JP2018044564A - 運転支援装置、運転支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者が気付かない間に車速の超過や低下が発生することを実用的な方法によって抑制する。【解決手段】単位時間あたりの車速の変化量として、車両の実際の車速に基づいて算出された実変化量と、車両の走行位置に応じて車速を変化させるべき目標変化量とを取得する。2つの変化量を比較して、実変化量が目標変化量に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、実変化量が目標変化量よりも大きいために許容範囲内に無いと判断された場合には、減速比を減少させる。逆に、実変化量が目標変化量よりも小さいために許容範囲内に無いと判断された場合には、減速比を増加させる。こうすれば、運転者が車速の変化状況を勘違いして、車速の超過や低下が発生することを実用的な方法で抑制することが可能となる。【選択図】図11

Description

本発明は、駆動力を発生するエンジンと、エンジンが発生した駆動力を減速してタイヤに出力すると共に減速比を変更可能な減速機とを備える車両に適用されて、車両の運転者による運転動作を支援する技術に関する。
車両を運転するに際して、運転者は、自車両の走行速度(以下、車速)の変化を自然と認識しながら運転するものである。例えば、周りの景色が後に流れる速さの増減や、車体の振動の増減など、様々な要素の変化に基づいて車速の変化を感じながら運転している。このように運転者が車速の変化を感じる要素の一つとして、エンジン回転に伴うエンジン振動の変化が存在する。
例えば、マニュアルトランスミッション車(以下、MT車)を運転する場合、運転者はエンジン音またはエンジン振動の変化に基づいて、エンジン回転速度の大まかな変化を把握して、トランスミッションのシフトアップあるいはシフトダウンを行いながら運転する。トランスミッションをシフトアップあるいはシフトダウンしてから、次にシフトアップあるいはシフトダウンするまでの間は、エンジン回転速度と車速とは一対一に対応しており、運転者はエンジン回転速度の変化に基づいて、大まかな車速の変化を認識しながら車両を運転している。
同様なことは、オートマチックトランスミッション車(以下、AT車)の場合にも当て嵌まる。すなわち、AT車の場合は、トランスミッションのシフトアップあるいはシフトダウンは自動で行われるが、シフトアップあるいはシフトダウンしてから、次にシフトアップあるいはシフトダウンするまでの間は、エンジン回転速度と車速とが一対一に対応する。従って、AT車の場合も、運転者はエンジン回転速度の変化に基づいて、大まかな車速の変化を認識しながら車両を運転している。
ところが、運転者の認識している車速の変化と、実際の車速の変化との間にズレが生じることがある。
例えば、穏やかで長い下り坂を走行する場合、車速が少しずつ増加すると、それに伴ってエンジン回転速度も少しずつ増加していく。ところが、エンジン回転速度の増加が少しずつなので運転者がそのことに気付かず、一定速度で走行しているものと勘違いしてしまい、その結果として速度超過することが起こり得る。
長い上り坂を走行する場合にも同様なことが起こり得る。すなわち、上り坂によって車速が少しずつ減少するために、一定速度で走行しているものと運転者が勘違いしてしまい、その結果として、車速の低下に気付くのが遅れてしまうことが起こり得る。
あるいは逆に、長い時間に亘って、エンジン回転速度の変化が小さい状態が継続していると、エンジン回転速度の変化を実際よりも大きく感じてしまうこともある。
例えば、高速道路を走行する場合は、長い時間に亘って、エンジン回転速度の変化が小さい状態が継続する。その後、高速道路を降りて一般道に合流するために車速を低下させるが、それまでの長い時間に亘って、エンジン回転速度の変化が小さい状態が続いていたために、このときのエンジン回転速度の低下を大きく感じてしまう。その結果、減速が不十分であるにも拘わらず十分に減速したものと勘違いしてしまうことが起こり得る。
そこで、これらの錯覚による車速の超過や低下を防止するために、道路に沿って多数の発光体を配置しておき、これらの発光体を適切なタイミングで点滅させて運転者に視覚的な錯覚を起こさせることによって、運転者に警告する技術が提案されている(特許文献1)。
特開2013−159915号公報
しかし、上記の提案の技術は実用性に乏しいという問題があった。この理由は、道路に沿って多数の発光体が配置された箇所でなければ用いることができず、また、多数の発光体や、発光体の発行タイミングを制御する制御装置が必要となるので、装置が大がかりとなってしまうためである。
この発明は、従来技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、運転者が車速の変化状況を勘違いすることによって車速の超過や低下が発生することを、実用的な方法で抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために本発明の運転支援装置、および運転支援方法は、単位時間(または単位距離)あたりの車速の変化量を取得する。このとき取得する変化量は、車両の実際の車速に基づいて算出された実変化量と、車両の走行位置に応じて車速を変化させるべき目標変化量とを取得する。そして、実変化量と目標変化量とを比較して、実変化量が目標変化量に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、実変化量が目標変化量よりも大きいために許容範囲内に無いと判断された場合には、減速比を減少させる。逆に、実変化量が目標変化量よりも小さいために許容範囲内に無いと判断された場合には、減速比を増加させる。
詳細に理由については後ほど詳しく説明するが、こうすれば、運転者が車速の変化状況を勘違いして、車速の超過や低下が発生することを実用的な方法で抑制することが可能となる。
本実施例の運転支援装置100を搭載した車両1の大まかな構成を示す説明図である。 本実施例の運転支援装置100の内部構造を示したブロック図である。 本実施例の運転支援装置100が実行する運転支援処理のフローチャートである。 地図情報に設定された対象区間を例示する説明図である。 下り坂の走行中に減速比変更処理を開始するタイミングの判断方法を説明するための説明図である。 上り坂の走行中に減速比変更処理を開始するタイミングの判断方法を説明するための説明図である。 下り坂を走行する場合を例に用いて、減速比を変更することによって車速の正しい変化状況を運転者に気付かせる基本的な考え方を示した説明図である。 上り坂を走行する場合を例に用いて、減速比を変更することによって車速の正しい変化状況を運転者に気付かせる基本的な考え方を示した説明図である。 制限速度の高い道路から低い道路に合流する場合を例に用いて、減速比を変更することによって車速の正しい変化状況を運転者に気付かせる基本的な考え方を示した説明図である。 制限速度の低い道路から高い道路に合流する場合を例に用いて、減速比を変更することによって車速の正しい変化状況を運転者に気付かせる基本的な考え方を示した説明図である。 減速比を変更する考え方を一般化した結果をまとめた説明図である。 減速比変更処理の前半部分を示したフローチャートである。 減速比変更処理の後半部分を示したフローチャートである。 エンジン駆動力補正処理のフローチャートである。 下り坂を走行する場合に減速比を変更する様子を示した説明図である。 上り坂を走行する場合に減速比を変更する様子を示した説明図である。 制限速度の高い道路から低い道路に合流する場合に減速比を変更する様子を示した説明図である。 変形例のエンジン駆動力補正処理のフローチャートである。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
A.装置構成 :
図1には、本実施例の運転支援装置100を搭載した車両1の大まかな構成が示されている。図示されるように、車両1には、運転支援装置100に加えて、車両1を操舵するためのハンドル2や、タイヤ3や、タイヤ3の回転速度に基づいて車両1の走行速度(以下、車速)を検出する車速センサー4などが搭載されている。また、車両1には、駆動力を発生するエンジン20や、エンジン20が発生した駆動力を減速してタイヤ3に向かって出力する減速機10や、ナビゲーション装置30なども搭載されている。
減速機10は、減速比を連続的に変更可能ないわゆる無段変速機であり、減速機10が減速比を切り換える動作は、減速機ECU11によって制御されている。
また、エンジン20は、燃焼室内で燃料を燃焼させて駆動力を発生するいわゆる内燃機関であり、エンジン20が駆動力を発生する動作は、エンジンECU21によって制御されている。
更に、ナビゲーション装置30は、車両1の現在位置を検出する機能や、地図情報を記憶しておく機能や、現在位置を含んだ周囲の地図情報を読み出して、図示しないモニター画面に表示する機能や、運転者によって設定された目的地までの経路を探索する機能や、探索した経路に従って道案内する機能などを備えている。
