JP2018043436A - 液体吐出装置および液体吐出装置の不吐出検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のチップが配列して構成される液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置において、信頼性の高い不吐出検出を行う方法を提供する。【解決手段】第1のチップと第2のチップの相対的な位置情報に基づいて、不吐出検出を実行するタイミングを第1のチップと第2のチップに配列する複数のノズルの夫々について調整する。【選択図】図7
Description
本発明は液体吐出装置において個々のノズルの不吐出を検出する方法に関する。
インクジェット記録装置のような液体吐出装置では、液体吐出ヘッドに配列する複数のノズルのそれぞれが、吐出信号に従って液体を吐出する。この際、複数のノズルの中に不吐出のノズルが存在すると、成果物の品位が低下してしまうおそれが生じる。例えばインクジェット記録装置において、複数配列するノズルの中に不吐出のノズルが存在すると、記録された画像に白スジが現れ、画像品位が劣化してしまう。このため、液体吐出装置においては、吐出データに従った吐出動作を行う前に、個々のノズルが吐出できているか否かを確認するための不吐出検出処理を行うことが好ましい。
例えば特許文献1には、複数のノズルが配列する方向に光を照射した状態で、複数のノズルのそれぞれより順番にインクを吐出させることにより、光の遮光状況に基づいて不吐出ノズルの位置を検出する方法が開示されている。また、特許文献2には、ノズルの吐出経路を挟んで配置される発光素子および受光素子を、複数ノズルの配列方向に移動させながら、発光素子と受光素子の間で吐出するノズルの吐出状態を順番に確認する方法が開示されている。
ところで近年では、複数のノズルが配列されたチップを更に複数配列して構成された液体吐出ヘッドが提供されている。特に、フルライン型のインクジェット記録装置のように、長い配列領域が要されるインクジェット記録ヘッドでは、製造時の歩留まりを向上させるために上記構成は有用である。例えば特許文献3には、このような構成の液体吐出ヘッドでチップ間にずれが発生した場合に、このずれに伴う画像弊害を目立たなくする方法が開示されている。
しかしながら、チップ間のずれが含まれている液体吐出ヘッドでは、発光素子と受光素子を用いた上記不吐出検出が困難な場合があった。例えば、特許文献1のようにノズルが配列する方向に光を照射する方法では、ノズル並び方向と垂直な方向に2つのチップがずれてしまうと、吐出された液滴がセンサの検出領域から外れてしまい、吐出の有無を検出することができなくなってしまう。また、特許文献2のように、センサをノズル並び方向に移動させる方法では、ノズル並び方向に2つのチップがずれてしまうと、検出のタイミングがノズルの位置と合わず、吐出の有無を検出することができなくなってしまう。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、複数のチップが配列して構成される液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置において、信頼性の高い不吐出検出を行う方法を提供することである。
そのために本発明は、液体を吐出するノズルが所定の方向に複数配列されている第1のチップと第2のチップが、前記ノズルが配列する領域を前記所定の方向に重複させながら配置されてなる液体吐出ヘッドと、個々のノズルの吐出を検出することが可能な検出センサと、当該検出センサを前記所定の方向に移動させることが可能な移動手段を用いて、前記液体吐出ヘッドの不吐出検出を実行する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報に基づいて、前記不吐出検出を実行するタイミングを前記第1のチップと前記第2のチップに配列する複数のノズルの夫々について調整することを特徴とする。
本発明によれば、複数のチップが配列して構成される液体吐出ヘッドに対し、信頼性の高い不吐出検出を実行することができる。
図1は、本発明の液体吐出装置として使用可能なインクジェット記録装置100(以下、単に記録装置とも言う)の概略構成図である。本実施形態の記録装置100はフルライン型のインクジェット記録装置であり、記録媒体Pの幅以上の長さを有する4つの記録ヘッド101〜104がY方向に並列配置されている。記録ヘッド101〜104は、ブラック(K)、シアン(c)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクをそれぞれZ方向に吐出する。記録ヘッド101〜104のそれぞれにおいては、複数のノズルが記録解像度に対応するピッチでX方向に配列している。ノズルの配列状態については、後に詳しく説明する。
