JP2018039776A - 過剰エネルギー摂取抑制用組成物 - Google Patents

過剰エネルギー摂取抑制用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018039776A
JP2018039776A JP2017019582A JP2017019582A JP2018039776A JP 2018039776 A JP2018039776 A JP 2018039776A JP 2017019582 A JP2017019582 A JP 2017019582A JP 2017019582 A JP2017019582 A JP 2017019582A JP 2018039776 A JP2018039776 A JP 2018039776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
dfaiii
administration
intake
food
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017019582A
Other languages
English (en)
Inventor
徹 比良
Toru Hira
徹 比良
原 博
Hiroshi Hara
博 原
泰三 名倉
Taizo Nagura
泰三 名倉
敬典 高橋
Takanori Takahashi
敬典 高橋
奥原 康英
Yasuhide Okuhara
康英 奥原
純嗣 石川
Sumitsugu Ishikawa
純嗣 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fancl Corp
Hokkaido University NUC
Nippon Beet Sugar Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Fancl Corp
Hokkaido University NUC
Nippon Beet Sugar Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fancl Corp, Hokkaido University NUC, Nippon Beet Sugar Manufacturing Co Ltd filed Critical Fancl Corp
Publication of JP2018039776A publication Critical patent/JP2018039776A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】過剰エネルギー摂取抑制作用を示す組成物を提供する。【解決手段】DFAIIIを有効成分として含有する、過剰エネルギー摂取抑制用組成物。【選択図】図10

