ところで、上記技術では、ボックスカルバートを設置場所まで移動させた後に流体キャスターを除去する必要があるが、大重量のボックスカルバートの底面に配設された流体キャスターを除去するためには多大な労力を要する。また、ボックスカルバートが用いられる地下工事では、仮の路面を形成するために壁や杭により支持された覆工板による路面覆工が行われるが、路面覆工が行われる地下工事現場では、ボックスカルバートの設置後に流体キャスターを除去するための作業空間が不足することが多く、改善が望まれている。
そこで本発明は、移動及び設置のための労力及び必要な作業空間を低減することが可能なプレキャストブロック及び施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、プレキャストコンクリートから形成された本体部と、流体を本体の外部から本体部の内部に供給される流体供給口部と、流体供給口部と連通し、流体供給口部に供給された流体を本体部の下方に噴出する流体下方噴出口部とを備えたプレキャストブロックである。
この構成によれば、予めプレキャストブロックが、プレキャストコンクリートから形成された本体部に加えて、流体を本体部の外部から本体部の内部に供給される流体供給口部と、流体供給口部と連通し、流体供給口部に供給された流体を本体部の下方に噴出する流体下方噴出口部とを備えている。そのため、プレキャストブロックを設置場所に移動させた後に、流体供給口部への流体の供給を中止すれば、設置場所に本体部を設置することができ、流体キャスターの除去の必要が無い。したがって、移動及び設置のための労力及び必要な作業空間を低減することが可能となる。
この場合、二つ以上の流体下方噴出口部を備えていることが好適である。
この構成によれば、流体下方噴出口部のそれぞれから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、容易に本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることができる。
この場合、二つ以上の流体供給口部を備え、流体下方噴出口部の少なくとも二つは、互いに異なる流体供給口部のそれぞれと連通していることが好適である。
この構成によれば、互いに異なる流体下方噴出口部のそれぞれと連通する流体供給口部のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体下方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることができる。
また、流体下方噴出口部の少なくとも一つが本体部の下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御する下方噴出制御部をさらに備えていることが好適である。
この構成によれば、下方噴出制御部により、流体下方噴出口部の少なくとも一つが本体部の下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることができる。
また、本体部の底面の中心と、本体部の重心から本体部の底面に下した垂線と本体部の底面との交点とが不一致であってもよい。
この構成によれば、隅角部材用のプレキャストブロックのように非対称な形状を有し、本体部の重心から本体部の底面に下した垂線と本体部の底面との交点とが不一致であり、本体部の底面と床面とがなす角度を制御することが困難である場合でも、流体下方噴出口部のそれぞれから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、容易に本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることができる。
また、流体供給口部から供給された流体を本体部の側方に噴出する流体側方噴出口部をさらに備えていることが好適である。
この構成によれば、流体側方噴出口部から流体供給口部から供給された流体を本体部の側方に噴出させて、浮上させた本体部を設置場所に移動させることにより、プレキャストブロックの移動のための労力がさらに軽減される。
また、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部を備えていることが好適である。
この構成によれば、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部から互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の移動の方向を制御しつつ、浮上させた本体部を設置場所に移動させることができる。
この場合、二つ以上の流体供給口部を備え、流体側方噴出口部の少なくとも二つは、互いに異なる流体供給口部のそれぞれと連通することが好適である。
この構成によれば、互いに異なる流体側方噴出口部のそれぞれと連通する流体供給口部のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体側方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の移動の方向を制御しつつ、浮上させた本体部を設置場所に移動させることができる。
また、流体側方噴出口部が本体部の側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御する側方噴出制御部をさらに備えることが好適である。
この構成によれば、側方噴出制御部により、流体側方噴出口部が本体部の側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部の移動の速度を制御することができる。また、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部を備えている場合には、側方噴出制御部により、流体側方噴出口部が本体部の側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部の移動の方向を制御することができる。
