JP2018042521A - β−グルカン含有飲料及びその製造方法 - Google Patents

β−グルカン含有飲料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血糖値上昇抑制効果を有するβ−グルカン含有飲料及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを0.7〜1.3g含有する、セカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制のための飲料を提供する。【選択図】 図2

Description

本発明は、β−グルカンを含有する飲料に関する。特に、重量平均分子量の低いβ−グルカンを含有する飲料に関する。
β−グルカンは、グルコースを構成ユニットとし、これらがβ−1,3結合、β−1,4結合する直鎖状の高分子であって、食後の血糖値の上昇抑制、血中コレステロールの正常化、満腹感の持続作用などの生理機能が報告されてきた。特に、食後の血糖値の上昇抑制という点に関して、食品の分野では、例えば大麦由来β−グルカンを用いて糖質の吸収を抑制することを謳った機能性表示食品が実際に販売されてきた。しかし、一般に、β−グルカンは分子量が100万以上の高分子であるため少量の添加で粘度が上昇しその取扱いが難しい。したがって、飲料に使用するには不向きであり、実際にβ−グルカンが飲料に用いられることはなかった。
また、一般に食品に比して飲料中に含まれる糖分は小腸で吸収されるまでに要する時間が短い。したがって、β−グルカンを含有する飲料が摂取されたとしても、β-グルカンによって糖分の吸収を抑制するのに適した腸内環境が整えられる前に糖分が吸収されてしまい、食後の血糖値上昇に対する抑制効果に乏しいと考えられていた。
実際、非特許文献1には、大麦由来β−グルカン含有ジュースにおいて食後の血糖値上昇に対する抑制効果を確認できなかったことが報告されている。また、非特許文献2には、大麦由来β−グルカンを含む食品(ベリージャム)では血糖値に対する一定の抑制効果が確認されたものの、大麦由来β−グルカンを含む飲料(スポーツドリンク)ではその効果が確認できなかったことが報告されている。
Roberta B. Lumaga et al., Food Funct., 2012(3), pp.67−75 Sally D Poppitt et al., Asia Pac J Clin Nutr, 2007; 16(1), pp.16−24
本発明は、血糖値上昇抑制効果を有するβ−グルカン含有飲料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを含有する飲料を製造し、当該β-グルカンを含む飲料はセカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制効果を発揮し得ることを見出した。したがって、本発明の第1の局面は、
(1)重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを0.7〜1.3g含有する、セカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制のための飲料、である。
本発明の好適な態様は、
(2)前記β−グルカンが、植物由来β−グルカンである、上記(1)の飲料、である。
本発明の好適な態様は、
(3)含有されるβ−グルカンが、イネ科植物由来β−グルカンである、上記(1)又は(2)に記載の飲料、である。
本発明の好適な態様は、
(4)β−グルカンを0.9〜1.1g含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料、である。
本発明の好適な態様は、
(5)飲料が、紅茶又はコーヒーである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の飲料、である。
また、本発明者らは、セカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制効果を発揮し得る、上記(1)〜(4)に記載の飲料の製造方法を見出した。したがって、本発明の他の局面は、
(6)上記(1)〜(4)に記載の飲料を製造するための方法、である。
本発明の好適な態様は、
(7)重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカン含有シロップを添加する工程を含む、上記(6)に記載の方法、である。
本発明の好適な態様は、
(8)β−グルカン含有シロップが、20,000cP以下の粘度を有する、上記(7)に記載の方法、である。
本発明の好適な態様は、
(9)β−グルカン含有シロップが、30%〜80%のBrixを有する、上記(7)又は(8)に記載の方法、である。
本発明の好適な態様は、
(10)β−グルカン含有シロップが、pH4.0〜8.0である、上記(7)〜(9)のいずれかに記載の方法、である。
本発明の好適な態様は、
(11)グルコアミラーゼを用いた反応工程を含む、上記(6)〜(10)のいずれかに記載の方法、である。
本発明により、血糖値上昇抑制効果を有するβ−グルカン含有飲料及びその製造方法を提供することができる。