Description

本発明は過剰エネルギー摂取抑制用組成物に関する。
肥満や肥満に伴う容姿の悪化、精神的ストレスの上昇、社会的評価や自己評価の低下等
は、現代において、肥満者のQOLを低下させる原因となっている。また、疫学調査の結果
によると、肥満者は本人のみならず、他者による評価まで低下させるということが明らかとなっている。さらには、各種成人病や、精神疾患、癌などの疾患につながるといわれている。またこの問題はヒトに限ったものではなく、家畜、特に愛玩用のペットにおいても同様である。
肥満の第一の原因はエネルギーの過剰摂取であり、特に肥満者においては過剰なエネルギー摂取を適切にコントロールすることが難しいことが潜在的な原因として挙げられる。
肥満に伴う社会的、精神的な諸問題に対しては、肥満の改善が重要であり、これには食事由来のエネルギー摂取量を低下させる食事療法が第一に選択される。しかし、エネルギー摂取量を適切にコントロールすることは難しく、いわゆるリバウンドが起こるなど効果は十分とはいえない。この現状を解決するために、摂食を抑制するような薬剤が開発されている。食欲抑制効果を持つ薬剤としては、覚醒剤として使用されるアンフェタミン、メタンフェタミンの作用が知られている。しかし、興奮作用や依存性が発現するため臨床的な使用には適さない。
また、同様の効果を持つものとして、向精神薬フェニルアルキルアミン誘導体に食欲抑制作用があることを見出した発明(特許文献1)、N−ピペロニル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ〔b〕チエノ〔2,3−C〕ピリジン−3−カルボアミドを有効成分とする食欲抑制剤(特許文献2)などがある。しかしこれらの化学物質を投与することは当然副作用の発生などを考慮する必要がある。
また、副作用の心配のない食品由来成分としてヒラタケの子実体から分離される成分を活用した食欲抑制剤(特許文献3)、大豆由来のイソフラボンであるエクオールを有効成分とする摂食抑制剤(特許文献4)、ラクトバチルス・ガセリCP2305株(FERM P-21356)
の培養物(特許文献5)、コムギグルテン加水分解物(特許文献6)などが提案されているが、これらの効果はいまだ十分ではない。
一方、本願発明者らは、食品中に含まれる難消化性二糖の一種であるダイフルクトースアンハイドライドIII(以下「DFAIII」とする)の生理作用に注目して研究を行い、その結果カルシウム吸収促進作用(特許文献7)、ナトリウム・カリウム排泄促進作用(特許文献8)、骨吸収抑制及び骨密度向上作用(特許文献9)、便通改善作用(特許文献10)など多様な生理作用を見いだし、さらに継続的に研究を行ってきた。
特開2000−143506号公報 特開平07−145054号公報 特許第2965284号公報 特開2007−308428号公報 特開2012−017282号公報 特開2013−082658号公報 特許第4759289号公報 特許第4721684号公報 特許第4703118号公報 特許第4236441号公報
本発明者らは、上記のような背景技術を基にさらに研究を行い、DFAIIIの新たな生理作用として摂食抑制作用及びペプチドYY(PYY)産生促進作用を見いだし、本発明をなした。
すなわち、本発明の課題は、新たな摂食抑制用組成物及びペプチドYY(PYY)産生促進用組成物を提供することにある。
本発明の主な構成は、以下の通りである。
1.ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を有効成分として含有する、過剰エネルギー摂取抑制用組成物。
2.ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を、3質量%以上含有することを特徴とする、過剰エネルギー摂取抑制用食品組成物。
3.ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を、3質量%以上含有することを特徴とする、過剰エネルギー摂取抑制用ペット用飼料組成物。
4.ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を有効成分として含有する、ペプチドYY(PYY)産生促進用組成物。
