つぎに、添付図面を参照して、本発明の実施形態による燃料電池セルスタックを備えた固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による燃料電池セルスタックを内蔵した固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。
図1に示すように、固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セルスタック14が配置されている。本実施形態においては、燃料電池セルスタック14は、複数の燃料電池セル16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
つぎに、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
つぎに、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
つぎに、図2〜図4を参照して、本実施形態による燃料電池セルスタックを内蔵した燃料電池モジュールの構造について説明する。
図2は、固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図であり、図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セルスタック14及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から流路方向調整部164を介して空気通路161a内に供給される(図2、図4参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セルスタック14に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。
また、空気通路161a,161bの内部には、熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられ、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セル16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
つぎに、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
図2及び図3に示すように、蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)145aが形成された仕切り板145により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板146,147により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態において蒸発器140は、上下方向の二層構造のうちの下層構造に燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
さらに、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
つぎに、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セルスタック14の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セル16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されている。
つぎに、図5及び図6を参照して、燃料電池セル16について説明する。
図5は、本発明の実施形態による燃料電池セルスタックを構成する燃料電池セルを示す図である。図6は、燃料電池セル端部の拡大断面図である。
図5に示すように、燃料電池セル16は、燃料電池セル本体84と、この燃料電池セル本体84の両端部にそれぞれ接続された接続電極部であるキャップ86とを備えている。
図6に示すように、支持体として導電支持体を有する場合の燃料電池セル本体84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部にガス通路である燃料ガス流路88を形成する円筒形の燃料極層である内側電極層90と、内側電極層90の外周に設けられた円筒形の固体電解質層である電解質層94と、電解質層94の外周に設けられた円筒形の空気極(酸化剤ガス極)層である外側電極層92と、を備えている。この内側電極層90は、燃料電池セル本体84を構成する支持体として機能すると共に、内部に燃料ガスが流れるガス通路を構成する多孔質体である。内側電極層90は燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。本実施形態では、内側電極層90は、Ni/YSZからなる。
なお、支持体として多孔質の絶縁性支持体を用いることもでき、この場合においては、絶縁性支持体の外側に、内側電極層として燃料極層を形成する。