図1は、ファーストミールとしてβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料を摂取したときの血糖値測定実験の結果を示す図である。 図2は、セカンドミールとして白米を摂取したときの血糖値測定実験の結果を示す図である。 図3は、ファーストミールとしてβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料を摂取したときの血清インスリン濃度測定実験の結果を示す図である。 図4は、セカンドミールとして白米を摂取したときの血清インスリン濃度測定実験の結果を示す図である。
本発明では、重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを0.7〜1.3g含有する飲料を製造している。具体的に、本発明は以下のようにして実施可能である。
<β−グルカン>
本発明に係るβ−グルカンの一例としては、植物由来のβ-グルカンが挙げられる。このようなβ−グルカンを含有する「植物」の形態としては、葉、花、茎、木部、根、表皮、繊維細胞、枝、果実、種子等、いずれでもよい。
原料として用いる「植物」として、好ましくは、米類、小麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類、ライ麦等のイネ科植物が挙げられ、より好ましくは、大麦類やオーツ麦類が挙げられ、更に好ましくは、大麦類が挙げられる。なお、原料としては、これらの植物から用途・目的に応じて選択して、単独で用いても良いし、適宜組み合わせて用いても良い。
なお、原料として、大麦類を用いる場合には、二条大麦、四条大麦、六条大麦、裸大麦など任意の品種の大麦を用いることができる。また、その形態としては、全粒、精麦粒、糠等、大麦種子の任意の組織又は画分を用いることができる。なお、大麦種子においては、胚乳にβ−グルカンが多量に含まれていることから、胚乳を含む全粒、精麦粒を用いるのがより好ましく、精麦粒を用いることが特に好ましい。
<β−グルカン含有飲料の製造>
本発明に係るβ−グルカン含有飲料の例としては、ビール、ノンアルコール飲料、ジュース、コーヒー、紅茶、緑茶、炭酸飲料などの様々な飲料が挙げられ、200mL、350mL、500mL、1L等の所望の容量の缶入り、瓶入り、又はペットボトルの形態で製造される。
本発明に係る飲料は、それぞれ公知の方法で製造された飲料の原液に対して、β−グルカンをシロップの形態で添加することにより製造される。β−グルカン含有シロップは、飲料に対して好ましくは0.7g〜1.3g、より好ましくは0.9g〜1.1gのβ−グルカンを含有するように添加される。なお、飲料1個に対して上記規定の量を含有することが好ましいが、それよりも多量又は少量のβ-グルカンを含有することも可能である。その場合は、一度に摂取する飲料の量を調節して、一度の食事につき、好ましくは0.7g〜1.3g、より好ましくは0.9g〜1.1gのβ−グルカンを摂取すればよい。
例えば、紅茶飲料である場合には、一例としては、以下の製造方法で製造することが可能である。まず、所定量の茶葉に20〜100質量倍の沸騰水を加えて0分〜10分程度煮だしたのち、濾過抽出を行って紅茶抽出液を得る。当該紅茶抽出液に対して所望の添加剤を加え、その後殺菌処理を行って紅茶飲料の原液を得る。そして、最終的に製造される飲料1個につき、好ましくは0.7g〜1.3g、より好ましくは0.9g〜1.1gのβ−グルカンを含有する量となるように、β−グルカン含有シロップを添加することによって、β−グルカン含有紅茶飲料が製造される。
また、コーヒー飲料である場合には、一例としては、以下の方法で製造することが可能である。まず、焙煎したコーヒー豆に5〜100質量倍の沸騰水を加えて0分〜10分程度煮だしたのち、濾過抽出を行ってコーヒー抽出液を得る。当該コーヒー抽出液に対して所望の添加剤を加え、その後殺菌処理を行ってコーヒー飲料の原液を得る。そして、最終的に製造される飲料1個につき、好ましくは0.7g〜1.3g、より好ましくは0.9g〜1.1gのβ−グルカンを含有する量となるように、β−グルカン含有シロップを添加することによって、β−グルカン含有コーヒー飲料が製造される。
なお、β−グルカン含有飲料には、その飲料の種類に応じて種々の成分を添加することができる。例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、水飴、乳糖等の糖質類、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール等の糖アルコール類、アスパルテーム、ステビオサイド、スクラロース、アセスルファムK等の高甘味度甘味料、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸等の有機酸類、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム等のビタミン類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の界面活性剤、アラビアガム、カラギーナン、ペクチン、寒天等の増粘剤、カゼイン、ゼラチン等の安定化剤、アミノ酸類、カルシウム塩等ミネラル類、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール等添加物、色素、香料、保存剤等の飲料素材が挙げられる。
<β−グルカン含有シロップの製造>
本発明に係るβ−グルカン含有飲料の製造に用いられるβ−グルカン含有シロップの製造は、以下の方法で実施される。なお、以下の製造方法においては、大麦を原料とした場合について説明するが、用いる原料は大麦に限られず、大麦以外にも、他の植物を用いることが可能である。また、本製造方法もβ−グルカン含有シロップの製造方法の一例であって、他の製造方法を用いることも可能である。
