JP2018035413A - 貴金属の回収方法 - Google Patents

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Yasuhiro Konishi
康裕 小西
範三 斎藤
Norizo Saito
範三 斎藤
彰 三浦
Akira Miura
彰 三浦
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Abstract

【課題】金を含む浸出後液から金を回収する方法を提供すること。
【解決手段】金を回収するための方法であって、
前記方法は、
金イオンと、鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオンとを含む溶液に酵母を接触させる工程と、
前記酵母及び/又は金を回収する工程と、
を含む、該方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、貴金属の回収方法に関する。より具体的には、金を回収する方法に関する。
鉱物から金を回収する様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1(特開2013−112879)では、硫化鉱物、又は同硫化鉱物に対して浸出処理を行った後の浸出残渣に対して、更に金を浸出させている。この際に、塩化物イオン、臭化物イオン、銅イオン、及び鉄イオン等を含む溶液で浸出させる方法が開示されている。
また、特許文献2(WO2015/099189)では、金やパラジウム等の貴金属を含む溶液中で、貴金属と酵母を接触させて貴金属を回収する方法が開示されている。
特開2013−112879号公報 国際公開WO2015/099189号公報
上記特許文献1において、金が溶解した溶液から金を回収する際に、短時間で回収することができれば、コスト的にも有利となる。また、特殊な材料や試薬を用いることなく回収できれば、コストや簡便性の観点から有利となる。そこで、本発明は、短時間で簡便に金を回収する方法を提供することを目的とする。
通常、ハロゲン元素は毒性を有しており、殺菌処理等で用いられる。そのため、ハロゲン元素存在下で、微生物を用いた特定の処理を行うことは好ましくないと考えられていた。しかし、意外にも、有毒性のハロゲン元素存在下で酵母が金回収に大きく寄与することを本発明者らは見出した。
上記知見に基づいて、本発明は以下の発明を包含する。
(発明1)
金を回収するための方法であって、
前記方法は、
金イオンと、鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオンとを含む溶液に酵母を接触させる工程と、
前記酵母及び/又は金を回収する工程と、
を含む、該方法。
(発明2)
発明1に記載の方法であって、
前記方法は、
鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオンとを含む溶液で、金を含む鉱物又は中間製錬物から金を浸出させて、浸出後液を得る工程、
を更に含み、
酵母を接触させる前記工程は、前記浸出後液を酵母に接触させることを含む、該方法。
(発明3)
発明1又は2に記載の方法であって、前記ハロゲン化物イオンが臭化物イオンを含み、前記臭化物イオンの含有量が、2.0wt%以上である、該方法。
(発明4)
発明1〜3のいずれか1つに記載の方法であって、前記回収した酵母を酸で洗浄し、これにより酵母に付着した銅イオンまたは鉄イオンをさらに分離する工程を更に含む、該方法。
(発明5)
発明1〜4のいずれか1つに記載の方法であって、前記溶液のpHが0未満である、該方法。
(発明6)
発明1〜5のいずれか1つに記載の方法であって、前記溶液液中の金イオンに酵母を接触させる時間が1分以内である、該方法。
(発明7)
酵母を含む組成物であって、発明1〜6のいずれか1つに記載の方法で使用するための組成物。
本発明は一側面において酵母を用いる。これにより、短時間で回収することができ、コスト的に有利となる。また、毒性物質存在下でも回収することが可能であるため、毒性物質を排除する工程等を必要としない。さらに、酵母は大量培養が可能であるため、材料の調製が極めて容易である。そして、FeやCuが存在している中で選択的にAuを回収することができる。
一実施形態において、金回収を表すフロー図である。 細胞濃度とAuの減少量(回収量)との関係を表したグラフである。 細胞濃度と他の元素の減少量との関係を表したグラフである。 pHとAuの回収率との関係を表したグラフである。
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.金の浸出方法
