図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動部の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダであり、移動部は、例えばモータM(動力供給部)の回転軸SFであり、移動部の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。なお、エンコーダ装置ECは、例えばリニアエンコーダでもよく、リニアモータ、平面モータなどの動力駆動部の移動部の位置情報(移動位置情報)を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、位置検出部(位置検出系)1、電力供給部2、信号発生部5、及び遮断部6を備える。信号発生部5は、回転軸SFの回転に伴って、間欠的(断続的に)に電気信号(検出信号)が発生する。電力供給部2は、信号発生部5における検出信号の発生に応じて、位置検出部1で消費される電力(使用される電力)の供給を開始する。位置検出部1は、常時又は検出信号の発生に応じて、回転軸SFの回転位置情報を検出する。位置検出部1は、検出信号が間欠的に発生することで、回転軸SFの回転位置情報を間欠的に検出する。例えば、電力供給部2は、検出信号を受けて位置検出部1に電力の供給を開始し、位置検出部1は、電力供給部2から電力の供給を受けて回転軸SFの回転位置情報の検出を開始する。遮断部6は、位置検出部1の動作(一連の動作、検出動作)の終了を示すトリガー信号を受けて、電力供給部2から位置検出部1への電力の供給を遮断する。
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報、および1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの多回転情報を検出する多回転情報検出部3、及び回転軸SFの角度位置を検出する角度検出部4を備える。
位置検出部1の少なくとも一部(例、角度検出部4)は、例えば、通常状態において、第1電源7から供給される電力によって回転軸SFの回転位置情報を検出する。第1電源7は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源であり、回転軸SFの駆動に消費される電力を供給する。例えば、モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECの検出結果に基づいて、第1電源7からの電力を調整してモータMに供給することで、回転軸SFの回転を制御する。位置検出部1は、第1電源7が投入されている状態(第1電源7がオンになっている状態、通常状態)で、第1電源7から電力の供給を受けて動作する。また、第1電源7が位置検出部1に投入されている状態において、角度検出部4(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源7が位置検出部1に投入された通常状態になった場合に、角度検出部4は角度位置情報の検出(例、演算)を開始し、同様に多回転情報検出部3も多回転情報の検出(例、演算)を開始する。
また、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)は、例えば、第1電源7からの電力の供給が遮断された状態(例、第1電源からの電力供給が停止している状態、第1電源7が投入されていない状態、第1電源7がオフになっている状態、バックアップ状態)において、第1電源7とは異なる第2電源(例、電力供給部2、電力供給部2のバッテリー33)から供給される電力によって動作する。例えば、位置検出部1に対して第1電源7からの電力の供給が断たれた状態において、電力供給部2は、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)に対して検出信号をもとに断続的(間欠的、選択的)に電力を供給し、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)を間欠動作させる。位置検出部1は、電力供給部2から電力が供給された際に回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を検出する。また、第1電源7が投入されていない状態において、多回転情報検出部3(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源7が投入されていなく第2電源から電力が供給されたバックアップ状態になった場合に、多回転情報検出部3は多回転情報の検出を継続するが、角度検出部4は角度位置情報の検出を停止する。このように、多回転情報検出3は、検出信号に基づき、電源(第1電源7、バッテリー33等の第2電源など)のオンオフ状態(通常状態およびバックアップ状態)に関係なく、多回転情報の検出を行う。
多回転情報検出部3は、例えば、磁気式の検出部であり、磁気によって多回転情報を検出する。多回転情報検出部3は、例えば、磁石11、磁気センサ12、処理部13、及び記憶部14を備える。磁石11は、回転軸SFに固定された円板(第1の回転体、第1の移動体)15に設けられる。円板15は回転軸SFとともに回転するため、磁石11は回転軸SFと連動して回転(移動)する。磁石11は回転軸SFの外部に固定され、磁石11および磁気センサ12は、回転軸SFの回転によって互いの相対位置が変化する。磁石11が形成する磁気センサ12上の磁界の強さおよび向きは、回転軸SFの回転によって変化する。磁気センサ12は、磁石11が形成する磁界を検出し、処理部13は、磁石が形成する磁界を磁気センサ12が検出した結果に基づいて、回転軸SFの位置情報(例、多回転情報)を検出(算出)する。記憶部14は、処理部13からの位置情報(例、多回転情報)の記憶指示(データの書き込み指令)に基づいて、処理部13が検出して処理した位置情報を記憶する。なお、磁石11は磁気センサ12又は信号発生部5に対して相対的な移動が可能であればよく、磁石11ではなく磁気センサ12が円板15に設けられる構成でもよい。また、例えば、処理部13は、多回転情報を処理する多回転処理部である。
角度検出部4は、光学式または磁気式のエンコーダであり、スケール(第2の回転体、第2の移動体)Sの一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。例えば、角度検出部4は、光学式エンコーダである場合、スケールSのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。スケールSのパターンニング情報とは、例えばスケールS上のスリット(透過パターン)又は反射パターン等による明暗のパターンである。角度検出部4は、多回転情報検出部3の検出対象と同じ回転軸SFの角度位置情報を検出する。角度検出部4は、発光素子21、スケールS、受光センサ22、及び処理部23を備える。例えば、処理部23は、スケールSの一回転内の位置情報を処理する角度位置処理部である。
スケールSは、回転軸SFに固定されて設けられている。スケールSは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。なお、スケールSは、円板15に設けられてもよいし、円板15と一体化された部材であってもよい。この場合、例えば、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、円板15において磁石11と同じ側の面又は反対側の面に設けられていてもよい。また、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、磁石11の位置に対して内側と外側との少なくとも一方に設けられていてもよい。