1.仕込工程
まず、本発明に係るβ−グルカン含有シロップを製造するにあたり、大麦種子の粉砕物を、適宜攪拌しながら純水と混合する。その後、大麦種子の粉砕物が混合された溶液を恒温槽で30℃〜60℃に保持しながら攪拌し、大麦粉砕物を完全に純水中に分散させる。
このときの大麦種子粉砕物の濃度としては、溶液全量に対する質量基準(W/W)で好ましくは5%〜50%、より好ましくは10%〜30%であることが望ましい。なお、この濃度が50%より高い場合、液化工程において、十分な液化反応を行うことができず、未分解のデンプンが残ってしまい、商品価値の低下の原因となる。また、未分解のデンプンが残った溶液は粘度が高くなる原因となり、濾過工程やフィルター処理工程における固液分離が困難となる。
また、適当なpH調整剤を用いて、溶液のpHを好ましくは3.0〜8.0、より好ましくはpH4.0〜7.0、更に好ましくはpH5.0〜6.5に調整することが望ましい。pHが8以下だと反応による着色が抑制され、得られるシロップの風味が良くなる。pHが3以上だと酵素活性が高く、反応を十分に行うことができる。用いるpH調整剤としては、飲料に適したものであればいずれでもよい。一例としては、pHを下げるために用いられるpH調整剤として、好ましくは塩酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸、酢酸、コハク酸、ソルビン酸、エリソルビン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム又はこれらの組み合わせが、より好ましくはクエン酸やリンゴ酸、更に好ましくはリンゴ酸が用いられる。また、pHを上げるために用いられるpH調整剤として、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム又はこれらの組み合わせが、より好ましくは水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムが、更に好ましくは水酸化カルシウムが用いられる。
その後、大麦粉砕物が分散された溶液中に、タンパク質分解酵素を添加し、その溶液の温度を添加したタンパク質分解酵素の反応温度まで上げ、所定の反応時間で反応させる。タンパク質分解反応は、液化反応の前に行うことが重要である。β−グルカンの周囲にはタンパク質が存在しているため、タンパク質分解反応を行わなければ、β−グルカンに酵素が近づくことができない。このため、最終的にβ−グルカンが十分含まれない飲料しか得られない。
添加するタンパク質分解酵素としては、EC番号が3.4群のものであれば良く、好ましくはプロテアーゼ(EC3.4.22.2)を用いることができる。このようなタンパク質分解酵素としては市販のものでも良く、特に好ましくは、商品名「スミチームP」(新日本化学工業社製)である。
タンパク質分解酵素の添加量は、原料に対する質量基準(W/W)で好ましくは0.001%〜2.0%、より好ましくは0.01%〜1.0%、更に好ましくは0.03%〜0.1%である。2.0%以下であれば、不快な風味を抑制でき、0.001%以上であれば十分にタンパク質分解反応が進む。
タンパク質分解酵素の反応温度及び反応時間は、添加するタンパク質分解酵素の種類や原料として用いる植物によっても異なる。しかし、一例として、好ましくは30℃〜65℃の反応温度、より好ましくは40℃〜65℃の反応温度、更に好ましくは45℃〜60℃の反応温度であって、好ましくは0.05時間〜24時間の反応時間、より好ましくは0.2時間〜12時間の反応時間、更に好ましくは0.3時間〜6時間の反応時間、特に好ましくは0.5時間〜4時間の反応時間が挙げられる。
2.液化工程
仕込工程を経て得られた溶液に液化酵素を添加し、その溶液を加温し、添加した液化酵素の反応温度まで上げ、所定の反応時間で液化反応させる。この液化反応には、沸騰湯浴であったり、ジェットクッカーなどの連続式液化装置を利用することができる。
添加する液化酵素としては、デンプンのα−1,4グリコシド結合をランダムに切断するものであればよく、好ましくはα−アミラーゼ(EC3.2.1.1)を用いることができる。このような液化酵素としては市販のものでも良く、特に好ましくは、商品名「クライスターゼT10S」(天野エンザイム社製)である。
液化酵素の添加量は、液化不良にならなければよいが、原料に対する質量基準(W/W)で好ましくは0.001%〜1.0%、より好ましくは0.03%〜0.5%、更に好ましくは0.1%〜0.4%である。0.001%以上であれば、液化反応は十分に進み、1.0%以下であれば経済的である。
液化酵素の反応温度及び反応時間は、添加する液化酵素の種類や原料として用いる植物によっても異なる。しかし、一例として、好ましくは65℃〜120℃の反応温度、より好ましくは80℃〜110℃の反応温度であって、好ましくは0.01時間〜24時間の反応時間、より好ましくは0.1時間〜12時間の反応時間、更に好ましくは0.1時間〜4時間の反応時間が挙げられる。
3.糖化工程
液化酵素溶液を糖化酵素の反応温度まで低下させた後に、その溶液に糖化酵素及びβ−グルカン分解酵素を添加し、その反応温度で所定の反応時間、糖化反応させる。糖化反応後の溶液は、糖化酵素及びβ−グルカン分解酵素を失活させるため、90℃以上の高温下で所定時間処理される。
なお、添加する糖化酵素としては、液化により生じるデキストリン類を更に分解し少糖類とするものであればよく、適宜市販の糖化酵素を用いることができる。
