JP2018053347A - スラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法 - Google Patents

スラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転炉型精錬炉等の精錬容器内のスラグ高さを精度よく測定することができるスラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法を提供すること。
【解決手段】精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置5であって、マイクロ波を送信および受信することで、精錬容器(炉体2)内のスラグSの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいてスラグ高さを算出する測定部51と、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を鉛直方向の下端541bに有し、マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナ54bと、鉛直方向に直交する開口面を鉛直方向の下端541aに有し、マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナ54aとを備える
【選択図】図2

Description

本発明は、精錬容器内のスラグ高さを測定するスラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法に関する。
近年、溶銑の予備処理技術が進み、転炉型精錬炉を用いた様々な溶銑の予備処理方法が開発されている。例えば、特許文献1には、転炉を用いて脱珪、脱燐および脱炭処理をする際に、前チャージの脱炭スラグを排滓することなく、次チャージの溶銑を転炉に装入し、溶銑中のSiが0.2%以下になった時点で少なくとも一部のスラグ(脱珪処理によって生じた「脱珪スラグ」ともいう)を排出し、引き続き脱燐および脱炭処理を行う方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法では、処理時間や処理コスト等の観点から、十分な量の脱珪スラグを如何に短時間で転炉から排出させることができるかが課題となる。この課題に対して、脱珪処理中に転炉内の脱珪スラグを安定的にフォーミングさせることが必要となるが、過剰なフォーミングは、脱珪処理中のスロッピングや排出中の突沸的な流出を招いてしまう。このため、脱珪スラグのスラグ高さ等の測定データを用いて、脱珪スラグのフォーミング量を適度な範囲に制御する技術が求められている。
例えば、特許文献2には、脱燐処理した溶銑を転炉で吹錬処理する前に、転炉内の浴面レベルを測定し、測定データに基づいて設定ランス高さを調整して吹錬処理することで、スロッピングやスピッティングの発生を抑制する方法が開示されている。
また、特許文献3には、転炉型精錬炉にて脱珪処理中の脱珪スラグのスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定し、測定結果に基づいて処理条件を調整することにより、脱珪スラグのフォーミングの量を制御する方法が提案されている。特許文献3に記載のスラグ高さの測定方法では、擬似ランダム信号処理レーダ方式マイクロ波距離計を用い、10GHz以下の周波数のマイクロ波を転炉型精錬炉内に送信して炉内からの反射波を受信し、反射波の往復伝播時間から対象物までの距離を求める。そして、炉口から溶銑浴面までの範囲に存在する対象物からの反射波の信号のうちで、反射波の信号に対応する対象物までの距離が脱珪処理開始時から変化せずに、継続して存在する反射波の信号をノイズとして除去する。さらに、溶銑浴面に対応する反射波の信号を除いて最も反射強度が高い反射波の信号をスラグ表面からの反射波の信号と判定してスラグ表面までの距離を求め、求めたスラグ表面までの距離に基づいてスラグ高さを測定する。
さらに、特許文献4には、マイクロ波を用いたスラグレベル計測方法において、マイクロ波の進行方向を示す軸線、すなわちアンテナの中心とマイクロ波の照射範囲の中心とを結ぶ線が、メインランスまたは転炉の炉壁に対して傾斜させるようにアンテナを設置することが開示されている。
特開平11−323420号公報 特開2012−107304号公報 国際公開第2014/115526号 特開2015−110817号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、脱珪スラグのフォーミング量を測定または制御する方法については、開示されていない。
また、特許文献2に記載の方法では、測定対象が吹錬処理前の溶銑の浴面であり、スラグ高さやフォーミング量を測定する方法については、開示されていない。
さらに、特許文献3に記載の方法では、転炉型精錬炉の炉口や炉口のすぐ下側の炉壁等に付着する地金によって、送信したマイクロ波の多くが散乱されてしまい、スラグ表面からの反射波を捉えられないことが生じる。特に、転炉型精錬炉の使用回数に伴って、炉口や炉壁には地金が多く付着し、成長するため、スラグ高さを精度よく測定することが困難となる。
