以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1乃至図18を参照して説明される研磨装置および研磨方法は、研磨テープの研磨面を基板の周縁部に摺接させることで基板の周縁部を研磨する。
図1(a)および図1(b)は、基板の一例としてのウェハの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型のウェハの断面図であり、図2(b)はいわゆるラウンド型のウェハの断面図である。図1(a)のウェハWにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウェハWの最外周面(符号Bで示す)である。図1(b)のウェハWにおいては、ベベル部は、ウェハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bよりも径方向内側に位置する平坦部E1である。ボトムエッジ部は、トップエッジ部とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも径方向内側に位置する平坦部E2である。トップエッジ部は、デバイスが形成された領域を含むこともある。これらトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2は、総称してニアエッジ部と呼ばれることもある。
図2は、一実施形態に係る基板処理装置を示す平面図である。図2に示されるように、基板処理装置は、2つの研磨装置255を備えており、各研磨装置255でウェハ(基板)Wの周縁部が研磨される。以下の説明では、研磨装置255を、「研磨モジュール255」と称する。研磨モジュール255の詳細な構成については後述する。基板処理装置は、1つの研磨モジュール255を備えてもよいし、3つ以上の研磨モジュール255を備えてもよい。すなわち、基板処理装置は、少なくとも1つの研磨モジュール255を備える。
本実施形態の基板処理装置は、さらに、多数のウェハWが収容される基板カセット247が載置されるロードポート240と、ロードポート240上に置かれた基板カセット247からウェハWを取り出す第1の搬送ロボット245と、ウェハWのノッチ位置を検出するとともに、ウェハWのノッチ部が所定の位置になるようにウェハWを回転させるノッチアライナ248と、ノッチアライナ248を移動させるノッチアライナ移動機構250と、ノッチアライナ248から研磨モジュール255へウェハWを搬送する第2の搬送ロボット257と、研磨されたウェハWを洗浄する洗浄モジュール260と、洗浄されたウェハWを乾燥させる乾燥モジュール265と、各研磨モジュール255から、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送する搬送機構270と、を備えている。
本実施形態では、第1の搬送ロボット245、第2の搬送ロボット257、ノッチアライナ248、およびノッチアライナ移動機構250によって、ウェハWを基板カセット247から研磨モジュール255に搬送する搬送ユニット242が構成される。図示はしないが、搬送ユニット242は、ロードポート240上に置かれた基板カセット247からウェハWを取り出す第1の搬送ロボットと、第1の搬送ロボットによって基板カセット247から取り出されたウェハWを載置する仮置き台と、仮置き台から研磨モジュール255にウェハWを搬送する第2の搬送ロボットとによって構成されてもよい。あるいは、基板カセット247から直接研磨モジュール255にウェハWを搬送する搬送ロボットのみによって、搬送ユニット242を構成してもよい。洗浄モジュール260としては、回転するウェハWに液体を供給しながら、回転するロールスポンジをウェハWの上面および下面に接触させるロールスポンジ型の洗浄機を用いることができる。乾燥モジュール265としては、ウェハWを高速で回転させるスピン乾燥機を用いることができる。
図2に示されるように、2つの研磨モジュール255、洗浄モジュール260、および乾燥モジュール265(以下適宜、総称して基板処理モジュールという)は一列に配列され、搬送機構270はこれら基板処理モジュールの配列方向に沿って配置されている。搬送機構270は、ハンドユニット270A、ハンドユニット270B、およびハンドユニット270Cを有している。各ハンドユニットは、ウェハWを保持する1組のハンド171を有しており、基板処理モジュール間でウェハWを搬送する。例えば、ハンドユニット270Aは2つの研磨モジュール255の一方からウェハWを取り出して洗浄モジュール260へ搬送し、ハンドユニット270Bは2つの研磨モジュール255の他方からウェハWを取り出して洗浄モジュール260へ搬送する。そしてハンドユニット270Cは洗浄モジュール260からウェハWを取り出して乾燥モジュール265へ搬送する。
次に、ウェハWの研磨処理の全体の流れを説明する。第1の搬送ロボット245がウェハWを基板カセット247から取り出し、ウェハWをノッチアライナ248に載置する。ノッチアライナ248はウェハWとともにノッチアライナ移動機構250により、第2の搬送ロボット257の近傍位置まで移動する。この時、ノッチアライナ248はウェハWのノッチ位置を検出し、ノッチ部が所定の位置になるようにウェハWを回転させておく。
そして、第2の搬送ロボット257がノッチアライナ248からウェハWを受け取り、研磨モジュール255に搬入する。ウェハWの周縁部は、研磨モジュール255によって研磨される。研磨されたウェハWは前述のように搬送機構270により、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順に搬送され、それぞれの基板処理モジュールで処理される。処理されたウェハWは第1の搬送ロボット245によりロードポート240上の基板カセット247に収容される。
さらに、基板処理装置は、該基板処理装置の動作を制御する制御部11を備えている。制御部11によって、各基板処理モジュールの動作、搬送ユニット242の動作、および搬送機構270の動作が制御される。制御部11の詳細な構成については後述する。
図3は、図2に示された基板処理装置の研磨モジュール(研磨装置)255を示す平面図であり、図4は、図3に示された研磨モジュール255の縦断面図である。図3および図4に示すように、この研磨モジュール255は、研磨対象物であるウェハ(基板)Wを水平に保持し、回転させる基板保持部3を備えている。図3においては、基板保持部3がウェハWを保持している状態を示している。基板保持部3は、ウェハWの裏面を真空吸着により保持する皿状の保持ステージ4と、保持ステージ4の中央部に連結された中空シャフト5と、この中空シャフト5を回転させるモータM1とを備えている。ウェハWは、搬送ユニット242(図2参照)により、ウェハWの中心が中空シャフト5の軸心と一致するように保持ステージ4の上に載置される。
中空シャフト5は、ボールスプライン軸受(直動軸受)6によって上下動自在に支持されている。保持ステージ4の上面には溝4aが形成されており、この溝4aは、中空シャフト5を通って延びる連通路7に接続されている。連通路7は中空シャフト5の下端に取り付けられたロータリジョイント8を介して真空ライン9に接続されている。連通路7は、処理後のウェハWを保持ステージ4から離脱させるための窒素ガス供給ライン10にも接続されている。これらの真空ライン9と窒素ガス供給ライン10を切り替えることによって、ウェハWを保持ステージ4の上面に真空吸着し、離脱させる。
中空シャフト5は、この中空シャフト5に連結されたプーリーp1と、モータM1の回転軸に取り付けられたプーリーp2と、これらプーリーp1,p2に掛けられたベルトb1を介してモータM1によって回転される。ボールスプライン軸受6は、中空シャフト5がその長手方向へ自由に移動することを許容する軸受である。ボールスプライン軸受6は円筒状のケーシング12に固定されている。したがって、本実施形態においては、中空シャフト5は、ケーシング12に対して上下に直線動作ができるように構成されており、中空シャフト5とケーシング12は一体に回転する。中空シャフト5は、エアシリンダ(昇降機構)15に連結されており、エアシリンダ15によって中空シャフト5および保持ステージ4が上昇および下降できるようになっている。
ケーシング12と、その外側に同心上に配置された円筒状のケーシング14との間にはラジアル軸受18が介装されており、ケーシング12は軸受18によって回転自在に支持されている。このような構成により、基板保持部3は、ウェハWをその中心軸Crまわりに回転させ、かつウェハWを中心軸Crに沿って上昇および下降させることができる。
研磨モジュール255は、ウェハWの周縁部を研磨するための少なくとも1つの研磨ヘッド組立体を備える。本実施形態では、図3に示すように、基板保持部3に保持されたウェハWの半径方向外側には4つの研磨ヘッド組立体(研磨部)1A,1B,1C,1Dが配置されている。
本実施形態では、研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dの半径方向外側に、テープ供給回収機構2A,2B,2C,2Dがそれぞれ設けられている。研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dとテープ供給回収機構2A,2B,2C,2Dとは隔壁20によって隔離されている。隔壁20の内部空間は研磨室21を構成し、4つの研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dおよび保持ステージ4は研磨室21内に配置されている。一方、研磨テープ供給回収機構2A,2B,2C,2Dは隔壁20の外側(すなわち、研磨室21の外)に配置されている。研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dは互いに同一の構成を有し、テープ供給回収機構2A,2B,2C,2Dも互いに同一の構成を有している。以下、研磨ヘッド組立体1Aおよびテープ供給回収機構2Aについて説明する。