また、弾性を有し、本体部の底面の外周を囲繞しつつ本体部の底面の下方に突出したスカート部材をさらに備えることが好適である。
この構成によれば、本体部の底面の外周を囲繞しつつ本体部の底面の下方に突出したスカート部材をさらに備えるため、浮上させた本体部を設置場所に移動させるときに、床面の起伏等により本体部に加わる衝撃をスカート部材により緩衝しつつ、本体部を設置場所に移動させることができる。また、流体供給口部への流体の供給を中止したときに本体部に加わる衝撃をスカート部材により緩衝しつつ、設置場所に本体部を設置することができる。
この場合、スカート部材は、本体部から着脱自在であることが好適である。
この構成によれば、設置場所に本体部を設置した後に、スカート部材を本体部から取り外すことにより、スカート部材が無いプレキャストブロックを設置することができる。
また、本発明は、プレキャストコンクリートから形成された本体部と、流体を本体部の外部から本体部の内部に供給される流体供給口部と、流体供給口部と連通し、流体供給口部から供給された流体を本体部の下方に噴出する流体下方噴出口部とを備えたプレキャストブロックを用いた施工方法であって、流体供給口部に流体を供給することにより、流体下方噴出口部から流体供給口部から供給された流体を本体部の下方に噴出させて、本体部を浮上させる浮上工程と、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させる移動工程と、移動工程により設置場所に本体部を移動させた後に、流体供給口部への流体の供給を中止することにより、設置場所に本体部を設置する設置工程とを備えた施工方法である。
この場合、二つ以上の流体下方噴出口部を備えたプレキャストブロックを用い、浮上工程では、流体下方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることにより、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることが好適である。
この場合、二つ以上の流体供給口部を備え、流体下方噴出口部の少なくとも二つは、互いに異なる流体供給口部のそれぞれと連通するプレキャストブロックを用い、浮上工程では、互いに異なる流体下方噴出口部のそれぞれと連通する流体供給口部のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体下方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることが好適である。
また、流体下方噴出口部の少なくとも一つが本体部の下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御する下方噴出制御部をさらに備えたプレキャストブロックを用い、浮上工程では、下方噴出制御部により、流体下方噴出口部の少なくとも一つが本体部の下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させることが好適である。
また、本体部の底面の中心と、本体部の重心から本体部の底面に下した垂線と本体部の底面との交点とが不一致であるプレキャストブロックを用い、浮上工程では、流体下方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることにより、本体部の底面と床面とがなす角度を制御しつつ本体部を浮上させてもよい。
また、流体供給口部から供給された流体を本体部の側方に噴出する流体側方噴出口部をさらに備えたプレキャストブロックを用い、移動工程では、流体側方噴出口部から流体供給口部から供給された流体を本体部の側方に噴出させて、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させることが好適である。
この場合、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部を備えたプレキャストブロックを用い、移動工程では、流体側方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の移動の方向を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させることが好適である。
この場合、二つ以上の流体供給口部を備え、流体側方噴出口部の少なくとも二つは、互いに異なる流体供給口部のそれぞれと連通するプレキャストブロックを用い、移動工程では、互いに異なる流体側方噴出口部のそれぞれと連通する流体供給口部のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体側方噴出口部の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部の移動の方向を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させることが好適である。
また、流体側方噴出口部が本体部の側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御する側方噴出制御部をさらに備えたプレキャストブロックを用い、移動工程では、側方噴出制御部により、流体側方噴出口部が本体部の側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部の移動の速度を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させることが好適である。
また、弾性を有し、本体部の底面の外周を囲繞しつつ本体部の底面の下方に突出したスカート部材をさらに備えたプレキャストブロックを用い、移動工程では、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させるときに本体部に加わる衝撃をスカート部材により緩衝しつつ、本体部を設置場所に移動させ、設置工程では、流体供給口部への流体の供給を中止したときに本体部に加わる衝撃をスカート部材により緩衝しつつ、設置場所に本体部を設置することが好適である。
