JP2018053347A - スラグ高さ測定装置、スラグ高さ測定方法および溶銑の予備処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置5であって、マイクロ波を送信および受信することで、精錬容器(炉体2)内のスラグSの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいてスラグ高さを算出する測定部51と、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を鉛直方向の下端541bに有し、マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナ54bと、鉛直方向に直交する開口面を鉛直方向の下端541aに有し、マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナ54aとを備える
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献2には、脱燐処理した溶銑を転炉で吹錬処理する前に、転炉内の浴面レベルを測定し、測定データに基づいて設定ランス高さを調整して吹錬処理することで、スロッピングやスピッティングの発生を抑制する方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、マイクロ波を用いたスラグレベル計測方法において、マイクロ波の進行方向を示す軸線、すなわちアンテナの中心とマイクロ波の照射範囲の中心とを結ぶ線が、メインランスまたは転炉の炉壁に対して傾斜させるようにアンテナを設置することが開示されている。
また、特許文献2に記載の方法では、測定対象が吹錬処理前の溶銑の浴面であり、スラグ高さやフォーミング量を測定する方法については、開示されていない。
さらに、特許文献3に記載の方法では、転炉型精錬炉の炉口や炉口のすぐ下側の炉壁等に付着する地金によって、送信したマイクロ波の多くが散乱されてしまい、スラグ表面からの反射波を捉えられないことが生じる。特に、転炉型精錬炉の使用回数に伴って、炉口や炉壁には地金が多く付着し、成長するため、スラグ高さを精度よく測定することが困難となる。
はじめに、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態に係るスラグ高さ測定装置5の構成について説明する。精錬容器である転炉型精錬炉1は、炉体2と、フード3と、メインランス4と、スラグ高さ測定装置5とを有する。なお、図1〜図3において、z軸方向は鉛直方向であり、x軸方向はz軸に直交する水平方向である。
炉体2は、上部に開口部である炉口21を有し、内側壁の全面に耐火物が設けられる。また、炉体2の底部には、不図示のガス供給装置に接続された複数の底吹き羽口が設けられる。底吹き羽口からは、溶銑Mを撹拌するArやN2等の攪拌用ガスが溶銑Mに吹き込まれる。
スラグ高さ測定装置5は、図1に示すように、転炉型精錬炉1のz軸正方向側に設けられ、マイクロ波を用いて、炉内のスラグSのスラグ高さを測定する。スラグ高さ測定装置5は、図2に示すように、測定部51と、同軸導波管変換器52と、1対の導波管53a,53bと、1対のアンテナ54a,54bと、固定部55とを有する。
そこで、本発明者は、下端541aの開口面がメインランスに対して直交する送信用のアンテナ54aと、下端541bの開口面がメインランスに対して垂直ではない角度を持つような受信アンテナを用いることで、炉口21からの反射信号が受信されるのを抑制できることを想到した。
先端を切り欠いたアンテナ54bを送信用のアンテナとして使用した時、照射されるマイクロ波は、図6(A)に示すように、下端541bのx軸方向中央を中心として、y軸に対してx軸正方向側に角度β且つx軸負方向側に角度γの指向角で照射される。つまり、アンテナ54bから照射されるマイクロ波は、アンテナ54bの開口面が斜めに切り欠かれていることで、ビーム幅が開口面の中心に対して非対称となり、x軸負方向側の指向角に対してx軸正方向側の指向角が小さくなり、炉体2の中心に向かった進行方向で照射される。
固定部55は、サブランス孔32の上方となるフード3の上端に設けられ、一対の導波管53a,53bを固定することで、スラグ高さ測定装置5をフード3に固定する。
次に、本実施形態に係る溶銑Mの予備処理方法について説明する。本実施形態に係る予備処理では、転炉型精錬炉1を用いて、溶銑Mの脱珪処理および脱燐処理を連続して行う。まず、溶銑Mと、後述する前チャージの脱燐処理で発生したスラグSと、必要に応じて添加される媒溶剤とを炉体2に収容し、メインランス4から所定量の酸素ガスを吹き込むこと(「吹錬」ともいう)で溶銑Mの脱珪処理を行う。その際、後述するスラグ高さの測定方法を用いて、スラグSの水平面の高さを測定し、静止時の溶銑Mの浴面からスラグSの上端までの高さであるスラグ高さを測定結果から算出することで、スラグSのフォーミングの状態を監視する。ここで、スラグSのフォーミングとは、溶融したスラグSが吹錬処理時に発生するCO気泡を含み、見掛け上、体積膨脹する現象であるが、このスラグフォーミングはスラグSの塩基度や操業諸元によってフォーミングの状況が変化するため、吹錬中のスラグ高さを常に監視、測定する必要がある。
また、スラグ高さを監視する際、スラグ高さが目標範囲内となっているかどうかで、フォーミングの状態が良好か否かが判断される。つまり、スラグ高さが目標範囲よりも下回っている場合には、スラグSが十分にフォーミングしていないと判断され、スラグ高さが目標範囲よりも上回っている場合には、スラグSが過剰にフォーミングしていると判断される。なお、スラグ高さの目標範囲は、脱燐処理で発生したスラグSの量や媒溶剤の添加量、溶銑Mの成分・処理温度、吹錬条件等の種々に条件に応じて設定される。
溶銑Mが排出された後、脱燐処理で発生したスラグSが収容された炉体2の内部に、次に処理される溶銑Mがさらに収容され、上記の脱珪処理および脱燐処理が繰り返し行われる。
次に、本実施形態に係るスラグ高さの測定方法について説明する。本実施形態では、上記の脱珪処理にて発生するスラグSのスラグ高さを測定する。スラグ高さの測定は、脱珪処理の全期間にわたって行われる。
まず、測定部51は、脱珪処理中に、同軸導波管変換器52にマイクロ波の信号を送信する。同軸導波管変換器52は、受信した信号をマイクロ波に変換し、導波管42aおよびアンテナ54aを介してマイクロ波を照射する。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである
