JP2018037279A - 蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法 - Google Patents

蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁フィルムによる電極組立体とケースとの絶縁性の低下を抑制すること。【解決手段】二次電池10は、異なる極性の複数の電極を互いに絶縁した状態で積層した構造の電極組立体12と、開口部13aを有する有底筒状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13aを閉塞した蓋体14と、を備えている。電極組立体12は、ケース本体13に収容されており、絶縁フィルム20によってケース本体13と絶縁されている。ケース本体13はアルミニウム製であり、二次電池10は、絶縁フィルム20と対向するケース本体13の内面を覆うアルマイト皮膜32を備えている。アルマイト皮膜32における微細孔33には、固形潤滑剤34が内在している。【選択図】図4

Description

本発明は、電極組立体を挿入する開口部を有するケース本体と、ケース本体の開口部を閉塞する蓋体と、を備える蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法に関する。
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。この種の二次電池のケースは、例えば、開口部を有するケース本体と、ケース本体の開口部を閉塞する蓋体と、を備えている。こうしたケースを備える二次電池では、ケース本体の開口部から絶縁フィルムに覆われた電極組立体が挿入されることにより、ケースに電極組立体が収容されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-125904号公報
ところで、二次電池としては、ケースの内面に潤滑剤を塗布することにより、ケースに電極組立体を挿入するための作業性の向上を図ることが考えられる。ケースの内面への潤滑剤の塗布は、例えば、ケースの深絞り工程において、スラグとパンチとの間に潤滑剤を介在させた状態でインパクト加工を行い、ケースの内面に潤滑剤皮膜を形成することによって行う。しかしながら、こうした深絞り工程では、スラグとパンチとの間に高い圧力が加わるため、形成される潤滑剤皮膜の厚みが不均一になってしまうおそれがある。潤滑剤皮膜の厚みが不均一となると、ケースに電極組立体を挿入する際に、潤滑剤皮膜のうちで比較的厚みの薄い部分では、電極組立体を覆う絶縁フィルムとの摩擦が大きくなり、絶縁フィルムにしわが生じるおそれがある。絶縁フィルムにしわが生じると、電極組立体の箇所によって電極組立体とケースとの絶縁性に偏りが生じることとなるため、絶縁性の低下に繋がり好ましくない。
本発明の目的は、絶縁フィルムによる電極組立体とケースとの絶縁性の低下を抑制することができる蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための蓄電装置は、異なる極性の複数の電極を互いに絶縁した状態で積層した構造の電極組立体と、開口部を有する有底筒状であり、前記電極組立体を収容したケース本体と、前記ケース本体の前記開口部を閉塞した蓋体と、前記電極組立体と前記ケース本体とを絶縁する絶縁フィルムと、を備える蓄電装置であって、前記ケース本体はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、前記絶縁フィルムと対向する前記ケース本体の内面を覆うアルマイト皮膜を備えており、前記アルマイト皮膜における微細孔に固形潤滑剤が内在していることを要旨とする。