テープ供給回収機構2Aは、研磨テープ23を研磨ヘッド組立体1Aに供給する供給リール24と、ウェハWの研磨に使用された研磨テープ23を回収する回収リール25とを備えている。供給リール24は回収リール25の上方に配置されている。供給リール24および回収リール25にはカップリング27を介してモータM2がそれぞれ連結されている(図3には供給リール24に連結されるカップリング27とモータM2のみを示す)。それぞれのモータM2は、所定の回転方向に一定のトルクをかけ、研磨テープ23に所定のテンションをかけることができるようになっている。
研磨テープ23は長尺の帯状の研磨具であり、その片面が研磨面を構成している。研磨テープ23は、例えば、PETシートなどからなる基材テープと、基材テープの上に形成されている研磨層とを有している。研磨層は、基材テープの一方の表面を被覆するバインダ(例えば樹脂)と、バインダに保持された砥粒とから構成されており、研磨層の表面が研磨面を構成している。
研磨テープ23は供給リール24に巻かれた状態で研磨テープ供給機構2Aにセットされる。研磨テープ23の側面は巻き崩れが生じないようにリール板で支持されている。研磨テープ23の一端は回収リール25に取り付けられ、研磨ヘッド組立体1Aに供給された研磨テープ23を回収リール25が巻き取ることで研磨テープ23を回収するようになっている。さらに、供給リール24にセットされた研磨テープ23の後端近傍には、エンドマーク(図示せず)が付与されており、供給リール24の近傍には、このエンドマークを検出可能なマーク検出センサ28が設けられている。
マーク検出センサ28は、例えば、研磨テープ23にレーザーを照射する投光部と、研磨テープ23からの反射光を受け取る受光部とを備えた光学式センサである。供給リール24にセットされた研磨テープ23がエンドマークまで引き出されると、マーク検出センサ28の受光部は、研磨テープ23からの反射光とは異なるエンドマークからの反射光を受け取る。その結果、マーク検出センサ28は、供給リール24にセットされた研磨テープ23がエンドマークまで引き出されたことを検出することができる。
研磨ヘッド組立体1Aは研磨テープ供給機構2Aから供給された研磨テープ23をウェハWの周縁部に当接させるための研磨ヘッド30を備えている。研磨テープ23は、研磨テープ23の研磨面がウェハWを向くように研磨ヘッド30に供給される。
研磨テープ供給機構2Aは複数のガイドローラ31,32,33,34を有しており、研磨ヘッド組立体1Aに供給され、研磨ヘッド組立体1Aから回収される研磨テープ23がこれらのガイドローラ31,32,33,34によってガイドされる。研磨テープ23は、隔壁20に設けられた開口部20aを通して供給リール24から研磨ヘッド30へ供給され、使用された研磨テープ23は開口部20aを通って回収リール25に回収される。
図4に示すように、ウェハWの上方には上側供給ノズル36が配置され、基板保持部3に保持されたウェハWの上面中心に向けて研磨液を供給する。また、ウェハWの裏面と基板保持部3の保持ステージ4との境界部(保持ステージ4の外周部)に向けて研磨液を供給する下側供給ノズル37を備えている。研磨液には、例えば、純水が使用される。さらに、研磨モジュール255は、ウェハWの研磨処理後に研磨ヘッド30を洗浄する洗浄ノズル38を備えており、研磨処理後にウェハWが基板保持部3により上昇した後、研磨ヘッド30に向けて洗浄水を噴射し、研磨処理後の研磨ヘッド30を洗浄できるようになっている。
中空シャフト5がケーシング12に対して昇降した時にボールスプライン軸受6やラジアル軸受18などの機構を研磨室21から隔離するために、図4に示すように、中空シャフト5とケーシング12の上端とは上下に伸縮可能なベローズ19で接続されている。図4は中空シャフト5が下降している状態を示し、保持ステージ4が研磨位置にあることを示している。研磨処理後には、エアシリンダ15によりウェハWを保持ステージ4および中空シャフト5とともに搬送位置まで上昇させ、この搬送位置でウェハWを保持ステージ4から離脱させる。
隔壁20は、ウェハWを研磨室21に搬入および搬出するための搬送口20bを備えている。搬送口20bは、水平に延びる切り欠きとして形成されている。したがって、搬送機構270(図2参照)に把持されたウェハWは、水平な状態を保ちながら、搬送口20bを通って研磨室21内を横切ることが可能となっている。隔壁20の上面には開口20cおよびルーバー40が設けられ、下面には排気口(図示せず)が設けられている。研磨処理時は、搬送口20bは図示しないシャッターで閉じられるようになっている。したがって、排気口から図示しないファン機構により排気をすることで研磨室21の内部には清浄空気のダウンフローが形成されるようになっている。この状態において研磨処理がされるので、研磨液が上方へ飛散することが防止され、研磨室21の上部空間を清浄に保ちながら研磨処理をすることができる。
図3に示すように、研磨ヘッド30はアーム60の一端に固定され、アーム60は、ウェハWの接線に平行な回転軸Ctまわりに回転自在に構成されている。アーム60の他端はプーリーp3,p4およびベルトb2を介してモータM4に連結されている。モータM4が時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転することで、アーム60が軸Ctまわりに所定の角度だけ回転する。本実施形態では、モータM4、アーム60、プーリーp3,p4、およびベルトb2によって、研磨ヘッド30を傾斜させるチルト機構が構成されている。
チルト機構は、移動台61に搭載されている。図4に示されるように、移動台61は、ガイド62およびレール63を介してベースプレート65に移動自在に連結されている。レール63は、基板保持部3に保持されたウェハWの半径方向に沿って直線的に延びており、移動台61はウェハWの半径方向に沿って直線的に移動可能になっている。移動台61にはベースプレート65を貫通する連結板66が取り付けられ、連結板66にはリニアアクチュエータ67がジョイント68を介して連結されている。リニアアクチュエータ67はベースプレート65に直接または間接的に固定されている。
リニアアクチュエータ67としては、エアシリンダや位置決め用モータとボールネジとの組み合わせなどを採用することができる。このリニアアクチュエータ67、レール63、ガイド62によって、研磨ヘッド30をウェハWの半径方向に沿って直線的に移動させる移動機構が構成されている。すなわち、移動機構はレール63に沿って研磨ヘッド30をウェハWへ近接および離間させるように動作する。一方、テープ供給回収機構2Aはベースプレート65に固定されている。
図5は研磨ヘッド30の拡大図である。図5に示すように、研磨ヘッド30は、研磨テープ23の研磨面をウェハWに対して所定の力で押圧する押圧機構41を備えている。また、研磨ヘッド組立体1Aの研磨ヘッド30は、研磨テープ23を供給リール24から回収リール25へ送るテープ送り機構42を備えている。この研磨テープ送り機構42は、研磨テープ23を送るテープ送りローラ42aと、研磨テープ23をテープ送りローラ42aに対して押し付けるニップローラ42bと、テープ送りローラ42aを回転させるテープ送りモータM3とを備えている。ニップローラ42bは、図5の矢印NFで示す方向(テープ送りローラ42aに向かう方向)に力を発生するように図示しない機構で支持されており、テープ送りローラ42aを押圧するように構成されている。
研磨テープ23はテープ送りローラ42aとニップローラ42bとの間に挟まれている。テープ送りローラ42aを図5の矢印で示す方向に回転させると、テープ送りローラ42aが回転して研磨テープ23を供給リール24から研磨ヘッド30を経由して回収リール25へ送ることができる。ニップローラ42bはそれ自身の軸まわりに回転することができるように構成され、研磨テープ23が送られることによって回転する。研磨ヘッド30は複数のガイドローラ43,44,45,46,47,48,49を有しており、これらのガイドローラはウェハWの接線方向と直行する方向に研磨テープ23が進行するように研磨テープ23をガイドする。
押圧機構41は、研磨テープ23の裏面側に配置された押圧部材50と、この押圧部材50をウェハWの周縁部に向かって移動させるエアシリンダ(駆動機構)52とを備えている。エアシリンダ52へ供給する気体(例えば、空気)の圧力を制御することによって、研磨テープ23をウェハWに対して押圧する力が調整される。ウェハWの周囲に配置された各研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dに配置されたチルト機構、押圧機構41、テープ送り機構42は、それぞれ独立に動作が可能なように構成されている。さらに、各研磨ヘッド組立体を移動させる移動機構は、それぞれ独立に動作が可能なように構成されている。
図6は、図5に示す押圧部材50の正面図であり、図7は、図6に示す押圧部材50の側面図であり、図8は、図6のA−A線断面図である。図6乃至図8に示すように、押圧部材50は、その前面に形成された2つの突起部51a,51bを有している。これらの突起部51a,51bは、レールのような形状を有しており、並列に配置されている。突起部51a,51bは、ウェハWの周方向に沿って湾曲している。より具体的には、突起部51a,51bは、ウェハWの曲率と実質的に同じ曲率を有する円弧形状を有している。
2つの突起部51a,51bは、回転軸Ct(図3参照)に関して対称に配置されており、図6に示すように、押圧部材50の正面から見たときに突起部51a,51bは回転軸Ctに向かって内側に湾曲している。研磨ヘッド30は、突起部51a,51bの先端間の中心線(すなわち回転軸Ct)がウェハWの厚さ方向における中心と一致するように設置される。突起部51a,51bは、研磨ヘッド30の前面に配置されたガイドローラ46,47(図5参照)よりもウェハWに近接して配置されており、研磨テープ23は突起部51a,51bによって裏面から支持されている。突起部51a,51bは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂から形成されている。
図8に示されるように、2つの突起部51a,51bの間には、押圧パッド(ベベルパッド)64が配置されている。押圧パッド64は、シリコーンゴムなどの弾力性を有する独立発泡材から構成されている。押圧パッド64の高さは、突起部51a,51bの高さよりもやや低くなっている。研磨ヘッド30を水平に維持した状態で押圧部材50がエアシリンダ52によってウェハWに向かって移動されると、押圧パッド64は、研磨テープ23をその裏側からウェハWのベベル部に対して押圧する。