電解質層94は、内側電極層90の外周面に沿って全周にわたって形成されており、下端は内側電極層90の下端よりも上方で終端し、上端は内側電極層90の上端よりも下方で終端している。電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、電解質層94の外周面に沿って全周にわたって形成されており、下端は電解質層94の下端よりも上方で終端し、上端は電解質層94の上端よりも下方で終端している。外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に、キャップ86について説明するが、燃料電池セル本体84の上端側と下端側に取り付けられたキャップ86は、同一構造であるため、ここでは、燃料電池セル本体84の下端側に取り付けられたキャップ86について具体的に説明する。
キャップ86は、燃料電池セル本体84の上下端部をそれぞれ包囲するように設けられ、燃料電池セル本体84の内側電極層90と電気的に接続され、内側電極層90を外部に引き出す接続電極として機能する。図6に示すように、燃料電池セル本体84の下端に設けられたキャップ86は、円筒状の第1円筒部86aと、第1円筒部86aの上端かから外方に向かって延びる円環状の円環部86bと、円環部86bの外周から上方に向かって延びる第2円筒部86cとを有する。キャップ86の第1円筒部86aの中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。燃料ガス流路98は、キャップ86の中心から燃料電池セル本体84の軸線方向に延びるように設けられた細長い管路である。
キャップ86は、フェライト系ステンレス又はオーステナイト系ステンレスからなる本体の内周面及び外周面にクロム酸化物(本実施形態では、Cr2O3)がコーティングされ、さらに、外周面には、MnCo2O4がコーティングされている。加えて、コーティングされたMnCo2O4層の外周面にはAg集電膜が設けられている。なお、本実施形態では、Ag集電膜は、キャップ86の外周面全体にわたって設けられているが、一部のみに設けてもよい。
キャップ86の第2円筒部86cの内側と、燃料電池セル本体84の内側電極層90の端部外周面との間の空間には銀ペースト95が配置されている。燃料電池セル16の組み立て後に焼成することにより、銀ペースト95が焼結され、内側電極層90とキャップ86が、電気的、機械的に結合される。また、キャップ86の第2円筒部86cの内周面と、電解質層94の下端部外周面との間には、ガラス材料からなるガラスシール96が設けられている。このガラスシール96により、キャップ86と内側電極層90との間の空間は、燃料電池セル16の外部の空間に対して気密密封されている。
つぎに、図7乃至図11を参照して、本発明の実施形態による燃料電池セルスタック14について説明する。
図7は、本実施形態による燃料電池セルスタックを示す斜視図である。図8は、本実施形態による燃料電池セルスタックの一部を示す側面図であり、図9は、燃料電池セルスタックの一部を示す側面断面図である。
図7に示すように、燃料電池セルスタック14は、格子状に配列された128本の燃料電池セル16を備え、これらの燃料電池セル16は、16本ずつ8列に並べて配置されている。
図8及び図9に示すように、各燃料電池セル16は、下端側が金属製の長方形の下支持板68により支持されている。この下支持板68は、マニホールド66の天井面を構成し、各燃料電池セル16の燃料ガス流路88に燃料ガスを流入させるための貫通穴が形成されている。また、各燃料電池セル16の下端側のキャップ86と下支持板68の間には、概ね円筒形のセラミック製のスペーサ100が配置されており、キャップ86と下支持板68の間を離間させることで絶縁性を確保している。
さらに、各燃料電池セル16には、1つの燃料電池セル16を隣接する燃料電池セル16と電気的に接続する集電部材102が取り付けられている。この集電部材102は、燃料極である内側電極層90と電気的に接続されたキャップ86と、隣接する燃料電池セル16の空気極である外側電極層92の外周面と、を接続するように配置される。また、各集電部材102は、各燃料電池セル16の上端部及び下端部に取り付けられているため、1つの燃料電池セル16と隣接する燃料電池セル16は、2つの集電部材102により電気的に接続されることになる(これら2つの集電部材102は並列)。このように、各集電部材102により、燃料電池セルスタック14を構成する全ての燃料電池セル16は、電気的に直列に接続される。なお、各燃料電池セル16の外側電極層92(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に集電部材102が接触することにより、集電部材102は空気極全体と電気的に接続される。
つぎに、図10及び図11を新たに参照して、集電部材102による接続構造を説明する。図10は、集電部材の斜視図である。図11は、集電部材によって接続された2本の燃料電池セルを上方から見た平面図である。
図10に示すように、集電部材102は、キャップ86を把持するように構成された第1把持部104と、外側電極層92を把持するように構成された第2把持部106と、第1、第2把持部を連結し、これらを電気的に導通させる連結部108から構成されている。集電部材102は、フェライト系ステンレス製の薄板を曲げ加工することにより、第1、第2把持部及び連結部を一体的に形成した金具である。また、集電部材102の表面には銀メッキが施され、その電気伝導性を向上させている。即ち、集電部材102は、フェライト系ステンレス製の基材に、基材よりも電気抵抗率の低い銀製の金属層を被覆することにより構成されている。