また、上記目的を達成するための蓄電装置の製造方法は、異なる極性の複数の電極を互いに絶縁した状態で積層した構造の電極組立体と、開口部を有する有底筒状であり、前記電極組立体を収容したケース本体と、前記ケース本体の前記開口部を閉塞した蓋体と、前記電極組立体と前記ケース本体とを絶縁する絶縁フィルムと、を備える蓄電装置の製造方法であって、前記ケース本体はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、前記ケース本体の内面にアルマイト処理を行うことによりアルマイト皮膜を形成するアルマイト処理工程と、前記アルマイト処理工程によって形成された前記アルマイト皮膜における微細孔に、溶剤に溶解させた固形潤滑剤を真空含浸させる含浸工程と、前記含浸工程を行った後、前記微細孔から前記溶剤を蒸発させることにより、前記微細孔に前記固形潤滑剤を残存させる蒸発工程と、前記蒸発工程を行った後、前記固形潤滑剤が前記微細孔に内在している前記アルマイト皮膜と前記絶縁フィルムとが対向するように、前記絶縁フィルムによって覆われた前記電極組立体を前記ケース本体の前記開口部から前記ケース本体に挿入する挿入工程と、を有することを要旨とする。
上記の構成及び方法によれば、蓄電装置が、絶縁フィルムと対向するケース本体の内面を覆うアルマイト皮膜を備えている。また、アルマイト皮膜の微細孔には、固形潤滑剤が内在している。このため、ケース本体の内面に均一に固形潤滑剤を保持させることができる。そして、絶縁フィルムによって覆われた電極組立体をケース本体に挿入する際に、固形潤滑剤が作用して、絶縁フィルムに生じる摩擦が小さくなる。したがって、電極組立体のケース本体への挿入の際に、絶縁フィルムにしわが生じることが抑制されるようになり、しわを原因とした絶縁フィルムによる電極組立体とケースとの絶縁性の低下を抑制することができるようになる。
また、蓄電装置としては、前記電極組立体が直方体状であり、前記ケース本体が矩形状の底壁の四辺から突出した形状の四つの側壁を備える前記電極組立体に応じた直方体状である構成を採用可能である。また、前記底壁の内面と対向する前記電極組立体の対向面の四隅と繋がった部分である前記電極組立体の側面の角部が、前記絶縁フィルムが重なった重合部によって覆われる場合がある。こうした場合においては、前記ケース本体の開口部と底壁とを最短距離でつなぐ直線の延びる方向を深さ方向とすると、前記アルマイト処理工程を、前記ケース本体において隣り合う前記側壁でそれぞれ形成された前記深さ方向に延びる前記ケース本体の四隅に電極棒を挿入して行うことにより、前記ケース本体の四隅を除く前記ケース本体の内面に前記アルマイト皮膜を形成することが好ましい。そして、前記蒸発工程を行うことにより、前記微細孔に加えて、前記ケース本体の四隅に前記固形潤滑剤を残存させることが好ましい。
蓄電装置において、重合部によって覆われている電極組立体の側面の角部では、寸法が重合部の分だけ大きくなっている。このため、電極組立体をケース本体に挿入する際に、絶縁フィルムの重合部の部分ではケース本体の内面との間での摩擦がより大きくなり、上述したような絶縁フィルムでのしわ発生の問題がより顕著に現れるおそれがある。
そこで、上記方法では、アルマイト処理工程において、ケース本体の四隅に電極棒を挿入して行うことにより、ケース本体の四隅を除くケース本体の内面にアルマイト皮膜を形成している。そして、蒸発工程を行うことにより、アルマイト皮膜における微細孔に加えて、ケース本体の四隅に固形潤滑剤を残存させている。このため、電極組立体をケース本体に挿入する際に、絶縁フィルムの重合部とケース本体の四隅における固形潤滑剤とが対向するようになる。そして、このケース本体の四隅における固形潤滑剤が作用して、絶縁フィルムの重合部に生じる摩擦が小さくなる。したがって、絶縁フィルムによる電極組立体とケースとの絶縁性の低下をさらに抑制することができるようになる。
本発明によれば、絶縁フィルムによる電極組立体とケースとの絶縁性の低下を抑制することができる。
二次電池の分解斜視図。 二次電池の外観を示す斜視図。 電極組立体の構成要素を示す分解斜視図。 (a)は図1の4−4線における断面図、(b)はケース本体の内面の模式図。 (a)は図4(a)の5−5線における断面図、(b)はケース本体の四隅の内面の模式図。 (a),(b),(c),(d),(e)はケース本体の内面の模式図。 (a),(b),(c),(d),(e)はケース本体の四隅の内面の模式図。 二次電池の製造方法を示す工程図。
以下、蓄電装置及び蓄電装置の製造方法を、二次電池及び二次電池の製造方法に具体化した一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