発光素子21(照射部、発光部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する。受光センサ22(光検出部)は、発光素子21から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光、及び発光素子21から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光を検出する。図1において、角度検出部4は透過型であり、受光センサ22は、スケールSを透過した光を検出する。角度検出部4は反射型であってもよく、この場合、受光センサ22は、スケールSで反射した光を検出する。受光センサ22は、検出結果を示す信号を処理部23へ供給する。処理部23は、受光センサ22の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、処理部23は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、処理部23は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号処理部25を備える。信号処理部25は、位置検出部1による検出結果を処理する。信号処理部25は、合成部26および外部通信部27を備える。合成部26は、処理部23が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、多回転情報検出部3の記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、処理部23からの角度位置情報、及び多回転情報検出部3からの多回転情報を合成し、回転軸SFの回転位置情報を算出する。例えば、処理部23の検出結果がθ[rad]であり、多回転情報検出部3の検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
そして、合成部26は、算出した回転位置情報を外部通信部27に送信する。外部通信部27は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。外部通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、角度検出部4の外部通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
電力供給部2は、信号発生部5、切替部32、及びバッテリー(電池)33を備える。信号発生部5は、移動部(例、回転軸SF)の移動(例、回転)に伴う磁界の変化によって電気信号(検出信号)が発生する。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部5には、例えば、回転軸SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、信号発生部5には、多回転情報検出部3が回転軸SFの多回転情報の検出に用いる磁石11が形成する磁界(磁場)の変化(例、磁場の切り替わり)によって、検出信号が発生する。信号発生部5は、回転軸SFの回転によって、磁石11との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部5には、例えば、信号発生部5と磁石11との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
バッテリー33は、信号発生部5で発生する検出信号に応じて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー33は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池であるが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でもよい。本実施形態のバッテリー33は、例えばボタン型電池であり、保持部35に保持される。保持部35は、例えば、位置検出部1の少なくとも一部が設けられる回路基板などである。保持部35は、例えば、遮断部6、処理部13、切替部32、及び記憶部14を保持する。保持部35には、例えば、バッテリー33を収容可能な電池ケース、及びバッテリー33と接続される電極、配線などが設けられる。電力供給部2は、バッテリー33を備えなくてもよい。例えば、電力供給部2は、バッテリー33を取り付け可能な電極、ケースなどを備え、ユーザは、エンコーダ装置ECを使用する際にバッテリー33をエンコーダ装置ECに取り付けてもよい。
切替部32は、信号発生部5で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー33から位置検出部1への電力の供給の有無を切り替える。例えば、切替部32は、信号発生部5で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー33から位置検出部1への電力の供給を開始させる。例えば、切替部32は、信号発生部5で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー33から位置検出部1への電力の供給を開始させる。
また、切替部32は、信号発生部5で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー33から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部32は、信号発生部5で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー33から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、信号発生部5にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部32は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー33から位置検出部1への電力の供給を開始させ、この電気信号のレベル(電位)がローレベルへ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー33から位置検出部1への電力の供給を停止させる。
ここで、例えば、第1電源7からの電力の供給が遮断された状態(バックアップ状態)において、切替部32によって位置検出部1へ電力が供給される時間(電力供給時間)は、信号検出部5から生じるパルス状の検出信号の大きさによって変化する。例えば、信号発生部5で今回発生した検出信号が信号発生部5で前回発生した検出信号よりも電力あるいはレベルが高い場合、今回の検出信号に応じて位置検出部1へ電力が供給される時間は、前回の検出信号に応じて位置検出部1へ電力が供給される時間よりも長い。このように、信号検出部5から生じるパルス状の検出信号の大きさにばらつきがある場合、バッテリー33等の電力供給部2から位置検出部1(例、多回転情報検出部3の処理部13)へ電力が供給される電力供給時間にもばらつきが生じる。例えば、検出信号が小さい(検出信号の電力又はレベルが低い)場合に合わせて電力供給時間を設定すると、次に生じる検出信号が大きい場合に電力供給時間が長くなり余分な電力が消費される。しかしながら、本実施形態における遮断部6は、位置検出部1の動作の終了を示すトリガー信号を受けて、電力供給部2から位置検出部1への電力供給を遮断して停止するので、例えば、今回の検出信号に応じて位置検出部1へ電力が供給される時間を短縮し、バッテリー33等の電力供給部(第2電源)の消耗を抑えることができる。エンコーダ装置ECは、位置検出部1の動作の終了を示すトリガー信号を受けて、電力供給部2から位置検出部1への電力の供給を遮断するので、リアルタイムに(又は検出信号ごとに)電力供給時間を変更できる。
なお、電力供給部2は、バッテリー33を備えなくてもよい。例えば、電力供給部2は、バッテリー33を取り付け可能な電極、ケースなどを備え、ユーザは、エンコーダ装置ECを使用する際にバッテリー33をエンコーダ装置ECに取り付けてもよい。また、電力供給部2は、バッテリー33および切替部32を備えなくてもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力を位置検出部1に供給してもよい。また、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力と、バッテリー33からの電力とを併用してあるいは切り替えて、位置検出部1に供給してもよい。
