JP2018045156A - 表示体、および、表示体の製造方法 - Google Patents

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雅史 川下
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Abstract

【課題】表示体の外観によって発現される機能を高めることのできる表示体、および、表示体の製造方法を提供する。【解決手段】表示体は、裏面に沿う面から表面に向けて突出する複数の凸部12bを備えた誘電体である凹凸構造層12と、凹凸構造層12に対する表面側に位置して凹凸構造層12に接し、凹凸構造層12の表面形状に追従する形状を有した金属層13,14とを備える。表示体は、第1表示要素20Pが位置する第1表示領域20と、第2表示要素30Pが位置する第2表示領域30とを含み、第1表示要素20Pにおいて、凸部12bは、サブ波長周期を有した二次元格子状に並び、第2表示要素30Pにおいて、凸部12bは、第1表示要素20Pにおける凸部12bの周期よりも大きい周期で並ぶ。【選択図】図2

Description

本発明は、表示体、および、表示体の製造方法に関する。
表示体は、回折格子や多層膜による光の干渉等に基づく構造色を呈する。表示体は、例えば、パスポートや免許証等の認証書類や、商品券や小切手等の有価証券類のように、偽造が困難であることを求められる物品に備えられることにより、物品の偽造の困難性を高める。また、表示体は、身の回りの物品に備えられることにより、物品の意匠性を高める。
近年、偽造の困難性や意匠性をより高めるために、外観が互いに異なる領域を有した表示体が提案されている。例えば、特許文献1に記載の表示体は、微細な凹凸を有してホログラムを形成している層の一部に、インクからなる層が印刷によって積層された構造を有する。こうした表示体は、ホログラムによる色が視認される領域、すなわち、表示体に対する観察者の視線の角度が変化したときに色が大きく変化する領域と、インクの色が視認される領域、すなわち、上記角度の変化による色の変化が小さい領域とを有している。
特開2012−153111号公報
ところで、表示体の外観による偽造の困難性や意匠性をさらに向上するためには、上記角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域によって、より精細な像が形成されることが好ましい。一方、インクからなる層が位置する領域であるインク領域は、各種の印刷法を用いたインクの塗布によって形成されるため、表示体の表面と対向する方向から見たインク領域の外縁の位置の制御には限界がある。したがって、インク領域よりも、上記外縁の位置のより細かな制御が可能な領域を用いて、上記角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域を実現する表示体が望まれている。
本発明は、表示体の外観によって発現される機能を高めることのできる表示体、および、表示体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する表示体は、表面と裏面とを有する表示体であって、前記裏面に沿う面から前記表面に向けて突出する複数の凸部を備えた誘電体である凹凸構造層と、前記凹凸構造層に対する前記表面側に位置して前記凹凸構造層に接し、前記凹凸構造層の表面形状に追従する形状を有した金属層と、を備え、前記表面と対向する方向から見て、前記表示体は、第1表示要素が位置する第1表示領域と、第2表示要素が位置する第2表示領域とを含み、前記第1表示要素において、前記凸部は、前記表面と対向する方向から見てサブ波長周期を有した二次元格子状に並び、前記金属層のなかの前記第1表示要素を構成する部分と共に、プラズモン共鳴を生じさせる構造体を構成し、前記第2表示要素において、前記凸部は、前記表面と対向する方向から見て前記第1表示要素における前記凸部の周期よりも大きい周期で並び、前記金属層のなかの前記第2表示要素を構成する部分と共に、可視領域の光を回折する回折格子を構成している。
上記構成によれば、表示体の外側から表示体の表面に向けて光が照射されると、第1表示要素では、表示体の表面側に一次回折光が生じることが抑えられる。一方で、金属層と凹凸構造層とからなる構造体に入射した光のうち、表示体の表面に対して水平に近い角度に発生する一次回折光は、電子の集団的な振動と結合する、すなわち、プラズモン共鳴を生じる。プラズモン共鳴を通じて構造体に誘起された表面プラズモンは、上記構造体を透過し、構造体の裏面側に光として射出される。このように、表示体の表面側に回折光が射出することが抑えられるため、表面と観察者の視線方向とが形成する角度である観察角度が変化したとしても、第1表示領域の色の変化は小さい。一方、第2表示要素からは、回折格子で回折した光が、表示体の表面側に射出されるため、第2表示領域の色は、観察角度の変化によって大きく変化するように見える。
以上のように、凹凸構造層における凸部の周期の大きさの違いによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域である第1表示領域と第2表示領域とが実現される。これらの領域の外縁は、凸部の位置によって規定され、第1表示領域の有する凸部は、サブ波長周期で並んでいるため、インクの印刷によって形成される領域と比較して、より細かく外縁の位置を設定可能である。したがって、第1表示領域と第2表示領域とによって、より精細な像が形成可能であり、偽造の困難性や意匠性、すなわち、表示体の外観によって発現される機能を高められる。
上記構成において、前記第2表示要素における前記凸部の高さは、前記第1表示要素における前記凸部の高さよりも高くてもよい。
凹凸構造層が有する凸部では、凸部のアスペクト比が小さいほど、凸部の加工が容易であり、また、凸部における加工の精度も高い。この傾向は、凸部の周期が小さいほど顕著である。これに対して、凹凸構造層が有する凸部のなかで第2表示要素が備える凸部では、凸部の高さは回折効率に影響し、凸部の高さが低い場合、光の回折効率が低くなり回折光の視認性が悪くなる恐れがある。この点、上記構成によれば、相対的に周期が小さく凹凸構造層がプラズモン共鳴を生じさせるための構造である第1表示要素では、凸部の高さを低くしてアスペクト比を小さくしやすくし、加工の精度を得やすくする一方、相対的に周期が大きく凹凸構造層が光の回折を生じさせるための構造である第2表示要素では、凸部の高さを高くして回折効率を高めることができる。
上記構成において、前記第1表示要素において、前記凸部の上面を含む平面にて前記第1表示要素内で前記凸部が占有する面積比率は10%以上50%以下であってもよい。
上記構成によれば、第1表示領域において、上記面積比率が50%以下であることにより、表面側からの反射観察にて透過光が観察されることが抑えられる一方、上記面積比率が10%以上であることにより、表面側および裏面側からの透過観察での像の視認性が確保される。
上記構成において、前記凹凸構造層を支持する表面を有した基材を備え、前記凹凸構造層は、前記表面に沿って広がる形状を有した平坦部を備え、前記凸部は、前記平坦部から突き出していてもよい。
上記構成によれば、平坦部は、第1表示領域に含まれる凸部を支持する機能と、第2表示領域に含まれる凸部を支持する機能とを有する。したがって、凸部が倒れることが的確に抑えられ、また、各領域に位置する凸部を支持するための構造が平坦部であるため、凸部が倒れることを抑えるために求められる構造の簡素化を図ることが可能である。
上記構成において、前記第2表示領域には、前記凸部の並ぶ方向が互いに異なる複数の前記第2表示要素が含まれてもよい。
上記構成によれば、観察者に対して表示体を相対的に動かす観察の方式において、第2表示領域における各第2表示要素の明暗が別々に変化するように見える。したがって、表示体に対する観察者の位置や角度の変化に応じた変化が大きい像を、表示体によって形成することができる。さらに、第1表示領域と第2表示領域との組み合わせによって、第2表示領域における像の変化を際立たせることができるため、表示体の外観によって発現される機能がより高められる。
上記構成において、前記第2表示領域には、前記凸部の周期が互いに異なる複数の前記第2表示要素が含まれてもよい。
