[第1実施形態の検眼ユニットの構成]
図1から図3は、複数種の眼特性の検査を選択的に1つ装置で実行可能な手持ち型検査装置1の正面斜視図である。ここで、図1は眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)及び角膜形状の測定を行う場合の手持ち型検査装置1の正面斜視図であり、図2は角膜内皮細胞の検査を行う場合の手持ち型検査装置1の正面斜視図であり、図3は眼圧の検査を行う場合の手持ち型検査装置1の正面斜視図である。また、図4は手持ち型検査装置1の背面斜視図である。
図1から図4に示すように、手持ち型検査装置1は、互いに異なる眼特性の検査を行う複数種の検眼ユニット16のいずれかを選択的に着脱自在且つ交換自在に保持するユニット保持部2と、検者が把持する取手部3(グリップ部又は把持部ともいう)と、本発明の表示部に相当するタッチパネル式モニタ4と、を備える。
なお、図中のX軸方向は、被検者を基準とした左右方向[被検眼E(図10参照)の眼幅方向]であり、Y軸方向はX軸方向に直交する図中上下方向であり、Z軸方向は検眼ユニット16の検査光軸に対して平行な方向(被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向)である。このため、図中のXYZ軸で規定される座標系は、検査光軸の方向、すなわち手持ち型検査装置1の姿勢によって定まる相対座標系である。
ここで、検査光軸とは、検眼ユニット16の検査開口を通り前述の前後方向に沿う軸(例えば、図9の主光軸O10、図10の主光軸O21、図11の主光軸O31)である。また、X軸は本発明の第2軸に相当し、Y軸は本発明の第3軸に相当し、Z軸は本発明の第1軸に相当する。
複数種の検眼ユニット16は、互いに同一形状、例えば上下方向(Y軸方向)から見た場合に中心角が120°の略円弧形状を有しているが、互いに異なる眼特性の検査を行う。本実施形態では、被検者の被検眼E(図10参照)に対して、眼屈折力の測定及び角膜の形状測定と、角膜内皮細胞の検査と、眼圧の検査と、を行う場合を例に挙げて説明する。この場合、複数種の検眼ユニット16の中から上記各検査にそれぞれ対応した3種類の検眼ユニット16A,16B,16Cが選択され、これら3種類の検眼ユニット16A,16B,16Cのいずれかがユニット保持部2に着脱自在且つ交換自在に保持される。
図1に示した検眼ユニット16Aは、被検眼E(図10参照)の眼屈折力及び角膜形状の測定を行うオートレフケラトメータ(Auto Refract-Keratometer:KR)である。図2に示した検眼ユニット16Bは、被検眼Eの角膜内皮細胞の検査を行う角膜内皮細胞検査装置(Specular microscope:SP)である。図3に示した検眼ユニット16Cは、被検眼Eの眼圧の検査を行う非接触式眼圧検査装置(Non-Contact Tonometer:CT)である。
以下、検眼ユニット16A,16B,16Cをそれぞれ図面上で適宜「KR」、「SP」、及び「CT」と表示すると共に、「眼屈折力及び角膜形状の測定」を「KR検査」と略し、「角膜内皮細胞の検査」を「SP検査」と略し、「眼圧の検査」を「CT検査」と略す。
ユニット保持部2は、KR検査を行う場合には検眼ユニット16Aを着脱自在に保持し(図1参照)、SP検査を行う場合には検眼ユニット16Bを着脱自在に保持し(図2参照)、CT検査を行う場合には検眼ユニット16Cを着脱自在に保持する(図3参照)。
図5は、検眼ユニット16(図中の検眼ユニット16Cは例示)を取り外した状態でのユニット保持部2及び取手部3の正面斜視図である。また、図6は、同状態でのユニット保持部2及び取手部3の背面斜視図である。
図5及び図6に示すように、ユニット保持部2は、例えば、検眼ユニット16の被検眼E(図10参照)に対向する側とは反対側の背面側(以下、単に背面側と略す)に当接する背面当接部2aと、検眼ユニット16の上面に当接する上面当接部2bと、検眼ユニット16の下面に当接する下面当接部2cと、を有する。これにより、ユニット保持部2は、複数種の検眼ユニット16の中から検者が選択した1つの検眼ユニット16をその背面側から上下方向(Y軸方向)に挟み込むことで、この検眼ユニット16を着脱自在に保持する。
この際に本実施形態では、検眼ユニット16の背面が凹状に形成されると共に、背面当接部2aが凸状に形成されている。このため、ユニット保持部2が検眼ユニット16を保持した際に、検眼ユニット16の凹状の背面に凸状の背面当接部2aが係合することで、ユニット保持部2に対して検眼ユニット16が位置決めされる。
なお、ユニット保持部2は、検眼ユニット16を着脱自在且つ交換自在に保持可能で且つ検眼ユニット16による被検眼E(図10参照)の検査を妨げなければ、その形状及び構造等については特に限定されない。また、図示は省略するが、ユニット保持部2及び検眼ユニット16のいずれか一方に被係合部(凹部等)を設けると共に、他方に係合部を設けて、この係合部を被係合部に係合させることで、検眼ユニット16がユニット保持部2に着脱自在に保持されるようにしてもよい。さらに、下面当接部2cについては、後述の取手部3の上面により構成されていてもよい。
取手部3は、ユニット保持部2の下部に設けられており、手持ち型検査装置1において眼特性の検査を行う際に検者によって把持される。換言すると、手持ち型検査装置1は、
取手部3の上部にユニット保持部2を設けた構造であるともいえる。
図7は、手持ち型検査装置1の側面図である。図7に示すように、取手部3とユニット保持部2(下面当接部2c)との間には、取手部3に対してユニット保持部2を3軸方向(XYZ軸方向)に移動させるユニット移動部34が設けられている。なお、ユニット移動部34によるユニット保持部2の移動方式については特に限定されず、公知の移動方式を採用することができる。これにより、ユニット保持部2に保持されている検眼ユニット16の3軸方向の位置調整、すなわち被検眼E(図10参照)に対するアライメントを行うことができる。
取手部3の内部には、検眼ユニット16に設けられたインタフェース36Aに接続するインタフェース36Bと、制御部37と、バッテリ38と、3軸及び水平センサ39と、が設けられている。
インタフェース36Bは、その一部が前述のユニット移動部34及び下面当接部2cを貫通して下面当接部2cの上面側に露呈しており、検眼ユニット16のインタフェース36Aと接続可能な形状又は構造を有している。また、インタフェース36Bは、取手部3の内部において制御部37と電気的に接続している。このため、インタフェース36Bを、検眼ユニット16のインタフェース36Aに接続することで、インタフェース36A,36Bを介して、検眼ユニット16と制御部37とが電気的に接続される。これにより、ユニット保持部2に着脱自在保持されている検眼ユニット16から制御部37に対して眼特性の検査結果を示す信号を出力すると共に、制御部37から検眼ユニット16に対して各種の制御信号の出力及びバッテリ38の電力の供給を行うことができる。
制御部37は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及び記憶部等から構成される演算回路である。制御部37は、ユニット保持部2に保持されている検眼ユニット16の動作、被検眼Eの眼特性の検査結果の解析、及びタッチパネル式モニタ4の表示等を含む手持ち型検査装置1の各部の動作を統括制御する。
バッテリ38は、手持ち型検査装置1の駆動源であり、制御部37を介して、手持ち型検査装置1の各部(検眼ユニット16及びタッチパネル式モニタ4等)に電力を供給する。なお、手持ち型検査装置1の取手部3を充電用のスタンド40にセットすることで、スタンド40によりバッテリ38の充電を行うことができる。ここで、取手部3にバッテリ38を内蔵する代わりに、或いはこれと併用して、電源ケーブルを介して手持ち型検査装置1の各部に電力供給を行ってもよい。
図8は手持ち型検査装置1の背面図である。図7及び図8に示すように、タッチパネル式モニタ4は、X軸に平行なモニタ取付軸を介して、ユニット保持部2(背面当接部2a)の背面側に回転自在に取り付けられている。このタッチパネル式モニタ4は、前述のモニタ取付軸を中心として、不使用時にその画面が背面当接部2aに対向する倒伏位置(図7参照)と、使用時にその画面が検者に対向する起立位置(図8参照)との間で回転自在である。なお、タッチパネル式モニタ4は、起立位置で固定されていてもよい。さらに、タッチパネル式モニタ4は、前述のモニタ取付軸に対して垂直な軸に対して回転可能とされていても良い。
タッチパネル式モニタ4は、ユニット保持部2により着脱自在に保持されている検眼ユニット16により得られる眼特性の検査結果と、この眼特性の検査の際に得られる被検眼E(図10参照)の観察画像と、を表示する。また、タッチパネル式モニタ4は、手持ち型検査装置1の各種操作(検査開始操作、検査終了操作、及び検眼ユニット16の位置調整操作等)を行うための操作画面を表示し、操作画面に対する検者からの操作(タッチ操作)の入力を受け付ける。これにより、検者は、タッチパネル式モニタ4でタッチ操作の入力を行うことで、手持ち型検査装置1の各種操作を行うことができる。
なお、手持ち型検査装置1の操作を行うために、操作キー及び操作ボタン等の各種の操作部(不図示)をユニット保持部2又は取手部3に設けてよい。また、測定を開始するトリガーを発するためのボタンを取手部3に設けても良い。なお、このような操作部等(不図示)をユニット保持部2又は取手部3に設ける場合には、タッチパネル式モニタ4以外の各種モニタを代わりに設けてもよい。
3軸及び水平センサ39は、手持ち型検査装置1の3軸方向(XYZ軸方向)の加速度、すなわち3軸方向の移動検出を行うと共に、手持ち型検査装置1の水平検出(傾き検出)を行い、3軸方向の移動検出信号及び水平検出信号を制御部37へ出力する。これにより、制御部37は、例えば、手持ち型検査装置1の3軸方向の移動状態(手振れ等)及び水平状態等を検出し、これらの検出結果をタッチパネル式モニタ4に表示させる。なお、測定時の装置の角度を検知して測定結果にフィードバックすることもできる。
次に、ユニット保持部2にて着脱自在に保持される各種の検眼ユニット16の一例として、既述の検眼ユニット16A,16B,16Cの概略構成について説明する。
<KR検査用の検眼ユニットの構成>
図9は、KR検査を行う検眼ユニット16Aの構成、特に検眼ユニット16A内に設けられているKR検査用の検査光学系の概略図である。
図9に示すように、検眼ユニット16Aは、検査用光学系として、固視標投影光学系41と、観察光学系42と、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43と、受光光学系44と、アライメント光投影系45と、を備える。
