JP2018042527A - 緑地施工方法 - Google Patents

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【課題】人工的な緑地において、その土地本来の自然環境に適した群落環を構築することにより、自己治癒力を有し、生物多様性が豊かな緑地を提供する。【解決手段】施工現場における極相植物群落を調査し、前記施工現場の環境下において、前記極相植物群落を含む群落環を決定し、前記群落環に含まれる複数の植物群落を構成する植物リストを作成し、前記植物リストから選抜した植物種を植栽して前記群落環を構築する緑地施工方法。【選択図】図1

Description

本発明は、緑地施工方法に関する。特に、施工現場とその周辺環境を包括的に捉え、地域全体として群落環を構築する施工方法に関する。
東京都のみどり率は、区部で約20%、多摩部で約67%、都全域で約50%であり、ここ数年は、ほぼ横ばいとなっている。しかし、その内訳を見ると、樹林・原野・草地の減少傾向と、公園・緑地の増加傾向が見られ、緑の量的な変化は少ないものの、質的な変化が起きていることが分かる(非特許文献1「東京都環境白書2015」)。都市における公園や緑地は、美しく見せることに重点が置かれ、景観を作り出すために様々な工夫が提案されている。
例えば、特許文献1には、植栽後の数年先や季節の変化をシミュレーションし、施工性・管理の容易性を考慮した植栽配置計画を行えるランドスケープデザインシステムに関する発明が開示されている。
自然環境を守り、豊かな生態系を維持するためには、増加する都市公園や緑地が、減少した樹林地や原野の代わりに、植物種の多様性を確保する役割を担う必要がある。しかし、都市緑地は、公共の自然公園、都市公園等と、ビルの外構緑地等が点在しており、それぞれの緑地は、それぞれの方針に従って植生が管理されており、相互関係が成立していない。近年は、生態系ネットワークという考え方に基づき、緑地をできるだけ連続させる方針に基づいた緑化も為されているが、物理的・距離的な連続性のみに着目され、現場とその隣接地程度しか考慮されておらず、「緑の質の連続」、すなわち、離れた緑地間の関係性については検討されていない。
ここで、植物種の多様性は、環境の変化に対する危機管理システムのようなものである。自然界では、洪水や山火事等により極相林が損傷すると、植生遷移の初期、または途中の植物群落によって「綻びを治す」ことが観察されている。極相林が損傷して裸地となると、日照条件、温度、湿度等の条件が大きく変化しているため、その時々の環境に適応した植物種が周辺から侵入して、植生遷移の過程に従って極相林が回復する。すなわち、自然界では、その土地本来の極相植物群落が荒廃した後、再び極相群集まで遷移する過程で順に出現する、「一年生草本植物群落」、「多年生草植物群落」、「つる・低木群落」、「先駆性亜高木林」、「極相林」という時間的な各植物群落の系列によって形成される「群落環」が、周辺環境に存在しており、植生が自己修復しながら安定した極相林が再生可能となる植物種の多様性を有している。図1に群落環のイメージ図を示す。
それに対し、人工的に創出した都市緑地の場合、病害虫や伐採等により損傷を受けると自己治癒することができない。これは、都市緑地では、「綻びを治す」機能を有する群落環が構築されていないためである。病害虫等の原因で損傷した都市緑地を再現するためには、新たな植物を植栽する必要がある。構築後の都市緑地における植物の植栽は、周辺は建造物が建て込んでおり、重機の搬入、植物の搬入、周辺住民の安全管理、交通整理等が必要であり、手間とコストがかかる。
特開平04−145580号公報
「東京都環境白書2015」 平成27年10月
本発明は、人工的な緑地において、その土地本来の自然環境に適した群落環を構築することにより、自己治癒力を有し、生物多様性が豊かな緑地を形成することを課題とする。
1.施工現場における極相植物群落を調査し、
前記施工現場の環境下において、前記極相植物群落を含む群落環を決定し、
前記群落環に含まれる複数の植物群落を構成する植物リストを作成し、
前記植物リストから選抜した植物種を植栽して前記群落環を構築することを特徴とする緑地施工方法。
2.施工現場の周辺緑地に、前記植物リストから選抜した植物種を植栽することを特徴とする1.に記載の緑地施工方法。