図9は、研磨ヘッド30がウェハWのベベル部を研磨している様子を示す図である。ウェハWのベベル部を研磨するときは、図9に示すように、上述のチルト機構により研磨ヘッド30の傾斜角度を連続的に変化させながら、押圧パッド64により研磨テープ23をウェハWのベベル部に押し当てる。研磨中は、研磨テープ23はテープ送り機構42により所定の速度で送られる。さらに、研磨ヘッド30は、ウェハWのトップエッジ部およびボトムエッジ部を研磨することができる。すなわち、図10に示すように、研磨ヘッド30を上方に傾けて、突起部51aにより研磨テープ23をウェハWのトップエッジ部に押圧し、トップエッジ部を研磨することができる。さらに、図11に示すように、研磨ヘッド30を下方に傾けて、突起部51bにより研磨テープ23をウェハWのボトムエッジ部に押圧し、ボトムエッジ部を研磨することができる。
本実施形態の研磨モジュール255は、トップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を研磨することができる。例えば、研磨レートを向上させるために、研磨ヘッド組立体1Aでトップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を研磨し、同時に、研磨ヘッド組立体1Bでトップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を研磨する。あるいは、研磨ヘッド組立体1Aでトップエッジ部を研磨し、研磨ヘッド組立体1Bでベベル部を研磨し、研磨ヘッド組立体1Cでトップエッジ部を研磨してもよい。
研磨ヘッド組立体1A,1B,1C,1Dで、異なる種類の研磨テープを使用してもよい。例えば、研磨ヘッド組立体1Aでトップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を粗研磨し、その後、研磨ヘッド組立体1Bでトップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を仕上げ研磨することができる。この場合、研磨ヘッド組立体1Aには、粗研磨用の研磨テープ(すなわち、大きめの砥粒を有する研磨テープ)がテープ供給回収機構1Aから供給され、研磨ヘッド組立体1Bには、仕上げ研磨用の研磨テープ(すなわち、小さめの砥粒を有する研磨テープ)がテープ供給回収機構2Bから供給される。あるいは、研磨ヘッド組立体1Aでトップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部を含むウェハWの周縁部全体を粗研磨し、その後、研磨ヘッド組立体1Bでトップエッジ部を仕上げ研磨し、研磨ヘッド組立体1Cでベベル部を仕上げ研磨し、研磨ヘッド組立体1Dでボトムエッジ部を仕上げ研磨してもよい。
研磨モジュール(研磨装置)255を含む基板処理装置の動作は、図2に示される制御部11によって制御される。本実施形態では、制御部11は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。図12は、制御部11の構成を示す模式図である。制御部11は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置150と、記憶装置150に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置154と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置150に入力するための入力装置155と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置158と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置163を備えている。
記憶装置150は、処理装置154がアクセス可能な主記憶装置151と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置152を備えている。主記憶装置151は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置152は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
入力装置155は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み込むための記録媒体読み込み装置156と、記録媒体が接続される記録媒体ポート157を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み込み装置156の例としては、CDドライブ、DVDドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記録媒体ポート157の例としては、USB端子が挙げられる。記録媒体に記録されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置155を介して制御部11に導入され、記憶装置150の補助記憶装置152に格納される。出力装置158は、ディスプレイ装置159、印刷装置160を備えている。
さらに、制御部11は、ウェハWの周縁部の研磨時間を計測可能なタイマー161を備えている。タイマー161は、処理装置154に接続されており、タイマー161が計測した研磨時間は、処理装置154に送られる。さらに、制御部11は、後述する残量確認を実施する残量確認部162を備えている。
次に、研磨モジュール(研磨装置)255でのウェハWの周縁部の研磨動作について説明する。以下に説明する研磨モジュール255での動作は、図2および図12に示される制御部11によって制御される。ウェハWは、その表面に形成されている膜(例えば、デバイス層)が上を向くように基板保持部3に保持され、さらにウェハWの中心周りに回転される。次いで、上側供給ノズル36および下側供給ノズル37から研磨液(例えば、純水)をウェハWに供給する。ウェハWのトップエッジ部を研磨する場合は、図10に示すように、突起部51aがトップエッジ部に対向するまでチルト機構により研磨ヘッド30を上方に傾斜させる。テープ送り機構42により研磨テープ23をその長手方向に送りながら、上側の突起部51aにより研磨テープ23をウェハWのトップエッジ部に対して上方から押圧する。この状態で、リニアアクチュエータ67により研磨ヘッド30をウェハWの径方向外側に一定の速度で移動させ、これによりトップエッジ部を研磨する。
ウェハWのボトムエッジ部を研磨する場合は、図11に示すように、突起部51bがボトムエッジ部に対向するまでチルト機構により研磨ヘッド30を下方に傾斜させる。テープ送り機構42により研磨テープ23をその長手方向に送りながら、突起部51bにより研磨テープ23をウェハWのボトムエッジ部に対して下方から押圧する。この状態で、リニアアクチュエータ67により研磨ヘッド30をウェハWの径方向外側に一定の速度で移動させ、これによりボトムエッジ部を研磨する。ウェハWのベベル部を研磨する場合は、図9に示すように、上述のチルト機構により研磨ヘッド30の傾斜角度を連続的に変化させながら、押圧パッド64により研磨テープ23をウェハWのベベル部に押し付ける。研磨中は、研磨テープ23はテープ送り機構42により所定の速度で送られる。
ウェハWのトップエッジ部の研磨終点は、上記タイマー161によって計測された研磨時間に基づいて決定される。制御部11は、トップエッジ部の所定の研磨終了時間を予め記憶している。制御部11は、該制御部11に配置されたタイマー161によって計測されるトップエッジ部の研磨時間が研磨終了時間に達したときに、ウェハWのトップエッジ部の研磨量が目標研磨量に到達したと判断し、ウェハWのトップエッジ部の研磨を終了する。同様に、制御部11は、ボトムエッジ部の所定の研磨終了時間を予め記憶しており、タイマー161によって計測されるウェハWのボトムエッジ部の研磨時間が研磨終了時間に達したときに、ウェハWのボトムエッジ部の研磨量が目標研磨量に到達したと判断し、ウェハWのボトムエッジ部の研磨を終了する。さらに、制御部11は、ベベル部の所定の研磨終了時間を予め記憶しており、タイマー161によって計測されるウェハWのベベル部の研磨時間が研磨終了時間に達したときに、ウェハWのベベル部の研磨量が目標研磨量に到達したと判断し、ウェハWのベベル部の研磨を終了する。ウェハWの周縁部の研磨中に、上記マーク検出センサ28によって研磨テープ23のエンドマーク(図示せず)が検出されると、制御部11は、テープ送り機構42のテープ送りモータM3の動作を停止して、ウェハWの周縁部の研磨を中断する。
次に、図2に示される基板処理装置でのウェハWの処理動作について説明する。以下に説明する基板処理装置での処理動作は、研磨モジュール(研磨装置)255における上述したウェハWの周縁部の研磨処理動作を含んでおり、図2および図12に示される制御部11によって制御される。図13は、一実施形態に係るウェハWの処理動作を示したフローチャートである。
図13に示されるように、基板処理装置でのウェハWの処理動作が開始されると、制御部11は、基板処理装置の作業者によって選択された研磨レシピに応じて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨ヘッド組立体を決定する(ステップ1)。例えば、作業者が研磨モジュール255の研磨ヘッド組立体1A(図3参照)でウェハWの周縁部全体を研磨する研磨レシピを選択すると、制御部11は、ウェハWの周縁部全体を研磨する研磨ヘッド組立体を研磨ヘッド組立体1Aに決定する。
次いで、制御部11は、残量確認を実行する(ステップ2)。残量確認は、ステップ1で選択された研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた研磨テープ23の残量と、ウェハWの周縁部を研磨するのに必要な研磨テープ23の予想使用量とを比較する処理である。残量確認は、制御部11の残量確認部162(図12参照)で行われる。研磨テープ23の予想使用量は、作業者によって選択された研磨レシピにおける研磨終了時間にテープ送り機構42のテープ送りモータM3の回転速度を乗算することにより算出される。制御部11は、研磨レシピで指定されたテープ送りモータM3の回転速度および研磨終了時間を予め記憶しているため、制御部11は、研磨テープ23の予想使用量を算出することができる。