固視標投影光学系41は、被検眼E(図10参照)を固視又は雲霧させるために、被検眼Eの眼底Ef(図11参照)に視標を投影する。観察光学系42は、被検眼Eの前眼部(瞳孔や虹彩)を観察する。眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、被検眼Eの眼屈折力を測定するために、眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束を被検眼Eの眼底Efに投影する。受光光学系44は、被検眼Eの眼底Efから反射された眼屈折力測定用リング状指標像を後述の撮像素子44dに撮像させる。
アライメント光投影系45は、XY軸方向(上下左右方向)でのアライメント状態を検出するために、指標光を被検眼Eに向けて投影する。また、検眼ユニット16Aには、図示は省略するが、被検眼Eと検眼ユニット16Aとの間の作動距離を検出するための作動距離検出光学系が設けられている。ここで作動距離とは、検眼ユニット16Aを含む複数種の検眼ユニット16ごとの検査を適切に実行するために、検眼ユニット16ごとの検査光学系等の構成に応じて設定された距離であり、例えば検眼ユニット16の筐体の先端位置から被検眼Eまでの距離である。
固視標投影光学系41は、固視標光源41aと、コリメータレンズ41bと、視標板41cと、リレーレンズ41dと、ミラー41eと、ダイクロイックミラー41fと、ダイクロイックミラー41gと、対物レンズ41hと、を光軸O11上に有する。視標板41cには、被検眼Eを固視又は雲霧させるための視標が設けられている。固視標光源41a、コリメータレンズ41b、及び視標板41cは、固視標ユニット41Uを構成し、被検眼Eの調節を誘導し雲霧させるべく、固視標移動機構41Dにより光軸O11に沿って一体に移動可能とされている。なお、ダイクロイックミラー41g及び対物レンズ41hは、後述する主光軸O10(検査光軸)上に配置されている。
固視標投影光学系41では、固視標光源41aから可視光を出射し、その可視光をコリメータレンズ41bにより平行光束とした後、視標板41cを裏面から照明する。そして、固視標投影光学系41では、視標板41cを透過した光束を、リレーレンズ41dを通した後にミラー41eにより反射し、ダイクロイックミラー41fを通過させてダイクロイックミラー41gへと進行させる。次いで、固視標投影光学系41では、ターゲット光束をダイクロイックミラー41gで検眼ユニット16Aの主光軸O10上へと反射して、対物レンズ41hを経て被検眼Eへと進行させる。
このように固視標投影光学系41は、被検眼Eに投影した固視標像を、被検者に固視目標として呈示することにより、被検者の視線を固定する。また、固視標投影光学系41は、固視標ユニット41Uを被検眼Eの遠点に移動して被検者に固視目標として注視させた状態から、更にピントが合わない位置まで固視標ユニット41Uを移動させることにより、被検眼Eを雲霧状態とする。なお、固視標ユニット41Uはバックライト付LCD(liquid crystal display)などを用いて一体化しても良い。
観察光学系42は、図示しない照明光源を有するとともに、主光軸O10上に、ハーフミラー42aと、リレーレンズ42bと、結像レンズ42cと、撮像素子42dとを有している。また、観察光学系42は、対物レンズ41h及びダイクロイックミラー41gを、前述の固視標投影光学系41と共用している。撮像素子42dは、二次元固体撮像素子であり、本実施形態ではCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサが用いられる。
観察光学系42では、照明光源から出射した照明光束で被検眼Eの前眼部(瞳孔、虹彩など)を照明して、その前眼部で反射された照明光束を対物レンズ41hに入射させる。そして、観察光学系42では、反射された照明光束を、対物レンズ41h、ダイクロイックミラー41g、ハーフミラー42a、及びリレーレンズ42bを経て、結像レンズ42cにより撮像素子42dの受光面上に結像させる。
撮像素子42dは、結像レンズ42cにより結像された前眼部像を撮像して、この撮像により得られた前眼部の撮像信号を、前述のインタフェース36A,36Bを介して取手部3内の制御部37へ出力する。これにより、制御部37は、タッチパネル式モニタ4に前眼部の観察画像を表示させることができる。なお、アライメント完了後の屈折力測定時には、観察光学系42の照明光源は消灯される。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、眼屈折力測定用光源43aと、レンズ43bと、円錐プリズム43cと、リング指標板43dと、レンズ43eと、バンドパスフィルタ43fと、瞳リング43gと、穴空きプリズム43hと、ロータリープリズム43iと、を有する。また、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43は、ダイクロイックミラー41f、ダイクロイックミラー41g、及び対物レンズ41hを、前述の固視標投影光学系41と共用する。
眼屈折力測定用光源43aと瞳リング43gとは光学的に共役な位置に配置されている。また、リング指標板43dと被検眼Eの眼底Efとは光学的に共役な位置に配置されている。さらに、眼屈折力測定用光源43a、レンズ43b、円錐プリズム43c、及びリング指標板43dは、指標ユニット43Uを構成する。この指標ユニット43Uは、指標移動機構43Dにより眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の光軸O13に沿って一体に移動可能とされている。
眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、眼屈折力測定用光源43aから出射した光束をレンズ43bで平行光束とし、円錐プリズム43cを経てリング指標板43dへと進行させる。この平行光束は、リング指標板43dに形成されたリング状のパターン部分を透過して眼屈折力測定用リング状指標としてのパターン光束になる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束をレンズ43e、バンドパスフィルタ43f、及び瞳リング43gを経て穴空きプリズム43hへと進行させ、その穴空きプリズム43hの反射面により反射して、ロータリープリズム43iを経てダイクロイックミラー41fへと進行させる。
次いで、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束をダイクロイックミラー41f及びダイクロイックミラー41gで順次反射することで、パターン光束を主光軸O10上に進行させる。そして、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43では、パターン光束を、対物レンズ41hにより被検眼Eの眼底Ef(図11参照)に結像させる。
また、対物レンズ41hの前方側に角膜形状測定用リング状指標投影光源46A,46B,46Cが設けられている。これら角膜形状測定用リング状指標投影光源46A,46B,46Cは、リングパターン47上にて主光軸O10を中心として同心状に設けられており、被検眼E(角膜Ec:図11参照)に対して角膜形状測定用リング状指標を投影する。これにより、角膜Ecに角膜形状測定用リング状指標が形成される。この角膜形状測定用リング状指標(その光束)は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、前述の観察光学系42により撮像素子42d上に結像される。これにより、タッチパネル式モニタ4において、前眼部の観察画像上に角膜形状測定用リング状指標の像を重畳表示させることができる。
受光光学系44は、穴空きプリズム43hの穴部44aと、ミラー44bと、レンズ44cと、撮像素子44dと、を有している。また、受光光学系44は、対物レンズ41h、ダイクロイックミラー41g、及びダイクロイックミラー41fを前述の固視標投影光学系41と共用し、且つロータリープリズム43iを前述の眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43と共用する。
撮像素子44dは、二次元固体撮像素子であり、本実施形態ではCCD又はCMOS型のイメージセンサが用いられる。この撮像素子44dは、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の指標移動機構43Dにより、前述の指標ユニット43Uと連動して、受光光学系44の光軸O14に沿って移動可能とされている。
受光光学系44では、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43によって眼底Ef(図11参照)に導かれ、かつこの眼底Efにて反射されたパターン反射光束を、対物レンズ41hにより集光し、ダイクロイックミラー41g及びダイクロイックミラー41fで順次反射して、ロータリープリズム43iへと進行させる。そして、受光光学系44では、パターン反射光束を、ロータリープリズム43iを経て穴空きプリズム43hの穴部44aへと進行させて、この穴部44aを通過させる。
次いで、受光光学系44では、穴部44aを通過したパターン反射光束を、ミラー44bによって反射し、このパターン反射光束、すなわち眼屈折力測定用リング状指標を、レンズ44cにより撮像素子44dの受光面上に結像させる。これにより、撮像素子44dは、眼屈折力測定用リング状指標を撮像して得られた撮像信号を、前述のインタフェース36A,36Bを介して制御部37に出力する。これにより、制御部37は、撮像素子44dから入力された撮像信号に基づいて、眼屈折力測定用リング状指標の画像を必要に応じてタッチパネル式モニタ4に表示させる。
アライメント光投影系45は、LED(light emitting diode)45aと、ピンホール45bと、レンズ45cと、を有している。また、アライメント光投影系45は、ハーフミラー42aを観察光学系42と共用し、且つダイクロイックミラー41g及び対物レンズ41hを固視標投影光学系41と共用している。
アライメント光投影系45では、LED45aからの光束を、ピンホール45bの穴部を通すことによりアライメント指標光束とし、このアライメント指標光束を、レンズ45cを経てハーフミラー42aで反射することで主光軸O10上に進行させる。そして、アライメント光投影系45では、アライメント指標光束を、ダイクロイックミラー41gを通して対物レンズ41hへと進行させ、この対物レンズ41hを経て被検眼Eの角膜Ecに向けて投影する。アライメント指標光束が被検眼Eの角膜Ecにおいて反射されることにより、観察光学系42により撮像素子42d上にアライメント指標像としての輝点像が投影される。この輝点像が、図示を略す光学系により形成されたアライメントマーク内に位置し、かつ作動距離が所定の範囲内に収まると、アライメント完了となる。これにより、被検眼Eに対して検眼ユニット16Aを自動的にアライメントすることができる。
検眼ユニット16Aは、固視標光源41aと、観察光学系42の照明光源と、眼屈折力測定用光源43aと、LED45aと、角膜形状測定用リング状指標投影光源46A,46B,46Cとの点灯制御を行うためのドライバを1又は複数有しており、ドライバには前述のインタフェース36A,36Bを介して制御部37が接続されている。このため、検眼ユニット16Aでは、制御部37の制御下で、固視標光源41aと、観察光学系42の照明光源と、眼屈折力測定用光源43aと、LED45aと、角膜形状測定用リング状指標投影光源46A,46B,46Cと、が適宜点灯される。