3.前記植栽する植物種が、植栽現場の周辺緑地に生息する植物種と相補的な植物種であることを特徴とする1.または2.に記載の緑地施工方法。
4.前記植栽する植物種の少なくとも一種を、馴化育苗し、育苗に使用した土壌とともに植栽することを特徴とする1.〜3の.いずれかに記載の緑地施工方法。
5.前記土壌が、施工現場から採取した土壌であることを特徴とする4.に記載の緑地施工方法。
本発明の緑地施工方法により施工される緑地は、現場、または、周辺環境を含めた広い範囲内において群落環を構築する。群落環に含まれる各植物群落は、その土地本来の自然環境に適応しており、何らかの原因で緑地が損傷しても、植物群落同士が互いに種子を供給し合うことにより、植生遷移が進行して回復、すなわち自己治癒する。損傷した緑地が経時で自然に回復するため、損傷した緑地に植物を植え直す必要がなく、緑地の維持管理コストを低減することができる。本発明の緑地施工方法は、施工現場だけでなく、周辺を含む広い範囲内において、群落環を構築することができるため、地域全体として植物の多様性を豊かにすることができ、さらに、植物のみならず、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、昆虫類、菌類等まで含めた生物多様性の豊かさに寄与する。
極相林や先駆性亜高木林を再現するには、広い土地が必要であるが、狭小な緑地であっても、一年生草本植物群落、多年生草植物群落、つる・低木群落を構成することにより、より広い範囲での群落環の構築に貢献し、生態系を豊かにする役割を果たすことができる。
群落環のイメージ図 施工現場の周辺地図の例 施工現場の環境下における群落環の例を示す図
本発明は、群落環を人工的に構築する緑地の施工方法に関する。特に、各植物群落を構成する植物種の中から施工現場の周辺緑地に存在する植物群落を調査・判定し、それを元にその地域に必要な植物種を導入することにより、施工現場における群落環に含まれる各植物群落を再現し、施工現場、または、施工現場と隔離した周辺緑地で群落環を構築することを特徴とする有機的に結合された緑地の施工方法に関する。
緑地を施工するには、施工現場の環境条件と植栽する植物の生育条件とのマッチングが重要である。そのため、施工現場における極相植物群落を決定する。
日本国の各地域において潜在的な極相林を形成する極相植物群落は、日本植生誌により潜在自然植生図として公表されている。ただし、このデータは、その縮尺が大きく、おおまかなものであり、局所的には地形、風衝、土壌水分量、地質等の無機的環境により、公表されている潜在自然植生ではない他の植生が適した場所は多く存在する。そのため、施工現場における極相植物群落は、実際に、施工現場、及びその周辺において観察される植物群落を調査し、現存自然植生と代償植生の配分や地形・地質・土壌・土地利用形態などから総合的に判断し、その地域の現在の潜在自然植生を決定する。
何らかの原因で、ある場所の植生が破壊された後、土壌はそのままに人間の影響が全く及ばないならば、まず、一年生草本植物群落が侵入し、多年生草植物群落、つる・低木群落、先駆性亜高木林と、順に植物種の優劣が遷移して、最終的には極相林となる。このような植物群落の時間的な遷移系列を群落環という。
群落環には草本群落から森林群落などへの遷移をする進行遷移と、極相林から草原へ移行するなどの逆の方向の遷移である退行遷移、また、薪炭林や畑地雑草群落のような人為的影響によって成立する偏向遷移が含まれる。
本発明の緑地施工方法は、施工現場の極相植物群落を含む群落環を決定し、この群落環に含まれる各植物群落を構成する植物リストを作成し、この植物リストから、植栽する植物種を選定することを特徴とする。
施工する緑地のイメージを企画し、群落環のどの遷移過程の群集(群落)を再現するかを決定し、このイメージに基づいて、作成した植物リストから植栽する植物種を決定する。なお、緑地イメージを企画する際には、基本的な季節変化のみならず、周辺の建造物などの影響による日照や風の環境条件を把握して、審美性、管理性等を考慮し、植栽後の生長による経年変化を意識しながら行う。例えば、樹木の粗密、目通り直径の多様性、樹種の多様性、葉の粗密等により、自然林、里山、雑木林等の様々な緑地イメージとすることができる。