さらに、特許文献4に記載の方法では、マイクロ波の軸線を傾斜させた場合、メインランスや炉壁とスラグ表面とにおいてコーナーリフレクト効果が発生することで、スラグ面からの反射信号が大きくなることが予想される。しかし、スラグ面は、底吹きガスやランスから吹きだす吹錬用の酸素の影響で常に動いており、さらに、吹錬の進行に伴って4〜8m程度もスラグ面が上昇する。このため、吹錬中に軸線の傾斜をコーナーリフレクト効果が十分に得られるよう動かすことは難しかった。また、ランス本体や炉口自体から反射してくる信号は却って外乱となってしまい、精度のよい測定ができない。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、転炉型精錬炉等の精錬容器内のスラグ高さを精度よく測定することができるスラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置であって、上記マイクロ波を送信および受信することで、上記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいて上記スラグ高さを算出する測定部と、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を上記鉛直方向の下端に有し、上記マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナと、上記鉛直方向に直交する開口面を上記鉛直方向の下端に有し、上記マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナとを備えることを特徴とするスラグ高さ測定装置が提供される。
また、本発明の一態様によれば、精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定方法であって、ホーン型の送信用のアンテナを用いて上記マイクロ波を送信し、送信された上記マイクロ波をホーン型の受信用のアンテナを用いて受信することで、上記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、測定された上記スラグの水平面の高さの測定結果に基づいて、上記スラグ高さを算出し、上記受信用のアンテナには、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面が下端に形成され、上記送信用のアンテナには、上記鉛直方向に直交する開口面が下端に形成されることを特徴とするスラグ高さ測定方法が提供される。
さらに、本発明の一態様によれば、転炉型精錬炉内に収容された溶銑に上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで溶銑を脱珪処理し、脱珪処理で生成したスラグの一部を転炉型精錬炉から排出し、スラグの一部を排出した後、転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで、転炉型精錬炉内の溶銑を脱燐処理し、脱珪処理をする際に、転炉型精錬炉内のスラグ高さを測定し、測定されたスラグ高さに応じて処理条件を調整することでスラグのフォーミングを制御し、スラグ高さを測定する際に、上記のスラグ高さ測定方法を用いることを特徴とする溶銑の予備処理方法が提供される。
本発明の一態様によれば、精錬容器内のスラグ高さを精度よく測定することができる。
本発明の一実施形態に係る転炉型精錬炉を示す模式図である。 スラグ高さ測定装置の側面断面図である。 スラグ高さ測定装置の正面断面図である。 スラグ高さ測定装置の送信用のアンテナを示す三面図である。 スラグ高さ測定装置の受信用のアンテナを示す三面図である。 (A)図4のアンテナにおける指向角を示す説明図である。(B)図5のアンテナにおける指向角を示す説明図である。 図4のアンテナにおける強度減衰を示すグラフである。 図5のアンテナにおける強度減衰を示すグラフである。 炉口位置でのマイクロ波の照射領域を示す説明図である。 実施例における反射波の強度の測定結果を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<スラグ高さ測定装置の構成>
はじめに、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態に係るスラグ高さ測定装置5の構成について説明する。精錬容器である転炉型精錬炉1は、炉体2と、フード3と、メインランス4と、スラグ高さ測定装置5とを有する。なお、図1〜図3において、z軸方向は鉛直方向であり、x軸方向はz軸に直交する水平方向である。
炉体2は、上部に開口部である炉口21を有し、内側壁の全面に耐火物が設けられる。また、炉体2の底部には、不図示のガス供給装置に接続された複数の底吹き羽口が設けられる。底吹き羽口からは、溶銑Mを撹拌するArやN等の攪拌用ガスが溶銑Mに吹き込まれる。
フード3は、炉体2のz軸正方向側である鉛直方向上側に、炉口21を覆って設けられ、不図示の排気設備に接続される。フード3には、炉口21のz軸正方向側の直上に、メインランス4が挿入されるメインランス孔31と、スラグ高さ測定装置5が挿入されるサブランス孔32とが形成される。メインランス孔31は、z軸方向に延在する孔であり、x−y平面視において炉体2の中心に設けられる。サブランス孔32は、z軸方向に延在する孔であり、x−y平面視においてメインランス孔31よりもx軸正方向側にずれた位置に設けられる。なお、サブランス孔32は、転炉型精錬炉1において脱炭精錬処理が行われる際に、温度測定やサンプリングをするためのサブランスが設けられる孔である。しかし、本実施形態では転炉型精錬炉1の吹錬処理においてサブランスが用いられない構成であるため、サブランスの代わりにスラグ高さ測定装置5がサブランス孔32に設けられる。また、サブランス孔32周辺のフード3は、図2および図3に示すように、上端がx軸方向に平行な水平面からなり、下端がx軸に対して正の傾きを有する傾斜面からなる。なお、本実施形態では、サブランス孔32周辺のフード3の上端は、サブランス設備等のデッキである。
