JP2018053202A - 量子ドット蛍光体及びそれを用いた発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、発光効率が高く、さらにCd等の有害物質を含まない量子ドット蛍光体及びその量子ドット蛍光体を用いた発光装置を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、Cu(In1−x—yAlxGay)S2(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)又は、Cu(In1−x—yAlxGay)S2/ZnS(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)で表わされる量子ドット蛍光体及びそれを用いた発光装置により前記課題を解決する。【選択図】図12

Description

本発明は、量子ドット蛍光体及びそれを用いた発光装置に関する。
光源として広く使用されている蛍光灯は、有害物質である水銀を用いることや寿命が短いことなどの短所がある。このため、近年では、光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が使用されるようになってきている。
光源としてLEDを用いて構成された発光素子(以下、LED発光素子ともいう)は、有害物質を用いておらず、長寿命であり、発光効率が高いなどの特徴を有し、他にも、次のような利点がある。
(i)LED発光素子は、直流駆動が可能であるため、従来の交流駆動の蛍光灯で発生するちらつきがなく、目に優しい。
(ii)LED発光素子は、従来の蛍光灯に比べて紫外線(UV:Ultra Violet ray)の発生量が少ないため、人体への影響が少なく、さらに、材料劣化を抑えることができる。
(iii)LED発光素子は、従来の蛍光灯で用いられるガラスを使用しないため、安全性が高く、操作性がよい。
このような特徴を有するLED発光素子は、家庭照明をはじめとする照明用や、液晶表示素子のバックライト用など、次世代の光源として注目され、近年盛んに研究開発が進められている。
LED発光素子を用いて白色光を得る方式としては、以下の3つの方式が知られている。
(1)光の3原色である赤色(R:Red)、緑色(G:Green)及び青色(B:Blue)の発光波長(発光のピーク波長)をそれぞれ有する3種のLEDを組み合わせて白色光を得る方式。
(2)青色の発光波長を有する青色LED、及び青色の発光を励起光とする黄色、緑色、赤色等の発光波長を有する蛍光体を使用し、励起源からの青色の発光と蛍光体からの黄色、緑色、赤色等の発光との混合により白色光を得る方式。この方式では、黄色、緑色、赤色等の発光波長を有する蛍光体が、波長変換蛍光体材料として、青色LEDからの青色の発光を黄色、緑色、赤色等の発光に波長変換する。
(3)380nmより短波長の近紫外領域の光、すなわちUVの発光波長を有するUV−LED、及びUVを励起光とする赤色、緑色及び青色の発光波長を有する蛍光体を使用し、蛍光体からの赤色、緑色及び青色の発光の混合により白色光を得る方式。この方式では、赤色、緑色及び青色の発光波長を有する蛍光体が、波長変換蛍光体材料として、UV−LEDからのUVを赤色、緑色及び青色の発光に波長変換する。
図1に、上記(2)の方式のLED発光素子を有する発光装置の構造の一例を示す。
図1の発光装置では、青色LEDチップ1がワイヤ2によりリードフレーム3に接続されている。青色LEDチップ1は、ヒートシンク6に接着されている。また、青色LEDチップ1は、青色LEDチップ1からの青色の発光を励起光とする黄色、緑色、赤色等の発光波長を有する蛍光体粒子7を封入させた透明樹脂5により、ケース4内に封止されている。
外部駆動回路よりリードフレーム3に電力が供給されると、青色LEDチップ1が点灯し、青色を発光する。ヒートシンク6は、発光時の青色LEDチップ1からの発熱を外部に逃がす役割を有し、青色LEDチップ1の温度の上昇を抑え、発光を安定化させる。青色LEDチップ1からの青色の発光の一部はそのまま青色に発光し、青色の発光の残りは透明樹脂5中の蛍光体粒子7を励起する。励起された蛍光体粒子7は黄色、緑色、赤色等を発光する。青色LEDチップ1からの青色の発光と蛍光体粒子7からの各色の発光とが混合されて、白色光が得られる。この構造は主に、照明器具用の発光装置に用いられる。
図2には、図1の発光装置の構造とは異なる上記(2)の方式のLED発光素子を有する発光装置の一例を示す。図2に示す発光装置は、LED発光素子からの発光を導光体9及び反射シート8により広い面に照射することができる構造を有する。
図2の発光装置では、青色LEDチップ1は透明樹脂5により封止されているが、蛍光体粒子7は透明樹脂5に封入されていない。蛍光体粒子7は透明樹脂5Aに封入されており、導光体9は透明樹脂5Aと反射シート8に挟まれた構造をしている。蛍光体粒子7は、青色LEDチップ1からの青色の発光を励起光とする黄色、緑色、赤色等の発光波長を有する蛍光体からなる。
青色LEDチップ1から放出された青色の発光は、導光体9中を導光しながら、又は導光体9中を導光して反射シート8により反射されながら広がり、青色の発光の一部はそのまま青色の発光として透過する。青色の発光の残りは蛍光体粒子7の励起光として使用され、蛍光体粒子7により黄色、緑色、赤色等の発光に変換される。青色LEDチップ1からの青色の発光と蛍光体粒子7からの各色の発光とが混合され、白色光が得られる。この構造は、照明器具用の発光装置の他、主に液晶ディスプレイ用のバックライトに用いられる。
上記(2)の方式のLED発光素子を有する発光装置からの発光をバックライト光として使用する液晶ディスプレイでは、各画素(青、赤、緑)に対応する色はバックライト光をカラーフィルタに通すことにより実現される。
上記のような発光装置に使用される従来の蛍光体粒子としては、YAG:Ce(YAl12:Ce)の他、TbAl12:Ce、LuAl12:Ce、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu、CaAlSiN:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、ZnS:Cu、Al、SrGa:Eu、CaGa:Eu、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu、CaSc:Ce、Ca3ScSi12:Ce、CaMgSi16Cl:Eu、SrAl:Euなどが挙げられ、これらは数μm〜10μm程度の粒径を有する。また、これらの蛍光体粒子は、それぞれ固有の発光波長を有する。
図3の(a)に、従来の蛍光体粒子を用いたバックライト光の発光スペクトル、(b)に、各色(青、緑、赤)用のカラーフィルタの透過率[実線は青色用カラーフィルタの透過率(透過率のピーク:約450nm)、破線は緑色用カラーフィルタの透過率(透過率のピーク:約490nm)、点線は赤色用カラーフィルタの透過率(透過率のピーク:約650nm)を示す]、(c)に、(a)の発光スペクトルと(b)の透過率とから得られる液晶ディスプレイの各色(青、緑、赤)のスペクトルを示す。図3の(a)に示すように、バックライト光の発光スペクトルのうち、蛍光体粒子からの発光スペクトルに相当する約500nm〜約750nmの緑色及び赤色それぞれの発光波長のピーク幅は広いため、カラーフィルタ(図3(b))を透過した後の緑色及び赤色それぞれの発光波長のピーク幅も広くなる(図3(c))。これより、従来の蛍光体粒子を用いた場合は、カラーフィルタの透過率を高めることができず、その結果、発光効率が悪くなる。また、発光スペクトルの発光波長ピーク幅が広いため、色純度が悪い。
このような従来の蛍光体粒子に対して、近年では、数nm〜10nm程度の粒径を有する蛍光体粒子、いわゆる量子ドット蛍光体が注目されている。量子ドット蛍光体は半導体組成からなる。