この場合、スカート部材は、本体部から着脱自在であるプレキャストブロックを用い、設置工程により設置場所に本体部を設置した後に、スカート部材を本体部から取り外すスカート部材除去工程をさらに備えることが好適である。
また、移動工程では、流体下方噴出口部が流体を噴出する本体部の下方の床面を流体が透過不可能なシートにより覆いつつ、浮上工程により浮上させた本体部を設置場所に移動させることが好適である。
この構成によれば、移動工程において、流体下方噴出口部が流体を噴出する本体部の下方の床面を流体が透過不可能なシートにより覆われるため、床面に凹凸や割れ目が存在したとしても、本体部の底面と床面との間の流体が床面の凹凸や割れ目によって漏出することを防止でき、安定して本体部を浮上させつつ本体部を設置場所に移動させることができる。
本発明のプレキャストブロック及び施工方法によれば、移動及び設置のための労力及び必要な作業空間を低減することが可能になる。
以下、本発明の実施形態に係るプレキャストブロック及び施工方法について、図面を用いて詳細に説明する。
図1(A)及び図1(B)に示すように、実施形態に係る基本用のプレキャストブロック1aは、直方体形状の本体部100aを備える。本体部100aは、一般的な基本用のプレキャストブロックと同様に、側面101,102,103,104と、底面108とを有している。本体部100aは、対称な形状を有するため、本体部100aの底面108の中心cと、本体部100aの重心Gから本体部100aの底面108に下した垂線pと本体部100aの底面108との交点gとは一致する。
プレキャストブロック1aは、本体部100aの上面に、空気、希ガス、水等の流体を本体部100aの外部から本体部100aの内部に供給される流体供給口部111,112を備える。プレキャストブロック1aは、流体供給口部111と連通し、流体供給口部111に供給された流体を底面108から本体部100aの下方に噴出する流体下方噴出口部121と、流体供給口部112と連通し、流体供給口部112に供給された流体を底面108から本体部100aの下方に噴出する流体下方噴出口部122とを備える。
プレキャストブロック1aは、本体部100aの上面に、流体供給口部111,112と同様の一対の流体供給口部をさらに備える。プレキャストブロック1aは、不図示の一対の流体供給口部の一方と連通し、当該一方の流体供給口部に供給された流体を底面108から本体部100aの下方に噴出する流体下方噴出口部123と、不図示の一対の流体供給口部の他方と連通し、当該他方の流体供給口部に供給された流体を底面108から本体部100aの下方に噴出する流体下方噴出口部124とをさらに備える。
プレキャストブロック1aは、四つの流体下方噴出口部121,122,123,124と、四つの流体供給口部111,112等を備え、流体下方噴出口部121,122,123,124のそれぞれは、互いに異なる流体供給口部111,112等のそれぞれと連通する。なお、プレキャストブロック1aは、本体部100aの上面ではなく、側面101,102,103,104に、流体供給口部111,112等を備えていてもよい。
なお、後述するように本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を自在に制御する必要がなければ、プレキャストブロック1aは、一つの流体供給口部111と、流体を交点gから本体部100aの下方に噴出する一つの流体下方噴出口部121とを備えていてもよい。また、本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を少なくとも一方向で自在に制御するためには、流体下方噴出口部121,122,123,124の少なくとも二つが、互いに異なる流体供給口部111,112等のそれぞれと連通していればよく、例えば、流体下方噴出口部121,122,123,124のいずれか三つが共通の流体供給口部111,112等と連通していてもよい。
また、流体下方噴出口部121,122,123,124は、必ずしも流体を底面108から本体部100aの下方に噴出する必要は無く、例えば、流体下方噴出口部121,122,123,124は、側面101,102,103,104から流体を本体部100aの下方又は斜め下方に噴出してもよい。
施工時には、例えば、圧縮空気等の流体を供給するコンプレッサ501と、コンプレッサ501から供給された流体を任意の比率に分配するバルブブロック520と、バルブブロック520の動作を制御するコントローラ530と、バルブブロック520から分配された流体をプレキャストブロック1aに供給する流体供給管541,542を備えた装置が用意される。流体供給管541,542は、ゴム等から形成され、柔軟性を有し、湾曲自在である。
流体供給管541は、流体供給管541を流通する流体の流量を調整する流量調整弁551、流体供給管541を流通する流体の流量を検出する流量計561、流体供給管541を流通する流体の圧力を調整する圧力調整弁571、及び流体供給管541を流通する流体の圧力を検出する圧力計581を有している。流体供給管542は、流体供給管542を流通する流体の流量を調整する流量調整弁552、流体供給管542を流通する流体の流量を検出する流量計562、流体供給管542を流通する流体の圧力を調整する圧力調整弁572、及び流体供給管542を流通する流体の圧力を検出する圧力計582を有している。
流体供給口部111,112のそれぞれには、流体供給口部111,112に供給される流体の圧力を調整するバルブ181,182が取り付けられている。不図示の一対の流体供給口部のそれぞれにも、バルブ181,182と同様のバルブが取り付けられている。流体供給口部111,112のそれぞれには、バルブ181,182を介して流体供給管541,542が接続される。不図示の一対の流体供給口部のそれぞれにも、同様にバルブを介してバルブブロック520からの不図示の流体供給管541,542と同様の流体供給管が接続される。
