JP2018053437A - 遮水材およびその製造方法、ならびに連壁の止水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動性の向上と遮水性の維持の両立が可能なベントナイト系遮水材を提供すること【解決手段】連壁を構成する接合部材の継手部分に充填する遮水材であって、少なくとも、砂、ベントナイト、人工配合による塩化ナトリウム水溶液、およびゲル化遅延剤を含むことを特徴とする。製造方法の一例としては、砂とベントナイトを乾燥状態で混合した後に、塩化ナトリウム水溶液を加えて十分撹拌し、最後にゲル化遅延剤を添加し、さらに撹拌する方法がある。【選択図】図1

Description

本発明は、遮水壁などの連壁を構成する複数の接合部材の継手部分に充填する遮水材およびその製造方法、ならびに連壁の止水構造に関する。
鋼管矢板やプレキャストコンクリート部材を連結させてなる遮水壁は、廃棄物の最終処分場の遮水壁や、海岸・河岸の護岸構造物に用いられる。このような遮水壁では、部材間の継手部分での遮水性を確保するために、継手部分に遮水材を充填する。
このような充填型の遮水材には、常時の遮水性はもちろんのことながら、地震や波浪による偶発的な外力により変形が生じた場合にも、遮水材がその変形に追随し所定の遮水性を有する変形追随性、微生物や周辺環境に対する長期的な安定性、経済性等が求められる。
遮水材の種類は、継手の形状や充填する隙間の大きさにより様々であり、種類は多岐に亘る。
その中でも、ベントナイトを含む土質材料を用いた遮水材(以下、「ベントナイト系遮水材」)は、変形追随性を有し、長期的に微生物による分解等の劣化が生じない優れた材料であり、従来から様々な発明が着想されてきた。
例えば、特許文献1には、高膨潤性ベントナイトに、水溶性ポリマーを含有させることで、ベントナイトスラリーを製造する際の練混ぜ水を海水にした場合にも、ベントナイトの膨潤が阻害されないようにした変形追随性遮水材が開示されている。
特開2008−43845号公報
しかし、従来のベントナイト系遮水材では、以下の問題を奏する。
(1)流動性が低く、圧送箇所が限られる。
従来のベントナイト系遮水材は、概してスラリー粘性が高いため、コンクリートポンプのような大型のポンプで圧送・充填を行う必要がある。
従って、従来のベントナイト系遮水材は、継手部の隙間が数百mm程度と比較的大きい箇所への使用に限られていた。
(2)流動性の向上と遮水性の維持の両立が難しい。
土質系の遮水材の流動性を増加させるためには、単位水量を増大させることが最も簡易な方法であるが、遮水材の密度低下による遮水性の低下と材料分離抵抗性の低下、含水量の増加による乾燥収縮量の増加と自重による圧密沈下量の増加を招いてしまう。
本発明は、これらの問題を解決するべくなされたものであり、流動性の向上と遮水性の維持の両立が可能な手段を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、連壁を構成する接合部材の継手部分に充填する遮水材であって、少なくとも、砂、ベントナイト、人工配合による塩化ナトリウム水溶液、およびゲル化遅延剤を含むことを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記ゲル化遅延剤が、ホウ酸アルカリ金属塩類、リグニンスルホン酸アルカリ金属塩類、ポリカルボン酸アルカリ金属塩類、ポリアクリル酸アルカリ金属塩類の水溶性高分子、デキストリン、脂肪酸、ショ糖、マルトース、およびアルコール類のうち何れか1つ、あるいはこれらの任意組合せであることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記塩化ナトリウム水溶液が、塩化ナトリウムを2〜3質量%の範囲で含有してあることを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のうち何れか一つの発明に記載した遮水材の製造方法であって、砂とベントナイトとを乾燥状態で混合してから、人工配合による塩化ナトリウム水溶液を加えて撹拌し、その後ゲル化遅延剤を添加することを特徴とする。
また、本願の第5発明は、連壁の止水構造であって、連壁を構成する接合部材の継手部分に充填される遮水材が、前記第1発明乃至第3発明のうち何れか一つの発明に記載した遮水材であることを特徴とする。
本発明によれば、以下に記載する効果を奏する。
(1)狭小な箇所への圧送が可能となる。