図4の(a)に、量子ドット蛍光体を用いたバックライト光の発光スペクトル、(b)に、各色(青、緑、赤)用のカラーフィルタの透過率(図3の(b)と同じである)、(c)に、(a)のスペクトルと(b)の透過率とから得られる液晶ディスプレイの各色(青、緑、赤)のスペクトルを示す。図4の(a)に示すように、バックライト光の発光スペクトルのうちの量子ドット蛍光体からの発光スペクトルに相当する約500nm〜750nmの緑色及び赤色それぞれの発光波長のピーク幅は狭いため、カラーフィルタ(図4(b))を透過した後の緑色及び赤色それぞれの発光波長のピーク幅も狭く(図4(c))、各色の色純度がよい。これより、量子ドット蛍光体を用いた場合は、従来の蛍光体粒子を用いる場合よりもカラーフィルタの透過率を高めることができ、その結果、発光効率の向上が可能である。さらに、各色の色純度がよいため、液晶ディスプレイの色再現範囲の拡大が可能である。
また、量子ドット蛍光体は、粒径を変えることで発光波長を変更することができるという特徴を有する。
量子ドット蛍光体としては、例えばCdSe/ZnS(コア/シェル)量子ドット蛍光体、InP/ZnS量子ドット蛍光体、CuInS/ZnS量子ドット蛍光体などが挙げられる。CdSe/ZnS量子ドット蛍光体では、結晶表面の欠陥により発光効率が低いCdSe(コア)の表面をZnS(シェル)で覆うことによって、結晶表面の欠陥を修復し、発光効率を向上させている。
しかしながら、CdSe/ZnS量子ドット蛍光体は、RoHS規制で使用量が限定されている有害なCdを含む。また、Cdを含まない量子ドット蛍光体として知られるInP/ZnS量子ドット蛍光体やCuInS/ZnS量子ドット蛍光体には、CdSe/ZnS量子ドット蛍光体に比べて発光効率が低いという問題点がある。
さらに、特許文献1及び特許文献2には、量子ドット蛍光体を図1の構造に採用する方式が記載されているが、図1に示す発光装置では、広い面に均一に白色光を照射することは難しい。
特開2007−103511号公報 特開2007−103513号公報
上記従来の状況に鑑み、本発明は、発光効率が高く、さらにCd等の有害物質を含まない量子ドット蛍光体及びその量子ドット蛍光体を用いた発光装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、量子ドット蛍光体であるCuInS量子ドット蛍光体又はCuInS/ZnS量子ドット蛍光体の結晶欠陥に起因する非発光遷移を低減化させるために、CuInS量子ドット蛍光体又はCuInS/ZnS量子ドット蛍光体におけるInサイトをIn元素と同族元素であるAl元素及び/又はGa元素で置換することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る量子ドット蛍光体は、Cu(In1−x―yAlGa)S(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)又は、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)で表わされることを特徴とする。
本発明により、発光効率が高く、Cd等の有害物質を含まない量子ドット蛍光体が提供され、さらに、本発明の量子ドット蛍光体を用いることによって発光効率を向上させた発光装置が提供される。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
LED発光素子を有する発光装置の構造の一例を示す図である。 LED発光素子を有する発光装置の構造の一例を示す図である。 従来の蛍光体粒子を用いた液晶ディスプレイの発光スペクトルを示す図である。 量子ドット蛍光体を用いた液晶ディスプレイの発光スペクトルを示す図である。 本発明の量子ドット蛍光体を透明樹脂に封入した蛍光体フィルムの一例を模式的に表した図である。 本発明の量子ドット蛍光体を含む蛍光体フィルムを用いて製造した発光装置の一例を模式的に表した図である。 本発明の量子ドット蛍光体を含む蛍光体フィルムを用いて製造した発光装置の一例を模式的に表した図である。 本発明の量子ドット蛍光体を有する発光装置をバックライトとして用いて製造した液晶ディスプレイパネルの一例を模式的に表した図である。 CuInS/ZnS系の量子ドット蛍光体における、粒径に対する発光波長の関係を示す図である。 Cu(In1−xAl)S量子ドット蛍光体におけるAl濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係を示す図である。 Cu(In0.7Al0.3)S量子ドット蛍光体における励起波長に対する量子効率(相対値)の関係を示す図である。 Cu(In1−xAl)S/ZnS量子ドット蛍光体におけるAl濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係を示す図である。 Cu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体における励起波長に対する量子効率(相対値)の関係を示す図である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。さらに、以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更及び修正ができる。また、本発明を説明するための図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
<量子ドット蛍光体>
本発明の量子ドット蛍光体は、CuInS量子ドット蛍光体又はCuInS/ZnS量子ドット蛍光体の結晶構造を有し、Inサイトの一部がIn元素と同族元素であるAl元素及び/又はGa元素によって置換された以下の構造:
Cu(In1−x―yAlGa)S(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)
又は、
Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)
を有する。
ここで、本発明のCu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、Al濃度(x)+Ga濃度(y)(本明細書では「x+y」ともいう)の範囲は、0<x+y≦0.4であり、好ましくは0.1≦x+y≦0.3であり、より好ましくは0.1≦x+y≦0.2であり、xの範囲は、0≦x≦0.4であり、好ましくは0≦x≦0.3であり、より好ましくは0≦x≦0.2であり、yの範囲は、0≦y≦0.4であり、好ましくは0≦y≦0.3であり、より好ましくは0≦y≦0.2である。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、Al濃度(x)+Ga濃度(y)の範囲は、0<x+y≦0.4であり、好ましくは0.1≦x+y≦0.4であり、より好ましくは0.2≦x+y≦0.4であり、特に0.3≦x+y≦0.4であり、xの範囲は、0≦x≦0.4であり、好ましくは0≦x≦0.3であり、より好ましくは0≦x≦0.2であり、yの範囲は、0≦y≦0.4であり、好ましくは0≦y≦0.3であり、より好ましくは0≦y≦0.2である。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体及びCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体において、Al濃度(x)、Ga濃度(y)及びx+yを上記範囲にすることによって、Al及びGaを含まないCuInS量子ドット蛍光体及びCuInS/ZnS量子ドット蛍光体よりも高い発光効率を得ることができる。
本発明の量子ドット蛍光体は、その粒径を変更することによって発光波長を変更することができる。したがって、本発明の量子ドット蛍光体は、当業者が望む色の発光に応じて粒径を変更することができ、以下に限定されないが、透過電子線顕微鏡観察像により測定した場合に、Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、通常1nm〜10nm、好ましくは2.0nm〜6.0nm、より好ましくは2.5nm〜5.5nmの間に平均粒径(メディアン径:d50)を有し、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、通常1nm〜10nm、好ましくは3.0nm〜7.0nm、より好ましくは3.5nm〜6.5nmの間に平均粒径(メディアン径:d50)を有する。透過電子線顕微鏡観察像による粒径の測定は以下のように行う。まず、無作為に100個の粒子を選択し、各粒子について短径及び長径を測定する。続いて、各粒子における短径及び長径の平均値を計算し、各粒子の直径とする。最後に、各粒子の直径を平均化し、得られた値を量子ドット蛍光体の粒径とする。
