JP2018045148A - ライトシート顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】背景光による影響を十分に抑制することができるライトシート顕微鏡装置を提供する。【解決手段】ライトシート顕微鏡100は、標本Sを照明する照明光学系50の光軸と垂直な方向から、標本からの光を検出するライトシート顕微鏡装置である。ライトシート顕微鏡は、可干渉性を有する照明光を出射するレーザ光源1と、照明光を集光し標本に照射する照明光学系と、レーザ光源と照明光学系の間に配置された照明光を変調する変調光学系101であって、照明光から、輪帯状に光強度分布を有する第1の光束と、第1の光束の内側に第1の光束の内径よりも小さな光束径を有する第2の光束と、を形成する変調光学系と、照明光学系により標本に形成される照明パターンを照明光学系の光軸方向に移動させる可変位相素子7と、照明パターンが形成された標本を撮像する撮像装置24と、標本の画像を生成する画像処理を行なう画像処理装置25と、を備える。【選択図】図2

Description

蛍光標本を照明するライトシート顕微鏡装置に関する。
蛍光標本(以降、蛍光標本を単に標本とも記載する)から画像を取得する手法として、ライトシート顕微鏡を用いた観察手法が知られている。ライトシート顕微鏡では、標本にシート状の励起光(以降、ライトシートとも記載する)を照射することで発生する蛍光を、ライトシートを照射する方向と垂直な方向から観察光学系を通して検出する。
従来のライトシート顕微鏡に関する技術としては、以下のようなものが挙げられる。
非特許文献1には、標本上にガウスビームを集光させ、ガウスビームを用いて標本を走査することで、擬似的にライトシートを形成する技術が記載されている。
特許文献1には、標本上にベッセルビームを形成し、ベッセルビームを用いて標本を一次元方向に走査することで、擬似的にライトシートを形成する技術が記載されている。ベッセルビームによって形成されるライトシートのシート厚は、ガウスビームによって形成されるライトシートよりも薄い。そのため、特許文献1の方法で形成されるライトシートによれば、ガウスビームを用いて形成されるライトシートよりも、観察光学系の光軸方向(以降、観察光軸方向とも記載する)の分解能を向上させた観察を行なうことができる。
Keller, P. J. & Stelzer, E. H. K., Curr. Opin. Neurobiol. 18, 624-632 (2009)
米国特許第8711211号明細書
一方で、ベッセルビームを標本に形成するとき、図1に示すように、ベッセルビームの中心光束Aの周囲に、ベッセルビームのサイドローブによる背景光Bが一定間隔で形成され得る。尚、図1において示されるX軸が、照明光軸である。焦点深度内にこのような背景光Bが存在すると、背景光Bによる余分な蛍光を検出光として含んでしまい、ライトシートのシート厚が実質的に広がっていることと等しくなる。即ち、ベッセルビームを用いた観察手法では、背景光による影響から、本来のベッセルビームの中心光束によって形成される薄いシート厚による高い分解能での観察を行なうことが難しくなる。
以上から、観察光軸方向の分解能を向上させるために、背景光による影響を十分に抑制することができる技術が望まれている。
従って、本発明では、背景光による影響を十分に抑制することができるライトシート顕微鏡装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様におけるライトシート顕微鏡装置は、標本を照明する照明光学系の光軸と垂直な方向から、前記標本からの光を検出するライトシート顕微鏡装置であって、可干渉性を有する照明光を出射する光源と、前記照明光を集光し、前記標本に照射する前記照明光学系と、前記光源と前記照明光学系の間に配置された、前記照明光を変調する変調光学系であって、前記照明光から、輪帯状に光強度分布を有する光束である第1の光束と、前記第1の光束の内側に前記第1の光束の内径よりも小さな光束径を有する第2の光束と、を形成する変調光学系と、前記照明光学系により前記標本に形成される照明パターンを前記照明光学系の光軸方向に移動させる変調光束移動手段と、前記照明パターンが形成された前記標本を撮像する撮像装置と、前記標本の画像に基づいて、前記標本の画像を生成する画像処理を行なう画像処理装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の別の態様におけるライトシート顕微鏡装置は、標本を照明する照明光学系の光軸と垂直な方向から、前記標本からの光を検出するライトシート顕微鏡装置であって、可干渉性を有する照明光を出射する光源と、前記照明光を集光し、前記標本に照射する前記照明光学系と、前記光源と前記照明光学系の間に配置された、前記照明光を変調する変調光学系であって、前記照明光から、輪帯状に光強度分布を有する光束である第1の光束と、前記第1の光束の内側に前記第1の光束の内径よりも小さな光束径を有する第2の光束と、を形成する変調光学系と、前記照明パターンが形成された前記標本を撮像する撮像装置と、前記標本の画像に基づいて、前記標本の画像を生成する画像処理を行なう画像処理装置と、を備え、前記照明光学系は、第1の照明光学系と、第2の照明光学系と、を有し、前記第1の照明光学系は、前記第2の照明光学系に対して180度反対から照明することを特徴とする。
本発明によれば、背景光による影響を十分に抑制することができるライトシート顕微鏡装置を提供することができる。
標本にベッセルビームが形成された様子を示す照明光学系の光軸を含む断面図。 第1の実施形態のライトシート顕微鏡の構成を示す図。 変調光学系により形成される第1の光束と第2の光束の断面図。 標本Sに形成される照明パターンの照明光学系の光軸を含むXZ平面での断面図。 図4における照明パターンを拡大した図。 観察光学系の光軸方向に対する光の強度分布を示す図。 第1の実施形態のライトシート顕微鏡を用いて標本の観察を行なう手順を示したフローチャート。 観察光学系の光軸方向に対する点像分布関数を示した図。 保持具と、保持具を移動制御する移動制御機構を示した図。 第1の実施形態の1つ目の変形例における、変調光学系の構成を示す図。 第1の実施形態の2つ目の変形例における、変調光学系の構成を示す図。 第1の実施形態の3つ目の変形例における、変調光学系の構成を示す図。 第2の実施形態のライトシート顕微鏡が有する変調光学系の構成を示す図。 第3の実施形態のライトシート顕微鏡が有する変調光学系の構成を示す図。 第3の実施形態の変形例における、変調光学系の構成を示す図。 第4の実施形態のライトシート顕微鏡の構成の一部を示す図。 第4の実施形態の1つ目の変形例における、照明光学機構の構成を示す図。 第4の実施形態の2つ目の変形例における、照明光学機構の構成を示す図。 第4の実施形態の3つ目の変形例における、照明光学機構の構成を示す図。