流動性の高いベントナイト系遮水材を提供できることから、小口径の配管圧送においても、材料の分離や流路の閉塞を生じることはないため、連壁の接合部分や継手部分の隙間が小さい箇所での使用が可能となる、
(2)所定の遮水機能を維持できる。
流動性を高くしつつ単位水量は低いままとすることができるため、圧密沈下量の小さい遮水材を提供することができる。
また、圧密による若干の高密化は生じるが、経時的に固結することはないため、充填箇所の断面が拡大するような変形や、直接せん断を受けるような変形を与えた場合にも、一定の遮水性を有する。
(3)水中施工に好適である。
水中に打設する場合にも打設時に材料分離が生じない。
(4)材料調達の制限を受けない。
本発明に係る遮水材は、全て購入資材で製造できるため施工場所による材料調達の制限を受けない。
(5)淡水域での使用に適する。
塩化ナトリウムを2〜3質量%の範囲で含有してある塩化ナトリウム水溶液を用いて混練しているため、淡水と接してからベントナイトが膨張するため遮水性の向上に寄与する。
(6)均質な遮水材を作製することができる。
砂とベントナイトとを乾燥状態で混合してから、人工配合による塩化ナトリウム水溶液を加えて撹拌し、その後ゲル化遅延剤を添加し、さらに撹拌することにより、だまが生じず均質な遮水材を作製することができる。
本発明に係る連壁の概略図 本発明に係る遮水材の製造工程の一例を示す図 圧密試験の試験結果を示す図 水中打設性能確認試験の試験概略図 流量40L/minで圧送したときの打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から撮影した写真 流量75L/minで圧送したときの打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から撮影した写真 せん断変形への変形追随性確認試験の試験結果を示す図 変形追随性透水試験の試験機を撮影した写真 変形追随性透水試験の試験結果を示す図
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
<1>全体構成
図1に、本発明の遮水材を用いた連壁の概要図を示す。
連壁Aは、接合部材であるPC壁体Bと、該PC壁体間の隙間に充填する遮水材Cでもって、全体として止水機能を発揮する構造物である。
そして、本実施例に係る遮水材Cは、砂と、高膨潤性のベントナイトと、人工配合による塩化ナトリウム水溶液と、ゲル化遅延剤を混合してなる。
<1.1>遮水材の製造手順
各材料の混合手順は、特に限定されるものではなく、全ての材料を同時にもしくは順次に混合することとしてもよい。
例えば、図2に示すように、砂とベントナイトを乾燥状態で混合した後に(S110)、塩化ナトリウム水溶液を加えて十分撹拌し(S120)、最後にゲル化遅延剤を添加する(S130)手順とすれば、だまが生じず均質な遮水材を作製することができる。
<1.2>遮水材の性質
本発明の遮水材は、以下の性質を有する。
(1)本発明の遮水材は、砂を多量に含むため比重が大きく、小型ポンプで圧送可能な程度の適度な粘性を有するとともに、充填性に優れており、打設箇所の断面積が小さく狭隘な箇所にも良好な打設を行うことができる。
(2)本発明の遮水材は、砂および高膨潤性ベントナイトを、人工配合した塩化ナトリウム水溶液で混合しているため、海域や、海域付近の地下水の塩分濃度が高い陸域においても、遮水性および変形追随性が保持される。さらに、遮水すべき水の塩分濃度が人工配合した塩化ナトリウム水溶液よりも低い、もしくは淡水の場合には、ベントナイトの膨潤力が発揮され、遮水性が向上する。
(3)本発明の遮水材は、高膨潤性ベントナイトを含んでいるため、素掘りの孔壁に打設した場合には、高膨潤性ベントナイトが孔壁の崩壊を防止することになる。
(4)本発明の遮水材は、それを構成する材料が無機物質で構成されているので、長期耐久性に優れている。
前記する「遮水性」とは、透水係数が1.0×10−8m/s程度であることをいう。
また、「変形追随性」とは、打設箇所の断面積が拡大することによる変形や、断面積が変わらずに遮水性にせん断面が生じるようなせん断変形した場合にも、所定の遮水性を確保できることをいう。
また、「圧送性」とは、フロー値(直径8cm×高さ8cmの円筒モールド)が160mm以上で、かつPロート(上端内径178mm、漏斗筒先内径13mmの逆円すい形漏斗)を自然流下することを示す。耐久性とは、周辺環境の水質変化および微生物等の影響を受けず、長期的に安定した品質の遮水性能を維持することをいう。