本発明の量子ドット蛍光体は、粒径が揃っていることが好ましく、例えば粒度分布における頻度分布のピークが鋭いことが好ましい。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体及びCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体の粒径を上記範囲にすることによって、当該量子ドット蛍光体が可視光波長の間に発光波長を有し、また、当該粒径が揃うことによって、当該量子ドット蛍光体から発する各色の色純度がよくなる。
本発明の量子ドット蛍光体は、粒径に依存して異なり得るが、通常500nm〜800nmの間に発光波長を有する。例えば、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体であれば、通常500nm〜600nm、好ましくは520nm〜560nm、より好ましくは530nm〜550nmの間に発光波長を有し、例えば、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体であれば、通常600nm〜750nm、好ましくは600nm〜640nm、より好ましくは610nm〜630nmの間に発光波長を有する。
本明細書において、「(色又は波長を示す語句)の(間に)発光波長を有する」とは、当該蛍光体(又は発光素子)が、励起光を吸収することにより励起されて、そこに示される色の光を発する性質を有するか、又はそこに示される波長の間に発光のピーク波長がある光を発する性質を有することを意味する。例えば、「緑色の発光波長を有する蛍光体」とは、励起光を吸収することにより励起されて、緑色に発光する性質を有する蛍光体を指し、「500nm〜600nmの間に発光波長を有する蛍光体」とは、励起光により励起されて、500nm〜600nmの間に発光のピーク波長がある光を発する性質を有する蛍光体を指す。
本発明の量子ドット蛍光体における粒径と発光波長の関係では、粒径が大きくなるにしたがって発光波長は長くなる。例えば、Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、量子ドット蛍光体の粒径が3.0nm〜3.6nmになると、量子ドット蛍光体は530nm〜560nmの間に発光波長を有し、量子ドット蛍光体の粒径が4.2nm〜4.5nmになると、量子ドット蛍光体は590nm〜620nmの間に発光波長を有し、量子ドット蛍光体の粒径が4.5nm〜4.8nmになると、量子ドット蛍光体は620nm〜650nmの間に発光波長を有し、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、量子ドット蛍光体の粒径が4.0nm〜4.6nmになると、量子ドット蛍光体は530nm〜560nmの間に発光波長を有し、量子ドット蛍光体の粒径が5.2nm〜5.5nmになると、量子ドット蛍光体は590nm〜620nmの間に発光波長を有し、量子ドット蛍光体の粒径が5.5nm〜5.8nmになると、量子ドット蛍光体は620nm〜650nmの間に発光波長を有する。
本発明の量子ドット蛍光体を発光させるために用いる励起光としては、量子ドット蛍光体の発光波長よりも短い波長の、量子ドット蛍光体が吸収することができる光であれば限定されず、通常300nm〜500nm、好ましくは340nm〜450nm、より好ましくは350nm〜450nm、特に380nm〜450nmの間に発光のピーク波長がある光を用いることができる。特に、Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、好ましくは360nm〜450nm、より好ましくは380nm〜450nmの間に発光のピーク波長がある光を用いることができ、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、好ましくは340nm〜450nm、より好ましくは350nm〜450nmの間に発光のピーク波長がある光を用いることができる。本発明の量子ドット蛍光体を発光させるために用いる励起源としては、通常380nm〜450nm、好ましくは400nm〜450nm、より好ましくは440nm〜450nmの間に発光波長を有する青色LEDを用いることが好ましい。
本発明の量子ドット蛍光体を発光させるために用いる励起光に、上記範囲の間に発光のピーク波長がある光を使用することにより、300nm未満の励起光を使用する場合よりも、本発明の量子ドット蛍光体において高い発光効率を得ることができる。また、本発明の量子ドット蛍光体を発光させるために用いる励起源として青色LEDを用いることができるので、本発明の量子ドット蛍光体を上記(2)の方式の発光装置に用いることで、発光効率の高い発光装置を得ることができる。
本量子ドット蛍光体は、従来から知られる方法、例えば限定されないが、液相合成法であるソルボサーマル法により合成することができる。
以下に、Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体及びCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体の合成法の一例を示す。
(I)Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体の合成
原料としては、Cu源として、ハロゲン化銅、例えばヨウ化銅(I)(CuI)や酢酸銅(I)(Cu(CHCOO))などを挙げることができ、In源として、有機酸インジウム、例えば三酢酸インジウム(In(CHCOO))、塩化インジウム(InCl)などを挙げることができ、Al源として、有機酸アルミニウム、例えば三酢酸アルミニウム(Al(CHCOO))、塩化アルミニウム(AlCl)などを挙げることができ、Ga源として、有機酸ガリウム、例えば三酢酸ガリウム(Ga(CHCOO))、塩化ガリウム(GaCl)などを挙げることができ、S源として、有機硫黄化合物、例えばドデカンチオール(CH(CH11SH)などのチオール、イオウ粉(S)などを挙げることができる。原料としては、ヨウ化銅、三酢酸インジウム、三酢酸アルミニウム、三酢酸ガリウム、ドデカンチオールを用いることが好ましい。
各原料の量は、Cu:(In1−x―yAlGa)のモル比が1:1になり、In:Al:Gaのモル比が1−x―y:x:yになり、Al濃度(x)、Ga濃度(y)及びx+yが上記範囲内になるように調整される。S源の原料の量は、Cu1モルに対して2モル以上になるように調整される。
溶媒としては、ソルボサーマル法により使用することができる溶媒であれば限定されず、例えばドデカンチオール、オクタデセンなどがある。溶媒としてはS源としても用いることができるドデカンチオールを用いることが好ましい。溶媒量は、全ての原料の総量が、反応溶液の総重量に対して、通常90重量%〜99重量%、好ましくは98重量%〜99重量%になるよう調整される。溶媒としてS源として用いることができる化合物を使用する場合、溶媒量は、全ての原料の総量(S源として使用する化合物の量を含む)が、反応溶液の総重量に対して、通常85重量%〜99重量%、好ましくは95重量%〜99重量%になるよう調整される。
合成温度及び合成時間は、合成する量子ドット蛍光体の粒径に依存して異なり得るものであり、限定されないが、合成温度は、通常160℃〜200℃の間の温度で調整され、合成時間は、通常3時間〜12時間の間の時間で調整される。
合成温度を高くし、合成時間を長くすることにより粒径を大きくすることができ、合成温度を低くし、合成時間を短くすることにより粒径を小さくすることができる。