1−1.対象鉱物
一実施形態において、金を回収するための原料は、金を含む鉱物又は中間製錬物であってもよい。典型的には、前記鉱物は、硫化鉱物や珪酸鉱等を主成分とし、且つ金を含有する鉱石でもよい。これらの硫化鉱物は、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱から選択される少なくとも一種を含むことができる。また、前記中間製錬物は、前記鉱物から別の元素(例:銅や鉄)を浸出させた後の浸出残渣であってもよい。鉱物から銅を浸出させるためのいくつかの方法が公知であり、一実施形態において、本発明は公知の銅の浸出方法を用いることができる。或いは、前記中間製錬物は、浮遊選鉱や比重選別といった慣用の選鉱処理を経た精鉱とすることができる。或いは、中間製錬物は、金浸出工程等における酸性水溶液が鉱物内部の金に接触しやすいように、粉砕摩鉱して鉱石の粒径を小さくしたものとすることもできる。
1−2.金回収工程の概要
本発明の一実施形態における金の回収方法を、図1に示す。金を含む鉱物として、例えば、黄銅鉱を主体とする含銅金精鉱を用いることができる。まず、当該精鉱に対して、銅を浸出させるための処理を行い、浸出残渣を得ることができる。浸出残渣中には、前述の浸出処理で浸出しなかった金が含まれている。次に、浸出残渣に対して、金を浸出させるための処理を行うことができる(成分や条件については後述)。一定時間浸出させた後、浸出後液を得ることができる。浸出残渣中に存在していた金は、イオン化して浸出後液に溶解することができる。
上記工程と並行して、金を回収するための酵母を調製する。必要量の酵母を予め購入してもよいし、或いは、前培養を行って、酵母を予め必要分増殖させておいてもよい。その後、遠心分離をして菌を回収し、純水等で洗浄してもよい。そして、適切な細胞濃度に調節したうえで、上述の浸出後液に投入することができる。
投入後、一定時間、金と酵母を接触させる。すると、酵母は、金を吸着させることができる。具体例を挙げると、詳細なメカニズムは不明であるものの、酵母は、金をイオン状態から還元して微粒子を形成する可能性がある(場合によっては、この金微粒子は酵母から分離して液中を分散する可能性がある)。あるいは、酵母は、酵母自身の表面に金イオンを吸着させることができる可能性がある。あるいは、酵母は、細胞内に金イオンを取り込んで蓄積させることができる可能性がある。その後、固液分離を行い、固体側の金及び酵母を回収することができる。
1−3.金を浸出させるための溶液の成分
金を浸出させる溶液は、少なくとも鉄イオンと、銅イオンと、1種以上のハロゲン化物イオンとを含むことができる。前記ハロゲン化物イオンの例として、塩化物イオンや臭化物イオンが挙げられる。
以下の説明によって、本発明の範囲を限定することを意図しないが、金の浸出は、溶出した金がハロゲン化物イオンと反応し、金のハロゲン化錯体を生成することにより進行すると考えられる。また、臭化物イオンを併用することで、より低電位の状態で錯体を形成するため、浸出時間を短縮できると共に、金の浸出効率の向上、すなわち浸出後液中の金濃度の上昇を図ることができると考えられる。
鉄イオンは、二価の鉄イオンであってもよく、三価の鉄イオンであってもよい。二価の鉄イオンの場合には、酸化剤の供給下で三価に変換されることが好ましい。これらは、金を酸化する働きをする。鉄イオンの最終濃度は0.01g/L以上であれば金浸出は可能であるが、反応性をよくするためには高いほうがよい。しかしながら、0.26g/L以上になっても特段に反応性が変わることがないが、この濃度で金の浸出速度に対する鉄濃度の影響の効果は最大となるため、0.26g/L付近の濃度が好ましい。鉄濃度の上限は特になく、溶液の鉄イオンが沈殿しない程度まで高めて実施することもできる。また、原料が鉄を含有する場合には、原料から浸出された鉄は酸化剤として作用するため、必ずしも前以て添加しておく必要はない。
銅イオンは、直接反応に関与しないが、銅イオンが存在することで鉄イオンの酸化速度が速くなる。銅イオンも2価の銅イオンが酸化の働きをする。浸出液中の銅イオンの濃度は5g/L以上とするのが好ましく、銅イオンは金浸出に直接関与しないが、銅イオンが存在することで鉄イオンの酸化速度が速くなるため、添加することが望ましい。その濃度は特に規定するものではないが、5〜20g/L程度存在すれば十分である。