記録処理を行う際、記録媒体Pは搬送ローラ105の回転に伴って図のY方向(ノズルが配列するX方向と交差する方向)に所定の速度で搬送され、この搬送の最中、記録ヘッド101〜104に配列する個々のノズルから、吐出データに従ってインクが吐出される。記録動作が行われる位置の記録媒体Pは、平板からなるプラテン106によって下方から支持されており、記録ヘッド101〜104との距離および平滑性が維持されている。
図2(a)および(b)は、記録ヘッドにおけるノズルの配列構成を説明するための図である。図1で示した4つの記録ヘッド101〜104は全て等しい構造を有しているので、ここではブラック用の記録ヘッド101について説明する。なお、本図は、図1における記録ヘッド101を−Z方向から見た透視図に相当する。記録ヘッド101は、図2(b)で示すようなチップを、同図(a)のようにX方向に4枚配置して構成される。ここで、○印はノズルの位置を示している。
図2(b)に示すように、個々のチップには、A列〜H列で示す8列のノズル列がY方向に並列配置されており、それぞれのノズル列にはSeg0〜Seg18の19個のノズルがX方向に一列に並んでいる。個々のノズル列において、Seg0〜Seg18はX方向にL1のピッチで配列しており、A列〜H列のノズル列は、X方向に半ピッチすなわちL2=L1/2ずつシフトしている。更に、チップ0〜3を図2(a)のようにX方向に配置した状態においても、上記配列規則がチップ間の境界領域でも維持されるように、個々のチップの形状およびノズルレイアウトが予め設計されている。以上の構成により、記録ヘッド101は、X方向において1画素幅が、L2=L1/2となる解像度でドットを記録することが出来る。
4つのチップで構成される記録ヘッド101では、X方向のいずれの画素位置においても、A列、C列、E列、G列の4ノズル、またはB列、D列、F列、H列の4ノズルが配置している。すなわち、記録媒体PのY方向に延びる1画素領域は、これら4つのノズルで、代わる代わるドットを記録することが出来る。この際、チップの中央領域では同一チップに属する4つのノズルで、チップの境界領域では異なるチップに属する4つのノズルで、ドットが記録されることになる。そして、X座標が等しいこれら4つのノズルのうち、いずれかに不吐出が生じた場合には、この不吐出ノズルが記録するべきドットを他のノズルで補完するようにしている。本実施形態では、このような補完処理を的確に行うために、所定の不吐出検出を行って不吐出ノズルの情報を事前に取得する。
図3(a)および(b)は、不吐出ノズルを検出するための検出センサの構造および検出方法を説明するための図である。検出センサ300は、発光部301と受光部302を備え、発光部301から+Y方向に照射され受光部302で受信される光の量が、ノズル200から吐出された液滴で遮断されることによって変化し、吐出の有無が判断できる仕組みになっている。この際、個々のノズル200から吐出される液滴は、1滴でも良いし複数滴でも良い。滴数を多くするほどセンサ出力のS/N比を高めることができる一方、1ノズルの検出に必要な時間が多くなる。なお、吐出されたインクは、+Z方向に備えられたインク受けにて収容される。
図3(b)に示すように、検出センサ300はキャリッジ303に搭載され、キャリッジ303はX方向に延在するレール304に案内されながら、X方向に移動可能になっている。レール304にはエンコーダパターン305が形成されており、キャリッジ303に取り付けられたエンコーダセンサ306がこれを読み取ることによって、キャリッジ303のX方向における現在位置が確認できるようになっている。このような構成のもと、検出対象となるノズルの位置にキャリッジ303を合わせ、その状態で検出対象ノズル200に吐出動作を行わせ、そのタイミングで検出センサ300の検出値を取得すれば、検出対象ノズルが正常に吐出したか否かを判断することができる。
図4は、液体吐出装置100の制御の構成を説明するためのブロック図である。CPU401は、ROM402に保持されるプログラムに従ってRAM403をワークエリアとしながら装置全体を制御する。
例えばCPU401は、インターフェイス404を介して外部から受信した画像データを、ROM402に保持されるプログラムに従って画像処理し、記録ヘッド101〜104が記録可能な記録データとしてRAM403に保存する。ASICからなる統合制御部405は、RAM403に記憶された記録データに従って、ヘッドドライバ406を駆動し、記録ヘッド101〜104に吐出動作を行わせる。同時に、統合制御部405は、搬送制御部407を介して搬送モータ307を駆動し、搬送ローラ105を所定の速度で回転させる。これにより、搬送ローラ105に支持される記録媒体PはY方向に一定速度で搬送され、その表面には記録ヘッド101〜104によって所定の画像が記録される。