糖化酵素としてβ−アミラーゼ(EC3.2.1.2)を用いた場合には二糖類であるマルトースを多く含む溶液を得ることができる。このようなβ−アミラーゼとしては、商品名「β−アミラーゼ#1500S」(ナガセケムテックス社製)が特に好ましい。そして、このようなβ−アミラーゼの添加量は、原料に対する質量基準(W/W)で好ましくは0.001%〜2.0%、より好ましくは0.1%〜1.5%、更に好ましくは0.2%〜1.0%である。
また、β−アミラーゼに加えて、糖化酵素として、いわゆる枝切酵素を更に添加するのが好ましい。この枝切酵素とは、液化により生じるデキストリン類のα−1,6結合を切断するための酵素で、好ましくはプルラナーゼ(EC3.2.1.41)やイソアミラーゼ(EC3.2.1.68)を、特に好ましくは商品名「プルラナーゼアマノ3」(天野エンザイム社製)を用いることができる。そして、このような枝切酵素の添加量は、原料に対する質量基準(W/W)で好ましくは0.001%〜2.0%、より好ましくは0.01%〜1.5%、更に好ましくは0.01%〜1.0%である。
また、本発明においては、飲料への使用を考慮すると、最終的に低粘度の溶液が得られるのが望ましい。従って、最終的に得られる溶液中に含まれる糖組成として、単糖類や二糖類などがより多く含まれる方が望ましく、β−アミラーゼ及び枝切酵素に加えて、糖化酵素として、更にグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)を、特に好ましくは商品名「ダイザイムGPS」(天野エンザイム社製)を添加することができる。そして、このグルコアミラーゼの添加量は、原料に対する質量基準(W/W)で好ましくは0.001%〜5.0%、より好ましくは0.1%〜3.0%、更に好ましくは0.2%〜2.5%である。
さらに、本発明においては、より低分子量のβ−グルカン含有溶液を得ることを目的とすることを考慮すると、糖化工程において、上記糖化酵素に加えて、さらにβ−グルカン分解酵素(EC3.2.1.73)を添加するのが望ましい。このβ−グルカン分解酵素は適宜市販のものを利用することができるが、特に好ましくは商品名「Finizym(登録商標)250L」(Novozymes社製)を利用することができる。
なお、本製造方法で用いる大麦粉砕物中には、一般的に、重量平均分子量で数百万程度のβ−グルカンが含有されている。そのため、β−グルカン含有溶液の取り扱いの容易さという観点から、β−グルカン分解酵素による分解により、所望の重量平均分子量のβ−グルカンを得る必要がある。当該β−グルカン分解酵素の添加量や反応時のpHを調整すれば、β−グルカンの重量平均分子量を所定の範囲にコントロールすることが可能である。
本発明においてβ−グルカンの好ましい重量平均分子量としては、好ましくは2,500〜40,000、より好ましくは3,000〜30,000、更に好ましくは4,000〜25,000、特に好ましくは5,000〜20,000である。そして、この重量平均分子量を得るのに用いられるβ−グルカン分解酵素の添加量は、原料に対する質量基準(W/W)で、好ましくは0.0001%〜1.0%、より好ましくは0.001%〜0.1%、更に好ましくは0.002%〜0.01%である。また、β−グルカン分解酵素による分解反応時の溶液のpHは、当該酵素が短時間で失活しない程度であれば特に問題ないが、好ましくはpH4.0〜pH8.0、より好ましくはpH4.5〜pH7.0、更に好ましくは、pH5.0〜pH6.5である。
本工程における反応温度及び反応時間は、添加する糖化酵素やβ−グルカン分解酵素の種類や原料として用いる植物によっても異なる。しかし、一例として、好ましくは40℃〜80℃の反応温度、より好ましくは50℃〜70℃の反応温度、更に好ましくは55℃〜65℃の反応温度であって、好ましくは0.1時間〜24時間の反応時間、より好ましくは0.5時間〜12時間の反応時間、更に好ましくは1時間〜4時間の反応時間が挙げられる。
4.濾過/フィルター処理/濃縮工程
糖化工程を経て得られた溶液を珪藻土や活性炭を助剤とする濾過を行い、さらにフィルター上を通液することで不溶部を取り除いた液部を得る。そして、その用途に応じたBrixとなるようにエバポレータなどを用いて濃縮を行う。
以上の仕込工程、液化工程、糖化工程、濾過/フィルター処理/濃縮工程によって、β−グルカン含有シロップを得ることができる。
なお、本発明に係る飲料に、β−グルカン含有シロップとして添加する場合には、当該シロップ中に含まれるβ−グルカンは以下の特性を有することが望ましい。すなわち、重量平均分子量として、好ましくは2,500〜40,000、より好ましくは3,000〜30,000、更に好ましくは4,000〜25,000、特に好ましくは5,000〜20,000のβ−グルカンを含有するのが良い。これにより、例えば飲料の原料としての取り扱いが容易になるだけでなく、β−グルカンの生理機能も十分に発揮することが可能となる。
また、β−グルカン含有シロップの粘度は、好ましくは20,000cP以下、より好ましくは1,000cP〜15,000cP、更に好ましくは、2,000cP〜10,000cPであることが望ましい。また、β−グルカン含有シロップのBrixとしては、好ましくは30%〜80%、より好ましくは50%〜80%、更に好ましくは60%〜75%であることが望ましい。また、β−グルカン含有シロップのpHとしては、好ましくはpH4.0〜pH8.0、より好ましくはpH4.5〜pH7.0、更に好ましくはpH5.0〜pH6.0であることが望ましい。