以下、本発明に係る遮水材を構成する材料の詳細について説明する。
<2>砂
砂は、一般的に体積弾性係数が大きく強固な物質であり、粒子自体は不透水性であり、化学的・物理的に安定している。
本発明の遮水材に用いる砂は、粒径分布が0.3〜0.8mm程度の珪砂を用いている。珪砂は、花崗岩等の風化で生じる自然由来のものと,珪石を機械で粉砕した人工のものが市販されており、比較的品質が安定しており、日本国内であればどこであっても、入手が比較的容易な材料である。
なお、砂の種類は限定されるものではなく、粒径がほぼ同一であれば、種類は問わない。
本発明の遮水材1m当たり、砂は1000〜1300kg/m程度を占めるため、本発明の遮水材は概ね1.7t/m以上になり、粘土を主体とした遮水材と比較すると、比重が大きくなる。
<3>ベントナイト
ベントナイトは、膨潤性を有する粘土質材料である。
本発明の遮水材に用いるベントナイトは、高膨潤性を呈するものであれば、種類は限定しない。
前記した「高膨潤性」とは、清水中での膨潤力が20mL/2g以上であることをいう。
<4>塩化ナトリウム水溶液
塩化ナトリウム水溶液(以下、単に「塩水」ともいう。)は、各材料の練混ぜに用いる材料である。
本発明の遮水材に用いる塩化ナトリウム水溶液は、塩を清水に溶解させた、人工配合による材料である。
塩化ナトリウム水溶液の作製に使用する塩は、特に限定されるものではないが、例えば塩化ナトリウム濃度が95%以上のものが望ましい。
なお、本発明に係る塩化ナトリウム水溶液は、海で採取した海水をそのまま利用することはできない。
これは、海水は、公知の通りCa、Mgなどの2価の陽イオンを多く含むため、ベントナイトの膨潤を阻害するおそれがあることや、海水中に含まれる夾雑物を取り除く工程が必要となること、などの理由による。
<5>ゲル化遅延剤
ゲル化遅延剤は、ゲル化反応を遅らせるための材料である。
本発明の遮水材に用いるゲル化遅延剤としては、ホウ酸アルカリ金属塩類(例えば、TR−18:テルナイト社性)、リグニンスルホン酸アルカリ金属塩類(例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム)、ポリカルボン酸アルカリ金属塩類(例えば、QF750:日本ゼオン社製)、ポリアクリル酸アルカリ金属塩類(例えば、パワーフロー、テルナイト社製)などの水溶性高分子、デキストリン、脂肪酸、ショ糖、マルトース、アルコール類があるが、特に、ポリアクリル酸アルカリ金属塩類を用いるのが望ましい。
<6>遮水材の配合試験
表1に、本発明に係る遮水材の配合試験を行った材料の一覧を示す。
[表1]配合試験結果の一覧
名称のHBは高膨潤性ベントナイトを用いた配合を表し、LBは低膨潤性ベントナイトを用いた配合である。
HB200とは、高膨潤性ベントナイトが遮水材1m当たり200kg配合されていることを表す。それぞれ単位水量や砂分割合、塩分濃度を変えて配合試験を行った。
フローは、直径8cm、高さ8cmの円筒形コーンにスラリーを充填し、コーンを引き上げたあとのスラリーの広がり幅を計測する試験である(JHS A313)。
Pロートは、上端内径178mm、漏斗筒先内径13mmの逆円すい形漏斗に充填した1725mLの試料が全て流下するまでの時間を計測する試験である(JSCE−F521−1999)。
本発明の遮水材の粘性に関する前記の基準は、「フロー=160mm以上、Pロート=時間によらず試料がすべて自然流下する」とした。
一方、粘性が非常に高くフローの計測が困難な配合については、テーブルフローを別途計測した(JIS R 5201)。
HB100−1、HB100−2は、フロー、Pロートともに基準を満足したが、清水を練り混ぜ水に用いているため、高膨潤性ベントナイトが膨潤による粘性増加を打ち消すため、水の割合を多くする必要がある。
HB200−1は、高膨潤性ベントナイトの割合が最も多い配合である。前記同様に、清水を練り混ぜ水に用いているが、単位水量を出来る限り少なくするためゲル化遅延剤を多量に配合する必要がある。
LB193−1は、低膨潤性ベントナイトを用いているため、ベントナイトの配合割合が多いにも関わらず、スラリーの粘性は小さい。
HB150−1%塩水、HB150−2%塩水、HB150−3%塩水は、砂、ベントナイト、塩水、ゲル化遅延剤の配合割合は同一であるが、塩水の塩分濃度を変えたものである。塩分濃度1%の塩水を用いた場合には、フローが104mmであったが、塩分濃度を2%〜3%にすれば、フローは160mm以上を満足し、Pロートを自然流下することができた。