図1又は図2に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に収容された電極組立体12及び電解液を備える。ケース11は、直方体状である。ケース11は、有底四角筒状のケース本体13と、ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部13aを閉塞する平板状の蓋体14と、を備える。ケース11は、蓋体14に電解液を注入するための注液口14aを備え、注液口14aは封止栓14bによって封止されている。ケース本体13は、開口部13aと対向する矩形状の底壁13bと、底壁13bの四辺から突出した形状の4つの側壁13cとを有する。側壁13cは、底壁13bの一対の短辺から突出した形状の短側壁13dと、底壁13bの一対の長辺から突出した形状の長側壁13eとから構成されている。
ケース本体13と蓋体14は、何れもアルミニウム製である。ケース本体13は、アルミニウム板を深絞り加工して形成されている。電極組立体12は、ケース本体13の内部空間が直方体形状であることに対応させて、全体として直方体形状である。二次電池10は、ケース本体13と電極組立体12との間に介在する絶縁フィルム20を備える。また、二次電池10は、ケース11が直方体状であることから、二次電池10は外観が角型をなす角型電池である。また、この実施形態の二次電池10は、リチウムイオン二次電池である。
図3に示すように、電極組立体12は、複数の正極電極21と複数の負極電極25とがセパレータ29を間に挟んだ状態で交互に積層されて構成されている。各電極21,25及びセパレータ29はそれぞれ矩形状である。なお、正極電極21と負極電極25が積層された方向を積層方向Yとする。
正極電極21は、矩形状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)22と、正極金属箔22の両面にある正極活物質層23と、を備える。また、正極電極21は、正極電極21の一辺21cの一部から突出した形状の正極タブ24を有する。負極電極25は、矩形状の負極金属箔(例えば銅箔)26と、負極金属箔26の両面にある負極活物質層27と、を備える。また、負極電極25は、負極電極25の一辺25cの一部から突出した形状の負極タブ28を有する。正極電極21と負極電極25は、各タブ24,28の同一極性同士が積層方向に列状に配置される一方、異なる極性同士が積層方向に重ならないように積層されている。
図2に示すように、ケース本体13において、開口部13aと底壁13bとを最短距離で繋ぐ直線の延びる方向を深さ方向Xとし、深さ方向X及び積層方向Yの双方と直行する方向を幅方向Wとする。
電極組立体12は、ケース本体13の底壁13bの内面と対向する対向面としての底面12bを備えている。底面12bは、電極組立体12の面のうち、正極電極21の一辺21c、負極電極25の一辺25c、及びセパレータ29の一辺29cを積層して構成された面であるタブ側端面12aと平行である。また、電極組立体12は、タブ側端面12a及び底面12bに繋がる4つの側面12cを備えている。側面12cは、電極組立体12の幅方向Wの両端に位置する短側面12dと、電極組立体12の積層方向Yの両端に位置する2つの面である長側面12eと、を備えている。電極組立体12においては、短側面12dがケース本体13の短側壁13dの内面と対向しており、長側面12eがケース本体13の長側壁13eの内面と対向している。
絶縁フィルム20は、電極組立体12の底面12bと、短側面12dと、長側面12eとを、ケース本体13の内面から絶縁している。絶縁フィルム20は、矩形シート状の絶縁フィルムを折り曲げて四角筒状に形成されている。また、絶縁フィルム20は、底面12bと底壁13bの内面との間に介在する第1フィルム部20aと、短側面12dと短側壁13dの内面との間に介在する第2フィルム部20bと、長側面12eと長側壁13eの内面との間に介在する第3フィルム部20cと、を備えている。
なお、各第3フィルム部20cにおいて、第1フィルム部20a寄りで、且つ両第2フィルム部20b寄りの2箇所には、絶縁フィルムが二重に重なった重合部20fが存在する。各重合部20fは、矩形状の絶縁フィルムを折り曲げて四角筒状に形成する構造上の理由から発生する。すなわち、電極組立体12のうちで、底面12bの四隅12pと繋がった部分である長側面12eの角部12fは、重合部20fによって覆われている。