このような車両1を運転する運転者は、通常は、車速を感じることによってエンジン20が発生する駆動力を調整している。例えば、車速を上げる必要があると感じた場合には、図示しないアクセルペダルを踏み増しして、エンジン20が発生する駆動力を増加させる。すると、その駆動力の増加が、減速機10や図示しない車軸などを介してタイヤ3に伝達され、その結果、車両1が加速されて車速が増加する。また逆に、車速を下げる必要があると感じた場合には、アクセルペダルの踏込量を減らしてやる。すると、エンジン20が発生する駆動力が減少して、その駆動力の減少が、減速機10や車軸などを介してタイヤ3に伝達され、その結果、車両1の車速が減少する。
このように車両1の運転者は、速度計で車速を確認することなく、車速を上げる必要があるのか、下げる必要があるのかを感覚的に判断して、アクセルペダルを操作しながら運転していることも珍しいことではない。
ところが、運転者の感覚は狂うことがあり、その結果、車速の超過や低下が発生することがある。例えば、緩やかな下り坂(あるいは上り坂)を走行する場合、運転者が気付かない間に車速が増加(あるいは減少)して、車速の超過(あるいは低下)が発生することがある。
そこで、本実施例の運転支援装置100は、車速センサー4からは車速の情報を取得し、ナビゲーション装置30からは車両1の現在位置や地図情報を受け取り、更に、減速機ECU11やエンジンECU21と通信して種々の情報を取得する。そして、必要に応じて、減速機ECU11に対して減速比の変更を指示し、更に、エンジンECU21に対して駆動力の増減を指示する。こうすれば、運転者が車速の変化状況を勘違いして車速が超過したり、低下したりする事態の発生を抑制することが可能となる。以下、このような本実施例の運転支援装置100について詳しく説明する。
尚、以下に説明するように、本実施例の運転支援装置100は、ナビゲーション装置30が備える機能のうち、車両1の現在位置を検出する機能と、地図情報を記憶しておき、必要に応じて読み出す機能とを専ら利用しており、他の機能については利用していない。従って、ナビゲーション装置30の代わりに、これらの機能を備える機器(例えば、ロケーターと呼ばれる機器)を用いることとしてもよい。
図2には、本実施例の運転支援装置100の大まかな内部構造が示されている。図示されるように本実施例の運転支援装置100は、車速取得部101と、実変化量算出部102と、現在位置取得部103と、地図情報取得部104と、目標変化量取得部105と、許容判断部106と、減速比変更部107と、エンジン駆動力補正部108とを備えている。
尚、これらの「部」は、本実施例の運転支援装置100が車速の超過や低下を抑制するために各種の機能を備えていることに着目して、運転支援装置100の内部を便宜的に分類した抽象的な概念である。従って、運転支援装置100がこれらの「部」に物理的に区分されていることを表すものではない。これらの「部」は、CPUで実行されるコンピュータープログラムとして実現することもできるし、LSIやメモリーを含む電子回路として実現することもできるし、更にはこれらを組合せることによって実現することもできる。本実施例では、運転支援装置100は、CPUやROMやRAMなどを備えたマイクロコンピューターによって主に形成されており、従って上記の「部」はCPUが実行するコンピュータープログラムによって主に実現されている。
車速取得部101は、車速センサー4に接続されており、一定の時間間隔で車両1の車速の情報を取得する。
実変化量算出部102は、車速取得部101で取得された車速の情報に基づいて、単位時間あたりでの車速の実際の変化量(以下、実変化量)を、正負の符号を識別した状態で算出する。尚、実変化量を算出するに際しては、車速を取得する時間間隔よりも十分に長い時間(例えば5秒〜10秒)で車速を平均した後、平均化した車速を用いて算出する。あるいは、単位時間あたりの車速の変化量の代わりに、単位距離を走行する間の車速の変化量を算出することとしても良い。
現在位置取得部103は、ナビゲーション装置30に内蔵された現在位置検出部31に接続されており、車両1の現在位値の情報を取得する。
地図情報取得部104は、ナビゲーション装置30に内蔵された地図情報記憶部32に接続されており、車両1の現在位値の周辺の地図情報を取得する。この地図情報には、道路の制限速度についての情報や、運転者が車速の変化状況を勘違いし易い区間として予め設定された対象区間についての情報も含まれている。
目標変化量取得部105は、車速の目標変化量を取得する。ここで、車速の目標変化量とは、所定の単位時間あたりに車速をどの程度増加させるべきなのか、あるいは、どの程度減少させるべきなのかを示す値であり、車両1が走行している現在位置に応じて自ずから定まる値である。例えば、制限速度が一定の区間であれば、車両1は車速を維持して走行するべきであると考えられるので、車速の目標変化量は「0」となる。
また、車両1の進む方向に向かって前方で制限速度が増加している場合には、車速を増加させるべきと考えられる。車速を増加させる傾きは、増加前の制限速度が設定されている地点から、増加後の制限速度が設定された地点までの間に、車速が一定割合で増加するような傾きとすればよい。すると、制限速度が切り換わる2つの地点の距離を、2つの制限速度の平均速度で走行するものと考えれば、単位時間あたりにどの程度の大きさで車速を増加させるべきかを決定することができるので、目標変化量を求めることができる。
また、車両1の進行方向前方で制限速度が減少している場合にも、全く同様の考え方に基づいて、単位時間あたりに車速を減少させるべき大きさ(すなわち、目標変化量)を求めることができる。もちろん、実変化量の場合と同様に、目標変化量についても、単位時間あたりの変化量の代わりに、単位距離あたりの変化量を求めることとしても良い。
尚、上述した方法に従って目標変化量取得部105が目標変化量を算出するのではなく、予め算出しておいた目標変化量を地図情報に記憶しておき、地図情報の中から目標変化量を取得しても良い。更には、車両1の外部から無線通信などを介して取得しても良い。
また、目標変化量取得部105は、常に車速の目標変化量を取得するのではなく、車両1の現在位置が、地図情報に設定された対象区間内にあると判断した場合に、目標変化量を取得するようにしても良い。あるいは、車速と制限速度との速度差が、所定の閾値速度以上大きくなった場合に、車速の目標変化量を取得するようにしても良い。
許容判断部106は、実変化量算出部102から取得した車速の実変化量と、目標変化量取得部105から取得した車速の目標変化量とを比較して、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内にあるか否かを判断する。更に、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内になかった場合には、実変化量と目標変化量との大小関係を判断して、その判断結果を減速比変更部107に出力する。
減速比変更部107は、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内に無く、且つ、実変化量が目標変化量よりも大きかった旨の判断結果を受け取った場合には、減速機ECU11に対して、減速機10の減速比を減少させる指示を出力する。車両1の走行中に減速機10の減速比を減少させると、エンジン20の回転速度(以下、エンジン回転速度)が増加する。理由については後ほど詳しく説明するが、こうすれば、運転者が車速の変化状況を勘違いして、気付かない間に車速が制限速度を超えていた場合でも、そのことを運転者に気付かせることができる。
一方、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内に無く、且つ、実変化量が目標変化量よりも小さかった旨の判断結果を、許容判断部106から受け取った場合には、減速比変更部107は、減速機ECU11に対して、減速機10の減速比を増加させる指示を出力する。車両1の走行中に減速機10の減速比を増加させれば、エンジン回転速度が減少する。詳細には後述するが、こうすれば、運転者が車速の変化状況を勘違いして、気付かない間に車速が制限速度を下まわっていた場合でも、そのことを運転者に気付かせることが可能となる。
また、減速機10の減速比を変更するとエンジン回転速度が変化し、それに伴ってエンジン20が発生する駆動力も変化する。そこで、本実施例の減速比変更部107は、減速機ECU11に対して減速比を変更する指示を出力する際に、エンジン駆動力補正部108に対しても、減速比の変更内容を示す情報を出力する。
エンジン駆動力補正部108は、減速比変更部107から受け取った情報に基づいて、減速比の変更に伴うエンジン20の駆動力の増減を補正するべく、エンジン20が出力する駆動力を補正する旨の指示を、エンジンECU21に対して出力する。こうすることによって、減速比を変更させることによってエンジン回転速度を変化させた場合でも、そのことに伴ってエンジンが出力する駆動力の変化を抑制することも可能となる。