図2は、本実施形態に係る磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部5を示す図である。図2(A)には磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部5の斜視図を示し、図2(B)には回転軸SFの方向から見た磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部5の平面図を示した。また、図2(C)には、第1磁気センサ12aの回路構成を示した。
磁石11は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石11は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石11の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図2(B)に示すように、磁石11は、4極に着磁した永久磁石である。磁石11は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。磁石11において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
以下の説明において、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの基端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
ここで、磁石11に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置11aで表し、位置11aから90°回転した角度位置を位置11bで表す。また、位置11bから90°回転した角度位置を位置11cで表し、位置11cから90°回転した位置を位置11dで表す。位置11cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。
位置11aから反時計回りに180°の第1区間において、磁石11の外周側にN極が配置されており、磁石11の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね磁石11の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置11bにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
位置11cから反時計回りに180°の第2区間において、磁石11の内周側にN極が配置されており、磁石11の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、磁石11の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置11dにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
このように、磁石11が形成する磁界の径方向の向きは、位置11aにおいて反転し、位置11cにおいて反転する。磁石11は、磁石11の外部に固定された座標系に対し、磁石11の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。信号発生部5は、磁石11の主面の法線方向から見て磁石11と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、信号発生部5は、第1信号発生部5aおよび第2信号発生部5bを備える。第1信号発生部5aおよび第2信号発生部5bは、それぞれ、電気信号を発生するユニットであり、磁石11と非接触に設けられる。第1信号発生部5aは、第1感磁性部41および第1発電部42を備える。第1感磁性部41および第1発電部42は、磁石11の外部に固定されており、磁石11の回転に伴って磁石11上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、第1信号発生部5aから反時計回りに45°の位置に、磁石11の位置11bが配置されており、この状態から磁石11が順方向(反時計回り)に1回転すると、信号発生部5の近傍を位置11b、位置11c、位置11d、位置11aが、この順に通過する。
第1感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。第1感磁性部41には、磁石11の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。第1感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石11の径方向に設定されている。第1感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
第1発電部42は、第1感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42には、第1感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図2(B)に示した磁石11の位置11aまたは位置11cが信号発生部5の近傍を通過する際に、第1発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、第1発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号を出力可能であり、外部(例、図1の第1電源7)からの電力供給がなくても動作可能である。
第1発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石11の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石11の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
図2(A)に示すように、第1感磁性部41および第1発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。第1発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。第1発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、第1信号発生部5aの外部へ取り出し可能である。
第2信号発生部5bは、第1信号発生部5aが配置される角度位置から0°より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に、配置される。第1信号発生部5aの角度位置と第2信号発生部5bの角度位置との角度は、45°以上135°以下の範囲から選択され、図2(B)では約90°である。第2信号発生部5bは、第1信号発生部5aと同様の構成である。第2信号発生部5bは、第2感磁性部45および第2発電部46を備える。第2感磁性部45および第2発電部46は、それぞれ、第1感磁性部41および第1発電部42と同様であり、その説明を省略する。第2感磁性部45および第2発電部46は、ケース47に収納されている。ケース47には端子47aおよび端子47bが設けられている。第2発電部46で発生した電力は、端子47aおよび端子47bを介して、第2信号発生部5bの外部へ取り出し可能である。
なお、上述の信号発生部5の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部5は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力を発生してもよい。また、信号発生部5が備える発電ユニットの数は、適宜変更可能であり、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、信号発生部5の配置についても適宜変更可能である。