流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572及びバルブ181,182等が流体供給口部111,112等に供給される流体の流量及び圧力を制御することにより、流体下方噴出口部121,122,123,124のそれぞれが本体部100aの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが変更自在に制御される。流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572及びバルブ181,182は、下方噴出制御部として機能する。
なお、流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572及びバルブ181,182等は有線又は無線による遠隔操作が可能であってもよい。また、流体供給口部111,112等のそれぞれが、流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572及びバルブ181,182等を介さずに流体供給管541,542等と直接に接続され、コントローラ530がバルブブロック520の動作を制御することや、コンプレッサ510の出力を制御することによって、流体下方噴出口部121,122,123,124のそれぞれが本体部100aの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが変更自在に制御されてもよい。
また、本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を少なくとも一方向で自在に制御するためには、バルブ181等により、流体下方噴出口部121等の少なくとも一つが本体部100aの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御可能なようにされていればよい。さらに、流体供給口部111,112等や、流体下方噴出口部121,122,123,124の配置を適宜設定することにより、流体供給口部111,112等に同じ流量及び圧力の流体が供給されると、本体部100aの底面108と床面Fとが任意の角度をなして浮上するようにされていてもよい。
プレキャストブロック1aは、流体供給口部111と連通し、流体供給口部111から供給された流体を側面101から本体部100aの側方に噴出する流体側方噴出口部141と、流体供給口部112と連通し、流体供給口部112から供給された流体を側面103から本体部100aの側方に噴出する流体側方噴出口部342とを備える。
同様に、プレキャストブロック1aは、流体供給口部111と連通し、流体供給口部111から供給された流体を側面102から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部と、流体供給口部112と連通し、流体供給口部112から供給された流体を側面102から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部とを備える。
同様に、プレキャストブロック1aは、流体下方噴出口部123と連通する不図示流体供給口部と連通し、当該流体供給口部に供給された流体を側面103から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体下方噴出口部と、当該流体供給口部に供給された流体を側面104から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体下方噴出口部とを備える。また、同様に、プレキャストブロック1aは、流体下方噴出口部124と連通する不図示の流体供給口部と連通し、当該流体供給口部に供給された流体を側面104から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体下方噴出口部と、当該流体供給口部に供給された流体を側面101から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体下方噴出口部とを備える。
プレキャストブロック1aは、底面108に、底面108から本体部100aの内部側に窪んだ四つの凹部131,132,133,134を備え、流体下方噴出口部121,122,123,124のそれぞれは、凹部131,132,133,134のそれぞれから本体部100aの下方に流体を噴出する。
凹部131は、連通孔部155,165を有する。連通孔部155,165のそれぞれは、流体供給口部111に供給された流体を側面101から本体部100aの側方に噴出する流体側方噴出口部151,161のそれぞれに連通している。凹部131は、連通孔部255,265を有する。連通孔部255,265のそれぞれは、流体供給口部112に供給された流体を側面102から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部261のそれぞれに連通している。
凹部132は、連通孔部356,366を有する。連通孔部356,366のそれぞれは、流体供給口部112に供給された流体を側面103から本体部100aの側方に噴出する流体側方噴出口部352,362のそれぞれに連通している。凹部132は、連通孔部256,266を有する。連通孔部256,266のそれぞれは、流体供給口部112に供給された流体を側面102から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部262のそれぞれに連通している。
凹部133は、連通孔部357,367を有する。連通孔部357,367のそれぞれは、流体下方噴出口部123と連通する不図示の流体供給口部に供給された流体を側面103から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部363のそれぞれに連通している。凹部133は、連通孔部457,467を有する。連通孔部457,467のそれぞれは、流体下方噴出口部123と連通する不図示の流体供給口部に供給された流体を側面104から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部463のそれぞれに連通している。