塩化物イオンは、塩化金を生成するとともに金の塩化錯体を形成し金を溶出させるために添加する。また、銅を添加して鉄の酸化反応を促進するためには、反応により生成する第一銅を安定に存在させる必要があり、この目的でも添加する。その濃度としては、1〜6.5mol/Lであるが、第一銅の安定性を考えると3.3mol/L(118g/L)〜5.2mol/L(186g/L)が好ましい。5.2mol/Lを超える場合、反応によって金属イオン濃度が高くなると塩化ナトリウムの結晶として析出するため、溶液中の濃度は上がらなくなる。
金浸出液中の臭化物イオンの濃度は、反応速度や溶解度の観点からだけみれば1〜80g/L程度が好ましい。しかし、より好ましくは、10〜26g/Lであり、更に好ましくは、20g/L以上である。
塩化物イオンの供給源としては、特に制限はないが、例えば塩化水素、塩酸、塩化金属及び塩素ガス等が挙げられ、経済性や安全性を考慮すれば塩化金属の形態で供給するのが好ましい。塩化金属としては、例えば塩化銅(塩化第一銅、塩化第二銅)、塩化鉄(塩化第一鉄、塩化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の塩化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の塩化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、塩化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、塩化銅及び塩化鉄を利用することも好ましい。
臭化物イオンの供給源としては、特に制限はないが、例えば臭化水素、臭化水素酸、臭化金属及び臭素ガス等が挙げられ、経済性や安全性を考慮すれば臭化金属の形態で供給するのが好ましい。臭化金属としては、例えば臭化銅(臭化第一銅、臭化第二銅)、臭化鉄(臭化第一鉄、臭化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の臭化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の臭化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、臭化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、臭化銅及び臭化鉄を利用することも好ましい。
銅イオン及び鉄イオンの供給源としては、これらの塩の形態で供給するのが通常であり、例えばハロゲン化塩の形態で供給することができる。塩化物イオン及び/又は臭化物イオンの供給源としても利用できる観点から銅イオンは塩化銅及び/又は臭化銅、鉄イオンは塩化鉄及び/又は臭化鉄として供給されるのが好ましい。塩化銅及び塩化鉄としては酸化力の観点から塩化第二銅(CuCl2)及び塩化第二鉄(FeCl3)を使用するのがそれぞれ望ましいが、塩化第一銅(CuCl)及び塩化第一鉄(FeCl2)を使用しても浸出液に酸化剤を供給することで、塩化第二銅(CuCl2)及び塩化第二鉄(FeCl3)にそれぞれ酸化されるため、大差はない。
1−4.金を浸出させるための処理の条件
金浸出液のpHは、マイナス領域(例えば、−1以上、又は−0.5以上)でも浸出を行うことができる。しかし、3価の鉄イオンの溶解を確保する理由から、0〜3程度とするのが好ましく、0.5〜2.0程度とするのがより好ましい。金浸出工程の開始時における浸出液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)は、臭化物イオンの効果もあり500mV以上とするのが好ましく、550mV以上とするのがより好ましい。金浸出液の温度は浸出効率や装置の材質の観点から、60℃以上とするのが好ましく、浸出速度の観点から70〜90℃とするのがより好ましい。
金浸出工程は酸化剤を供給しながら実施することで、酸化還元電位を管理する。酸化剤としては特に制限はないが、例えば酸素、空気、塩素、臭素、及び過酸化水素などが挙げられる。極端に高い酸化還元電位をもつ酸化剤は必要なく、空気で十分である。経済性や安全性の観点からも空気が好ましい。
金浸出液と原料の接触方法としては特に制限はなく、噴霧や浸漬などの方法があるが、反応効率の観点から、浸出液中に残渣を浸漬し、撹拌する方法が好ましい。
1−5.浸出処理後の工程
上記浸出工程を行った後の溶液(浸出後液)には、イオン化した金が溶解している。また、浸出後液は、元々の浸出液に含まれていた鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン)とを依然として含む可能性がある。こうした浸出後液中に含まれる金は、酵母を用いて回収することができる(次項で、詳細を説明する)。
2.金の回収方法
2−1.酵母