メインランス4は、z軸方向に延在する上吹きランスであり、メインランス孔31を通じてz軸方向に昇降可能に設けられる。メインランス4は、z軸負方向側の端部から、炉体2内に収容された溶銑Mに対して、酸素ガスを噴射する。
スラグ高さ測定装置5は、図1に示すように、転炉型精錬炉1のz軸正方向側に設けられ、マイクロ波を用いて、炉内のスラグSのスラグ高さを測定する。スラグ高さ測定装置5は、図2に示すように、測定部51と、同軸導波管変換器52と、1対の導波管53a,53bと、1対のアンテナ54a,54bと、固定部55とを有する。
測定部51は、信号発生回路と処理回路とを有するマイクロ波レーダ距離計であり、同軸導波管変換器52とケーブルで接続される。測定部51は、搬送周波数がXバンド帯以下のマイクロ波信号の送受信を同軸導波管変換器52と行う。また、測定部51は、受信したマイクロ波の信号に基づいて、後述する方法を用いてスラグ高さを測定する。なお、マイクロ波の搬送周波数は、粉塵透過性を考慮すると、できるだけ低周波数であることが望ましい。ただし、搬送周波数が低くなるとアンテナ54aが大型化することに加え、搬送周波数が低すぎるとビームの収束性が失われるため、これらの点を考慮して搬送周波数が設定される。さらに、測定部51には、疑似ランダム信号を用いた方式、FMCW方式およびUWB方式をはじめとした各種方式を適用することができる。
同軸導波管変換器52は、測定部51にケーブルで接続され、導波管53a,53bが下端に接続される。同軸導波管変換器52は、測定部51から送信された信号をマイクロ波に変換し、変換したマイクロ波を導波管53aに送る。また、同軸導波管変換器52は、導波管53bから送られるマイクロ波を信号に変換し、変換した信号を測定部51に送信する。
導波管53aは、送信用の導波管であり、z軸方向に延在した上端が同軸導波管変換器52および下端がアンテナ54aに接続される。一方、導波管53bは、送信用の導波管であり、z軸方向に延在した上端が同軸導波管変換器52および下端がアンテナ54bに接続される。一対の導波管53a,53bは、y軸方向に並んで設けられ、下端部が固定部55に固定される。また、一対の導波管53a,53bには、不図示のNガス導入管が4本ずつ取り付けられ、パージガスとしてNガスが導入される。なお、Nガス導入管の径は、照射されるマイクロ波の波長よりも短くなることが好ましい。パージガスは、吹錬中に飛散するスプラッシュと呼ばれる粒滓や粒鉄のアンテナ54a,54b内部への付着を防止する。スプラッシュがアンテナ54a,54bの内部に付着した場合、アンテナ54a,54bが閉塞し、マイクロ波の伝搬が阻害される。
アンテナ54aは、マイクロ波を送信する、送信用の角型のホーンアンテナである。アンテナ54aは、上端が導波管53aに接続された状態で、サブランス孔32に挿入され、z軸方向に延在するように配される。また、アンテナ54aは、耐熱性を有する必要があるため、ステンレス製であることが好ましいが、その他の融点の高い金属で制作されてもよい。アンテナ54aの表面には、粒滓や粒鉄の付着を防止するための離型剤が塗布される。離型剤には、導電性を持たず、耐熱性のあるものとして、BN(ボロンナイトライド)が好適に用いられる。アンテナ54aは、図4に示すように、上端側に対して下端側の開口面積が徐々に大きくなるように形成される。また、アンテナ54aは、開口面積の大きな下端541aが長手方向に直交する開口面を有する。
アンテナ54bは、マイクロ波を受信する、受信用の角型のホーンアンテナである。アンテナ54bは、上端が導波管53bに接続された状態で、サブランス孔32に挿入され、z軸方向に延在するように配される。アンテナ54bの材質は、アンテナ54aと同様である。また、アンテナ54bは、開口面積の大きな下端541bが長手方向(鉛直方向であるz軸方向)に直交する面に対して所定の角度に傾斜するように、斜めに切り欠かれた開口面を有し、x軸正方向に対して長手方向の長さが長くなるように下端541bが斜めに傾斜している。つまり、下端541bの開口面は、炉体2の中心側に向くように設けられる。また、一対のアンテナ54a,54bは、図2に示すように、y軸方向に並んでそれぞれ設けられる。
ここで、ホーンアンテナから送信されるマイクロ波は、アンテナの指向特性によって照射範囲が決まり、その長手方向の長さLと開き角度αに対して利得が最大となるような値が存在する。一般的な角型のホーンアンテナであるアンテナ54aは、マイクロ波や電磁波が直進するように、下端の開口面がマイクロ波の進行方向に対して垂直に設けられ、ビーム幅がアンテナの開口面の中心に対して対照となる。また、ホーンアンテナの指向性は、長手方向の長さLが長いほど鋭くなる。さらに、ホーンアンテナのビーム幅(指向角)θは、アンテナ幅Dとマイクロ波の波長λとを用いた下記(1)式の近似式で示されることが知られている。(1)式によると、アンテナ幅Dとなるアンテナ下端の開口面積が大きい程鋭い指向性を示すことが分かる。
Figure 2018053347
炉口21からの反射波を捉えるとき、受信用のアンテナとして送信用のアンテナと同じ放射パターンを持ったアンテナを用いた場合には、炉口21からの反射信号強度が大きく、十分なS/N比を得られない場合がある。