また、検眼ユニット16Aでは、上述したように、制御部37の制御下で、固視標移動機構41Dにより固視標ユニット41Uを光軸O11に沿って一体に移動させる。さらに検眼ユニット16Aでは、指標移動機構43Dにより指標ユニット43Uを光軸O13に沿って一体に移動させると共に撮像素子44dを光軸O14に沿って移動させる。さらにまた検眼ユニット16Aでは、撮像素子42d及び撮像素子44dから出力された撮像信号を、前述のインタフェース36A,36Bを介して制御部37へ出力する。これらの移動機構41D,43Dは個別に駆動されて固視標ユニット41U、指標ユニット43U、撮像素子44dを個別に移動させても良いが、固視標ユニット41U、指標ユニット43U、撮像素子44dが一体で移動されるように構成されていても良い。
次に、上記構成の検眼ユニット16Aを用いて、被検眼Eの角膜Ec(図11参照)の形状と被検眼Eの眼屈折力とのKR検査を行う場合の概略的な動作について説明する。なお、検眼ユニット16Aにおける下記の動作は、制御部37の制御の下で実行される。
検眼ユニット16Aは、観察光学系42の照明光源を点灯させて、撮像素子42dの撮像により得られた撮像信号を制御部37へ出力することで、制御部37によりタッチパネル式モニタ4に前眼部(角膜Ec:図11参照)の画像を表示させる。そして、検者は、タッチパネル式モニタ4の画面内に被検眼Eの瞳孔が位置するように、取手部3を把持した状態で手持ち型検査装置1の位置調整を行う。これにより、被検眼Eに対する検眼ユニット16Aの概略アライメントが行われる。
そして、LED45aを点灯し、前眼部画像に併せてアライメント輝点像を撮像素子42dで撮像する。
次いで、制御部37において、アライメント光投影系45及び作動距離検出光学系(図示を略す)に基づくアライメント検出を開始する。具体的には、制御部37の制御の下、ユニット移動部34を駆動して、アライメント指標像としての輝点像がアライメントマーク内に位置するように、取手部3に対してユニット保持部2を3軸方向(XYZ軸方向)にそれぞれ適宜移動させてオートアライメント(自動でのアライメントの調整)を行う。これにより、被検眼Eの角膜Ecの頂点に対する検眼ユニット16Aのオートアライメントが完了する。
オートアライメントの完了後、眼屈折力測定用リング状指標投影光学系43の角膜形状測定用リング状指標投影光源46A,46B,46Cを点灯して、角膜形状測定用リング状指標を角膜Ecに投影すると共に、撮像素子42dにより撮像された撮像信号を制御部37へ出力する。これにより、制御部37は、撮像素子42dからの撮像信号に基づく画像を必要に応じてタッチパネル式モニタ4に表示させると共に、この画像に基づいて、角膜Ecに投影された角膜形状測定用リング状指標の像から角膜Ecの形状を解析(測定)する。この角膜Ecの形状の測定の詳細については、公知であるのでその説明は省略する。
また、検眼ユニット16Aは、眼屈折力測定用光源43aを点灯して、眼屈折力測定用リング状指標を眼底Ef(図11参照)に投影すると共に、撮像素子44dにより撮像された撮像信号を制御部37へ出力する。これにより、制御部37では、視標ユニット43U、撮像素子44dの移動量と撮像素子44dの画像から眼屈折力としての球面度数、円柱度数、及び軸角度を周知の手法により解析(測定)する。
このように、検眼ユニット16A及び制御部37は、角膜形状の測定を実行すると共に、眼屈折力(光学特性)の測定を実行する。
なお、検眼ユニット16Aの検査光学系構成、オートアライメント方法、角膜形状の解析方法、及び眼屈折力の解析方法は、上記内容に限定されるものではなく、公知のオートレフケラトメータで採用されている構成及び方法を採用してもよい。
<SP検査用の検眼ユニットの構成>
図10は、SP検査を行う検眼ユニット16Bの構成、特に検眼ユニット16B内に設けられているSP検査用の検査光学系の概略図である。
図10に示すように、検眼ユニット16Bは、その内部にSP検査用の検査光学系として、前眼部観察光学系51と、撮影用照明光学系52と、撮影光学系53と、Zアライメント投影系54と、Zアライメント検出系55と、XYアライメント投影系56と、固視投影系57と、XYアライメント検出系58と、を有している。
前眼部観察光学系51の主光軸O21(検査光軸)上には、被検眼E側から順に、ハーフミラー61と、対物レンズ62と、撮像素子63と、が設けられている。撮像素子63には、CCD型又はCMOS型のイメージセンサが用いられる。この撮像素子63は、対物レンズ62に関して、XYアライメント投影系56によって平均的な曲率の角膜Ecに投影された平行光が角膜Ecで反射することで生成される虚像と共役の位置に配置されている。なお、対物レンズ62及び撮像素子63はXYアライメント検出系58も構成する。
撮影用照明光学系52は、角膜頂点Epを通過する投光光軸O22を有する。この投光光軸O22は、主光軸O21に対してθ1(=略30度)傾斜している。ここで、θ1は20°≦θ1≦40°の範囲で変更してもよい。
撮影用照明光学系52の投光光軸O22上には、被検眼Eから離れた位置から被検眼Eに向って順に、撮影用照明光源65と、集光レンズ66と、スリット板67と、ダイクロイックミラー68と、対物レンズ69と、が設けられている。
撮影用照明光源65としては、可視光、例えば緑色光を出射するLEDが用いられる。スリット板67はスリット孔を有しており、撮影用照明光源65から入射した可視光をスリット光として出射する。なお、スリット板67と角膜Ecとは対物レンズ69に関して共役の位置となる。このスリット板67で形成されるスリット幅は、角膜Ecの表面で反射された反射光と角膜内皮からの反射光とを分離可能な幅に制限される。
Zアライメント投影系54は、ダイクロイックミラー68によって分岐される光軸O23上において、光源71、集光レンズ72、及びスリット板73を有している。光源71としては、赤外光を出射するLEDが用いられる。スリット板73と角膜Ecとは、対物レンズ69に関して共役の位置となる。ダイクロイックミラー68は、緑色光を透過し、赤外光を反射する。
撮影光学系53は、主光軸O21に関して投光光軸O22と対称となる撮影光軸O24を有している。この撮影光軸O24は角膜頂点Epを透過する。従って、投光光軸O22と撮影光軸O24とは角膜頂点Epに関し、入射光軸と反射光軸の関係にあり、撮影光軸O24は主光軸O21に対してθ1(=30度)傾斜している。なお、実際には投光光軸O22及び撮影光軸O24は角膜内皮に相当する位置で交差するように構成されている。
撮影光軸O24上には、被検眼E側から順に、対物レンズ75と、ダイクロイックミラー76と、ミラー77とが設けられている。この撮影光軸O24はミラー77で偏向されている。そして、偏向された撮影光軸O24上には、リレーレンズ78及びミラー79が設けられており、ミラー79で反射された光束は撮像素子80に結像される。
撮像素子80は、CCD又はCMOS型のイメージセンサであり、撮影光軸O24に対してθ2傾斜して設けられている。このθ2の角度は0<θ2<θ1となっている。また、撮像素子80の傾斜方向は、撮影光軸O24に対する撮影する角膜内皮面の傾斜方向と同一となる。なお、θ2の許容設置角度は、撮像素子80の受光感度、及び角光学系の解像度の特性等に基づき決定される。なお、角膜Ecと撮像素子80とは対物レンズ75に関して共役の位置となる。
ダイクロイックミラー76で反射される光の光軸O25上には、リレーレンズ84及び撮像素子85が設けられている。撮像素子85と角膜Ecとは、対物レンズ75に関して共役の位置となる。ダイクロイックミラー76は赤外光を反射し、且つ緑色光を透過する光学特性を有している。このため、光源71から射出され、且つ角膜Ecで反射された赤外光は撮像素子85へ導かれる。これらダイクロイックミラー76、リレーレンズ84、及び撮像素子85はZアライメント検出系55を構成する。
次に、XYアライメント投影系56について説明する。ハーフミラー61で分岐された光の光軸O26上には、コリメータレンズ87及びダイクロイックミラー88が設けられている。さらに、ダイクロイックミラー88により反射される反射光の光軸上には、リレーレンズ90及びXYアライメント用光源91が設けられている。XYアライメント用光源91は赤外光を射出する。ダイクロイックミラー88は、赤外光を反射し、可視光を透過する特性を有する。
ダイクロイックミラー88の通過光軸上には固視標93が設けられている。固視標93は、例えば可視光で照明された図形パターン、又は可視光を発する光源である。固視標93は、コリメータレンズ87により正視の被検眼Eが固視できる様に、無限遠光として投影される。なお、近視の被検眼が固視できる様に固視標93を有限距離に投影してもよい。ハーフミラー61、コリメータレンズ87、及び固視標93等は、固視投影系57を構成する。
撮像素子63及び撮像素子85の各々の撮像により得られた撮像信号は、前述のインタフェース36A,36Bを介して取手部3内の制御部37に出力される。制御部37は、撮像素子63及び撮像素子85の撮像信号に基づき検眼ユニット16Bのアライメントを検出し、このアライメント検出結果に基づき、ユニット移動部34を制御してユニット保持部2を3軸方向にそれぞれ適宜移動させることにより、被検眼Eに対する検眼ユニット16Bのオートアライメントを行う。また、制御部37は、撮像素子80の撮像により得られた撮像信号に基づく角膜内皮細胞の撮像画像を解析して、角膜内皮細胞の検査結果として、角膜内皮細胞の健全性を示す指標(角膜内皮細胞の大きさ、形状、及び密度等)を求める。
次に、上記構成の検眼ユニット16Bを用いて被検眼Eの角膜EcのSP検査をする際の概略的な動作について説明する。
検眼ユニット16Bでは、固視標投影系57により固視標93が被検眼Eに投影されることで、被検者の視線が固視標93に固視された状態となる。また、前眼部観察光学系51の撮像素子63により被検眼Eの前眼部の像が撮像され、この前眼部の観察像がタッチパネル式モニタ4に表示される。これにより、タッチパネル式モニタ4に前眼部の観察像が表示されていない場合、検者は、被検眼Eに対する検眼ユニット16Bの位置調整操作を行うことができる。
また、検眼ユニット16Bでは、XYアライメント用光源91から点状の検出光が出射され、角膜Ecで反射された検出光が撮像素子63で撮像され、撮像素子63により撮像された撮像信号が制御部37へ出力される。そして、制御部37は、撮像素子63からの撮像信号に基づき、撮像素子63上での検出光の受光位置と基準位置との偏差を求めた後、ユニット移動部34を制御して、前述の偏差が既定の範囲内になる様に回転ユニット15をXY軸方向に変位させて、XYアライメントを実行する。