図4(a)及び図5(a)に示すように、二次電池10は、各正極タブ24に電気的に接続された正極端子15と、各負極タブ28に電気的に接続された負極端子16とを備えている。各端子15,16は、蓋体14に形成された貫通孔を介してその一部がケース11外に露出している。
図4(b)に示すように、二次電池10は、ケース本体13の内面を覆うアルマイト皮膜(アルミナ)32を備える。アルマイト皮膜32は、ケース本体13の内面にバリア層(自然酸化膜)31を介して存在しており、微細孔33を多数有する。微細孔33は、ケース本体13の内面にてケース本体13の内部に開口している。また、微細孔33には、固形潤滑剤34が内在している。なお、固形潤滑剤34は、高級脂肪酸としてのステアリン酸亜鉛を含むものである。
図5(b)に示すように、ケース本体13の内面のうち、隣り合う短側壁13dと長側壁13eとで形成され、且つ深さ方向Xに延びるケース本体13の四隅13pの内面には、アルマイト皮膜32が存在しない。これにより、二次電池10は、ケース本体13の四隅13pの内面に、アルマイト皮膜32によって囲まれた凹状の非形成部38を備える。なお、このケース本体13の四隅13pにおいては、アルマイト皮膜32は存在しないものの、バリア層31は有する。そして、非形成部38にも固形潤滑剤34が内在している。なお、アルマイト皮膜32は、ケース本体13における四隅13pと開口部13a付近の端部とを除く、ケース本体13の内面全体に形成されている。
次に、図6〜図8を用いて作用について説明する。以下では、二次電池10の製造方法について、ケース本体13の製造方法を中心に説明する。また、以下では、便宜上、四隅13pと開口部13a付近の端部とを除くケース本体13の内面の部分を「ケース本体13の内面」と称する。
二次電池10の製造に際しては、まず、ケース本体13を製作する。具体的には、ケース本体13は、アルミニウム板を深絞り加工して製作される。
このとき、図6(a)及び図7(a)に示すように、ケース本体13の内面及びケース本体13の四隅13pの内面における表面は平坦面となっている。
そして、図8に示すように前処理工程を行う(ステップS11)。前処理工程としては、詳しくは次の処理を行う。すなわち、前処理工程においては、例えば、まず弱アルカリ性の界面活性剤を含む水溶液でケース本体13を洗浄(脱脂)する。そして、苛性ソーダによってケース本体13の内面及びケース本体13の四隅13pの内面をエッチングする。その後、エッチングの際にケース本体13の内面及びケース本体13の四隅13pの内面に残留したアルミニウムに含まれる不純物を、酸性水溶液との中和処理によって除去する。
図6(b)及び図7(b)に示すように、こうした前処理工程を行った後では、ケース本体13の内面及びケース本体13の四隅13pの内面にバリア層31が形成される。
続いて、図8に示すように、アルマイト処理工程を行う(ステップS12)。詳しくは、まず、ケース本体13の開口部13a付近の端部をマスキングする。そして、ケース本体13内にアルマイト処理液を注入するとともに、ケース本体13の四隅13pの内面に沿うように電極棒40を挿入し、ケース本体13の内面を陽極酸化(アルマイト処理)する。
図6(c)に示すように、こうしたアルマイト処理を行った後では、ケース本体13の内面にバリア層(自然酸化膜)31を介してアルマイト皮膜32が形成される。
また、図7(c)に示すように、アルマイト処理を行った後でも、電極棒40が挿入されていたケース本体13の四隅13pの内面には、アルマイト皮膜32が形成されない。これにより、ケース本体13の四隅13pの内面は、アルマイト皮膜32によって囲まれた凹状の非形成部38となる。
その後、図8に示すように、含浸工程を行う(ステップS13)。この含浸工程においては、ケース本体13内に所定の溶液34aを注入し、真空チャンバ等に入れて真空にした状態で所定時間放置する。もしくは、真空にした状態と大気圧にした状態を繰り返しながら所定時間放置する。なお、この所定の溶液34aは、クロロホルムや水等の溶剤に固形潤滑剤を溶解させたものである。
図6(d)及び図7(d)に示すように、こうした含浸工程を行うことにより、ケース本体13の内面におけるアルマイト皮膜32の微細孔33と、ケース本体13の四隅13pの内面における非形成部38とに、所定の溶液34aが真空含浸される。