以下、こうしたことを実現するために運転支援装置100が実行する運転支援処理について説明する。
B.運転支援処理 :
図3には、本実施例の運転支援装置100が実行する運転支援処理のフローチャートが示されている。図示されるように、運転支援処理を開始すると先ず始めに、車速センサー4から車速を取得する(S100)。
続いて、車両1の現在位置と、現在位置を含んだ周辺の地図情報とを、ナビゲーション装置30から取得する(S101)。尚、本実施例では、これらの情報をナビゲーション装置30から取得することとしているが、ナビゲーション装置30に限らず、いわゆるロケーターから取得しても構わない。
そして、車両1の現在位置が対象区間内にあるか否かを判断する(S102)。ここで、前述したように対象区間とは、運転者が車速の変化状況を勘違いし易い区間として、地図情報に予め設定された区間である。
例えば、図4(a)に示すように、小さな勾配の長い下り坂では、運転者が気付かないうちに少しずつ車速が増加して、いつの間にか車速が制限速度を大きく超過する虞がある。そこで、このような虞のある区間は、対象区間として地図情報に予め設定されている。
また、図4(b)に示すように、小さな勾配の長い上り坂では、運転者が気付かないうちに少しずつ車速が低下して、いつの間にか車速が制限速度を大幅に下まわる虞がある。あるいは、図4(c)に示すように、下り坂の後に平坦路を介して上り坂が続くいわゆるサグと呼ばれる区間では、上り坂に差し掛かる辺りで、運転者が気付かない間に車速が低下し、そこに下り坂で車速が増加した車両が近付く虞がある。そこで、これらの区間も、対象区間として地図情報に予め設定されている。
更には、高速道路のように制限速度が高い道路から、一般道のように制限速度が低い道路に合流する区間では、高い制限速度から低い制限速度へと車速を減少させる必要がある。しかし、運転者の車速に対する感覚が高い車速で走行中の感覚に慣れてしまう結果、車速の減少が不十分であるにも拘わらず十分であると勘違いする虞がある。同様に、制限速度の低い道路から制限速度の高い道路に合流する区間では車速を増加させる必要があるが、車速に対する感覚が低い車速で走行中の感覚に慣れてしまうため、車速の増加が不十分であるにも拘わらず十分であると勘違いする虞がある。そこで、制限速度の高い道路から低い道路に合流する区間や、制限速度の低い道路から高い道路に合流する区間も、対象区間として地図情報に予め設定されている。もちろん、これらに限らず、必要に応じて様々な対象区間を地図情報に設定することができる。
図3に示した運転支援処理のS101では、車両1の現在位置の情報に加えて、このような対象区間が設定された地図情報を取得しており、続くS102では、これらの情報に基づいて、車両1の現在位置が対象区間内にあるか否かを判断する。
その結果、車両1の現在位置が対象区間内に無かった場合は(S102:no)、運転者が車速の変化状況を勘違いして制限速度の超過や低下を引き起こす虞は無いと考えられるので、後述する減速比変更処理を行うことなく、運転を終了するか否かを判断する(S108)。そして、運転を終了しない場合は(S108:no)、処理の先頭に戻って、再び車速を取得し(S100)、車両1の現在位置および地図情報を取得して(S101)、車両1の現在位置が対象区間内にあるか否かを判断する(S102)。
このような処理をくり消しているうちに、やがて、車両1の現在位置が対象区間内にあると判断されることになる(S102:yes)。前述したように対象区間では、運転者が車速の変化状況を勘違いして、制限速度の超過や低下を起こし易くなっている。そこで、こうしたことを抑制するべく、本実施例の運転支援装置100は、以下のような処理を行う。
先ず始めに、制限速度に基づいた「あるべき車速」を取得する(S103)。ここで、あるべき車速とは、その位置を車両1が走行するべき車速である。例えば、制限速度が一定の区間を走行する際には、その区間では制限速度で走行するべきと考えて良いので、制限速度があるべき車速となる。また、制限速度が変化する区間、すなわち、ある制限速度が設定されている地点と、別の制限速度が設定されている地点との間を走行する場合には、それら2つの制限速度を補間した車速が、あるべき車速となる。前述したように、S101でナビゲーション装置30から地図情報を取得する際に、制限速度の情報も取得しているから、S103では、その時に取得した制限速度の情報に基づいて、あるべき車速を決定することができる。
尚、ここでは、あるべき車速は運転支援装置100が決定するものとして説明するが、制限速度の情報と同様に、あるべき車速についての情報も地図情報に記憶しておき、車両1の現在位置に応じて、地図情報に記憶されたあるべき車速も読み出すようにしても良い。
続いて、車速の目標変化量を取得する(S104)。前述したように、車速の目標変化量とは、所定の単位時間あたり(あるいは単位距離あたり)に車速をどの程度増加させるべきなのか、あるいは、どの程度減少させるべきなのかを示す値である。上述したように、道路には制限速度が設定されており、道路を走行する車両1は、制限速度に従って走行すると考えて良いから、道路の制限速度の情報から車速の目標変化量を決定することができる。
例えば、制限速度が一定の区間であれば、車両1は車速を維持して走行するべきであると考えられるので、車速の目標変化量は「0」と決定することができる。
また、車両1の進行方向前方で制限速度が変化している場合は、現在の制限速度Vnが設定されている地点から、変化後の制限速度Vfが設定されている地点までの距離をΔLとすると、ΔLの距離をかけて、車速をVf−Vn変化させればよい。そして、その間の平均車速は、(Vf+Vn)/2と考えて良いから、車速の目標変化量は、
車速の目標変化量 = (Vf−Vn)・(Vf+Vn)/2ΔL
によって算出することができる。この計算式から明らかなように、車速を増加させるべき状況では、車速の目標変化量は正の値となり、車速を減少させるべき状況では負の値となる。
尚、本実施例では、運転支援装置100が、地図情報に設定されている制限速度の情報を取得して、上述した方法によって車速の目標変化量を算出するものとして説明するが、制限速度と同様に、車速の目標変化量についても、地図情報に予め記憶しておいても良い。また、車速の目標変化量が必要となるのは、車両1が対象区間を走行している場合であるから、車速の目標変化量は対象区間について記憶しておけば十分である。
あるいは、車両1の外部のサーバーに無線でアクセスすることによって、車両1の現在位置に対応する目標変化量を取得するようにしても良い。
続いて、車速の実変化量を算出する(S105)。ここで、車速の実変化量とは、車速センサー4で検出した車速の実際の変化量である。もっとも、実際に検出した車速を用いる関係上、ノイズなどの外乱の影響を受ける可能性があるので、車速センサー4で検出した車速の平滑化した後、平滑化した車速に対して単位時間あたりの変化量を算出している。また、実変化量として、単位距離あたりの変化量を採用した場合は、こうして算出した単位時間あたりの変化量から、車速の情報を用いて、単位時間あたりの変化量を単位距離あたりの変化量に変換すればよい。こうして得られた実変化量は、車速が増加している場合には正の値となり、車速が減少している場合には負の値となる。また、車速センサー4で検出した車速を平滑化する方法としては、例えば、5秒〜10秒程度の時間幅で移動平均を算出する方法を用いることができる。
こうして求めた車速の実変化量と、車速の目標変化量とを比較して、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内にあるか否かを判断する(S106)。
その結果、実変化量が目標変化量に対して許容範囲内にあった場合は(S106:yes)、運転者が車速の変化状況を勘違いしていないと考えられるので、後述する減速比変更処理を行うことなく、運転を終了するか否かを判断する(S108)。そして、運転を終了しない場合は(S108:no)、処理の先頭に戻って、再び車速を取得した後(S100)、上述した続く一連の処理(S101〜S106)を実行する。
これに対して、車速の実変化量が、車速の目標変化量に対して許容範囲内に無かった場合は(S106:no)、車両1が走行している実際の車速と、その位置を走行するべきあるべき車速との偏差が、所定の閾値速度よりも大きいか否かを判断する(S107)。
その結果、実際の車速と、あるべき車速との偏差が閾値速度よりも小さかった場合は(S107:no)、まだ車速は、あるべき車速から大きくは異なっておらず、実害は生じていないと考えられるので、後述する減速比変更処理を行うことなく、運転を終了するか否かを判断し(S108)、運転を終了しない場合は(S108:no)、先頭に戻って、再び車速を取得し(S100)、上述した続く一連の処理を実行する。