次いで、検眼ユニット16Bでは、光源71を点灯し、角膜Ecの内皮からの反射光を撮像素子85により撮像して、この撮像素子85により撮像された撮像信号を制御部37へ出力する。そして、制御部37は、撮像素子85の撮像信号に基づき撮像素子85上での反射光の受光位置と基準位置との偏差を求めた後、ユニット移動部34を制御して、前述の偏差が既定の範囲内になる様に回転ユニット15をZ軸方向に変位させることで、Zアライメントを行う。なお、Zアライメント投影系54から射出される検出光は、スリット状であるので、撮像素子85はスリット光の幅方向に延びるラインセンサとしてもよい。これにより、3軸方向のオートアライメントが完了する。
オートアライメントの完了後、撮影用照明光源65が点灯され、スリット板67を経てスリット光となった照明光が角膜Ecに照射される。
スリット光を角膜Ecに斜めに入射させることで、角膜Ecの表面で反射される反射光と角膜内皮で反射される反射光とが分離される。角膜内皮で反射された反射光は、撮影光軸O24を経て撮像素子80に入射し、撮像素子80により撮像された撮像信号が制御部37へ出力される。制御部37は、撮像素子80からの撮像信号に基づく観察画像をタッチパネル式モニタ4に表示させると共に、この画像を解析して、角膜内皮細胞の健全性を示す診断結果(角膜内皮細胞の大きさ、形状、及び密度等)を、角膜内皮細胞の検査結果として求める。なお、具体的な解析方法については公知技術(例えば特開2014−140484号公報参照)であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
なお、検眼ユニット16Bの検査光学系構成、オートアライメント方法、及び角膜内皮細胞の解析方法については、上記内容に限定されるものではなく、公知の角膜内皮細胞検査装置で採用されている構成及び方法を採用してもよい。
<CT検査用の検眼ユニットの構成>
図11は、CT検査を行う検眼ユニット16Cの検査光学系を上方(Y軸方向)側から見た上面概略図であり、図12は、検眼ユニット16Cの検査光学系を側方(X軸方向)側から見た側面概略図である。
図11及び図12に示すように、検眼ユニット16Cは、前眼部観察光学系100と、XYアライメント指標投影光学系101と、固視標投影光学系102と、圧平検出光学系103と、Zアライメント指標投影光学系104と、Zアライメント検出光学系105と、を備える。
前眼部観察光学系100は、被検眼Eの前眼部の観察、及び被検眼Eに対する検眼ユニット16CのXY軸方向のXYアライメントを行うために設けられている。この前眼部観察光学系100には、前眼部照明光源100a(図11参照)が設けられている。また、前眼部観察光学系100の主光軸O31(検査光軸)上には、気流吹付ノズル100bと、前眼部窓ガラス100c(図12参照)と、チャンバー窓ガラス100dと、ハーフミラー100eと、ハーフミラー100gと、対物レンズ100fと、撮像素子100iと、が設けられている。
前眼部照明光源100aは、前眼部窓ガラス100cの周囲に配置されており(図11参照)、被検眼Eの前眼部を直接照明すべく複数個設けられている。気流吹付ノズル100bは、被検眼Eの前眼部に気流を吹き付けるためのノズルであり、後述する気流吹付機構107の空気圧縮室107a(図12参照)に接続している。
撮像素子100iは、CCD型又はCMOS型のイメージセンサであり、その受光面に入射した前眼部の像光を撮像して撮像信号を生成し、生成した撮像信号を、前述のインタフェース36A,36Bを介して取手部3内の制御部37へと出力する。制御部37は、撮像素子100iから入力された撮像信号に基づき、被検眼Eの前眼部の観察画像を生成してタッチパネル式モニタ4に適宜表示させる。
前眼部観察光学系100では、前眼部照明光源100a(図11参照)で被検眼Eの前眼部を照明しつつ、撮像素子100iにて被検眼Eの前眼部の像を撮像して撮像信号を生成する。被検眼Eの前眼部の像は、気流吹付ノズル100bの外側を通って、前眼部窓ガラス100c(後述するガラス板107bも含む)、チャンバー窓ガラス100d、ハーフミラー100g、及びハーフミラー100eを通過し、対物レンズ100fにより撮像素子100iの受光面上に結像される。この撮像素子100i(前眼部観察光学系100)は、前眼部の像を撮像して生成した撮像信号を制御部37へと出力する。制御部37は、撮像素子100iから入力された撮像信号に基づき、被検眼Eの前眼部の観察画像をタッチパネル式モニタ4に表示させる。
また、前眼部観察光学系100では、後述のXYアライメント指標投影光学系101により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、撮像素子100iの受光面へと導く。具体的に、この反射光は、気流吹付ノズル100b、チャンバー窓ガラス100d、ハーフミラー100g、及びハーフミラー100eを通過して、対物レンズ100fにより撮像素子100iの受光面上に結像される。これにより、撮像素子100iの受光面上には、検眼ユニット16Cと角膜EcとのXY軸方向の位置関係に応じた位置に輝点像が形成される。これにより、撮像素子100iは、その受光面上に形成された輝点像を撮像した撮像信号を制御部37へと出力する。
そして、制御部37は、撮像素子100iから入力される撮像信号に基づき輝点像を生成して、この輝点像を前述の前眼部の観察画像に重ねてタッチパネル式モニタ4に表示させる。これにより、タッチパネル式モニタ4には、被検眼Eの前眼部像と、XYアライメント指標光の輝点像と、が重畳表示される。なお、タッチパネル式モニタ4には、図示を略す画像生成手段によって生成されたアライメント補助マークも重畳表示される。
XYアライメント指標投影光学系101は、指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。その指標光は、XY軸方向で見た被検眼Eの前眼部(角膜Ec)に対する検眼ユニット16Cの位置の調節、いわゆるXYアライメントに用いられる。なお、指標光は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態の検出に用いられる。
XYアライメント指標投影光学系101は、XYアライメント用光源101aと、集光レンズ101bと、開口絞り101cと、ピンホール板101dと、ダイクロイックミラー101eと、コリメータレンズ101fと、を有する(図12参照)。また、XYアライメント指標投影光学系101は、ハーフミラー100eを前述の前眼部観察光学系100と共用している。
XYアライメント用光源101aは、赤外光を出射する。コリメータレンズ101fは、ピンホール板101dに焦点を一致させるように、XYアライメント指標投影光学系101の光路上に配置されている。このXYアライメント指標投影光学系101では、XYアライメント用光源101aから出射された赤外光が、集光レンズ101bにより集束されつつ開口絞り101cを通過して、ピンホール板101dの穴部へと導かれる。
そして、XYアライメント指標投影光学系101では、ピンホール板101dの穴部を通過した赤外光を、ダイクロイックミラー101eで反射してコリメータレンズ101fへと導き、この赤外光をコリメータレンズ101fで平行光束とした後、ハーフミラー100eへ出射する。
次いで、XYアライメント指標投影光学系101では、赤外光の平行光束をハーフミラー100eで反射することで、この平行光束を前眼部観察光学系100の主光軸O31上で進行させる。これにより、赤外光の平行光束は、ハーフミラー100g及びチャンバー窓ガラス100dを透過した後、気流吹付ノズル100bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに入射する。
被検眼Eに入射したXYアライメント指標光は、図示は省略するが、角膜Ecの表面で反射して輝点像を形成する。なお、開口絞り101cは、コリメータレンズ101fに関して角膜Ecの角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。
固視標投影光学系102は、被検眼Eに固視標を投影する。この固視標投影光学系102は、固視標用光源102aとピンホール板102bとを有する(図12参照)。また、固視標投影光学系102は、ダイクロイックミラー101e及びコリメータレンズ101fをXYアライメント指標投影光学系101と共用すると共に、ハーフミラー100eを前眼部観察光学系100と共用している。
固視標用光源102aは可視光を固視標光として出射する。この固視標投影光学系102では、固視標用光源102aから出射した固視標光をピンホール板102bの穴部へと導き、そのピンホール板102bの穴部及びダイクロイックミラー101eを透過させた後、コリメータレンズ101fへ出射する。そして、固視標光は、コリメータレンズ101fにより略平行光とされてハーフミラー100eに向けて出射され、このハーフミラー100eで反射されることで前眼部観察光学系100の主光軸O31上を進行する。これにより、固視標光は、ハーフミラー100g及びチャンバー窓ガラス100dを透過した後、気流吹付ノズル100bの内部を通過して被検眼Eに至る。固視標投影光学系102は、この被検眼Eに投影した固視標を、被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定する。
圧平検出光学系103(図12参照)は、XYアライメント指標投影光学系101により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光して、その角膜Ecの表面の圧平状態を検出する。この圧平検出光学系103は、レンズ103aと、ピンホール板103bと、受光センサ103cと、を有すると共に、ハーフミラー100gを前述の前眼部観察光学系100と共用している。
レンズ103aは、角膜Ecの表面が平面とされた場合に、XYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、ピンホール板103bの開口に集光させる。ピンホール板103bの開口は、レンズ103aの焦点位置に設けられている。
受光センサ103cは、例えば受光した光量に応じた信号を出力するフォトダイオードである。この受光センサ103cは、受光した光量に応じた受光信号を、前述のインタフェース36A,36Bを介して取手部3内の制御部37に出力する。
圧平検出光学系103において、被検眼Eの角膜Ecの表面(角膜表面)で反射されたXYアライメント指標光の反射光は、気流吹付ノズル100bの内部を通り、チャンバー窓ガラス100dを透過してハーフミラー100gに至る。そして、圧平検出光学系103では、反射光の一部をハーフミラー100gで反射してレンズ103aへと進行させ、このレンズ103aで集束させた後、ピンホール板103bへと進行させる。