磁気センサ12は、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。第1磁気センサ12aは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部5a)に対して0°より大きく90°未満の角度位置で配置される。第2磁気センサ12bは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部5a)に対して90°より大きく180°未満の角度位置で配置される。
図2(C)に示すように、第1磁気センサ12aは、磁気抵抗素子51と、磁気抵抗素子51に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子51からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子51は、エレメント52a、エレメント52b、エレメント52c、及びエレメント52dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント52aとエレメント52cとの間の信号線は、電源端子51pに接続されている。エレメント52bとエレメント52dとの間の信号線は、接地端子51gに接続されている。エレメント52aとエレメント52bとの間の信号線は、第1出力端子51aに接続されている。エレメント52cとエレメント52dとの間の信号線は、第2出力端子51bに接続されている。第2磁気センサ12bは、第1磁気センサ12aと同様の構成である。
図3は、本実施形態に係る電力供給部2および多回転情報検出部3の回路構成を示す図である。電力供給部2は、第1信号発生部5a、整流スタック61、第2信号発生部5b、整流スタック62、バッテリー33、及び遮断部6を備える。また、電力供給部2は、図1の切替部32としてレギュレータ63を備える。
整流スタック61は、第1信号発生部5aから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック61の第1入力端子61aは、第1信号発生部5aの端子43aと接続されている。整流スタック61の第2入力端子61bは、第1信号発生部5aの端子43bと接続されている。整流スタック61の接地端子61gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部3の動作時に、接地線GLの電位は、回路60の基準電位になる。整流スタック61の出力端子61cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
整流スタック62は、第2信号発生部5bから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック62の第1入力端子62aは、第2信号発生部5bの端子47aと接続されている。整流スタック62の第2入力端子62bは、第2信号発生部5bの端子47bと接続されている。整流スタック62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。整流スタック62の出力端子62cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
レギュレータ63は、このレギュレータ63のオン状態及びオフ状態に応じて、バッテリー33から位置検出部1へ供給される電力を調整する。レギュレータ63は、バッテリー33と位置検出部1との間の電力の供給経路に設けられる第1スイッチング素子64を含む。レギュレータ63は、信号発生部5で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いて第1スイッチング素子64の動作を制御する。
レギュレータ63の入力端子63aは、バッテリー33に接続されている。レギュレータ63の出力端子63bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の制御端子63cはイネーブル端子であり、レギュレータ63は、制御端子63cに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子63bの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ63の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数部67がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部14の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値でもよいし、段階的に変化する電圧でもよい。
第1スイッチング素子(第1スイッチ)64は、位置検出部1に電力を供給する回路60の導通と遮断とを切替える。回路60は、例えば、第2電源(例、バッテリー33)の第1電極(正極)と第2電極(負極)とを結ぶ電力の供給経路を構成し、電源線PLおよび接地線GLを含む。接地線GLは、例えば、バッテリー33の負極と接続され、その電位が回路60の基準電位となる。第1スイッチング素子64は、例えば、バッテリー33から回路60を介した位置検出部1への電力の供給の有無を切替える。
レギュレータ63は、信号発生部5から制御端子63cに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、第1スイッチング素子64の第1端子64aと第2端子64bとの間の導通状態(オン状態)と絶縁状態(オフ状態)とを切り替える。例えば、第1スイッチング素子64は、MOS、TFTなどを含み、第1端子64aと第2端子64bとはソース電極とドレイン電極であり、第1制御端子64cがゲート電極である。
第1制御端子64cは、信号発生部5で発生する電気信号(検出信号)によって充電される。第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電圧に応じて回路60を導通へ切替える。例えば、第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電位が回路60の基準電位である状態で回路60を遮断している。また、第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電圧が所定値以上になることで、第1端子64aと第2端子64bとの間が導通状態(オン状態)になる。回路60を導通へ切替える。第1端子64aと第2端子64bとの間がオン状態になると、バッテリー33から、電源線PLおよび接地線GLを介して回路60に電力が供給される。なお、電力供給部2は、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
また、多回転情報検出部3は、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。例えば、多回転情報検出部3は、図1に示した処理部13として、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66、及び計数部67を含む。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、回転軸SFを検出するセンサである。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、回転軸SFに取り付けられた磁石11が形成する磁界を検出することで、回転軸SFを検出する。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、バッテリー33から供給される電力を用いて、磁石11が形成する磁界を検出する。