記録ヘッド101〜104の不吐出を検出する際、統合制御部405は、キャリッジ制御部408を介して、キャリッジモータ409を駆動し、エンコーダセンサ306の読み取り値に基づいて、キャリッジ303を検出対象ノズルの位置に合わせる。そして、ヘッドドライバ406を介して検出対象ノズルを駆動し、インクを吐出させる。更に、この吐出動作を行っている最中の検出センサ300の検出値を、検出制御部410を介して取得し、検出対象ノズルが正常に吐出できているか否かを判断する。その後、その情報を記憶部411に保存する。記憶部411においては、このような不吐出ノズルの情報やチップ間の相対的な位置情報(ずれの情報)が装置製造時に予め記憶されている。そして、不吐出ノズルの情報については、上記説明した不吐出検出処理が実行されるたびに更新できるようになっている。
なお、以上では、キャリッジ303を検出対象ノズルの位置に合わせた後に、吐出動作や検出動作を行うように説明した。しかし、実際には、キャリッジ303をX方向に所定速度で移動させ、キャリッジ303によって不吐出検出が可能な位置にあるノズルについて順番に、吐出動作と検出処理を行うものとする。
図5(a)および(b)は、記録ヘッド101に配列する個々のノズルの検出タイミングを説明するための図である。ここでは、キャリッジ303を、記録ヘッド101の−X方向側の端部から+X方向に向けて移動させながら不吐出検出を行う状態を示している。そして、図5(a)は、キャリッジ移動を開始した時、同図(b)はキャリッジ303がチップ0とチップ1の境界部近傍を移動する時、をそれぞれ示している。いずれの図においても、横軸はキャリッジ移動開始からの経過時間tを示している。
図において、ΔTは、X方向における1画素領域(L2)が、検出センサ300による不吐出検出の対象となり得る時間を示し、以後検出可能時間と称す。また、Δtは、1つのノズルについての不吐出検出の所要時間を示す。具体的には、任意のノズルからインクを吐出させその吐出の有無を検出センサ300で検出するための時間に相当する。本実施形態においては、ΔT=7×Δtとなっており、検出可能時間ΔTの間に7ノズル分の吐出状態を順番に検出することができるようになっている。言い換えると、1画素領域L2が検出可能な領域に相当している間に、7回分(7ノズル分)の検出処理を行えるように、キャリッジ303の移動速度Vが設定されている。
図5(a)を参照するに、不吐出検出が開始されると、キャリッジ303は+X方向へ加速され、目標速度V0にて等速移動に切り替えられる。X方向の最初の画素領域に相当する検出可能領域1では、チップ0、A列、Seg0のノズルのための検出処理が行われる。続く検出可能領域2では検出可能なノズルは存在せず、検出可能領域3では、チップ0、A列、Seg1のノズルのための検出処理が行われる。検出可能領域6からはB列以降のノズル列の検出処理も行われ、検出可能領域11以降は複数のノズルについての検出処理が行われる。
さらにキャリッジ303が進行すると、個々の検出可能領域では、図5(b)に示すように、4つずつのノズルについて検出処理が行われるようになる。すなわち、Δtの検出処理が4つのノズルのそれぞれに対し順番に行われる。そして、キャリッジ303がチップ0とチップ1の境界部近傍を移動しながら検出の対象をチップ0からチップ1に移行するときも、このような検出状態は維持されている。
図4で説明した記憶部411には、このような検出処理を行うべきタイミングが個々のチップおよび個々のノズルに対応づけて予め記憶されており、統合制御部405は、記憶されたタイミングに基づいて、個々のノズルの検出処理を行う。そして、得られた結果を、個々のノズルに対応づけて記憶部411に記憶または更新する。
以下、このような検出処理に対するチップ間の位置ずれの影響と、本実施形態の対処方法を説明する。図6は、チップ0とチップ1がY方向にずれた状態を示している。このようなY方向へのずれは、検出センサ300の光軸と平行な方向へのずれであるため、吐出経路が発光部301と受光部302を結ぶ光路から外れることはない。すなわち、チップ間のY方向へのずれは、不吐出検出処理に影響することはない。