合成の雰囲気は、通常酸素を遮断した雰囲気であり、例えば窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気である。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体は、好ましい原料を用いた場合、上記反応条件において、(I)式の化学反応で合成される。
CuI+(1−x−y)・In(CHCOO)+x・Al(CHCOO)+y・Ga(CHCOO)+2・CH(CH11SH
→ Cu(In1−x−yAlGa)S+ (未反応物質及び副生成物) (I)
(式中、Al濃度(x)、Ga濃度(y)及びx+yの範囲は上記範囲内である)
反応後は、クロロホルムと貧溶媒であるエタノールの混合液体に、合成した量子ドット蛍光体を分散させた後、遠心分離器を用いて遠心分離を複数回行って、粒径(発光波長)ごとに分離し、精製をおこなう。最終的に、量子ドット蛍光体は、クロホルムやトルエンなどの分散溶媒に分散させた分散体の形態で得ることができる。
(II)Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体の合成
原料としては、(I)で合成したCu(In1−x−yAlGa)S、Zn源として有機酸亜鉛、例えばステアリン酸亜鉛(Zn(C1735COO))、酢酸亜鉛(Zn(CHCOO))などを挙げることができ、S源としてドデカンチオール(CH(CH11SH)などのチオール、イオウ粉(S)などを挙げることができる。原料としては、(I)で合成したCu(In1−x−yAlGa)S、ステアリン酸亜鉛、ドデカンチオールを用いることが好ましい。
各原料の量は、Cu(In1−x−yAlGa)S:ZnSのモル比が通常1:1〜1:10、好ましくは1:1〜1:5、より好ましくは1:1〜1:2になるように調整される。S源の原料の量は、Zn1モルに対して1モル以上になるように調整される。
溶媒としては、ソルボサーマル法により使用することができる溶媒であれば限定されず、例えばドデカンチオール、オクタデセンなどがある。溶媒としては、S源としても用いることができるドデカンチオールを用いることが好ましい。溶媒量は、全ての原料の総量が、反応溶液の総重量に対して、通常90重量%〜99重量%、好ましくは98重量%〜99重量%になるよう調整される。溶媒としてS源として用いることができる化合物を使用する場合、溶媒量は、全ての原料の総量(S源として使用する化合物の量を含む)が、反応溶液の総重量に対して、通常85重量%〜99重量%、好ましくは95重量%〜99重量%になるよう調整される。
合成温度及び合成時間は、合成する量子ドット蛍光体の粒径に依存して異なり得るものであり、限定されないが、合成温度は、通常160℃〜200℃の間の温度で調整され、合成時間は、通常6時間〜24時間の間の時間で調整される。
合成温度を高くし、合成時間を長くすることにより粒径を大きくすることができ、合成温度を低くし、合成時間を短くすることにより粒径を小さくすることができる。
合成の雰囲気は、通常酸素を遮断した雰囲気であり、例えば窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気である。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体は、好ましい原料を用いた場合、上記反応条件において、(II)式の化学反応で合成される。
Cu(In1−x―yAlGa)S(コア)+Zn(C1735COO)+CH(CH11SH
→ Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS(コア/シェル)+ (未反応物質及び副生成物) (II)
(式中、Al濃度(x)、Ga濃度(y)及びx+yの範囲は上記範囲内である)
(2)の反応では、(1)で合成したコアとしてのCu(In1−x−yAlGa)Sの表面に、シェルとしてのZnSシェルを被覆することによって、コア/シェル構造を有するCu(In1−x―yAlGa)S/ZnSが合成される。
反応後は、クロロホルムと貧溶媒であるエタノールの混合液体に、合成した量子ドット蛍光体を分散させた後、遠心分離器を用いて遠心分離を複数回行って、粒径(発光波長)ごとに分離し、精製をおこなう。最終的に、量子ドット蛍光体は、クロホルムやトルエンなどの分散溶媒に分散させた分散体の形態で得ることができる。
本発明のCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、結晶欠陥が多く存在するCu(In1−x―yAlGa)Sのコア結晶の表面に、シェルとしてコアよりも大きなバンドギャップを有するZnSが被覆される。これにより、本発明のCu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、表面欠陥が低減され、発光効率が高くなる。
<蛍光体フィルム>
図5は、本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bを透明樹脂5Aに封入した蛍光体フィルムの一例を模式的に表した図である。図5に示す蛍光体フィルムは、本発明の量子ドット蛍光体7A及び7B並びに透明樹脂5Aから概略構成され、本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bは、透明樹脂5A中に均一に分散されている。
本発明の量子ドット蛍光体7Aは、緑色の発光波長(500nm〜600nm:Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、粒径2.0nm〜4.5nmであり、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、粒径3.0nm〜5.5nmである)を有し、本発明の量子ドット蛍光体7Bは、赤色の発光波長(600nm〜700nm:Cu(In1−x―yAlGa)S量子ドット蛍光体では、粒径4.0nm〜6.0nmであり、Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS量子ドット蛍光体では、粒径5.0nm〜7.0nmである)を有する。本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bは、均一に混合して用いられる。混合方法には、従来の混合方法を使用することができる。
透明樹脂5Aとしては、当該技術分野において従来から知られている、室温硬化型、熱硬化型、又は紫外線硬化型の、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
図5に示す蛍光体フィルムは、例えば以下のようにして調製することができる。
まず、透明樹脂5Aと本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bとを脱泡撹拌機を用いて均一に混合して、蛍光体フィルム調製用の混合物を調製する。
続いて、調製した混合物を、スクリーン印刷、ディスペンサ、又はドクターブレードなどを用いて基材上に薄く延ばし、蛍光体フィルム前駆体を形成させる。
蛍光体フィルム前駆体は、その後硬化され、蛍光体フィルムを形成する。例えば、蛍光体フィルム前駆体は、透明樹脂5Aとして室温硬化型の樹脂を使用した場合、室温で約6時間硬化されて蛍光体フィルムを形成し、透明樹脂5Aとして熱硬化型の樹脂を使用した場合、約100〜150℃で約1〜6時間加熱硬化されて蛍光体フィルムを形成し、透明樹脂5Aとして紫外線硬化型の樹脂を使用した場合、高圧水銀ランプなどで硬化されて蛍光体フィルムを形成する。
蛍光体フィルムの厚さは、通常50μm〜400μm、好ましくは100μm〜300μm、より好ましくは100μm〜200μmである。
蛍光体フィルム中には、本発明の量子ドット蛍光体に加えて、CdSe、CdSe/ZnS、InP、InP/ZnSなどの量子ドット蛍光体を混合することもできる。
本発明の量子ドット蛍光体を含む蛍光体フィルムを用いることにより、発光効率の高い発光装置、さらには、このような発光装置を用いた発光効率の高い液晶ディスプレイパネルなどを実現できる。