上記構成によれば、観察角度を変化させる観察の方式において、第2表示領域における各第2表示要素の明暗が別々に変化するように見える。したがって、観察角度の変化に応じた変化が大きい像を、表示体によって形成することができる。さらに、第1表示領域と第2表示領域との組み合わせによって、第2表示領域における像の変化を際立たせることができるため、表示体の外観によって発現される機能がより高められる。
上記課題を解決する表示体の製造方法は、基材の表面に塗工された樹脂に凹版を押し付けて前記樹脂を硬化させることにより前記樹脂からなる複数の凸部を備える凹凸構造層であって、第1領域と第2領域とを含む前記凹凸構造層を形成する第1工程と、前記凹凸構造層の表面形状に追従する形状を有した金属層を前記凹凸構造層の上に形成する第2工程と、を含み、前記第1工程では、前記金属層のなかの前記第1領域上に位置する部分と、前記第1領域の前記凸部とが、プラズモン共鳴を生じさせる構造体を構成するように、前記基材の表面と対向する方向から見て、サブ波長周期を有した二次元格子状に、前記第1領域に位置する前記凸部を形成し、前記金属層のなかの前記第2領域上に位置する部分と、前記第2領域の前記凸部とが、可視領域の光を回折する回折格子を構成するように、前記第1領域における前記凸部の周期よりも大きい周期で、前記第2領域に位置する前記凸部を形成する。
上記製法によれば、凹凸構造層における凸部の周期の大きさの違いによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域を有する表示体を製造することができる。したがって、表示体の外観によって発現される機能が高められた表示体が得られる。そして、上記製造方法によれば、微細な凹凸を有する凹凸構造層を好適に形成することができる。
上記製法において、前記第1工程では、前記第1領域の前記凸部と、前記第2領域の前記凸部とを同時に形成してもよい。
上記製法によれば、第1領域の凸部と第2領域の凸部とを別の工程にて形成する製造方法と比較して、効率よく表示体を製造することができる。また、第1領域と第2領域との境界をより精密に形成することができる。
本発明によれば、表示体の外観によって発現される機能を高めることができる。
表示体の第1実施形態における平面構造を示す平面図。 第1実施形態における表示体の断面構造と凹凸構造層の平面構造とを示す図。 第1実施形態の表示体の作用を表面側での反射観察および裏面側での透過観察によって示す作用図。 第1実施形態の表示体の作用を表面側での透過観察および裏面側での反射観察によって示す作用図。 第1実施形態における表示体の断面構造の他の例を示す断面図。 第1実施形態における表示体の断面構造の他の例を示す断面図。 第1実施形態における表示体の第2画素での凸部の配置の他の例を示す平面図。 第1実施形態における表示体の断面構造の他の例を示す断面図。 表示体の第2実施形態の一形態における平面構造を示す平面図。 (a)および(b)は、第2実施形態の表示体の作用を示す図であって、表示体の一形態にて視認される像の変化の様子を示す図。 表示体の第2実施形態の一形態における平面構造を示す平面図。 凸部の周期と入射角および回折角との関係を示す図。 (a)および(b)は、観察者による表示体の観察角度の変化を示す図。 (a)〜(d)は、第2実施形態の表示体の作用を示す図であって、表示体の一形態にて視認される像の変化の様子を示す図。
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、表示体、および、表示体の製造方法の第1実施形態を説明する。なお、表示体に照射される入射光の波長域は限定されないが、以下の各実施形態では、入射光として肉眼で認識可能な可視波長領域(波長:400nm以上800nm以下)を含む自然光を対象として説明する。
第1実施形態の表示体は、物品の偽造の困難性を高める目的で用いられてもよいし、物品の意匠性を高める目的で用いられてもよいし、これらの目的を兼ねて用いられてもよい。物品の偽造の困難性を高める目的としては、表示体は、例えば、パスポートや免許証等の認証書類、商品券や小切手等の有価証券類、クレジットカードやキャッシュカード等のカード類、紙幣等に貼り付けられる。また、物品の意匠性を高める目的としては、表示体は、例えば、身に着けられる装飾品や、使用者に携帯される物品、家具や家電等のように据え置かれる物品、壁や扉等の構造物等に取り付けられる。例えば、表示体は、時計の文字盤として用いられてもよい。
[表示体の構成]
図1が示すように、表示体10は、表面10Fと、表面10Fとは反対側の面である裏面10Rとを有し、表面10Fと対向する方向から見て、表示体10は、第1表示領域20と第2表示領域30とを含んでいる。第1表示領域20は、第1表示要素の一例である第1画素の配置された領域であり、第2表示領域30は、第2表示要素の一例である第2画素の配置された領域である。
第1表示領域20と第2表示領域30との各々は、これらの領域単独、もしくは、これらの領域の組み合わせによって、文字、記号、図形、模様、絵柄、これらの背景等を像として表現する。これらの像の一例として、図1に示す構成では、第1表示領域20と第2表示領域30とによって、月の絵柄が表現され、第2表示領域30によって、月の周囲に位置する星が表現され、第1表示領域20によって背景が表現されている。
図2を参照して、第1表示領域20および第2表示領域30の構造について説明する。図2は、第1表示領域20と第2表示領域30との境界を含み、第1表示領域20を構成する第1画素20Pと、第2表示領域30を構成する第2画素30Pとが相互に並ぶ部分の構造を拡大して示す図である。
第1画素20Pと第2画素30Pとの各々は、基材11と、凹凸構造層12と、第1金属層13と、第2金属層14とを備えている。なお、基材11に対して凹凸構造層12の位置する側が表示体10の表面側であり、凹凸構造層12に対して基材11の位置する側が表示体10の裏面側である。図2は、第1画素20Pおよび第2画素30Pの断面構造とともに、表示体10の表面10Fと対向する方向から見た第1画素20Pおよび第2画素30Pにおける凹凸構造層12の平面構造を示している。
第1画素20Pと第2画素30Pとにおいて、凹凸構造層12における凹凸に関わる構造以外の構造は、相互に共通している。例えば、基材11のなかで第1画素20Pに含まれる部分は、第2画素30Pに含まれる部分と連続し、これらは一体の構造体である。また、凹凸構造層12のなかで第1画素20Pに含まれる部分は、第2画素30Pに含まれる部分と連続し、これらもまた一体の構造体である。また、第1画素20Pを構成する第1金属層13と、第2画素30Pを構成する第1金属層13とは、それを構成する材料や厚さという構成においてほぼ共通しており、第1画素20Pを構成する第2金属層14と、第2画素30Pを構成する第2金属層14とは、それを構成する材料や厚さという構成においてほぼ共通している。
第1画素20Pにおける凹凸構造層12と第1金属層13と第2金属層14とは、プラズモン共鳴を起こす構造体であるプラズモン構造体層15を構成している。第2画素30Pにおける凹凸構造層12と第1金属層13と第2金属層14とは、入射側空間に回折光を出射する構造体である回折格子層16を構成している。
以下、各層の詳細な構成について説明する。
基材11は板状を有し、基材11の有する面のうち、表示体10の表面側に位置する面が基材11の表面である。基材11は、可視領域の光に対して透明であり、可視領域の光を透過する。可視領域の光が有する波長は、400nm以上800nm以下である。基材11は誘電体であり、基材11の材料としては、例えば、合成石英や、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂が挙げられる。基材11の屈折率は、空気層よりも高く、例えば1.2以上1.7以下である。基材11は、1つの層から構成されていてもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
凹凸構造層12は、基材11の表面に沿って広がる平坦部12aと、平坦部12aから表示体10の表面側に突き出した複数の凸部12bとから構成されている。すなわち、凸部12bは、表示体10の裏面10Rから表面10Fに向かう方向に突出している。凹凸構造層12は、可視領域の光に対して透明な誘電体であり、例えば、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂から構成されている。凹凸構造層12の屈折率は、空気層よりも高い。