以下、第1の実施形態におけるライトシート顕微鏡100について、図面を用いて説明する。図2は、ライトシート顕微鏡100の構成を示す。ライトシート顕微鏡100は、標本Sを照明する後述する照明光学系50の光軸と垂直な方向から、標本からの光を検出するようなライトシート顕微鏡である。
ライトシート顕微鏡100は、レーザ光源1と、変調光学系101と、走査用のミラー10と、照明光学系50と、観察光学系51と、撮像装置24と、画像処理装置25を備える。
変調光学系101は、レーザ光源1と照明光学系50との間に配置された、照明光を変調する変調光学系である。変調光学系101は、構成として、レーザ光源1から射出される照明光を分割する第1の光路分割素子であるハーフミラー2と、分割された照明光のうち一方の光がたどる光路中に設置される第1の光学系201と、分割された照明光のうちもう一方の光がたどる光路中に設置されるミラー5と、第2の光学系301と、可変位相素子7と、ミラー8と、を備える。さらに、第1の光学系201で形成される第1の光束と、第2の光学系301で形成される第2の光束と、を1つの光路中に併合する光路結合素子であるハーフミラー9と、を備える。第1の光学系201は、アキシコンレンズ3と、レンズ群4とを含み、第2の光学系301は、レンズ群6を含む。
変調光学系101では、ハーフミラー2によって分割された照明光は、それぞれ第1の光学系201と、第2の光学系301と、へ入射する。第1の光学系201へ入射した光は、アキシコンレンズ3によって偏向され、アキシコンレンズ3とレンズ群4との間にベッセルビームを形成した後リング状の発散光束となってレンズ群4へ入射する。2つのレンズで構成されたレンズ群4は、レンズ群4の前側レンズへ入射したリング状の発散光束を円形状に集光した後、後側レンズで円筒状にコリメートして射出するように配置されたレンズ群である。即ち、アキシコンレンズ3、レンズ群4を通過した光は、コリメートされた輪帯光束となって後の光路へ進む。言い換えるならば、第1の光学系201を通過した光は、輪帯状に光強度分布を有する光束(第1の光束)となって後の光路へ進む。
ハーフミラー2によって分割されたレーザ光源1からの照明光のうち、第2の光学系301へ入射した光は、レンズ群6によってコリメートされた光束(第2の光束)となる。このとき、レンズ群6は、光路結合素子であるハーフミラー9によって第1の光束と第2の光束とが併合されるときに、第2の光束が、上記の輪帯光束である第1の光束の内側に第1の光束の内径よりも小さい光束径を有するように調整されている。第2の光学系301を通過した第2の光束は、可変位相素子7、ミラー8を介して後の光路へ進む。
可変位相素子7は、可変位相素子7を通過する光の位相を変化させる素子である。例えば、電圧により透過する光の位相を変化させる液晶素子や挿脱可能なガラス板であってもよい。可変位相素子7は、第1の光学系201を通過した第1の光束と、第2の光学系301を通過した第2の光束との間の位相差を変更するために設けられる手段であり、ここでは、第2の光学系301を通過した第2の光束の位相を変化させることで、第1の光束と、第2の光束との間の位相差を変更している。可変位相素子7は、例えば、レンズ群6の光軸に垂直な平面上で、入射した光の位相を変化させる素子である。また、可変位相素子7の代わりに、光の位相を変化させる手段として、位相の変更量が異なる複数の挿脱可能な位相板から構成されていてもよい。
尚、可変位相素子7は、上記の例では、第2の光束の位相を変化させるように配置される例を示したが、第1の光束と、第2の光束との間の位相差を変更するようにどちらか一方の光学系に配置されていれば良く、例えば、可変位相素子7が第1の光学系201の後ろ側に配置されるような構成であってもよい。また、可変位相素子7は、第1の光学系201、第2の光学系301の後側に限られず、前側に配置されるような構成であってもよい。即ち、可変位相素子7は、第1の光束または第2の光束の位相を変更するような手段である。また、可変位相素子7は、標本Sに形成される照明パターンを照明光学系50の光軸方向に移動させる変調光束移動手段として機能するが、詳しくは後述する。
尚、レンズ群4、6は、それぞれ2枚のレンズから構成されるが、レンズ群4、6の構成はこれに限られない。上記説明した特徴を満たすならば、レンズ群4、6が2枚以上のレンズによって構成されていてもよい。
第1の光学系201を通過した第1の光束と、第2の光学系301を通過した第2の光束は、光路結合素子であるハーフミラー9によって1つの光路中に併合される。このとき、併合後の第1の光束と第2の光束の断面を示した図が図3である。このように、ハーフミラー9を通過後には、輪帯状に光強度分布を有する光束である第1の光束Cの内側に、第1の光束Cの内径よりも小さな光束径を有する第2の光束Dが存在するような状態となる。
ミラー10は、角度を変更可能なミラーであり、標本Sに照射される照明光の位置を変更する。具体的には、ミラー10は、図2のZ軸を中心軸として回転することで、照明光学系50へ入射する照明光の角度を変更し、標本Sの照射位置を図2のY軸方向に変更する。
照明光学系50は、レンズ群11と、照明レンズ12を含む。レンズ群11は、第1の光束、及び、第2の光束を照明レンズ12の入射瞳位置に投影する。照明レンズ12の入射瞳位置とミラー10の光軸上の位置は、光学的に共役となるよう配置される。照明レンズ12は、図2のX軸方向から照明光である第1の光束と第2の光束とを集光し、標本Sに照射する。
このとき、照明光は、標本Sに集光して照射されることで、第1の光束と、第2の光束とが干渉を起こし、図4に示されるような照明パターンを標本SにおいてX軸方向に形成する。図4は、標本Sに形成される照明パターンを、図2のX軸とZ軸とからなるXZ平面での照明光学系の光軸を含む断面図である。図5は、図4のX軸方向の中心付近のパターンを拡大した断面図である。