<発光装置>
図6は、図5に示す本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bを含む蛍光体フィルムを用いて製造した発光装置の一例を模式的に表した図である。図6に示す発光装置は、蛍光体フィルム11、青色LED10、反射シート8及び導光体9から概略構成される。図6に示す発光装置は、蛍光体フィルム11と反射シート8との間に導光体9が配置された3層構造を有しており、青色LED10からの青色の発光が導光体9中を導光しながら、又は導光体9中を導光して反射シート8により反射されながら広がることができるように青色LED10が層の1つの側面に配置される。
青色LED10からの青色の発光は導光体9中を導光しながら、又は導光体9中を導光して反射シート8に反射されながら広がり、青色の発光の一部は蛍光体フィルム11に含まれる量子ドット蛍光体7A及び7Bに吸収されることなく蛍光体フィルム11をそのまま透過する。青色の発光の残りは蛍光体フィルム11に含まれる量子ドット蛍光体7A及び7Bの励起光として吸収されて、量子ドット蛍光体7Aにより緑色の発光に変換され、量子ドット蛍光体7Bにより赤色の発光に変換される。青色LED10からの青色の発光と量子ドット蛍光体7A及び7Bからの緑色の発光及び赤色の発光とが混合され、均一な白色光が発光装置から照射される。
図6の発光装置では、青色LED10からの青色の発光は導光体9及び/又は反射シート8により効率よく広げられ、広がった光の一部は蛍光体フィルム11中に含まれる本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bに効率的に照射され、照射された光は本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bにより効率的に吸収され、吸収した光により励起された本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bは緑色及び赤色の光を効率的に発する。
図7は、図6の発光装置において、青色LED10からの青色の発光が導光体9中を導光しながら、又は導光体9中を導光して反射シート8により反射されながら広がることができるように青色LED10が層の向かいあう2つの側面に配置された発光装置の一例を模式的に表した図であり、図7に示す発光装置を使用することもできる。
<液晶ディスプレイパネル>
図8は、図6に示す本発明の量子ドット蛍光体7A及び7Bを有する発光装置をバックライトとして用いて製造した液晶ディスプレイパネルを模式的に表した図である。図8に示す液晶ディスプレイパネルは、図6に示す発光装置(バックライト)、2枚の拡散シート12、プリズムシート13、2枚の偏光板14、液晶セル15及びカラーフィルタ16から概略構成される。図8に示す液晶ディスプレイパネルは、バックライトから照射された白色光が拡散シート12、プリズムシート13、拡散シート12、偏光板14、液晶セル15、カラーフィルタ16及び偏光板14を順に通過するよう配置された構造を有する。
図8の液晶ディスプレイパネルでは、バックライトから照射された白色光は、拡散シート12に挟まれたプリズムシート13を通ることにより、光ムラが低減され、輝度が向上され、さらに、偏光板14に挟まれた液晶セル15及びカラーフィルタ16を通ることにより、各画素においてそれぞれ赤色、青色、緑色を発光することができる。図8には図示しないが、液晶ディスプレイパネルは、駆動回路を接続することで点灯される。
以下、比較例及び実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(量子ドット蛍光体の検討)
以下の比較例及び実施例において、量子ドット蛍光体は、量子効率を比較することにより評価した。本明細書において、量子効率とは、1つのフォトンを吸収した時に発光するフォトンの数を意味する。量子効率は、以下の方法により測定した。
<量子効率測定方法>
合成した量子ドット蛍光体をトルエン溶媒中に、濃度が1mg/ml以下の濃度になるように分散し、積分球型量子効率測定装置にて量子効率測定を実施した。なお、一般的に濃度が濃すぎると、濃度の増加に対して量子効率特性が飽和する現象(濃度消光)が見られるため、濃度消光が起こらないように十分低い濃度で測定を実施した。
(比較例1)
原料としてヨウ化銅、三酢酸インジウム、及びドデカンチオールを使用して、ソルボサーマル法によりCuInS量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を3時間〜12時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
図9に、CuInS/ZnS系の量子ドット蛍光体における、粒径に対する発光波長の関係を示す。図9より、CuInS/ZnS系の量子ドット蛍光体では、粒径を4.0nm〜4.6nmに調整することによって、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体を調製し、粒径を5.2nm〜5.8nmに調整することによって、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体を調製した。CuInS系の量子ドット蛍光体における、粒径に対する発光波長の関係は、CuInS/ZnS系の量子ドット蛍光体における関係と比較して、約1nm小さい粒径で、同等の発光波長を有していた。これより、CuInS系の量子ドット蛍光体では、粒径を3.0nm〜3.6nmに調整することによって、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体を調製し、粒径を4.2nm〜4.8nmに調整することによって、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体を調製した。以下に記載する比較例及び実施例においても、同様にして各発光波長を有する量子ドット蛍光体を調製した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。
(比較例2)
原料として比較例1で合成したCuInS量子ドット蛍光体、ステアリン酸亜鉛、ドデカンチオール、及びオクタデセンを使用して、ソルボサーマル法によりCuInS/ZnSを合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を6時間〜24時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。
(実施例1)
原料として、ヨウ化銅、三酢酸インジウム、三酢酸アルミニウム、及びドデカンチオールを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S(0<x≦1(xは0.1間隔で変更して合成)、y=0)量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を3時間〜12時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。図10は、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Al濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係を示す。量子効率(相対値)は、x=0の時の量子効率を1とした時の値を示す。x=0は比較例1である。図10より、赤色の発光波長を有するCu(In1−x−yAlGa)S(0<x≦0.4、y=0)量子ドット蛍光体の量子効率は、Alを含まない量子ドット蛍光体(比較例1)の量子効率よりも高いことが確認できる。また、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体においても、同様の結果が得られた。
