼結する工程
    を有することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動部材を備えることを特徴とするすべり軸受。
JP2016194538A 2016-09-30 2016-09-30 摺動部材及びその製造方法 Pending JP2018054108A (ja)

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