続いて、図8に示すように、蒸発工程を行う(ステップS14)。これにより、ケース本体13の内面におけるアルマイト皮膜32の微細孔33と、ケース本体13の四隅13pの内面における非形成部38とから、溶剤を蒸発させる。
図6(e)及び図7(e)に示すように、こうした蒸発工程を行った後では、ケース本体13の内面におけるアルマイト皮膜32の微細孔33に加えて、ケース本体13の四隅13pの内面における非形成部38に、固形潤滑剤34が残存する。
そして、図8に示すように、挿入工程を行う(ステップS15)。詳しくは、絶縁フィルム20によって覆われた電極組立体12をケース本体13の開口部13aからケース本体13に挿入する。これにより、ケース本体13の内面におけるアルマイト皮膜32と絶縁フィルム20とが対向するようになる。また、ケース本体13の四隅13pの内面における非形成部38と、電極組立体12の長側面12eの角部12fを覆う絶縁フィルム20の重合部20fとが、対向するようになる。詳しくは、絶縁フィルム20の重合部20fのうち、第1フィルム部20aの四隅寄りの部分が、ケース本体13の四隅13pの内面における非形成部38と対向するようになる。
その後、ケース本体13の開口部13aを蓋体14によって塞ぎ、ケース本体13の開口部13aの端部と蓋体14の端部とをレーザ溶接によって溶接してケース11を密閉する。なお、このときにレーザ溶接がなされる部分は、上記の通りアルマイト処理工程に際してマスキングがなされた部分である。このため、溶接に不向きなアルマイト皮膜を介して溶接を行う必要がなく、溶接を容易に行うことができる。そして、蓋体14の注液口14aから電解液を注入して、封止栓14bによって注液口14aを封止する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)二次電池10では、絶縁フィルム20と対向するケース本体13の内面がアルマイト皮膜32によって覆われている。また、アルマイト皮膜32に形成された微細孔33には、固形潤滑剤34が内在している。このため、ケース本体13の内面に均一に固形潤滑剤34を保持させることができる。そして、絶縁フィルム20によって覆われた電極組立体12をケース本体13に挿入する際に、固形潤滑剤34が作用して、絶縁フィルム20に生じる摩擦が小さくなる。したがって、電極組立体12のケース本体13への挿入の際に、絶縁フィルム20にしわが生じることが抑制されるようになり、しわを原因とした絶縁フィルム20による電極組立体12とケース11との絶縁性の低下を抑制することができるようになる。
(2)二次電池10の製造方法として、ケース本体13の内面にアルマイト皮膜32を形成するアルマイト処理工程と、アルマイト処理工程によって形成されたアルマイト皮膜32における微細孔33に、クロロホルムや水等の溶剤に固形潤滑剤を溶解させた所定の溶液34aを真空含浸させる含浸工程と、を有している。また、二次電池10の製造方法として、含浸工程を行った後、微細孔33から溶剤を蒸発させることにより、微細孔33に固形潤滑剤34を残存させる蒸発工程と、蒸発工程を行った後、絶縁フィルム20によって覆われた電極組立体12をケース本体13の開口部13aからケース本体13に挿入する挿入工程と、を有している。よって、上記(1)の二次電池10を製造することができる。
(3)上記実施形態の二次電池10では、電極組立体12の長側面12eの角部12fが、絶縁フィルム20が重なった重合部20fによって覆われている。こうした重合部20fによって覆われている角部12fでは、積層方向Yへの寸法が重合部20fの分だけ大きくなっている。このため、電極組立体12をケース本体13に挿入する際に、絶縁フィルム20の重合部20fの部分ではケース本体13の内面との間での摩擦がより大きくなり、上述したような絶縁フィルム20でのしわ発生の問題がより顕著に現れるおそれがある。