凸部12bは、表面10Fと対向する方向から見た形状が正方形である四角柱形状を有している。凸部12bの基端から先端までの長さ、すなわち、凸部12bの延びる方向における凸部12bの長さが、凸部高さである。そして、第1画素20Pの凸部12bの凸部高さが第1凸部高さH1であり、第2画素30Pの凸部12bの凸部高さが第2凸部高さH2である。
基材11の表面に沿った方向における凸部12bの長さ、すなわち、凸部12bの基部を構成する正方形の一辺の長さが、凸部幅である。そして、第1画素20Pの凸部12bの凸部幅が第1凸部幅D1であり、第2画素30Pの凸部12bの凸部幅が第2凸部幅D2である。
複数の凸部12bは、表示体10の表面10Fと対向する方向から見て、二次元格子の一例である正方配列に並んでいる。正方配列は、正方形SQの各頂点に凸部12bの中心が位置する配列である。正方形SQの一辺の長さが凸部12bの配列の周期であり、すなわち、凸部12bの配列の周期は、互いに隣り合う2つの凸部12bにおける中心間の最短距離であり、また、凸部12bの配列の周期は、互いに隣り合う2つの凸部12b間の最短距離と凸部幅との合計である。そして、第1画素20Pの凸部12bの配列の周期が第1構造周期P1であり、第2画素30Pの凸部12bの配列の周期が第2構造周期P2である。
第1構造周期P1は、可視領域の波長でプラズモン共鳴を起こすための周期であり、可視領域の短波長側の波長よりも小さい周期、すなわち、サブ波長周期である。具体的には、第1構造周期P1は、400nm未満である。また、第2構造周期P2は、可視領域の光を回折するための周期であり、第1構造周期P1よりも大きく、例えば、可視領域の短波長側の波長以上の長さである。第2構造周期P2は、例えば、可視領域の光を回折しやすい周期として400nm以上10μm以下である。
第1凸部高さH1と第2凸部高さH2とは、一致していてもよく、異なっていてもよい。ナノインプリント法を用いて凹凸構造層12を形成する場合、第1凸部高さH1よりも第2凸部高さH2が高い構成であると、凸部12bの形成に用いる凹版の加工の精度が得られやすいため、凸部12bの加工の精度が得られやすい。同様に、凸部12bの加工の精度が得られやすい観点において、第1凸部幅D1に対する第1凸部高さH1の比(H1/D1)は、3以下であることが好ましく、2以下であることがさらに好ましい。特に凸部12bの周期が小さい場合には、凸部幅に対する凸部高さの比であるアスペクト比が小さいほど、凸部12bの加工の精度が得られやすい一方で、回折格子層16では、凸部高さが高いほど光の回折効率が高まる。そのため、第1凸部高さH1よりも第2凸部高さH2が高い構成であると、相対的に周期が小さく凹凸構造層12がプラズモン共鳴を生じさせるための構造である第1画素20Pでは、アスペクト比を小さくして加工の精度を確保する一方、相対的に周期が大きく凹凸構造層12が光の回折を生じさせるための構造である第2画素30Pでは、凸部高さを高くして回折効率を高めることができる。
さらに、ナノインプリント法を用いて凹凸構造層12を形成する場合、第1構造周期P1に対する第1凸部幅D1(D1/P1)と、第2構造周期P2に対する第2凸部幅D2(D2/P2)とがほぼ等しいと、凹凸構造層12全体で平坦部12aの厚さを均一に形成しやすいため好ましい。
第1金属層13は、凸部12bの間に露出している平坦部12aを覆っている。第2金属層14は、凸部12bの先端面を覆っている。第1金属層13と第2金属層14とは、共通の金属材料から構成されており、相互にほぼ等しい膜厚を有する。金属層13,14の各々の屈折率は、空気層よりも低い。プラズモン共鳴が生じやすいこと等の観点において、金属層13,14は、可視領域の波長における複素誘電率の実部が負の値である金属材料から構成されており、金属層13,14の膜厚は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。金属層13,14の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、タンタル、インジウム等が挙げられる。
なお、少なくとも第1画素20Pにおいては、表示体10の表面10Fと対向する方向から見て、凸部12bの間から露出する平坦部12aの面積は、各凸部12bである正方形の面積の合計よりも大きいことが好ましい。この場合、平坦部12aの直上の領域、すなわち、第1金属層13と凸部12bの基部とを含む領域である基部領域17において、第1金属層13は、構造的および光学的に海成分であり、凸部12bの基部は、構造的および光学的に、海成分のなかに点在する島成分である。
また、第2金属層14と第2金属層14の間の空気層とを含む領域である頂部領域19において、第2金属層14は、構造的および光学的に島成分であり、空気層は、構造的および光学的に海成分である。さらに、基部領域17と頂部領域19との間の中間領域18、すなわち、凸部12bにおける基部以外の部分と、凸部12bの間の空気層とを含む領域において、凸部12bにおける基部以外の部分は、構造的および光学的に島成分であり、空気層は、構造的および光学的に海成分である。
上記構成では、基部領域17、中間領域18、および、頂部領域19の各々において、海成分の体積比率は、島成分の体積比率よりも大きい。そして、基部領域17における第1金属層13の体積比率は、頂部領域19における第2金属層14の体積比率よりも大きく、頂部領域19における第2金属層14の体積比率は、中間領域18における金属材料の体積比率よりも大きい。
こうした構成において、基部領域17、中間領域18、および、頂部領域19の各々の屈折率は、領域ごとに、各領域に含まれる金属層13,14や凸部12bや空気層の屈折率が平均化された大きさに近似される。すなわち、基部領域17の屈折率は、海成分である第1金属層13に支配された大きさであり、空気層の屈折率よりも十分に低い。また、中間領域18の屈折率は、海成分である空気層に支配された大きさであり、凸部12bの存在に起因して空気層の屈折率よりも高く、かつ、空気層の屈折率に近い値である。また、頂部領域19の屈折率は、海成分である空気層に支配された大きさであり、第2金属層14の存在に起因して空気層の屈折率よりも低く、かつ、空気層の屈折率に近い値である。
[表示体の製造方法]
上述の表示体10を製造する方法を説明する。
まず、基材11の表面に、凹凸構造層12を形成する。凹凸構造層12における凸部12bを形成する方法としては、例えば、光、あるいは、荷電粒子線を用いたフォトリソグラフィー法、ナノインプリント法、プラズマエッチング法が挙げられる。なかでも、ナノインプリント法は、第1画素20Pにおける微細な凹凸を有する凹凸構造層12の形成に適している。
ナノインプリント法を用いる場合、例えば、基材11として、ポリエチレンテレフタラートシートを用い、基材11の表面に、紫外線硬化性樹脂を塗工する。次いで、紫外線硬化性樹脂からなる塗工膜の表面に、凸部12bに追従する形状および配置の凹部を有する凹版である合成石英モールドを押し当て、塗工膜および合成石英モールドに紫外線を照射する。続いて、硬化した紫外線硬化樹脂から合成石英モールドを離型する。これによって、凸部12bが形成されるとともに、凸部12bと基材11との間には、紫外線硬化性樹脂からなる残膜として平坦部12aが形成される。なお、紫外線硬化性樹脂に代えて熱硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、紫外線の照射を熱に変更すればよい。また、紫外線硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂を用いてもよく、この場合、紫外線の照射は、加熱および冷却に変更すればよい。
上記方法において、第1画素20Pに対応する部分と第2画素30Pに対応する部分とで合成石英モールドにおける凹部の配置の周期を変えることによって、第1画素20Pにおける第1構造周期P1の凸部12bと第2画素30Pにおける第2構造周期P2の凸部12bとを同時に形成することができる。
次いで、凹凸構造層12の表面に、第1金属層13および第2金属層14を形成する。第1金属層13と第2金属層14とは、凹凸構造層12の表面に対して金属薄膜の成膜が行われることによって、同時に形成される。第1金属層13および第2金属層14を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法が挙げられる。
[表示体の作用:表面反射観察、裏面透過観察]