以上の試験結果により、本発明に係る遮水材は、必要な圧送性を確保できることが分かった。
<7>遮水材の変水位透水試験
前記の表1に示した配合条件から、一部の配合条件を選定し、変水位透水試験を実施した。
なお、透水試験では、実施工において遮水材にかかる動水勾配は非常に大きいことを鑑みて、動水勾配を30程度に設定して変水位透水試験を行った。
また、変水位透水試験に用いる水は、地下水が淡水である陸地に打設することを考慮した清水を用いた試験と、地下水が海水に近い塩分濃度である海域付近を想定した塩分濃度3%の塩水を用いた試験を実施した。
表2に、変水位透水試験の結果を示す。
[表2]変水位透水試験の結果
HB100−1、HB100−2は単位水量が多く、遮水材中に占める高膨潤性ベントナイトの割合が少ないため、遮水性がない。
LB193−1は、低膨潤性ベントナイトを用いているため、遮水材中に占める低膨潤性ベントナイトの割合が高い場合でも遮水性がない。
HB200−1は遮水材中に占める高膨潤性ベントナイトの割合がHB100−1、HB100−2の2倍程度であるため、遮水材の粘性は高いが、その分遮水性を有している。
さらに、3%塩水を流した場合、ベントナイトの膨潤が阻害されたことにより、若干透水係数の低下が見られたが、一定の遮水性は確保できる結果となった。
HB150−2%塩水は、練混ぜ水として2%塩水を用いているため、清水とはじめて接触することにより、ベントナイトが膨潤し、清水を流した場合に遮水性が著しく向上した。また、3%塩水を流した場合にも遮水性が十分に確保される結果となった。
以上の試験結果により、本発明に係る遮水材は、必要な遮水性を確保できることが分かった。
<8>圧密試験
自重による圧密沈下量を求めるため、前記変水位透水試験で遮水性を有することが分かったHB200−1、HB150−2%塩水の2種の遮水材を用いて、圧密試験を実施した。
図3に圧密試験の結果を示す。
遮水材中に占める砂分の割合が少ないHB200−1は、遮水材の骨格を粘土が支配しているため、自重による圧密沈下量が多い。
一方、HB150−2%塩水は砂分が適度な割合で配合されており、圧密沈下量はHB200−1と比較すると小さいことが分かった。
以上の試験結果により、本発明に係る遮水材は、圧密沈下量を小さくできることが分かった。
<9>水中打設性能確認試験
前記の自重による圧密試験の結果より、HB150−2%塩水を用いて、小型のグラウトポンプを用いた水中打設性能確認試験を行った。
表3に、使用したポンプは新明和工業製のMM105である。グラウトポンプの諸元は以下の通りである。
・形式:スクイズ
・吐出し量[L/min]:40,75,100
(モーターとローターを繋ぐゴムバンドを掛け替えることで3段階の調整が可能)
・吐出し圧力(最大)[MPa]:2.5
・動力[kW]:5.5
・電圧[V]:三層200
・ポンピングチューブ径[mm]:φ50
・吸込み、吐出し口径[mm]:φ50
・質量[kg]:230
また、インバータ等で電源周波数を調整することで、さらに細かい流量調整が可能もある。
図4に、試験概略図を示す。
試験装置は、ホッパ10とグラウトポンプ20と、配管30と、打設箇所40とを少なくとも含んでなる。
グラウトポンプ20の吐出口径は直径50mmであるが、打設箇所40であるアクリル製パイプは直径100mm程度であることを考慮して、グラウトポンプ20に繋ぐ直径50mmの第1のホース31に、テーパ管33を介して、打設箇所への吐き出し口となる直径25mmの第2のホース32を接続して構成している。
配管30の全長はテーパ管33を除いて10mである。
グラウトポンプ20の吐出口には圧力計50を設け、グラウトポンプ20の最大吐出圧を超過しないかを確認しながら圧送試験を行った。
実施工を模擬して、水を張った内径100mmのアクリル製パイプ中に水中打設することとした。
試験手順を下記に示す。
(1)所定の配合のスラリーを準備する。
(2)配管内の摩擦低減のため、ホッパ10内に水を投入し圧送する。
(3)スラリーをホッパ10に投入し、吐出先をホッパ10に向けた状態で所定の速度でスラリーを配管内で循環させる。
(4)スラリーが安定して圧送されるのを確認した後、打設箇所40であるアクリル製パイプ内に第2のホース32を建てこみ、打設を行う。
なお、打設中は第2のホース32の筒先が、スラリー中に常に20cm程度貫入した状態で打設を行った。