本発明の一実施形態で用いる酵母は、特に限定されず、菌体内で貴金属イオンを還元できる酵母または菌体に貴金属イオンを吸着できる酵母であればいずれの酵母でもよい。本発明において酵母はサッカロマイセス属に限られず、その他の酵母を含む広義の意味で用いられる。
本発明で使用できる酵母は、例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces)やカンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、ジゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ピチア属(Pichia)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ウィッケルハミア属(Wickerhamia)、フェロマイセス属(Fellomyces)、スポロボロマイセス属(Sporobolomyces)の酵母である。
この中でも特にサッカロマイセス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属やデバリオマイセス属に属する酵母が好ましい。
サッカロマイセス属の酵母は出芽酵母の代表的な酵母であって、例えば、以下の物であってもよい:S. bayanus、S. boulardii、S. bulderi、S. cariocanus、S. cariocus、S. cerevisiae、S. chevalieri、S. dairenensis、S. ellipsoideus、S. florentinus、S. kluyveri、S. martiniae、S. monacensis、S. norbensis、S. paradoxus、S. pastorianus、S. spencerorum、S. turicensis、S. unisporus、S. uvarum、S. zonatus。
ジゴサッカロマイセス属は耐塩性の酵母であって、味噌や醤油などから分離される酵母であり、例えばZ. rouxiiであってもよい。シゾサッカロマイセス属の酵母は分裂酵母であり、例えばS. cryophilus、S. japonicus、S. octosporus、又はS. pombeであってもよい。また、好ましい酵母として受託番号NITE BP−01780(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室 独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター)で寄託されたデバリオマイセス属の酵母(Debaryomyces hansenii)も例示される。あるいは、受託番号NBRC 2044で表される酵母(Saccharomyces cerevisiae)も例示される。
酵母自体は、培地を用いて培養することにより簡単に増殖させ、必要量を確保することができる。しかも、特殊で高額な設備を要さない。従って、コストや労力面の観点から非常に有利となる。
2−2.酵母の培地
一実施形態において、本発明の方法では、酵母を用いて金を回収することができる。この酵母については、予め必要量を確保するために培地等で前培養することができる。培養の方法は、特に限定されず、例えば、GYP培地(グルコース20g/L、酵母エキス5g/L、ペプトン5g/L)を用いて、33℃で72時間、好気性環境下で培養することができる。あるいは、こうした方法に限られず、当分野で公知の方法を用いることができる。また、培地中に存在した状態で、酵母を、浸出後液に投入してもよい。あるいは、一旦培地から酵母を回収(例:遠心分離等)し、更に洗浄して(例:純水や適切なバッファを用いて)から、浸出後液に投入してもよい。
2−3.処理条件
酵母を浸出後液に投入すると、浸出後液中の金イオンと酵母が接触して、金イオンの還元を促進させることができる。あるいは、酵母による金イオンの吸着(例:酵母の表面に結合又は酵母内部への取り込み)を促進させることができる。処理条件としては、特に限定されないが、典型的には以下の条件で行うことができる。
2−3−1.接触時間
接触時間については、特に限定されず、0秒超〜24時間以内であってもよい。実際には、酵母を金イオンと接触させてから、後述する固液分離するまでの時間が最低限必要となる。従って、下限値としては、典型的には30秒以上である。また、上限値については、5分以内が好ましく、1分以内が最も好ましい。これは、酵母によって回収される金の量が、1分以内をピークとして減少するためである。メカニズムの詳細は不明ではあるが、酵母の表面上で一旦金が吸着した後、再度金が溶解するか、酵母から分離することが原因となっている可能性がある。換言すれば、本発明の方法は、短期間で金を回収することを可能にする。