本発明により新たな過剰エネルギー摂取抑制用組成物が提供される。本発明により得られた組成物は、特に高カロリー食品の摂取時に併用すると過剰なエネルギーの摂取を抑制することができる。また本発明の組成物を持続的に摂取することにより、肥満を予防または改善し、さらに肥満に伴って発生する有害作用を予防または改善する。
さらに本発明の組成物は、ペプチドYY(PYY)の産生を促進し、血中のペプチドYY(PYY)の濃度上昇を促進する作用を有する。
予備試験の最終体重の測定結果を示す。 予備試験の総エネルギー摂取量の算出値を示す。 予備試験投与2週間目の糖負荷試験における血糖値の測定結果を示す。 予備試験投与2週間目の経口糖負荷試験のインスリンの測定結果を示す。 予備試験終了時の門脈血中のグルカゴン様ペプチド-1;Glucagon-like peptide-1の測定結果を示す。 予備試験終了時の盲腸全重量の測定結果を示す。 予備試験終了時の内臓脂肪量の測定結果を示す。 本試験の投与8日間の体重推移の測定結果を示す。 本試験の投与8日間の摂餌量推移の算出値を示す。 本試験の投与8日間の総エネルギー摂取量の算出値を示す。 投与5週間目の血中PYY濃度の測定結果を示す。
本発明は、DFAIIIを有効成分として含有する、過剰エネルギー摂取抑制用組成物に係る発明である。
また本発明は、DFAIIIを有効成分として含有する、ペプチドYY(PYY)産生促進用組成物に係る発明である。
本発明でいうDFAIIIとは、2個のフルクトースが、互いに2点ずつで結合したアンヒドロ化環状二糖である。従来、カラメルなどに存在することが知られていたが、工業的には、イヌリンをイヌリン分解酵素、例えば、Arthrobacter sp.H65−7株が産生するイヌリンフラクトトランスフェラーゼ(EC4.2.2.18)と酵素反応させて、製造することができる。二分子のフルクトースの結合様式の差異により、DFAには、DFAIやDFAIII、DFAIV、DFAV などの異性体が知られている。本発明では、もっぱら、工業的生産の効率、精製してからの安定性などが優れているDFAIIIが好ましく使用される。とくにDFAIIIは、大量に摂取しても下痢や腹痛などの副作用が発生せず、長期間摂取しても虫歯の原因となるミュータンス菌に資化されないため、安全面からも好ましい。
本発明の組成物は、DFAIIIを有効成分として含有するものであって、医薬品タイプ、飲食品タイプ及びペット動物用飼料タイプの組成物として利用することができる。例えば、ヒト又はペット動物用の医薬品、飲食品、調製粉乳、経腸栄養剤、健康飲食品及びペット飼料添加物など、最終的に経口投与可能な形態であれば制限はない。また、有効成分の含有量は、特に限定されない。
飲食品タイプの組成物として使用する場合には、DFAIII又はDFAIIIを含む組成物をそのまま使用したり、他の食品ないし食品成分と併用したりして、適宜常法に従い使用できる。DFAIIIの含有量は、特に限定しないが、食品等に添加する場合、1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%とする。また、加工にあたっては、熱安定性、酸安定性が高いため、通常の食品加工方法がなんら問題なく適用できる。DFAIIIを含有する飲食品タイプの経口組成物は、粉末状、顆粒状、ペースト状、液状及び懸濁状など特段の限定は受けない。例えば甘味料、酸味料及びビタミン剤その他ドリンク剤製造に常用される各種成分を用いて、健康ドリンクに製剤化することができる。
医薬品タイプの組成物として使用する場合、本有効成分は、種々の形態で投与される。その投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤及びシロップ剤等による経口投与が例示できる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤及びコーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。その使用量は症状、年齢、体重及び剤形によって異なるが、通常は、成人に対して、経口投与の場合に1日1〜10g、好ましくは1日3〜10g投与するのが良く、食品を摂取する前又は摂取中、あるいは摂取後に投与するのが良い。
ペット動物も富栄養化あるいは人と同様の食物をとる機会が増えるので、ペット動物用剤あるいはペット飼料に添加して投与することが有用である。
飲食品、あるいは医薬品タイプの組成物は、予防や改善用として摂取することもできる。