図3を参照して、表面側から表示体10に光が入射しているときに、表面側および裏面側の各々から表示体10を観察した場合に視認される像について説明する。なお、図3では、理解を容易にするために、第1画素20Pが備えるプラズモン構造体層15を、1つの平坦な層として模式的に表し、第2画素30Pが備える回折格子層16を、1つの平坦な層として模式的に表している。
まず、第1画素20Pを有する第1表示領域20を観察した場合について説明する。
表示体10の外側から表示体10の表面10Fに向けて白色の光I1が照射されると、光I1は、空気層からプラズモン構造体層15に入る。ここで、光I1は、プラズモン構造体層15の凹凸構造部分に入るとき、空気層から、空気層に近い屈折率を有した頂部領域19に入るため、空気層と頂部領域19との界面ではフレネル反射が生じ難い。プラズモン構造体層15における凹凸構造は、誘電体に金属薄膜が積層された構造であり、凹凸構造の周期は、可視領域の波長よりも小さいサブ波長周期である。そのため、光I1を受けたプラズモン構造体層15では、表示体10の表面側に一次回折光が生じることが抑えられ、光I1に含まれる特定の波長域の光E1と電子の集団的な振動とが結合するプラズモン共鳴が生じる。なお、光E1は、表示体10の表面10Fに対して水平に近い角度に発生した一次回折光である。そして、プラズモン構造体層15は、光I1に含まれる一部の波長域の光を表面プラズモンとして透過し、プラズモン構造体層15から射出される光I2に変換する。光I2の波長域は、プラズモン構造体層15における凹凸構造の周期、すなわち、第1構造周期P1によって決まる。
結果として、表示体10の外側から表面10Fに向けて白色の光I1が照射されている状態で、表示体10の表面側から表面10Fを観察する表面反射観察によれば、プラズモン構造体層15における界面でのフレネル反射が生じ難いこと、および、プラズモン構造体層15にてプラズモン共鳴が生じることによって、黒色、もしくは、黒色に近い色が、第1画素20Pにて視認される。すなわち、表面反射観察において、第1表示領域20は、黒色、もしくは、黒色に近い色に見える。表面10Fに対する観察者の角度、すなわち、表面10Fと観察者の視線方向とが形成する角度である観察角度が変化したとしても、第1表示領域20の色はほぼ変化しない。
一方、表示体10の外側から表面10Fに向けて白色の光I1が照射されている状態で、表示体10の裏面側から裏面10Rを観察する裏面透過観察によれば、プラズモン構造体層15でのプラズモン共鳴を経て表示体10の裏面側に出た光I2の波長域に応じた色が、第1画素20Pで視認される。すなわち、裏面透過観察において、第1表示領域20は、白色および黒色とは異なる色に見える。
次に、第2画素30Pを有する第2表示領域30を観察した場合について説明する。
表示体10の外側から表示体10の表面10Fに向けて白色の光I1が照射されると、回折格子層16における凹凸構造の周期は可視領域の波長以上の周期であるため、光I1が回折格子層16にて回折を起こし、回折光である光I3が表示体10の表面側に射出される。光I3には複数の波長の光が含まれ、これらの光の出射角度は互いに異なる。光I3に含まれる各波長域の光の出射角度は、回折格子層16における凹凸構造の周期、すなわち、第2構造周期P2によって決まる。
結果として、表面反射観察によれば、観察角度に応じて、色相や彩度や明度の異なる色が、第2画素30Pで視認される。すなわち、表面反射観察において、第2表示領域30の色は、観察角度の変化によって大きく変化するように見える。
一方、裏面透過観察によれば、表示体10の外側から表面10Fに向けて照射された光I1のうち、金属層13,14を有する回折格子層16を透過する光I4の強度は微小であるため、第2画素30Pには、黒色に近い色が視認される。すなわち、裏面透過観察において、第2表示領域30は、黒色に近い色に見える。
以上のように、表面反射観察においては、第1表示領域20に視認される色は、観察角度の変化による変化が小さく、第2表示領域30に視認される色は、観察角度の変化による変化が大きい。したがって、凹凸構造層12における凸部12bの周期の大きさの違いによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域が実現できる。そして、第1表示領域20と第2表示領域30とで色の見え方が異なるため、表面反射観察によれば、第1表示領域20と第2表示領域30とから構成される絵柄等の像が視認される。
また、裏面透過観察においては、第1表示領域20に視認される色と第2表示領域30に視認される色とで、色相や彩度や明度が異なるため、裏面透過観察によっても、第1表示領域20と第2表示領域30とから構成される絵柄等の像が視認される。また、表面反射観察と裏面透過観察とで、表示体10にて視認される像は、色相や彩度や明度が互いに異なる像であり、また、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる像である。
なお、上記表面反射観察や裏面透過観察の結果は、表面10Fに向けた外光の光量が、裏面10Rに向けた外光の光量よりも高い場合においても、同様の傾向を示す。また、表示体10の表面10Fに照射される光は、白色の光でなくてもよい。
[表示体の作用:裏面反射観察、表面透過観察]
図4を参照して、裏面側から表示体10に光が入射しているときに、表面側および裏面側の各々から表示体10を観察した場合に視認される像について説明する。
まず、第1画素20Pを有する第1表示領域20を観察した場合について説明する。
表示体10の外側から表示体10の裏面10Rに向けて白色の光I1が照射されると、光I1は、空気層から基材11に入り、基材11からプラズモン構造体層15に入る。ここで、光I1は、プラズモン構造体層15の凹凸構造部分に入るとき、空気層よりも高い屈折率を有した凹凸構造層12の平坦部12aから、空気層よりも低い屈折率を有した基部領域17に入るため、これらの界面でフレネル反射が生じやすい。
一方で、上記界面を透過してプラズモン構造体層15の凹凸構造部分に光が入射すると、プラズモン構造体層15では、プラズモン共鳴が生じる。結果として、光I1に含まれる一部の波長域の光I5は反射光として表示体10の裏面側に射出され、光I1に含まれる一部の波長域の光E2はプラズモン共鳴によって消費され、光I1に含まれる一部の波長域の光I6はプラズモン構造体層15を透過する。光I5,I6の波長域は、プラズモン構造体層15における凹凸構造の周期、すなわち、第1構造周期P1によって決まる。
結果として、表示体10の外側から裏面10Rに向けて白色の光I1が照射されている状態で、表示体の裏面側から裏面10Rを観察する裏面反射観察によれば、フレネル反射によって表示体10の裏面側に射出された光I5の波長域に応じた色が、第1画素20Pで視認される。この光I5の波長域に応じた色は、白色および黒色とは異なる色であって、観察角度による変化は小さい。
また、表示体10の外側から裏面10Rに向けて白色の光I1が照射されている状態で、表示体の表面側から表面10Fを観察する表面透過観察によれば、プラズモン構造体層15でのプラズモン共鳴を経て表示体10の表面側に出た光I6の波長域に応じた色が、第1画素20Pで視認される。この光I6の波長域に応じた色は、白色、黒色、および、光I5の波長域に応じた色とは異なる色である。ただし、プラズモン構造体層15にて光I5の反射が起こるため、裏面10Rに向けて照射された光I1のなかで表示体10を透過する光の強度は低い。したがって、表面透過観察において、第1表示領域20は、暗色に見える。それゆえ、表示体10の表面10Fと裏面10Rとに光I1が照射されている場合であっても、表面側から見て、第1表示領域20は、黒色に近い色に見える。
次に、第2画素30Pを有する第2表示領域30を観察した場合について説明する。
表示体10の外側から表示体10の裏面10Rに向けて白色の光I1が照射されると、光I1が回折格子層16にて回折を起こし、回折光である光I7が表示体10の裏面側に射出される。光I7に含まれる各波長域の光の出射角度は、回折格子層16における凹凸構造の周期、すなわち、第2構造周期P2によって決まる。
結果として、裏面反射観察によれば、観察角度に応じて、色相や彩度や明度の異なる色が、第2画素30Pで視認される。すなわち、裏面反射観察において、第2表示領域30の色は、観察角度の変化によって大きく変化するように見える。