<粘度>
本発明において、製造されたβ-グルカン含有シロップの粘度は、各種粘度計のうち所望の粘度計を用いて、所定のプレートに当該シロップを入れて測定される。一例としては、E型粘度計(例えば、商品名「VISCONIC ED」:東京計器社製)が用いられ、当該E型粘度計のプレートに製造されたβ−グルカン含有シロップを1.2mL入れて、25℃における粘度が測定される。
<Brix(可溶性固形分濃度)>
本発明において、Brixとは、可溶性固形分濃度(%)のことであり、可溶性固形分が溶解した水溶液の20℃における屈折率を測定し、ICUMSA(International Commission for Uniform Methods of Sugar Analysis)提供の換算表に基づいて、純ショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値のことである。本発明においては、水溶液中、すなわち、上記製造工程で製造されたβ−グルカン含有シロップ中に含まれる可溶性固形分の濃度のことを意味する。このBrixは既に知られている公知の測定法を適宜用いて測定することができ、一般的には市販の糖度計(例えば、デジタル屈折計 商品名「RX−5000α」:アタゴ社製)を用いて測定することができる。
なお、この最適なBrixは、製造されたシロップとして取り扱いが容易な低い粘度を実現しつつ、シロップの微生物増殖リスクを低くするという観点から適宜調整するとよい。
<血糖値上昇抑制機能>
動物(好ましくはヒト)における、本発明に係るβ−グルカン含有飲料の血糖値上昇抑制能は、種々の方法によって確認することが可能である。一例としては、まず十分に空腹にさせた健常者に本発明に係るβ−グルカン含有飲料を最初の食事(ファーストミール)として所定量摂取させ、その後一定期間ごとに血糖値を測定することによって確認する。さらに、所定時間経過後、次の食事(セカンドミール)を摂取させ、ファーストミールとして摂取させたβ−グルカン含有飲料が次の食事(セカンドミール)による血糖値上昇に与える影響を、一定時間ごとに評価する。これによって、ファーストミールとして摂取した飲料が、次に摂取した食事(セカンドミール)による血糖値にも影響を及ぼすことを意味するセカンドミール効果も確認することが可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「%」は質量/質量%を意味する。
[実施例1]
<β−グルカン含有飲料の製造>
β−グルカン含有飲料の原液として紅茶飲料の原液を用いた。当該原液は、十分に沸騰した純水7830gに対して、アスコルビン酸ナトリウム1.68g、紅茶の茶葉280g加えて、1分毎に10秒間撹拌しながら、5分間煮出した。その後、上段に100メッシュ、下段に200メッシュを有する濾過装置によって2段濾過を行い、紅茶原液を得た。そして、得られた紅茶原液に、以下で得られたβ−グルカン含有シロップを900g添加して混合し、最終的に9000gとなるように純水をさらに添加した。その後、85℃に加温し、190g缶に175mLずつ充填後、121℃で15分間加温して滅菌した。そして、175mL缶中に、0.5gのβ−グルカンが含まれた飲料を得た。なお、以下の血糖値測定実験においては、各被験者に対してβ−グルカン1.0gを摂取させるため、ファーストミールとして175mL缶の飲料を2本摂取して、合計350mLの飲料(熱量99.8kcal、タンパク質1.0g、脂質0g、炭水化物24.4g)を摂取させた。
<β−グルカン含有シロップの製造>
上記飲料の製造において用いられたβ−グルカン含有シロップは、以下の方法により製造された。
まず、β−グルカンを4%含有する大麦粉を純水中に分散させた大麦粉溶液に、液化酵素であるα−アミラーゼ(EC3.2.1.1)として商品名「クライスターゼT10S」(天野エンザイム社製)を原料に対する質量基準(W/W)で0.4%の濃度で添加し、50℃で1時間反応させた。液化反応後、120℃で15分間オートクレーブにかけて添加した液化酵素を失活させた。
次に、上記反応液を恒温槽中で60℃まで冷却し、糖化酵素としてβ−アミラーゼ(EC3.2.1.2)である商品名「β−アミラーゼ#1500S」(ナガセケムテックス社製)を原料に対する質量基準(W/W)で0.52%の濃度で、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)である商品名「プルラナーゼアマノ3」(天野エンザイム社製)を原料に対する質量基準(W/W)で0.26%の濃度で、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)である商品名「ダイザイムGPS」(天野エンザイム社製)を原料に対する質量基準(W/W)で0.26%の濃度で、β−グルカン分解酵素(EC3.2.1.73)である商品名「Finizym(登録商標)250L」(Novozymes社製)を原料に対する質量基準(W/W)で0.0052%の濃度で、上記反応液中に添加した。その後、60℃で2時間糖化反応を行ったのち、90℃まで加温して酵素を失活させた。