第1磁気センサ12aの電源端子55pは、電源線PLに接続されている。第1磁気センサ12aの接地端子55gは、接地線GLに接続されている。第1磁気センサ12aの出力端子55cは、アナログコンパレータ65の入力端子65aに接続されている。出力端子55cは、例えば、図2(C)に示した第2出力端子51bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aから出力される電圧を二値化する二値化部である。アナログコンパレータ65は、例えば比較器であり、第1磁気センサ12aから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ65の電源端子65pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ65の接地端子65gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ65の出力端子65bは、計数部67の第1入力端子67aに接続されている。アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。
第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65と同様の構成である。第2磁気センサ12bの電源端子56pは、電源線PLに接続されている。第2磁気センサ12bの接地端子56gは、接地線GLに接続されている。第2磁気センサ12bの出力端子56cは、アナログコンパレータ66の入力端子66aに接続されている。アナログコンパレータ66の電源端子66pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ66の接地端子66gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ66の出力端子66bは、計数部67の第2入力端子67bに接続されている。アナログコンパレータ66は、第2磁気センサ12bの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子66bからLレベルの信号を出力する。
計数部67は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー33から供給される電力を用いて計数する。計数部67は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数部67は、電源端子67pおよび接地端子67gを介して供給される電力を用いて動作する。計数部67の電源端子67pは、電源線PLに接続されている。計数部67の接地端子67gは、接地線GLに接続されている。計数部67は、第1入力端子67aを介して供給される電圧、及び第2入力端子67bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を、バッテリー33から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報として、計数部67による計数の結果(多回転情報)を記憶する。記憶部14の電源端子14pは、電源線PLに接続されている。記憶部14の接地端子14gは、接地線GLに接続されている。記憶部14は、例えば不揮発性メモリを含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。なお、多回転情報検出部3は、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
本実施形態において、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63との間には、キャパシタ69が設けられている。キャパシタ69の第1電極69aは、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63の制御端子63cとを接続する信号線に接続されている。キャパシタ69の第2電極69bは、接地線GLに接続されている。このキャパシタ69は、例えば平滑キャパシタであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。キャパシタ69の定数は、例えば、処理部13により回転位置情報を検出して記憶部14に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー33から処理部13および記憶部14への電力供給が維持されるように設定される。
また、多回転情報検出部3は、遅延部70を備える。遅延部70は、電力供給部2から位置検出部1への電力の供給の開始に対して所定時間遅延させた遅延信号(例、多回転情報検出部3の処理部13への電力供給の開始時間から所定時間を遅延した遅延信号)を生成する。遅延部70の電源端子70pは、電源線PLと接続される。遅延部70の接地端子70gは、接地線GLと接続される。遅延部70は、例えば、抵抗要素およびキャパシタ要素を含む遅延回路である。遅延部70の時定数は、処理部13が処理を行う上で必要とされる時間以上に設定される。
遅延部70は、後に図4から図6などで説明するが、遅延信号を処理部13と遮断部6とのそれぞれに出力する。遅延信号は、例えば、位置検出部1(多回転情報検出部3の処理部13)において、非同期リセットのリセット信号であり、処理部13のリセット(例、データのリセット、処理手順のリセット等)に用いられる。この場合、位置検出部1の処理部13は、遅延信号を受けて処理部13をリセットして動作を開始する。そして、処理部13は、動作を終了する際にトリガー信号(例、動作終了信号、アクセス終了信号)を遮断部6(例、論理回路79)に出力する。例えば、処理部13(例、計数部67)は、記憶部14へのアクセス(例、メモリアクセス)を完了した際にトリガー信号を遮断部6へ出力する。このような構成で遅延信号を用いることによって、遮断部6の論理回路79において処理部13への電力供給開始直後(例、処理部13への電力供給がオンになったと同時)に生じやすいトリガー信号の誤った出力を判別することができる。
遮断部6は、位置検出部1(例、多回転情報検出部3)の動作の終了を示すトリガー信号及び遅延信号を受けて、電力供給部2から位置検出部1(例、多回転情報検出部3)への電力の供給を遮断する。遮断部6は、例えば、電力供給部2の一部であるが、電力供給部2以外の部分に設けられてもよい。遮断部6は、例えば、信号線71上のノードn1と、接地線GL上のノードn2とに接続される。信号線71は、信号発生部5とレギュレータ63との間の信号線である。信号線71は、例えば、その第1端が整流スタック61の出力端子61cと接続され、その第2端がレギュレータ63の制御端子63cと接続される。なお、遮断部6は、トリガー信号を受けて位置検出部1(この場合、多回転情報検出部3)への電力供給を遮断してもよい。
遮断部6は、トリガー信号及び遅延信号を受けて第1スイッチング素子64を制御する。例えば、遮断部6は、第1スイッチング素子64の第1制御端子64cが充電された状態において、トリガー信号及び遅延信号を受けて第1制御端子64cを放電させる。例えば、遮断部6は、トリガー信号及び遅延信号を受けた場合に、放電制御信号に基づき第1制御端子64cの電荷を接地線GLに逃がすことによって、第1制御端子64cの電荷を放電する。第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cが放電されることで、第1端子64aと第2端子64bとの間が絶縁状態(オフ状態)となる。第1スイッチング素子64は、第1端子64aと第2端子64bとの間がオフ状態となることで、バッテリー33から位置検出部1(多回転情報検出部3)への電力の供給を遮断する。
図4から図6は、実施形態に係る遮断部およびその動作を示す図である。遮断部6は、例えば、処理部13からのトリガー信号および遅延部70からの遅延信号を受けて、電力供給部2(例、バッテリー33)から位置検出部1(例、処理部13)への電力の供給を遮断する。例えば、電力供給部2は、検出信号の発生に応じて位置検出部1へ電力を供給し、遮断部6は、検出信号を放電する放電回路74を備える。放電回路74は、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)を放電する。本実施形態における放電回路74は、第2スイッチング素子75と、信号生成部76と、電荷保持部77とを備える。