植物リストから適切な植物種を選定して植栽することにより、群落環を形成する植物群落を再現し、群落環を構築する。この際、常緑樹や落葉樹といった樹種毎の特徴を考慮して植栽することが好ましい。常緑樹は、四季を通じて常に緑葉が維持されるため審美性が高く、落葉樹は、紅葉、落葉による季節感を出すことができる。また、草本層には、コケ類、シダ類、ササ類を含む草本植物および低木類の中から、再現する植物群落を特徴付ける植物種を優先的に植栽することが好ましい。さらに、花を咲かせる植物や、実が成る植物は、審美性が高く、季節の移ろいを感じることができるため好適である。特に、低木類は、人目に付きやすく、花、実、葉等の色や形により、景観に変化を加えることができる。
群落環は、施工現場の緑地を複数に区分けして、それぞれに異なる植物群落を割り当てることにより構築することもできるが、周辺緑地を含む広い範囲で構築することが好ましい。施工現場と周辺緑地とで包括的に群落環を構築する場合は、施工現場に植栽する植物種は、周辺緑地に生息する植物種と相補的な種であることが好ましい。すなわち、周辺緑地に生息する植物種より、周辺緑地に生息しない、または個体数が少ない植物種を植栽することが好ましい。また、施工現場のみならず、周辺緑地の地権者、管理者の許可が得られるのであれば、これら周辺緑地にも適宜選定した植物種を植栽することが好ましい。
植栽する植物種は、群集の中での出現頻度、市場流通性、栽培容易性、群集を特徴づける種、審美性等に基づいて選定する。市場に流通していない植物種であっても、栽培が容易な種であれば、森、山等の自然環境から運びだして植栽することができる。また、草本類は踏圧等による影響を受けないように施工現場に起伏(アンジュレーション)を作成して人が侵入しにくい場所に植栽し、高木類は最大級に成長した際に周辺の建築物に干渉しないか等を考慮して植栽する。
本発明の施工方法により緑地を施工することにより、施工現場、または施工現場と周辺緑地において、時間的に異なる遷移過程に位置する植物群落を、近接する空間に配置して再現することができる。一定範囲内で群落環が構築され、各植物群落の間で風、鳥等の働きにより種子を供給し合うことにより、緑地の自己治癒力を高くすることができる。また、多様な段階の植物群落が存在しているため、各植物群落を好む両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、昆虫類、菌類等が集い、単一の緑地では不可能な豊かな生物多様性を備えた環境を人工的に作り出すことができる。本発明により施工された緑地と周辺緑地とは、時間が経てば経つほど、有機的な結びつきが強く太くなり、相互補完ネットワークを形成して強い自己修復機能を発揮することができる。
<馴化育成>
本発明の群落環を構築する緑地施工方法では、植物個体が枯死しても、新たに植栽することなく経時で自然に再生するが、高木の再生には10年単位の時間が必要である。また、植栽直後は、環境変化のストレスにより、植物が枯れやすく、枯死した高木が取り除かれると、緑地に隙間が生じて外観が悪くなる。そのため、植物個体が枯死した後に、植え替えを行う場合がある。しかし、自然林などの緑地を都市部に再現する施工においては、周辺は建造物が建て込んでおり、大きな重機が必要である高木の植栽を、建物が近接し、多くの人々が活動しているビル群の間で行うことは困難である。
本発明では、緑地の施工に先立ち、施工現場を模した模擬環境を他所に造成し、この模擬環境において、施工数年前から植栽する植物種を馴化育成し、植栽した植物が定着する確実性を高めることが好ましい。
模擬環境は、土壌、日照、気温等の環境条件を、施工現場の環境を再現したものとする。施工現場における工事の際に取り除いた土壌を模擬環境に運搬し、この土壌を使用して馴化育成を行うことが好ましい。
模擬環境の規模は、計画地と同等であることが望ましいが、計画地でも緑地の再導入がしにくい場所に限って造成することもできる。
模擬環境で馴化育成を行った植物は、育成を行った土壌も含めて植栽を行うことが好ましい。植物の根は、菌類等の土壌微生物と共生関係を有する複雑な土壌生態系を築いており、この土壌生態系をそのまま植栽することにより、植栽後のストレスを軽減して植物の枯死リスクを小さくし、植栽後の定着確実性を高めることができる。さらに、植栽する土壌が、施工現場から搬出した土壌であると、土壌中の菌類は、施工現場の環境にそもそも生息していた種であるから、植栽後に微生物の活性が低下しにくく、また、ミクロな視点での土壌生態系の破壊を防止することができる。