図11は、x=0.3、y=0、すなわちCu(In0.7Al0.3)Sの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体について、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係を示す。量子効率(相対値)は、励起波長が300nmの時の量子効率を1とした時の値を示す。図11より、Cu(In0.7Al0.3)S量子ドット蛍光体の量子効率は、励起波長が350nm〜450nmで高くなることが確認できる。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S(0<x≦0.4、y=0)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。また、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体においても、同様の結果が得られた。
(実施例2)
原料として実施例1で合成したCu(In1−x−yAlGa)S(0<x≦1、y=0)量子ドット蛍光体、ステアリン酸亜鉛、ドデカンチオール、及びオクタデセンを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x≦1(xは0.1間隔で変更して合成)、y=0)量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を6時間〜24時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。図12は、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Al濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係を示す。量子効率(相対値)は、x=0の時の量子効率を1とした時の値を示す。x=0は比較例2である。図12より、赤色の発光波長を有するCu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x≦0.4、y=0)量子ドット蛍光体の量子効率は、Alを含まない量子ドット蛍光体(比較例2)の量子効率よりも高いことが確認できる。また、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体においても、同様の結果が得られた。
図13は、x=0.3、y=0、すなわちCu(In0.7Al0.3)S/ZnSの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体について、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係を示す。量子効率(相対値)は、励起波長が300nmの時の量子効率を1とした時の値を示す。図13より、Cu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体の量子効率は、励起波長が350nm〜450nmで高くなることが確認できる。したがって、(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x≦0.4、y=0)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。また、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体においても、同様の結果が得られた。
(実施例3)
原料として、ヨウ化銅、三酢酸インジウム、三酢酸ガリウム、及びドデカンチオールを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S(x=0、0<y≦1(yは0.1間隔で変更して合成))量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を3時間〜12時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Ga濃度(y)に対する量子効率(相対値)の関係は、図10におけるAl濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係と類似した特性であった。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S(x=0、0<y≦0.4)量子ドット蛍光体の量子効率は、Gaを含まない量子ドット蛍光体(比較例1)の量子効率よりも高い。
また、y=0.3、y=0、すなわちCu(In0.7Ga0.3)Sの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係は、図11における励起波長に対する量子効率(相対値)の関係と類似した特性であった。したがって、Cu(In0.7Ga0.3)S量子ドット蛍光体の量子効率は、励起波長が350nm〜450nmで高くなる。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S(x=0、0<y≦0.4)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。
(実施例4)
原料として実施例3で合成したCu(In1−x−yAlGa)S(x=0、0<y≦1)量子ドット蛍光体、ステアリン酸亜鉛、ドデカンチオール、及びオクタデセンを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(x=0、0<y≦1(yは0.1間隔で変更して合成))量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を6時間〜24時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Ga濃度(y)に対する量子効率(相対値)の関係は、図12におけるAl濃度(x)に対する量子効率(相対値)の関係と類似した特性であった。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(x=0、0<y≦0.4)量子ドット蛍光体の量子効率は、Gaを含まない量子ドット蛍光体(比較例2)の量子効率よりも高い。
また、y=0.3、y=0、すなわちCu(In0.7Ga0.3)S/ZnSの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係は、図13における励起波長に対する量子効率(相対値)の関係と類似した特性であった。したがって、Cu(In0.7Ga0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体の量子効率は、励起波長が350nm〜450nmで高くなる。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(x=0、0<y≦0.4)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。
(実施例5)
原料として、ヨウ化銅、三酢酸インジウム、三酢酸アルミニウム、三酢酸ガリウム、及びドデカンチオールを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S(0<x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1(x及びyは0.1間隔で変更して合成))量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を3時間〜12時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Al濃度(x)+Ga濃度(y)に対する量子効率(相対値)の関係から、Cu(In1−x−yAlGa)S(0<x+y≦0.4)の量子効率は、Al及びGaを含まない量子ドット蛍光体(比較例1)の量子効率よりも高いことが分かった。