研磨テープ23の残量は、研磨ヘッド30から、供給リール24に巻かれた研磨テープ23のエンドマークまでの研磨テープ23の長さである。制御部11は、ウェハWの周縁部の研磨が終了したときの研磨テープ23の実際の使用量を、該ウェハWの周縁部の研磨が開始される前の研磨テープ23の残量から減算することにより研磨テープ23の残量を算出する。研磨テープ23の実際の使用量は、ウェハWの周縁部の研磨で実際に消費された研磨テープ23の量である。本明細書では、ウェハWの研磨に実際に消費された研磨テープ23の量を「研磨テープ23の実使用量」と称する。
テープ送りモータM3(図5参照)は、該テープ送りモータM3の回転距離を算出可能なエンコーダ(図示せず)を有している。このエンコーダは制御部11に接続されており、制御部11は、エンコーダの出力信号から、ウェハWの周縁部の研磨時に回転したテープ送りモータM3の回転距離を得ることができる。制御部11は、エンコーダから入手したテープ送りモータM3の回転距離を研磨テープ23の実使用量として用いる。さらに、供給リール24にセットされた研磨テープ23の初期長さは、研磨テープ23の製造者から提供された研磨テープ23の仕様から予め分かっている。制御部11は、この初期長さを予め記憶している。例えば、研磨テープ23の初期長さは、制御部11の入力装置155(図12参照)から記憶装置150に入力される。
制御部11は、ウェハWの周縁部の研磨が終了するたびに、研磨テープ23の実使用量をこの初期長さから減算することにより研磨テープ23の残量を算出する。例えば、研磨テープ23の初期長さをL1と表し、研磨テープ23が供給リール24にセットされてから最初のウェハWによって消費された研磨テープ23の実使用量をU1と表す場合、最初のウェハWの研磨後の研磨テープ23の残量は、初期長さL1から研磨テープ23の使用量を減算した値L2(=L1−U1)である。次のウェハWによって消費された研磨テープ23の実使用量がU2である場合、次のウェハWの研磨後の研磨テープ23の残量は、上記の値L2から研磨テープ23の実使用量U2を減算した値L3(=L2−U2=L1−U1−U2)である。このように、制御部11は、ウェハWの周縁部の研磨が終了するたびに、研磨テープ23の残量を算出する。なお、研磨テープ23の実使用量は、研磨テープ23の搬送異常(例えば、テープ送りモータM3の故障、研磨テープ23の破断など)が発生しない限り、研磨テープ23の予想使用量に一致することが実験により分かっている。
研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である(すなわち、研磨テープ23の残量≧研磨テープ23の予想使用量)場合は、制御部11は、搬送ユニット242(図2参照)の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始する(ステップ3)。より具体的には、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からウェハWを取り出す。次いで、制御部11は、基板カセット247から取り出されたウェハWを研磨モジュール255の基板保持部3(図4参照)に搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、作業者によって選択された研磨レシピに応じて、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部の研磨を実行する(ステップ5)。例えば、研磨レシピがウェハWのベベル部の研磨を指定している場合は、制御部11は、研磨ヘッド30の動作を制御して、ウェハWのベベル部を研磨する(図9参照)。研磨レシピがウェハWのトップエッジ部の研磨を指定している場合は、制御部11は、研磨ヘッド30の動作を制御して、ウェハWのトップエッジ部を研磨する(図10参照)。あるいは、研磨レシピがウェハWのボトムエッジ部の研磨を指定している場合は、制御部11は、研磨ヘッド30の動作を制御して、ウェハWのボトムエッジ部を研磨する(図11参照)。研磨レシピがウェハWの周縁部全体の研磨を指定している場合は、制御部11は、研磨ヘッド30の動作を制御して、トップエッジ部、ベベル部、およびボトムエッジ部をこの順に研磨する。
研磨モジュール255におけるウェハWの周縁部の研磨が終了すると、制御部11は、搬送機構270の動作を制御して、研磨モジュール255からウェハWを取り出し、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行する(ステップ6)。ステップ6の後で、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、ウェハWを基板カセット247に搬送する(ステップ7)。
ステップ2で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい(すなわち、研磨テープ23の残量<研磨テープ23の予想使用量)場合は、制御部11は、搬送ユニット242に動作指令を送信しない。すなわち、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルし(ステップ8)、基板カセット247からウェハWを取り出さない。この制御により、研磨モジュール(研磨装置)255がウェハWの周縁部の研磨を開始することが確実に防止される。図13に示されるように、制御部11は、ステップ8の後に、警報を出力して(ステップ9)、研磨テープ23の交換を促してもよい。
本実施形態では、制御部11は、ウェハWが基板カセット247から基板保持部3に搬送される前に、研磨テープ23の予想使用量と研磨テープ23の残量とを比較する残量確認を実行する。この残量確認は、基板カセット247に収容された各ウェハWに対して実行される。そして、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合に限って、ウェハWを基板保持部3に搬送して、ウェハWの研磨を実行する。一方で、制御部11が研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断した場合は、ウェハWを基板保持部3に搬送しないので、ウェハWの周縁部の研磨が開始されない。したがって、テープエンドエラーの発生を防止することができるので、廃棄されるウェハWの数を低減することができる。さらに、基板保持部3に搬送されるウェハWごとに、研磨テープ23の使用量と研磨テープ23の残量とを比較するので、研磨テープ23をできる限り消費することができる。
図14は、基板処理装置でのウェハWの処理動作の他の実施形態を示したフローチャートである。図14に示されるウェハWの処理動作は、図13に示されるウェハWの処理動作を拡張したものである。図14に示されるフローチャートは、基板カセット247から研磨モジュール255の基板保持部3にウェハWを搬送する間に、再度残量確認を実行する処理動作を含んでいる点で、図13に示されるフローチャートと異なっている。
図14に示されるフローチャートでも、基板処理装置でのウェハWの処理動作が開始されると、制御部11は、作業者によって選択された研磨レシピに応じて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨ヘッド組立体を決定する(ステップ1)。次いで、制御部11は、残量確認を実行する(ステップ2)。上述したように、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、搬送ユニット242(図2参照)の動作を制御して、基板カセット247からウェハWを取り出す。すなわち、制御部11は、ウェハWの搬送動作を開始する(ステップ3)。一方で、ステップ2で研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルし(ステップ9)、さらに、警報を出力する(ステップ10)。
本実施形態では、ステップ3の後で、研磨モジュール255の基板保持部3へのウェハWの搬送が完了する前に、再度、残量確認を実行する。すなわち、制御部11は、基板カセット247から研磨モジュール255の基板保持部3にウェハWを搬送する間に、再度残量確認を実行する(ステップ4)。例えば、ノッチアライナ248(図2参照)に載置されたウェハWを第2の搬送ロボット257が受け取る前に、残量確認が実行される。
基板カセット247には、通常、複数のウェハW(例えば、25枚のウェハW)が収容されている。基板処理装置でのスループットを増加させるために、第2の搬送ロボット257がウェハWをノッチアライナ248から研磨モジュール255に搬送すると、制御部11は、次のウェハWを基板カセット247から取り出して、ノッチアライナ248に載置させようとする。以下の説明では、説明の便宜上、研磨モジュール255に搬送されたウェハWを「先のウェハW」と称することがある。
制御部11は、次のウェハWを基板カセット247から取り出す前に、ステップ2で残量確認を実行する。この場合、研磨モジュール255における先のウェハWの研磨処理は完了していないので、先のウェハWの周縁部を研磨するために消費された研磨テープ23の実使用量は不明である。したがって、次のウェハWを基板カセット247から取り出す前にステップ2で実行される残量確認は、先のウェハWの予想使用量と次のウェハWの予想使用量の合計予想使用量を、先のウェハWが基板カセット247から取り出される前の研磨テープ23の残量と比較する。例えば、先のウェハWが基板カセット247から取り出される前の研磨テープ23の残量をRと表し、先のウェハWの予想使用量をE1と表し、次のウェハWの予想使用量をE2と表すと、次のウェハWを基板カセット247から取り出す前にステップ2で実行される残量確認は、先のウェハWの予想使用量E1と次のウェハWの予想使用量E2の合計予想使用量(=E1+E2)を、先のウェハWが基板カセット247から取り出される前の研磨テープ23の残量Rと比較することにより実行される。