以下、本発明を、東京都港区六本木でのビル新築工事における外構植栽計画を例に説明する。
図2に、施工現場の周辺地図を示す。図2中において、Aが計画地である。Aを中心とする半径2kmの範囲に存在する主な緑地としては、B〜Gの6箇所であり、緑地Bが中規模公園、緑地C、Dが小規模な都市公園、緑地E、Fが近隣ビルの外構緑地、緑地Gが寺院の庭園である。
「群落環の決定」
「日本植生誌7 関東」の潜在自然植生図によると、計画地である東京都港区六本木における潜在的な極相植物群落である潜在自然植生は、ヤブコウジ−スダジイ群集である。また、現地調査したところ、計画地の周辺にはスダジイの大木が複数確認され、断片的なヤブコウジ−スダジイ群集が確認された。ヤブコウジ−スダジイ群集は、スダジイが優占する常緑広葉樹の自然林であり、丘陵や山地斜面の乾燥した立地を好む。
極相植物群落がヤブコウジ−スダジイ群集からなる群落環を図3に示す。図3に示す群落環は、ヤブコウジ−スダジイ群集を極相林とし、植生遷移順に、一年生草本=ベニバナボロギク−ダンドボロギク群集、多年生草本=トダシバ−ススキ群集、つる−低木=センニンソウ群集、先駆性陽樹林=クサイチゴ−タラノキ群集、亜高木林=ミゾシダ−ミズキ群集、極相林=ヤブコウジ−スダジイ群集をこの順に含む。
表1に、この群落環に含まれる各植物群落を構成する植物リストを示す。
「現地調査」
次に、計画地と周辺緑地における植生の現地調査を行う。表2に、表1に示す各植物種のうち、周辺緑地B〜Gに存在する植物種を示す。
周辺緑地B〜Gは、存在する植物種から群落環を構成する植物群落のいずれかに分類することができる。緑地Bは、草本層が欠落したヤブコウジ−スダジイ群集に類似した植生であり、高木、亜高木、低木を有するが、その種類数が少ない。緑地Dは、緑地Bと全く同じ植生である。緑地Cは、ミゾシダ−ミズキ群集、緑地Eは、ベニバナボロギク−ダンドボロギク群集とクサイチゴ−タラノキ群集、緑地Fは、クサイチゴ−タラノキ群集、緑地Gはトダシバ−ススキ群集である。
表1、2から、ヤブコウジ−スダジイ群集を極相植物群落とする群落環に含まれる植物群落のうち、センニンソウ群集は、周辺緑地B〜Gに存在しないことが分かる。また、緑地B、Dには、ヤブコウジ−スダジイ群集を構成する植物種が生息しているが、群集と言えるほどの植物多様性はない。その他の群集については、構成種の多くが生息している。
「緑地計画立案」
計画地を含む7箇所の近接する緑地A〜Gにより、ヤブコウジ−スダジイ群集を含む群落環を形成する植物群落を再現するように、緑地計画を立案する。群落環に含まれる植物群落のうち、完全に欠落しているセンニンソウ群集を再現し、ヤブコウジ−スダジイ群集を補強することにより、施工現場の環境に適した群落環を構築することができる。
この方針に従って、緑地計画を立案する。計画地Aは、施工者が自由に植栽する植物種を決定することができる。そのため、計画地Aに、周辺環境において欠落しているセンニンソウ群集を再現することが好ましい。センニンソウ群集は、つる−低木であるため、ノイバラ、ウツギ等の低木を植栽する。さらに、計画地Aにおいて壁面緑化を行い、つる植物に適した栽培環境を再現し、エビヅル、センニンソウ等のつる植物を植栽する。
ヤブコウジ−スダジイ群集は、既にヤブコウジ−スダジイ群集を構成する植物種が生息する緑地B、Dにおいて再現する。但し、緑地B、Dは、公園であるため、所有者、管理者等の許可を得る必要がある。緑地B、Dにおけるヤブコウジ−スダジイ群集の補強ができない場合は、施工面積を考慮しつつ、計画地Aの一部に、ヤブコウジ−スダジイ群集を再現する。計画地Aにヤブコウジ−スダジイ群集を再現する際は、予め、施工現場を模した模擬環境において、計画地Aから採取した土壌で馴化育成した植物を、土壌とともに植栽することが好ましい。
その他の群集は、緑地C、E、F、Gに、それぞれ群集とみなせるだけの植物種が生息しているため、現状のままで問題ない。ただし、それぞれの所有者、管理者に対して、計画地Aの緑地計画が周辺を含む広い地域での群落環を構築する緑地計画であることを説明し、地域全体としての生態系を豊かにするため、緑地の維持、管理を現状のまま続けてもらうように依頼することが好ましい。