これに対して、実際の車速と、あるべき車速との偏差が閾値速度よりも大きかった場合は(S107:yes)、運転者が車速の変化状況を勘違いしており、実際の車速があるべき車速を大きく超過したり、下まわったりする可能性があると判断して、後述する減速比変更処理(S200)を開始する。
図5には、小さな勾配の長い下り坂を走行する場合に、上述した各種の条件を判断することによって、減速比変更処理を開始するタイミングを決定する様子が例示されている。例えば、図5(a)に示したように小さな勾配の長い下り坂に差し掛かっても、そのことに運転者が気付かずに走行していると、図5(b)に示したように、車両1が走行する実際の車速は少しずつ増加していく。もちろん、下り坂だからといって制限速度が増加するわけではないので、車速の目標変化量は「0」となっている。
これに対して実際の車速は次第に増加していくから、車速の実変化量は正の値となる。ここで、前述したように、実変化量とは、単位時間あたりの実際の車速の変化量である。そして、この実変化量が、目標変化量に対して許容範囲を超えて大きい場合には、下り坂に差し掛かったことに運転者が気付いていない可能性があるので、実際の車速が、制限速度+閾値速度を超えた時点(図5では時点Ta)で、減速比変更処理を開始するものと判断する。
図6には、小さな勾配の長い上り坂を走行する場合に、減速比変更処理を開始するタイミングを決定する様子が例示されている。上り坂の場合は、小さな勾配の長い上り坂に差し掛かったことに運転者が気付かずに走行していると、車両1の実際の車速は少しずつ減少する。もちろん、上り坂だからといって制限速度は変わらないから、車速の目標変化量は「0」である。これに対して実際の車速は次第に減少していくから、車速の実変化量は負の値となり、この実変化量が、目標変化量に対して許容範囲を超えて大きい場合には、実際の車速が、制限速度−閾値速度を下まわった点(図6では時点Tb)で、以下に説明する減速比変更処理を開始する。
こうして減速比変更処理を開始すれば、以下のような理由から、運転者が車速の変化状況を勘違いして車速が制限速度(あるいはあるべき車速)を超過したり、下まわったりする事態を抑制することが可能となる。
C.車速の超過や低下を運転者に気付かせる原理 :
以下では、運転者が車速の変化状況を勘違いする事態を、減速比変更処理を実行することによって抑制することが可能な理由について説明する。
先ず始めに、分かり易いケースとして、図7(a)に示したように、小さな勾配の長い下り坂を走行する場合について説明する。前述したように、小さな勾配の下り坂では下り坂に差し掛かっても運転者がそのことに気付かない結果、車速が維持されているものと勘違いして、運転者が気付かないうちに車速が少しずつ増加していく。その結果、やがては実際の車速が制限速度を大きく超過してしまうことが起こり得る(図7(b)参照)。
このときのエンジン回転速度は、減速機10の減速比が変更されない限り、実際の車速の増加に従って増加していく。しかし、車速の増加が少しずつなので、エンジン回転速度も少しずつしか増加せず、運転者はエンジン回転速度が増加していることに気付くことは難しい。図7(c)に示した実線は、車速の増加に伴ってエンジン回転速度が増加する様子を表している。また、図中に示した破線は、制限速度で走行する場合のエンジン回転速度を表している。
そこで、本実施例の減速比変更処理では、実際の車速が制限速度に対して大きく超過する前の段階で、減速機10の減速比を高くしてやる。すると、図7(c)中に一点鎖線で示したように、エンジン回転速度の増加量が大きくなるので、エンジン回転速度が増加していることを運転者に気付かせることができる。そして運転者は、エンジン回転速度が増加していくことに気付けば、自然と、それに伴って車速も増加していると考えるので、車速が増加していることにも運転者に気付かせることができる。その結果、実際の車速が制限速度を大きく超過する事態の発生を抑制することが可能となる。
尚、減速機10の減速比を変更する際に、減速比を大幅に高くすると、エンジン回転速度も大きく増加するので、運転者がいわゆる変速ショックを感じたり、あるいは不自然な状況で変速段が切り換わったと感じたりする虞がある。そこで、減速比を高くする程度は、こうした虞が生じる程には高くないが、エンジン回転速度が増加していることに運転者が気付くことができる程度には高い値に設定しておく必要がある。
上り坂を走行する場合も、同様にして、実際の車速の低下を運転者に気付かせることができる。すなわち、図8(a)に示すように、小さな勾配の長い上り坂を走行する場合は、車速が維持されているものと勘違いして、運転者が気付かないうちに実際の車速が少しずつ減少し、やがては、実際の車速が制限速度を大きく下まわることが起こり得る(図8(b)参照)。
このときのエンジン回転速度は、減速機10の減速比が変更されない限り、車速の減少に従って減少していくが、車速の減少が少しずつなので、エンジン回転速度の減少も少しずつとなる(図8(c)参照)。このため、運転者はエンジン回転速度の減少に気付くことは難しい。
そこで、車速が制限速度を大きく下まわる前の段階で、減速機10の減速比を低くしてやる。すると、図8(c)中に一点鎖線で示したように、エンジン回転速度の減少量が大きくなるので、エンジン回転速度が減少していることを運転者に気付かせることができる。そして運転者は、エンジン回転速度がどんどん減少していくことに気付けば、自然と、それに伴って車速も低下していると考えるので、車速が低下していることにも運転者に気付かせることができる。その結果、実際の車速が制限速度を大きく下まわる事態の発生を抑制することが可能となる。
尚、減速機10の減速比を高くする場合と同様に、減速比を低くする場合も、大幅に減速比を低くするとエンジン回転速度も大きく減少するので、いわゆる変速ショックが生じたり、あるいは不自然な状況で変速段が切り換わったと運転者に感じさせたりする虞がある。そこで、減速比を低くする程度についても、こうした虞が生じる程には大幅に低くはないが、エンジン回転速度が減少していることに運転者が気付くことができる程度には低くする必要がある。
同様な考え方は、高速道路のように制限速度が高い道路から、一般道のように制限速度が低い道路に合流する場合や、あるいは逆に、一般道のように制限速度が低い道路から、高速道路のように制限速度が高い道路に合流する場合にも適用することができる。
図9には、高速道路から一般道に合流する場合を例に用いて、上述した考え方を適用する大まかな方法が示されている。高速道路の制限速度は高く、一般道の制限速度は低いから、車両1のあるべき車速は、図9(a)中に破線で示すように、ある程度の傾きで減少させていく必要がある。ところが、高速道路を走行してきた運転者は、実際の車速の減少量を実際よりも大きく感じてしまうため、図9(a)中に実線で示したように、実際の車速の減少が不十分となってしまうことがある。
このときのエンジン回転速度は、減速機10の減速比が変更されない限り、車速の減少に従って減少していく。図9(b)の実線は、車速の減少に伴ってエンジン回転速度が減少していく様子を表しているが、運転者は一般道に合流するために車速を減少させているから、このようにエンジン回転速度が減少するのは何ら不思議なことではない。このため、実際の車速の減少が不十分なことにも、なかなか気付くことができない。
そこで、実際の車速が、あるべき車速に対して大きく超過する前の段階で、減速機10の減速比を高くしてやる。減速機10の減速比を高くするとエンジン回転速度は増加するが、その一方で、車速の減少に伴ってエンジン回転速度は減少している。その結果、減速比を高くしたことに伴うエンジン回転速度の増加が、車速の減少に伴うエンジン回転速度の減少の一部を打ち消すことになって、図9(b)中に一点鎖線で示したように、エンジン回転速度の減少量が小さくなる。
上述したように、運転者は意図して車速を減少させており、車速の減少に伴ってエンジン回転速度も減少するものと思っている。従って、図9(b)中の一点鎖線で示したようにエンジン回転速度がなかなか減少しないと、車速の減少が不十分と思うようになり、その結果、実際の車速の減少が不十分であることを、運転者に気付かせることが可能となる。
尚、減速機10の減速比を変更する際に、減速比を大幅に高くすると、エンジン回転速度も大きく増加するので、このときのエンジン回転速度の増加が、車速の減少に伴うエンジン回転速度の減少を上回ってしまう可能性がある。すると、車速は減少しているにも拘わらず、エンジン回転速度は増加することになって運転者に不自然な感じを与えてしまう虞がある。そこで、減速比を高くする程度は、こうした虞が生じない範囲で高い値に設定しておく必要がある。