そこで、上記実施形態では、アルマイト処理工程において、ケース本体13の四隅13pに電極棒40を挿入して行うことにより、ケース本体13の四隅13pを除くケース本体13の内面にアルマイト皮膜32を形成している。そして、蒸発工程を行うことにより、アルマイト皮膜32における微細孔33に加えて、ケース本体13の四隅13pに固形潤滑剤34を残存させている。このため、電極組立体12をケース本体13に挿入する際に、絶縁フィルム20の重合部20fとケース本体13の四隅13pにおける固形潤滑剤34とが対向するようになる。詳しくは、絶縁フィルム20の重合部20fのうち、第1フィルム部20aの四隅寄りの部分が、ケース本体13の四隅13pにおける固形潤滑剤34と対向するようになる。そして、このケース本体13の四隅13pにおける固形潤滑剤34が作用して、絶縁フィルム20の重合部20fに生じる摩擦が小さくなる。したがって、絶縁フィルム20による電極組立体12とケース11との絶縁性の低下をさらに抑制することができるようになる。
(4)電極組立体12のタブ側端面12aにて各タブ24,28と各端子15,16とが電気的に接続させている関係上、電極組立体12におけるタブ側端面12a近傍が各タブ24,28によって拘束されるような形となり、この部分での電極組立体12の厚みは比較的小さいものとなる。一方、電極組立体12における底面12b近傍では、そうした拘束される要因がないため、この部分での電極組立体12の厚みが比較的大きくなる。このため、電極組立体12をケース本体13に挿入する際には、そうした厚みが比較的大きな電極組立体12の底面12b近傍の部分がケース本体13の内面と干渉しやすく、摩擦が大きくなりやすい。こうした構成を備える電極組立体12であっても、ケース本体13の内面に上記のアルマイト皮膜32を形成するようにすれば、電極組立体12のケース本体13への挿入の際に生じる摩擦を小さくすることができる。
(5)ケース本体13の内面にアルマイト処理を施すことにより、ケース本体13の内面における洗浄や皮膜生成による傷をなくすことができるほか、表面の硬質化によって、電極組立体12を挿入する時に導電性アルミ磨耗(カケ)発生による異物短絡も低減できる。なお、仮にアルミナによるカケ等の異物が発生しても、アルミナは絶縁性のため短絡の原因にならない。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 絶縁フィルム20による電極組立体12の包み方によっては、各第2フィルム部20bにおいて、第1フィルム部20a寄りで、且つ第3フィルム部20c寄りの2箇所に、絶縁フィルムが二重に重なった重合部20fが存在するようになることが考えられる。こうした場合でも、電極組立体12をケース本体13に挿入する際に、絶縁フィルム20の重合部20fとケース本体13の四隅13pにおける固形潤滑剤34とが対向するようになる。そして、このケース本体13の四隅13pにおける固形潤滑剤34が作用して、絶縁フィルム20の重合部20fに生じる摩擦を小さくすることができる。
○ アルマイト処理工程において電極棒40をケース本体13の四隅13p以外の部分に挿入するようにしてもよい。この場合でも、ケース本体13の四隅13pの内面においては、その内面の全体まではアルマイト処理工程によるアルマイト皮膜32が形成されにくく、アルマイト皮膜32が形成されない部分が残りやすい。このため、こうしたケース本体13の四隅13pにおいて、アルマイト皮膜32が形成されない部分に固形潤滑剤34を内在させるようにすれば、上記実施形態に準じた効果を得ることができる。
○ 固形潤滑剤34としては、ステアリン酸亜鉛以外の高級脂肪酸を含むものであってもよく、例えばステアリン酸リチウムやパルミチン酸等を含むものであってもよい。
○ ケース本体13はアルミニウム合金製であってもよい。例えばマグネシウムを含むアルミニウム合金製のケース本体13を採用することが可能である。こうしたマグネシウムを含むアルミニウム合金製のケース本体13を採用する場合では、ケース本体13の表面に酸化マグネシウムを多く含んだ酸化膜が厚く形成されやすい。酸化マグネシウムは、アルカリ性の脱脂液に対して比較的安定であるため、この形態においては、前処理工程(図8のステップS11)にて酸で洗浄(脱脂)することが好ましい。
○ 正極金属箔22として、アルミニウム以外の金属からなる箔を採用してもよい。
○ 負極金属箔26として、銅以外の金属からなる箔を採用してもよい。
○ 正極電極21の片面のみが正極活物質層23を有していてもよい。
○ 負極電極25の片面のみが負極活物質層27を有していてもよい。
○ 電極組立体12は、積層型に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極とを捲回して層状に積層した捲回型であってもよい。