図5に示すように、X軸方向に形成される照明パターンは一つではない。照明パターンは、輪帯光束である第1の光束が集光することで、ベッセルビームでの中心光束が形成される領域である領域iに形成される照明パターンと、ベッセルビームのサイドローブが形成される領域である領域ii、iii、・・・、に形成される照明パターンとにわけられる。領域iに形成される照明パターンは、ベッセルビームの中心光束を形成する第1の光束と、第2の光束とが干渉することによって形成され、X軸方向に明暗を繰り返すような光束となる。一方、領域ii、iiiに形成される照明パターンは、ベッセルビームのサイドローブを形成する第1の光束と、第2の光束とが干渉して生じるものであり、X軸方向に明暗を繰り返す光束となる。ここで、標本Sに照射されるサイドローブを、中心光束に近い位置に形成される順に、1次のサイドローブ、2次のサイドローブ、・・・、n次のサイドローブと記載する。即ち、領域iiに形成される照明パターンは、1次のサイドローブと、第2の光束とが干渉することによって形成されたものであり、領域iiiに形成される照明パターンは、2次のサイドローブと、第2の光束とが干渉することによって形成されたものである。
尚、このようにベッセルビームを形成する場合に集光位置から外れてしまうn次のサイドローブが生じることは、既知の事象である。
図5に示す、第1の光束と第2の光束とによって形成される複数の照明パターンは、何れも光が強め合うことで形成される光強度の強い部分(明線)と、光が弱め合うことで形成される光強度の弱い部分(暗線)とがX軸方向に交互に存在するような照明パターンである。図5では、領域iに形成される照明パターンのうちX軸方向の領域ごとに明線となる範囲を含む領域を領域a、暗線となる範囲を含む領域を領域bとしている。尚、領域a、bは、Z軸方向の範囲を含むものとする。
特に、上記照明パターンの特徴として、Z軸方向に隣り合う照明パターンの明線と暗線の領域は、交互に形成される。例えば、ベッセルビームの中心光束を形成する第1の光束と、第2の光束とによる照明パターン(領域iの照明パターン)の明線を含む領域aには、1次のサイドローブと第2の光束とが干渉する照明パターン(領域iiの照明パターン)の暗線が含まれる。即ち、領域iの照明パターンの明線を含む領域aでは、1次のサイドローブに由来する領域iiの光強度が低くなっている。言い換えるならば、領域iの明線を含む領域aからの光を検出することで標本Sを撮像した場合、1次のサイドローブによる不要な光が検出されることを抑制することができる。
図6は、標本Sに照明光を照射した際の、観察光学系51の光軸方向(図2におけるZ軸方向)に対する光の強度分布を示した図である。線Eは、輪帯状の光強度分布を有する光束を集光させることで、従来における一般的なベッセルビームを標本S上に形成した際の光強度分布を示し、線Fは、本発明のライトシート顕微鏡100における輪帯状の光強度分布を有する第1の光束と、第2の光束を含む照明光を集光し、標本Sに照射した際の、明線領域(図5の領域iの照明パターンの明線を含む領域aに相等する領域)での光強度分布を示す。一般的なベッセルビームを形成した場合、横軸の0.25から0.5(−0.25から−0.5)にかけて光強度分布のピークを有し、即ち1次のサイドローブが照射されることで不要光が検出されてしまう。一方で、本発明の第1の光束と、第2の光束を含む照明光を集光して標本Sに照射した場合には、横軸の0.25から0.5(−0.25から−0.5)に生じ得る1次のサイドローブ由来の光強度分布のピークが十分に抑制されていることがわかる。即ち、領域iの照明パターンの明線を含む領域aにおいては、1次のサイドローブによる影響を十分に抑制することができる。
さらに、上記照明パターンは、前述した可変位相素子7(変調光束移動手段)により、照明光学系50の光軸方向に移動させることができる。より詳しくは、可変位相素子7を通過する光束の位相量を変化させ、第1の光束と、第2の光束との間の位相差を変更することで、照明パターンの明線の位置と暗線の位置とが照明光学系50の光軸方向に変更される。
ここで、可変位相素子7は、可変位相素子7によって照明パターンが移動されることで、図5に示す領域iの照明パターンが形成されるX軸上の全ての領域が、領域iの照明パターンの明線部分により照射されるように構成される。例えば、領域iの照明パターンの明線の領域と暗線の領域とが反転するように、可変位相素子7の位相変化量が調整される。また、領域iの照明パターンが形成されるX軸上の全ての領域が、領域iの照明パターンの明線部分により照射されていればよく、例えば、領域iの照明パターンの明線の領域と暗線の領域とが反転するような2パターンの位相変化量だけでなく、より少量ずつ位相を変更するように、可変位相素子7の位相変化量が調整されてもよい。例えば、可変位相素子7が液晶素子であれば電圧を徐々に変更することにより実施される。
観察光学系51は、標本Sからの光を検出する検出用レンズ22と、結像レンズ23と、を含む。観察光学系51は、撮像装置24へ標本Sからの光を導光する。
結像レンズ23の結像位置には、標本Sからの光を検出し、標本Sを撮像する撮像装置24が配置される。撮像装置24は、上記照明パターンが形成された標本Sを撮像する。
画像処理装置25は、撮像装置24で生成された画像に対し、画像処理を行う。画像処理装置25は、図5に示すベッセルビームの中心光束を形成する第1の光束と、第2の光束とによる照明パターン(領域iの照明パターン)の暗線を含む領域bを除いた画像を生成する画像処理を行なう。また、画像処理装置25は、領域iの照明パターンの暗線を含む領域bを除いた画像を含む複数の画像を貼り合わせる画像処理を行なう。具体的には、可変位相素子7(変調光束移動手段)により、照明パターンを照明光学系50の光軸方向に移動させ、照明パターンがX軸方向(照明光学系50の光軸方向)に異なった位置で撮像された複数の画像において、照明パターンの領域bを除去する画像処理をそれぞれ行ない、生成された領域bを除いた複数の画像を貼りあわせる画像処理を行なう。画像処理装置25が行なう画像処理について、詳しくは後述する。画像処理装置25は、例えば、コンピュータである。
以上の構成を有する本発明のライトシート顕微鏡100によれば、輪帯状に光強度分布を有する第1の光束と、第2の光束とを含む照明光を集光し、標本Sに照射することで形成される上記のような照明パターンを利用することで、観察光学系51の焦点深度内に含まれてしまう1次のサイドローブによる背景光の影響を抑制し、標本Sの観察を行なうことができる。
以下、ライトシート顕微鏡100を用いた標本Sの観察の手順の一例を、図7を用いて説明する。図7は、ライトシート顕微鏡100を用いて標本Sの観察を行なう手順の一例を示したフローチャートである。