DFAIIIは、精製されたものであっても、あるいは部分精製されたものであっても良い。DFAIIIは、特許第5306408号公報に開示された製造方法に基づいて得られる結晶化粒子状態のものが取り扱いの利便性があるため特に好ましい。
本発明の第2の発明であるペプチドYYの産生促進用組成物も、第1の発明と同様にして用いることができる。ペプチドYY(PYY)は1968年にブタの小腸より単離されたペプチドで、ニューロペプチドY(NPY)、膵ポリペプチド(PP)とともに一つのペプチドファミリーを形成している。PYYは、おもに下部消化管(回腸および結腸)の粘膜層内細胞から食後分泌される。PYYの末梢投与は膵外分泌および腸運動を抑制させることが知られている。したがって、本発明組成物は、血中PYYを上昇させることで食欲を抑制することができる。またPYYの低下に伴って発症する症状の緩和や治療の用に供することができる。
以下に本発明の組成物を用いた予備試験及び本試験例を示し、本発明を説明する。
<動物を用いたペアフィーディングによる試験(予備試験)>
1.被験物質
被験物質としてDFAIII(純度99%以上、日本甜菜製糖株式会社製)とラフィノース(純度99%以上、日本甜菜製糖株式会社製、以下「Raf」とする)を用いた。また、以下に記載する被験物質の含量はDFAIII、Rafともに実重量で示した。なお、特に断りのない場合%は質量%を意味する。
各被験物質はAIN93G組成のセルロース含量を6.5%とした飼料を普通食とし、その脂質と糖質をそれぞれ30質量%、40質量%に高めた高エネルギー食にそれぞれ3質量%添加し被験飼料を調製した。
調製はAIN93Gのシュークロースとセルロースそれぞれ1.5質量%ずつ計3質量%を各被験物質で置換した。なお、各飼料のカロリーは普通食で3.90kcal/g、高エネルギー食で5.05kcal/gであった。飼料組成の詳細は下記の表1に示す。
Figure 2018039776
2.実験動物
動物は日本エスエルシー株式会社から5週齢で購入し、入荷後7日間の馴化をした6週齢のSprague Dawley系雌雄ラット(SPF)36匹を用いた。群分けは以下の方法で実施した。 投与開始前日に体重を測定し、その後、一般状態が良好な動物の中から、体重層別法により1群8〜10匹の4群に割り付け、配置した。設定群は以下の通り。普通食群(cont群)、高エネルギー食群(HF/HS群)、高エネルギー食+DFAIII3%群(HF/HS+D群)及び高エネルギー食+Raf3%群(HF/HS+R群)。
3.飼育条件
ラットは温度21〜25℃、湿度45〜65%、照明8〜20時に設定した飼育条件下で、幅25cm、高さ20cm、奥行き35cmの金属製ケージに1匹/ケージ単位で収容し、馴化期間は製造後6ヶ月以内のAIN93Gと水道水をそれぞれ自由摂取させて飼育した。各個体はケージラベル、架台に貼付した動物No.を記載したカラーテープにより識別した。
4.投与経路、投与量および投与方法
投与は8週間の混餌とし投与開始2日までは全ての群で自由摂取、投与2日以降はcont群を自由摂取、その他の高エネルギー食をベースとするHF/HS群、HF/HS+D群及びHF/HS+R群をペアフィーディングとした。今回は試験初回の2日間の摂餌量の測定値から3群の中でエネルギー摂取量が一番低かった群の摂餌量に併せて以降の他の2群の給餌量を決定した。なお、摂取エネルギーが一番低かった群は次回の摂餌量の測定までは自由摂取とし、同様の方法で投与8週間まで実施した。投与量となる各被験物質の混餌量はDFAIII、Rafともにラットの安全性試験において摂餌量の低下などが観察されない3質量%とした。
5.観察・測定・検査項目および方法
1)一般観察
i) 一般状態観察
投与開始前日(群分け)から最終投与後1日までの毎日、1日1回、午前中に観察した。
ii) 体重測定
投与開始前日(群分け)、投与開始日から最終投与終了日まで2日おきに測定した。
iii) 摂餌量測定
投与開始日から最終投与終了日まで2日おきに測定した。摂餌量は給餌開始日から2日後の残餌量を引いて算出した。残餌量の測定後、残餌に追加の給餌は行わず、新しい容器に新しい飼料を給餌し給餌開始日の重量とした。また、摂餌量と飼料のカロリーから総エネルギー摂取量も算出した。
2) 経口糖負荷試験
