JP2018051596A - 鋼板の製造方法および製造設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板の均一冷却を実現して、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板を確保できる鋼板の製造方法および製造設備を提供することを目的とする。【解決手段】鋼板搬送方向上流側から鋼板に対して熱間圧延工程、デスケーリング工程及び加速冷却工程を有する鋼板の製造方法において、前記熱間圧延工程にて鋼板を圧延した後、1.0秒以内に前記デスケーリング工程を開始し、前記デスケーリング工程では鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm2以上の高圧水を噴射することを特徴とする鋼板の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、鋼板の製造方法および製造設備に関する。
熱間圧延によって鋼板を製造するプロセスでは、制御冷却の適用が拡大している。例えば、図1に示すように、加熱炉1でたとえばスラブのような鋼板素材(図示しない。)を再加熱した後、加熱炉内で生成した一次スケールを除去するためにデスケーリング装置2で鋼板素材がデスケーリングされる。その後、鋼板素材は圧延機3によって圧延される。このとき、圧延機3の前後にはデスケーリング装置4−1、デスケーリング装置4−2が配置され、一次スケールが除去されたのちに生成する二次スケールを除去するためにデスケーリング装置4−1、デスケーリング装置4−2によってデスケーリングされる。その後、加速冷却装置5において水冷または空冷による制御冷却を行っている。なお、図中の矢印は鋼板素材あるいは鋼板の進行方向である。
一般的に、圧延機3の前後にはデスケーリング装置がそれぞれ設置されている。デスケーリングは、二次スケールを除去し、圧延によるスケール押し込み疵の発生防止などを目的として行われている。しかしながら、圧延中の鋼板の搬送速度が速いため、デスケーリング工程において高圧水が噴射される時間が短く、スケールを十分に除去できずに残存するスケールの厚さがばらつくという問題がある。
鋼板を加速冷却装置で水冷する場合、図2のように鋼板表面のスケールが厚くなるほど冷却速度が大きくなるため、冷却されやすく、冷却時間が短くなることが知られている。しかしながら、鋼板表面のスケール厚みにばらつきがあると冷却速度が不均一になり、鋼板の強度及び硬度などの材質がばらつくという問題が生じる。
このような場合、鋼板幅方向における加速冷却停止時の鋼板表面温度(以下、「冷却停止温度」と称する。)の分布は、例えば図3のようにばらつくことが知られている。このように鋼板の冷却停止温度がばらつくため、均一な材質を得られないという問題がある。具体例を示すと、鋼板幅方向にスケール厚が40μmと20μmの箇所が混在する場合、板厚25mmの鋼板を800℃から目標温度500℃まで冷却する時の冷却停止温度は、40μmの箇所で460℃、20μmの箇所で500℃となる。40μmの箇所では、冷却停止温度が目標温度から40℃下回ってしまい、その結果、均一な材質を得ることができない。
従来の技術では、冷却水量や搬送速度を調整することで冷却停止温度の均一化を図ってきた。しかし、この方法では、スケール厚のばらつきに起因する冷却速度のばらつきは解消されないため、冷却速度の均一化のみならず、冷却停止温度の均一化も難しい。
そこで、特許文献1には、スケール厚みを制御して冷却速度の均一化を行い、冷却停止温度の均一化を達成する方法が開示されている。特許文献1では、圧延中に圧延機の前後に備えられたデスケーリング装置を用いて、厚鋼板の尾端が先端に比べて冷却停止温度が低くなる場合に、尾端側のデスケーリングの噴射水量を先端側の噴射水量より多くなるように制御する。こうして厚鋼板の長手方向でスケール除去率、残存厚を制御することにより、制御冷却時の鋼板表面の熱伝達係数を変化させて、厚鋼板の長手方向の冷却停止温度の均一化を行っている。
また、特許文献2では、仕上げ圧延の最終パスの直前および直後の少なくとも一方でデスケーリングを行い、続いて熱間矯正を行い、その後にデスケーリングを行い、制御冷却を開始する方法が開示されている。また、特許文献3では、仕上げ圧延、熱間矯正を行い、制御冷却の直前にデスケーリングを行い、制御冷却を行う方法が開示されている。
特開平6−330155号公報 特開平9−57327号公報 特許第3796133号
特許文献1の方法は、圧延中のデスケーリングによって長手方向のスケール除去率、残存厚を制御することで熱伝達係数を変化させて、均一冷却を実現するというものである。しかしながら、オンラインでスケール除去率や厚みを測定して制御できなければ、熱伝達係数が予測できないところ、オンラインでスケール除去率や厚みを精度よく測定することは困難であるため、高精度の冷却制御は実現できない。また、スケール除去率を変化させる場合、スケール残存箇所とスケール剥離箇所とで冷却能力が異なるため、温度むらが生じてしまう。
また、特許文献2、3の方法はいずれも制御冷却の前でデスケーリングを実施している。この方法で鋼板を製造すると、デスケーリングにおいてスケールが完全には剥離せず、むしろデスケーリングによりスケールむらを発生させてしまう場合がある。