一方、表面透過観察によれば、表示体10の外側から裏面10Rに向けて照射された光I1のうち、金属層13,14を有する回折格子層16を透過する光I8の強度は微小であるため、第2画素30Pには、黒色に近い色が視認される。すなわち、表面透過観察において、第2表示領域30は、黒色に近い色に見える。
以上のように、裏面反射観察においては、第1表示領域20と第2表示領域30とで色の見え方が異なるため、裏面反射観察によれば、第1表示領域20と第2表示領域30とから構成される絵柄等の像が視認される。また、裏面反射観察と表面透過観察とで、表示体10にて視認される像は、色相や彩度や明度が互いに異なる像であり、また、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる像である。
なお、上記裏面反射観察や表面透過観察の結果は、裏面10Rに向けた外光の光量が、表面10Fに向けた外光の光量よりも高い場合においても、同様の傾向を示す。また、表示体10の裏面10Rに照射される光は、白色の光でなくてもよい。
このように、第1実施形態の表示体10によれば、凹凸構造層12における凸部12bの周期の大きさの違いによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域が実現できる。これらの領域の外縁は、凸部12bの位置によって規定され、第1表示領域20の有する凸部12bは、サブ波長周期で並んでいるため、インクの印刷によって形成される領域と比較して、より細かく外縁の位置を設定可能である。したがって、第1表示領域20と第2表示領域30とによって、より精細な像が形成可能であり、表示体10および表示体10を備える物品の偽造の困難性や意匠性が高められる。
第1表示領域20と第2表示領域30とが形成する像は、例えば、第2表示領域30が絵柄を構成し、第1表示領域20が背景を構成する像であってもよいし、第1表示領域20と第2表示領域30とが協働して1つの絵柄を構成する像であってもよいし、第2表示領域30が絵柄の輪郭を構成し、第1表示領域20が輪郭の内部を構成する像であってもよい。表面反射観察では、観察角度の変化によって第2表示領域30が虹色に光るように見える一方で、第1表示領域20は観察角度の変化に依らず黒っぽく見えるため、特に、第1表示領域20が第2表示領域30に囲まれる形態、もしくは、第2表示領域30が第1表示領域20に囲まれる形態であると、第1表示領域20が際立って見える。したがって、第1表示領域20と第2表示領域30とが形成する像の意匠性が高められる。
なお、表示体10は、少なくとも表面反射観察が可能なように利用されればよく、例えば、表面側からのみ表示体10に光が入射し、表面側からのみ表示体10の観察が可能である状態で用いられてもよい。この場合でも、第1表示領域20と第2表示領域30とによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域が実現される。
[表示体の構成例]
表示体10の構造についての好ましい形態、および、変形例についてさらに説明する。
<第1表示領域20の構成例>
第1表示領域20における第1画素20Pの構成例について説明する。なお、以下の構成例は、第2表示領域30における第2画素30Pにも適用されてもよい。
図5が示すように、第1金属層13の厚さTaが厚いほど、プラズモン構造体層15の基部領域17と平坦部12aとの界面で生じるフレネル反射によって射出される光の強度が大きく、裏面反射観察で視認される像の明度が高まる。また、第1金属層13の厚さTaが厚いほど、裏面10Rから表面10Fへ透過する光の強度が小さく、表示体10の表裏に光が照射されている場合でも、表面反射観察での色彩が、より黒色に近づく。
また、第1構造周期P1に対する第1凸部幅D1の比が小さいほど、平坦部12a上において第1金属層13の位置する領域の面積比率が大きくなるため、裏面反射観察で視認される像の明度が高まり、かつ、表面反射観察での色彩が、より黒色に近づく。
したがって、第1金属層13の厚さTaは10nm以上であることが好ましい。また、第1構造周期P1に対する第1凸部幅D1の比は0.75以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましい。また、凸部12bの上面を含む平面において、第1画素20P内で凸部12bが占有する面積比率は50%以下であることが好ましい。
一方、第1金属層13の厚さTaが薄いほど、また、第2金属層14の厚さTbが薄いほど、表面透過観察や裏面透過観察では、これらを透過する光の強度が大きく、視認される像が明瞭になる。また、第1構造周期P1に対する第1凸部幅D1の比が大きいほど、これもまた、表示体10を透過する光の強度が大きい。
したがって、第1金属層13の厚さTaや、第2金属層14の厚さTbは、200nm以下であることが好ましい。また、第1構造周期P1に対する第1凸部幅D1の比は0.25以上であることが好ましく、0.40以上であることがより好ましい。また、凸部12bの上面を含む平面において、第1画素20P内で凸部12bが占有する面積比率は10%以上であることが好ましい。
また、第1金属層13と第2金属層14とを、凹凸構造層12に対する金属層の成膜によって、単一の工程で形成するとき、成膜源から飛行する金属粒子は、凹凸構造層12の表面に対して、所定の角度分布を有して付着する。結果として、第2金属層14の幅Waは、凸部12bの第1凸部幅D1よりも若干大きくなり、互いに隣接する第2金属層14間の最短距離Wbは、互いに隣接する凸部12b間の最短距離Wcよりも若干小さくなる。また、第1金属層13における凸部12bの周囲の部分は、第2金属層14によるシャドウ効果の影響を受けて、凸部12bに近い部位ほど薄い。
また、上記製造方法では、凸部12bの側面にも、第2金属層14に連続する金属層である中間金属層14Aが形成される。中間金属層14Aは、第2金属層14と一体の構造体であり、凸部12bの側面上での厚みが、第1金属層13に近い部位ほど薄い。
第1画素20Pにおいて、こうした中間金属層14Aは、第1構造周期P1がサブ波長周期であるため、頂部領域19および中間領域18の厚さ方向での屈折率の変化を連続的とする。そして、中間金属層14Aは、表示体の外側から頂部領域19に入射した光を反射し難く、中間領域18や基部領域17へ透過しやすい。それゆえに、表面反射観察において、より黒色に近い色が、第1表示領域20にて視認される。
また、第2金属層14間の空気層である誘電体層と第2金属層14との間の屈折率差が小さいほど、頂部領域19での平均化された屈折率は、頂部領域19と頂部領域19上の空気層との界面でのフレネル反射を抑えやすい。他方、凸部12bと第1金属層13との間の屈折率差が大きいほど、基部領域17の平均化された屈折率は、基部領域17と平坦部12aとの界面でのフレネル反射を促しやすい。
したがって、第1金属層13と第2金属層14とが、相互に等しい屈折率を有し、かつ、凸部12bと第1金属層13との間の屈折率差が、上記誘電体層と第2金属層14との間の屈折率差よりも大きい構成であれば、頂部領域19と空気層との界面でのフレネル反射を抑え、かつ、基部領域17と平坦部12aとの界面でのフレネル反射を促すことが可能となる。
なお、第1画素20Pが、頂部領域19と頂部領域19上の空気層との界面でのフレネル反射を好適に抑えるための上述の各種の構成を有していない場合であっても、第1画素20Pにおける凸部12bの周期がサブ波長周期であることにより、第1画素20Pから回折光が射出されることは抑えられ、プラズモン構造体層15ではプラズモン共鳴が生じる。したがって、表示体10の外側から表面10Fに向けて光が照射されている状態において、表示体10の表面側に第1画素20Pから回折光が射出することが抑えられるため、観察角度の変化による色の変化の小さい第1表示領域20は実現できる。
<凸部12bの形状および配置の変形例>
図6が示すように、凸部12bの形状は、四角錐台形状、すなわち、四角錐の頂部が平面となっている形状を有していてもよい。この場合、基材11の表面に沿った方向における凸部12bの幅は、表示体10の裏面10Rから表面10Fに向かう方向に、徐々に小さくなっており、凸部12bの基部を構成する正方形の一辺の長さが、凸部幅である。こうした構造であれば、凸部12bの形成に際して、凸部12bを形成するための凹版の離型を円滑に進めることが可能である。また、凸部12bは、円錐台形状や円柱形状であってもよいし、角錐形状や円錐形状のように、先端に平面を有さない形状であってもよい。