第2スイッチング素子75は、回路60の基準電位になる接地線GLと、第1スイッチング素子64の第1制御端子64cとの間の導通と遮断とを切替える。第2スイッチング素子75は、例えばMOSあるいはFETなどを含み、第1端子75aおよび第2端子75b(ソース電極、ドレイン電極)、及び第2制御端子75c(ゲート電極)を備える。第2スイッチング素子75の第1端子75aは、信号発生部5とレギュレータ63との間の信号線71と接続される。第2端子75bは、接地線GLと接続される。第2制御端子75cは、信号生成部76と接続される。第2制御端子75cは、信号生成部76が生成した制御信号によって充電される。第2スイッチング素子75は、第2制御端子75cが充電されることで、接地線GLとレギュレータ63の制御端子63cと間を導通へ切替え、第1スイッチング素子64(図3参照)の第1制御端子64cと接地線GLの間を導通へ切替える。
信号生成部76は、トリガー信号を受けて、第2スイッチング素子75を制御する制御信号を生成する。信号生成部76は、第3スイッチング素子78と、論理回路79とを備える。論理回路79は、トリガー信号を受けて第3スイッチング素子78を制御する制御信号を生成する。論理回路79は、第1入力端子79a、第2入力端子79b、及び出力端子79cを備える。第1入力端子79aは、遅延部70の端子70aと接続される。第1入力端子79aには、遅延部70から遅延信号が入力される。第2入力端子79bは、処理部13の端子13aと接続される。第2入力端子79bには、処理部13からトリガー信号が入力される。出力端子79cは、第3スイッチング素子78の第3制御端子78cと接続される。論理回路79は、例えばAND回路であり、トリガー信号および遅延信号を受けた場合にハイレベルになる制御信号を生成する。例えば、論理回路79は、第1入力端子79aがハイレベル(H)となり、かつ第2入力端子79bがハイレベル(H)となった場合に、出力端子79cがハイレベル(H)に切替わる。
第3スイッチング素子78は、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cと検出信号が伝わる信号線71との間の導通と遮断とを切替える。第3スイッチング素子78は、例えばMOSあるいはFETなどを含み、第1端子78aおよび第2端子78b(ソース電極、ドレイン電極)、及び第3制御端子78c(ゲート電極)を備える。第3スイッチング素子78の第1端子78aは、信号線71と接続される。第2端子78bは、電荷保持部77を介して接地線GLと接続される。第3制御端子78cは、論理回路79の出力端子79cと接続される。第3制御端子78cは、論理回路79が生成した制御信号によって充電される。例えば、第3制御端子78cは、論理回路79の出力端子79cがハイレベルになることで、充電される。
電荷保持部77は、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cと接地線GLとの間の信号線80に設けられ、第2制御端子75cを充電する電荷を保持する。電荷保持部77は、例えば遅延回路を含み、抵抗要素81およびキャパシタ要素82を備える。抵抗要素81は、第1端が信号線80と接続され、第2端が接地線GLと接続される。キャパシタ要素82は、第1電極が信号線80と接続され、第2電極が接地線GLと接続される。
次に、一例として、バックアップ状態における遮断部6の動作について説明する。図4(A)において、信号線71には、図1および図2に示した信号発生部5で発生した検出信号SG1が供給される。図4(A)の検出信号SG1は、例えば、図3の整流スタック61によって整流された検出信号である。レギュレータ63の制御端子63c(図3の第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)は、検出信号SG1によって充電される。制御端子63cの電圧が閾値以上になることによって、図3の第1スイッチング素子64がオン状態となる。第1スイッチング素子64がオン状態になると、図4(B)に示すように、多回転情報検出部3には、バッテリー33からレギュレータ63を介して電力PWが供給される。
多回転情報検出部3に電力PWが供給されると、遅延部70は、図4(C)に示すように、電力PWの供給の開始に対して遅延する遅延信号DSを、処理部13および遮断部6のそれぞれに出力する。処理部13は、遅延信号DSを受けて、多回転情報の1回の検出に関する動作を開始する。多回転情報検出部3に電力PWが供給されて処理部13が遅延信号DSを受信すると、磁気センサ12(図3参照)は、電力PWを用いて検出を実行し、その検出結果を処理部13に出力する。そして、処理部13は、電力PWを用いて磁気センサ12の検出結果を処理し、その処理結果として多回転情報D1(図5(A)参照)を記憶部14に出力する。また、記憶部14は、電力PWを用いて多回転情報D1の書き込み動作を行う。処理部13は、記憶部14へのアクセスを完了した際に、図5(B)に示すように、位置検出部1(例、多回転情報検出部3)の動作(例、1回の検出に関する多回転情報の記憶部14への記憶)の終了を示すトリガー信号TGを遮断部6へ出力する。
また、図5(C)に示すように、遮断部6は、トリガー信号TGおよび遅延信号DSが入力された状態になる。例えば、論理回路79は、第1入力端子79aが遅延信号DSによってハイレベルになり、かつ第2入力端子79bがトリガー信号TGによってハイレベルになる。図6(A)に示すように、論理回路79は、第1入力端子79aおよび第2入力端子79bがそれぞれハイレベルになることで、出力端子79cから制御信号SG2を出力する(出力端子79cがハイレベルになる)。第3スイッチング素子78は、第3制御端子78cが論理回路79からの制御信号SG2によって充電され、第1端子78aと第2端子78bとの間が導通へ切替わる。
第1端子78aと第2端子78bとの間が導通へ切替わると、図6(B)に示すように、信号線71又はレギュレータ63の制御端子63cは、第3スイッチング素子78を介して放電制御信号SG3を出力する。そして、放電制御信号SG3は、検出信号の電荷に起因する信号である。放電制御信号SG3は、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)に蓄積された電荷に起因する信号である。したがって、信号線71から放電制御信号SG3が出力されることで、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)は、放電される。放電制御信号SG3は、第3スイッチング素子78を介して、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cに出力される。
第2スイッチング素子75は、第2制御端子75cが放電制御信号SG3によって充電され、第1端子75aと第2端子75bとの間が導通へ切替わる。そして、図6(C)に示すように、レギュレータ63の制御端子63cから接地線GLへ、第2スイッチング素子75を介して電流Ixが流れる。電流Ixは、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)の電荷に起因する電流である。検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)は、電流Ixが流れることで、第1スイッチング素子64(図3参照)がオフ状態になるレベルまで電圧が低下する(放電される)。
また、電荷保持部77は、第1スイッチング素子64(図3参照)がオフ状態になるまで、制御信号SG3の電荷を保持する(制御信号SG3を遅延させる)。レギュレータ63は、第1スイッチング素子64(図3参照)がオフ状態になることで、バッテリー33から多回転情報検出部3への電力の供給を遮断する。
次に、電力供給部2および多回転情報検出部3の動作について、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部3の動作を代表的に説明する。図7は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部3の動作を示すタイミングチャートである。