本発明は、上記の問題を解決し、鋼板の均一冷却を実現して、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板を確保できる鋼板の製造方法および製造設備を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]鋼板搬送方向上流側から熱間圧延工程および加速冷却工程を有する鋼板の製造方法において、前記熱間圧延工程は複数の圧延パスを有し、前記複数の圧延パスのうち、少なくとも一つの圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射することを特徴とする鋼板の製造方法。
[2]前記複数の圧延パスのうち、少なくとも後半の圧延パスのうちの一つの圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射することを特徴とする、[1]に記載の鋼板の製造方法。
[3]前記複数の圧延パスのうち、少なくとも最終の圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する
ことを特徴とする、[1]または[2]に記載の鋼板の製造方法。
[4] 鋼板搬送方向上流側から熱間圧延装置および加速冷却装置をこの順で備え、
前記熱間圧延装置はリバース式圧延機であり、前記熱間圧延装置の鋼板搬送方向の上流側または下流側の少なくとも一方にデスケーリング装置を備え、
前記デスケーリング装置は、熱間圧延終了からデスケーリング開始までの時間tが式(1)の関係を満足するように配置され、
さらに、前記デスケーリング装置において圧延後の鋼板の表面に向けて噴射される高圧水のエネルギー密度Eが0.05J/mm以上である
ことを特徴とする鋼板の製造設備。
t=L/V≦1.0・・・(1)
なお、式(1)において、
t(s):圧延終了から高圧水が鋼板へ着水するまでの時間
L(m):高圧水が鋼板へ着水する位置から熱間圧延装置までの距離
V(m/s):熱間圧延装置出側での鋼板の搬送速度
である。
本発明によれば、圧延直後にスケールを完全に除去することで、鋼板の均一冷却を実現することができる。本発明では、スケール除去率やスケール厚みをオンラインで計測して制御しなくても、高精度の冷却制御が可能となり、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板の製造が可能となる。
図1は、本発明の一実施形態である鋼板の製造設備を示す概略図である。 図2は、加速冷却時における、スケール厚みと、冷却時間と、鋼板表面温度との関係を示す図である。 図3は、従来の加速冷却後の、鋼板幅方向温度分布を説明する図である。 図4は、噴射するデスケーリング水のエネルギー密度とスケール剥離率との関係を示すグラフである。 図5は、圧延後からデスケーリングまでの時間とスケール剥離率との関係を示すグラフである。
本発明では、熱間圧延工程にて鋼板を圧延した後、1.0秒以内にデスケーリング工程を開始し、デスケーリング工程では鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射することを特徴とする。
本発明者らは、高圧水(以下、デスケーリング水と称することもある。)のエネルギー密度とスケール剥離率(スケールが剥離した面積と鋼板面積の割合)との関係について、圧延終了後からデスケーリングまでの時間の影響について調査した。その結果、図4のようになり、圧延終了後からデスケーリングまでの時間が短い方が、小さいエネルギー密度であってもスケール剥離率が高く、スケール除去能力が大きくなることがわかった。図4に示すように、圧延からデスケーリングまでの時間が1秒である場合では、0.05J/mmと小さいエネルギー密度でもスケールを全面除去可能となる。例えば、特許文献2、3には、デスケーリングにおける高圧水の鋼板表面へのエネルギー密度についての記載はないものの、特許文献2、3に記載のノズルからの噴射圧力や噴射距離、さらには一般的なノズルの種類から導き出されるエネルギー密度は、いずれも0.07J/mm程度と予測される。さらに、特許文献2、3の場合、圧延終了からある程度の時間が経過してデスケーリングを行っているため、圧延終了後からデスケーリングまでの時間が10秒程度と考えられる。図4からもわかるように、圧延終了後からデスケーリングまでの時間が10秒である場合では、エネルギー密度が0.1J/mmより小さいと鋼板の一部にスケールが残存し、冷却停止温度がばらついて材質が不均一となる。このため、特許文献2、3の技術では、制御冷却時に均一な冷却を行うことができないと考えられる。
本発明者らがさらに検討した結果、複数パスの熱間圧延のうち、少なくとも1つの圧延パスにおいて所定の条件でデスケーリングを行えば、スケールがきれいに取れ、その後、スケールは均一に成長することがわかった。
したがって、本発明では、熱間圧延工程における複数の圧延パスのうちの少なくとも一つの圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射することにより、スケールを完全に除去し、鋼板全面でスケール厚のばらつきをなくすことで均一冷却を実現することができる。その結果、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板の製造が可能となる。