第1画素20Pにおいて、表示体10の表面10Fと対向する方向から見た凸部12bの配置は、正方配列に限らず、二次元格子状であればよい。正方配列は、二次元平面内において直交する2つの方向の各々に沿って凸部12bが並ぶ配列であり、二次元格子状の配列には、正方配列の他に、二次元平面内において90度とは異なる角度で交差する2つの方向の各々に沿って凸部12bが並ぶ配列が含まれる。第1画素20Pにおいて、凹凸構造層12と第1金属層13および第2金属層14とは、これらの層からなるプラズモン構造体層15にてプラズモン共鳴が生じる構造を有していればよい。
図7が示すように、第2画素30Pにおいて、表示体10の表面10Fと対向する方向から見た凸部12bの配置は、正方配列を含む二次元格子状に限らず、1つの方向に帯状に延びる複数の凸部12bが等間隔で並ぶ配置であってもよい。この場合、凸部12bの延びる方向と直交する方向における凸部12bの長さが第2凸部幅D2である。要は、第2画素30Pにおいて、凸部12bは、凹凸構造層12と第1金属層13および第2金属層14とからなる回折格子層16が可視領域の光を回折する回折格子を構成するように配置されていればよい。
<その他の変形例>
図8が示すように、表示体10は、第1画素20Pと第2画素30Pとの少なくとも一方において、凹凸構造層12と第1金属層13と第2金属層14とからなる構造体を覆う保護層40を備えていてもよい。すなわち、凸部12b間の領域や第2金属層14間の領域には、空気とは異なる誘電体が位置していてもよい。保護層40は、例えば、低屈折率の樹脂から構成される。低屈折率の樹脂からなる保護層40は、凸部12bの屈折率よりも空気層の屈折率に近い屈折率を有する。
また、表示体10は、第1画素20Pにおいて、プラズモン構造体層15を、構造体に対して表面側で覆う多層膜層を備えていてもよい。多層膜層は、可視領域の光に対して透明な材料から構成された複数の薄膜の積層体であって、多層膜干渉を生じさせる。複数の薄膜の屈折率は、互いに異なる。そして、表示体10の外側から表面10Fに向けて光が照射されると、多層膜層では、各薄膜の界面で反射された特定の波長域の光が干渉により強められて、表面側に射出される。第1画素20Pにおいては、表面側への一次回折光の発生が抑えられ、プラズモン共鳴が起こるため、多層膜層によって強められた波長域の光とは異なる波長域の光が表面側に射出されることが抑えられる。それゆえ、表面側から見て、第1画素20Pには、多層膜層によって強められた波長域に応じた色相の色が鮮明に見える。
こうした構成によっても、表面反射観察では、第2表示領域30が観察角度の変化によって色が大きく変化するように見える一方で、第1表示領域20に視認される色は、多層膜層によって強められた波長域に応じた色であって、この色の観察角度の変化による変化は第2表示領域30と比較して小さい。したがって、第1表示領域20と第2表示領域30とによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域が実現される。
そして、多層膜層によって強められる波長域は多層膜の層構成等によって調整可能であるため、観察角度の変化による色の変化の小さい領域に、黒色以外の色を視認させることが可能であり、多様な像の表現が可能である。
また、第1金属層13と第2金属層14とが、相互に連続する1つの金属層であってもよい。すなわち、金属層は、凹凸構造層12の表面に沿って、凹凸構造層12の全面を覆っていてもよい。要は、第1金属層13と第2金属層14とを含む層である金属層は、層全体としての形状が凹凸構造層12の表面形状に追従した形状を有していればよく、換言すれば、金属層は、表面側に向けて飛び出ている部分が凸部12bの配置に沿った配置で点在している形状を有していればよい。
また、第1表示領域20の凹凸構造層12と、第2表示領域30の凹凸構造層12とは、別々の工程で形成されてもよい。また、第1金属層13と第2金属層14とは別々の工程で形成されてもよい。こうした場合、第1金属層13と第2金属層14とが互いに異なる材料から構成されていてもよい。
また、基材11と凹凸構造層12は一体であってもよい。あるいは、凹凸構造層12は平坦部12aを備えず、凸部12bは基材11の表面から突き出していてもよい。
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)凹凸構造層12における凸部12bの周期の大きさの違いによって、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域である第1表示領域20と第2表示領域30とが実現される。これらの領域の外縁は、凸部12bの位置によって規定され、第1表示領域20の有する凸部12bは、サブ波長周期で並んでいるため、インクの印刷によって形成される領域と比較して、より細かく外縁の位置を設定可能である。したがって、第1表示領域20と第2表示領域30とによって、より精細な像が形成可能であり、表示体10を備える物品の偽造の困難性や意匠性が高められる。すなわち、表示体10の外観によって発現される機能を高めることができる。
また、表示体10の外側から表面10Fに向けて光が照射されているとき、表面反射観察と裏面透過観察とで、色相や彩度や明度が互いに異なる像が視認される。また、表示体10の外側から裏面10Rに向けて光が照射されているとき、表面透過観察と裏面反射観察とで、色相や彩度や明度が互いに異なる像が視認される。このように、表示体10を表面側から観察した場合と裏面側から観察した場合とで、視認される像が異なるため、表示体10を備える物品にて、偽造の困難性や意匠性がより高められる。また、表示体10の表裏の識別も容易である。
(2)凹凸構造層12が有する凸部12bでは、凸部12bのアスペクト比が小さいほど、凸部12bの加工が容易であり、また、凸部12bにおける加工の精度も高い。この傾向は、凸部12bの周期が小さいほど顕著である。これに対して、凹凸構造層12が有する凸部12bのなかで第2画素30Pが備える凸部12bでは、凸部12bの高さが高いほど、光の回折効率が高い。そのため、第1凸部高さH1よりも第2凸部高さH2が大きい構成であると、相対的に周期が小さく凹凸構造層12がプラズモン共鳴を生じさせるための構造である第1画素20Pでは、アスペクト比を小さくして加工の精度を確保する一方、相対的に周期が大きく凹凸構造層12が光の回折を生じさせるための構造である第2画素30Pでは、凸部高さを高くして回折効率を高めることができる。
(3)凸部12bが、平坦部12aから突き出していることにより、平坦部12aは、第1表示領域20に含まれる凸部12bを支持する機能と、第2表示領域30に含まれる凸部12bを支持する機能とを有する。したがって、凸部12bが倒れることが的確に抑えられ、また、各領域に位置する凸部12bを支持するための構造が平坦部12aであるため、凸部12bが倒れることを抑えるために求められる構造の簡素化を図ることが可能である。
(4)基材11の表面に塗工された樹脂に凹版を押し付けて樹脂を硬化させることにより複数の凸部12bを形成し、これによって、第1領域と第2領域とを有する凹凸構造層12を形成する。そして、金属層を凹凸構造層12の上に形成する。このとき、金属層のなかの第1領域上に位置する部分と、第1領域の凸部12bとが、プラズモン共鳴を生じさせる構造体を構成するように、サブ波長周期を有した二次元格子状に、第1領域に位置する凸部12bを形成し、金属層のなかの第2領域上に位置する部分と、第2領域の凸部12bとが、可視領域の光を回折する回折格子を構成するように、第1領域における凸部12bの周期よりも大きい周期で、第2領域に位置する凸部12bを形成する。こうした製造方法によれば、観察角度の変化による色の変化の程度が互いに異なる領域を有する表示体10を製造することが可能であり、また、微細な凹凸を有する凹凸構造層12を好適に形成することができる。
(5)上記第1領域の凸部12bと上記第2領域の凸部12bとを上記凹版を用いて同時に形成する製造方法によれば、第1画素20Pの凸部12bと第2画素30Pの凸部12bとが同時に形成される。こうした製造方法によれば、第1画素20Pの凸部12bと第2画素30Pの凸部12bとを別の工程にて形成する製造方法と比較して、効率よく表示体10を製造することができる。また、第1画素20Pの配置された第1表示領域20と第2画素30Pの配置された第2表示領域30との境界をより精密に形成することができる。
(第2実施形態)
図9〜図14を参照して、表示体、および、表示体の製造方法の第2実施形態を説明する。