第1把持部104は円弧状に湾曲された細長い矩形の薄板であり、この円弧の内側にキャップ86を嵌め込むことにより、キャップ86が第1把持部104によって把持される。即ち、非組み付け状態においては、円弧状の第1把持部104の半径はキャップ86の半径よりも若干小さく、組み付け時において第1把持部104を弾性変形させながら、第1把持部104の内側に嵌め込むことにより、キャップ86を把持させる。また、第1把持部104の両側の先端部104aは、燃料電池セル16(キャップ86)の中心から外方に向かって湾曲されていると共に、先端部104aの角には丸味が付けられている。これにより、キャップ86を第1把持部104に嵌め込む際に、第1把持部104の先端部104aによってキャップ86の表面に傷を付けることが防止される。
また、キャップ86が把持された状態では、第1把持部104はキャップ86周囲の所定範囲に沿って延び、第1把持部104の内側の表面とキャップ86の第2円筒部86cの外周面が接触する。なお、組み付けられたとき、第1把持部104は、キャップ86の第2円筒部86cの半周よりも長く延びる。即ち、第1把持部104は、キャップ86周囲の円周の長さの半分よりも長く構成されている。また、組み付け時において、第1把持部104の内周面と第2円筒部86cの外周面との間には、導電性接合剤である銀ペーストが塗布される。燃料電池セルスタック14の組み立て完了後、塗布された銀ペーストが焼結されることにより、第1把持部104とキャップ86が固着される。
第2把持部106は円弧状に湾曲された細長い矩形の薄板であり、この円弧の内側に燃料電池セル16の燃料電池セル本体84を嵌め込むことにより、燃料電池セル本体84が第2把持部106によって把持される。なお、第2把持部106は、燃料電池セル本体84の外側電極層92(空気極)の部分を把持する。また、非組み付け状態においては、円弧状の第2把持部106の半径は外側電極層92の半径よりも若干小さく、組み付け時において第2把持部106を弾性変形させながら、第2把持部106の内側に嵌め込むことにより、外側電極層92の部分を把持させる。また、第2把持部106の両側の先端部106aは、燃料電池セル16(外側電極層92)の中心から外方に向かって湾曲されていると共に、先端部106aの角には丸味が付けられている。これにより、燃料電池セル本体84を第2把持部106に嵌め込む際に、第2把持部106の先端部106aによって外側電極層92の表面に傷を付けることが防止される。
また、燃料電池セル本体84が把持された状態では、第2把持部106は外側電極層92周囲の所定範囲に沿って延び、第2把持部106の内側の外側電極接触面106bと外側電極層92の外周面が接触する。なお、組み付けられたとき、第2把持部106は、外側電極層92の半周よりも長く延びているが、第2把持部106は第1把持部104よりも短く、第1把持部104よりも少ない範囲に亘って延びている。即ち、第2把持部106は、外側電極層92周囲の円周の長さの半分よりも長く構成されているが、第1把持部104よりも短く構成されている。一方、第2把持部106は、第1把持部104よりも幅が広く形成され、把持力が調整されている。
即ち、第2把持部106は、第1把持部104よりも短く形成されているため、燃料電池セル16を嵌め込むときの弾性変形量が、第1把持部104よりも少なくなる。このため、外側電極層92を第2把持部106に嵌め込むために要する力は、キャップ86を第1把持部104に嵌め込むために要する力よりも弱く、把持力は第1把持部104よりも弱くなるものの、外側電極層92を第2把持部106に容易に嵌め込むことができる。これにより、燃料電池セル16を第2把持部106に嵌め込む際に、外側電極層92の表面に傷が付くのを防止している。
これに対して、第1把持部104に嵌め込まれるキャップ86は、その表面強度が外側電極層92よりも高く傷が付きにくいため、嵌め込みに要する力を大きく設定しても表面に傷が付くことが少ない。組み付け時における第1把持部104の弾性変形量を大きく設定しておくことにより、第1把持部104はキャップ86を強い把持力で把持することができ、集電部材102をキャップ86に強固に取り付けることができる。このように、本実施形態の燃料電池セルスタック14においては、第1、第2把持部による把持力が、それを組み付ける部分の表面強度に応じて適切に設定されるように、表面強度が高い方を把持する把持力が強くされているので、組み付けられた表面の傷つきを防止しながら強い把持力を得ることができる。
また、組み付け時において、第2把持部106の内周面と外側電極層92の外周面との間には、導電性接合剤である銀ペーストが配置される。即ち、第2把持部106の内周面に銀ペーストを塗布した状態で、第2把持部106に燃料電池セル16の外側電極層92の部分が嵌め込まれる。燃料電池セルスタック14の組み立て完了後、塗布された銀ペーストが焼結されることにより、第2把持部106と外側電極層92が固着される。これにより、第2把持部106と外側電極層92は、焼結された銀ペーストにより形成される接合剤層を介して接触する。なお、銀ペーストは、第1把持部104又は第2把持部106の何れか一方のみに塗布しても良い。