凹部134は、連通孔部158,168を有する。連通孔部158,168のそれぞれは、流体下方噴出口部124と連通する不図示の流体供給口部に供給された流体を側面101から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部164のそれぞれに連通している。凹部134は、連通孔部458,468を有する。連通孔部458,468のそれぞれは、流体下方噴出口部124と連通する不図示の流体供給口部に供給された流体を側面104から本体部100aの側方に噴出する不図示の流体側方噴出口部及び流体側方噴出口部464のそれぞれに連通している。
プレキャストブロック1aは、互いに異なる四つの方向に流体を噴出する合計24個の流体側方噴出口部141,342等を備える。流体側方噴出口部141,151,161等と流体側方噴出口部342,352,362等とのそれぞれは、互いに異なる流体供給口部111,112のそれぞれと連通している。
なお、後述するように、プレキャストブロック1aを人力によらずに移動させる必要がなければ、流体側方噴出口部141等は必須ではなく、省略されてもよい。また、プレキャストブロック1aの移動の方向や速度を自在に制御する必要がなければ、複数の流体側方噴出口部141,342等は必須ではなく、少なくとも一つの複数の流体側方噴出口部141を備えていればよい。また、少なくともプレキャストブロック1aの移動の方向を二方向で制御するためには、プレキャストブロック1aは、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部141,342等と、二つ以上の流体供給口部111,112等とを備え、流体側方噴出口部141,342等の少なくとも二つは、互いに異なる流体供給口部111,112等のそれぞれと連通していればよい。また、凹部131,132,133,134は必須では無く、省略されてもよい。
流体側方噴出口部141,342等のそれぞれには、流体側方噴出口部141,342等が噴出する流体の圧力を調整するバルブ191,392が取り付けられている。その他の流体側方噴出口部にも、バルブ191,392と同様のバルブが取り付けられている。バルブ191,392等により、流体側方噴出口部141,342等が本体部100aの側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが変更自在に制御される。バルブ191,392等は、側方噴出制御部として機能する。
なお、バルブ191,392等は有線又は無線による遠隔操作が可能であってもよい。また、後述するようにプレキャストブロック1aの移動の速度を自在に制御する必要がなければ、バルブ191,392等は必須ではなく、省略されてもよい。また、少なくともプレキャストブロック1aの移動の速度を一方向で制御するためには、プレキャストブロック1aは、少なくとも一方向に流体を噴出する流体側方噴出口部141等にバルブ191が取り付けられていればよい。さらに、流体供給口部111,112等や、流体側方噴出口部141,342等の配置を適宜設定することにより、流体供給口部111,112等に同じ流量及び圧力の流体が供給されると、本体部100aが浮上しつつ任意の方向に任意の速度で移動するようにされていてもよい。
また、流体供給管541,542に取付けられた流量調整弁551,552及び圧力調整弁571,572や、流体供給口部111,112に取付けられたバルブ181,182等によっても、流体側方噴出口部141,342等が本体部100aの側方に噴出する流体の圧力、速度等を制御可能であるため、流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572、及びバルブ181,182等も側方噴出制御部として機能する。また、反対に、流体側方噴出口部141,342等に取付けられたバルブ191,392等によっても、流体下方噴出口部121,122等が本体部100aの下方に噴出する流体の圧力、速度等を制御可能であるため、バルブ191,392等も下方噴出制御部として機能する。
プレキャストブロック1aは、弾性を有し、本体部100aの底面108の外周を囲繞しつつ本体部100aの底面108の下方に突出したスカート部材170を備える。スカート部材170は、単数枚又は複数枚のゴム板等から形成することができる。スカート部材170は、床面Fと接触すると底面108の外側に撓むように本体部100aに取付けられている。
スカート部材170は、本体部100aから着脱自在である。スカート部材170は、本体部100aとの着脱が容易なネジ、金具、接着剤等により本体部100aに取付けられる。なお、スカート部材170は省略されてもよい。また、プレキャストブロック1aをスカート部材170が取り付けられたままの状態で設置場所に設置してもよい場合には、スカート部材170は、本体部100aから着脱自在でなくともよい。
プレキャストブロック1aは、流体供給口部111等と、流体下方噴出口部121等と、流体側方噴出口部141等と、これらを連通させる流通路とを形成しつつ、一般的なプレキャストブロックの製造と同様に製造される。流体供給口部111等と、流体下方噴出口部121等と、流体側方噴出口部141等と、これらを連通させる流通路とは、例えば、金属管等により形成されてもよい。
図2に示すように、実施形態のボックスカルバート用のプレキャストブロック1bは、本体部100bに空洞部105を備える。プレキャストブロック1bは、空洞部105内に流体供給口部111,112等を備える。プレキャストブロック1bの底面は、図1(B)に示したプレキャストブロック1aとほぼ同様の構造を有する。本体部100bは、対称な形状を有するため、本体部100bの底面108の中心cと、本体部100bの重心Gから本体部100bの底面108に下した垂線pと本体部100bの底面108との交点gとは一致する。
プレキャストブロック1bは、流体側方噴出口部161,164,261,262,362,363,463,464を備えるが、プレキャストブロック1aが有していた流体側方噴出口部141,151等は備えておらず、これらに連通する連通孔部155,158,255,256,356,357,457,458も備えていない。