一方、図7(a)および(b)は、チップ1がチップ0に対し+X方向に半画素分(L3=L2/2)ずれた状態を示す図である。X方向へのずれは、光軸と垂直な方向へのずれであるため、吐出経路が発光部301と受光部302を結ぶ光路から外れてしまうおそれがある。言い換えると、不吐出検出するために好適なタイミングが、チップ間で異なっていることになる。
図7(b)を参照して具体的に説明すると、キャリッジ303が速度V0で等速移動する状態において、チップ1のノズルは、チップ間のずれが発生していない図5(b)に比べて、ΔT/2だけ遅れたタイミングで検出センサの検出可能領域に含まれることになる。このため、本実施形態では、チップ1に含まれるノズルに対する検出タイミングを、図5(b)で示した標準のタイミングから、ΔT/2だけ遅らせる。
このように、2つのチップ間に1画素未満(L2未満)のX方向のずれが発生した場合、本実施形態では、個々の検出可能領域ΔTにおいて、不吐出検出を開始するタイミングを、チップごとに調整する。図7(b)の場合は、チップ1の検出可能領域をチップ0の検出可能領域に対し、ΔT/2だけ遅延させている。すなわち、そのような遅延情報を、チップ間のずれに基づいて、予め記憶部411に記憶させている。これにより、互いにすれているチップに含まれるノズルの不吐出検出を、これらチップ間にずれが無い場合と同等に行うことができる。
図8(a)および(b)は、チップ1がチップ0に対し+X方向に1画素分(L2)ずれた状態を示す図である。この場合、チップ1で設定される検出可能領域はチップ0で設定される検出可能領域に対して、丁度1領域分すなわちΔTだけずれることになる。
図8(b)を参照して具体的に説明する。キャリッジ303が速度V0で等速移動するとき、チップ1のノズルは、チップ間のずれが発生していない図5(b)に比べて、ΔTだけ遅れたタイミングで検出センサの検出可能領域に入る。このため、本実施形態では、チップ1の検出可能領域を、図5(b)で示した標準の検出可能領域からΔTだけ即ち1領域分だけ遅らせて設定する。
例えば、図5(b)において検出可能領域n+3に含まれていたチップ1、A列、Seg0のノズルを検出可能領域n+4で検出するようにする。このため、検出可能領域n+4では、チップ0、B列、Seg17と、チップ0、D列、Seg12と、チップ0、F列、Seg7と、チップ0、H列、Seg2、および、チップ1、A列、Seg0の5ノズルを検出することになる。また、検出可能領域n+3では、チップ0、C列、Seg14と、チップ0、E列、Seg9と、チップ0、G列、Seg4の3ノズルを検出することになる。このように、2つのチップ間に1画素単位のX方向のずれが発生した場合には、個々のチップについての検出可能領域を検出可能領域の単位でシフトさせればよい。
ところで、図7(a)および(b)で説明したような、検出可能領域をΔTより小さい範囲でシフトさせる方法と、図8(a)および(b)で説明したような、検出可能領域を検出可能領域の単位でシフトさせる方法は、同時に採用することもできる。すなわち、1画素単位の大きなずれ量については図7(a)および(b)で説明した方法で対応し、1画素未満の小さなずれ量については図8(a)および(b)で説明した方法で対応する。このようにすれば、チップ間のずれ量がどのような値であっても、両チップに含まれる全てのノズルの不吐出検出を、チップ間のずれが存在しない場合と同等に実行することができる。
図9は、チップ1がチップ0に対しXY平面で回転した状態を示す図である。このような回転ずれが発生した場合であっても、チップ1のチップ0に対する回転方向と量が予め分かっていれば、個々のノズルが標準の位置からX方向にどの程度ずれているのかを把握することができる。そして、それぞれのノズルについて上述した方法と同様の方法で検出タイミングを調整することができる。
なお、以上の例では、個々の検出可能領域ΔTがΔtよりも十分に大きいため(ΔT=7×Δt)、図7や図8のような補正を行っても、複数回数の検出処理を所定の検出可能領域内(ΔTの範囲)に収めることができるようになっている。しかし、ノズル列の数が更に多い場合や、解像度が更に高い場合、また1ノズルについての不吐出検知の所要時間Δtが更に大きい場合などは、必要な数のΔtがΔTに収まらない状況も考えられる。このため、キャリッジ303の走査速度Vは、チップ間のずれの情報に基づいて想定される最大回数Nの検出がΔTに収まるように、すなわちV≦L2/(Δt×N)となるように、設定されることが好ましい。