第2実施形態の表示体における第1画素および第2画素の構成は、第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態の第2表示領域は、凸部の配列方向、および、凸部の周期の少なくとも一方が互いに異なる第2画素を含む。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
[凸部の配列方向が異なる形態]
図9および図10を参照して、第2表示領域が、凸部の配列方向が互いに異なる第2画素を含む形態について説明する。
図9が示すように、表面10Fと対向する方向から見て、第2表示領域30は、第1副領域30Aと第2副領域30Bと第3副領域30Cとを含んでいる。
第1副領域30Aに位置する第2画素30Paの凸部12bは、第1実施形態の図2にて示したように、表面10Fと対向する方向から見て、二次元格子状に配置されている。
第2副領域30Bに位置する第2画素30Pbの凸部12bは、第1実施形態の図7にて示したように、表面10Fと対向する方向から見て、等間隔で1つの方向に延びる複数の帯状に配置されている。
第3副領域30Cに位置する第2画素30Pcの凸部12bは、表面10Fと対向する方向から見て、等間隔で1つの方向に延びる複数の帯状であって、第2画素30Pbの凸部12bの並ぶ方向とは異なる方向に並ぶ複数の帯状に配置されている。
例えば、第2画素30Paの凸部12bは、第1方向および第1方向と直交する第2方向に沿って並ぶ。そして、第2画素30Pbの凸部12bは、第1方向に沿って延び、かつ、第2方向に沿って並ぶ。さらに、第2画素30Pcの凸部12bは、第2方向に沿って延び、かつ、第1方向に沿って並ぶ。すなわち、第2画素30Pbの凸部12bの配列方向と、第2画素30Pcの凸部12bの配列方向とは直交する。
第1副領域30Aの第2画素30Paでは、凸部12bの配置についての方向に対する依存性が低く、表面10Fと対向する方向から見た場合の入射光の方向、すなわち、表面10Fに沿った平面に投影した場合の入射光の方向について、第2画素30Paが回折光を射出し得る入射光の方向の範囲は広い。回折光は、入射光の方向に応じた方向に射出されるため、様々な方向からの入射光を含む光が表示体10の表面10Fに照射されたとき、第2画素30Paが射出する光には様々な方向への回折光が含まれる。
一方、第2副領域30Bの第2画素30Pbと、第3副領域30Cの第2画素30Pcとは、表面10Fに沿った平面に投影した場合の入射光の方向について、凸部12bの並ぶ方向に依存した特定の範囲の方向からの入射光に対して特定の範囲の方向へ回折光を射出する。したがって、様々な方向からの入射光を含む光が表示体10の表面10Fに照射されたとき、第2画素30Pbにおける回折光の射出方向と第2画素30Pcにおける回折光の射出方向とは互いに異なる。
観察者が、第2画素30Paからの回折光の出射方向の先に位置するとき、第1副領域30Aが明るく見え、また、第2画素30Pbからの回折光の出射方向の先に位置するとき、第2副領域30Bが明るく見え、また、第2画素30Pcからの回折光の出射方向の先に位置するとき、第3副領域30Cが明るく見える。各領域が明るく見えるとき、各領域は虹色に光るように、すなわち、観察角度の変化によって色が大きく変化するように見える。
結果として、外光が表示体10の表面10Fに照射されている状態で表面側から表面10Fを観察する場合において、第2副領域30Bと第3副領域30Cとは、これらの領域と観察者との位置関係や、外光に含まれる光の方向や強度等によって、明るく見えたり暗く見えたりする。すなわち、表示体10を表面10Fに沿った方向に回転させたり、水平面に対する表示体10の角度を変化させたりするように、表示体10を観察者に対して相対的に動かすと、第2副領域30Bの明るさと第3副領域30Cの明るさとが変化するように見える。第2画素30Pbと第2画素30Pcとでは、凸部12bの配列方向が異なるため、第2副領域30Bと第3副領域30Cとの両方が暗く見える状態と、第2副領域30Bが明るく、かつ、第3副領域30Cが暗く見える状態と、第2副領域30Bが暗く、かつ、第3副領域30Cが明るく見える状態と、第2副領域30Bと第3副領域30Cとの両方が明るく見える状態とがあり得る。
これに対し、第1副領域30Aは、表示体10を観察者に対して相対的に動かしたとき、第2副領域30Bおよび第3副領域30Cよりも、広い範囲で明るく見える。
したがって、第1副領域30Aと第2副領域30Bと第3副領域30Cによって、表示体10に対する観察者の位置や角度に応じた変化の大きい像を形成することができる。
例えば、図9に示した表示体10を観察者に対して相対的に動かしたときには、図10(a)が示すように、第1副領域30Aと第2副領域30Bとが明るく、第3副領域30Cが暗く見える状態から、図10(b)が示すように、第1副領域30Aと第3副領域30Cとが明るく、第2副領域30Bが暗く見える状態に、表示体10の表面10Fに視認される像が変化することが起こり得る。したがって、第1副領域30Aが表現する星と、第2副領域30Bおよび第3副領域30Cのそれぞれが表現する星の環とのなかで、光る環が変化するように見える像を観察者に提供することができる。
そして、凸部12bの配列方向が互いに異なる第2画素30Pを含む第2表示領域30と、第1表示領域20との組み合わせによって、第2表示領域30における像の変化を際立たせることができる。例えば、第2表示領域30が第1表示領域20に囲まれる形態では、第2表示領域30の周囲に、観察角度の変化による色の変化が小さい第1表示領域20が位置するため、表示体10を動かしたときの第2表示領域30における像の変化が際立つ。したがって、表示体10を備える物品の偽造の困難性や意匠性がより高められる。
なお、凸部12bの配列方向が互いに異なる領域の数は特に限定されず、第2表示領域30は、第2副領域30Bと第3副領域30Cとに加えて、凸部12bの配列方向がこれらの領域とは異なる領域をさらに含んでいてもよい。また、第2表示領域30は、第2副領域30Bおよび第3副領域30Cのみを含み、凸部12bが二次元格子状に配列された第1副領域30Aを含まなくてもよい。
[凸部の周期が異なる形態]
図11〜図14を参照して、第2表示領域が、凸部の周期が互いに異なる第2画素を含む形態について説明する。
図11が示すように、表面10Fと対向する方向から見て、第2表示領域30は、第4副領域30Dと第5副領域30Eと第6副領域30Fと第7副領域30Gとを含んでいる。
各副領域30D〜30Gに位置する凸部12bの第2構造周期P2は副領域ごとに異なり、第4副領域30Dに位置する第2画素30Pdの凸部12bの周期は、第2構造周期P2dであり、第5副領域30Eに位置する第2画素30Peの凸部12bの周期は、第2構造周期P2eである。また、第6副領域30Fに位置する第2画素30Pfの凸部12bの周期は、第2構造周期P2fであり、第7副領域30Gに位置する第2画素30Pgの凸部12bの周期は、第2構造周期P2gである。
第2構造周期P2d、第2構造周期P2e、第2構造周期P2f、第2構造周期P2gは、この順に大きくなっている。なお、各副領域30D〜30Gにおける凸部12bは、二次元格子状に配置されていてもよいし、等間隔で1つの方向に延びる複数の帯状に配置されていてもよい。
図12が示すように、回折格子層16においては、入射光の入射角αが一定である場合に、第2構造周期P2が大きいほど、回折光の出射する角度である回折角βは大きい。すなわち、入射角α、回折角β、格子周期d、回折次数n、回折波長λには、下記式(1)が成り立つ。なお、格子周期dは、すなわち、第2構造周期P2である。
d(sinα−sinβ)=nλ ・・・(1)
例えば、入射光が白色であり、入射角αが45°である条件において、第2構造周期P2が1.0μmのとき、回折角βが約0°から約20°である範囲に、分光された回折光が射出される。同条件において、第2構造周期P2が1.5μmのとき、回折角βは約18°から約30°であり、第2構造周期P2が2.0μmのとき、回折角βは約25°から約35°であり、第2構造周期P2が3.0μmのとき、回折角βは約35°から約40°である。
観察者が、回折光の出射方向の先に位置するとき、その回折光を出射している第2画素30Pの位置する領域が明るく見える。したがって、各副領域30D〜30Gに位置する凸部12bの第2構造周期P2が互いに異なる構成では、図13が示すように、表面10Fと観察者の視線方向とが形成する角度である観察角度θが変化すると、明るく見える副領域30D〜30Gが変わる。