(5)スラリーが打設箇所40であるアクリル製パイプ下面より、高さ120cm程度の位置まで打設されたらポンプを停止する。
(6)アクリル製パイプの側面から、打設後のスラリーに水泡や気泡の発生がなく均一に打設できているか、材料分離を生じていないかを目視で観察する。
(7)観察後、スラリーをアクリル製パイプから取り出し、打設速度を変えて再度(3)から試験を行う。
[流量40L/minで圧送した場合(グラウトポンプの最低流量)]
図5に、打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から撮影した写真を示す。
試験中に目視観察した内容を下記に示す。
(A1)スラリーが途中で閉塞することなく、一定の速度で圧送することが可能であった。
(A2)打設中のポンプ吐出口で計測された吐出圧は0.5MPa程度であった。
(A3)ホース筒先をスラリーに貫入させながら打設することにより、水中分離することなく良好な打設が可能であった。
(A4)打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から観察したところ、打設後に第2のホース32を抜き取ることによって生じたと思われる微細な水泡が散見させるものの、目立った水泡は確認できなかった。
[流量75L/minで圧送した場合]
図6に、打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から撮影した写真を示す。
試験中に目視観察した内容を下記に示す。
・スラリーが途中で閉塞することなく、一定の速度で圧送することが可能であった。
(B1)打設中のポンプ吐出口で計測された吐出圧は0.8MPa程度であった。
(B2)ホース筒先をスラリーに貫入させながら打設したが、筒先での吐出速度が大きいためスラリーが周辺水を巻き込み材料分離を生じた。
(B3)打設後のスラリーをアクリル製パイプ側面から観察したところ、中程度の水泡が全体に見受けられ、特に上部付近では大きな水泡が散見された。
(B4)打設中に材料分離が生じたため、40L/minと比較して上澄み水に濁りが確認された。
(B5)打設後に一定時間放置し、側面からの観察を続けると、水泡内部の水が上向きに排水されていくことにより、スラリー側面に水みちが形成されていく様子が観察された。
<10>せん断変形への変形追随性確認試験
本発明の遮水材を充填した箇所にせん断変形が生じた際に、遮水性が担保されていることを確認するため、今村、後藤(1989)によるせん断透水試験を実施した。(今村 聡,後藤 聡:砂とベントナイトの混合土における透水特性に関する基礎的研究,大成建設技術研究所報第22号(別冊)、pp.3−10,1989.)
実際のPC壁体間に充填されたスラリーに生じる最大のせん断ひずみは、解析によりせん断ひずみγ=20%程度とされたため、本試験においてもそのせん断ひずみが生じた際の透水係数を計測することで、せん断変形が生じた際の遮水性を確認した。
透水試験は、三軸セル内に設置した供試体に所定の拘束圧、背圧をかけた状態で、供試体の上下端面それぞれに直結している二重管ビューレットに所定の水位差もしくは圧力差を付けて、透水係数を測定するFukushima and Ishii(1986)による三軸透水試験により実施した。
本試験は以下の手順で行った。
(1)遮水材の天端より5m下がった位置で、せん断変形が最も生じるような打設箇所を想定し、自重による圧密沈下による密実化を考慮し、初期間隙比0.583になるよう含水量を調整したスラリーを作成する。
(2)高さ2.5cm、直径5.0cmのモールドに所定の密度になるようスラリーを詰め、供試体を作成する。
(3)供試体を試験機にセットし、数日間大気圧の下で通水し飽和度を高める。
(4)セルをセットし、背圧100kPa、セル圧140kPaにし、圧密する。
(5)圧密完了時点での透水係数を測定する。
(6)排水条件において、せん断速度0.1%/minで所定のせん断ひずみ(軸ひずみの1.5倍)までせん断を行う。
なお、せん断中にセル圧を低下させることで、せん断時の体積変化による供試体の密実化を軽減させた。
(7)荷重を除荷し、等方圧に戻す。間隙水圧が落ち着くのを待ち、透水係数を測定する。
(8)以降(6)、(7)の手順を繰り返す。
図7に試験結果を示す。せん断に伴う供試体の密実化(間隙比の低下)に伴い、透水係数が低下している。しかし、せん断ひずみの増加に伴う透水係数の急激な増加は生じないことが分かった。