2−3−2.pH
pHについても特に限定されず、酸性条件下で行うことが好ましい。典型的にはpH4以下である。更に好ましくは、1未満又は0未満であってもよい。また、下限値については特に限定されず、−1以上であってもよい。
2−3−3.温度
温度についても特に限定されず、1〜40℃、好ましくは25℃〜35℃で行うことができる。
2−3−4.酵母濃度及び金イオン濃度
浸出後液に酵母を投入した状態での、酵母の濃度と金イオンの濃度についても、特に限定されないが、酵母濃度については、典型的には、1×1013cells/m3〜3×1015cells/m3である。より好ましくは、5×1014cells/m3以上(乾燥酵母重量で約16kg/m3以上)である。また、金イオンの濃度については、典型的には、0.1mg/L〜200mg/Lである。より好ましくは、1mg/L〜100mg/Lである。
2−4.酵母の回収
金イオンと酵母とを接触させた後、酵母(例えば、金を細胞内に取り込んだ酵母や表面に金を結合させた酵母など)や金を固液分離することができる。分離方法については、例えば、遠心分離や濾過等の方法が挙げられる。回収された酵母や金を含む混合物は、焼成等を行い、酵母を灰にすることができる。
また、固液分離を行った後、酵母や金を酸(例:塩酸、硫酸、有機酸など)で洗浄してもよい。これにより、酵母や金に付着したCuやFeを除去することができる。
上記の方法に従って、金を回収することができる。本発明の方法を用いることにより、短時間で金を回収することができ、コスト的に有利となる。典型的には1分以内の接触時間で金を回収することができる。これは、従来技術から見て、大幅に時間を短縮することに成功しており、例えば、特許文献2において、1時間以上接触時間を要する旨を開示していることに比べて著しい効果と言える。具体的なメカニズムは不明であるが、少なくとも浸出後液中の成分と酵母との相乗効果によるものと考えられる。
また、ハロゲン等の毒性物質存在下でも回収することが可能であるため、毒性物質を排除する工程等を必要としない。さらに、酵母は大量培養技術が確立されており、材料の調達が極めて容易である。そして、FeやCuが存在している中で選択的にAuを回収することができる。
以下、上述した実施形態を、以下の実施例で更に具体的に示す。
1.分析方法及び材料
溶液中の、ClやBrの濃度については、イオンクロマトグラフ法(メーカー名:島津製作所、検出器:CDD10Asp、カラム:Shim−pack IC−A1)で測定した。また、溶液中の金属の量については、ICP発光分析法(メーカー名:島津製作所 機器名・型番:ICPE9000)にて測定した。
酵母については、独立行政法人 製品評価技術基盤機構より分譲されたSaccharomyces cerevisiae NBRC 2044株を用いて行った。同酵母を、GYP培地(グルコース20g/L、酵母エキス5g/L、ペプトン5g/L)を用いて、33℃で72時間、好気性環境下で培養した。その後、遠心分離して酵母を回収し、純水で洗浄をし、細胞の懸濁液を調製した。なお、細胞濃度は、血球計算盤を用いて細胞数をカウントしながら調整した。
金を含む浸出後液を模擬した溶液として、模擬溶液A及び模擬溶液Bを調製した。両者の溶液の成分は以下の通りである。必要に応じて、これらの溶液のpHを10MのNaOHを用いて調整した。
模擬溶液A
Cl 17wt% (供給源 HCl)
Br 2.0wt% (供給源 HBr)
Cu 14g/L (供給源 CuCl2・2H2O)
Fe 1.8g/L (供給源 FeCl3・6H2O)
Au 66mg/L(供給源 HAuCl4
模擬溶液B
Cl 4.0wt% (供給源 HCl)
Br 8.1wt% (供給源 HBr)
Cu 15g/L (供給源 CuCl2・2H2O)
Fe 1.8g/L (供給源 FeCl3・6H2O)
Au 68mg/L(供給源 HAuCl4
2.実施例1
模擬溶液A及び模擬溶液B(pHは調整なし)に、細胞濃度を変化させた酵母懸濁液を1:1(体積比)の割合で混合し、経過時間(最大6時間)ごとに模擬溶液A中のAuの濃度変化を測定した。結果を図2に示す。コントロール(化学対照)と比較すると、酵母存在下で、溶液中のAuが減少することが示された。酵母濃度が2.5×1014cells/m3以上だと著しくAuが減少し、酵母濃度が5.0×1014cells/m3以上だと更に著しくAuが減少した。また、混合を開始してからわずか1分程度で、Auの減少量がピークに達し、その後は、徐々に溶液中のAu量が上昇していく傾向が見られた。
3.実施例2