図3に示すように、実施形態の隅角部材用のプレキャストブロック1cは、本体部100cに斜面106を備える。プレキャストブロック1cは、斜面106に流体供給口部111,112等を備える。プレキャストブロック1cの底面は、図1(B)に示したプレキャストブロック1aとほぼ同様の構造を有する。本体部100cは、非対称な形状を有するため、本体部100cの底面108の中心cと、本体部100cの重心Gから本体部100cの底面108に下した垂線pと本体部100cの底面108との交点gとは不一致である。
このため、本体部100cには、本体部100cを交点gの側に傾斜させる力が常に働く。しかし、流量調整弁551,552、圧力調整弁571,572及びバルブ181,182による流体の流量及び圧力の制御や、コントローラ530がバルブブロック520の動作の制御や、コンプレッサ510の出力の制御によって、流体下方噴出口部121,122,123,124のそれぞれが本体部100cの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが変更自在に制御されることにより、本体部100aの底面108と床面Fとが任意の角度をなして浮上するようにすることができる。また、流体供給口部111,112等や、流体下方噴出口部121,122,123,124の配置を適宜設定することにより、流体供給口部111,112等に同じ流量及び圧力の流体が供給されると、本体部100cの底面108と床面Fとが任意の角度をなして浮上するようにされていてもよい。
プレキャストブロック1cは、流体側方噴出口部161,164,261,262,362,363,463,464を備える。プレキャストブロック1cは、側面101に流体側方噴出口部151を備え、側面103に流体側方噴出口部352を備え、側面102,104のそれぞれにも、流体側方噴出口部151,352に相当する流体側方噴出口部を備える。しかし、プレキャストブロック1cは、プレキャストブロック1aが有していた側面101,103の流体側方噴出口部141,342は備えておらず、これらに相当する側面102,104の流体側方噴出口部を備えていない。
以下、例として上記のプレキャストブロック1cを用いた本実施形態の施工方法について説明する。図4(A)に示すように、流体供給口部111,112等に流体供給管541,542等により流体を供給することにより、流体下方噴出口部121,122,123,124から流体供給口部111,112等から供給された流体を本体部100cの下方に噴出させて、本体部100cを浮上させる浮上工程が行われる。
浮上工程において、例えば、プレキャストブロック1cの重量W=30.0[tf]、底面108の外周の長さl=16.0[m]、底面108の面積A=16.0[m2]、及び床面Fからの底面108の平均の浮上量Δx=0.003[m]と仮定すると、底面108と床面Fとの隙間の側面積Ag=l×Δx=0.048[m2]となり、底面108への必要な圧力P=W×1000/A=1875.0[kgf/m2]=0.188[kgf/cm2]となる。重力加速度g=9.8[m/s2]と仮定し、20℃で1気圧における空気の比重量γ=1.205[kgf/m3]と仮定すると、底面108と床面Fとの隙間からの漏気流速v=(2×g×P/γ)1/2=174.637[m/s]であり、必要な空気量Q=Ag×v×60=502.955[m3/min]と算出することができる。プレキャストブロック1cの重量Wが300[tf]以上になる場合も、同様にして必要な空気量Qを算出することができる。
浮上工程では、流体下方噴出口部121等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることにより、本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100cを浮上させる。底面108と床面Fとがなす角度は、例えば、底面108と床面Fとが平行をなすようにすることができる。また、底面108と床面Fとがなす角度は、例えば、プレキャストブロック1cを移動させる方向とは反対側に、底面108が床面Fに対して1°〜5°傾斜するような角度でもよい。
この場合、浮上工程では、互いに異なる流体下方噴出口部121,122等のそれぞれと連通する流体供給口部111,112等のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体下方噴出口部121,122等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100cを浮上させる。また、浮上工程では、バルブ181等により、流体下方噴出口部121等の少なくとも一つが本体部100cの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100cを浮上させる。
図4(B)に示すように、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させる移動工程が行われる。移動工程に先立って、床面Fは滑らかに研磨されていることが好ましいが、必須ではない。移動工程では、例えば、人力により、浮上工程により浮上させた本体部100cを移動させることができる。
また、移動工程では、流体側方噴出口部151,161,352,362,463,464等から流体供給口部111,112等から供給された流体を本体部の側方に噴出させて、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させる。移動工程では、互いに異なる方向に流体を本体部100cの側方に噴出する流体側方噴出口部362,464等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100cの移動の方向を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させる。