また、想定される検出回数Nは、液体吐出ヘッド101のX方向の位置によっても変化する。具体的には、チップ間の境界領域ではチップ間のずれによってNが変動するが、チップの中央部ではチップ間のずれの有無によらずNは一定である。このため、キャリッジ速度Vは、記録ヘッド全域に亘って想定される最大の検出回数Nmaxに基づいてV=L2/(Δt×Nmax)となるように一定の値に設定しても良いが、チップ間の境界領域と非境界領域で変化させても良い。例えば、図8(b)に示すように、N=5が存在しない(N≦4である)チップ中央部のキャリッジ速度はV1=L2/(Δt×4)としながら、N=5が存在するチップ境界領域でのキャリッジ速度はV1=L2/(Δt×5)としてもよい。このように、X方向の位置に応じてキャリッジ速度Vを適切な値に調整することにより、不吐出検知を正常に行いながらも、全体の所要時間を少なく抑えることができる。
なお、図6〜図9で説明したようなチップ間の位置ずれ情報は、不吐出検出だけでなく、通常の記録動作にも利用される。例えば、チップ1がチップ0に対し+X方向にずれている場合には、−X方向に隣接するノズルとの間に白領域が発生するおそれがある。よって、この場合には、境界部に位置するノズルの吐出回数や吐出量を他のノズルよりも多く設定することが有効である。反対に、チップ1がチップ0に対し−X方向にずれている場合には、両者の境界に濃度の高いが発生するおそれがある。よってこの場合には、境界部に位置するノズルの吐出回数や吐出量を他のノズルよりも少なく設定すれば良い。
また、図6のようなY方向のずれについても、不吐出検知に対しては特に影響はないものの、実画像にはY方向への記録位置ずれとして影響が現れる。このため、出荷時検査においては、Y方向のずれについても、予め記憶部411やROM402にずれ情報が記憶されていることが好ましい。例えば、チップ0に対してチップ1が+Y方向にずれている場合は、実画像を記録する際に、チップ1の吐出タイミングをチップ0の吐出タイミングよりも、ずれ量に対応した分だけ遅延させればよい。
また、検出可能領域ΔTに含めることのできる検出回数Nは、キャリッジ303の速度変動にも影響を受ける。図10(a)および(b)は、キャリッジ速度にばらつきが含まれている場合の制御方法を示す図である。キャリッジ速度Vが設定値V0よりも大きくなってしまうと、1画素領域に対する検出可能時間ΔT´が、V0から導かれる検出領域ΔTより小さくなってしまう。図10(a)では、この短縮されたΔT´の中で、4ノズル分の検出時間(4×Δt)が収まりきらなくなった状態を示している。
但し、このような速度変動が生じる場合でも、その変動の傾向が予め想定できれば、当該速度変動を考慮に入れた上で、キャリッジ速度Vを予め小さい値に設定しておくことができる。具体的には、例えば、キャリッジ速度の設定値V0に対する最大変位量をΔVとしたとき、
V1≦L2/(Δt×Nmax)−ΔV
を満足するようなキャリッジ速度V1を設定すれば、図10(b)に見るように、十分な大きさの検出可能領域ΔTのもとで、個々の検出処理のタイミングを調整することができる。
V1≦L2/(Δt×Nmax)−ΔV
を満足するようなキャリッジ速度V1を設定すれば、図10(b)に見るように、十分な大きさの検出可能領域ΔTのもとで、個々の検出処理のタイミングを調整することができる。
一方、検出可能領域ΔTに含めることのできる検出回数Nは、検出センサ300が照射する光の有効径にも依存する。図11(a)および(b)は、照射光の有効径を説明するための図である。発光部301から照射される光軸径M1の中でも、外側領域は光量が弱いため、有効な検出値が得られるのは中心部に近い領域のみとなる。図ではそのような領域を有効径M2で示している。図11(a)は有効径M2がM2=15×L2である場合、同図(b)は有効径M2がL2<M2<2×M2である場合をそれぞれ示している。
有効径M2に含まれる画素領域の数K=M2/L2が十分大きい場合、キャリッジ303が多少早いタイミングや遅いタイミングで検出対象ノズルの位置を通過しても、光学センサである検出センサ300の有効径M2の中に検出対象ノズルを含めることが出来る。すなわち、図10(b)のような制御を採用しなくても、キャリッジ速度をV0に設定したままで、通常の不吐出検出を行うことができる。そして、このような、キャリッジ速度Vの変動量に対する許容範囲は、Kの値が大きいほど大きくなる。言い換えると、キャリッジ速度の設定値V0については、想定される変動量ΔVと検出センサ300が照射する光の有効径M2の双方を考慮に入れた上で設定することが好ましい。