「植栽種の選定」
上記計画に基づいて、ヤブコウジ−スダジイ群集、センニンソウ群集の中から、導入する植物種を選定する。本計画では、計画地Aにセンニンソウ群集を再現し、緑地B、Dでヤブコウジ−スダジイ群集を補強する。植栽する植物種は、群集を構成する植物種の中から、群集の中での出現頻度、群集の優占種、群集の骨格となる出現頻度の高い種、周辺から種子飛来が容易にはない種、市場流通性、栽培容易性、審美性等に基づいて、群集としての機能を発揮するために森の階層構造、優占種、出現頻度を考慮して選定する。表3に、選定する植物種を示す。
緑地B、Dは、現状の緑地に新たな植物種を植栽することにより、ヤブコウジ−スダジイ群集を補強する。緑地B、Dは、面積が十分にあり、また、不足する植物種の全てが市場で市販されており、不足する植物種の全てを植栽することができる。ヤブコウジ−スダジイ群集を構成するために不足している高木のアカガシ、アラカシ、亜高木/低木のカクレミノ、シロダモ、モッコク、ヤブニッケイ、そして草本であるカブダチジャノヒゲ、キヅタ、テイカカズラ、ヤブコウジ、ベニシダ、ヤマイタチシダ、アリドオシ、シュンランを全て植栽する。
計画地Aは、新規に緑地を創出することができるため、センニンソウ群集を構成する植物種である種の全てとなる、亜高木/低木のノイバラ、ウツギ、ナワシロイチゴ、草本のエビヅル、センニンソウ、ノブドウ、スイカズラ、ヘクソカズラ、アオツヅラフジ、ヤマノイモ、トコロ、ヨモギ、ススキ、カモジグサ、クズ、ヤエムグラを植栽する。クズは、本計画では壁面緑化の種として導入するが、他の植物を被圧する可能性があるため壁面ではなく通常の植栽の場合は植栽しないことが好ましい。また、棘がある種や、種子が被服に付着する種など、人に嫌われる種は、植栽しない、または、人が接近できない箇所に植栽することが好ましい。
「群落環の構築」
この方針に従い、計画地Aにセンニンソウ群集を構成する植物種、緑地B、Dにヤブコウジ−スダジイ群集を補強する植物種を植栽する。この際、計画地Aに植栽する植物は、計画地Aの土壌により模擬環境で予め馴化育成したものを植栽することが、植栽後の枯死を防ぐために好ましい。特に、植栽した後に枯死した場合、植え替え作業が大変な亜高木/低木は、馴化育成することが好ましい。表4に、植栽後の緑地A〜Gに生息する植物種を示す。なお、表4において太字で示す植物種が元から生息していた種、ハッチングした枠に示す植物種が新たに植栽する種である。
表4に示すように、本発明の緑地施工方法により、計画地Aとその周辺緑地B〜Gを含む範囲内において、施工現場に適した群落環に含まれる各植物群落を再現し、群落環を構築することができる。群落環に含まれる植物群落を近接する緑地に再現して配置することにより、近接する緑地同士が有機的に結びつくため、緑地の自己治癒力が高く、緑地の維持管理コストを低減することができる。また、施工現場だけでなく広い範囲内で群落環を構築することにより、地域全体として植物の多様性が豊かとなり、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、昆虫類、菌類等まで含めた生物多様性を豊かにすることができる。

Claims (5)

  1. 施工現場における極相植物群落を調査し、
    前記施工現場の環境下において、前記極相植物群落を含む群落環を決定し、
    前記群落環に含まれる複数の植物群落を構成する植物リストを作成し、
    前記植物リストから選抜した植物種を植栽して前記群落環を構築することを特徴とする緑地施工方法。
  2. 施工現場の周辺緑地に、前記植物リストから選抜した植物種を植栽することを特徴とする請求項1に記載の緑地施工方法。
  3. 前記植栽する植物種が、植栽現場の周辺緑地に生息する植物種と相補的な植物種であることを特徴とする請求項1または2に記載の緑地施工方法。
  4. 前記植栽する植物種の少なくとも一種を、馴化育苗し、育苗に使用した土壌とともに植栽することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の緑地施工方法。
  5. 前記土壌が、施工現場から採取した土壌であることを特徴とする請求項4に記載の緑地施工方法。
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