ここで、被検眼Eでは、気流吹付機構107により気流吹付ノズル100bから角膜Ecに向けて気流が吹き付けられることで、角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態になる。そのとき、圧平検出光学系103では、角膜Ecの表面が平らな状態になった場合に、圧平検出光学系103に進行してきた反射光の全体がピンホール板103bを通して受光センサ103cに到達し、その他の状態では反射光をピンホール板103bで部分的に遮りつつ受光センサ103cに到達させる。このため、圧平検出光学系103では、受光センサ103cで受光した光量が最大となった時点を検出することにより、角膜Ecの表面が平面とされたこと(圧平)を検知することができる。これにより、圧平検出光学系103では、流体の吹き付けにより変形した角膜Ecの圧平状態を検出することができる。
Zアライメント指標投影光学系104(図11参照)は、被検眼Eの角膜Ecに対して、斜めからZ軸方向のアライメント指標光(アライメント用指標平行光束)を投影する。このZアライメント指標投影光学系104は、光軸O32上に、Zアライメント用光源104aと、集光レンズ104bと、開口絞り104cと、ピンホール板104dと、投影レンズ104eと、を備える。
Zアライメント用光源104aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する。開口絞り104cは、投影レンズ104eに関して角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。投影レンズ104eは、ピンホール板104dの穴部に焦点を一致させるように配置されている。
Zアライメント指標投影光学系104では、Zアライメント用光源104aから出射された赤外光が、集光レンズ104bにより集光されつつ開口絞り104cを通過してピンホール板104dへと進行する。そして、Zアライメント指標投影光学系104では、ピンホール板104dの穴部を通過した赤外光を投影レンズ104eへと進行させ、投影レンズ104eで平行光として角膜Ecへと進行させる。この赤外光の平行光は、Zアライメント指標光として被検眼Eに入射し、角膜Ecで反射して被検眼Eの内方に位置する輝点像を形成する。
また、Zアライメント検出光学系105は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を受光して、検眼ユニット16Cと角膜EcとのZ軸方向での位置関係を検出する。このZアライメント検出光学系105は、光軸O33上に、結像レンズ105aと、シリンドリカルレンズ105bと、受光センサ105cと、を有している。
シリンドリカルレンズ105bは、Y軸方向にパワーを有するものが用いられる。受光センサ105cは、その受光面における受光位置を検出可能なセンサであり、例えばラインセンサ又はPSD(Position Sensitive Detector)が用いられる。この受光センサ105cの受光信号は、取手部3内の制御部37へ出力される。
このようなZアライメント検出光学系105では、Zアライメント指標投影光学系104によりアライメント指標光が投影されることにより、角膜Ecの表面で反射されたアライメント指標光の反射光が結像レンズ105aへと進行する。そして、Zアライメント検出光学系105では、アライメント指標光の反射光を結像レンズ105aで集束した後、シリンドリカルレンズ105bへと進行させ、このシリンドリカルレンズ105bにより反射光をY軸方向に集光して受光センサ105c上に輝点像を形成する。
受光センサ105cは、XZ平面内においては結像レンズ105aに関して、Zアライメント指標投影光学系104により被検眼Eの内方に形成された前述の輝点像と共役な位置関係にある。また、受光センサ105cは、YZ平面内においては結像レンズ105a及びシリンドリカルレンズ105bに関して、角膜頂点Epと共役な位置関係にある。すなわち、受光センサ105cは開口絞り104cと共役関係にあるので、Y軸方向に角膜Ecがずれたとしても角膜Ecの表面における反射光は効率良く受光センサ105cに入射する。この受光センサ105cは、形成された輝点像の受光に基づく信号を、取手部3内の制御部37へと出力する。
気流吹付機構107(図12参照)は、空気圧縮室107aと、空気圧縮駆動部107dとを有する。空気圧縮駆動部107dは、図示は省略するが、空気圧縮室107a内で移動可能なピストンと、このピストンを移動させる駆動部と、を有する。そして、空気圧縮駆動部107dは、制御部37の制御下で駆動されることで、空気圧縮室107a内の空気を圧縮する。
空気圧縮室107a内には、透明なガラス板107bを介して気流吹付ノズル100bが取り付けられている(図12参照)。また、空気圧縮室107a内には、気流吹付ノズル100bと対向する位置にチャンバー窓ガラス100dが設けられている。さらに、空気圧縮室107aには、その内部の圧力を検出する圧力センサ107cが設けられている。この圧力センサ107cは、制御部37に接続されており、検出した圧力に応じた信号を制御部37へ出力する。
このような気流吹付機構107では、制御部37の制御下で、空気圧縮駆動部107dが空気圧縮室107a内の空気を圧縮することにより、気流吹付ノズル100bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付けることができる。また、気流吹付機構107では、圧力センサ107cにより空気圧縮室107a内の圧力を検出することにより、気流吹付ノズル100bから気流を吹き付けた際の圧力を取得することができる。
検眼ユニット16Cは、前眼部照明光源100aと、XYアライメント用光源101aと、固視標用光源102aと、Zアライメント用光源104aとの点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を1又は複数有し、ドライバに前述のインタフェース36A,36Bを介して制御部37が接続されている。このため、検眼ユニット16Cでは、制御部37の制御下で、前眼部照明光源100aと、XYアライメント用光源101aと、固視標用光源102aと、Zアライメント用光源104aと、を適宜点灯させる。また、検眼ユニット16Cでは、上述したように、制御部37の制御下で、撮像素子100iにより撮像された撮像信号を制御部37へ出力する。制御部37は、撮像素子100iから入力された撮像信号に基づき画像の生成処理を行い、生成した画像をタッチパネル式モニタ4に適宜表示させる。
次に、上述した検眼ユニット16Cを用いて被検眼Eの角膜Ecの眼圧(硬さ)を検査(CT検査)する際の概略的な動作について説明する。なお、検眼ユニット16Cにおける下記の動作は、制御部37の制御下で実行される。
検眼ユニット16Cでは、前眼部観察光学系100の前眼部照明光源100aを点灯することで、被検眼Eの前眼部を照明し、撮像素子100iで撮像する。撮像素子100iは、撮像信号を制御部37へ出力する。これにより、制御部37は、前眼部の観察像をタッチパネル式モニタ4に表示させる。
また、検眼ユニット16Cでは、固視標投影光学系102の固視標用光源102aを点灯することで、固視標を被検眼Eに投影して、その被検眼Eを固視させる(すなわち被検者の視線を固定する)。さらに、検眼ユニット16Cでは、XYアライメント指標投影光学系101のXYアライメント用光源101aを点灯することで、XYアライメント指標光を角膜Ecに投影する。
そして、検眼ユニット16Cでは、角膜Ecで反射されたXYアライメント指標光の反射光を、前眼部観察光学系100の撮像素子100iと、圧平検出光学系103の受光センサ103cと、により前眼部像と共に受光する。撮像素子100iは反射光を撮像して撮像信号を制御部37へ出力する。これにより、制御部37は、XYアライメント指標光の輝点像が映りこんだ前眼部の観察像にアライメント補助マーク(不図示)を重畳してタッチパネル式モニタ4に表示させる。また、受光センサ103cは反射光を受光して受光信号を制御部37へ出力する。
さらに、検眼ユニット16Cでは、Zアライメント指標投影光学系104のZアライメント用光源104aを点灯することで、Z軸方向のアライメント用の平行光束を角膜Ecに投影する。検眼ユニット16Cでは、角膜Ecで反射された反射光を、Zアライメント検出光学系105の受光センサ105cで受光する。そして、受光センサ105cは、反射光を受光して受光信号を制御部37へ出力する。
既述の通り制御部37によって、被検眼Eの前眼部像とXYアライメント指標光の輝点像とアライメント補助マークとがタッチパネル式モニタ4に表示されると、検者は、このタッチパネル式モニタ4を見ながら、取手部3を把持した状態で手持ち型検査装置1の位置調整を行うことにより、ユニット保持部2を上下左右に移動させて輝点像がタッチパネル式モニタ4の画面内に映るようにXYアライメント(概略アライメント)を行う。なお、概略アライメントは、制御部37による制御の下で自動的に行ってもよい。
また、制御部37は、前眼部観察光学系100の撮像素子100iの撮像信号から、ユニット保持部2と角膜EcとのXY方向での位置関係を演算すると共に、この演算結果と、Zアライメント検出光学系105の受光センサ105cから得られる受光信号とに基づき、ユニット保持部2と角膜EcとのZ軸方向の位置関係を演算する。そして、制御部37は、各位置関係の演算結果に基づき、ユニット移動部34を駆動して、取手部3に対してユニット保持部2を3軸方向に適宜移動させてオートアライメントを行う。Zアライメントの状態をバーメーターなどを用いてタッチパネル式モニタ4上に表示し、この表示を基に検者が手動でZアライメントを実施しても良い。
オートアライメントが完了すると、制御部37が気流吹付機構107を作動させて、気流吹付ノズル100bから被検眼Eの角膜Ecに向けて気流を吹き付ける。これにより、被検眼Eの角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態になる。角膜Ecが徐々に平らな状態になる過程において、角膜Ecの表面が平面とされた時、圧平検出光学系103の受光センサ103cでの受光量が最大となる。このため、制御部37は、検眼ユニット16Cの受光センサ103cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、角膜Ecの表面が平面とされたことを判断する。すなわち、角膜Ecの圧平状態を検出することができる。なお、気流の吹付開始のトリガーは、検者がタッチパネル式モニタ4上でアライメント状態を確認した後、取手部3にある測定ボタン(不図示)を押下することで実施しても良い。
そして、制御部37は、角膜Ecが圧平されたタイミングでの圧力センサ107cからの出力(吹き付けた気流の圧力)に基づいて、角膜Ecの眼圧を求め(眼圧値を算出し)、その算出結果をタッチパネル式モニタ4に表示させる。なお、制御部37は、気流吹付ノズル100b(気流吹付機構107)による気流の吹き付け開始時点から角膜Ecの表面が平面とされたことを検知した時点までの時間に基づいて、角膜Ecの眼圧を求めてもよい。
なお、検眼ユニット16Cの検査光学系構成、オートアライメント方法、及び眼圧(眼圧値)の演算方法については、上記内容に限定されるものではなく、公知の非接触式眼圧検査装置で採用されている構成及び方法を採用してもよい。