そこで、本発明者は、下端541aの開口面がメインランスに対して直交する送信用のアンテナ54aと、下端541bの開口面がメインランスに対して垂直ではない角度を持つような受信アンテナを用いることで、炉口21からの反射信号が受信されるのを抑制できることを想到した。
これまで、例えば、送信用のアンテナの先端を図5に示すアンテナ54bのように斜めに切り欠くことで、マイクロ波等の電磁波の伝搬方向が偏向するという知見があった。このようなアンテナによれば、マイクロ波の照射範囲における炉内の占める領域を大きくさせることが可能となる。これは受信用のアンテナについても同様なことが言え、受信用のアンテナの先端を、送信用のアンテナと同様に斜めに切り欠くことで、送信用のアンテナの照射領域に対応する範囲から反射してくるマイクロ波を効率的に受信することが可能となる。
ところが、送信用のアンテナが炉口21の中心側へと偏向するように、送信用のアンテナの先端を斜めに切り欠き、さらに、受信用のアンテナについても同様に先端を斜めに切り欠いた場合、炉口21の中心に配されるメインランス4からの反射がノイズとなる可能性がある。つまり、測定したいスラグSの周辺に存在するメインランス4等の外乱要素の影響を避けるためには、マイクロ波の照射領域をできるだけスラグSのみに限定する必要がある。ところが送信用及び受信用の両方のアンテナを同じ形状とした場合は、送信用のアンテナから照射されるマイクロ波が炉口21やメインランス4に当たってしまうと、そこで反射された信号が、同じ強度分布で検出されてしまう。
そこで、本発明者は、送信用のアンテナと受信用のアンテナとの組み合わせについて検討を行い、本実施形態のアンテナ54a,54bのように、送信用のアンテナ及び受信用のアンテナの先端形状を変えることで、見かけ上のマイクロ波の照射領域が絞れることを知見した。
先端を切り欠いたアンテナ54bを送信用のアンテナとして使用した時、照射されるマイクロ波は、図6(A)に示すように、下端541bのx軸方向中央を中心として、y軸に対してx軸正方向側に角度β且つx軸負方向側に角度γの指向角で照射される。つまり、アンテナ54bから照射されるマイクロ波は、アンテナ54bの開口面が斜めに切り欠かれていることで、ビーム幅が開口面の中心に対して非対称となり、x軸負方向側の指向角に対してx軸正方向側の指向角が小さくなり、炉体2の中心に向かった進行方向で照射される。
一方、下端541aの開口面が長手方向に対して直行するアンテナ54aを送信用のアンテナとして使用した場合、照射されるマイクロ波は、図6(B)に示すように、x軸正方向側の指向角δと、x軸負方向側の指向角δとは同じ大きさとなる。このため、アンテナ54bに比べて、マイクロ波の照射範囲がx軸正方向側に広がり、マイクロ波の照射範囲における炉内の占める領域が小さくなる。
本発明者は、このような2種類の形状のアンテナを用いて、アンテナから送信される信号の強度及び特性を調査した。調査では、アンテナ54a,54bをそれぞれ用いて、マイクロ波を照射し、その反射波の強度を測定した。先端を切り欠いたアンテナ54bには、長手方向に対する長辺側の長さL1が1.15m、短辺側の長さL2が0.85mとなるものを用いた。下端541aの開口面が長手方向に対して直行するアンテナ54aには、長手方向の長さLが1.15mのものを用いた。なお、アンテナ54a,54bの長手方向の最大長さ(1.15m)は、サブランス孔32の長さの平均値と一致させている。測定では、搬送周波数8.5GHzのマイクロ波を、800MHzをクロック周波数とする127ビットの疑似ランダム信号で変調し、送信波として送信した。また、アンテナ54bの断面の短辺の面のうち片面に設けられた切欠きの長さは、搬送周波数8.5GHzに対応する波長35.3mmの4倍の141.2mmとした。そして、炉内のスラグ面などで反射した信号受信するようにした。受信した信号は、信号処理回路で検波され、送信した信号の疑似ランダム信号のクロック周波数がわずかに異なる疑似ランダム信号とミキシング(掛け算処理)されることで復調した。
図7及び図8に、先端を切欠いたアンテナ54b及び開口面が長手方向に直交するアンテナ54aの伝搬特性をそれぞれ示す。図7に示すように、先端を切欠いたアンテナ54bでは、信号の伝搬強度が非対称であることがわかる。このような特性のホーンアンテナについて、受信用のものに先端を切り欠いたアンテナ54bを用い、送信用のものに下端541aの開口面が長手方向に対して直行するアンテナ54aを用いた場合、両アンテナ54a,54bの照射領域と受信領域とが重なる領域からの反射信号が受信されることとなる。さらに、この領域に照射されるマイクロ波は、転炉の炉体2の内部(炉内)に照射されることから、スラグレベルを精度よく計測することが可能となる。
図9に本実施形態のアンテナ54a,54bの受信領域及び照射領域を示す。図9において、破線で囲んだ領域d1はアンテナ54bの受信領域(送信用のアンテナとして用いた場合の照射領域に相当)、破線で囲んだ領域d2はアンテナ54aによる照射領域、領域d1と領域d2とが重なるハッチングを施した領域d3が測定領域となる。図9に示すように、アンテナ54bでは、領域d1から反射されたマイクロ波が受信される。この際、受信領域は、z軸方向からみてメインランス孔31と端が重畳するだけとなり、メインランス4から反射されるマイクロ波が受信されにくくなる。また、アンテナ54aでは領域d2にマイクロ波が照射される。領域d2は、炉口21の略内側となり、炉口21の周りの炉体2(炉口金物ともいう)がほとんど含まれない。このため、アンテナ54bは、マイクロ波を、炉体2の略内部に照射することができる。つまり、アンテナ54a,54bによって送受信されるマイクロ波は、領域d3に照射及び反射されるものとなることから、炉口金物やそれに付着した地金、メインランス4といった外乱要素の影響を小さくすることができ、精度よくスラグSの高さを測定することができる。