図7のステップS1では、レーザ光源1を点灯し、照明光学系50によって標本Sを照明し、照明パターンを形成する。
ステップS2では、ミラー10の角度を変更していくことにより、照明光により標本Sを図2のY軸方向に走査する。尚、ステップS1からS2にかけて、撮像装置24は、撮像を続けており、XZ平面において図4、5で示したような照明パターンが形成され、その照明パターンをY軸方向にスキャンしつつ積算した標本Sの1枚の画像を撮像する。尚、この状態でXZ平面において形成された照明パターンの位置を第1の位置とする。また、撮像された画像は、中心光束を形成する第1の光束と第2の光束とが干渉することで形成される明暗を繰り返す照明パターン(領域iの照明パターン)を主に反映した画像となる。
ステップS3では、画像処理装置25は、照明パターンが第1の位置に形成されているときにステップS2で撮像装置24が撮像した画像(第1の画像)から、ベッセルビームの中心光束を形成する第1の光束と、第2の光束とによる照明パターン(図5の領域iの照明パターン)の暗線を含む領域bを除いた画像を作成する。
ステップS4では、画像処理装置25は、可変位相素子7(変調光束移動手段)が変更し得る全ての位置で照明パターンを形成し、標本Sを撮像したかどうかを判定する。例えば、可変位相素子7を明線、暗線が反転した二種類の照明パターンのぞれぞれで標本Sを撮像したかどうかを判定する。即ち、上記第1の位置での照明パターンと、第1の位置での照明パターンと明線と暗線の領域が反転した第2の位置での照明パターンとで標本Sを撮像したかどうかを判定する。ステップS4の判定がNoの場合、ステップS6に移行する。
ステップS6では、例えば、可変位相素子7が挿脱可能なガラス板等であれば、可変位相素子7(変調光束移動手段)を挿入する(または外す)ことで照明パターンを変更させて、再度ステップS1へ戻る。その後、ステップS4でYesと判定されるまでステップS6からステップS4を繰り返す。
尚、可変位相素子7が、複数の位相変化パターンを含むように調整される場合は、第1の位置と、第1の位置に対して少しずつ位置が異なる、第2の位置、第3の位置、・・・、を含む全ての位置で照明パターンが形成された状態で標本Sを撮像するまで、ステップS6からステップS4を繰り返す。
ステップS4でYesと判定された場合、ステップS5へ移行する。ステップS5では、画像処理装置25は、ステップS3で生成された全ての画像を貼り合わせる。例えば、明線、暗線が反転した二種類の照明パターンで撮像を行なった場合には、照明パターンが第1の位置に形成されたときの標本Sの第1の画像から暗線を含む領域bを除去した画像と、照明パターンが第2の位置に形成されたときの標本Sの第2の画像から暗線を含む領域bを除去した画像と、を貼り合わせた、第3の画像を生成する。
尚、明線、暗線が反転した二種類の照明パターンを形成するような位相変化量だけでなく、例えばより少量ずつ複数の位相変化を与えるように可変位相素子7が調整される場合には、ステップS3で、第1の画像と第2の画像を含む複数の標本Sの画像のそれぞれにおいて暗線を含む領域bを除去した画像を生成し、ステップS5で、それらの画像を貼り合わせることで、第3の画像を生成してもよい。即ち、画像処理装置25は、第1の画像と、第2の画像と、を含む複数の標本Sの画像に基づいて、標本Sの第3の画像を生成する画像処理を行なう。
以上によって、ライトシート顕微鏡100を用いて標本Sの観察を行なう図7のフローチャートで示される処理を終了する。
図7のフローチャートで示される処理によって生成された第3の画像は、領域iの照明パターンの明線部分によって照射された画像をつなぎ合わせたものである。つまり、第3の画像は、1次のサイドローブによる不要な光が検出されることが抑制された、明線を含む領域aから発生した蛍光の画像をつなぎ合わせたものでもある。
従って、ライトシート顕微鏡100によれば、観察光学系51の焦点深度内に含まれてしまう1次のサイドローブによる背景光の影響を抑制すると共に、本来のベッセルビームによって形成される薄いシート厚による高い分解能での観察を行なうことができる。
また、ライトシート顕微鏡100に用いられる光源は、レーザ光源1を用いるとしたが、可干渉性を有する照明光を出射するような光源であればよく、レーザ光源に限られない。例えば、きわめて狭い帯域を有するLED光源や、単一波長を発振する電磁場源を用いてもよい。
また、ライトシート顕微鏡100では、照明光学系50の開口数をNAi、観察光学系51の開口数をNAdとしたとき、標本Sに照射される光束の半値幅(λ/2NAi)と、観察光学系51の焦点深度(λ/2 NAd 2)との関係が、λ/2 NAi>λ/2 NAd 2を満たすような関係を満たしていてもよい。即ち、NAi < NAd 2を満たすようにNAi、NAdが調整されていてもよい。ここで、λは、レーザ光源1が射出する照明光の波長である。このように、照明光の半値幅を焦点深度よりも大きくすることで、焦点深度内に1次のサイドローブが含まれなくなり、1次のサイドローブによる背景光の影響をより抑制することができる。
また、図8は、標本Sに照明光を照射した際の、観察光学系の光軸方向(図2におけるZ軸方向)に対する点像分布関数を示した図である。ここで、線Iは、輪帯状の光強度分布を有する光束を集光させることで、従来における一般的なベッセルビームを標本S上に形成した際の点像分布関数を示し、線Jは、本発明のライトシート顕微鏡100における、光強度が略同じである、輪帯状の光強度分布を有する第1の光束と、第2の光束を含む照明光を集光し、標本Sに照射した際の、明線領域での点像分布関数を示す。さらに、線Kは、第2の光束の強度を第1の光束に対して0.4倍に抑えた場合の点像分布関数である。
即ち、第1の光束と第2の光束の光強度分布の強度比率を変更することによってサイドローブを抑制する効果を調整することができる。図8に示した例では、第1の光束と第2の光束との光強度を略同じとした線Jの状態において、最も1次のサイドローブを抑制する効果が得られる。このような特徴を利用し、本発明のライトシート顕微鏡100において、第1の光学系201または第2の光学系301のいずれかまたは両方に、可変減光フィルタを設置することで、第1の光束と第2の光束の強度比を調整し、サイドローブによる影響を抑制する最適な条件を調整することができる。