図13は、取手部3内に設けられている制御部37の電気的構成を示すブロック図である。図13に示すように、制御部37は、不図示の記憶部等から読み出した制御プログラムを実行することで、ユニット識別部110と、信号取得部113と、アライメント検出部114と、ユニット移動制御部115と、解析部116として機能する。
ユニット識別部110は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類(検眼ユニット16A,16B,16C等)を識別する。例えば、ユニット識別部110は、インタフェース36A,36B等を介してユニット保持部2に着脱自在且つ交換自在に保持されている検眼ユニット16にアクセスする。そして、ユニット識別部110は、検眼ユニット16内の記憶部(不図示)に格納されている識別情報を取得することにより、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類を識別する。そして、ユニット識別部110は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類の識別結果を、アライメント検出部114及び解析部116等に出力する。
なお、検眼ユニット16の種類を識別する方法は、上記方法に限られず、各種方法が選択可能である。例えば、検眼ユニット16の種類ごとに形状又は構造等を一部異ならせると共に、ユニット保持部2に検眼ユニット16の形状又は構造等の違いを検出する検出部(不図示)を設ける。そして、ユニット識別部110は、検出部の検出結果を取得することにより、ユニット保持部2に着脱保持されている検眼ユニット16の種類を識別することができる。
また、例えば検者がタッチパネル式モニタ4等を用いて、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類を入力した場合、ユニット識別部110は、タッチパネル式モニタ4等の入力結果に基づき、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類を識別することができる。
信号取得部113は、インタフェース36A,36B等を介して、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16から既述の撮像信号及び受光信号等を取得して、アライメント検出部114及び解析部116の双方にそれぞれ出力する。
アライメント検出部114は、ユニット識別部110から入力される識別結果に基づき、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類を識別した後、被検眼Eに対するこの検眼ユニット16のアライメント検出を行う。例えばアライメント検出部114は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Aが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から取得した撮像素子42dの撮像信号に基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16Aの3軸方向のアライメント検出を行う。
また、アライメント検出部114は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Bが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から撮像素子85及び撮像素子63の撮像信号をそれぞれ取得する。そして、アライメント検出部114は、撮像素子85からの撮像信号に基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16BのZ軸方向のアライメント検出を行うと共に、撮像素子63からの撮像信号に基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16BのXY軸方向のアライメント検出を行う。
さらに、アライメント検出部114は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Cが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から撮像素子100iの撮像信号及び受光センサ105cの受光信号を取得する。そして、アライメント検出部114は、撮像素子100iからの撮像信号に基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16CのXY軸方向のアライメント検出を行うと共に、このアライメント検出結果と受光センサ105cからの受光信号とに基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16CのZ軸方向のアライメント検出を行う。
ユニット移動制御部115は、アライメント検出部114から入力されたアライメント検出結果に基づき、ユニット移動部34を制御してユニット保持部2の3軸方向の位置調整を行うことで、前述のオートアライメントを実行する。すなわち、ユニット移動制御部115は、本発明のアライメント部として機能する。
解析部116は、ユニット識別部110から入力される識別結果に基づき、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類を識別する。そして、解析部116は、信号取得部113を介して、識別した検眼ユニット16から出力された撮像信号及び受光信号(本発明の出力結果に相当)を取得して解析することにより、眼特性の検査結果を得る。
例えば解析部116は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Aが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から撮像素子42d及び撮像素子44dの撮像信号をそれぞれ取得する。次いで、解析部116は、撮像素子42dの撮像信号に基づく画像から被検眼Eの角膜Ecの形状を解析すると共に、撮像素子44dの撮像信号に基づく画像から眼屈折力(球面度数、円柱度数、及び軸角度)を解析する。そして、解析部116は、前述の各画像と共に、角膜Ecの形状及び眼屈折力の検査結果をタッチパネル式モニタ4へ出力する。
また、解析部116は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Bが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から撮像素子80の撮像信号を取得し、この撮像信号に基づく画像から角膜内皮細胞の検査結果(角膜内皮細胞の大きさ、形状、及び密度等)を解析する。そして、解析部116は、前述の画像と共に角膜内皮細胞の検査結果をタッチパネル式モニタ4へ出力する。
さらに、解析部116は、ユニット保持部2に検眼ユニット16Cが着脱自在に保持されている場合、信号取得部113から受光センサ103cの受光信号及び圧力センサ107cからの出力値を取得する。そして、解析部116は、受光信号の大きさの変化に基づいて角膜Ecの圧平状態を検出する。次いで、解析部116は、角膜Ecの圧平状態の検出結果と、圧力センサ107cからの出力とに基づき、角膜Ecの眼圧(眼圧値)を解析し、この眼圧の解析結果をタッチパネル式モニタ4へ出力する。
タッチパネル式モニタ4は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16により撮像された被検眼Eの各種観察画像、及び解析部116の解析により得られた各検査(KR検査、SP検査、及びCT検査等)の検査結果等を表示する。なお、必要に応じて各検査結果のデータを外部のデータベースに転送したり、内蔵又は外部プリンターに出力したりすることも可能である。
[第1実施形態の手持ち型検査装置の作用]
次に、図14を用いて上記構成の手持ち型検査装置1の作用(眼特性の検査)について説明する。ここで、図14は、第1実施形態の手持ち型検査装置1による眼特性の検査処理の流れを示すフローチャートである。
最初に検者は、被検者に対して実施する眼特性の検査に対応した検眼ユニット16(例えば検眼ユニット16A,16B,16Cのいずれか)を選択する。そして、検者は、選択した検眼ユニット16をユニット保持部2に取り付ける(ステップS1)。この際に、検眼ユニット16の凹状の背面にユニット保持部2の凸状の背面当接部2aを係合させることで、ユニット保持部2に対して検眼ユニット16が位置決めされる。これにより、検者の選択した検眼ユニット16がユニット保持部2に着脱自在且つ交換自在に保持される。
そして、検者が手持ち型検査装置1を起動(電源ON)すると、制御部37のユニット識別部110が、インタフェース36A,36B等を介して、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16から識別情報を取得する。これにより、ユニット識別部110は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類(例えば検眼ユニット16A,16B,16Cのいずれか)を識別し、この識別結果をアライメント検出部114及び解析部116等に出力する(ステップS2)。
また、手持ち型検査装置1を起動させると、制御部37及びインタフェース36A,36B等を介して、バッテリ38の電力がユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16に供給される。これにより、検眼ユニット16内の各種光源、撮像素子、及び受光素子等が起動して、この検眼ユニット16が作動状態となる。
そして、検眼ユニット16から既述の撮像信号及び受光信号等が出力され、これら撮像信号及び受光信号等は、インタフェース36A,36B及び信号取得部113を介して、アライメント検出部114及び解析部116へ出力される。また、制御部37は、信号取得部113から出力された被検眼Eの撮像信号に基づき、被検眼Eの観察画像をタッチパネル式モニタ4に表示させる。
次いで、検者は手持ち型検査装置1の取手部3を把持した後、タッチパネル式モニタ4に被検眼Eの前眼部の像が映っていることを確認し、この前眼部の像が映っていない場合、タッチパネル式モニタ4の画面に表示される観察画像を見ながら、被検眼Eに対する手持ち型検査装置1の位置調整(既述の概略アライメント等)を行う。
手持ち型検査装置1の位置調整後、アライメント検出部114は、信号取得部113から取得した撮像信号に基づき、被検眼Eに対する検眼ユニット16の3軸方向のアライメント検出を行い、このアライメント検出結果をユニット移動制御部115へ出力する(ステップS3)。そして、ユニット移動制御部115は、アライメント検出部114から入力されたアライメント検出結果に基づき、ユニット移動部34を制御して、前述のオートアライメントを実行する(ステップS4)。