さらに、第2把持部106には、ガス供給部であるガス供給開口部106c、106dが設けられている。ガス供給開口部106dは、第2把持部106の中央に設けられた円形の開口である。また、ガス供給開口部106cは、第2把持部106の長手方向に沿って、ガス供給開口部106dの両側に延びるように夫々形成された細長いスリット状の開口であり、第2把持部106が燃料電池セル16に取り付けられたとき、ガス供給開口部106dは燃料電池セル16の周方向に延びる。ここで、集電部材102が燃料電池セル16に組み付けられると、第2把持部106の外側電極接触面106bが外側電極層92に接触する。これにより、外側電極層92の一部が覆われ、覆われた部分には酸化剤ガス(空気)の供給が阻害されるが、ガス供給開口部106c、106dを設けておくことにより、これらの開口を介して酸化剤ガスが外側電極層92に供給される。
ここで、第2把持部106によって覆われることにより、酸化剤ガスの供給が阻害される部分では発電反応に影響が生じ、燃料電池セル16の発電効率が低下するので、覆われる面積は少ないことが望ましい。しかしながら、銀ペーストを使用して、第2把持部106を外側電極層92に十分な強度で接合するためには、第2把持部106と外側電極層92の接触面積(外側電極接触面106b)をある程度確保しておく必要がある。
本実施形態の燃料電池セルスタック14においては、第2把持部106にガス供給開口部106c、106dが設けられているため、これらの開口の周囲にもある程度酸化剤ガスが回り込む。このため、ガス供給開口部106c、106dを設けて外側電極接触面106bを細分化することにより、外側電極層92を第2把持部106で覆うことの悪影響を緩和することができる。また、第2把持部106にガス供給開口部106c、106dを設けることにより、外側電極層92が覆われてしまう外側電極接触面106bが細分化されるため、外側電極層92の、発電反応が抑制される部分(外側電極接触面106b)が分散し、発電反応のムラを抑制することができる。なお、上記のように、第2把持部106と外側電極層92の間には銀ペーストが塗布されるが、銀ペーストを焼結することにより形成される接合剤層は、ガス供給開口部106c、106dの部分においては、外側電極接触面106bの部分における接合剤層の厚さを超えない厚さに薄く形成される。このため、外側電極層92には、ガス供給開口部を介して十分な酸化剤ガスが供給される。
つぎに、連結部108は、第1把持部104と第2把持部106の間を連結する板状の部分であり、連結部108の両端に接続されている第1把持部104と第2把持部106は、互いに反対の方向に湾曲されている。また、連結部108は、第1把持部104と接続されている第1台形部108aと、第2把持部106と接続されている第2台形部108bと、第1台形部108aと第2台形部108bの間に延びる拡幅部108cと、から構成されている。
第1台形部108aは等脚台形状の薄板であり、平行な対辺の短い方が、第1把持部104の中央部と接続され、長い方の対辺が拡幅部108cと接続されている。ここで、第1台形部108aの短い方の対辺は、連結曲線108dにおいて第1把持部104に連結されている。即ち、第1把持部104は把持する燃料電池セル16(のキャップ86)の外周の曲面に沿って湾曲されているため、これと第1台形部108aを連結する連結曲線108d(第1台形部108aの短い方の対辺)も曲線となる。一方、拡幅部108cは平面であり、この拡幅部108cと接続される第1台形部108aの長い方の対辺は直線となっている。
同様に、第2台形部108bは等脚台形状の薄板であり、平行な対辺の短い方が、第2把持部106の中央部と接続され、長い方の対辺が拡幅部108cと接続されている。また、第2台形部108bの短い方の対辺は、連結曲線108eにおいて第2把持部106に連結されている。即ち、第2把持部106は把持する燃料電池セル16(の外側電極層92)の外周の曲面に沿って湾曲されているため、これと第2台形部108bを連結する連結曲線108e(第2台形部108bの短い方の対辺)も曲線となる。一方、平面である拡幅部108cと接続される第2台形部108bの長い方の対辺は直線となっている。
つぎに、拡幅部108cは、第1台形部108aと第2台形部108bの間を連結する概ね長方形状の平面板であり、第1、第2台形部の長い方の対辺とほぼ同じ幅に形成されている。ここで、集電部材102は、隣接する燃料電池セル16の間を電気的に接続する部材であるため、第1把持部104と第2把持部106を連結する連結部108は、導体断面積を大きくし、電気抵抗を低下させることが望ましい。ところが、第1、第2把持部と連結部108を夫々接続する連結曲線108d、108eは互いに反対向きに湾曲した曲線であるため、これらの連結曲線があまり長くなると、金属製の薄板を曲げ加工して、両側の連結曲線を接続する集電部材102を形成することが困難となる。