以上説明したようなチップ間の位置ずれやキャリッジの速度変動に関する情報は、記録装置100の出荷時検査などで測定し、予め記憶部411やROM402などに記憶しておくこが好ましい。また、記録装置100の着荷時などの適切なタイミングで、これらを測定するための特別なシーケンスを用意しておくことも有効である。チップ間のずれ測定用のシーケンスとしては、例えば、記録ヘッド101を用いて所定のテストパターンを記録し、光学センサなどを用いてパターンの記録位置をチップごとに測定し、得られた情報を記憶部411やROM402に記憶する工程を含んでいれば良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のチップが配列して構成される液体吐出ヘッドにおいて、個々のノズルの不吐出検出を行うタイミングを、チップ間の位置ずれ情報に基づいて調整する。そしてこの際、個々の検出可能領域ΔTの中に想定される検出回数Nが収まるように、キャリッジの移動速度Vを調整する。これにより、複数のチップが配列して構成される液体吐出ヘッドであっても、不吐出検出を個々のノズルについて確実に行うことが可能となる。
なお、図4では、統合制御部405を備える形態で説明したが、統合制御部405については必須の構成ではない。上述した不吐出検出を含む演算や画像処理を高速に実行できる形態であれば、その役割をCPU401が担っても良い。また記憶部411についても、外部に接続されたDRAM、SRAM、ROMなど他の形態のメモリとしても良い。
また、図3(b)では、レール304に形成されたエンコーダパターン305をキャリッジ303に取り付けられたエンコーダセンサ306が読み取ることによって、キャリッジ303の位置を把握する構成としたが、このような構成も必須ではない。例えば、レール304にネジ形状を形成し、キャリッジ303に設けられたネジの回転数によってキャリッジ303の位置を把握するようにしても良い。
また、以上では、1つのチップに8列のノズル列を有し、X座標の同じ位置を4つのノズルで代わる代わる記録する液体吐出ヘッドを例に説明したが、本発明の液体吐出ヘッドはこのような構成に限定されるものではない。例えば、1つのチップが1列のノズル列しか有していなくても、隣接するチップが互いに重複領域を設けてX方向に配列されていれば、重複領域において上記境界領域と同様の課題、すなわち検出可能領域ΔTと検出回数Nの課題が生じる場合がある。この場合であっても、チップ間ずれの情報に従って、上述した不吐出検出方法を行えば、上記実施形態と同様の効果を得ることが出来る。なお、上記構成の場合、2つのチップが重複する領域では、X座標の同じ位置を2つのノズル(チップ)で記録し、重複しない領域では1つのノズルのみで記録する形態となる。
100 液体吐出装置
101 液体吐出ヘッド
300 検出センサ
303 キャリッジ
405 統合制御部
101 液体吐出ヘッド
300 検出センサ
303 キャリッジ
405 統合制御部
Claims (21)
- 液体を吐出するノズルが所定の方向に複数配列されている第1のチップと第2のチップが、前記ノズルが配列する領域を前記所定の方向に重複させながら配置されてなる液体吐出ヘッドと、
個々のノズルの吐出を検出することが可能な検出センサと、当該検出センサを前記所定の方向に移動させることが可能な移動手段を用いて、前記液体吐出ヘッドの不吐出検出を実行する制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報に基づいて、前記不吐出検出を実行するタイミングを前記第1のチップと前記第2のチップに配列する複数のノズルの夫々について調整することを特徴とする液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記位置情報に基づいて、前記移動手段が前記検出センサを移動させる移動速度を更に調整することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記移動速度をV、前記ノズルが前記所定の方向に配列するピッチをL2、1つのノズルについての前記不吐出検出のための所要時間をΔt、前記検出センサが任意の位置にあるときに前記不吐出検出の対象とすることが可能なノズルの数をNとしたとき、
前記制御手段は、
V≦L2/(Δt×N)
が満たされるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記移動速度が前記検出センサの前記液体吐出ヘッドに対する位置によらず一定であるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記制御手段は、前記移動速度が、前記検出センサの前記液体吐出ヘッドに対する位置ごとに、前記Nの値に応じて異なるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
- 前記移動速度の最大の変動量をΔVとしたとき、前記制御手段は、
V≦L2/(Δt×N)−ΔV