なお、x軸正方向側におけるアンテナ54a,54bの下端541a,541bのz軸方向の高さは、サブランス孔32のx軸正方向側端の下面の高さと同じ高さに設けられる。アンテナ54aから照射されるマイクロ波は、拡散するように伝搬する。このため、アンテナ54aのx軸正方向側の下端541aの高さがサブランス孔32の下面の高さよりも高い場合、アンテナ54aから照射されるマイクロ波がサブランス孔32で多重反射し、精度良く測定をすることができなくなる。一方、アンテナ54aのx軸正方向側の下端541aの高さがサブランス孔32の下面の高さよりも低い場合、アンテナ54aがフード3の内表面から突き出ることになり、処理中に生じるスピッティングによってアンテナ54aの先端部に銑滓が付着する可能性がある。アンテナ54aの先端部に銑滓が付着すると、アンテナ54aの伝搬性能が変化してしまう。また、x軸負方向側におけるアンテナ54aの下端541aのz軸方向の高さは、x軸正方向側の高さよりも高く、且つサブランス孔32内面でのマイクロ波の反射が問題ない高さに設定される。これはアンテナ54bについても同様である。
また、アンテナ54aは、炉口位置において、アンテナ54aの中心での最大強度から所定の強度まで信号強度が低下する領域が、メインランス4と重ならないように設けられることが好ましい。さらに、アンテナ54bは、炉口位置において、送信用として用いた場合に、アンテナ54bの中心での最大強度から所定の強度まで信号強度が低下する照射領域(受信領域に相当)が、炉口金物と重ならないように設けられることが好ましい。アンテナ54a,54bにおける所定の強度とは、アンテナの放射特性によって異なるものの、例えば最大強度に対して2dB低下する値であってもよい。なお、図9に示した例では、領域d1,d2は、アンテナ54a,54bの最大強度から3dB低下するまでの照射領域(受信用の場合は受信領域)を示す。
固定部55は、サブランス孔32の上方となるフード3の上端に設けられ、一対の導波管53a,53bを固定することで、スラグ高さ測定装置5をフード3に固定する。
<溶銑の予備処理方法>
次に、本実施形態に係る溶銑Mの予備処理方法について説明する。本実施形態に係る予備処理では、転炉型精錬炉1を用いて、溶銑Mの脱珪処理および脱燐処理を連続して行う。まず、溶銑Mと、後述する前チャージの脱燐処理で発生したスラグSと、必要に応じて添加される媒溶剤とを炉体2に収容し、メインランス4から所定量の酸素ガスを吹き込むこと(「吹錬」ともいう)で溶銑Mの脱珪処理を行う。その際、後述するスラグ高さの測定方法を用いて、スラグSの水平面の高さを測定し、静止時の溶銑Mの浴面からスラグSの上端までの高さであるスラグ高さを測定結果から算出することで、スラグSのフォーミングの状態を監視する。ここで、スラグSのフォーミングとは、溶融したスラグSが吹錬処理時に発生するCO気泡を含み、見掛け上、体積膨脹する現象であるが、このスラグフォーミングはスラグSの塩基度や操業諸元によってフォーミングの状況が変化するため、吹錬中のスラグ高さを常に監視、測定する必要がある。
また、スラグ高さを監視する際、スラグ高さが目標範囲内となっているかどうかで、フォーミングの状態が良好か否かが判断される。つまり、スラグ高さが目標範囲よりも下回っている場合には、スラグSが十分にフォーミングしていないと判断され、スラグ高さが目標範囲よりも上回っている場合には、スラグSが過剰にフォーミングしていると判断される。なお、スラグ高さの目標範囲は、脱燐処理で発生したスラグSの量や媒溶剤の添加量、溶銑Mの成分・処理温度、吹錬条件等の種々に条件に応じて設定される。
脱珪処理おいて、スラグSが適切にフォーミングしていない場合、脱珪処理の後工程となる排滓処理において、速やかに且つ十分な量のスラグSを排出することができない。例えば、スラグSが十分にフォーミングしていない場合、スラグSの流動性が低くなるため、スラグSの排出速度が低下する。このため、所定時間内で十分な量のスラグSを排出することができなくなる。一方、スラグSのフォーミングが過剰となる場合、排滓処理において、スラグSが炉体2からスラグポットへ排出された後、スラグSとともに排出された粒鉄中の炭素とスラグS中の酸化鉄とが反応してさらにフォーミングが進行してしまう。スラグポット内でフォーミングが進行すると、スラグSがスラグポットからオーバーフローして操業を阻害するリスクがある。このため、スラグSがスラグポットからオーバーフローしないように、スラグSの排出速度を低減しなければならず、排滓処理に掛かる時間が長くなってしまう。
したがって、スラグ高さが低く、フォーミングが十分でないと判断された場合には、メインランス4からの酸素ガスの供給流量やランス高さ、攪拌用ガスの供給流量、媒溶剤の添加等が行われることで、適正なスラグ高さとなるように調整が行われる。一方、スラグ高さが高く、フォーミングが過剰であると判断された場合には、C等のガス発生物質を含むフォーミング鎮静剤の添加等が行われることで、適正なスラグ高さとなるように調整が行われる。