ここで、鋼板に噴射されるデスケーリング水のエネルギー密度E(J/mm)とは、デスケーリングによってスケールを除去する能力の指標であり、次の(1)式から算出される。
E=Qρvt÷(2dW)…(1)
ただし、Q:デスケーリング水の噴射流量[m/s]、d:フラットノズルのスプレー噴射厚み[mm]、W:フラットノズルのスプレー噴射幅[mm]、流体密度ρ[kg/m]、鋼板衝突時の流体速度v[m/s]、衝突時間t[s](t=d/1000V、搬送速度V[m/s])である。
しかしながら、鋼板衝突時の流体速度vの測定は必ずしも容易ではないため、(1)式で定義されるエネルギー密度Eを厳密に求めようとすると、多大な労力を要する。
そこで、本発明者らは、さらに検討を加えた結果、鋼板に噴射されるデスケーリング水のエネルギー密度E(J/mm)の簡便な計算方法として、水量密度×噴射圧力×衝突時間を採用すればよいことを見出した。ここで、水量密度(m/(mm・min))は、「デスケーリング水の噴射流量÷デスケーリング水衝突面積」で計算される値である。噴射圧力(N/m=Pa)は、デスケーリング水の吐出圧力で定義される。衝突時間(s)は、「デスケーリング水の衝突厚み÷鋼板の搬送速度」で計算される値である。なお、この簡便な計算式で算出される本発明の高圧水のエネルギー密度とスケール剥離率との関係も、図4と同様である。
デスケーリング時にはスケールに熱応力と衝突力が生じて、スケールが剥離または破壊されることで除去される。本発明者らが鋭意検討したところ、圧延終了後からデスケーリングまでの時間とスケール剥離率との関係は図5のようになり、圧延からデスケーリングまでの時間が短いほど効率よくスケールを除去できることが明らかになった。これは圧延によってスケールが粉砕あるいは亀裂が入り、デスケーリングによるスケール剥離が容易となったためである。圧延終了後からデスケーリングまでの時間が長いと、その間のスケール成長によってスケールの粉砕あるいは亀裂が修復されて、スケール除去に必要なエネルギー密度が大きくなる。
鋼板のスケールの成長は一般的に拡散律速で整理できるとされ、次の(3)式で表されることが知られている。圧延からデスケーリングまでの時間は短いほど良く、1.0秒以内が好ましく。0.5秒以内がより好ましく、0.3秒以内がさらに好ましく、0.1秒以内がいっそう好ましい。
ξ=a×exp(−Q/RT)×t・・・(3)
ただし、ξ:スケール厚み[mm]、a:定数、Q:活性化エネルギー(J/(K・mol))、R:定数、T:冷却前の鋼板温度[K]、t:時間[s]である。
なお、デスケーリング直前の圧延パスにおいて、圧下率が高すぎると、表面に残存していたスケールが地鉄に埋め込まれるなどしてスケールの剥離性が悪化するため、本発明においては、圧延パス終了後1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する圧延パスの圧下率は35%以下とすることが好ましい。
本発明において、圧延パス終了後1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する圧延パスは、熱間圧延工程を構成する複数の圧延パスのうち、何番目のパスに対して設定しても構わない。これは、以下のような理由による。すなわち、複数の圧延パスのうち、どれか一つの圧延パスにおいて、その後で本発明の条件でデスケーリングを実施すれば、その時点で、スケールが均一に除去される。その後、次工程である加速冷却工程までの間であれば、スケールはほぼ均一に成長すると考えられる。これは、何番目の圧延パスの後で本発明のデスケーリングを実施するかによって、加速冷却直前の最終スケール厚さに違いはあっても、スケール厚さの均一性は、本発明を実施しない場合に比べて良好になるためである。なお、加速冷却工程においては被冷却材である鋼板のスケールが薄くかつ均一であることが好ましいので、圧延パス終了後1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する圧延パスは、複数の圧延パスのうち、後半の圧延パスにおいて実施することが好ましく、最終の圧延パスに対して実施することがさらに好ましい。
複数の圧延パスのうち、本発明の条件でデスケーリングを実施する圧延パス以外の圧延パスに対しては、その後にデスケーリングを実施してもよいし、実施しなくてもよい。なお、複数の圧延パスのうち、2以上の圧延パスに対して、その後で本発明の条件でデスケーリングを実施すると、スケール厚さの均一性が向上するので、好ましい。
本発明の鋼板の製造設備は、鋼板搬送方向上流側から熱間圧延装置および加速冷却装置をこの順で備える。熱間圧延装置は、複数の圧延パスを有する熱間圧延を実施するので、リバース式圧延機であればよい。また、本発明の熱間圧延装置は、鋼板搬送方向の上流側または下流側の少なくとも一方にデスケーリング装置を備える。
本発明では、熱間圧延からデスケーリングまでの時間t(s)が式(1)を満足するように、デスケーリング装置が配置される。
t=L/V≦1.0・・・(1)
ここで、式(1)において、
t(s):圧延終了から高圧水が鋼板へ着水するまでの時間
L(m):高圧水が鋼板へ着水する位置から熱間圧延装置までの距離
V(m/s):熱間圧延装置出側での鋼板の搬送速度
である。