また、レーザ光源1として超短パルス光を発振する超短パルスレーザ光源を用いて、標本Sに照明光を照射し、多光子吸収を誘起させるような構成としてもよい。超短パルスレーザは、X軸上の照明パターンの強度の高い中心部において多光子励起を引き起こすことから、サイドローブにおいて蛍光が生じず、サイドローブによる余計な光を検出してしまうことを防ぐことができる。
また、ライトシート顕微鏡100は、さらに図9に示すように、標本Sを固定する保持具26と、保持具26を図9のXZ平面で移動させることで、照明光学系50に対する標本Sの位置を移動するような移動制御機構27と、を備えていてもよい。移動制御機構27は、例えば、ピエゾアクチュエータやステッピングモータである。移動制御機構27を備えることにより、XZ平面のより広い標本Sの領域で撮像を行なうことができる。例えば、標本SがX軸方向に長く、図7のフローチャートを実行したときに撮像できなかったXZ平面上の領域があったとしても、移動制御機構27により照明光学系50に対する標本Sの位置をX軸方向に変更し、撮像できなかったX軸方向の領域へ移動することでその領域を撮像することができる。
以下、第1の実施形態のライトシート顕微鏡100の変形例について説明する。
図10は、ライトシート顕微鏡100の変調光学系101aに関する1つ目の変形例について説明する図である。ライトシート顕微鏡100の変調光学系101aは、第1の光学系201の代わりに、図10に示すような第1の光学系202を備える。第1の光学系202は、アキシコンレンズ3とアキシコンレンズ4aとを含み、アキシコンレンズ4aは、アキシコンレンズ3と正反対の方向を向くように配置される。アキシコンレンズ4aは、アキシコンレンズ3を通過して一度集光した後の発散光束をコリメートし、第1の光束を形成する。
アキシコンレンズ3とアキシコンレンズ4aとの距離を変更することで、輪帯光束の大きさを照明光学系50に使用する照明用レンズの瞳径に合わせて調整することができる。
以上のような第1の光学系202を備えることで、第1の光束の大きさを調整することができるため、照明光学系50に用いるレンズを交換する場合にも対応することができる。
図11は、ライトシート顕微鏡100の変調光学系101bに関する2つ目の変形例について説明する図である。ライトシート顕微鏡100の変調光学系101bは、第1の光学系201の代わりに、図11に示すような遮光素子3aを含む第1の光学系203を備える。遮光素子3aは、リングスリットが設けられた素子であり、入射する光束の中心部分が遮光されることで、第1の光束が形成される。
以上のような第1の光学系203を備えることで、装置を安価な構成とすることができる。また、第1の光学系203の位置調整は、第1の光学系201に比べて容易に行なうことができる。
図12は、ライトシート顕微鏡100の変調光学系101cに関する3つ目の変形例について説明する図である。ライトシート顕微鏡100の変調光学系101cは、第2の光学系301の代わりに、図12に示すような遮光素子6aを含む第2の光学系302を備える。遮光素子6aは、光束の中心部分のみを通過し、周辺部を遮光するような開口が設けられた素子であり、例えば、絞りやピンホールである。遮光素子6aを通過することで、第2の光束が形成される。
以上のような第2の光学系302を備えることで、装置を安価な構成とすることができる。また、第2の光学系302の位置調整は、第2の光学系301に比べて容易に行なうことができる。
さらに、図示はしないが、ライトシート顕微鏡100の可変位相素子7を備えず、代わりに照明光学系50を照明光学系50の光軸方向に移動させるような焦点移動機構を備える構成としてもよい。照明光学系50を移動させることで、照明光学系50の焦点位置を変更し、標本Sに形成される照明パターンを照明光学系50の光軸方向に移動させることができる。即ち、そのような照明光学系50の焦点移動機構は、可変位相素子7の代わりに変調光束移動手段として機能する。
以下、第2の実施形態におけるライトシート顕微鏡200について説明する。図13は、ライトシート顕微鏡200が有する変調光学系102の構成を示す図である。尚、ライトシート顕微鏡200は、変調光学系101の代わりに、変調光学系102を備える点以外は、ライトシート顕微鏡100と同様の構成である。
変調光学系102は可変位相素子7と、ミラー8の代わりに、ミラー8a〜8cと、ミラー8bとミラー8cを図13の矢印の方向に移動させる駆動手段7aを備える。駆動手段7aは、例えば、ピエゾアクチュエータやステッピングモータを取り付けた移動ステージであり、駆動手段7aにミラー8b、8cが固定される。
駆動手段7aによって、ミラー8bとミラー8cを矢印の方向に移動させることによって、第2の光学系301を通過した第2の光束がたどる光路長が変化する。従って、駆動手段7aによれば、第1の光束と、第2の光束との間の光路長差を変更することで、位相差を生じさせることができる。即ち、駆動手段7aは、可変位相素子7と同様に変調光束移動手段として機能する。
従って、本実施形態におけるライトシート顕微鏡200によれば、位相を変化させる光学素子等を備えずに、観察光学系51の焦点深度内に含まれてしまう1次のサイドローブによる背景光の影響を抑制することができる。
また、駆動手段7aを含む構成は、第2の光学系301の後の光路に限らず、例えば、第1の光学系201の光路の後に備えられていてもよい。また、第2の光学系301の光路の前、若しくは、第1の光学系201の光路の前に備えられていてもよい。駆動手段7aを含む構成は、第1の光束と、第2の光束との間に位相差を生じさせるように配置されていればよい。
また、ライトシート顕微鏡200は、ハーフミラー9と第2の光学系301との間、若しくは、ハーフミラー2と第2の光学系301との間に、光路長の異なる複数の光路を設け、電動シャッタ等により複数の光路のいずれかを選択的に通過させるような構成としてもよい。複数の光路は、第2の光束に対しそれぞれ異なる位相量の変化を与える。
以下、第3の実施形態におけるライトシート顕微鏡300について説明する。図14は、ライトシート顕微鏡300が有する変調光学系103の構成を示す図である。尚、ライトシート顕微鏡300は、変調光学系101の代わりに、変調光学系103を備える点以外は、ライトシート顕微鏡100と同様の構成である。
変調光学系103は、リングスリットである第1の開口と、第1の開口の内側に形成された第2の開口を有する遮光素子13により構成される。遮光素子13では、第1の開口と第2の開口以外の領域で遮光され、第1の開口を通過した光束は、第1の光束を形成し、第2の開口を通過した光束は、第2の光束を形成する。