また、一般道のように制限速度が低い道路から、高速道路のように制限速度が高い道路に合流する場合には、車速を十分に増加させておく必要があるが、車速の増加が不十分になることがある。このような場合にも、車速の増加が不十分になることを運転者に気付かせることができる。すなわち、制限速度の低い道路から制限速度の高い道路に合流する際には、車両1のあるべき車速は、ある程度の傾きで増加させていく必要があるが、それまで低い車速で走行してきた運転者は、車速の増加量を実際よりも大きく感じて、実際の車速の増加が不十分となってしまい易い(図10(a)を参照)。
このときのエンジン回転速度は、減速機10の減速比が変更されない限り、車速の増加に従って増加していく(図10(b)の実線を参照)。運転者は意図して車速を増加させているから、このようにエンジン回転速度が増加するのは、運転者に取って何ら不思議なことではない。このため、実際の車速の増加が不十分なことにも、なかなか気付くことが難しい。
そこで、実際の車速が、あるべき車速に対して大きく下まわる前の段階で、減速機10の減速比を低くしてやる。減速機10の減速比を低くするとエンジン回転速度は減少するが、その一方で、車速の増加に伴ってエンジン回転速度は増加している。その結果、減速比を低くしたことに伴うエンジン回転速度の減少が、車速の増加に伴うエンジン回転速度の増加の一部を打ち消すことになり、図10(b)中に一点鎖線で示したように、エンジン回転速度の増加量が小さくなる。
上述したように、運転者は意図して車速を増加させており、車速の増加に伴ってエンジン回転速度も増加するものと思っている。従って、図10(b)中の一点鎖線で示したようにエンジン回転速度がなかなか増加しないと、車速の増加が不十分と思うようになり、その結果、実際の車速の増加が不十分であることを、運転者に気付かせることが可能となる。
以上では分かり易いケースとして、小さな勾配の坂道を走行する場合や、制限速度が異なる道路に合流する場合について説明したが、同様な考え方は、様々な状況に対しても適用することが可能である。そして、それらの状況に対して減速比を変更させることによって、車速の超過あるいは低下を運転者に気付かせる方法は、次のように一般化することができる。
図11には、減速比を変更することによって車速の超過あるいは低下を運転者に気付かせる方法を、様々な状況に対して適用可能とするため一般化した結果がまとめられている。一般化するに際しては、車両1が走行する道路を、「車速を維持して走行すべき区間」と、「車速を減少させるべき区間」と、「車速を増加させるべき区間」とに分類する。
また、それらの区間を実際に車両1が走行する状況を、「車速の実変化量が、(その区間の)目標変化量より大きい場合」と、「車速の実変化量が、目標変化量より小さい場合」とに分類する。
すると、減速比を変更して車速の超過あるいは低下を運転者に気付かせなければならない状況は、これらの2つの分類を組合わせて得られる6つの類型の何れかに分類することができる。
例えば、図7を用いて前述したように、長い下り坂の走行中に実際の車速が制限速度を超過する状況は、制限速度は一定の筈だから、「車速を維持すべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。この場合、制限速度が一定であることに対応して本来は一定であるべきエンジン回転速度が、少しずつ増加していく状況だから、そのエンジン回転速度の増加を目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の増加量が大きくなるように)、減速比を高くする。
また、図8を用いて前述したように、長い上り坂の走行中に実際の車速が制限速度を下まわる状況は、「車速を維持すべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。この場合、本来は一定であるべきエンジン回転速度が、少しずつ減少していく状況だから、そのエンジン回転速度の減少を目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の減少量が大きくなるように)、減速比を低くする。
また、図9を用いて前述したように、制限速度が高い道路から低い道路に合流する際に実際の車速の減少が不十分になる状況は、「車速を減少させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。この場合は、車速の減少に伴って減少するエンジン回転速度の減少量が、本来の減少量に対して不足している状況だから、エンジン回転速度の減少量の不足を目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の減少を打ち消すように)、減速比を高くする。
更に、制限速度が高い道路から低い道路に合流する際に、実際の車速を過剰に減少させる場合も起こり得る。仮に、このようなことが起きたとすると、その状況は、「車速を減少させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。この場合は、車速の減少に伴って減少するエンジン回転速度の減少量が、本来の減少量に対して過剰になっている状況だから、エンジン回転速度の減少量が過剰になっていることを目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の減少量が更に大きくなるように)、減速比を低くすればよい。
また逆に、図10を用いて前述したように、制限速度が低い道路から高い道路に合流する際に実際の車速の増加が不十分になる状況は、「車速を増加させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。この場合は、車速の増加に伴って増加するエンジン回転速度の増加量が、本来の増加量に対して不足している状況だから、エンジン回転速度の増加量の不足を目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の増加を打ち消すように)、減速比を低くする。
更に、制限速度が低い道路から高い道路に合流する際に、実際の車速を過剰に増加させる場合も起こり得る。仮に、このようなことが起きたとすると、その状況は、「車速を増加させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。この場合は、車速の増加に伴って増加するエンジン回転速度の増加量が、本来の増加量に対して過剰になっている状況だから、エンジン回転速度の増加量が過剰になっていることを目立たせるように(すなわち、エンジン回転速度の増加量が更に大きくなるように)、減速比を高くすればよい。
以上に説明したように、運転者が気付かない間に実際の車速が制限速度を超過したり、下まわったりする状況は、図11に示した6つの類型に分類することができ、それぞれの類型に応じて減速比を変更することで、車速の超過や低下を運転者に気付かせることができる。
そこで、本実施例の運転支援装置100は、車両1が対象区間(すなわち、運転者の気付かない間に車速の超過や低下が起こり易い区間)を走行しており(図3のS102:yes)、実際の車速の変化量(すなわち実変化量)が、あるべき車速の変化量(すなわち目標変化量)に対して許容範囲内になく(S106:no)、更に、実際の車速とあるべき車速との偏差が閾値速度よりも大きい場合には(S107:yes)、以下に説明する減速比変更処理を行うことによって、車速の超過や低下を運転者に気付かせることとしている。
D.減速比変更処理 :
図12および図13には、本実施例の運転支援装置100が実行する減速比変更処理のフローチャートが示されている。
図12に示されるように、減速比変更処理(S200)を開始すると、先ず始めに、前回に減速比を変更してから所定時間が経過したか否かを判断する(S201)。図11を用いて前述したように、減速比変更処理は、実際のエンジン回転速度と、あるべきエンジン回転速度との変化量の違いが強調されるように、エンジン回転速度を変化させることによって、実際の車速の変化状況を運転者に気付かせることを原理としている。従って、減速比を変更しても、運転者が実際の車速の変化状況に気付くまでには、ある程度の時間が掛かると考えられる。
そこで、前回に減速比を変更してから所定時間が経過したか否かを判断して(S201)、所定時間が経過していない場合は(S201:no)、そのまま減速比変更処理を終了して、図3の運転支援処理に復帰する。そして、運転支援処理では、再び、減速比変更処理が開始されて(S200)、所定時間が経過したか否かが判断される(S201)。
このような判断を繰り返しているうちに、やがて、所定時間が経過したと判断されたら(S201:yes)、減速機10の現時点での減速比(以下、現状減速比)を取得する(S202)。図2を用いて前述したように、運転支援装置100は、減速機10を制御している減速機ECU11と通信可能であり、減速機ECU11から現状減速比を取得することができる。
そして、車速の目標変化量が絶対値が、所定値Δeよりも大きいか否かを判断する(S203)。図3を用いて前述したように、減速比変更処理(S200)は運転支援処理の中で実行されており、運転支援処理では減速比変更処理を開始するに先立って、車速の目標変化量を取得している(図3のS104参照)。そこで、減速比変更処理のS203では、運転支援処理のS104で取得しておいた目標変化量の絶対値が、所定値Δeよりも大きいか否かを判断する。