投与開始2週間目に実施した。投与は前日から16〜18時間絶食した後にブドウ糖を蒸留水で200mg/mLの濃度となるように調製し、2000mg/kgの投与量となるように10mL/kgの投与容量でフィーディングチュ−ブを用いて単回投与した。採血は絶食後のブドウ糖負荷前、投与後15、30、60及び120分に尾静脈よりヘパリン処理したガラスキャピラリーにより実施し、約150μLの全血をヘパリン、アプロチニンを含むチューブに採取した。全血は4℃、1500×g、15分の遠心条件で速やかに血漿を分離し、血糖値(酵素法)、インスリン(ELISA法)の測定まで−80℃で冷凍保存した。
3)血液検査
全例とも最終投与後1日に実施した。採血は最終投与終了日の夕刻から16〜18時間絶食させた後に、ペントバルビタール麻酔下で門脈及び腹部大動脈から注射筒(ヘパリン、アプロチニン、DPP-IV阻害剤を含む)により採血した。採血量は全血として門脈血、後大動脈血ともに1mLとし、採取した全血は4℃、1500×g、15分の遠心条件で血漿を分離しGLP−1(メルクミリポア社 ELISAキット)の測定まで−80℃で冷凍保存した。
4)病理検査
剖検は最終投与後1日の採血終了時に腹部大動脈および大静脈切断によって放血致死させてから、肝臓、膵臓、空腸、回腸、盲腸、結腸及び内臓脂肪(副睾丸脂肪、腸間膜脂肪及び後腹膜脂肪)を摘出した。空腸、回腸及び結腸は内側に生理食塩水を通して洗浄した後、盲腸、肝臓及び内臓脂肪は重量を測定し、その他の臓器はそのまま速やかに液体窒素にて凍結し−80℃で保存した。
6.統計学的処理
各種検査の数量的項目は平均値と標準誤差を算出し、一元配置分散分析法によって解析後、有意な場合には、Tukeyの検定法により各群の比較を行った。なお、検定は危険率5%以下を統計学的に有意とし、試験結果において、異なるアルファベットを付した群間を有意差があるものとして表示した。
7.結果
1)一般観察
i) 一般状態観察
投与期間を通じて、各群ともに軟便や下痢などの症状も観察されなかった。
ii) 体重測定
図1に最終体重を示す。群間で有意な差は認められなかった。
iii) 摂食量測定及び総エネルギー摂取量
投与開始30日目のHF/HS群、HF/HS+D群及びHF/HS+R群の給餌量と摂食量の平均値(n=8)を下記の表2に示す。また、総エネルギー摂取量を図2に示す。
Figure 2018039776
HF/HS群及びHF/HS+R群は給餌量を完食するが、HF/HS+D群は、他の食群が摂取する量より少なく「投与経路、投与量および投与方法」の項目に示すとおり、投与期間を通じて常にペアフィーディングの給餌量の基準となっていた。また、ペアフィーデイングを行った3群の投与期間を通じた総摂餌量はほぼ同じであり、総エネルギー摂取量についても有意差は認められなかった。
2)経口糖負荷試験
投与2週間目の経口糖負荷試験における血糖値(図3)、インスリン(図4)の測定結果を示す。HF/HS群に耐糖能の異常が観察された。一方、HF/HS+D群 、HF/HS+R群に耐糖能の異常は観察されなかった。
3)血液検査
i) 門脈血GLP-1量
図5に門脈血中のGLP−1の測定結果を示す。HF/HS群では他の3群と比較してGLP−1の低下傾向が認められた。
4)病理検査
i) 盲腸全重量
図6に盲腸全重量を示す。HF/HS+D群、HF/HS+R群ではHF/HS群と比較して盲腸内の発酵を示唆する有意な増加が認められた。さらにHF/HS+D群はHF/HS+R群よりも増加傾向を示した。
ii) 内臓脂肪量
図7に内臓脂肪量の測定結果を示す。
内臓脂肪量は、4群間で有意な差は認められなかった
8.考察
試験結果から、高カロリー食にDFAIIIを添加すると、盲腸内での発酵が関与し摂食が自発的に抑制されることが予測された。しかしながら予備試験はペアフィーデイングであることからその検証には自由摂取においてその摂餌量や摂取エネルギー量を比較する必要がある。また、DFAIIIの添加は高エネルギー食による耐糖能の異常も改善することから、高エネルギー食摂取に伴う耐糖能異常及びそれに関連した有害作用の発生も抑制できるものと考えられる。
<動物を用いた自由摂取による検証試験(本試験)>
1.被験物質
被験物質としてDFAIII(純度99%以上、日本甜菜製糖株式会社製)を用いた。また比較対照例としてフラクトオリゴ糖(純度99%以上、株式会社明治フードマテリア製、以下「FOS」とする)を用いた。以下に記載する被験物質の含量はDFAIII、FOSともに実重量で示した。DFAIII及びFOSは、AIN93G組成のセルロース含量を6.5%とした飼料を普通食とし、その脂質と糖質をそれぞれ30%、40%に高めた高エネルギー食にそれぞれ3質量%添加し被験飼料を調製した。調製はAIN93Gのシュークロースとセルロースをそれぞれ1.5質量%ずつ置換して調製した。