図7の「磁界」において、実線は第1信号発生部5aの位置での磁界を示し、破線は第2信号発生部5bの位置での磁界を示す。「第1信号発生部」、「第2信号発生部」は、ぞれぞれ、第1信号発生部5aの出力、第2信号発生部5bの出力を示し、1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。「イネーブル信号」は、信号発生部5で発生する電気信号によりレギュレータ63の制御端子63cに印加される電位を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。「レギュレータ」は、レギュレータ63の出力を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。
図7の「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」は、それぞれ、第1磁気センサ12a、第2磁気センサ12bの出力を実線で示す。「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」において点線は、常時駆動された場合の出力である。「第1アナログコンパレータ」、「第2アナログコンパレータ」は、それぞれ、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66からの出力を示す。
第1信号発生部5aは、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の負)を出力する。また、第1信号発生部5aは、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の正)を出力する。第2信号発生部5bは、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の正)を出力する。また、第2信号発生部5bは、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の負)を出力する。そのため、イネーブル信号は、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、ハイレベルに切り替わる。また、レギュレータ63は、イネーブル信号がハイレベルに維持された状態に対応して、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
本実施形態において、第1磁気センサ12aの出力と第2磁気センサ12bの出力は、90°の位相差を有しており、処理部13は、この位相差を利用して回転位置情報を検出する。第1磁気センサ12aの出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は角度位置45°、角度位置135°において電力を出力する。第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ65から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、第2磁気センサ12bの出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は、角度位置315°(−45°)、角度位置45°において電力を出力する。第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ66から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。
ここで、計数部67に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数部67に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図7では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数部67は、磁気センサ12が検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部14に信号レベルの組を記憶させる。計数部67は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部14から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、前回の検出において角度位置45°であり、今回の検出において角度位置135°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数部67は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部14に供給する。記憶部14は、計数部67からのアップ信号を検出した場合に、記憶している多回転情報を1増加した値に更新する。本実施形態に係る多回転情報検出部3は、回転軸SFの回転方向を判定しながら、多回転情報を検出できる。
図8は、実施形態に係る検出信号、イネーブル信号、遅延信号、及び放電制御信号の例を示す図である。図8において、縦軸は、各信号のレベル(電圧)であり、横軸は時刻である。「検出信号」は、信号発生部5(図3参照)に発生する信号である。「検出信号」は、時刻t1からレベルが増加する。「電力」は、検出信号を制御信号(イネーブル信号)としてレギュレータ63(図4(B))から供給される電力PWである。「電力」は、時刻t1に立ち上がり、そのレベルがほぼ一定のレベルになる。「遅延信号」は、遅延部70(図5(B)参照)がバッテリー33からの電力PWを用いて生成する信号である。「遅延信号」は、レベルが上昇する傾きが「電力」に比べて緩やかである。処理部13(図5(B)参照)は、「遅延信号」が所定のレベル(閾値)に達したことをトリガーとして、処理を開始する。
「放電制御信号」は、第2スイッチング素子75(図6(B)参照)の第2制御端子75cに出力される制御信号である。「放電制御信号」は、遅延部70(図6(A)参照)に遅延信号DSおよびトリガー信号TGが出力されることで、第2制御端子75cに出力される。「放電制御信号」は、時刻t2において所定のレベル(閾値)に達し、第2スイッチング素子75がオン状態になる。第2スイッチング素子75がオン状態になることで、レギュレータ63の制御端子63cの電圧が低下し、「電力」のレベルが低下する。「電力」は、時刻t3において、レベルがほぼ0になる。また、「電力」のレベルが低下することで、遅延部70が生成する「遅延信号」のレベルが低下する。また、「検出信号」は、その電荷が第2スイッチング素子75(図6(C)参照)を介して放電されることで、レベルが低下する。「放電制御信号」は、その電荷が電荷保持部77(図6(B))に保持されることで、「検出信号」に対して遅延してレベルが低下する。
次に、図9は、実施形態に係る遮断部6の変形例を示す図である。図9(A)の遮断部6は、図4(A)の第3スイッチング素子78が省略されている。遮断部6は、論理回路79と整流素子85とを備える。論理回路79は、処理部13から出力されたトリガー信号TGを受けて第2スイッチング素子75を制御する制御信号を生成する。論理回路79の出力端子79cは、信号線86と接続されている。整流素子85は、論理回路79と第2スイッチング素子75の第2制御端子75cとの間の信号線86に設けられる。整流素子85は、例えばダイオードであり、所定の向きの電流を通し、かつその反対向きの電流を遮断する。例えば、整流素子85は、電荷保持部77から論理回路79へ電流が流れることを抑制する。このような遮断部6は、論理回路79から出力される制御信号(この場合、放電制御信号)によって第2制御端子75cが充電され、第2スイッチング素子75がオン状態になる。遮断部6は、第2スイッチング素子75がオン状態になることで、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)を放電させて、バッテリー33からの電力の供給を遮断する。本実施形態における放電回路74は、第2スイッチング素子75と、論理回路79及び整流素子85を含む信号生成部76と、電荷保持部77とを備える。
このように、遮断部6は、図4の第3スイッチング素子78を備えなくてもよい。なお、図9において、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cに供給される制御信号の電力は、バッテリー33から供給される電力によってまかなわれる。図6(B)の遮断部6において、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cに供給される制御信号の電力は、検出信号の電力によってまかなわれ、例えば、バッテリー33の消耗が低減される。