例えば、α=45°、P2d=1.0μm、P2e=1.5μm、P2f=2.0μm、P2g=3.0μmのとき、観察角度θにおいては、90°−θ=βを満たす上記回折角βを有する回折光を出射している副領域30D〜30Gが明るく見える。例えば、図13(a)が示す観察角度θが90°である状態、すなわち、表示体10の表面10Fに直交する方向から観察者が表面10Fを見ている状態から、図13(b)が示すように、観察角度θを徐々に小さくすると、第4副領域30D、第5副領域30E、第6副領域30F、第7副領域30Gの順に、明るく見える領域が移り変わる。
例えば、図11に示した表示体10を観察者に対して相対的に動かして観察角度θを変化させると、図14(a)が示すように、第4副領域30Dが明るく、第5副領域30E、第6副領域30F、および、第7副領域30Gが暗く見える状態、図14(b)が示すように、第5副領域30Eが明るく、第4副領域30D、第6副領域30F、および、第7副領域30Gが暗く見える状態、図14(c)が示すように、第6副領域30Fが明るく、第4副領域30D、第5副領域30E、および、第7副領域30Gが暗く見える状態、図14(d)が示すように、第7副領域30Gが明るく、第4副領域30D、第5副領域30E、および、第6副領域30Fが暗く見える状態が、順に移り変わる。したがって、第4副領域30Dが表現する星から、第5副領域30E、第6副領域30F、および、第7副領域30Gが順に表現する星の尾へ、光る部分が順に変化し、流れ星が流れるように見える像を観察者に提供することができる。
そして、凸部12bの周期が互いに異なる第2画素30Pを含む第2表示領域30と、第1表示領域20との組み合わせによって、第2表示領域30における像の変化を際立たせることができる。例えば、第2表示領域30が第1表示領域20に囲まれる形態では、第2表示領域30の周囲に、観察角度の変化による色の変化が小さい第1表示領域20が位置するため、表示体10を動かしたときの第2表示領域30における像の変化が際立つ。したがって、表示体10を備える物品の偽造の困難性や意匠性がより高められる。
なお、凸部12bの周期が互いに異なる領域の数は特に限定されない。また、上述した2つの形態が組み合わされてもよい。すなわち、第2表示領域30は、凸部12bの配列方向が互いに異なる第2画素30Pと、凸部12bの周期が互いに異なる第2画素30Pとを含んでいてもよい。こうした構成によれば、表示体10を動かしたときの第2表示領域30における像の変化がより複雑になるため、偽造の困難性や意匠性がより高められる。
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加えて、以下に列挙する効果が得られる。
(6)第2表示領域30に、凸部12bの並ぶ方向が互いに異なる複数の第2画素30Pが含まれる構成では、観察者に対して表示体10を相対的に動かす観察の方式において、凸部12bの並ぶ方向が互いに異なる第2画素30Pの位置する領域の明暗が別々に変化するように見える。したがって、第2表示領域30によって、表示体10に対する観察者の位置や角度の変化に応じた変化が大きい像を形成することができる。さらに、第1表示領域20と第2表示領域30との組み合わせによって、第2表示領域30における像の変化を際立たせることができるため、偽造の困難性や意匠性がより高められる。
(7)第2表示領域30に、凸部12bの周期が互いに異なる複数の第2画素30Pが含まれる構成では、観察角度を変化させる観察の方式において、凸部12bの周期が互いに異なる第2画素30Pの位置する領域の明暗が別々に変化するように見える。したがって、第2表示領域30によって、観察角度の変化に応じた変化が大きい像を形成することができる。さらに、第1表示領域20と第2表示領域30との組み合わせによって、第2表示領域30における像の変化を際立たせることができるため、偽造の困難性や意匠性がより高められる。
なお、上記各実施形態において、第1表示領域20に含まれる表示要素、および、第2表示領域30に含まれる表示要素の各々は、ラスタ画像を形成するための繰返しの最小単位である画素に限らず、ベクタ画像を形成するためのアンカを結んだ領域であってもよい。
D1…第1凸部幅、D2…第2凸部幅、H1…第1凸部高さ、H2…第2凸部高さ、P1…第1構造周期、P2…第2構造周期、I1〜I8,E1,E2…光、10…表示体、10F…表面、10R…裏面、11…基材、12…凹凸構造層、12a…平坦部、12b…凸部、13…第1金属層、14…第2金属層、15…プラズモン構造体層、16…回折格子層、17…基部領域、18…中間領域、19…頂部領域、20…第1表示領域、20P…第1画素、30…第2表示領域、30A,30B,30C,30D,30F,30G…副領域、30P,30Pa,30Pb,30Pc,30Pd,30Pe,30Pf,30Pg…第2画素、40…保護層。

Claims (8)

  1. 表面と裏面とを有する表示体であって、
    前記裏面に沿う面から前記表面に向けて突出する複数の凸部を備えた誘電体である凹凸構造層と、
    前記凹凸構造層に対する前記表面側に位置して前記凹凸構造層に接し、前記凹凸構造層の表面形状に追従する形状を有した金属層と、
    を備え、
    前記表面と対向する方向から見て、前記表示体は、第1表示要素が位置する第1表示領域と、第2表示要素が位置する第2表示領域とを含み、
    前記第1表示要素において、前記凸部は、前記表面と対向する方向から見てサブ波長周期を有した二次元格子状に並び、前記金属層のなかの前記第1表示要素を構成する部分と共に、プラズモン共鳴を生じさせる構造体を構成し、
    前記第2表示要素において、前記凸部は、前記表面と対向する方向から見て前記第1表示要素における前記凸部の周期よりも大きい周期で並び、前記金属層のなかの前記第2表示要素を構成する部分と共に、可視領域の光を回折する回折格子を構成している
    表示体。
  2. 前記第2表示要素における前記凸部の高さは、前記第1表示要素における前記凸部の高さよりも高い
    請求項1に記載の表示体。
  3. 前記第1表示要素において、前記凸部の上面を含む平面にて前記第1表示要素内で前記凸部が占有する面積比率は10%以上50%以下である
    請求項1または2に記載の表示体。
  4. 前記凹凸構造層を支持する表面を有した基材を備え、
    前記凹凸構造層は、前記表面に沿って広がる形状を有した平坦部を備え、前記凸部は、前記平坦部から突き出している
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示体。
  5. 前記第2表示領域には、前記凸部の並ぶ方向が互いに異なる複数の前記第2表示要素が含まれる
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示体。
  6. 前記第2表示領域には、前記凸部の周期が互いに異なる複数の前記第2表示要素が含まれる
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示体。
  7. 基材の表面に塗工された樹脂に凹版を押し付けて前記樹脂を硬化させることにより前記樹脂からなる複数の凸部を備える凹凸構造層であって、第1領域と第2領域とを含む前記凹凸構造層を形成する第1工程と、
    前記凹凸構造層の表面形状に追従する形状を有した金属層を前記凹凸構造層の上に形成する第2工程と、
    を含み、
    前記第1工程では、
    前記金属層のなかの前記第1領域上に位置する部分と、前記第1領域の前記凸部とが、プラズモン共鳴を生じさせる構造体を構成するように、前記基材の表面と対向する方向から見て、サブ波長周期を有した二次元格子状に、前記第1領域に位置する前記凸部を形成し、
    前記金属層のなかの前記第2領域上に位置する部分と、前記第2領域の前記凸部とが、可視領域の光を回折する回折格子を構成するように、前記第1領域における前記凸部の周期よりも大きい周期で、前記第2領域に位置する前記凸部を形成する
    表示体の製造方法。
  8. 前記第1工程では、前記第1領域の前記凸部と、前記第2領域の前記凸部とを同時に形成する
    請求項7に記載の表示体の製造方法。
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