ステップ2で次のウェハWに対して実行された残量確認で、研磨テープ23の予想使用量(すなわち、合計予想使用量)が研磨テープ23の残量(すなわち、先のウェハWが基板カセット247から取り出される前の研磨テープ23の残量R)よりも大きい場合は、制御部11は、ウェハWの搬送動作を開始する(ステップ3)。例えば、制御部11は、次のウェハWを基板カセット247から取り出して、ノッチアライナ248に載置させる。次のウェハWは、先のウェハWの研磨が完了するまで、ノッチアライナ248上で待機する。
このとき、研磨モジュール255に搬送された先のウェハWの周縁部は、研磨テープ23により研磨されるが、先のウェハWの研磨に使用された研磨テープ23の実使用量がステップ2における残量確認で使用された研磨テープ23の予想使用量E1よりも大きいことがある。すなわち、先のウェハWの研磨で使用された研磨テープ23の実使用量をUaと表すと、この実使用量Uaが予想使用量E1よりも大きいことがある(Ua>E1)。
この場合、次のウェハWを研磨モジュール255に搬送して、次のウェハWの周縁部の研磨を開始すると、テープエンドエラーが発生することがある。したがって、本実施形態では、基板カセット247から研磨モジュール255の基板保持部3にウェハWを搬送する間に、ステップ4で再度残量確認を実行する。このステップ4で行われる残量確認は、先のウェハWの研磨に使用された研磨テープ23の実使用量Uaを反映した研磨テープ23の残量に対して行われる。すなわち、ステップ4で実行される残量確認では、先のウェハWの研磨に使用された研磨テープ23の実使用量Uaを反映した研磨テープ23の残量(=R―Ua)が次のウェハWの予想使用量E2と比較される。したがって、基板処理装置のスループットを増加させるために、先のウェハWの周縁部の研磨が完了する前に、次のウェハWを基板カセット247から取り出す場合でも、テープエンドエラーの発生を防止することができる。
ステップ4で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ウェハWを基板保持部3に搬送し(ステップ5)、ウェハWの周縁部を研磨する(ステップ6)。研磨モジュール255におけるウェハWの周縁部の研磨が終了すると、制御部11は、搬送機構270の動作を制御して、研磨モジュール255からウェハWを取り出し、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行する(ステップ7)。ステップ7の後で、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、ウェハWを基板カセット247に搬送する(ステップ8)。
ステップ4で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、搬送ユニット242を制御して、基板保持部3へのウェハWの搬送動作を中止する(ステップ11)。図14に示されるように、制御部11は、ステップ11の後に、警報を出力して(ステップ12)、研磨テープ23の交換を促してもよい。
図15は、基板処理装置でのウェハWの処理動作のさらに他の実施形態を示したフローチャートである。図15に示されるウェハWの処理動作は、図13に示されるウェハWの処理動作を拡張したものである。図15に示されるフローチャートは、複数の研磨ヘッド組立体(すなわち、複数の研磨ヘッド30)を備えた研磨モジュール255を有する基板処理装置で実行されるウェハWの処理動作を表している。
図15に示されるフローチャートでも、基板処理装置でのウェハWの処理動作が開始されると、制御部11は、作業者によって選択された研磨レシピに応じて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨ヘッド組立体を決定する(ステップ1)。次いで、制御部11は、上記残量確認を実行する(ステップ2)。研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始する(ステップ3)。より具体的には、制御部11は、搬送ユニット242を制御して、基板カセット247からウェハWを取り出す。次いで、制御部11は、基板カセット247から取り出されたウェハWを研磨モジュール255の基板保持部3(図4参照)に搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部の研磨を実行する(ステップ5)。研磨モジュール255におけるウェハWの周縁部の研磨が終了すると、制御部11は、搬送機構270の動作を制御して、研磨モジュール255からウェハWを取り出し、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行する(ステップ6)。ステップ6の後で、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、ウェハWを基板カセット247に搬送する(ステップ7)。
本実施形態では、ステップ2で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合は、制御部11は、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体に供給される別の研磨テープ23でウェハWの周縁部が研磨可能であるか否かを判断する。より具体的には、制御部11は、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた別の研磨テープ23に対して上記残量確認を実行する(ステップ8)。例えば、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体が研磨ヘッド組立体1Aである場合は、制御部11は、研磨ヘッド組立体1Aとは異なる研磨ヘッド組立体1Bの研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構2Bの供給リール24にセットされた研磨テープ23に対して、上記残量確認を実行する。
ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体に供給される研磨テープ23とは別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ステップ3に戻り、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始し(ステップ3)、基板保持部3へウェハWを搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部を研磨する(ステップ5)。このとき、ウェハWの周縁部は、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体(例えば、研磨ヘッド組立体1A)とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に供給される別の研磨テープ23(例えば、研磨ヘッド組立体1Bの研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23)によって研磨される。
ステップ8で、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルし(ステップ9)、基板カセット247からウェハWを取り出さない。図15に示されるように、制御部11は、ステップ9の後に、警報を発して(ステップ10)、研磨テープ23の交換を促してもよい。
研磨モジュール255に3つ以上の研磨ヘッド組立体が配置されている場合は、ステップ8で行われる残量確認は、研磨レシピで指定された研磨ヘッド組立体とは異なる全ての研磨ヘッド組立体に供給される研磨テープ23に対して行われてもよい。すなわち、ステップ8の残量確認は複数回実行されてもよい。例えば、図2に示した研磨モジュール255で、研磨レシピで指定された研磨ヘッド組立体が研磨ヘッド組立体1Aである場合は、ステップ8で行われる残量確認は、研磨ヘッド組立体1B,1C,1Dに供給される研磨テープ23(すなわち、テープ供給回収機構2B,2C,2Dの供給リール24にセットされた研磨テープ23)に対してそれぞれ実行される。この場合、制御部11は、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である別の研磨ヘッド組立体が見つかったときに、複数回実行される残量確認を中断し、この別の研磨ヘッド組立体でウェハWの周縁部を研磨してもよい。
ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23の種類が、ステップ8で決定された別の研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23の種類と異なる場合がある。例えば、研磨ヘッド組立体1Aの研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23の砥粒の大きさが、研磨ヘッド組立体1Bの研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23の砥粒の大きさと異なる場合がある。この場合、作業者が選択した研磨レシピで指定された研磨終了時間でウェハWの周縁部を研磨すると、ウェハWの周縁部の研磨が完了したときの研磨量が目標研磨量と異なってしまう。したがって、ウェハWの周縁部の研磨量が目標研磨量に到達するまで該周縁部を研磨するためには、制御部11は、研磨終了時間を補正する必要がある。制御部11は、研磨レシピで指定された研磨テープ23とは異なる研磨テープ23でウェハWの周縁部を研磨したときに、ウェハWの周縁部の研磨量を目標研磨量に到達させるための補正係数を予め記憶している。この補正係数は、異なる研磨テープ23に対して予め実行された研磨レートの実験結果を比較することにより得ることができる。
制御部11は、作業者が選択した研磨レシピで指定された研磨終了時間に補正係数を乗算して、該研磨終了時間を補正する。さらに、制御部11は、この補正された研磨終了時間に到達するまでウェハWの周縁部の研磨を実行する。これにより、研磨レシピで選択された研磨ヘッド組立体で使用される研磨テープ23とは異なる研磨テープ23でウェハWの周縁部が研磨される場合でも、ウェハWの周縁部を目標研磨量まで研磨することができる。