そこで、本実施形態においては、連結部108の両端に第1台形部108a及び第2台形部108bを夫々設けることにより、連結部108と第1、第2把持部が夫々接続される長さ(連結曲線108d、108eの長さ)を短く抑えている。同時に、第1、第2台形部を連結する拡幅部108cの幅を広く構成することにより、この部分の導体断面積を大きくし、集電部材102全体の電気抵抗を低減している。従って、連結部108の中間部分に設けられた拡幅部108cは、連結曲線108d、108eよりも幅が広く形成されており、電気抵抗低減手段として機能する。
次に、図8及び図11を参照して、集電部材による各燃料電池セルの接続状態を説明する。
図8及び図11に示すように、集電部材102の第1把持部104は燃料電池セル16のキャップ86を把持し、第2把持部106は隣接する燃料電池セル16の燃料電池セル本体84(の外側電極層92の部分)を把持する。また、隣接する燃料電池セル16同士を接続する各集電部材102は、各燃料電池セル16の上端部及び下端部で、水平方向に一直線に並ぶように取り付けられている。これら第1把持部104と第2把持部106を連結する連結部108は、図8に示すように、第1把持部104から第2把持部106へ斜め方向に延びている。
ここで、図8に示すように、第1把持部104と第2把持部106を連結する連結部108は湾曲して延びている。このように、連結部108が湾曲又は屈曲していると、各部材の熱膨張等により、接続している2つの燃料電池セル16間の距離が変化した場合でも、この距離の変化を連結部108の曲げ変形により容易に吸収することができる。これに対して、第1把持部104と第2把持部106の間が直線的に連結されていると、接続している燃料電池セル16間の距離変化を曲げ変形で吸収することができず、連結部108に大きな引っ張り力や圧縮力が作用し、これにより、各把持部が燃料電池セル16から剥がれてしまうリスクがある。
また、図11に示すように、概ね平板状の連結部108は、その板面が上下方向に向けられているため、連結部108の板面は、接続している燃料電池セル16の中心軸線を含む平面P1に対して直交するように向けられている。また、第1、第2把持部と連結部108の接続線(連結曲線108d、108e)が平面P1上に位置しているため、連結部108は第1把持部104と第2把持部106を最短距離で接続される。即ち、集電部材102は、接続される2本の燃料電池セル16が平面視において最も近接している点(燃料電池セル16の外周面と平面P1が交わる点A1、A2)を接続しているので、平面視における最短距離で2本の燃料電池セル16を接続することができる。換言すれば、連結部108は、接続している2本の燃料電池セル16両方と接する2つの共通の接平面P2、P3の内側の領域(接平面P2、P3の間の、接平面P2、P3を含まない領域)に延びているため、連結部108は第1、第2把持部を最短距離で接続することができる。
一方、図8に想像線で示すように、各燃料電池セル16の酸化剤ガス極(外側電極層92)に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給孔である複数の吹出口8fが、モジュールケース8の両側の側壁面に、夫々対向する(図8)ように設けられている。これらの吹出口8fは、各燃料電池セル16(燃料電池セルスタック14)の下部側面から、各燃料電池セル16に向けて、加熱された酸化剤ガスを噴射する。また、各吹出口8fは、酸化剤ガスを隣り合う各燃料電池セル16の間に向かって噴射するように、水平方向に一直線に並べて配置されている。
ここで、連結部108は、その板面が上下方向に向けられているため、図8に示すように、連結部108の側方からの水平方向の投影面積は、連結部108の板厚分のみであり、非常に狭くなっている。このため、各集電部材102(の連結部108)は、各燃料電池セル16の間の酸化剤ガスの流れに与える流れ抵抗が非常に少なくなる。このように、各集電部材102による流れ抵抗を抑制することにより、側面から噴射された酸化剤ガスが、燃料電池セルスタック14の内側に位置する燃料電池セル16まで十分に到達する。このため、加熱された酸化剤ガスによる各燃料電池セル16の加熱が均一に行われ、燃料電池セルスタック14の各部に位置する燃料電池セル16の温度ムラが少なくなる。従って、集電部材102の連結部108は、各燃料電池セル16の間に向かって噴射された酸化剤ガスの流れ抵抗を抑制する流れ抵抗抑制手段として機能し、これにより、温度ムラが低減される。
また、図8に示すように、1つの列に属する各燃料電池セル16を連結する各集電部材102と、隣接する列に属する各燃料電池セル16を連結する各集電部材102は、夫々反対向きに傾斜して延びるように取り付けられている。即ち、図8において、最前列の各燃料電池セル16の上端部を接続する各集電部材102は、第2把持部106から第1把持部104へ向けて右上がりに傾斜するように取り付けられているのに対し、手前から2列目の各燃料電池セル16の上端部を接続する各集電部材102は、左上がりに傾斜するように取り付けられている。同様に、最前列の各燃料電池セル16の下端部を接続する各集電部材102は、第2把持部106から第1把持部104へ向けて右下がりに傾斜するように取り付けられているのに対し、手前から2列目の各燃料電池セル16の下端部を接続する各集電部材102は、左下がりに傾斜するように取り付けられている。