実施例1と同様の条件で試験を行い、溶液中の他の元素(即ち、Cu及びFe)の量の変化を調べた。結果を図3に示す。Cu及びFeは、いずれも誤差の範囲内での変化しか見られなかった。このことから、酵母は、選択的にAuを回収することが示された。
4.実施例3
実施例1と同様の条件で試験を行った。ただし、細胞濃度は、5.0×1014cells/m3にし、pHを変化させて、回収率を測定した。結果を図4に示す。pHが0未満の場合に、短期間でAuを回収することができることが示された。
5.実施例4
実施例1と同様の条件で試験を行った。ただし、細胞濃度は、5.0×1014cells/m3にし、pHを0.5〜0.6に調整した。そして、10分間接触させ、その後濾過を行い、酵母及び金微粒子を回収した。ここで、酵母及び金微粒子の塊に対して、pH0.5の塩酸溶液で2回洗浄を行った。その後、洗浄した酵母及び金微粒子の塊に1Mの塩酸を40ml添加して90℃のホットプレート上で2時間撹拌し、細胞を溶解させ、且つ残留した酸を揮発させた。結果を表1に示す。
表1に示すように、酸で洗浄する直前でのAu回収量を測定すると、100%回収できたことが示された。ただし、CuやFeがわずかながら混入していることも示された。その後塩酸で洗浄すると、混入したCu及びFeを除去できることが示された。
本明細書において、「又は」や「若しくは」という記載は、選択肢のいずれか1つのみを満たす場合や、全ての選択肢を満たす場合を含む。例えば、「A又はB」「A若しくはB」という記載の場合、Aを満たしBを満たさない場合と、Bを満たしAを満たさない場合と、Aを満たし且つBを満たす場合のいずれも包含することを意図する。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (7)

  1. 金を回収するための方法であって、
    前記方法は、
    金イオンと、鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオンとを含む溶液に酵母を接触させる工程と、
    前記酵母及び/又は金を回収する工程と、
    を含む、該方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記方法は、
    鉄イオンと、銅イオンと、ハロゲン化物イオンとを含む溶液で、金を含む鉱物又は中間製錬物から金を浸出させて、浸出後液を得る工程、
    を更に含み、
    酵母を接触させる前記工程は、前記浸出後液を酵母に接触させることを含む、該方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、前記ハロゲン化物イオンが臭化物イオンを含み、前記臭化物イオンの含有量が、2.0wt%以上である、該方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記回収した酵母を酸で洗浄し、これにより酵母に付着した銅イオンまたは鉄イオンをさらに分離する工程を更に含む、該方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、前記溶液のpHが0未満である、該方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、前記溶液液中の金イオンに酵母を接触させる時間が1分以内である、該方法。
  7. 酵母を含む組成物であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法で使用するための組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023286850A1 (ja) 2021-07-14 2023-01-19 東洋エンジニアリング株式会社 金属の回収方法
WO2023013665A1 (ja) * 2021-08-05 2023-02-09 国立大学法人九州大学 金鉱石の前処理方法および金回収方法
WO2022225492A3 (en) * 2021-04-19 2023-05-11 Gabi̇o Bi̇yoloji̇k Ürünler Anoni̇m Şi̇rketi̇ A biochemical composition for increasing efficiency in ore beneficiation and method of use thereof
WO2024128055A1 (ja) * 2022-12-14 2024-06-20 東洋エンジニアリング株式会社 レアアースの回収方法

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