図示はしないが、図14を参照して説明されたように、基板カセット247から基板保持部3にウェハWを搬送する間(すなわち、図15のステップ3とステップ4の間)に、再度残量確認を実行してもよい。ステップ8で、制御部11が別の研磨テープ23を用いてウェハWの周縁部を研磨することを決定した場合(すなわち、ウェハWの処理動作がステップ8からステップ3に進む場合)は、ステップ3とステップ4との間で実行される残量確認は、別の研磨テープ23の残量に対して行われる。この再度行われる残量確認で、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ウェハWを基板保持部3に搬送し(図15のステップ4参照)、ウェハWの周縁部を研磨する(図15のステップ5参照)。一方で、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、ウェハWの搬送動作を中止し(図14のステップ11参照)、警報を出力する(図14のステップ12参照)。
図16は、基板処理装置でのウェハWの処理動作のさらに他の実施形態を示したフローチャートである。図16に示されるウェハWの処理動作は、図15に示されるウェハWの処理動作を拡張したものである。本実施形態のフローチャートは、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合に、別の研磨テープ23の残量の合計値と研磨テープ23の予想使用量とを比較する処理動作を含んでいる点で、図15に示されるフローチャートと異なっている。図16に示されるフローチャートにおいて、特に説明しないウェハWの処理動作は、図15を参照して説明されたウェハWの処理動作と同一であるため、その重複する説明を省略する。
図16に示されるフローチャートのステップ8において、制御部11は、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた全ての別の研磨テープ23に対して上記残量確認を実行する。例えば、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体が研磨ヘッド組立体1Aである場合は、制御部11は、研磨ヘッド組立体1Aとは異なる研磨ヘッド組立体1B,1C,1Dに研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構2B,2C,2Dの供給リール24にセットされた複数の(3つの)研磨テープ23に対して、上記残量確認を複数回(3回)実行する。ステップ8で、全ての別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部23は、複数の別の研磨テープ23の残量を合計する(ステップ9)。次いで、制御部11は、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値と、研磨テープ23の予想使用量とを比較する(ステップ10)。すなわち、制御部11は、ステップ10で、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値に対して残量確認を実行する。
ステップ10で、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ステップ3に戻り、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始し(ステップ3)、基板保持部3へウェハWを搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部を研磨する(ステップ5)。このとき、ウェハWの周縁部は、ステップ8で合計値が算出された複数の別の研磨テープ23によって研磨される。例えば、ウェハWの周縁部は、研磨ヘッド組立体1Bの研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23、研磨ヘッド組立体1Cの研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23、および研磨ヘッド組立体1の研磨ヘッド30に供給される研磨テープ23によって研磨される。各研磨テープ23がウェハWの周縁部を研磨するための研磨時間は、複数の別の研磨テープ23でウェハWを研磨したときに、研磨量が目標研磨量に到達するように、制御部11によってそれぞれ決定される。
ステップ10で、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルする(ステップ11)。図16に示されるように、制御部11は、ステップ11の後に、警報を発して(ステップ12)、研磨テープ23の交換を促してもよい。
ステップ9およびステップ10で、制御部11は、全ての別の研磨テープ23の内のいくつかの別の研磨テープ23の合計値が研磨テープ23の予想使用量以上に達した場合に、ウェハWの処理動作をステップ3に移動させてもよい。例えば、研磨ヘッド組立体1Bに供給される研磨テープ23の残量と研磨ヘッド組立体1Cに供給される研磨テープ23の残量の合計値が研磨テープ23の予想使用量以上に達した場合、制御部11は、この合計値に、研磨ヘッド組立体1Dに供給される研磨テープ23の残量を合計せずに、ウェハWの処理動作をステップ3に移動させる。この場合、研磨ヘッド組立体1Bに供給される研磨テープ23と研磨ヘッド組立体1Cに供給される研磨テープ23とで、ウェハWの周縁部が研磨される。
図示はしないが、図14を参照して説明されたように、基板カセット247から基板保持部3にウェハWを搬送する間(すなわち、図16のステップ3とステップ4の間)に、再度残量確認を実行してもよい。ステップ10で、制御部11が複数の別の研磨テープ23を用いてウェハWの周縁部を研磨することを決定した場合(すなわち、ウェハWの処理動作がステップ10からステップ3に進む場合)は、ステップ3とステップ4との間で実行される残量確認は、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値に対して行われる。この再度行われる残量確認で、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ウェハWを基板保持部3に搬送し(図16のステップ4参照)、ウェハWの周縁部を研磨する(図16のステップ5参照)。一方で、複数の別の研磨テープ23の残量の合計値が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、ウェハWの搬送動作を中止し(図14のステップ11参照)、警報を出力する(図14のステップ12参照)。
図17は、さらに他の実施形態に係るウェハWの処理動作の上部分を示したフローチャートであり、図18は、図17に示されるフローチャートに続くウェハWの処理動作の下部分を示したフローチャートである。図17および図18に示されるウェハWの処理動作は、図15に示されるウェハWの処理動作を拡張したものである。図17および図18に示されるフローチャートは、ウェハWの周縁部の研磨中に、テープエンドエラーが発生した場合の処理動作を含んでいる点で、図15に示されるフローチャートと異なっている。
図17および図18に示されるフローチャートでも、基板処理装置でのウェハWの処理動作が開始されると、制御部11は、作業者によって選択された研磨レシピに応じて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨ヘッド組立体を決定する(ステップ1)。次いで、制御部11は、上記残量確認を実行する(ステップ2)。研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始する(ステップ3)。より具体的には、制御部11は、搬送ユニット242を制御して、基板カセット247からウェハWを取り出す。次いで、制御部11は、基板カセット247から取り出されたウェハWを研磨モジュール255の基板保持部3(図4参照)に搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部の研磨を実行する(ステップ5)。図16に示されるステップ2で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合の処理動作は後述する。
上述したように、研磨テープ23の後端近傍には、エンドマークが付与されている。例えば、研磨テープ23の後端から1mの位置にエンドマークが付与されている。しかしながら、製造者から納入された研磨テープ23のエンドマークの位置が本来あるべき位置から若干ずれていることがある。あるいは、研磨テープ23の実使用量が研磨テープ23の予想使用量とずれることがある。この場合、制御部11がステップ2の残量確認で研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上であると判断して、ウェハWの周縁部の研磨を開始すると、テープエンドエラーが発生してしまうことがある。
図17および図18に示されるフローチャートは、テープエンドエラーが発生した場合に、制御部11が実行する処理動作を含んでいる。図18に示されるように、制御部11は、ウェハWの周縁部を研磨している間、テープエンドエラーが発生するか否かを監視している(ステップ6)。
テープエンドエラーが発生せずに、ウェハWの周縁部の研磨が完了すると、制御部11は、搬送機構270の動作を制御して、研磨モジュール255からウェハWを取り出し、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行する(ステップ7)。ステップ7の後で、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、ウェハWを基板カセット247に搬送する(ステップ8)。