ここで、所定値Δeは比較的小さな値に設定されている。このため、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも小さかった場合は(S203:no)、目標変化量が変化していない状況、すなわち、図11に示した分類では、「車速を維持すべき区間」に該当すると考えて良い。
そこで、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも小さかった場合は(S203:no)、続いて、車速の実変化量が、車速の目標変化量よりも大きいか否かを判断する(S204)。
その結果、実変化量が目標変化量よりも大きかった場合は(S204:yes)、図11の6つの類型では、上段の左側の類型、すなわち「車速を維持すべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。
そこで、この場合(S204:yes)は、現状減速比に所定の一定値を加算して、得られた減速比を減速機10の目標減速比に設定する(S205)。ここで、目標減速比とは、減速機10を制御している減速機ECU11に対して、運転支援装置100から制御目標として出力される減速比である。この点については後ほど説明する。
尚、現状減速比に対して目標減速比が大きく異なるとエンジン回転速度も大きく変化するので、いわゆる変速ショックが生じたり、あるいは不自然な状況で変速段が切り換わったと運転者に感じさせたりする虞がある。そこで、現状減速比に対して加算される所定の一定値は、こうした虞が生じない程度の大きさに設定されている。
これに対して、実変化量が目標変化量よりも小さかった場合は(S204:no)、図11の6つの類型では、上段の右側の類型、すなわち「車速を維持すべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。
そこで、この場合(S204:no)は、現状減速比から所定の一定値を減算して、得られた減速比を減速機10の目標減速比に設定する(S206)。尚、現状減速比から減算する一定値は、S205で現状減速比に対して加算する一定値と同じ値に設定されている。このため、現状減速比に対して目標減速比が大幅に低くなってしまうことが無く、従って、変速ショックが生じたり、不自然な状況で変速段が切り換わったと運転者に感じさせたりする虞は生じない。もちろん、こうした虞が生じない範囲であれば、S205で現状減速比に対して加算される一定値と、S206で現状減速比から減算される一定値とは、異なる値としても構わない。
以上では、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも小さいと判断された場合(S203:no)、すなわち、図11に示した分類では、上段に示した「車速を維持すべき区間」に該当する場合について説明した。
これに対して、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも大きかった場合は(S203:yes)、今度は、目標変化量が正の値か否かを判断する(S207)。その結果、目標変化量が正の値ではなかった場合は(S207:no)、図11に示した分類では、「車速を減少させるべき区間」に該当すると考えて良い。そこでこの場合も、S203で「no」と判断した場合と同様に、続いて、車速の実変化量が、車速の目標変化量よりも大きいか否かを判断する(S208)。
その結果、実変化量が目標変化量よりも大きかった場合は(S208:yes)、図11の6つの類型では中段の左側の類型、すなわち「車速を減少させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。
そこで、この場合(S208:yes)は、エンジン回転速度を増加させない範囲で、現状減速比よりも高い目標減速比を設定する(S209)。すなわち、車両1は車速を減少させるべき区間を走行しているから、実際の車速も減少していると考えられ、これに伴って実際のエンジン回転速度も減少していると考えられる。一方、減速機10の減速比を高くするとエンジン回転速度が増加するので、減速比をあまりに高くすると、減速比を高くしたことによるエンジン回転速度の増加が、車速の減少によるエンジン回転速度の減少よりも大きくなってしまう。その結果、車速は減少しているにも拘わらず、エンジン回転速度は増加することになって運転者に不自然な感じを与えてしまう虞がある。そこで、S209では、エンジン回転速度を増加させない範囲で、現状減速比よりも高い目標減速比を設定する。
このような目標減速比は、例えば、次のようにして設定することができる。先ず、実変化量は分かっており、その実変化量は、実際の車速が単位時間あたりに減少する減少量に対応する。従って、単位時間あたりに実際のエンジン回転速度が減少する減少量も求めることができる。すると、そのエンジン回転速度の減少量と同じだけエンジン回転速度を増加させるために必要な減速比の増加量も求めることができる。従って、単位時間あたりに、このような増加量で減速比を高くしてやれば、エンジン回転速度を一定に保っておくことができる。もっとも、エンジン回転速度は必ずしも一定に保つ必要はなく、エンジン回転速度の減少量が十分に小さくなればよいのだから、求めた増加量よりも小さな(例えば半分の)増分でもよい。そこで、現状減速比から、単位時間あたりにこのような増分で高くなっていくような減速比を、目標減速比として設定することができる。
これに対して、実変化量が目標変化量よりも小さかった場合は(S208:no)、図11の6つの類型では中段の右側の類型、すなわち「車速を減少させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。
そこで、この場合(S208:no)は、現状減速比から所定の一定値を減算して、得られた減速比を減速機10の目標減速比に設定する(S210)。尚、現状減速比から減算する一定値は、S206で現状減速比から減算する一定値と同じ値に設定されている。もちろん、変速ショックが生じたり、不自然な状況で変速段が切り換わったと運転者に感じさせたりする虞が生じない範囲であれば、S206で現状減速比から減算する一定値と、S210で減算する一定値とを、異なる値としても構わない。
以上では、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも大きく(S203:yes)、且つ、目標変化量が負の値であった場合(S207:no)について説明した。
これに対して、目標変化量の絶対値が所定値Δeよりも大きく(S203:yes)、且つ、目標変化量が正の値であった場合は(S207:no)、図11に示した分類では、「車速を増加させるべき区間」に該当すると考えて良い。そこでこの場合も、車速の実変化量が、車速の目標変化量よりも大きいか否かを判断する(図13のS211)。
その結果、実変化量が目標変化量よりも大きかった場合は(S211:yes)、図11の6つの類型では下段の左側の類型、すなわち「車速を増加させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも大きい場合」に該当する。
そこで、現状減速比に所定の一定値を加算して、得られた減速比を減速機10の目標減速比に設定する(S212)。尚、現状減速比に加算する一定値は、S205で現状減速比に加算する一定値と同じ値に設定されている。
これに対して、実変化量が目標変化量よりも小さかった場合は(S211:no)、図11の6つの類型では下段の右側の類型、すなわち「車速を増加させるべき区間」で「車速の実変化量が目標変化量よりも小さい場合」に該当する。
そこで、エンジン回転速度を減少させない範囲で、現状減速比よりも低い目標減速比を設定する(S213)。すなわち、車両1は車速を増加させるべき区間を走行しているから、実際の車速も増加していると考えられ、これに伴って実際のエンジン回転速度も増加していると考えられる。ところが、減速機10の減速比をあまりに低くすると、エンジン回転速度が大幅に減少するので、車速は増加しているにも拘わらず、エンジン回転速度が減少することになって運転者に不自然な感じを与えてしまう虞がある。そこで、S213では、エンジン回転速度を減少させない範囲で、現状減速比よりも低い目標減速比を設定する。
尚、このような目標減速比を設定する方法は、図12のS209で目標減速比を設定する方法と、基本的な方法は同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上のように、本実施例の減速比変更処理では、図11に示したように、車両1が走行している区間に関する3つの分類と、車速の実変化量と目標変化量との大小関係を示す2つの分類とに基づいて、減速機10の目標減速比を設定する(S205、S206、S209、S210、S212、S213)。