次に、珪藻土(商品名「ラヂオライト#500S」:昭和化学工業社製)で被覆した濾紙(商品名「定性濾紙No.2」:ADVANTEC社製)を張ったヌッチェに、80℃〜85℃に保持した上記反応液を通液させた。この濾過液を細孔サイズ0.8μmのメンブレンフィルター(商品名「Mixed Cellulose Esters(MCE) Membrane Filters」:ADVANTEC社製)を張ったヌッチェに、70℃〜75℃に保持した上記濾過液を通液した。得られた濾過液はエバポレータによって、Brixが70.0%となるように濃縮した。以上により得られたβ-グルカン含有シロップのpHは、JAS法に準じ、純水を用いてBrixが30%になるように希釈して測定したところ、pH5.2であった。
<β−グルカンの定量方法>
上記方法により調製されたβ−グルカン含有シロップ中のβ−グルカンの定量は、β−グルカン測定キット(商品名「MIXED LINKAGE BETA−GLUCAN ASSAY KIT」Megazyme社製)を用いて、McCleary法(酵素法)により行った。すなわち、Brixを10%に調整したβ−グルカン含有シロップを15mLチューブに5mL入れ、細かく粉砕した硫酸アンモニウム2.5gを加え、溶解した。4℃、20時間静置した後、4℃、3,000rpmで、10分遠心し、上清を除去した。残ったペレットに50%(V/V)エタノール水溶液1mLを加え、激しく攪拌してペレットを懸濁させ、さらに50%(V/V)エタノール水溶液10mL加えて混合した。再び、4℃、3,000rpmで、5分遠心し、上清を除去した。再度、ペレット懸濁、エタノール添加、遠心及び上清除去の操作を繰り返した。ペレットを20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)4.8mLに再溶解後、上記緩衝液で10倍希釈した溶液4.8mLにリケナーゼ溶液200μLを加え、40℃、5分インキュベーションした。4℃、3,000rpm、10分遠心した上清を100μLずつ15mLチューブに移した。チューブにβ-グルコシダーゼ溶液100μL加えて40℃、15分反応させた。その後、チューブにglucose oxidase/peroxidase(GOPOD)を3mLずつ加え、40℃、20分反応させ、510nmの吸光度を測定した。キットに記載の方法に従い、別途グルコース100μgの吸光度を測定し、基準とした。なお、β-グルコシダーゼ溶液のかわりに50mM 酢酸バッファー(pH4.0)100μLを加えたものをブランクとした。β−グルカン濃度は、次式により求めた。
β−グルカン濃度(可溶性固形分に対して、%)=ΔA×F×9×D×(100/Brix)
ここに、
ΔA=サンプルの吸光度−ブランクの吸光度
F=100/グルコース100μgの吸光度
D=シロップを希釈した際の希釈倍率
<β−グルカンの抽出方法及びその分子量の測定方法>
上記方法により調製されたβ−グルカン含有シロップ中のβ−グルカンの重量平均分子量は、以下の方法により測定した。まず、AOAC985.29の公定法に基づいて、測定キット(商品名「Total Dietary Fiber Assay」:Sigma Aldrich社製)を用いて精製した。すなわち、三角フラスコ中にβ−グルカン含有シロップ1gと0.08Mリン酸緩衝液(pH6.0)を50mL、上記キットに付属のα−アミラーゼ(EC3.2.1.1)溶液を100μL添加し、アルミホイルで蓋をした後、沸騰水中で30分間インキュベートした。その後、室温で30分間の冷却を経た後、0.275Nの水酸化ナトリウム水溶液を10mL程度上記反応液に添加しpHを7.5±0.2に調整した。その後、上記キットに付属のプロテアーゼ(EC3.4.21.62)溶液を50mg/mLに希釈した溶液を100μL、反応液に添加し、60℃で30分間振盪しながらインキュベートし、その後室温で30分間の冷却を行った。次に、0.325Nの塩酸水溶液を10mL上記反応液に添加しpHを4.3±0.3に調整した。その後、上記キットに付属のアミログルコシダーゼ(EC3.2.1.3)溶液を100μL、反応液に添加し、60℃で30分間振盪しながらインキュベートした。その後、反応液を3分間沸騰し上記酵素を失活させた。その後、反応液を濾紙(商品名「定性濾紙No.2」:ADVANTEC社製)に通液した。
次に、上記反応液に陽イオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオンPK218」:三菱化学社製)と陰イオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオンPA408」:三菱化学社製)を混合、攪拌したのち、固層抽出カラム(商品名「Sep−Pak C18 Cartridge」:Waters社製)に通液させた。通液させた反応液を5mL分取し、それに硫酸アンモニウム2.5gを添加し、4℃で20時間、静置した。その後、4℃で10分間、3,000rpmで遠心分離をした後、上清を破棄し、ペレットに5mLの75%エタノールを添加しボルテックスミキサーを用いて洗浄した。そして、再度4℃で10分間、3,000rpmで遠心分離をした後、上清を破棄し、ペレットに5mLの75%エタノールを添加しボルテックスミキサーを用いて洗浄した。この遠心分離と洗浄の工程を再度繰り返した後、得られたペレットに純水を加えて80℃以上で加熱溶解した。その溶解液を0.45μmの細孔サイズのメンブレンフィルター(商品名「MILLEX(登録商標)−HP 0.45μm」:MILLIPORE社製)に通液した。β−グルカン溶液は、ゲル濾過クロマトグラフィーでその分子量分布及び重量平均分子量を測定した。
ゲル濾過クロマトグラフィーでの分子量分布及び重量平均分子量の測定は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて以下の条件で行った。