この場合、移動工程では、互いに異なる流体側方噴出口部161,362等のそれぞれと連通する流体供給口部111,112等のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体側方噴出口部161,362等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100cの移動の方向を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させる。また、移動工程では、バルブ392等により、流体側方噴出口部362等が本体部100cの側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部100cの移動の速度を制御しつつ、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させる。
図5に示すように、例えば、バルブ182により凹部132内の気圧は圧力P1に制御され、バルブ181により凹部131内の気圧は圧力P2に制御される。圧力P1は圧力P2よりも大きい。また、バルブ392により流体側方噴出口部352,362から噴出される流体の質量M1と速度V1との積はM1V1となり、バルブ191により流体側方噴出口部151,161から噴出される流体の質量M2と速度V2との積はM2V2となる。M1V1の方がM2V2よりも大きいため、本体部100cには、方向Dに移動させられる力が作用する。このように、凹部131,132,133,134の圧力を変えることで、本体部100cを自在に動かすことが可能である。なお、例えば、流量調整弁551,552等による流体の流量は予め設定した固定値とし、流体の圧力を調整することにより、浮上工程での本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度や、移動工程での本体部100cの移動の速度や移動の方向を制御するようにしてもよい。
また、移動工程では、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させるときに、床面Fの起伏等により本体部100cに加わる衝撃をスカート部材170により緩衝しつつ、本体部100cを設置場所に移動させる。
図4(C)に示すように、移動工程により設置場所に本体部100cを移動させた後に、流体供給口部111,112等への流体の供給を中止することにより、設置場所に本体部100cを設置する設置工程が行われる。本体部100cと設置場所との位置合わせは、床面Fに描かれたラインLを用いて行われる。設置工程では、流体供給口部111,112等への流体の供給を中止したときに本体部100cに加わる衝撃をスカート部材170により緩衝しつつ、設置場所に本体部100cを設置する。流体供給口部111,112等への流体の供給を中止した後は、流体供給管541,542等は、流体供給口部111,112等から取り外される。
図4(D)に示すように、設置工程により設置場所に本体部100cを設置した後に、スカート部材170を本体部100cから取り外すスカート部材除去工程が行われる。スカート部材170は、ネジ、金具、接着剤等により本体部100cに取付けられているため、本体部100cから容易に取り外すことができる。なお、プレキャストブロック1cをスカート部材170が取り付けられたままの状態で設置場所に設置してもよい場合には、スカート部材除去工程は省略されてもよい。また、スカート部材除去工程において、必ずしも全てのスカート部材170が本体部100cから除去されなくともよい。
スカート部材除去工程の終了後、又はスカート部材除去工程が省略される場合には設置工程の終了後に、例えば、グラウト等により、流体供給口部111等と、流体下方噴出口部121等と、流体側方噴出口部362等と、これらを連通させる流通路と、凹部131等とが充填される。以上の施工方法は、プレキャストブロック1a,1bについても同様に行われる。
なお、工事現場においては、床面Fに凹凸や割れ目が存在し、本体部100cの底面108と床面Fとの間の流体が床面Fの凹凸や割れ目によって漏出し易い場合がある。このような場合は、例えば、図6(A)及び図6(A)の側面102,104に直交する断面による断面視である図6(B)に示すように、移動工程では、流体下方噴出口部122,123が流体を噴出する本体部100cの下方の床面Fを流体が透過不可能なシート600により覆いつつ、浮上工程により浮上させた本体部100cを設置場所に移動させてもよい。
シート600は、例えば、亜鉛板等の金属板や、合成樹脂等の剛性を有する板材や、合成樹脂及びゴム等の柔軟性を有し、流体が透過不可能な板材を適用することができる。シート600は、図6(A)に示すように、本体部100cが移動工程で移動する方向に沿った長辺を有する長方形又は帯状の形状を有する。また、シート600は、本体部100cが移動工程で移動することが予想される床面Fの全ての領域を覆ってもよい。一方、シート600は、流体下方噴出口部122,123が流体を噴出する本体部100cの下方の床面Fの少なくとも一部を覆えばよい。
図6(B)に示すように、シート600により、本体部100cの底面108と床面Fとの間の流体が床面Fの凹凸や割れ目によって漏出することが防がれる。なお、移動工程において、シート600は、本体部100cが移動する直前に、本体部100cが移動する場所の床面Fに配置されていればよい。長方形又は帯状の形状を有するシート600は任意に方向を変えつつ配置されてもよい。本体部100cは、長方形又は帯状の形状を有するシート600に厳密に沿って移動しなくともよい。従って、本体部100cは、360°の方向に自在に移動する方向を変えることができる。