従って、ライトシート顕微鏡300によっても、観察光学系51の焦点深度内に含まれてしまう1次のサイドローブによる背景光の影響を抑制することができる。特に、本構成では、変調光学系103の構成が縮小され、装置全体を小型化することができる。また、ライトシート顕微鏡100の構成に比べて安価な構成とすることができる。
また、遮光素子13は、照明光学系50に含まれるレンズの瞳位置に取り付けられてもよい。
また、ライトシート顕微鏡300は、遮光素子13の代わりに、ホログラム素子や、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を設けるような構成としてもよい。ホログラム素子や、DMDによっても第1の光束と第2の光束とを一度に形成することができる。
また、遮光素子13の代わりに空間光位相変調器(SLM、LCOS等)を設けるような構成としてもよい。空間光位相変調器を設けた場合には、第1の光束と第2の光束とを一度に形成することができると共に、第1の光束と第2の光束との間の位相差を制御することもできる。そのため、空間光位相変調器を設けた場合は、空間光位相変調器が変調光束移動手段としても機能することから、可変位相素子7を構成として含まなくてもよい。
また、ライトシート顕微鏡300は、遮光素子13の代わりに図15に示すようなレンズ13aとレンズ13aの光路の後側に、周辺部を通過した光束をコリメートするようなレンズ群4を設けるような構成としてもよい。レンズ13aは、円錐形状のレンズの先端部を切り取った形状を有する変形のアキシコンレンズである。レンズ13aは、より詳しくは、図15のように、光が進むに従って光軸に近づくよう傾斜する角度を持つ円錐形状の周辺部、すなわち光軸方向に負の傾斜角を有する周辺部と、光軸に垂直な平面であって、標本S側の平面である中心部とを含むレンズである。レンズ13aに入射した光束は、周辺部を通過する光束と、中心部を通過する光束とにわかれる。周辺部を通過した光束は、一度ベッセルビームを形成した後に輪帯状の光強度分布を有する発散光束となる。ここで、レンズ13aの光路の後側に、周辺部を通過した光束をコリメートするようなレンズ群4により周辺部を通過した光束を第1の光束とすることができる。また、中心部を通過した光束は、レンズ13aの光路の後側のレンズ群により第1の光束の内径よりも小さい径を有するような第2の光束となる。従って、レンズ13aによっても、第1の光束と第2の光束とを一度に形成することができる。
以下、第4の実施形態におけるライトシート顕微鏡400について説明する。図16は、ライトシート顕微鏡400の部分的な構成を示す図である。尚、ライトシート顕微鏡400は、照明光学系50の代わりに照明光学機構52を備える点、可変位相素子7の代わりに観察時に固定の位相素子16を備える点以外は、ライトシート顕微鏡100と同様の構成である。位相素子16は、例えば、組立時に適正に厚みが選択されたガラス板であっても良い。また、図16では、観察光学系51以降の構成を省略している。
照明光学機構52は、変調光学系101からの照明光を分割する光路分割素子14と、光路分割素子14によって分割された一方の光路上に、電動シャッタ15と、位相素子16と、ミラー10aと、第1の照明光学系50aとを備え、さらに光路分割素子14によって分割されたもう一方の光路上に、ミラー17と、電動シャッタ18と、ミラー10bと第2の照明光学系50bと、を備える。
電動シャッタ15、18は、電気制御によりシャッタが開閉し、光束を選択的に通過させ、また遮光する。
位相素子16は、入射する光束である第1の光束と第2の光束のいずれか一方に作用し、その光束の位相量を変更するような変調光束移動手段である。例えば、位相素子16は、第1の光束の内径よりも小さく第2の光束の径よりも大きい位相素子であり、第1の光束に作用せず、第2の光束に作用するような位相素子である。
また、位相素子16は、観察時において選択可能に構成されている。即ち、利用者が、照明光学系50aと照明光学系50bが標本Sに形成する領域iの照明パターンの明線と暗線の位置が反転するような位相素子16を適切に選択することで、第1の実施形態と同様に、領域iの照明パターンが形成されるX軸上の全ての領域が、領域iの照明パターンの明線部分により照射されるようにすることができる。また、位相素子16は、光路分割素子14によって分割されたもう一方の光路(図16の下の光路)に配置されてもよい。即ち、位相素子16は、第1の照明光学系50aを通過する光、または、第2の照明光学系50bを通過する光の位相を変更する。このように位相素子16が、装置の組立時に適正なものに選択可能に構成されていることにより、装置の組立性を良くすることが出来き、観察時は一つの位相に固定するので繰り返し精度を高くすることが出来る。
なお、ライトシート顕微鏡400は、位相素子16を含まない構成とすることもできる。例えば、照明レンズ12a又は照明レンズ12bの位置を装置の組立時に調整して標本Sに形成される領域iの照明パターンの明線と暗線の位置が反転するようにしても良い。即ち、ライトシート顕微鏡400は、ライトシート顕微鏡100における照明光学系50の代わりに照明光学機構52を備えた構成とすることで、照明レンズ12a又は照明レンズ12bの位置を適宜調整して、第1の実施形態と同様に、領域iの照明パターンが形成されるX軸上の全ての領域が、領域iの照明パターンの明線部分により照射されるようにすることができる。
ミラー10a、10bはミラー10と同様に、角度を変更可能なミラーであり、標本Sに照射される照明光の位置を変更する。
第1の照明光学系50aは、照明光学系50と同様の構成であり、レンズ群11aと、照明レンズ12aを含む。また、第2の照明光学系50bについても、照明光学系50と同様の構成であり、レンズ群11bと、照明レンズ12bを含む。また、第1の照明光学系50aと、第2の照明光学系50bは、図16のようにそれぞれX軸方向であって180度反対側から、標本Sを照明する。
このような構成では、第1の照明光学系50aと第2の照明光学系50bとによって標本Sに形成される領域iの照明パターンは、それぞれ明線と暗線の位置が反転した照明パターンとなる。即ち、ライトシート顕微鏡400は、照明光学機構52によって二種類の照明パターン(明線と暗線の位置が反転した照明パターン)を選択的に形成することができ、領域iの照明パターンが形成されるX軸上の全ての領域を領域iの照明パターンの明線部分により照射することができる。