脱珪処理が終了した後、脱珪処理で発生したスラグSの一部を炉体2から排出する排滓処理が行われる。排滓処理では、炉体2を傾動させることでスラグSを炉口21から排出させ、排出されたスラグSを炉体2の下方に設けたスラグポット内に収容させる。この際、その後の脱燐処理での精錬コストや転炉型精錬炉1での生産性向上の観点から、短時間に且つ十分な量のスラグSを排出するように排滓処理が行われることが求められる。
次いで、所定量のスラグSが排出された後、CaO系媒溶剤を炉内に添加し、上吹きランスから所定量の酸素ガスを吹き込むことで、脱燐処理が行われる。脱燐処理が終了した後、溶銑Mが炉体2の側部に設けられた不図示の出鋼口から溶銑鍋へ排出される。溶銑Mの排出は、脱燐処理によって生じたスラグSが炉体2の内部に収容されたままの状態で行われる。
溶銑Mが排出された後、脱燐処理で発生したスラグSが収容された炉体2の内部に、次に処理される溶銑Mがさらに収容され、上記の脱珪処理および脱燐処理が繰り返し行われる。
<スラグ高さの測定方法>
次に、本実施形態に係るスラグ高さの測定方法について説明する。本実施形態では、上記の脱珪処理にて発生するスラグSのスラグ高さを測定する。スラグ高さの測定は、脱珪処理の全期間にわたって行われる。
まず、測定部51は、脱珪処理中に、同軸導波管変換器52にマイクロ波の信号を送信する。同軸導波管変換器52は、受信した信号をマイクロ波に変換し、導波管42aおよびアンテナ54aを介してマイクロ波を照射する。
次いで、同軸導波管変換器52は、マイクロ波の照射領域にある金属体から反射される反射波を、アンテナ54bおよび導波管53bを介して検出し、検出された反射波を反射信号として測定部51に送信する。測定部51は、受信した反射信号から、反射波が検出された時間(伝搬時間ともいう)を測定し、伝搬時間と伝搬速度の積の1/2の値をスラグSの水平面の高さとして算出する。なお、本実施形態では、伝搬速度は光速とする。この際、反射信号には、炉口21まわりの炉口金物やそれに付着した地金等の金属体からの反射波も一部含まれる場合があるが、伝搬時間の違いから、スラグ表面からの反射信号と炉口21や地金等の金属体からの反射信号とを弁別する処理が行われてもよい。炉口21や地金等の金属体は、スラグSの表面に比べて上部に位置するため、伝搬時間が短くなる。そして、測定部51は、スラグSの水平面の高さから、溶銑Mの質量から算出される溶銑Mの浴面の高さを差し引くことで、スラグSのスラグ高さを算出する。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである
例えば、上記実施形態では、一対のアンテナ54a,54bを角型のホーンアンテナとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、一対のアンテナ54a,54bを丸型のホーンアンテナとしてもよい。この際、受信用の丸型のホーンアンテナの下端は、アンテナ54bと同様に、斜めに切り欠かれる。
また、上記実施形態では、一対のアンテナ54a,54bを、サブランス孔32の内部に設ける構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。一対のアンテナ54a,54bを設けるための、専用の孔がフード3の炉口21の直上位置に形成されてもよい。上記構成とすることで、転炉型精錬炉1での吹錬処理中にサブランスを用いることができる。なお、サブランス孔32に一対のアンテナ54a,54bを設けた場合、既存の設備にも適用できることから、設備の投資コストを低減することができる。
さらに、上記実施形態では、スラグSの水平面の高さの測定を溶銑Mの脱珪処理中に行う構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。スラグSの水平面の高さの測定し、スラグ高さを算出することでスラグSのフォーミングを監視する処理は、溶銑Mの脱燐処理時や、脱炭処理時に行われてもよい。いずれの場合においても、スラグSのフォーミング不足による吹錬不良や、フォーミング過剰によるスロッピングの発生および排滓時間の延長等を防止することができる。
さらに、上記実施形態では、スラグ高さを算出する際に、溶銑Mの質量から算出される溶銑Mの浴面の高さを用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、脱珪処理前にスラグ高さ測定装置5を用いて溶銑Mの浴面の高さが測定され、スラグ高さを算出する際に、測定された溶銑Mの浴面の高さが用いられてもよい。
さらに、上記実施形態では、転炉型精錬炉1を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、転炉型精錬炉1の代わりにトピード型精錬容器等の他の精錬容器が用いられてもよい。
さらに、上記実施形態に加え、アンテナ54bの下端541bを、開口面の垂線が炉体2の中心を向くように切り欠いてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係るスラグ高さ測定装置5は、精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置5であって、マイクロ波を送信および受信することで、精錬容器(炉体2)内のスラグSの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいてスラグ高さを算出する測定部51と、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を鉛直方向の下端541bに有し、マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナ54bと、鉛直方向に直交する開口面を鉛直方向の下端541aに有し、マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナ54aとを備える。