本実施形態によれば、予めプレキャストブロック1aが、プレキャストコンクリートから形成された本体部100aに加えて、流体を本体部100aの外部から本体部100aの内部に供給される流体供給口部111と、流体供給口部111と連通し、流体供給口部111に供給された流体を本体部100aの下方に噴出する流体下方噴出口部121とを備えている。そのため、プレキャストブロック1aを設置場所に移動させた後に、流体供給口部111への流体の供給を中止すれば、設置場所に本体部100aを設置することができ、流体キャスターの除去の必要が無い。したがって、移動及び設置のための労力及び必要な作業空間を低減することが可能となる。従って、覆工板による路面覆工が行われる地下工事現場であっても、プレキャストブロック1aを用いて容易に施工を行うことができる。
また、本実施形態によれば、流体下方噴出口部121,122等のそれぞれから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、容易に本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100aを浮上させることができる。
また、本実施形態によれば、互いに異なる流体下方噴出口部121,122等のそれぞれと連通する流体供給口部111,112等のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体下方噴出口部121,122等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100aを浮上させることができる。
また、本実施形態によれば、バルブ181,182等により、流体下方噴出口部121,122等の少なくとも一つが本体部100aの下方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部100aの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100aを浮上させることができる。
また、本実施形態によれば、隅角部材用のプレキャストブロック1cのように非対称な形状を有し、本体部100cの重心Gから本体部100cの底面108に下した垂線pと本体部100cの底面108との交点gとが不一致であり、本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度を制御することが困難である場合でも、流体下方噴出口部121等のそれぞれから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、容易に本体部100cの底面108と床面Fとがなす角度を制御しつつ本体部100cを浮上させることができる。
また、本実施形態によれば、流体側方噴出口部362等から流体供給口部112等から供給された流体を本体部100aの側方に噴出させて、浮上させた本体部100aを設置場所に移動させることにより、プレキャストブロック1aの移動のための労力がさらに軽減される。
また、本実施形態によれば、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部161,362等から互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100aの移動の方向を制御しつつ、浮上させた本体部100aを設置場所に移動させることができる。
また、本実施形態によれば、互いに異なる流体側方噴出口部161,362等のそれぞれと連通する流体供給口部111,112等のそれぞれに互いに流量及び圧力のいずれかが異なる流体を供給することにより、流体側方噴出口部161,362等の少なくとも二つから互いに圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかが異なる流体を噴出させることによって、本体部100aの移動の方向を制御しつつ、浮上させた本体部100aを設置場所に移動させることができる。
また、本実施形態によれば、バルブ392等により、流体側方噴出口部362等が本体部100aの側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部100aの移動の速度を制御することができる。また、互いに異なる方向に流体を噴出する二つ以上の流体側方噴出口部161,362等を備えている場合には、バルブ191,392により、流体側方噴出口部161,362等が本体部100aの側方に噴出する流体の圧力、速度及び単位時間当りの質量の少なくともいずれかを変更自在に制御することによって、本体部100aの移動の方向を制御することができる。
また、本実施形態によれば、本体部100aの底面108の外周を囲繞しつつ本体部100aの底面108の下方に突出したスカート部材170をさらに備えるため、浮上させた本体部100aを設置場所に移動させるときに、床面Fの起伏等により本体部100aに加わる衝撃をスカート部材170により緩衝しつつ、本体部100aを設置場所に移動させることができる。また、流体供給口部111等への流体の供給を中止したときに本体部100aに加わる衝撃をスカート部材170により緩衝しつつ、設置場所に本体部100aを設置することができる。また、本実施形態によれば、設置場所に本体部100aを設置した後に、スカート部材170を本体部100aから取り外すことにより、スカート部材170が無いプレキャストブロック1aを設置することができる。
また、本実施形態によれば、移動工程において、流体下方噴出口部122,123が流体を噴出する本体部100cの下方の床面Fを流体が透過不可能なシート600により覆われるため、床面Fに凹凸や割れ目が存在したとしても、本体部100cの底面108と床面Fとの間の流体が床面Fの凹凸や割れ目によって漏出することを防止でき、安定して本体部100cを浮上させつつ本体部100cを設置場所に移動させることができる。また、本実施形態によれば、本体部100cを誘導するために、床面Fにコンクリートによる凹凸や金属材によるレール等を設置する必要がなく、簡易な方法により本体部100cの移動する方向を規定することができ、本体部100cの移動する方向を360°の方向に任意に変更することができる。さらに、本実施形態によれば、床面Fに凹凸を設ける必要が無いため、工事現場において、作業員の歩行に与える影響も極めて少ない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。