オートアライメントの完了後、検眼ユニット16による測定が開始する。解析部116は、信号取得部113を介して、検眼ユニット16から出力された撮像信号及び受光信号等を取得して解析することにより、検眼ユニット16による眼特性の検査結果を得る(ステップS5)。そして、解析部116は、この検査結果をタッチパネル式モニタ4に出力して表示させる。以上で、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16による眼特性の検査が完了する。なお、検眼ユニット16による測定(オートアライメントも同様)は、取手部3の不図示の測定スイッチの押下操作、或いはタッチパネル式モニタ4上のタッチ操作等の検査開始操作を受けて開始してもよい。
そして、検者は、被検眼Eに対して別の眼特性の検査を行う場合には(ステップS6でYES)、手持ち型検査装置1の接続の解除をした後、ユニット保持部2から先の眼特性の検査に用いた検眼ユニット16を取り外す(ステップS7)。次いで、検者は、新たな眼特性の検査に対応する検眼ユニット16を、ユニット保持部2に取り付ける(ステップS1)。以下、既述のステップS2からステップS5までの処理が繰り返し実行されることで、新たな検査に対応する被検眼Eの眼特性の検査結果が得られる。
以下同様に、被検眼Eに対する全ての眼特性の検査が完了するまで既述のステップS1からステップS7までの処理が繰り返し実行される(ステップS6でNO)。これにより、被検眼Eに対する複数種の眼特性の検査結果が順次得られる。
[第1実施形態の手持ち型検査装置の効果]
以上のように、第1実施形態の手持ち型検査装置1では、互いに異なる眼特性の検査を行う複数種の検眼ユニット16を選択的且つ着脱自在(交換自在)にユニット保持部2に保持させることができる。これにより、ユニット保持部2に保持させる検眼ユニット16の種類を切り替えることで、一つの手持ち型検査装置1で複数種類の眼特性の検査を行うことができる。すなわち、手持ち型検査装置1では、ユニット保持部2及び取手部3を共通化し、検眼ユニット16の種類を切り替えるだけで、複数種の眼特性の検査を行うことができるため、従来のように複数種類の手持ち型検査装置を揃える場合と比較してコストを抑えることができる。また、従来のように複数種類の手持ち型検査装置を持ち運ぶ場合と比較して持ち運びの手間を減らすことができる。その結果、従来よりも、複数種の眼特性の検査をより低コスト且つ手軽に行うことができる。
[第2実施形態の手持ち型検査装置]
図15は、本発明の第2実施形態の手持ち型検査装置1Aの側面図である。上記第1実施形態の手持ち型検査装置1では、眼特性の検査を実行している間、手持ち型検査装置1と被検眼Eとの間の距離を検眼ユニット16に対応した作動距離で一定に維持すると共に、手持ち型検査装置1の姿勢を一定に維持する必要がある。しかし、検者が目視のみで手持ち型検査装置1と被検眼Eとの間の検査距離を作動距離に調整することは困難である。また、何も支えが無い不安定な状態では検査中に手振れ等が発生するおそれがあり、手振れ等が発生した場合には、前述の検査距離が作動距離からずれたり、前述の姿勢が変化したりすることで、眼特性の検査結果の正確性に影響を及ぼすおそれがある。そこで、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aでは、被検者の顔の一部である額に当てる額当て部5を設けて、この額当て部5を被検者の額に当てた状態で眼特性の検査を行う。
なお、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aは、上記第1実施形態の手持ち型検査装置1と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図15に示すように、手持ち型検査装置1Aは、上記第1実施形態と同様のユニット保持部2、取手部3、及びユニット移動部34等の他に、額当て部5と、移動支持部7と、アーム8と、無線通信インタフェース36Cと、を備える。
額当て部5は、本発明の顔当て部に相当するものであり、眼特性の検査中に被検者の額に当てられる。なお、額当て部5は、額に当接可能であればその形状は特に限定されない。この額当て部5は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16よりもZ軸方向(検査光軸方向)の前方向側の位置において、移動支持部7により支持される。
移動支持部7は、取手部3に設けられた後述のアーム8により、ユニット保持部2の上方側に支持されている。すなわち、移動支持部7は、アーム8を介して取手部3に設けられている。この移動支持部7は、Z軸方向にスライド移動自在なスライド軸7Aを有している。そして、スライド軸7Aの前方向側の先端部には、額当て部5が設けられている。これにより、額当て部5は、移動支持部7によりZ軸方向に移動自在に保持される。なお、移動支持部7による額当て部5の支持構造は、図15に示した例に限定されるものではなく、公知の各種支持構造を採用することができる。
図16(A),(B)は、移動支持部7による額当て部5のZ軸方向の位置調整を説明するための説明図である。額当て部5を被検者の額に当接させて検査を行う場合、検眼ユニット16の先端位置から被検眼Eまでの検査距離は、検眼ユニット16の先端位置から額当て部5までのZ軸方向の距離、すなわち、額当て部5のZ軸方向の位置に依存する。一方、検眼ユニット16で検査を適切に行うための作動距離は、検眼ユニット16の種類ごとに異なる。
例えば図16(A),(C)に示すように、KR検査用の検眼ユニット16Aの作動距離とCT検査用の検眼ユニット16Cの作動距離とを比較した場合、検眼ユニット16Cの作動距離は検眼ユニット16Aの作動距離よりも短い。このため、両者の作動距離の差に応じた長さΔL分だけ、KR検査時における額当て部5の額当て位置と、CT検査時における額当て部5の額当て位置とがZ軸方向にずれている。このため、移動支持部7は、後述の制御部37の制御の下、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の作動距離に対応した額当て位置まで額当て部5を移動させる。
図15に戻って、アーム8は取手部3に設けられている。このアーム8は、ユニット保持部2を構成する背面当接部2aの背面側において、移動支持部7のZ軸方向の後端部を支持する。これにより、移動支持部7は、アーム8を介して取手部3により、ユニット保持部2の上方側で支持される。なお、第2実施形態では、外部モニタ4Aを用いて被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果等を表示しているが、上記第1実施形態と同様のタッチパネル式モニタ4を手持ち型検査装置1Aに設けて被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果等の表示を行ってもよい。
無線通信インタフェース36Cは、例えば取手部3内に設けられている。この無線通信インタフェース36Cは、手持ち型検査装置1Aとは別体に設けられている外部モニタ4Aとの間に無線通信接続を確立する。これにより、第2実施形態の制御部37(図17参照)は、無線通信インタフェース36Cを介して、外部モニタ4Aに被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果等を表示させる。なお、手持ち型検査装置1Aと外部モニタ4Aとを無線接続する代わりに、信号ケーブル(不図示)を介して有線接続してもよい。
外部モニタ4Aは、本発明の表示部に相当するものであり、手持ち型検査装置1Aと無線接続又は有線接続可能な外部端末のモニタ、例えばタブレット端末のモニタ、スマートフォンのモニタ、及びパーソナルコンピュータのモニタなどが用いられる。また、外部モニタ4Aは、第1実施形態のタッチパネル式モニタ4と同様に、手持ち型検査装置1Aの各種操作を行うための操作画面を表示し、操作画面に対する検者からの操作の入力を受け付ける。これにより、外部モニタ4Aを用いて手持ち型検査装置1Aの各種操作を行うこともできる。また、外部モニタ4Aは、インターネット回線を介して、手持ち型検査装置1Aとは別の場所において各種操作を行ったり、画像及び検査結果を確認したりすることができる。
図17は、第2実施形態の制御部37の電気的構成を示すブロック図である。図17に示すように、第2実施形態の制御部37は、既述のユニット識別部110と、信号取得部113と、アライメント検出部114と、ユニット移動制御部115と、解析部116との他に、額当て移動制御部119及び記憶部120として機能する。
記憶部120には、検眼ユニット16の種類と、検眼ユニット16ごとの作動距離に対応した額当て位置(本発明の顔当て位置に相当)との対応関係を示す対応関係情報120aが記憶されている。
なお、ここでいう額当て位置(P1、P2、P3・・・)には、移動支持部7の任意の原点を基準とした額当て部5のZ軸位置座標、或いは移動支持部7に対するスライド軸7Aの突出量などの額当て部5のZ軸方向位置を示す各種の位置情報が含まれる。また、検眼ユニット16ごとの作動距離は既知であるので、検眼ユニット16ごとの適正な額当て位置も事前に求めておくことが可能であり、その結果、対応関係情報120aを予め作成して記憶部120に記憶させておくことができる。
額当て移動制御部119は、本発明の顔当て移動制御部に相当するものである。この額当て移動制御部119は、既述のユニット識別部110による識別結果に基づき、記憶部120内の対応関係情報120aを参照して、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類に対応した額当て位置を決定(取得)する。そして、額当て移動制御部119は、決定した額当て位置に額当て部5が移動するように、移動支持部7を駆動してスライド軸7AをZ軸方向に移動させる。
第2実施形態の解析部116は、第1実施形態と同様に検眼ユニット16から出力される撮像信号及び受光信号に基づき被検眼Eの眼特性の検査結果を得た後、前述の無線通信インタフェース36Cを介して外部モニタ4Aへ出力する。これにより、外部モニタ4Aの画面に、被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果が表示される。
[第2実施形態の手持ち型検査装置の作用]
次に、図18を用いて上記構成の手持ち型検査装置1Aの作用(眼特性の検査)について説明する。ここで、図18は、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aによる眼特性の検査処理の流れを示すフローチャートである。
既述の図14に示した第1実施形態と同様に、被検者に対して実施する眼特性の検査に対応した検眼ユニット16の取り付け(ステップS1)と、ユニット識別部110による識別(ステップS2)とが実行される。これにより、第2実施形態のユニット識別部110は、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の種類の識別結果を、アライメント検出部114及び解析部116に加えて、額当て移動制御部119へ出力する。