上記構成によれば、受信用のアンテナ54bを斜めに切り欠くことで、受信用のアンテナ54bが反射波を受信する測定領域として精錬容器内の割合を大きくすることができる。またこの場合、送信用のアンテナ54aから照射されるマイクロ波は偏向せずに照射されるため、メインランス4からの反射を抑えることができる。このため、外乱要素の影響を抑え、マイクロ波を精錬容器内へ効率的に照射することができ、スラグからの反射信号を高い強度で得ることができるので、スラグ高さを精度よく測定することができる。また、精錬容器の炉口21や炉壁に付着した地金の成長度合い(チャージごとに変化する形状)に関わらず、確実にスラグ高さを測定することができる。
また、特許文献2に記載の方法場合、脱燐処理時は粉塵が多く発生するため、金属体からの反射に加えて粉塵によっても反射強度が低下してしまう。このため、処理中にスラグ高さを測定することは困難であった。一方、上記構成によれば、精錬容器内の照射領域の割合が大きいため、粉塵が発生する場合においても、特許文献2に比べ高い反射強度でスラグからの反射信号を得ることができるため、脱燐処理中においても高い精度でスラグ高さを測定することができる。
さらに、上記(1)の構成では、受信用のアンテナ54bの下端を斜めに切り欠けばよいだけなので、アンテナ自体を鉛直方向に対して傾けて設ける必要がない。このため、サブランス孔32のように設置場所が狭い場合でも容易に適用することができる。
(2)受信用のアンテナ54bは、開口面が精錬容器の略中心に向かって設けられる。
上記(2)の構成によれば、マイクロ波をより効率よく照射させることができる。
(3)精錬容器は転炉型精錬炉1であり、送信用のアンテナ54a及び受信用のアンテナ54bは、転炉型精錬炉1のサブランス孔32に設けられる。
上記(3)の構成によれば、既存の設備にも、安価なコストで適用することができる。
(4)測定部51は、Xバンド帯以下の周波数のマイクロ波を用いる。
上記(4)の構成によれば、マイクロ波の粉塵透過性を高めることができるため、より高い精度でスラグ高さを測定することができる。
(5)精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定方法であって、ホーン型の送信用のアンテナ54aを用いてマイクロ波を送信し、送信されたマイクロ波をホーン型の受信用のアンテナ54bを用いて受信することで、精錬容器内のスラグSの水平面の高さを測定し、測定されたスラグSの水平面の高さの測定結果に基づいて、スラグ高さを算出し、受信用のアンテナ54bには、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面が下端541bに形成され、送信用のアンテナ54aには、鉛直方向に直交する開口面が下端541aに形成される。
上記(5)の構成によれば、(1)と同様な効果を得ることができる。
(6)転炉型精錬炉1内に収容された溶銑Mにメインランス4から酸素ガスを吹き込むことで溶銑Mを脱珪処理し、脱珪処理で生成したスラグSの一部を転炉型精錬炉1から排出し、スラグSの一部を排出した後、転炉型精錬炉1内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで、転炉型精錬炉1内の溶銑Mを脱燐処理し、脱珪処理をする際に、転炉型精錬炉1内のスラグ高さを測定し、測定されたスラグ高さに応じて処理条件を調整することでスラグSのフォーミングを制御し、スラグ高さを測定する際に、(5)に記載のスラグ高さ測定方法を用いる。
上記(6)の構成によれば、脱珪処理で生成するスラグSのフォーミングを最適な状態に制御することができるため、スラグSを排出する際に、短時間且つ十分な量のスラグSを排出することができる。これにより、その後の脱燐処理における精錬コストを低減することができ、さらに、転炉型精錬炉1の生産性を向上させることができる。
本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、上記実施形態に係るスラグ高さ測定装置5を用いてスラグ高さの測定を行った。アンテナの形状は、上記の調査とした。つまり、サブランス孔32の長さの平均値と一致させるため、アンテナ54bには、長手方向に対する長辺の長さL1が1.15m、短辺の長さL2が0.85mとなるものを用い、アンテナ54aには、長手方向の長さLが1.15mのものを用いた。また、アンテナ54a,54bの内部には、BN(窒化ホウ素)を塗布した。
測定では、搬送周波数8.5GHzのマイクロ波を、800MHzをクロック周波数とする127ビットの疑似ランダム信号で変調し、送信波として送信した。また、アンテナ54bの断面の短辺の面のうち片面に設けられた切欠きの長さは、搬送周波数8.5GHzに対応する波長35.3mmの4倍の141.2mmとした。そして、炉内のスラグ面などで反射した信号受信するようにした。受信した信号は、信号処理回路で検波され、送信した信号の疑似ランダム信号のクロック周波数がわずかに異なる疑似ランダム信号とミキシング(掛け算処理)されることで復調した。