従って、ライトシート顕微鏡400によっても、観察光学系51の焦点深度内に含まれてしまう1次のサイドローブによる背景光の影響を抑制することができる。特に、本構成では、ライトシート顕微鏡400内の位相素子16は固定されており、位相素子16がライトシート顕微鏡100の光学素子(可変位相素子7)のように電気的(若しくは物理的な)制御を受けることなく、標本Sの観察を行なうことができる。従って、ライトシート顕微鏡100に比べて、標本Sに照射される照明光の位置の再現性を向上させることができる。
また、電動シャッタ15、18として、電気的に光の遮光量を制御する液晶素子や、DMDを用いてもよい。
以下、第4の実施形態のライトシート顕微鏡400の変形例について説明する。
図17は、ライトシート顕微鏡400の照明光学機構52aに関する1つ目の変形例について説明する図である。ライトシート顕微鏡400の照明光学機構52aは、電動シャッタ15、18を備えず、挿脱可能な反射ミラー14aを備える構成としてもよい。即ち、反射ミラー14aを挿脱することで、第1の照明光学系50aと第2の照明光学系50bとにより選択的に標本Sを照明することができる。
図18は、ライトシート顕微鏡400の照明光学機構52bに関する2つ目の変形例について説明する図である。ライトシート顕微鏡400の照明光学機構52bは、電動シャッタ15、18を備えず、角度変更制御が可能な反射ミラー14bを備える構成としてもよい。反射ミラー14bは、例えば、ガルバノスキャナやMEMSミラーであり、反射ミラー14bの向きを変更することで、第1の照明光学系50aと第2の照明光学系50bとにより選択的に標本Sを照明することができる。
以上のように、図17、図18で説明した変形例によれば、電動シャッタ15、18を構成から外すことにより、装置全体を小型化することができる。
図19は、ライトシート顕微鏡400の照明光学機構52cに関する3つ目の変形例について説明する図である。本変形例では、光路分割素子14で分割された光束は、再び、図19の光路結合素子20によって一つの光路に併合される。そのため、照明光学機構52cは、二つの照明光学系である第1の照明光学系50aと第2の照明光学系50bを備えず、1つの照明光学系50(第1の実施形態のライトシート顕微鏡100が備えるものと同等)によって標本Sを照明する。
本変形例では、照明光学機構52cは、光路分割素子14で分割された一方の光路上に電動シャッタ15と、位相素子16と、を備え、もう一方の光路上にミラー17と、電動シャッタ18と、ミラー19と、を備える。
従って、本変形例によれば、照明光学系を二つ備えないため、装置全体を小型化することができる。また、本変形例では、光路を二つに分割しているが、三つ以上に分割した構成とすれば、領域iの照明パターンの明線の領域と暗線の領域とが反転するような2パターンの位相変化量だけでなく、各光路毎に、より少量ずつ位相を変更するような照明パターンを形成することができる。
また、図17、図18、図19で説明した変形例を組み合わせた構成も考えられる。例えば、図19で説明した3つ目の変形例において、光路分割素子14の代わりに、反射ミラー14aまたは反射ミラー14bを備えた構成としてもよい。
尚、上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上述したライトシート顕微鏡は、特許請求の範囲に記載した本発明を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
100、200、300、400 ライトシート顕微鏡
101、101a、101b、101c、102、103 変調光学系
201、202、203 第1の光学系
301、302 第2の光学系
50、50a、50b 照明光学系
51 観察光学系
52 照明光学機構
1 レーザ光源
2、9、14、20 ハーフミラー
3、4a アキシコンレンズ
4、6、11、11a、11b レンズ群
5、8、8a、8b、8c、10、10a、10b、17、19 ミラー
7 可変位相素子
12、12a、12b 照明レンズ
13 遮光素子
13a 変形のアキシコンレンズ
15、18 電動シャッタ
16 位相素子
22 検出用レンズ
23 結像レンズ
24 撮像装置
25 画像処理装置
26 保持具
27 移動制御機構
A ベッセルビームの中心光束
B 背景光
C 第1の光束
D 第2の光束
i、ii、ii、a、b、c 領域
E、F、I、J、K 線
S 標本

Claims (16)

  1. 標本を照明する照明光学系の光軸と垂直な方向から、前記標本からの光を検出するライトシート顕微鏡装置であって、
    可干渉性を有する照明光を出射する光源と、
    前記照明光を集光し、前記標本に照射する前記照明光学系と、
    前記光源と前記照明光学系の間に配置された、前記照明光を変調する変調光学系であって、前記照明光から、輪帯状に光強度分布を有する光束である第1の光束と、前記第1の光束の内側に前記第1の光束の内径よりも小さな光束径を有する第2の光束と、を形成する変調光学系と、
    前記照明光学系により前記標本に形成される照明パターンを前記照明光学系の光軸方向に移動させる変調光束移動手段と、
    前記照明パターンが形成された前記標本を撮像する撮像装置と、
    前記標本の画像に基づいて、前記標本の画像を生成する画像処理を行なう画像処理装置と、を備える
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  2. 請求項1に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光学系は、
    前記照明光を分割する第1の光路分割素子と、
    分割された前記照明光のうち一方の光がたどる光路中で前記第1の光束を形成する第1の光学系と、
    分割された前記照明光のうちもう一方の光がたどる光路中で前記第2の光束を形成する第2の光学系と、
    前記第1の光束と前記第2の光束とを1つの光路中に併合する光路結合素子と、を含む
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  3. 請求項2に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記第1の光学系は、リングスリットが設けられた素子であり、
    前記第2の光学系は、開口が設けられた素子である