図9(B)の遮断部6は、図9(A)の電荷保持部77および整流素子85が省略されている。論理回路79は、処理部13から出力されたトリガー信号TGを受けて第2スイッチング素子75を制御する制御信号を生成する。論理回路79の出力端子79cは、第2スイッチング素子75の第2制御端子75cと接続されている。この遮断部6は、論理回路79から出力される制御信号(この場合、放電制御信号)によって第2制御端子75cが充電され、第2スイッチング素子75がオン状態になる。遮断部6は、第2スイッチング素子75がオン状態になることで、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)を放電させて、バッテリー33からの電力の供給を遮断する。このように、遮断部6は、電荷保持部77を備えなくてもよい。なお、図9(B)の遮断部6は、レギュレータ63の出力側(例、論理回路79の入力側)にキャパシタ要素を備えてもよく、このキャパシタ要素に電力を保持することによって、論理回路79から制御信号が出力される時間を延ばしてもよい。本実施形態における放電回路74は、第2スイッチング素子75と、論理回路79を含む信号生成部76と、とを備える。
図9(C)の遮断部6は、図9(B)の第2スイッチング素子75が省略されている。論理回路79は、検出信号が伝わる信号線71のノードNcと、接地線GL上のノードNdとにそれぞれ接続されている。論理回路79の出力端子79cは、接地線GLと接続されている。論理回路79は、生成した制御信号を出力端子79cを介して接地線GLに出力する。論理回路79は、トリガー信号TGおよび遅延信号DSを受けて、ノードNcと出力端子79cとの間を導通に切替える。遮断部6は、ノードNcと出力端子79cとの間が導通になることで、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)を放電させて、バッテリー33からの電力の供給を遮断する。このように、遮断部6は、第2スイッチング素子75を備えなくてもよい。本実施形態における放電回路74は、論理回路79を備える。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、信号発生部5に電気信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー33から多回転情報検出部3に電力が供給され、多回転情報検出部3がダイナミック駆動(間欠駆動)する。遮断部6は、多回転情報検出部3の動作が終了した際に、検出信号によって充電された導電部材(例、キャパシタ69の電極、第1スイッチング素子64の第1制御端子64c)の放電によってバッテリー33から多回転情報検出部3への電力の供給を遮断する。遮断部6は、例えば、バッテリー33から多回転情報検出部3へ電力が供給される時間を短縮し、バッテリー33の消耗を低減することで、バッテリー33を交換するメンテナンスの頻度を減らすこと、あるいはバッテリー33を交換するメンテナンスをなくすことに寄与する。
多回転情報の検出および書き込みの終了後は、多回転情報検出部3への電源供給は絶たれるが、計数値は、記憶部14に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石11上の所定位置が信号発生部5の近傍を通過するたびに繰り返される。また、記憶部14に記憶されている多回転情報は、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、信号発生部5で発生する電気信号に応じて、位置検出部1(例、多回転情報検出部3)で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー33が供給するので、バッテリー33を長寿命にすることができる。バッテリー33のメンテナンス(例、交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー33の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー33の交換を不要にすることもできる。
また、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石11の回転が極めて低速であっても、信号発生部5からパルス電流の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石11)の回転が極めて低速な場合にも、信号発生部5の出力を電気信号として利用できる。
なお、多回転情報検出部3は、上記の実施形態において磁気式の検出部であるが、光学式(例、反射光又は透過光)の検出部であってもよい。この場合、多回転情報検出部3の一部は、角度検出部4と共用であってもよい。また、例えば、多回転情報検出部3が光学式の検出部であり光源の発光タイミング(例、多回転情報を検出するために発光される光の照射タイミング)が信号発生部5から出力されるパルス状の電気信号(検出信号)によって制御される場合、上記した位置情報検出部1(例、多回転情報検出部3)の動作中の期間は、該電気信号により発光する期間を含む。また、電力供給部2は、信号発生部5で発生する検出信号の電力を電源に用いてもよい。例えば、電力供給部2は、バッテリー33を備えなくてもよく、検出信号の電圧をレギュレータなどで所定電圧に調整し、検出信号の電力を位置検出部1に供給してもよい。また、上述の実施形態において、信号発生部5は、磁石11に対して所定の位置関係になった際に検出信号が発生する。エンコーダ装置EC(多回転情報検出部3)は、信号発生部5を、回転軸SF(磁石11)の位置情報を検出するセンサとして備えてもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図10は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
図10において、磁石11は、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSと同じ回転部材(スケールS)に設けられている。磁石11は、スケールSにおいて、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSと同じ側に配置されている。信号発生部5は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と同じ側に配置されている。なお、磁石11、信号発生部5、スケールS、発光素子21、及び受光センサ22の配置は、図10に示す配置に限定されず、例えば図1に示した配置でもよいし、その他の配置でもよい。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、ステージ装置について説明する。図11は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図10に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動物体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が回転テーブルTBに伝達される。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図12は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図12には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図12に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、エンコーダ装置ECが間欠的に検出動作を行うが、なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。