なお、各飼料のカロリーは、普通食で3.90kcal/g、高エネルギー食で5.05kcal/gであった。調製した飼料は6種類でその組成の詳細は下記の表3に示す。
Figure 2018039776
2.実験動物
動物は日本エスエルシー株式会社から5週齢で購入し、入荷後7日間の馴化をした6週齢のSprague Dawley系雌雄ラット(SPF)を用いた。群分けは以下の方法で実施した。
投与開始前日に体重を測定し、その後、一般状態が良好な動物の中から、体重層別法により1群8匹の6群に割り付け、配置した。設定群は、普通食群(cont群)、普通食+DFAIII3%群(DFA群)、普通食+FOS3%群(FOS群)、高エネルギー食群(Hcont群)、高エネルギー食+DFAIII3%群(HDFA群)、及び高エネルギー食+FOS3%群(HFOS群)の計6群とした。
3.飼育条件
ラットは温度21〜25℃、湿度45〜65%、照明7〜19時に設定した飼育条件下で、幅25cm、高さ20cm、奥行き35cmの金属製ケージに1匹/ケージ単位で収容し、馴化期間は製造後6ヶ月以内のAIN93Gと水道水をそれぞれ自由摂取させて飼育した。各個体はケージラベル、架台に貼付した動物No.を記載したカラーテープにより識別した。
4.投与量および投与方法
混餌量は、DFAIII、FOSともに予備試験と同様に、ラット、安全性試験において摂餌量の低下の観察されない3質量%とした。また予め、ラットにDFAIIIとFOSを投与し、嗜好性に差のないことを確認した。投与期間は、8日間とし混餌の自由摂取とした。
5.観察・測定・検査項目および方法
1)一般状態観察
投与開始前日(群分け)から最終投与後1日までの毎日、1日1回、午前中に観察した。
2)体重測定
投与開始前日(群分け)、投与開始日から最終投与終了日まで2日おきに測定した。
3)摂餌量測定
投与開始日から最終投与終了日まで2日おきに測定した。摂餌量は給餌開始日から2日後の残餌量を引いて算出した。残餌量の測定後、残餌に追加の給餌は行わず、新しい容器に新しい飼料を投与開始日の重量とした。算出した摂餌量はその全てを合計し、各飼料のエネルギーから群毎の総エネルギー摂取量を算出した。
6.統計学的処理
各種検査の数量的項目は平均値と標準誤差を算出しBartlettの検定法によって分散を検定した。その結果、等分散を示した項目は一元配置分散分析法によって解析し、有意な場合には、Scheffeの検定法により各群の比較を行った。なお、検定は危険率5%以下を統計学的に有意とし試験結果において、異なるアルファベットを付した群間を有意差があるものとして表示した。
7.結果
1)一般状態観察
全ての群で死亡例は認められなかった。DFA群では投与2、3日後に一過性の軟便が見られたが、翌日には回復した。また、HDFA群では2個体に同様の軟便が観察されたが、翌日には回復した。
2)体重測定
体重測定の結果を図8に示す。各群間で有意な差は認められなかった。
3)摂餌量測定
試験期間中の摂餌量の推移を図9に示す。各群間で投与期間を通しての明らかな有意な差は認められなかった。しかしながら、HDFA群は、投与期間中、常に低値で推移していた。
4)総エネルギー摂取量
投与8日間の総エネルギー摂取量を図10に示す。普通食をベースとした群では各群で有意な差は認められなかった。一方、高エネルギー食をベースとした群ではHDFA群にHcont群と比較して有意な減少が認められた。また、その総エネルギー摂取量は普通食ベースのcont群とほぼ同じであった。一方、HFOS群にはHcont群と比較して有意な減少は認められなかった。
8.考察
高エネルギー食の自由摂取による過剰なエネルギー摂取は、DFAIIIを添加することにより普通食の自由摂取時のエネルギー量程度まで抑制される。一方、普通食へのDFAIII添加では、自由摂取時の摂取エネルギー量の抑制は起こさなかった。
9.まとめ
2つの試験から、DFAIIIを高エネルギー食に添加すると、自発的に摂取エネルギーを抑制するような機構が働くことがわかる。すなわち、DFAIIIは、高カロリー食を摂取する際に併用すると、自発的にその摂取量を減らし摂取エネルギーを抑制することがわかった。また、DFAIIIは、高エネルギー食の摂取を抑制することから長期に併用するとジャンクフードなどの高カロリーの食事からの過剰なエネルギー摂取を選択的に抑制し肥満を予防できることが推察される。