ステップ6で、制御部11がテープエンドエラーを検出すると、制御部11は、テープエンドエラーにより研磨が中断されるまでの研磨時間を、制御部11に予め記憶された研磨終了時間から減算して、追加研磨時間を算出する(ステップ12)。制御部11には、上記タイマー161(図12参照)が接続されているので、制御部11は、テープエンドエラーにより研磨が中断されるまでの研磨時間をこのタイマー161の出力信号から得ることができる。さらに、制御部11は、この追加研磨時間に基づいて、研磨テープ23の追加使用量を算出する(ステップ13)。追加使用量は、追加研磨時間に応じてウェハWの周縁部を研磨するために必要な研磨テープ23の量である。
さらに、制御部11は、テープエンドエラーが発生した研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体に供給される別の研磨テープ23でウェハWの周縁部が追加研磨可能であるか否かを判断する。より具体的には、制御部11は、テープエンドエラーが発生した研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた別の研磨テープ23に対して追加残量確認を実行する(ステップ14)。ステップ14で実行される追加残量確認では、制御部11は、別の研磨テープ23の残量と研磨テープ23の追加使用量とを比較する。このステップ14で実行される追加残量確認も、制御部11の残量確認部162で実行される。
別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の追加使用量以上である場合は、制御部11は、別の研磨テープ23でウェハWの周縁部を追加研磨する(ステップ15)。ウェハWの周縁部の追加研磨が完了すると、制御部11は、ステップ7に戻り、搬送機構270の動作を制御して、研磨モジュール255からウェハWを取り出し、洗浄モジュール260、乾燥モジュール265の順にウェハWを搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行する。ステップ7の後で、制御部11は、搬送ユニット242の動作を制御して、ウェハWを基板カセット247に搬送する(ステップ8)。
テープエンドエラーが発生した研磨ヘッド組立体に供給される研磨テープ23の種類が、別の研磨ヘッド組立体に供給される別の研磨テープ23の種類と異なる場合は、制御部11は、ステップ12で得られた追加研磨時間に上記補正係数を乗算して、追加研磨時間を補正し、補正された追加研磨時間に基づいて追加使用量を決定する。
ステップ14で、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の追加使用量よりも小さい場合は、制御部11は、ウェハWの周縁部の研磨処理を中断する(ステップ16)。このとき、上側供給ノズル36(図4参照)からウェハWの上面に供給された研磨液(例えば、純水)によって、ウェハWの上面に異物が付着することが防止される。さらに、制御部11は、警報を出力して(ステップ17)、研磨テープ23の交換を促してもよい。ステップ16またはステップ17の後で、制御部11は、研磨が中断されたウェハWを一旦基板カセット247に回収してもよい。
上述したように、制御部11は、タイマー161によって研磨が中断されるまでの研磨時間を計測しているので、追加研磨時間および研磨テープ23の追加研磨量を算出することができる。したがって、テープエンドエラーが発生した場合でも、別の研磨テープ23で追加研磨を実行することにより、ウェハWの周縁部を目標研磨量まで研磨することができる。さらに、基板処理装置の作業者によって研磨テープ23が交換された後で、制御部11は、追加研磨時間に対応する追加研磨量だけウェハWの周縁部を研磨することができる。その結果、ウェハWが廃棄されることが防止される。
図15を参照して説明されたように、ステップ2で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合は、制御部11は、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた別の研磨テープ23に対して上記残量確認を実行する(ステップ9)。ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体に供給される研磨テープ23とは別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ステップ3に戻り、搬送ユニット242の動作を制御して、基板カセット247からのウェハWの搬送動作を開始し(ステップ3)、基板保持部3へウェハWを搬送する(ステップ4)。さらに、制御部11は、基板保持部3に搬送されたウェハWの周縁部を研磨する(ステップ5)。
ステップ9で、別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルする(ステップ10)。さらに、制御部11は、ステップ10の後に、警報を発して(ステップ11)、研磨テープ23の交換を促してもよい。
ステップ9で選択された別の研磨テープ23でウェハの周縁部を研磨している間に、テープエンドエラーが発生することがある。制御部11は、ステップ9で選択された別の研磨テープ23でウェハWの周縁部を研磨している間も、テープエンドエラーが発生するか否かを監視している(ステップ6)。ステップ9で選択された別の研磨テープ23でウェハWの周縁部を研磨している間に、テープエンドエラーが発生した場合は、ステップ14で実行される追加残量確認は、さらに別の研磨テープ23の残量と研磨テープ23の追加使用量とを比較することにより行われる。例えば、ステップ1で決定された研磨ヘッド組立体が研磨ヘッド組立体1Aであり、ステップ9で選択された研磨テープ23が研磨ヘッド組立体1Bに供給される研磨テープ23である場合、ステップ14で実行される追加残量確認は、研磨ヘッド組立体1Cおよび/または研磨ヘッド組立体1Dに供給される研磨テープ23に対して実行される。この場合、ステップ14で実行される追加残量確認を、研磨ヘッド組立体1Aに供給される研磨テープ23に対して実行してもよい。
このように、本実施形態によれば、テープエンドエラーが発生した場合でも、追加研磨可能な残量を有する研磨テープ23が供給される研磨ヘッド組立体を検索する。追加研磨可能な残量を有する研磨テープ23が供給される研磨ヘッド組立体が存在する場合は、この研磨ヘッド組立体でウェハの周縁部が追加的に研磨される。したがって、廃棄される基板の数を低減することができる。
図13、図14、または図16に示されるフローチャートの処理動作でも、ウェハWの周縁部の研磨中に、テープエンドエラーが発生するか否かを監視することができる。ウェハWの周縁部の研磨中に、テープエンドエラーが発生した場合は、ウェハWの周縁部の研磨が中断される。しかしながら、上述したように、制御部11は、タイマー161によって研磨が中断されるまでの研磨時間を計測しているので、追加研磨時間および研磨テープ23の追加使用量を算出することができる。したがって、研磨テープ23が交換された後で、ウェハWの周縁部を追加研磨することができるので、廃棄される基板の数を低減することができる。
制御部11は、記憶装置150に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。すなわち、制御部11は、最初に、該制御部11に予め記憶された研磨レシピに応じて、ウェハ(基板)Wの周縁部を研磨する研磨ヘッド組立体を決定するステップ(図13のステップ1参照)と、残量確認部162に指令を与えて、ウェハWを収容する基板カセット247からウェハWを基板保持部3に搬送する前に、供給リール24にセットされた研磨テープ23の残量と、ウェハWの周縁部を研磨するために必要な研磨テープの予想使用量とを比較する残量確認を実行するステップ(図13のステップ2参照)と、残量確認で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合に限って、搬送ユニットに指令を与えて、ウェハを基板カセット247から基板保持部3に搬送するステップ(図13のステップ3およびステップ4参照)と、基板保持部3に指令を与えて、基板保持部3に保持されたウェハWを回転させるステップと、テープ送り機構42に指令を与えて、研磨テープ23を供給リール24から研磨ヘッド30に送るステップと、研磨ヘッド30に指令を与えて、該研磨ヘッド30で研磨テープ23をウェハWに押し付けて、該ウェハWの周縁部を研磨するステップ(図13のステップ5参照)と、を含むステップを実行する。
さらに、制御部11は、搬送機構270に指令を与えて、研磨が終了したウェハWを研磨モジュール(研磨装置)255から取り出し、洗浄モジュール260および乾燥モジュール261にこの順に搬送して、ウェハWの洗浄および乾燥を実行するステップ(図13のステップ6参照)と、搬送ユニット242に指令を与えて、乾燥モジュール261からウェハWを基板カセット247に搬送するステップ(図13のステップ7参照)と、を実行する。
制御部11は、基板カセット247から研磨モジュール255の基板保持部3にウェハWを搬送する間に、再度、残量確認を実行するステップ(図14のステップ4参照)を実行してもよい。制御部11は、この残量確認で、研磨テープ23の残量がテープ予想使用量以上である場合は、搬送ユニット242に指令を与えて、ウェハWの基板カセット247から基板保持部3への搬送を続行するステップ(図14のステップ5参照)を実行する。一方で、制御部11は、この残量確認で、研磨テープ23の残量がテープ予想使用量よりも小さい場合は、搬送ユニット242に指令を与えて、ウェハWの基板カセット247から基板保持部3への搬送を中止するステップ(図14のステップ11参照)を実行する。
さらに、制御部11は、研磨レシピに応じて決定された研磨ヘッド組立体(すなわち、研磨ヘッド30)に供給される研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合に、この決定された研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた別の研磨テープ23に対して上記残量確認を実行するステップ(図15のステップ8参照)を実行してもよい。
さらに、制御部11は、上記別の研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合に、別の研磨テープ23の残量の合計値を算出するステップ(図16のステップ9参照)と、この合計値と研磨テープの予想使用量とを比較するステップ(図16のステップ10参照)と、を実行してもよい。