ユニット識別部110から識別結果の入力を受けた額当て移動制御部119は、記憶部120内の対応関係情報120aを参照して、ユニット保持部2に着脱自在に保持されている検眼ユニット16の作動距離に対応した額当て部5の額当て位置を決定する(ステップS2A及びステップS2B)。
次いで、額当て移動制御部119は、移動支持部7のスライド軸7AをZ軸方向に移動制御して、先に決定した額当て位置まで額当て部5を移動させる(ステップS2C)。これにより、検者は、額当て部5を被検者の額に当てた状態で被検眼Eの眼特性の検査を行うことができる。また、額当て部5を検眼ユニット16の作動距離に対応した顔当て位置に移動させているため、この額当て部5を被検者の額に当てた場合には、検眼ユニット16の先端位置と被検眼Eとの間の検査距離を、検眼ユニット16に対応した作動距離で一定に保つことができる。
そして、検者が額当て部5を被検者の額に当てた後、既述の図14で説明した第1実施形態のステップS3からステップS7まで処理(アライメント検出、オートアライメント、及び眼特性の検査結果の解析等)が実行される。そして、解析部116は、解析した眼特性の検査結果を、無線通信インタフェース36Cを介して外部モニタ4Aへ出力して、外部モニタ4Aに眼特性の検査結果を表示させる。
以下同様に、被検眼Eに対する全ての検査が完了するまで既述のステップS1からステップS7までの処理が繰り返し実行される(ステップS6でNO)。これにより、被検眼Eに対する複数種の眼特性の検査結果が順次得られる。
[第2実施形態の手持ち型検査装置の効果]
以上のように、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aでは、額当て部5を被検者の額に当てた状態で検査を行うことができるので、手振れ等の発生を抑えて安定した状態で手持ち型検査装置1Aによる検査を行うことができる。また、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aでは、額当て部5を検眼ユニット16の作動距離に対応した顔当て位置に移動させることで、検眼ユニット16の先端位置と被検眼Eとの間の検査距離を、検眼ユニット16に対応した作動距離で一定に保つことができる。その結果、第2実施形態の手持ち型検査装置1Aでは、上記第1実施形態で説明した効果に加えて、眼特性の検査結果の正確性をより高めることができるという効果が得られる。
なお、上記第2実施形態では、額当て部5を検眼ユニット16の作動距離に対応した顔当て位置に移動させているが、額当て部5を移動させる代わりに、ユニット保持部2に対する検眼ユニット16の取り付け構造を調整したり、或いはユニット移動部34により検眼ユニット16を移動させたりしてもよい。
例えば、眼圧測定用の検眼ユニット16Cをユニット保持部2に取り付ける場合に、ユニット保持部2による検眼ユニット16Cの保持位置が規定位置よりもZ軸方向前方側(被検者側)に規定量だけオフセット(位置調整)されるように、検眼ユニット16C及びユニット保持部2の構造を調整してもよい。また、ユニット保持部2に検眼ユニット16Cが保持されたことを制御部37(ユニット識別部111)が検知した場合、制御部37がユニット移動部34を制御して、ユニット保持部2による検眼ユニット16Cの保持位置を規定位置から規定量だけZ軸方向前方側(被検者側)に位置調整してもよい。
また、ユニット保持部2に保持される検眼ユニット16の種類によっては、ユニット保持部2による検眼ユニット16Cの保持位置を規定位置から規定量だけZ軸方向後方側に位置調整してもよい。
このように検眼ユニット16の種類毎に、ユニット保持部2が検眼ユニット16を保持する保持位置を、検眼ユニット16の作動距離に対応して検眼ユニット16の検査光軸に平行な方向に位置調整してもよい。この位置調整を行う位置調整部としては、ユニット保持部2及び検眼ユニット16に設けられたオフセット構造、或いはユニット移動部34などが例として挙げられる。これにより、上記第2実施形態と同様に、検眼ユニット16の先端位置と被検眼Eとの間の検査距離を、検眼ユニット16に対応した作動距離で一定に保つことができる。
[据え置き型の複合検査装置との検眼ユニットの共用]
上記各実施形態においてユニット保持部2が着脱自在に保持する検眼ユニット16は、手持ち型検査装置1,1Aのみで使用可能な専用品に限定されるものではなく、例えば据え置き型の検査装置においても使用可能な汎用品であってもよい。
図19は、検眼ユニット16を手持ち型検査装置1,1Aと共用可能な複合検査装置10の正面斜視図であり、図20は、図19に示した複合検査装置10の背面斜視図である。
図19及び図20に示すように、複合検査装置10は、被検眼Eの複数種の眼特性の検査を一つの装置で実行可能な装置であり、ベース12と、顔支持部13と、二重回転軸14と、回転ユニット15と、複数種の検眼ユニット16と、操作レバー19と、タッチパネル式モニタ20と、を備える。ベース12上には、顔支持部13と、二重回転軸14及び回転ユニット15と、操作レバー19と、が設けられている。
顔支持部13は、顎受け及び額当てを有しており、複合検査装置10による検査時に被検者の顔を所定の支持位置で支持する。
二重回転軸14は、水平方向に対して垂直、すなわちY軸方向に対して平行な回転中心Cを中心として、回転ユニット15及びタッチパネル式モニタ20を互いに相対回転自在に保持する。具体的に、二重回転軸14は、内側回転軸でタッチパネル式モニタ20(アーム24)を回転自在に保持し、且つ外側回転軸で回転ユニット15を回転自在に保持する。
回転ユニット15は、筒形状を有しており、その中心を二重回転軸14が貫通している。これにより、回転ユニット15は、二重回転軸14(回転中心C)を中心として回転自在に二重回転軸14の外側回転軸により保持される。この回転ユニット15の上面には、最大で3種類の検眼ユニット16が着脱自在に保持される。
操作レバー19は、3軸方向(XYZ軸方向)に位置調整可能な回転ユニット15(二重回転軸14)の3軸方向の位置調整を行う場合に操作される操作部材である。例えば、操作レバー19をXZ方向に傾倒することで、回転ユニット15は各々の方向に移動し、操作レバー19の軸に対して回転することでY方向(上下)へ移動する。また、操作レバー19の頂部には測定ボタンを有し、測定ボタンを押下することで各検眼を手動で開始することもできる。
タッチパネル式モニタ20は、検眼ユニット16ごとに得られる眼特性の検査結果と、各眼特性の検査の際に得られる被検眼Eの観察画像と、を含む各種画像を表示する。このタッチパネル式モニタ20は、アーム24を介して二重回転軸14の内側回転軸に取り付けられている。
回転ユニット15に着脱保持されている各検眼ユニット16は、回転ユニット15を回転駆動することにより、被検眼Eに対向する対向位置、すなわち、被検眼Eの検査を行う位置に選択的に移動される。これにより、回転ユニット15に保持されている各検眼ユニット16を、所望の移動順序で対向位置に選択的に移動させることにより、複数の眼特性の検査を所望の順番で行うことができる。また、回転ユニット15が着脱自在に保持する検眼ユニット16の種類を切り替えることで、任意の複数の眼特性の検査を1つの装置で実行することができる。
このように、複合検査装置10においても検眼ユニット16を着脱自在に保持しているので、複合検査装置10から取り外した検眼ユニット16を、上記各実施形態の手持ち型検査装置1,1Aのユニット保持部2にて着脱自在に保持させることができる。これにより、据え置き型の複合検査装置10と、上記各実施形態の手持ち型検査装置1,1Aとにおいて、検眼ユニット16を共通化(共用化)することができる。その結果、複合検査装置10を備えている眼科病院等であれば、上記各実施形態の手持ち型検査装置1,1Aを低コストに導入することができる。
[複合検査装置への応用例]
図21は、上記第1実施形態の手持ち型検査装置1により構成される複合検査装置10Xの外観斜視図である。上記図19及び図20に示した例では、複合検査装置10と、上記各実施形態の手持ち型検査装置1,1Aとにおいて検眼ユニット16を共通化しているが、手持ち型検査装置1(手持ち型検査装置1Aでも可)により据え置き型の複合検査装置10Xを構成してもよい。
図21に示すように、複合検査装置10Xの回転ユニット15の上面には、互いに異なる検眼ユニット16を保持した3種類の手持ち型検査装置1の取手部3がそれぞれ着脱自在に保持される。このため、回転ユニット15を回転駆動することにより、回転ユニット15に着脱保持されている各手持ち型検査装置1を、被検眼Eに対向する対向位置に選択的に移動することができる。これにより、各手持ち型検査装置1を所望の移動順序で対向位置に選択的に移動させることができるため、複数の眼特性の検査を所望の順番で行うことができる。
このように、手持ち型検査装置1により据え置き型の複合検査装置10Xを構成した場合には、据え置き型の検査装置と手持ち型の検査装置とを兼用することができるため、両者を別個に用意する必要がなくなり、装置の購入費用及び設置スペースの双方を低減させることができる。
[その他]
上記第2実施形態では、検査時に顔の一部に当てる顔当て部の一例として、額に当てる額当て部5を例に挙げて説明したが、顔の額以外の部分に当てる顔当て部(例えば顎に当てる顎受け部等)を額当て部5の代わりに設けてもよい。この場合には、既述の移動支持部7及び額当て移動制御部119に代えて、顔当て部の種類に対応した移動支持部及び顔当て移動制御部を設ければよい。
上記第2実施形態では、手持ち型検査装置1Aとは別体に設けられている外部モニタ4Aに被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果を表示させているが、上記第1実施形態においても同様に、被検眼Eの観察画像及び眼特性の検査結果を外部モニタ4Aに表示させてもよい。
上記各実施形態では、取手部3とユニット保持部2との間にユニット移動部34を設けているが、ユニット保持部2の3軸方向の位置調整が不要であれば、ユニット移動部34を省略してもよく、すなわちユニット保持部2と取手部3とが一体化していてもよい。なお、上記第2実施形態においてユニット移動部34を省略する場合には、アーム8をユニット保持部2の背面側に設けてもよく、すなわち、移動支持部7を取手部3の代わりにユニット保持部2に設けてもよい。
上記各実施形態では、図13及び図17に示した制御部37、インタフェース36B、及びバッテリ38等が取手部3内に設けられているが、ユニット保持部2内に設けられていてもよい。
上記各実施形態では、ユニット移動部34、アライメント検出部114、及びユニット移動制御部115を用いてオートアライメントを行う場合について説明したが、検者の操作による手動アライメントを行ってもよい。
上記各実施形態の手持ち型検査装置1,1Aは、検眼ユニット16を含んで構成されているが、検眼ユニット16を除いて構成されていてもよく、すなわち、検眼ユニット16を除いた状態で提供することも可能である。