また、x=0.15、y=0.15、すなわちCu(In0.7Al0.15Ga0.15)Sの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係から、Cu(In0.7Al0.15Ga0.15)S量子ドット蛍光体では、励起波長が350nm〜450nmで量子効率が高くなることが分かった。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S(0<x+y≦0.4)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。
(実施例6)
原料として実施例5で合成したCu(In1−x−yAlGa)S(0<x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)量子ドット蛍光体、ステアリン酸亜鉛、ドデカンチオール、及びオクタデセンを使用して、ソルボサーマル法によりCu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1(x及びyは0.1間隔で変更して合成))量子ドット蛍光体を合成した。不活性気体雰囲気下において、合成温度を160℃〜200℃の温度で調整し、合成時間を6時間〜24時間で調整して、緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)と、赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を合成した。
得られた量子ドット蛍光体について、青色LED(発光波長:445nm)を励起源として発光させた際の量子効率を測定した。赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、Al濃度(x)+Ga濃度(y)に対する量子効率(相対値)の関係から、Cu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦0.4)の量子効率は、Al及びGaを含まない量子ドット蛍光体(比較例2)の量子効率よりも高いことが分かった。
また、x=0.15、y=0.15、すなわちCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnSの赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体及び緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体についての、励起波長に対する量子効率(相対値)の関係から、Cu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnS量子ドット蛍光体では、励起波長が350nm〜450nmで量子効率が高くなることが分かった。したがって、Cu(In1−x−yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦0.4)量子ドット蛍光体では、励起源としてUV−LEDを用いるよりも、380nm〜450nmに発光波長を有する可視発光LEDを用いるほうが発光効率を上げることができる。
(液晶ディスプレイパネルの検討)
以下の比較例及び実施例において、液晶ディスプレイパネルは、白色発光強度を比較することにより評価した。白色発光強度は、以下の方法により測定した。
<白色発光強度測定方法>
分光型輝度計を用い、各色(青、緑、赤)セル点灯時の色度(x、y)値を測定し、色再現範囲(NTSC比)を算出し、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整した。また白色発光強度は、点灯時の色度が(x、y)=(0.33,0.33)となるように発光色を調整した際の輝度値(相対値)を用いた。
(比較例3)
青色LED(発光波長:445nm)、比較例1で調製した緑色の発光波長を有するCuInS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCuInS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
比較例3の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度を測定し、得られた結果を100として、実施例7〜9の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度と比較した。
(実施例7)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例1で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例7の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例3の白色発光強度(100)に対して、150となった。
(実施例8)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例3で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例8の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例3の白色発光強度(100)に対して、145となった。
(実施例9)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例5で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例9の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例3の白色発光強度(100)に対して、135となった。
(比較例4)
青色LED(発光波長:445nm)、比較例2で調製した緑色の発光波長を有するCuInS/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCuInS/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
比較例4の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度を測定し、得られた結果を100として、実施例10〜12の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度と比較した。
(実施例10)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例2で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例10の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例4の白色発光強度(100)に対して、107となった。
(実施例11)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例4で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例11の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例4の白色発光強度(100)に対して、105となった。
(実施例12)
青色LED(発光波長:445nm)、実施例6で調製した緑色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)及び赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例12の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例4の白色発光強度(100)に対して、106となった。