さらに、制御部11は、ウェハWの周縁部を研磨している間に、テープエンドエラーが発生した場合は、テープエンドエラーが発生するまでの研磨時間を研磨終了時間から減算して、追加研磨時間を算出するステップ(図17のステップ12参照)と、追加研磨時間に応じて研磨テープ23の追加使用量を算出するステップ(図17のステップ13参照)と、テープエンドエラーが発生した研磨ヘッド組立体とは異なる研磨ヘッド組立体の研磨ヘッド30に研磨テープ23を供給するテープ供給回収機構の供給リール24にセットされた別の研磨テープ23の残量と、追加使用量とを比較する追加残量確認を実行するステップ(図17のステップ14参照)とを実行してもよい。
これらステップを制御部11に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して制御部11に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して制御部11に提供されてもよい。
上述した実施形態に係る研磨モジュール(研磨装置)255は、基板の一例であるウェハWの周縁部を研磨するように構成されているが、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明は、供給リールから研磨ヘッドに供給される研磨テープを用いて基板を研磨する研磨装置を備えた基板処理装置に適用することができる。例えば、基板処理装置は、研磨テープで基板の裏面を研磨する研磨モジュール(研磨装置)を備えていてもよい。
以下、図19および図20を参照して、研磨テープで基板の裏面を研磨する研磨モジュール(研磨装置)の一例を説明する。図19は、他の実施形態に係る研磨モジュール256の模式図である。図19に示される研磨モジュール256は、ウェハ(基板)Wの裏面の外周側領域を研磨する研磨装置である。特に説明しない研磨モジュール256の構成は、上述した研磨モジュール255の構成と同じであるため、研磨モジュール255の構成要素と同一または相当する研磨モジュール256の構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図19に示される研磨モジュール256は、ウェハ(基板)Wを水平に保持して回転させる基板保持部3と、基板保持部3に保持されているウェハWの裏面に研磨テープ23を押し当てる研磨ヘッド組立体1(上記研磨ヘッド組立体1Aに相当する)とを備えている。基板保持部3は、ウェハWを真空吸着により保持する保持ステージ4と、保持ステージ4を回転させるモータM1とを備えている。図19に示される研磨モジュール256は、1つの研磨ヘッド組立体1を備えているが、研磨モジュール256は、複数の研磨ヘッド組立体1を備えていてもよい。この場合、各研磨ヘッド組立体1に研磨テープ23をそれぞれ供給する複数のテープ供給回収機構2が研磨モジュール256に配置される。
ウェハWはその裏面が下向きの状態で保持ステージ4上に載置される。この状態でモータM1は保持ステージ4を回転させ、ウェハWをその軸心まわりに回転させる。保持ステージ4の直径はウェハWの直径よりも小さく、ウェハWの裏面の中心側領域は保持ステージ4によって保持される。ウェハWの裏面の外周側領域は、保持ステージ4から外側にはみ出している。
研磨ヘッド組立体1は、保持ステージ4に隣接して配置されている。より具体的には、研磨ヘッド組立体1は、露出しているウェハWの外周側領域に対向して配置されている。研磨ヘッド組立体1の研磨ヘッド30は、複数のガイドローラ43,44,45,46,47,48によってガイドされる研磨テープ23をウェハWの裏面に押し付ける押圧部材50と、押圧部材50に押圧力を付与するエアシリンダ52とを備えている。エアシリンダ52は押圧部材50に押圧力を与え、これにより押圧部材50は研磨テープ23をウェハWの裏面に押し付ける。図19に示される押圧部材50は、上述した突起部51a,51bおよび押圧パッド64(図6乃至図8参照)を有していない。すなわち、押圧部材50の上面は、平坦面である。
研磨テープ供給機構2(上記研磨テープ供給機構2Aに相当する)は、研磨テープ23を研磨ヘッド組立体1の研磨ヘッド30供給する供給リール24と、ウェハWの研磨に使用された研磨テープ23を回収する回収リール25とを有する。図19では示されていないが、供給リール24および回収リール25にはカップリングを介してモータがそれぞれ連結されており、供給リール24および回収リール25によって、研磨テープ23に所定のテンションをかけることができるようになっている。
研磨ヘッド30は、研磨テープ23を供給リール24から回収リール25へ送るテープ送り機構42を備えている。テープ送り機構42のテープ送りローラ42aを回転させることにより、研磨テープ23を供給リール24から研磨ヘッド30を経由して回収リール25へ送ることができる。
研磨ヘッド組立体1は、研磨ヘッド移動機構35に連結されている。この研磨ヘッド移動機構35は、研磨ヘッド組立体1をウェハWの半径方向外側に移動させるように構成されている。研磨ヘッド移動機構35は、例えばボールねじとサーボモータとの組み合わせから構成される。
ウェハWの裏面の外周側領域は次のようにして研磨される。保持ステージ4に保持されたウェハWをその中心軸まわりにモータM1により回転させ、回転するウェハWの表面および裏面に上側供給ノズル36および下側供給ノズル37から研磨液(例えば、純水)を供給する。この状態で、研磨ヘッド1組立体1の研磨ヘッド30は、研磨テープ23をウェハWの裏面に押し付ける。研磨テープ23は外周側領域と摺接し、これによりウェハWの裏面の外周側領域を研磨する。研磨ヘッド移動機構35は、研磨ヘッド組立体1が研磨テープ23をウェハWの裏面に押し付けながら、図20の矢印に示すように、研磨ヘッド組立体1をウェハWの半径方向外側に所定の速度で移動させる。このようにして、ウェハWの裏面の外周側領域全体が研磨テープ23によって研磨される。研磨中、研磨液はウェハWの内側から外側に流れ、研磨屑は研磨液によってウェハWから除去される。
図19に示される研磨モジュール(研磨装置)256を、図2を参照して説明された基板処理装置における研磨モジュール255の代わりに配置することができる。基板処理装置の制御部11は、図13乃至図18を参照して説明された研磨方法にしたがって、研磨モジュール256を含む基板処理装置の動作を制御する。すなわち、制御部6は、ウェハWを基板カセット247から基板保持部3に搬送する前に、供給リール24にセットされた研磨テープ23の残量と、ウェハWの裏面の外周側領域を研磨するために必要な研磨テープ23の予想使用量とを比較する残量確認を実行する(図13のステップ2参照)。この残量確認で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合に限って、制御部6は、ウェハWを基板カセット247から基板保持部3に搬送する(図13のステップ3およびステップ4参照)。基板保持部3に搬送されたウェハWの裏面の外周側領域は、テープ送り機構42によって所定の速度で送られる研磨テープ23によって研磨される(図13のステップ5参照)。ウェハWの裏面の外周側領域の研磨が終了すると、制御部6は、研磨モジュール256からウェハWを取り出して、洗浄モジュール260および乾燥モジュール265でウェハWの洗浄と乾燥とを実行する(図13のステップ6参照)。ウェハWの洗浄と乾燥とが終了すると、制御部11は、ウェハWを乾燥モジュール265から取り出して、該ウェハWを基板カセット247に搬送する(図13のステップ7参照)。
研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部6は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作をキャンセルし(図13のステップ8参照)、ウェハWを基板カセット247から取り出さない。この制御により、ウェハWの裏面の研磨中に、テープエンドエラーが発生することを防止することができる。ウェハWの搬送動作をキャンセルした後で、研磨テープ23の交換を促すために、制御部11は、警報を発してもよい(図13のステップ9参照)。
図14のステップ4に示されているように、制御部11は、基板カセット247から研磨モジュール256の基板保持部3へウェハWを搬送する間に、再度残量確認を実行してもよい。この残量確認で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量以上である場合は、制御部11は、ウェハWを基板保持部3に搬送し(図14のステップ5参照)、ウェハWの裏面を研磨する(図14のステップ6参照)。一方で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、制御部11は、基板保持部3へのウェハWの搬送動作を中止する(図14のステップ11参照)。
研磨モジュール256は、複数の研磨ヘッド組立体1と、各研磨ヘッド組立体に研磨テープ23を供給する複数のテープ供給回収機構2とを備えていてもよい。この場合、上記残量確認で、研磨テープ23の残量が研磨テープ23の予想使用量よりも小さいと判断された場合(図15のステップ2参照)は、制御部11は、ウェハWの裏面を研磨可能な残量を有する研磨テープ23が供給される別の研磨ヘッド組立体を検索してもよい(図15のステップ8参照)。さらに、別の研磨テープ23が研磨テープ23の予想使用量よりも小さい場合は、別の研磨テープ23の残量を合計して(図16のステップ9参照)、この合計値と研磨テープ23の様相使用量とを比較してもよい(図16のステップ10参照)。さらに、ウェハWの裏面の研磨中に、テープエンドエラーが発生した場合は、制御部11は、テープエンドエラーにより研磨が中断されるまでの研磨時間をに基づいて追加研磨時間を算出し(図18のステップ12参照)、この追加研磨時間に基づいて、研磨テープ23の追加使用量を算出し(図18のステップ13参照)、さらに、追加使用量に基づいて、追加研磨可能な残量を有する研磨テープ23が供給される研磨ヘッド組立体を検索してもよい(図18のステップ14参照)。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。