熱間圧延装置とデスケーリング装置との位置関係について、t=L/V≦1.0(s)を満たすようにデスケーリング装置を配置することで、熱間圧延装置にて鋼板を圧延した後、1.0秒以内にデスケーリング装置でデスケーリングを行うことができる。したがって、式(1)を満たす場合、鋼板の表面に向けて噴射する高圧水のエネルギー密度が0.05J/mm以上でスケールを完全に除去でき、スケール厚のばらつきをなくすことで均一冷却を実現し、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板の製造が可能となる。
L/V>1.0(s)である場合、圧延後からデスケーリングまでの時間が長くなるため、デスケーリング後もスケールが一部残存してしまい、その後の加速冷却が不均一となって材質がばらつく問題がある。
L/Vは小さいほど良く、好ましくはL/V<0.5(s)である。また、高圧水が鋼板へ着水する位置から熱間圧延装置までの距離は短いほど良く、3.0m以下が好ましく、1.5m以下がより好ましく、0.5m以下がさらに好ましく、0.3m以下がいっそう好ましい。
なお、デスケーリング工程により鋼板の表面に向けて高圧水を衝突させる際の鋼板表面温度は600〜1100℃を対象とする。鋼板の鋼種は特に制限されないものの、引張強度が500MPa以上の高張力鋼板に対して特に有効に適用できるので好ましい。
以上のように、本発明では、熱間圧延圧延後からデスケーリングまでの時間を1.0秒以内にし、かつデスケーリング時の高圧水のエネルギー密度を0.05J/mm以上とすることにより、スケールを完全に除去することができる。本発明では、鋼板全面でスケール厚のばらつきをなくすことで均一冷却を実現し、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板の製造が可能となる。なお、本発明は鋼板のみならず、熱延鋼帯においても同様の効果を発揮する。
以下、本発明の実施例を説明する。
図1に示すような設備において、本発明の鋼板を製造した。加熱炉1でスラブを再加熱した後、一次スケールをデスケーリング装置2によって除去し、圧延機3にて熱間圧延を行った。圧延機3によって圧延した板厚25mm、板幅3.5m、板長30m、鋼板温度850℃の鋼板を、デスケーリング装置4を通過してから加速冷却装置5で500℃までの制御冷却を行い、引張強度600MPaを目標とする高張力鋼板を製造した。なお、加速冷却開始前の鋼板温度は800℃であった。ここで、圧延機3における圧下率は、直後のデスケーリング条件に注目した圧延パスにおいては25%に設定し、その他の圧延パスでは、10〜35%の範囲で調整した。また、圧延機3における鋼板表面からデスケーリングノズル先端までの距離は150mm、噴射幅100mm、噴射圧力は15MPaとした。
得られた鋼板について、目標とする材質を確保し、そのばらつきが小さい鋼板を製造するために、鋼板幅方向の温度むらが30℃以内の鋼板を合格とした。なお、鋼板幅方向に走査する走査型放射温度計を用いて、鋼板の全幅に対して測定された鋼板表面温度のうち、最大値から最小値を差し引いた値を幅方向の温度むらとした。
製造条件および結果を表1に示す。
Figure 2018051596
本発明例1では、第1圧延パス終了後から1.0秒後にエネルギー密度0.08J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了直後にエネルギー密度0.08J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが29℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例2では、第1圧延パス終了後から0.8秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが28℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例3では、第10圧延パス終了後から0.8秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。後半圧延パスの一つである第10圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが25℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例4では、第15圧延パス終了後から0.8秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。最終圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが20℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例5では、第15圧延パス終了後から0.5秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。最終圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが18℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例6では、第15圧延パス終了後から0.3秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。