その後、減速機ECU11に対して、減速機10の減速比を目標減速比に向かって変更するように指示する信号を出力する(S214)。すなわち、減速機10の減速比を変更する具体的な制御は減速機ECU11が実行しているので、S214では、減速機ECU11に対して減速比の変更を指示することとしている。
続いて、エンジン駆動力補正処理を開始する(S250)。
図14には、エンジン駆動力補正処理のフローチャートが示されている。図示されるように、エンジン駆動力補正処理では、先に設定した目標減速比が、現状減速比よりも高いか否かを判断する(S251)。
その結果、目標減速比が現状減速比よりも高かった場合は(S251:yes)、減速機10の減速比を目標減速比に変更することによって、エンジン回転速度が増加する。すると、エンジン20が出力する駆動力が僅かに減少して、それに応じて車速が低下する可能性がある。このような車速の低下は運転者が意図しない低下であるため、運転者に違和感を与える虞がある。そこで、このような車速の低下を抑制するべく、エンジン20が出力する駆動力を所定量だけ増加させるように、エンジンECU21に対して指示する信号を出力する(S252)。尚、このときの所定量は、比較的小さな値に設定されている。
これに対して、目標減速比が現状減速比よりも低かった場合は(S251:no)、減速機10の減速比を目標減速比に変更することによって、エンジン回転速度が減少する。すると、エンジン20が出力する駆動力が僅かに増加し、車速が増加する可能性がある。そして、このような車速の増加は運転者が意図しない増加であるため、運転者に違和感を与える虞がある。そこで、このような車速の増加を抑制するべく、エンジン20が出力する駆動力を所定量だけ減少させるように、エンジンECU21に対して指示する信号を出力する(S253)。尚、このときの所定量も、比較的小さな値に設定されている。
こうしてエンジンECU21に対して駆動力の補正を指示したら(S252、S253)、図14のエンジン駆動力補正処理を終了して、図12および図13の減速比変更処理に復帰する。
図13に示されるように減速比変更処理では、エンジン駆動力補正処理(S250)から復帰すると、運転支援装置100に内蔵されている図示しないタイマーを初期化して、減速機ECU11に対して減速比の変更を指示してからの経過時間の計測を開始する(S215)。その後、図12および図13に示した減速比変更処理を終了して、図3の運転支援処理に復帰する。そして、運転支援処理では、運転を終了するか否かを判断し(図3のS108)、運転を終了しない場合は(S108:no)、再び処理の先頭に戻って車両1の車速を取得した後(S100)、上述した続く一連の処理を繰り返す。
これに対して、運転を終了すると判断した場合は(S108:yes)、図3の運転支援処理を終了する。
本実施例の運転支援装置100は、このような運転支援処理を行うことによって、運転者が気付かないうちに車速が制限速度を超過したり、低下したりする事態を抑制することが可能となる。以下では、代表的な場合を例に用いて、この点について簡単に説明する。
図15には、車両1が下り坂を走行する場合が示されている。図15(a)に示したように、車両1が小さな勾配で長い下り坂を走行していると、図15(b)に実線で示したように車速が増加していく。このときの車速の変化量(すなわち、実変化量)は、車両1が下り坂に差し掛かった時点Tcで、目標変化量に対して許容範囲を超えて大きな正の値となる。
その後、車速が、制限速度よりも閾値速度以上大きくなった時点Tdで、運転支援装置100から減速機ECU11に対して、減速比を目標減速比に変更するように指示が出力され、その指示を受けて減速機ECU11は、減速比を目標減速比に向かって連続的に変えていく。その結果、図15(d)中に一点鎖線で示されるように、車速の実変化量が次第に大きくなっていき、やがて、目標減速比に対応する実変化量で一定となる。これに伴って、図15(c)中に一点鎖線で示されるように、エンジン回転速度も次第に増加していく。
図15(c)中では、減速比変更処理を行わなかった場合のエンジン回転速度の変化を実線で表し、減速比変更処理を行った場合のエンジン回転速度の変化を一点鎖線で表しているが、両者を比較すれば、減速比変更処理を行うことによって、エンジン回転速度の増加量が大きくなっていることが分かる。このため、減速比変更処理を行わない場合にはエンジン回転速度の増加に気付かない運転者も、減速比変更処理を行うことによってエンジン回転速度の増加に気付き易くなる。
その結果、運転者がエンジン回転速度の増加に気付いた時点Teで、車速が制限速度を超過していることに気付いて車速を減少させることにより、時点Tfで車速を制限速度まで低下させることが可能となる。
図16には、車両1が上り坂を走行する場合が示されている。図16(a)に示したように、車両1が小さな勾配で長い上り坂を走行していると、図16(b)に実線で示したように車速が減少していく。このときの車速の実変化量は、車両1が上り坂に差し掛かった時点Tcで、目標変化量に対して許容範囲を超えて下まわった負の値となる。
その後、車速が、制限速度よりも閾値速度以上小さくなった時点Tdで、運転支援装置100から出力された指示に従って、減速機ECU11が減速比を目標減速比に向かって連続的に変えていく。その結果、図16(d)中に一点鎖線で示されるように、車速の実変化量が、目標減速比に対応する実変化量に向かって次第に小さくなっていき、これに伴って、図16(c)中に一点鎖線で示されるように、エンジン回転速度も次第に減少する。
図16(c)中で、減速比変更処理を行わなかった場合のエンジン回転速度の変化(図中では実線で表示)と、減速比変更処理を行った場合のエンジン回転速度の変化(図中では一点鎖線で表示)とを比較すれば明らかなように、減速比変更処理を行うことによってエンジン回転速度の減少量が大きくなっている。このため、減速比変更処理を行わない場合にはエンジン回転速度の減少に気付かない運転者も、減速比変更処理を行うことによってエンジン回転速度の減少に気付き易くなる。
その結果、運転者がエンジン回転速度の減少に気付いた時点Teで、車速が制限速度を大きく下まわっていることに気付いて車速を増加させることにより、時点Tfで車速を制限速度まで増加させることが可能となる。
図17には、制限速度の高い道路から、制限速度の低い道路に合流する場合が示されている。この場合、あるべき車速は、図17(a)中に破線で示したように、ある程度の傾きで減少させていく必要があるが、運転者が高い車速での走行に慣れてしまうなどの理由によって、実線で示したように車速の減少が不十分となる場合がある。このときの車速の実変化量は、図17(c)に示すように、運転者が車速を減少し始めた時点Tgで負の値となるが、車速の減少が、あるべき減少に対して不十分となることに対応して、本来の変化量である目標変化量に対して、実変化量は、許容範囲を超えて大きな値となる。
その後、車速が、あるべき車速よりも閾値速度以上大きくなった時点Thで、運転支援装置100から出力された指示に従って、減速機ECU11が減速比を目標減速比に向かって連続的に変えていく。また、このときに減速機ECU11が指示される目標減速比は、エンジンの回転速度が増加しないように連続的に変更される。
図17(b)中で、減速比変更処理を行わなかった場合のエンジン回転速度の変化(図中では実線で表示)と、減速比変更処理を行った場合のエンジン回転速度の変化(図中では一点鎖線で表示)とを比較すれば明らかなように、減速比変更処理を行うことによってエンジン回転速度の減少量が小さくなっている。このため、運転者は車速を十分な減少量で減少させているつもりであるにも拘わらず、エンジン回転速度が思ったほどには減少しないので、時点Tiでそのことに気が付いて、車速を更に減少させるようになる。その結果、時点Tjで、あるべき車速まで車速を減少させることが可能となる。
以上に詳しく説明したように、本実施例の運転支援装置100では、減速機10の減速比を変更することによって、運転者に車速の変化状況を勘違いしていることを気付かせることができるので、何ら特別な装置や、大がかりな設備を要しない。その結果、車速の超過や低下が発生することを、実用的な方法で抑制することが可能となる。
E.変形例 :
上述した実施例では、減速機10の減速比を変更する方向に応じて、エンジン20の駆動力を増加させるのか、減少させるのかは切り換えるものの、駆動力を増減させる大きさは、比較的小さな所定量に固定されているものとして説明した。
しかし、減速比の変更に伴うエンジン20の駆動力の変化量は、減速比を変更する大きさや、その時のエンジン回転速度に応じて、異なる値となることが考えられる。従って、この点も考慮して、エンジンECU21に対する補正量を変更しても良い。
図18には、変形例のエンジン駆動力補正処理のフローチャートが示されている。この処理は、図12および図13に示した減速比変更処理の中でエンジン駆動力補正処理(S250)の代わりに実行される処理である。