<11>充填部の断面積拡大に伴う変形への変形追随性確認試験
本発明の遮水材を充填した箇所に、充填部の断面積拡大に伴う変形が生じた際に、遮水性が確保されていることを確認するため、変形追随性透水試験を実施した。
ここで、変形追随性透水試験とは、内径10cm、高さ5cmの透明アクリル製モールドの内壁に、塩などの水溶性に優れる物質を予め所定の厚さに塗り固めた試験機を用いた試験である。
当該試験機内部に、試料を充填し試験機下部から上部に向けて通水を行う。すると、内壁に設けた水溶性物質が溶解し、充填した試料と透明アクリル製モールドの内壁との間に空間が生まれる。
そうしてできた空間を、試料が塑性変形して埋めていく過程を、透水係数の変化を計測することで、充填部の断面積拡大に伴う変形への変形追随性を確認することができる。
図8は、変形追随性透水試験の試験機を撮影した写真である。
HB150−2%塩水の遮水材を用いて、変形追随性透水試験を行った。試験に用いた水は3%の塩水である。易溶性の物質として、塩水を作成したときに用いた塩を用いた。塩に少量の水を加えペースト状にし、それを透明アクリル製モールド内壁に塗布したあと、室温で乾燥させて易溶性物質による空間を作成した。塩ペーストの厚さは、易溶物質による空間の体積が、透明アクリル製モールドの体積の5%になるように設定した。
試験結果を図9に示す。
透水初期は、3%塩水が易溶物質中を溶解させながら通水していくため、透水係数が大きい。しかし、徐々に透水係数が低下しており、易溶物質が溶解してできた空間に、遮水材が充填していったものと考えられる。
しかし、再び透水係数は上昇に転じた。これは、易溶物質が溶解してできた空間を流れる3%塩水によって、遮水材が徐々に洗掘されたためであると考えられる。
試験機の蓋を外し、遮水材の表面を目視観察したところ、角部に洗掘が原因と思われる欠損が生じていた。
また、試験機の高さは5cmであるため、自重が極めて小さくほとんど塑性変形が生じていないと考えられることから、10kPa、20kPaの上載荷重を載荷し、通水を再度行った。
その結果、上載荷重載荷前と比較して透水係数は低下した。充填部の断面積拡大によってできた空間を、遮水材が塑性変形し埋めたため、透水係数が低下したと考えられる。
<12>まとめ
以上の種々の検討により、本発明の遮水材は、以下の特徴を有することが分かった。
(1)小型のグラウトポンプで圧送可能な低粘性を有しながらも、遮水性を有する。
(2)2〜3%の塩化ナトリウム水溶液(塩水)を用いて混練しているため、淡水と接した場合には、ベントナイトが膨張し遮水性が向上する。
(3)砂分を多く含んでいるため、自重による圧密沈下量が粘土主体の遮水材と比較して小さい。
(4)せん断変形、充填部の断面積拡大に伴う変形が生じた場合にも、その変形に追随し遮水性を有する。
A 連壁
B PC壁体
C 遮水材
10 ホッパ
20 グラウトポンプ
30 配管
31 第1のホース
32 第2のホース
33 第3のホース
40 打設箇所
50 圧力計

Claims (5)

  1. 連壁を構成する接合部材の継手部分に充填する遮水材であって、
    少なくとも、砂、ベントナイト、人工配合による塩化ナトリウム水溶液、およびゲル化遅延剤を含むことを特徴とする、
    遮水材。
  2. 前記ゲル化遅延剤が、ホウ酸アルカリ金属塩類、リグニンスルホン酸アルカリ金属塩類、ポリカルボン酸アルカリ金属塩類、ポリアクリル酸アルカリ金属塩類などの水溶性高分子、デキストリン、脂肪酸、ショ糖、マルトース、およびアルコール類のうち何れか1つ、あるいはこれらの任意組合せであることを特徴とする、請求項1に記載の遮水材。
  3. 前記塩化ナトリウム水溶液が、塩化ナトリウムを2〜3質量%の範囲で含有してあることを特徴とする、請求項1または2に記載の遮水材。
  4. 請求項1乃至3のうち何れか1項に記載した遮水材の製造方法であって、
    砂とベントナイトとを乾燥状態で混合してから、人工配合による塩化ナトリウム水溶液を加えて撹拌し、その後ゲル化遅延剤を添加し、さらに撹拌することを特徴とする、
    遮水材の製造方法。
  5. 連壁の止水構造であって、
    連壁を構成する接合部材の継手部分に充填される遮水材が、
    請求項1乃至3のうち何れか1項に記載した遮水材であることを特徴とする、
    連壁の止水構造。
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