が満たされるように、前記移動速度Vを調整することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報は、前記液体吐出ヘッドの製造時に当該液体吐出ヘッドを搭載する前記液体吐出装置のメモリに記憶されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記不吐出検出の結果を記憶および更新する手段を更に有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記第1のチップと前記第2のチップには、複数のノズルが前記所定の方向に配列されて成るノズル列が、前記所定の方向と交差する方向に更に複数配列されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記液体吐出装置は、記録データに従って前記液体吐出ヘッドよりインクを吐出することにより記録媒体に画像を記録することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記検出センサは、発光部から照射され受光部で受信される光の量が、ノズルから吐出された液滴で遮断されることを検出することによって、当該ノズルの吐出の有無を検出することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 液体を吐出するノズルが所定の方向に複数配列されている第1のチップと第2のチップが、前記ノズルが配列する領域を前記所定の方向に重複させながら配置されてなる液体吐出ヘッドのための不吐出検出方法であって、
個々のノズルの吐出を検出することが可能な検出センサと、当該検出センサを前記所定の方向に移動させることが可能な移動手段を用い、
前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報に基づいて、前記検出センサが不吐出検出を実行するタイミングを前記第1のチップと前記第2のチップに配列する前記複数のノズルの夫々について調整することを特徴とする不吐出検出方法。 - 前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報に基づいて、前記移動手段が前記検出センサを移動させる移動速度を更に調整することを特徴とする請求項12に記載の不吐出検出方法。
- 前記移動速度をV、前記ノズルが前記所定の方向に配列するピッチをL2、1つのノズルについての前記不吐出検出のための所要時間をΔt、前記検出センサが任意の位置にあるときに前記不吐出検出の対象とすることが可能なノズルの数をNとしたとき、
V≦L2/(Δt×N)
が満たされるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項13に記載の不吐出検出方法。 - 前記移動速度が前記検出センサの前記液体吐出ヘッドに対する位置によらず一定であるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項14に記載の不吐出検出方法。
- 前記移動速度が、前記検出センサの前記液体吐出ヘッドに対する位置ごとに、前記Nの値に応じて異なるように、前記移動速度を調整することを特徴とする請求項14に記載の不吐出検出方法。
- 前記移動速度の最大の変動量をΔVとしたとき、
V≦L2/(Δt×N)−ΔV
が満たされるように、前記移動速度Vを調整することを特徴とする請求項14ないし16のいずれか1項に記載の不吐出検出方法。 - 前記第1のチップと前記第2のチップの相対的な位置情報は、前記液体吐出ヘッドの製造時に当該液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置のメモリに記憶されていることを特徴とする請求項12ないし17のいずれか1項に記載の不吐出検出方法。
- 前記不吐出検出の結果を記憶および更新することを特徴とする請求項12ないし18のいずれか1項に記載の不吐出検出方法。
- 前記第1のチップと第2のチップには、複数のノズルが前記所定の方向に配列されて成るノズル列が、前記所定の方向と交差する方向に更に複数配列されていることを特徴とする請求項12ないし19のいずれか1項に記載の不吐出検出方法。
- 前記検出センサは、発光部から照射され受光部で受信される光の量が、ノズルから吐出された液滴で遮断されることを検出することによって、当該ノズルの吐出の有無を検出することを特徴とする請求項12ないし20のいずれか1項に記載の不吐出検出方法。
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