変形例のエンジン駆動力補正処理(S260)では、先ず始めに、減速機10の減速比を目標減速比に変更した時のエンジン回転速度を算出する(S261)。車速とエンジン回転速度とは比例関係にあり、その比例係数は減速比によって決まるから、減速比を目標減速比に変更した時のエンジン回転速度は容易に算出することができる。
続いて、エンジン回転速度の変化に伴うエンジン20の駆動力の変化量を取得する(S262)。すなわち、エンジン20が出力する駆動力は、エンジン20のスロットル開度が同じであってもエンジン回転速度によって変化する。従って、減速機10の減速比を目標減速比に変更したことによってエンジン回転速度が変化すれば、その影響でエンジン20が出力する駆動力も変化するものと考えられる。そこで、この駆動力の変化量を取得する。エンジン20が出力する駆動力は、エンジン回転速度とスロットル開度とに対するマップの形態で、エンジンECU21のメモリーに記憶されている。従って、現状のスロットル開度と、変化前後のエンジン回転速度が分かれば、エンジンECU21に記憶されているマップを参照することによって、エンジン20が出力する駆動力の変化量を取得することができる。
その後、エンジンECU21に対して、駆動力の変化量を補正するように指示する信号を出力した後(S263)、図18に示した変形例のエンジン駆動力補正処理を終了して、図12および図13の減速比変更処理に復帰する。
このような変形例のエンジン駆動力補正処理では、減速比の変更に伴って、エンジン20が出力する駆動力が変化する事態を回避することができるので、運転者が意図しない駆動力の変化が生じて運転者に違和感を与えてしまう事態を回避することが可能となる。
以上、本実施例および変形例について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
例えば、上述した実施例では、減速機10が連続的に減速比を変更可能であるものとして説明した。しかし、多段階に減速比を変化させる減速機10でも、減速比の差が小さいために変速段を切り換えても、切り換えに伴う変速ショックが発生しない変速段の間では、エンジン回転速度を変更するために変速段を切り換えても良い。例えば、変速段が6速から7速、および7速から8速の間は減速比の差が小さく、変速段を切り換えても変速ショックが発生しないとする。この場合、例えば8速での走行中に、エンジン回転速度を増加させるために、8速から7速、更に7速から6速へと変速段を切り換えても良い。あるいは、6速での走行中に、エンジン回転速度を減少させるために、6速から7速、更に7速から8速へと変速段を切り換えても良い。
こうしても、エンジン回転速度が増加あるいは減少していることを運転者に気付かせることによって、車速の増加あるいは減少に気付かせることができる。その結果、運転者が気付かない間に車速が制限速度を超過あるいは下まわることを抑制することが可能となる。
1…車両、 2…ハンドル、 3…タイヤ、 4…車速センサー、
10…減速機、 11…減速機ECU、 20…エンジン、
21…エンジンECU、 30…ナビゲーション装置、 31…現在位置検出部、
32…地図情報記憶部、 100…運転支援装置、 101…車速取得部、
102…実変化量算出部、 103…現在位置取得部、 104…地図情報取得部、
105…目標変化量取得部、 106…許容判断部、 107…減速比変更部、
108…エンジン駆動力補正部。

Claims (9)

  1. 駆動力を発生するエンジン(20)と、該エンジンが発生した前記駆動力を減速してタイヤ(3)に出力すると共に減速比を変更可能な減速機(10)とを備える車両(1)に搭載されて、前記車両の運転者による運転動作を支援する運転支援装置(100)であって、
    前記車両の車速を取得して、所定の単位時間または単位距離あたりの前記車速の実変化量を、正負を識別した状態で算出する実変化量算出部(102)と、
    前記車両の走行位置に応じて前記車速を変化させる際の該車速の目標変化量を、正負を識別した状態で取得する目標変化量取得部(105)と、
    前記実変化量と前記目標変化量とを比較して、前記実変化量が、前記目標変化量に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する許容判断部(106)と、
    前記実変化量が前記目標変化量よりも大きいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記減速比を減少させ、前記実変化量が前記目標変化量よりも小さいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記減速比を増加させる減速比変更部(107)と
    を備える運転支援装置。
  2. 請求項1に記載の運転支援装置であって、
    前記車両の現在位置を取得する現在位置取得部(103)と、
    道路の制限速度の情報を含んだ地図情報を取得する地図情報取得部(104)と
    を備え、
    前記目標変化量取得部は、前記車両の現在位置と前記制限速度の情報とに基づいて、前記車速の目標変化量を取得する
    ことを特徴とする運転支援装置。
  3. 請求項2に記載の運転支援装置であって、
    前記地図情報取得部は、前記車速の目標変化量を取得する対象区間の情報を含んだ前記地図情報を取得し、
    前記目標変化量取得部は、前記車両が前記対象区間に存在する場合に、前記目標変化量を取得する
    ことを特徴とする運転支援装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
    前記許容判断部は、前記車両の車速と前記制限速度との偏差が所定の閾値速度よりも大きくなった場合に、前記実変化量が、前記目標変化量に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する
    ことを特徴とする運転支援装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
    前記減速比変更部は、前記目標変化量が正の値で、且つ、前記実変化量が前記目標変化量よりも小さいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記エンジンの回転速度が減少しない範囲で、前記減速比を減少させる
    ことを特徴とする運転支援装置。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
    前記減速比変更部は、前記目標変化量が負の値で、且つ、前記実変化量が前記目標変化量よりも大きいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記エンジンの回転速度が増加しない範囲で、前記減速比を増加させる
    ことを特徴とする運転支援装置。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
    前記減速機は、前記減速比を連続的に変更可能な無段減速機である
    ことを特徴とする運転支援装置。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
    前記減速比変更部が前記減速比を増加させる場合は、前記エンジンが発生する駆動力を増加させ、前記減速比変更部が前記減速比を減少させる場合は、前記エンジンが発生する駆動力を減少させるエンジン駆動力補正部(108)を備える
    ことを特徴とする運転支援装置。
  9. 駆動力を発生するエンジン(20)と、該エンジンが発生した前記駆動力を減速してタイヤ(3)に出力すると共に減速比を変更可能な減速機(10)とを備える車両(1)に適用されて、前記車両の運転者による運転動作を支援する運転支援方法であって、
    前記車両の車速を取得して、所定の単位時間または単位距離あたりの前記車速の実変化量を、正負を識別した状態で算出する工程(S105)と、
    前記車両の走行位置に応じて前記車速を変化させる際の該車速の目標変化量を、正負を識別した状態で取得する工程(S104)と、
    前記実変化量と前記目標変化量とを比較して、前記実変化量が、前記目標変化量に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する工程(S106)と、
    前記実変化量が前記目標変化量よりも大きいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記減速比を減少させ、前記実変化量が前記目標変化量よりも小さいために前記許容範囲内に無いと判断された場合には、前記減速比を増加させる工程(S200)と
    を備える運転支援方法。
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