(比較例5)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するInP/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)、及び比較例2で調製した赤色の発光波長を有するCuInS/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
InP/ZnS量子ドット蛍光体は、ソルボサーマル法(J.Phys.Chem.C 2008、112、20190)を用いて作製した。
比較例5の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度を測定し、得られた結果を100として、実施例13〜15の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度と比較した。
(実施例13)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するInP/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm:比較例5に記載の物)、及び実施例2で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例13の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例5の白色発光強度(100)に対して、106となった。
(実施例14)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するInP/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm、比較例5に記載の物)、及び実施例4で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例14の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例5の白色発光強度(100)に対して、105となった。
(実施例15)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するInP/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm、比較例5に記載の物)、及び実施例6で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例15の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例5の白色発光強度(100)に対して、105となった。
(比較例6)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するCdSe/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm)、及び比較例2で調製した赤色の発光波長を有するCuInS/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
CdSe/ZnS量子ドット蛍光体は、ソルボサーマル法(J.Phys.Chem.1996,100,468)を用いて作製した。
比較例6の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度を測定し、得られた結果を100として、実施例16〜18の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度と比較した。
(実施例16)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するCdSe/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm、比較例6に記載の物)、及び実施例2で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例16の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例6の白色発光強度(100)に対して、105となった。
(実施例17)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するCdSe/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm、比較例6に記載の物)、及び実施例4で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Ga0.3)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例17の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例6の白色発光強度(100)に対して、102となった。
(実施例18)
青色LED(発光波長:445nm)、緑色の発光波長を有するCdSe/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:540nm、比較例6に記載の物)、及び実施例6で調製した赤色の発光波長を有するCu(In0.7Al0.15Ga0.15)S/ZnS量子ドット蛍光体(発光波長:620nm)を用いて、色再現範囲がNTSC比100%となるように蛍光体フィルムにおける量子ドット蛍光体の濃度を適宜調整し、図8に示す液晶ディスプレイパネルを製造した。
白色発光強度測定の結果、実施例18の液晶ディスプレイパネルの白色発光強度は、比較例6の白色発光強度(100)に対して、102となった。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 青色LEDチップ、2 ワイヤ、3 リードフレーム、4 ケース、5 透明樹脂、5A 透明樹脂、6 ヒートシンク、7 蛍光体粒子、7A 緑色の発光波長を有する量子ドット蛍光体、7B 赤色の発光波長を有する量子ドット蛍光体、8 反射シート、9 導光体、10 青色LED、11 蛍光体フィルム、12 拡散シート、13 プリズムシート、14 偏光板、15 液晶セル、16 カラーフィルタ

Claims (8)

  1. Cu(In1−x―yAlGa)S(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)
    で表される量子ドット蛍光体。
  2. x+yが0.1≦x+y≦0.3の範囲であり、xが0≦x≦0.3の範囲であり、yが0≦y≦0.3の範囲である、請求項1に記載の量子ドット蛍光体。
  3. 平均粒径が1nm〜10nmである、請求項1に記載の量子ドット蛍光体。
  4. Cu(In1−x―yAlGa)S/ZnS(0<x+y≦0.4、0≦x≦0.4、0≦y≦0.4)
    で表される量子ドット蛍光体。
  5. x+yが0.2≦x+y≦0.4の範囲である、請求項4に記載の量子ドット蛍光体。
  6. 平均粒径が1nm〜10nmである、請求項4に記載の量子ドット蛍光体。
  7. 発光素子と、前記発光素子からの光を導光する導光体と、前記導光体により導光された光を反射する反射シートと、前記導光体を導光した光及び/又は前記導光体を導光して前記反射シートにより反射された光の一部により励起される量子ドット蛍光体を含む蛍光体フィルムとを備え、
    前記発光素子が300nm〜500nmの間に発光波長を有し、
    前記量子ドット蛍光体が請求項1〜6のいずれか一項に記載の量子ドット蛍光体であり、
    前記量子ドット蛍光体が500nm〜800nmの間に発光波長を有し、
    前記発光素子からの300nm〜500nmの間に発光のピーク波長がある光と前記量子ドット蛍光体からの500nm〜800nmの間に発光のピーク波長がある光とを混合した光を出力する、
    発光装置。
  8. 前記発光素子が380nm〜450nmの間に発光波長を有する、請求項7に記載の発光装置。
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