カラム:TSKgel G6000PWXL−G3000PWXL−G2500PWXL(東ソー社製)の3本連結カラム
溶媒:純水
温度:80℃
流速:0.5mL/min
検出:RI(示差屈折率)
得られた分子量分布及び重量平均分子量は、分子量が既知のプルラン(商品名「STANDARD P−82」:昭和電工社製)を用いて作成した検量線に基づいて算出した。
<β−グルカン含有シロップ中の糖組成測定>
上記製造方法によって得られたβ−グルカン含有シロップの糖組成の評価方法は以下の通りである。シロップをBrix10%程度に希釈し、活性炭(商品名「白鷺A」:日本エンバイロケミカルズ社製)を適量添加して混合した。つぎに、サンプル溶液を煮沸するまで加熱し、濾紙(商品名「定性濾紙No.2」:ADVANTEC社製)に通液した。その後、サンプル溶液に陽イオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオンPK218」:三菱化学社製)と陰イオン交換樹脂(商品名「ダイヤイオンPA408」:三菱化学社製)を混合、攪拌したのち、固層抽出カラム(商品名「Sep−Pak C18 Cartridge」:Waters社製)に通液させた。サンプルのBrixを1%〜5%程度に調整し、0.45μmの細孔サイズのメンブレンフィルター(商品名「MILLEX(登録商標)−HP 0.45μm」:メルク社製)に通液させ、糖組成分析用サンプルとした。糖組成は、商品名「Alliance(登録商標)HPLCシステム」(日本ウォーターズ社製)を用いて分析した。
<測定条件>
カラム:ULTRON PS80−N(島津ジーエルシー社製)
溶媒:純水
温度:60℃
流速:0.6mL/min
検出:RI(示差屈折率)
<血糖値及び血清インスリン濃度測定実験>
実施例1の血糖値及び血清インスリン濃度測定実験は、健常な25歳〜60歳の男女11名(男5名、女6名)を被験者として実施された。各被験者は、一晩絶食後に、午前9時にファーストミールとして上記製造方法によって得られたβ−グルカン含有飲料350mL(β−グルカン1.0gを含む)を摂取した。また、午後1時にセカンドミールとし糖質49.7gを含む白米を摂取した。そして、各被験者から、ファーストミール摂取直前、及びファーストミール摂取後30分、60分、90分後、120分後、並びにセカンドミール摂取直前、及びセカンドミール摂取後30分、60分、90分、120分後に、それぞれ7mLずつ血液を採取した。採取した血液から、血糖値(mg/dL)及び血清インスリン濃度(μU/mL)が、それぞれ生化学分析装置AU480(ベックマン・コールター社製)を用いたヘキソキナーゼ法、及びARCHITECT i−2000(アーキテクト社)を用いたCLIA法によって測定された。また、日本Glycemic Index研究会推奨の統一手法に準じて、得られた各曲線から血糖値及び血清インスリンの上昇曲線下面積(IAUC)が算出された。
[比較例1]
比較例1として、β−グルカンを含有しないシロップを用いた点を除いては、全て実施例1と同様の方法によって、各被験者の血糖値及び血清インスリン濃度が測定された。なお、当該実験は、実施例1による実験から少なくとも6日以上の期間を開けて実施した。
β−グルカンを含有しないシロップの調製においては、原料となる大麦粉砕物溶液を大麦粉砕物が20%となるように純水中に分散させて調製した点、またβ−グルカン分解酵素(EC3.2.1.73)である商品名「Finizym(登録商標)250L」(Novozymes社製)の添加量を上記実施例1の調製方法の100倍量(原料に対する質量基準(W/W)で0.52%の濃度)で反応液中に添加した点、以外は全て上記実施例1の調製方法に従って調製した。そして、最終的に、β−グルカンを含有しないシロップを得た。
なお、下記表1に実施例1及び比較例1で用いられた各飲料の成分の違いを示す。
Figure 2018042521
また、下記表2に実施例1及び比較例1の飲料に用いられた各シロップからβ−グルカンを抽出しゲル濾過クロマトグラフィーによって測定した分子量分布の結果を示す。
Figure 2018042521
これによると、実施例1で用いられたβ−グルカン含有シロップ中には、分子量2,000〜10,000のβ−グルカンや、2,000未満のβ−グルカンが多量に存在しており、上記製造方法によって、より低分子のβ−グルカンを多量に得ることができた。
また、下記表3に実施例1の飲料に用いられたシロップ中に含まれるβ−グルカンの重量平均分子量及びその濃度、並びに実施例1及び比較例1の各シロップの糖組成を示す。
Figure 2018042521
実施例1で用いられたシロップの糖組成によると、単糖類及び二糖類の割合が大きい。一般に多糖類の含有量が多いほどシロップの粘度が高くなる。しかし、実施例1においては、上記とおり単糖類及び二糖類の割合が十分に高く粘度が高くなく飲料の原料としても非常に優れた特性を有していた。
図1は、ファーストミールとしてβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料を摂取したときの血糖値測定実験の結果を示す図である。具体的には、図1(a)に、上記実施例1に記載の方法に従って、ファーストミールとしてβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料を摂取する直前、及び摂取後30分、60分、90分、120分後の血糖値を被験者ごとに測定し、その平均値を示し、標準偏差をエラーバーで示した。また、図1(b)に、上記測定結果から得られた曲線に基づいて、IAUCを算出した結果を示し、標準偏差をエラーバーで示した。図1(a)によると、実施例1及び比較例1ともに、血糖値は摂取後30分でピークを示し、その後徐々に低下した。また、図1(a)及び(b)のいずれにおいても、比較例1に対する実施例1(すなわち、β−グルカン含有飲料を摂取した場合)の有意な血糖値上昇抑制効果は確認されなかった。