<動物を用いた自由摂取による血中PYYレベルに与える影響確認試験>
1.被験物質
被験物質としてDFAIII(純度99%以上、日本甜菜製糖株式会社製)を用いた。また比較対照例としてフラクトオリゴ糖(純度99%以上、株式会社明治フードマテリア製、以下「FOS」とする)を用いた。
以下に記載する被験物質の含量はDFAIII、FOSともに実重量で示した。DFAIII及びFOSは、AIN93G組成のセルロース含量を6.5%とした飼料を普通食とし、その脂質と糖質をそれぞれ30%、40%に高めた高エネルギー食にそれぞれ3質量%添加し被験飼料を調製した。調製はAIN93Gのシュークロースとセルロースをそれぞれ1.5質量%ずつ置換して調製した。
なお、各飼料のカロリーは、普通食で3.90kcal/g、高エネルギー食で5.05kcal/gであった。調製した飼料は6種類でその組成の詳細は前記した表3と同様とした。
2.実験動物
動物は日本エスエルシー株式会社から5週齢で購入し、入荷後7日間の馴化をした6週齢のSprague Dawley系雌雄ラット(SPF)を用いた。群分けは以下の方法で実施した。
投与開始前日に体重を測定し、その後、一般状態が良好な動物の中から、体重層別法により1群8匹の6群に割り付け、配置した。設定群は、普通食群(cont群)、普通食+DFAIII3%群(DFA群)、普通食+FOS3%群(FOS群)、高エネルギー食群(Hcont群)、高エネルギー食+DFAIII3%群(HDFA群)、及び高エネルギー食+FOS3%群(HFOS群)の計6群とした。
3.飼育条件
ラットは温度21〜25℃、湿度45〜65%、照明7〜19時に設定した飼育条件下で、幅25cm、高さ20cm、奥行き35cmの金属製ケージに1匹/ケージ単位で収容し、馴化期間は製造後6ヶ月以内のAIN93Gと水道水をそれぞれ自由摂取させて飼育した。各個体はケージラベル、架台に貼付した動物No.を記載したカラーテープにより識別した。
4.投与量および投与方法
混餌量は、DFAIII、FOSともに予備試験と同様に、ラット、安全性試験において摂餌量の低下の観察されない3質量%とした。また予め、ラットにDFAIIIとFOSを投与し、嗜好性に差のないことを確認した。投与期間は、5週間とし混餌の自由摂取とした。
5.観察・測定・検査項目および方法
1)一般状態観察
投与開始前日(群分け)から最終投与後1日までの毎日、1日1回、午前中に観察した。
2)血中PYY検査
全例とも最終投与後1日に実施した。採血は最終投与終了日の夕刻から16〜18時間絶食させた後に、ペントバルビタール麻酔下で門脈からヘパリン加注射筒により採血した。採血量は全血として門脈血、後大動脈血ともに1mLとし、採取した全血は4℃、1500×g、15分の遠心条件で血漿を分離しPYY(株式会社矢内原研究所製)の測定まで−80℃で冷凍保存した。
6.統計学的処理
各種検査の数量的項目は平均値と標準誤差を算出しBartlettの検定法によって分散を検定した。その結果、等分散を示した項目は一元配置分散分析法によって解析し、有意な場合には、Tukeyの検定法により各群の比較を行った。なお、検定は危険率5%以下を統計学的に有意とし試験結果において、異なるアルファベットを付した群間を有意差があるものとして表示した。
7.結果
1)一般状態観察
全ての群で死亡例は認められなかった。DFA群では投与2、3日後に一過性の軟便が見られたが、翌日には回復した。また、HDFA群では2個体に同様の軟便が観察されたが、翌日には回復した。
2)血中PYY検査
普通食ではDFA群、FOS群ともにcont群と比較して血中PYYの有意な上昇が認められた。 一方、高エネルギー食ではHcont群と比較してHDFA群のみで血中PYYの有意な上昇が認められた。また、これらの上昇はDFA群、FOS群よりもHDFA群がより大きかった。
8.考察
DFAIIIの飼料への添加により血中PYYの濃度が上昇することが明らかとなった。その効果は飼料が高エネルギーであるほど血中PPYを強く上昇させ、過剰エネルギーの摂取を普通飼料摂取時程度まで抑制すると考えられる。本試験の投与8日間で認められたHDFA群のcont群程度までの過剰エネルギー摂取抑制は、この血中PYYの濃度上昇に起因した現象と考えられる。一方、FOSにはこのような効果は認められなかった。