最終圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが16℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例7では、第15圧延パス終了後から0.2秒後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。最終圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.06J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが15℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
本発明例8では、第15圧延パス終了後から1.0秒後にエネルギー密度0.05J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。最終圧延パスの圧延終了直後にエネルギー密度0.05J/mmでデスケーリングをしたため、スケールを完全に除去でき、鋼板幅方向の温度むらが30℃となった。したがって、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板が得られた。
一方、比較例1では、圧延終了後にデスケーリングをせずに、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了後にデスケーリングをしなかったので、圧延中に生じた鋼板表面のスケールむらによって、冷却挙動のむらが発生し、板幅方向の温度むらは45℃となり、材質ばらつきの問題があった。
比較例2では、第15圧延パス終了後から2.0秒後にエネルギー密度0.08J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了後からデスケーリングまでの時間が長いので、エネルギー密度が0.08J/mmであるが、鋼板の一部にスケールが残存し、冷却挙動のむらが発生し、板幅方向の温度むらが40℃となり、材質ばらつきの問題があった。
比較例3では、第15圧延パス終了後から0.8秒後にエネルギー密度0.03J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了直後にデスケーリングをしたものの、エネルギー密度が0.03J/mmと小さかったので、鋼板の一部にスケールが残存し、冷却挙動のむらが発生し、板幅方向の温度むらが38℃となり、材質ばらつきの問題があった。
比較例4では、第15圧延パス終了後から1.1秒後にエネルギー密度0.07J/mmでデスケーリングをした後、加速冷却装置で冷却して鋼板を製造した。圧延終了直後にエネルギー密度0.07J/mmでデスケーリングをしたものの、圧延終了後からデスケーリングまでの時間が長いので、鋼板の一部にスケールが残存し、冷却挙動のむらが発生し、板幅方向の温度むらが35℃となり、材質ばらつきの問題があった。
1 加熱炉
2 デスケーリング装置
3 圧延機
4−1 デスケーリング装置
4−2 デスケーリング装置
5 加速冷却装置

Claims (4)

  1. 鋼板搬送方向上流側から熱間圧延工程および加速冷却工程を有する鋼板の製造方法において、
    前記熱間圧延工程は複数の圧延パスを有し、
    前記複数の圧延パスのうち、少なくとも一つの圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する
    ことを特徴とする鋼板の製造方法。
  2. 前記複数の圧延パスのうち、少なくとも後半の圧延パスのうちの一つの圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の鋼板の製造方法。
  3. 前記複数の圧延パスのうち、少なくとも最終の圧延パスの後、1.0秒以内に、鋼板の表面に向けてエネルギー密度Eが0.05J/mm以上の高圧水を噴射する
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼板の製造方法。
  4. 鋼板搬送方向上流側から熱間圧延装置および加速冷却装置をこの順で備え、
    前記熱間圧延装置はリバース式圧延機であり、前記熱間圧延装置の鋼板搬送方向の上流側または下流側の少なくとも一方にデスケーリング装置を備え、
    前記デスケーリング装置は、熱間圧延終了からデスケーリング開始までの時間tが式(1)の関係を満足するように配置され、
    さらに、前記デスケーリング装置において圧延後の鋼板の表面に向けて噴射される高圧水のエネルギー密度Eが0.05J/mm以上である
    ことを特徴とする鋼板の製造設備。
    t=L/V≦1.0・・・(1)
    なお、式(1)において、
    t(s):圧延終了から高圧水が鋼板へ着水するまでの時間
    L(m):高圧水が鋼板へ着水する位置から熱間圧延装置までの距離
    V(m/s):熱間圧延装置出側での鋼板の搬送速度
    である。
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