また、上記実施形態では、一対のアンテナ54a,54bを、サブランス孔32の内部に設ける構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。一対のアンテナ54a,54bを設けるための、専用の孔がフード3の炉口21の直上位置に形成されてもよい。上記構成とすることで、転炉型精錬炉1での吹錬処理中にサブランスを用いることができる。なお、サブランス孔32に一対のアンテナ54a,54bを設けた場合、既存の設備にも適用できることから、設備の投資コストを低減することができる。
さらに、上記実施形態では、転炉型精錬炉1を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、転炉型精錬炉1の代わりにトピード型精錬容器等の他の精錬容器が用いられてもよい。
さらに、上記実施形態に加え、アンテナ54bの下端541bを、開口面の垂線が炉体2の中心を向くように切り欠いてもよい。
(1)本発明の一態様に係るスラグ高さ測定装置5は、精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置5であって、マイクロ波を送信および受信することで、精錬容器(炉体2)内のスラグSの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいてスラグ高さを算出する測定部51と、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を鉛直方向の下端541bに有し、マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナ54bと、鉛直方向に直交する開口面を鉛直方向の下端541aに有し、マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナ54aとを備える。
さらに、上記(1)の構成では、受信用のアンテナ54bの下端を斜めに切り欠けばよいだけなので、アンテナ自体を鉛直方向に対して傾けて設ける必要がない。このため、サブランス孔32のように設置場所が狭い場合でも容易に適用することができる。
上記(2)の構成によれば、マイクロ波をより効率よく照射させることができる。
(3)精錬容器は転炉型精錬炉1であり、送信用のアンテナ54a及び受信用のアンテナ54bは、転炉型精錬炉1のサブランス孔32に設けられる。
上記(3)の構成によれば、既存の設備にも、安価なコストで適用することができる。
(4)測定部51は、Xバンド帯以下の周波数のマイクロ波を用いる。
上記(4)の構成によれば、マイクロ波の粉塵透過性を高めることができるため、より高い精度でスラグ高さを測定することができる。
上記(5)の構成によれば、(1)と同様な効果を得ることができる。
上記(6)の構成によれば、脱珪処理で生成するスラグSのフォーミングを最適な状態に制御することができるため、スラグSを排出する際に、短時間且つ十分な量のスラグSを排出することができる。これにより、その後の脱燐処理における精錬コストを低減することができ、さらに、転炉型精錬炉1の生産性を向上させることができる。
2 炉体
21 炉口
3 フード
31 メインランス孔
32 サブランス孔
4 上吹きランス
5 スラグ高さ測定装置
51 測定部
52 同軸導波管変換器
53a,53b 導波管
54a,54b アンテナ
541a,541c 下端
55 固定部
M 溶銑
S スラグ
Claims (6)
- 精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定装置であって、
前記マイクロ波を送信および受信することで、前記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、測定結果に基づいて前記スラグ高さを算出する測定部と、
鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面を前記鉛直方向の下端に有し、前記マイクロ波の受信に用いられるホーン型の受信用のアンテナと、
前記鉛直方向に直交する開口面を前記鉛直方向の下端に有し、前記マイクロ波の送信に用いられるホーン型の送信用のアンテナと
を備えることを特徴とするスラグ高さ測定装置。 - 前記受信用のアンテナは、前記開口面が前記精錬容器の略中心に向かって設けられることを特徴とする請求項1に記載のスラグ高さ測定装置。
- 前記精錬容器は転炉型精錬炉であり、
前記送信用のアンテナ及び前記受信用のアンテナは、前記転炉型精錬炉のサブランス孔に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のスラグ高さ測定装置。 - 前記測定部は、Xバンド帯以下の周波数の前記マイクロ波を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラグ高さ測定装置。
- 精錬容器内のスラグ高さを、マイクロ波を用いて測定するスラグ高さ測定方法であって、
ホーン型の送信用のアンテナを用いて前記マイクロ波を送信し、送信された前記マイクロ波をホーン型の受信用のアンテナを用いて受信することで、前記精錬容器内のスラグの水平面の高さを測定し、
測定された前記スラグの水平面の高さの測定結果に基づいて、前記スラグ高さを算出し、
前記受信用のアンテナには、鉛直方向に対して斜めに切り欠かれた開口面が下端に形成され、
前記送信用のアンテナには、前記鉛直方向に直交する開口面が下端に形成されることを特徴とするスラグ高さ測定方法。 - 転炉型精錬炉内に収容された溶銑に上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで前記溶銑を脱珪処理し、
脱珪処理で生成したスラグの一部を前記転炉型精錬炉から排出し、
前記スラグの一部を排出した後、前記転炉型精錬炉内にCaO系媒溶剤を添加し、前記上吹きランスから酸素ガスを吹き込むことで、前記転炉型精錬炉内の前記溶銑を脱燐処理し、
脱珪処理をする際に、前記転炉型精錬炉内のスラグ高さを測定し、測定された前記スラグ高さに応じて処理条件を調整することで前記スラグのフォーミングを制御し、
前記スラグ高さを測定する際に、請求項5に記載のスラグ高さ測定方法を用いることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
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