図10に反射波の測定結果を示す。図10の横軸はアンテナからのx軸方向への距離、縦軸は炉口21からの反射強度の最大値を1としたときの相対的な反射強度を示す。図10に示すように、実施例では、S(信号:スラグ面からの反射信号)に対するN(ノイズ:炉口からの反射信号、メインランスからの反射信号)の値を小さくすることができることが確認できた。このため、S/N比が大きく、高精度にスラグのレベル計測をすることが可能となることが確認できた。
また、溶銑の輻射熱を受けてアンテナ54a,54bの先端の温度が上昇したが、サブランス孔32の中は常温ガスによってパージされているので、先端から300mmより上方ではほぼ常温となり、熱変形も見られなかった。しかしながら、実施例では、安全を考慮して、先端から600mmの位置で着脱可能とした。さらに、アンテナ内部にBNを塗布したことにより、先端部の付着物が少量に抑えられ、長時間にわたって安定した計測ができることが確認できた。
以上のように、本発明に係るスラグ高さ測定装置は、受信用のホーンアンテナの一部を切り欠いたことにより、残った面が電磁波の遮蔽板となり、炉壁または炉口側へ拡散する電磁波を低減することが可能となることが確認できた。これにより、炉壁、または炉口からの反射を低減することが可能となり、スラグの高さ(レベル)を高精度に計測可能となることが確認できた。また、本発明によれば、狭い貫通孔に設置しても、アンテナを傾けることなく、壁からの反射を避けることが可能となることが確認できた。さらに、先端部を着脱可能とすることで、メンテナンス性が向上し、飛散した溶融物の付着などにより先端部が歪んだ際には交換すれば、元の通り精度よく計測できることが確認できた。
1 転炉型精錬炉
2 炉体
21 炉口
3 フード
31 メインランス孔
32 サブランス孔
4 上吹きランス
5 スラグ高さ測定装置
51 測定部
52 同軸導波管変換器
53a,53b 導波管
54a,54b アンテナ
541a,541c 下端
55 固定部
M 溶銑
S スラグ

Claims (6)

  1. 精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置であって、
    前記マイクロ波を送信および受信することで、前記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいて前記スラグ高さを算出する測定部と、
    鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を前記鉛直方向の下端に有し、前記マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナと、
    前記鉛直方向に直交する開口面を前記鉛直方向の下端に有し、前記マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナと
    を備えることを特徴とするスラグ高さ測定装置。
  2. 前記受信用のアンテナは、前記開口面が前記精錬容器の略中心に向かって設けられることを特徴とする請求項1に記載のスラグ高さ測定装置。
  3. 前記精錬容器は転炉型精錬炉であり、
    前記送信用のアンテナ及び前記受信用のアンテナは、前記転炉型精錬炉のサブランス孔に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のスラグ高さ測定装置。
  4. 前記測定部は、Xバンド帯以下の周波数の前記マイクロ波を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラグ高さ測定装置。
  5. 精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定方法であって、
    ホーン型の送信用のアンテナを用いて前記マイクロ波を送信し、送信された前記マイクロ波をホーン型の受信用のアンテナを用いて受信することで、前記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、
    測定された前記スラグの水平面の高さの測定結果に基づいて、前記スラグ高さを算出し、
    前記受信用のアンテナには、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面が下端に形成され、
    前記送信用のアンテナには、前記鉛直方向に直交する開口面が下端に形成されることを特徴とするスラグ高さ測定方法。
  6. 転炉型精錬炉内に収容された溶銑に上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで前記溶銑を脱珪処理し、
    脱珪処理で生成したスラグの一部を前記転炉型精錬炉から排出し、
    前記スラグの一部を排出した後、前記転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで、前記転炉型精錬炉内の前記溶銑を脱燐処理し、
    脱珪処理をする際に、前記転炉型精錬炉内のスラグ高さを測定し、測定された前記スラグ高さに応じて処理条件を調整することで前記スラグのフォーミングを制御し、
    前記スラグ高さを測定する際に、請求項5に記載のスラグ高さ測定方法を用いることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
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