このように、集電部材102を取り付けることにより、図8に示すように、各集電部材102は、側面視で「X」字を描くように配列される。これにより、燃料電池セルスタック14の側面から各燃料電池セル16の間に流入した酸化剤ガスの流れが、各集電部材102により一方向に方向付けられることがなく、酸化剤ガスが燃料電池セルスタック14の内部で、より均等に流れ、各燃料電池セル16の温度ムラを抑制することができる。
つぎに、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態による燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールの作用を説明する。
図2に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171を順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
さらに、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セル16内に供給される。
また、図2及び図3に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された排気通路を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セルスタック14の下部側面に向けて両側から発電室10内に噴射される。この加熱された発電用空気により、各燃料電池セル16の下部が加熱される。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、各燃料電池セル16の上端から流出し、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。その後、排気ガスは、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
本発明の実施形態の燃料電池セルスタック14によれば、集電部材102の連結部108が、接続している2つの燃料電池セル16両方と接する2つの共通の接平面P2、P3の内側の領域に延びるように配置されている(図11)。このため、集電部材102は、接続される2つの燃料電池セル16の、平面視において最も近接した点A1、A2を接続することができるので、集電部材102の連結部108を短縮することが可能になり、電気抵抗が低減される。これにより、燃料電池セルスタック14から効率良く電力を取り出すことができる。
また、本実施形態の燃料電池セルスタック14によれば、長く形成することが困難な連結曲線108d、108e(図10)の長さは比較的短く抑える一方、両側の連結曲線108d、108eの間の、連結部108の中間部分である拡幅部108cが、電気抵抗低減手段として、幅が広く形成されているので、製作を容易にしながら、集電部材102全体の電気抵抗を低減することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池セルスタック14によれば、第1把持部104から第2把持部106までの連結部108が湾曲して延びている。このため、燃料電池セル16の熱膨張等により、接続されている燃料電池セル16間の距離が変化した場合でも、連結部108の湾曲で、距離の変化を容易に吸収することができ、熱膨張による第1、第2把持部の、燃料電池セル16からの剥離を防止することができる。
また、本実施形態の燃料電池セルスタック14によれば、集電部材102の連結部108は、集電部材102が接続している2つの燃料電池セル16の各中心軸線を含む平面P1(図11)に対して概ね直交する方向に向けて配置されているので(図8、図9)、集電部材102の側面視における投影面積が極小となり、側面から燃料電池セル16の間に流れる酸化剤ガス又は燃料ガスに与える流れ抵抗を抑制することができる。これにより、燃料電池セル16の周囲を流れるガスの乱れに起因する、燃料電池セル16の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池セルスタック14によれば、集電部材102の基材が、基材よりも電気抵抗率の低い金属の金属層で被覆されるので、集電部材102の電気抵抗をさらに低減することができ、より集電効率を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、燃料電池セルの内側電極層として燃料極が設けられ、外側電極層として酸化剤ガス(空気)極が設けられていたが、内側に酸化剤ガス(空気)極、外側に燃料極を設けた任意の筒状の燃料電池セルのスタックに本発明を適用することもできる。また、上述した実施形態においては、1本の燃料電池セルの内部に1つのガス通路が設けられていたが、1本の燃料電池セルに複数本の燃料又は酸化剤ガスのガス通路を設けた筒状形状の燃料電池セルのスタックに本発明を適用することもできる。
さらに、上述した実施形態においては、燃料極である内側電極層を、接続電極部であるキャップに接続し、このキャップを集電部材によって隣接する外側電極層に接続していた。しかしながら、接続電極部はキャップに限られず、内側電極層に接続された任意の導体により接続電極部を構成することができ、接続電極部を内側電極層と一体に構成することもできる。