図2は、セカンドミールとして白米を摂取したときの血糖値測定実験の結果を示す図である。具体的には、図2(a)に、上記実施例1に記載の方法に従って、ファーストミールとして摂取したβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料の、セカンドミールとして白米を摂取したことによる血糖値上昇に対する影響を示した。図2(a)の各血糖値には、セカンドミールの摂取をする直前、及び摂取後30分、60分、90分、120分後に被験者ごとに測定し、その平均値を示し、標準偏差をエラーバーで示した。また、図2(b)に、上記測定結果から得られた曲線に基づいて、IAUCを算出した結果を示し、標準偏差をエラーバーで示した。図2(a)によると、実施例1及び比較例1ともに、血糖値は摂取後60分でピークを示し、その後徐々に低下した。しかし、実施例1においては、比較例1に対して、摂取後60分、90分及び120分のいずれにおいても、有意な血糖値上昇抑制効果(図2(a)中の「*」)が確認された(検定はすべて両側検定とし、有意水準はp<0.05とした)。また、図2(b)によると、測定されたIAUCにおいても、比較例1に対して、実施例1の有意な血糖値上昇抑制効果(図2(b)中の「*」)が確認された。
図3は、ファーストミールとしてβ−グルカン含有飲料またはβ−グルカン非含有飲料を摂取したときの血清インスリン濃度測定実験の結果を示す図である。また、図4は、セカンドミールとして白米を摂取したときの血清インスリン濃度測定実験の結果を示す図である。具体的には、図3(a)及び図4(a)は、図1及び図2で確認された各時点における血糖値に対するインスリンの影響を確認するために、同時点での血清中のインスリン濃度を示した。また、図3(b)及び図4(b)は、図3(a)及び図4(a)で得られた曲線に基づいて、IAUCを算出した結果を示した。図3(a)及び(b)、並びに図4(a)及び(b)によれば、実施例1及び比較例1の両方において、血清インスリン濃度の有意な違いは見られず、図2で確認された血糖値上昇抑制効果は、インスリンによるグルコースの吸収抑制を介した血糖値上昇抑制によるものではないことが確認された。すなわち、図2で確認された血糖値上昇抑制効果は、セカンドミール摂取後のβ−グルカンによる血糖値上昇抑制メカニズムである、大腸に到達した食物繊維が腸内フローラにより発酵され生じた短鎖脂肪酸による血糖値上昇抑制が働いたことを示した。
本発明は、セカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制効果を有する、重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを0.7〜1.3g含有する飲料、及びその製造方法を提供する。したがって、本発明は、飲料産業において利用可能である。

Claims (11)

  1. 重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカンを0.7〜1.3g含有する、セカンドミール摂取後の血糖値上昇抑制のための飲料。
  2. 前記β−グルカンが、植物由来β−グルカンである、請求項1に記載の飲料。
  3. 前記β−グルカンが、イネ科植物由来β−グルカンである、請求項1又は2に記載の飲料。
  4. 前記β−グルカンを0.9〜1.1g含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
  5. 前記飲料が、紅茶又はコーヒーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料を製造するための方法。
  7. 重量平均分子量が2,500〜40,000のβ−グルカン含有シロップを添加する工程を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記β−グルカン含有シロップが、20,000cP以下の粘度を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記β−グルカン含有シロップが、30%〜80%のBrixを有する、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記β−グルカン含有シロップが、pH4.0〜8.0である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. グルコアミラーゼを用いた反応工程を含む、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
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WO2022075222A1 (ja) * 2020-10-06 2022-04-14 株式会社Adeka 腸内細菌増殖促進剤、血糖値低減剤、血清コレステロール値低減剤、及びこれらを含有する飲食品組成物

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