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  4. 請求項1に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光学系は、リングスリットである第1の開口と、前記第1の開口の内側に形成された第2の開口を有する素子を含み、
    前記第1の開口は、前記第1の光束を作るように形成され、
    前記第2の開口は、前記第2の光束を作るように形成される
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光束移動手段は、前記第1の光束と前記第2の光束との間の位相差を変更する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  6. 請求項5に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光束移動手段は、前記第1の光束または前記第2の光束の位相を変更する可変位相素子である
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記照明光学系は、第1の照明光学系と、第2の照明光学系と、を有し、
    前記変調光束移動手段は、前記第1の照明光学系を通過する光または前記第2の照明光学系を通過する光の位相を変更し、
    前記第1の照明光学系は、前記第2の照明光学系に対して180度反対から照明する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  8. 請求項5に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光束移動手段は、前記第1の光束と前記第2の光束との間の光路長差を変更する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  9. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光束移動手段は、前記照明光学系の焦点位置を変更する焦点変更手段である
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  10. 請求項1に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記変調光学系は、
    前記変調光学系の光軸方向に負の傾斜角を有する周辺部と、前記変調光学系の光軸に垂直な平面である中心部と、を含むレンズである
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  11. 標本を照明する照明光学系の光軸と垂直な方向から、前記標本からの光を検出するライトシート顕微鏡装置であって、
    可干渉性を有する照明光を出射する光源と、
    前記照明光を集光し、前記標本に照射する前記照明光学系と、
    前記光源と前記照明光学系の間に配置された、前記照明光を変調する変調光学系であって、前記照明光から、輪帯状に光強度分布を有する光束である第1の光束と、前記第1の光束の内側に前記第1の光束の内径よりも小さな光束径を有する第2の光束と、を形成する変調光学系と、
    前記照明パターンが形成された前記標本を撮像する撮像装置と、
    前記標本の画像に基づいて、前記標本の画像を生成する画像処理を行なう 画像処理装置と、を備え、
    前記照明光学系は、第1の照明光学系と、第2の照明光学系と、を有し、
    前記第1の照明光学系は、前記第2の照明光学系に対して180度反対から照明する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記画像処理装置は、前記照明パターンが前記標本の第1の位置に形成されているときに前記撮像装置で取得した前記標本の第1の画像と、前記照明パターンが前記標本の前記第1の位置とは異なる前記標本の第2の位置に形成されているときに前記撮像装置で取得した前記標本の第2の画像と、を含む複数の前記標本の画像に基づいて、前記標本の第3の画像を生成する画像処理を行なう
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記画像処理装置は、前記照明パターンが形成された前記標本の画像から、前記照明パターンの暗線を含む領域を除いた画像を生成する画像処理と、前記照明パターンの暗線を含む領域を除いた前記画像を含む複数の画像を張り合わせる画像処理と、を行なう
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、さらに、
    前記標本を固定する保持具を備え、
    前記保持具は、前記照明光学系に対する前記標本の位置を移動する移動制御機構を有する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
  15. 請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、さらに、
    前記撮像装置へ前記標本からの光を導光する観察光学系を有し、
    前記観察光学系の開口数をNA、前記照明光学系の開口数をNAとしたとき、以下の関係を満たすことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
    NA<NA
  16. 請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のライトシート顕微鏡装置であって、
    前記光源は、前記照明光として超短パルス光を発振し、
    前記照明光学系は、前記標本に前記光源からの前記照明光を照射し、多光子吸収を誘起する
    ことを特徴とするライトシート顕微鏡装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019086529A (ja) * 2017-11-01 2019-06-06 株式会社ニコン 顕微鏡、照明装置、及び観察方法
JP2021092633A (ja) * 2019-12-09 2021-06-17 国立大学法人愛媛大学 ライトシート顕微鏡用長距離伝搬ビーム形成レンズユニット及び長距離伝搬ビーム形成方法

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