Claims (4)

  1. ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を有効成分として含有する、過剰エネルギー摂取抑制用組成物。
  2. ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を、3質量%以上含有することを特徴とする、過剰エネルギー摂取抑制用食品組成物。
  3. ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を、3質量%以上含有することを特徴とする、過剰エネルギー摂取抑制用ペット用飼料組成物。
  4. ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFAIII)を有効成分として含有する、ペプチドYY(PYY)産生促進用組成物。
JP2017019582A 2016-09-01 2017-02-06 過剰エネルギー摂取抑制用組成物 Pending JP2018039776A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016170892 2016-09-01
JP2016170892 2016-09-01

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018039776A true JP2018039776A (ja) 2018-03-15

Family

ID=61624978

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017019582A Pending JP2018039776A (ja) 2016-09-01 2017-02-06 過剰エネルギー摂取抑制用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018039776A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012044937A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Obihiro Univ Of Agriculture & Veterinary Medicine 飼料採食量低下を抑制するための組成物
JP2012188426A (ja) * 2005-08-01 2012-10-04 Fancl Corp 脂質代謝改善用組成物
WO2015146853A1 (ja) * 2014-03-24 2015-10-01 株式会社ダイセル 栄養組成物
WO2015198046A1 (en) * 2014-06-25 2015-12-30 Takeda Pharmaceutical Company Limited 1,3-substituted 2-aminoindole derivatives and analogues useful in the treatment or prevention of diabetes mellitus, obesity and inflammatory bowel disease
WO2016094218A1 (en) * 2014-12-09 2016-06-16 Intercontinental Great Brands Llc Enteric-coated functional food ingredients and methods for making the enteric-coated functional food ingredients

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012188426A (ja) * 2005-08-01 2012-10-04 Fancl Corp 脂質代謝改善用組成物
JP2012044937A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Obihiro Univ Of Agriculture & Veterinary Medicine 飼料採食量低下を抑制するための組成物
WO2015146853A1 (ja) * 2014-03-24 2015-10-01 株式会社ダイセル 栄養組成物
WO2015198046A1 (en) * 2014-06-25 2015-12-30 Takeda Pharmaceutical Company Limited 1,3-substituted 2-aminoindole derivatives and analogues useful in the treatment or prevention of diabetes mellitus, obesity and inflammatory bowel disease
WO2016094218A1 (en) * 2014-12-09 2016-06-16 Intercontinental Great Brands Llc Enteric-coated functional food ingredients and methods for making the enteric-coated functional food ingredients

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND BIOCHEMISTRY, vol. 70, no. 6, JPN6020050004, 2006, pages 1416 - 1422, ISSN: 0004414907 *
JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING, vol. 99, no. 3, JPN6020050003, 2005, pages 230 - 236, ISSN: 0004506552 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11213543B2 (en) Human gastrointestinal microbiome modulating composition and methods of use
JP5545424B2 (ja) 高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物
JP6935632B2 (ja) 胃腸炎の処置及び予防のためのフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィcncm i−4573株
CN113274481B (zh) 一种用于调节血糖的组合物及其制备方法和应用
US9642875B2 (en) Compounds and their effects on appetite control and insulin sensitivity
EP1378236B1 (en) Agents against stress-induced diseases
KR20070095338A (ko) 간기능 개선제
EP2651251B1 (en) Composition for the treatment of infertility
JP4723320B2 (ja) 血中レプチン濃度上昇剤
Puwanant et al. Recurrent D-lactic acidosis in a child with short bowel syndrome
JP2018039776A (ja) 過剰エネルギー摂取抑制用組成物
TW201315472A (zh) 促進glp-1分泌且抑制gip分泌之藥劑
JPWO2018179441A1 (ja) インスリン抵抗性の悪化予防または改善剤
JP2013166741A (ja) 消化管ホルモン分泌調節剤
WO2006038613A1 (ja) ダイフラクトース アンハイドライド含有経口組成物
WO2018101102A1 (ja) 食後gip上昇抑制剤
JP7430442B2 (ja) グレリン受容体の活性化剤
JP6480630B1 (ja) 脂肪蓄積抑制剤および血中脂質改善剤
JP6281919B2 (ja) 高脂肪食への嗜好性を軽減させるための医薬組成物、飲食品組成物または飲食品添加剤
JP5631720B2 (ja) 血糖上昇抑制剤
WO2019225653A1 (ja) Gip上昇抑制剤
Losowsky Effects of dietary fibre on intestinal absorption
Devi et al. IMPACT ON AGING AND AGE-ASSOCIATED DISEASES WITH SPECIAL REFERENCE TO FOOD AND NUTRITION
JP6143215B2 (ja) 高脂肪食への嗜好性を軽減させるための医薬組成物、飲食品組成物または飲食品添加剤
CN117098534A (zh) 用于在预防和治疗葡萄糖耐受不良和相关疾病中使用的o-乙酰丝氨酸

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20170306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200124

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200124

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20200124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210305

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210305

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210518