○ ケース11は、底壁13bが正方形状であり、底壁13bの四辺から側壁13cが立設する形状であってもよい。
○ ケース11(ケース本体13)は、有底四角筒状に限らず、例えば有底円筒状や有底六角筒状等、有底筒状である範囲内で形状の変更が可能である。
○ 二次電池10は、車両に搭載して走行に用いてもよいし、定置用の電源として用いてもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限られず、他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層23と負極活物質層27との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。また、蓄電装置として電気二重層キャパシタでもよい。
10…二次電池、11…ケース、12…電極組立体、12b…底面、12c…側面、12f…角部、12p…(電極組立体の)四隅、13…ケース本体、13a…開口部、13b…底壁、13c…側壁、13p…(ケース本体の)四隅、14…蓋体、20…絶縁フィルム、20f…重合部、21…正極電極、25…負極電極、29…セパレータ、32…アルマイト皮膜、33…微細孔、34…固形潤滑剤、40…電極棒。

Claims (3)

  1. 異なる極性の複数の電極を互いに絶縁した状態で積層した構造の電極組立体と、
    開口部を有する有底筒状であり、前記電極組立体を収容したケース本体と、
    前記ケース本体の前記開口部を閉塞した蓋体と、
    前記電極組立体と前記ケース本体とを絶縁する絶縁フィルムと、を備える蓄電装置であって、
    前記ケース本体はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
    前記絶縁フィルムと対向する前記ケース本体の内面を覆うアルマイト皮膜を備えており、
    前記アルマイト皮膜における微細孔に固形潤滑剤が内在していることを特徴とする蓄電装置。
  2. 異なる極性の複数の電極を互いに絶縁した状態で積層した構造の電極組立体と、
    開口部を有する有底筒状であり、前記電極組立体を収容したケース本体と、
    前記ケース本体の前記開口部を閉塞した蓋体と、
    前記電極組立体と前記ケース本体とを絶縁する絶縁フィルムと、を備える蓄電装置の製造方法であって、
    前記ケース本体はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
    前記ケース本体の内面にアルマイト処理を行うことによりアルマイト皮膜を形成するアルマイト処理工程と、
    前記アルマイト処理工程によって形成された前記アルマイト皮膜における微細孔に、溶剤に溶解させた固形潤滑剤を真空含浸させる含浸工程と、
    前記含浸工程を行った後、前記微細孔から前記溶剤を蒸発させることにより、前記微細孔に前記固形潤滑剤を残存させる蒸発工程と、
    前記蒸発工程を行った後、前記固形潤滑剤が前記微細孔に内在している前記アルマイト皮膜と前記絶縁フィルムとが対向するように、前記絶縁フィルムによって覆われた前記電極組立体を前記ケース本体の前記開口部から前記ケース本体に挿入する挿入工程と、を有することを特徴とする蓄電装置の製造方法。
  3. 前記電極組立体は直方体状であり、
    前記ケース本体は矩形状の底壁の四辺から突出した形状の四つの側壁を備える前記電極組立体に応じた直方体状であり、
    前記底壁の内面と対向する前記電極組立体の対向面の四隅と繋がった部分である前記電極組立体の側面の角部は、前記絶縁フィルムが重なった重合部によって覆われており、
    前記ケース本体の開口部と底壁とを最短距離でつなぐ直線の延びる方向を深さ方向とすると、
    前記アルマイト処理工程は、前記ケース本体において隣り合う前記側壁でそれぞれ形成された前記深さ方向に延びる前記ケース本体の四隅に電極棒を挿入して行うことにより、前記ケース本体の四隅を除く前記ケース本体の内面に前記アルマイト皮膜を形成し、
    前記蒸発工程を行うことにより、前記微細孔に加えて、前記ケース本体の四隅に前記固形潤滑剤を残存させる請求項2に記載の蓄電装置の製造方法。
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